説明

養殖水の品質監視・制御システムおよび方法、並びに、一体型水質アナライザ

【課題】養殖水の品質を監視・制御するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】システムは、一体型水質アナライザと、養殖ゲートウェイと、端末ホスト120とを有する複数の高性能養殖ノードを含む。本方法では、高性能養殖ノードのそれぞれが、当該高性能養殖ノードに一体化された水質アナライザにより養殖水の品質を検知し、対応する養殖機器を起動させて養殖水の品質を調整する。さらに、端末ホスト120は、養殖ゲートウェイを介し高性能養殖ノードをグループ化し、対応する養殖機器を起動させて養殖水の品質を調整するよう、同じグループ内の高性能養殖ノードにより収集された水質情報に従い、同じグループ内の高性能養殖ノードを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高性能養殖ノードをグループ化し、同時に監視・制御を行うことにより、養殖水の品質を監視・制御するシステムおよび方法、並びに、一体型水質アナライザおよびその水質分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の水産養殖業界では、給餌、水の入れ替え、肥料の散布、および、空気の供給などといった多くの作業が手作業で行われている。水産養殖の効率を上げるべく、多くの電子センサおよび水質試薬によって、養殖池または水槽の異なる水質情報が集められ、また、多くの異なる自動装置(例えばアクチュエータ)によって、フィルタ、フィーダ、空気ポンプ、および、空気供給バルブなどの異なる養殖機器が自動的に作動できるようにされている。しかしながら、既存の水中電子機器は、拡張性が非常に低く、手動設定が必要である。したがって、養殖ユニットの異なる領域における養殖水は密接に関連し合っているので、養殖ユニットのスケールが大きくなるに伴い、これらの電子センサおよびアクチュエータの設定が非常に複雑になり、時間がかかってしまう。
【0003】
例えば、魚、エビ、浮草は、1つの養殖ユニット(例えば、大きい養殖池または水槽)に共存している。これらの生物は、異なる領域から来たものであり、異なる水質条件を必要とするので、養殖ユニットの生態系は、非常に複雑になりうる。初心者がこのような養殖ユニットの管理をすれば、水質条件の設定を誤り、養殖ユニットの生物は、死ぬおそれがある。このような複雑な生態系での水質条件では、経験者であっても間違いを犯しかねず、それによって養殖ユニットの生物は死んでしまうかもしれない。
【0004】
従来、養殖プロセスを開始した後の環境パラメータの設定、成長状態の検査、投薬、および、肥料の散布は、人間の判断にすべて委ねられている。しかしながら、経験を人に伝え、それぞれの養殖ユニットの養殖プロセスをシステマティックに記録し、さまざまな養殖パラメータを定量化することは困難である。
【0005】
上記問題を解消すべく、水質の異常を自動的に検知し、水質を分析し、フィードバックコントロールを提供し、さらに、ケーブルまたは無線通信を介して水中環境を監視するシステムおよび方法が米国特許第7222047号および第2005/0172910号に開示されている。また、水質の異常を検知し、無線通信を介して水産養殖情報を自動的に報告するシステムおよび方法が台湾特許代305111号に開示されている。さらに、GSM(Global System for Mobile Communications)を介して漁業を遠隔監視・制御するシステムおよび方法が台湾特許第200614911に開示され、水質分析、および、インターネットを介した画像による監視・制御機構を用いる水産養殖管理方法が台湾特許第095102893号に開示されている。しかしながら、これら従来の技術のすべては、養殖業者が養殖水の品質を遠隔に都合よく監視・制御することを可能にするが、大規模な養殖池または水槽に関する効率的な監視および制御機構、または、水産養殖の経験から得た知識を人に伝えるまたはやりとりする養殖業者のための効率的な方法は提供しない。
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、養殖水の品質を監視・制御するシステムおよび方法が提供される。養殖水の水質情報は、グループ化によって効率よく監視・制御されることができる。
【0007】
本発明によれば、養殖水を監視・制御するシステムが提供される。システムは、複数の高性能養殖ノードと、養殖ゲートウェイと、端末ホストとを有する。複数の高性能養殖ノードのそれぞれは、養殖機器に接続され、水質パラメータレギュレータ、一体型水質アナライザ、および、アクチュエータを有する。水質パラメータレギュレータは、環境パラメータを設定する。一体型水質アナライザは、水質パラメータレギュレータに電気的に接続され、養殖水の水質情報を検知する。アクチュエータは、水質パラメータレギュレータに電気的に接続され、養殖機器を起動させる。端末ホストは、複数の高性能養殖ノードの環境パラメータを設定させる制御命令を発する。養殖ゲートウェイは、複数の高性能養殖ノードと端末ホストとの間に接続され、水質情報および制御命令を中継する。端末ホストは、複数の高性能養殖ノードの少なくとも一部を1つの養殖グループにまとめるよう養殖ゲートウェイを制御し、養殖グループ内の複数の高性能養殖ノードにより収集された水質情報に従い、養殖機器を起動させるよう、養殖グループ内の複数の高性能養殖ノードを同時に制御する。
【0008】
本発明によれば、養殖水の品質を監視・制御する方法が提供される。方法は、上記システムに適している。方法は、端末ホストを用い、養殖ゲートウェイを介して複数の高性能養殖ノードの環境パラメータを遠隔設定する段階と、複数の高性能養殖ノードのそれぞれを用い、水質情報を検知する段階と、複数の高性能養殖ノードの少なくとも一部を、一の養殖グループにまとめるよう前記養殖ゲートウェイを制御し、端末ホストを用いて、養殖機器を起動させるよう、養殖グループ内の複数の高性能養殖ノードにより収集された水質情報に従い、養殖グループ内の複数の高性能養殖ノードを同時に制御する段階と、を備える。
【0009】
さらに、本発明によれば、養殖水の品質を監視・制御するシステムが提供される。システムは、養殖水の水質情報を監視・制御するのに適する。システムは、複数のアクチュエータと、水質パラメータレギュレータと、一体型水質アナライザと、端末ホストと、養殖ゲートウェイと、を備える。アクチュエータは、複数の養殖機器にそれぞれ接続される。水質パラメータレギュレータは、アクチュエータに電気的に接続され、当該アクチュエータに対応する複数の環境パラメータを有する。一体型水質アナライザは、水質パラメータレギュレータに電気的に接続され、養殖水の水質情報を検知する。端末ホストは、環境パラメータを設定させる制御命令を発する。養殖ゲートウェイは、水質パラメータレギュレータと端末ホストとの間に接続され、制御命令を中継する。水質パラメータレギュレータは、水質情報および環境パラメータに従い、アクチュエータを介して対応する養殖機器を起動させる。
【0010】
さらに、本発明によれば、養殖水の品質を監視・制御する方法が提供される。方法は、上記システムに適する。方法は、水質パラメータレギュレータの環境パラメータを設定する段階と、一体型水質アナライザを介して水質情報を取得する段階と、水質情報と、環境パラメータとを比較する段階と、比較結果に従い、アクチュエータを起動させるかどうか、および、アクチュエータの動作時間を決定し、対応する養殖機器を起動させる段階と、を備える。
【0011】
さらに、本発明によれば、一体型水質アナライザが提供される。一体型水質アナライザは、水質分析コントローラ、抽水構造、検水ガイド構造、試薬ガイド構造、および、光分析デバイスを備える。抽水構造は、水質分析コントローラに電気的に接続され、抽水パイプラインを介して検水を抽出する。検水ガイド構造は、水質分析コントローラに電気的に接続され、検水ガイド構造は、水パイプラインを介して抽水構造から検水を取得し、当該検水を少なくとも1つの試験容器に注入する。試薬ガイド構造は、水質分析コントローラに電気的に接続され、少なくとも1つの水質試薬を有する。また、試薬ガイド構造は、水質試薬を試験容器に注入する。光分析デバイスは、水質分析コントローラに電気的に接続され、試験容器内の検水を分析することにより水質情報を得る。
【0012】
さらに、本発明によれば、上記一体型水質アナライザに適した水質分析方法が提供される。水質分析方法は、水質分析コントローラを用いて抽水構造を制御することにより、抽水パイプラインを介して検水を取得する段階と、抽水構造を用いて、検水を複数の試験容器内に均等に注入する段階と、試薬ガイド構造を用いて、対応する試験容器に異なる水質試薬を自動的に注入する段階と、光分析デバイスを用いて試験容器内の検水を分析することにより、当該検水の水質情報を生成する段階と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付の図面は、本発明の理解を深めるのに役立つと共に、本願明細書の一部をなす。図面は、記載と共に本発明の複数の実施形態を示し、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態における、養殖水の品質を監視・制御するシステムを示す。
【0015】
【図2】本発明の第1の実施形態における、高性能養殖ノードの概略ブロック図である。
【0016】
【図3】本発明の第1の実施形態における、自動光水質アナライザのブロック図である。
【0017】
【図4】本発明の第1の実施形態における、自動光水質アナライザを用いて養殖水の品質を分析するプロセスを示すフローチャートである。
【0018】
【図5】本発明の第1の実施形態における、養殖水の品質を監視・制御する方法を示すフローチャートである。
【0019】
【図6】本発明の一実施形態における、環境パラメータを設定するステップを示す。
【0020】
【図7】本発明の第2の実施形態における、養殖水の品質を監視・制御するシステムを示す。
【0021】
【図8】本発明の第2の実施形態における、養殖グループを設定するプロセスを示すフローチャートである。
【0022】
【図9A】養殖水の品質を監視・制御する方法を示し、高性能養殖ノードは、第1のグループ化方法によりグループ化されている。
【0023】
【図9B】養殖水の品質を監視・制御する方法を示し、高性能養殖ノードは、第2のグループ化方法によりされている。
【発明を実施するため形態】
【0024】
本発明に従う例示的実施形態は、養殖水の品質を監視・制御するシステムおよび方法を提供する。養殖水の水質情報は、効率的に監視・制御され、養殖業者の経験から得た知識を人に伝え、情報を交換する機構が提供される。
【0025】
本発明に従う例示的実施形態は、一体型水質アナライザ、および、その方法を提供する。検水の水質情報は、水質試薬、および、光分析デバイスを用いて自動的に分析される。
【0026】
本発明に従う例示的実施形態では、養殖ゲートウェイを介して複数の高性能養殖ノードがグループ化することにより、同じ養殖ユニットに属する高性能養殖ノードを遠隔で同時に制御できるか、または、1つの養殖環境における高性能養殖ノードの特定の水質項目を制御できる。その結果、水質を監視・制御する効率が上がる。
【0027】
添付の図面を参照して本発明における本実施形態への詳細な説明がなされる。可能な限り、図面および説明中に用いられる同じ参照符号は、同じまたは同様の構成要素を指す。以下の例示的実施形態の説明に記載される実装は、本発明に従うすべての実装を示しているわけではない。むしろ、それらは添付の請求項の範囲に記載されるような本発明の側面と合致するシステムおよび方法の例に過ぎない。
[第1の実施形態]
【0028】
図1は、本発明の第1の実施形態における、養殖水の品質を監視・制御するシステムを示す。本実施形態では、水質監視・制御システム100の高性能養殖ノード110は、小型の水槽182(図3に示す)に設置される。水質監視・制御システム100は、水槽182内の養殖水の水質情報を検知し、当該水質情報に従い、水槽182に対応する制御動作を実行する。
【0029】
図1を参照すると、水質監視・制御システム100は、高性能養殖ノード110と、端末ホスト120と、養殖ゲートウェイ130とを有する。
【0030】
高性能養殖ノード110は、養殖水の水質情報を検知し、端末ホスト120に命じられた設定および制御に従い、養殖機器に接続される。養殖機器は、養殖水の水質(例えば、水量、酸素溶解量、二酸化炭素濃度、pH値、および、養殖ユニットの温度など)を調整するために用いられる機器である。養殖機器は、ランプ、二酸化炭素を制御する電磁弁、加熱バー、自動フィーダ、空気ポンプ、または、冷水器であってよい。つまり、高性能養殖ノード110は、上記養殖機器の1つまたは複数に接続されて、水質を検知しかつ調整してよい。本実施形態では、空気ポンプ192および加熱バー194(図2に示す)は、高性能養殖ノード110に接続され、当該高性能養殖ノード110の制御下で、水槽182内の養殖水の酸素溶解量および温度を調整する。本実施形態では、水質監視・制御システム100は、高性能養殖ノードを1つしか有していないが、複数の高性能養殖ノードを有し、当該複数の高性能養殖ノードのそれぞれの動作を個別に制御してよいことに留意されたい。
【0031】
図2は、本発明の第1の実施形態における、高性能養殖ノードの概略ブロック図である。
【0032】
図2を参照すると、高性能養殖ノード110は、水質パラメータレギュレータ202と、一体型水質アナライザ204と、アクチュエータ206aおよび206bとを有する。
【0033】
水質パラメータレギュレータ202は、高性能養殖ノード110に接続される養殖機器の環境パラメータを設定する。水質パラメータレギュレータ202は、互いに結合されているパラメータ決定ユニット202aおよび水質管理ユニット202bを有する。パラメータ決定ユニット202aは、一体型水質アナライザ204により検知された水質情報を分類し、水質管理ユニット202bは、対応するアクチュエータ206aおよび206bを制御する。
【0034】
具体的には、本実施形態における水質パラメータレギュレータ202は、養殖ゲートウェイ130を介して端末ホスト120の制御命令を受信し、対応する養殖機器(すなわち空気ポンプ192および加熱バー194)に環境パラメータを設定する。水質パラメータレギュレータ202は、アクチュエータ206aおよび206bを作動させるかどうか決定することによって養殖機器を起動または停止させ、一体型水質アナライザ204により検知された現在の水質情報と、予め設定された環境パラメータとに従い、水槽182の水質を調整する。例えば、本実施形態では、養殖業者は、端末ホスト120のオペレーションインターフェースを介し、予想される酸素溶解量値、および、予想される温度を環境パラメータとして設定する。
【0035】
一体型水質アナライザ204は、水質パラメータレギュレータ202に電気的に接続される。一体型水質アナライザ204は、養殖水の水質情報を取得する。本実施形態では、検知されるべき水質情報は、水温、および、酸素溶解量である。したがって、本実施形態では、一体型水質アナライザ204は、温度センサ204a、および、自動光水質アナライザ204bを含む。温度センサ204aは、養殖水の温度を検知できる電子センサであり、自動光水質アナライザ204bは、養殖水中の酸素溶解量を検知するために用いられる。しかしながら、本発明は、それらに限定されず、例えばpH値などの他の水質情報を得るための他のセンサも本実施形態に採用されてよい。
【0036】
水質分析に関しては、電子検知器(例えばセンサ)を用いて検知できる水質情報(例えば、pH値、および、温度)もあるが、水質試薬を用いて手動で検知しなければならない水質情報(例えば、酸素含有量、および、窒素化合物含有量など)もあることに留意されたい。このように、従来の水質分析プロセスは、かなり不便で間違いも生じやすい。本実施形態では、自動光水質アナライザ204bは、水質試薬を用いて水質を自動的に検知できるデバイスである。
【0037】
図3は、本発明の第1の実施形態における、自動光水質アナライザのブロック図である。
【0038】
図3を参照すると、自動光水質アナライザ204bは、水質分析コントローラ302、抽水構造304、検水ガイド構造306、試薬ガイド構造308、および、光分析デバイス310を有する。
【0039】
水質分析コントローラ302は、端末ホスト120の制御下で、抽水構造304、検水ガイド構造306、試薬ガイド構造308、および、光分析デバイス310を自動制御し、検水の品質を分析する。
【0040】
抽水構造304は、水質分析コントローラ302に電気的に接続される。そして、抽水構造304は、水質分析コントローラ302の制御下で、抽水パイプライン312を介して養殖環境(すなわち水槽182)から養殖水を抽出し、当該養殖水を、水パイプライン314を介して検水ガイド構造306に送り込む。
【0041】
検水ガイド構造306は、水質分析コントローラ302に電気的に接続される。そして、検水ガイド構造306は、抽水構造304から受け取った養殖水を試験容器316へと導く。本実施形態では、自動光水質アナライザ204bは、養殖水中の酸素含有量のみを検知するので、試験容器316を1つだけを用いている。しかしながら、本発明は、それに限定されず、本発明の他の実施形態では、複数の水質項目を検知すべき場合は、自動光水質アナライザ204bには複数の試験容器が配置され、検水ガイド構造306は、それら複数の試験容器に養殖水を均等に分配する。
【0042】
試薬ガイド構造308は、水質分析コントローラ302に電気的に接続され、酸素溶解量を検知するための水質試薬を有する。試薬ガイド構造308は、水質分析コントローラ302の制御下で、水質試薬を試験容器316内に注入する。同様に、本発明の他の実施形態では、複数の品質項目が検知されるべき場合には、試薬ガイド構造308は、複数の異なる水質試薬(例えば、窒素化合物試薬、および、溶解酸素試薬)を用いる。
【0043】
光分析デバイス310は、水質分析コントローラ302に電気的に接続されて、試験容器316中の養殖水を分析することにより、水質情報を得る。具体的には、光分析デバイス310内にCCD(電荷結合素子)が配置されることにより、水質試薬と共に注入された養殖水のカラー画像の変化を検知し、水質試薬の特性に従い、水質情報を分析する。本実施形態では、カラー画像の変化を検知するデバイスは、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)として実装されてもよいことに留意されたい。
【0044】
本発明の一実施形態では、自動光水質アナライザ204bは、試験容器316を載置するターンテーブル318をさらに有する。ターンテーブル318は、試験容器316を自動的に移動させて、水質試薬の注入、および、光学分析を実行する。
【0045】
図4は、本発明の第1の実施形態における、自動光水質アナライザを用いて養殖水の品質を分析するプロセスを示すフローチャートである。
【0046】
図4を参照すると、ステップ401において、水質分析コントローラ302は、抽水構造304を制御し、抽水パイプライン312を介して検水を得る。次に、ステップS403において、抽水構造304は、検水を複数の試験容器内に均等に分配する。次に、ステップS405において、試薬ガイド構造308は、複数の異なる水質試薬を、対応する試験容器に自動的に注入する。最後に、ステップ407において、光分析デバイス310は、試験容器中の検水を分析し、検水の水質情報を生成する。
【0047】
再び図2を参照すると、アクチュエータ206aおよび206bが水質パラメータレギュレータ202に電気的に接続され、当該水質パラメータレギュレータ202に接続されている養殖機器を起動させる。本実施形態では、アクチュエータ206aおよび206bには、空気ポンプ192および加熱バー194がそれぞれ接続されている。具体的には、水質パラメータレギュレータ202は、アクチュエータ206aおよび206bにより、空気ポンプ192および加熱バー194の動作を開始・終了させうる。
【0048】
図1を再び参照すると、端末ホスト120は、高性能養殖ノード110に制御命令を発して上記環境パラメータを設定させる。本実施形態では、端末ホスト120は、ユーザオペレーションソフトウェア(図示せず)を提供することにより、養殖業者が高性能養殖ノード110に接続し、当該ユーザオペレーションソフトウェアを介して予想される酸素溶解量、および、水温を設定できるようにする。また、本発明の一実施形態では、水質監視・制御システム100は、環境学習モジュール170をさらに有する。環境学習モジュール170は、環境パラメータの調整プロセスを記録するパラメータ記録ユニット170aと、当該パラメータ記録ユニット170aに格納された設定ファイルをロードして環境パラメータを設定する自動調整ユニット170bとを有する。特に、パラメータ記録ユニット170aは、異なる水生生物に適した養殖環境に関するデータを格納してよい。
【0049】
本実施形態では、高性能養殖ノード110におけるすべての機器は、制御ネットワーク152(例えば制御領域ネットワーク)を介して接続されている。したがって、本実施形態において、端末ホスト120に高性能養殖ノード110を遠隔制御させるべく、高性能養殖ノード110と端末ホスト120とを接続する養殖ゲートウェイ130が採用される。本発明の一実施形態では、養殖ゲートウェイ130は、端末ホスト120から高性能養殖ノード110に制御命令を中継するか、または、高性能養殖ノード110から端末ホスト120に水質情報を中継するデータ中継ユニット130aを有する。
【0050】
具体的には、端末ホスト120は、通信ネットワーク154を介して養殖ゲートウェイ130に接続される。このように、本実施形態では、端末ホスト120は、通信ネットワークと養殖ゲートウェイ130との中継により、制御ネットワーク152を介して接続された高性能養殖ノード110を遠隔制御する。本発明の一実施形態では、通信ネットワーク154は、インターネットプロトコル(IP)を用いる通信ネットワークである。しかしながら、IP通信ネットワーク以外のネットワークも本発明には適用できる。また、通信ネットワーク154が無線ネットワーク規格を採用する場合、養殖業者は、モバイルデバイス(例えば、PDA(パーソナル携帯情報機器))をさらに用いて、通信ネットワーク154を介し養殖環境の情報を取得してもよい。
【0051】
図5は、本発明の第1の実施形態における、養殖水の品質を監視・制御する方法を示すフローチャートである。
【0052】
図5を参照すると、ステップS501において、水質パラメータレギュレータ202の環境パラメータは、端末ホスト120のユーザオペレーションソフトウェアによって、高性能養殖ノード110に設定される。具体的には、上記ハードウェア機器(図1に示すような)の設置後、養殖業者は、水槽182における環境、および、養殖される水生生物の特性に従い、環境パラメータを設定しなければならない。環境パラメータを環境学習モジュール170に格納する例では、養殖業者は、他の養殖業者から提供された設定ファイルを直接ロードするか、あるいは、以下のステップにより環境パラメータを設定してもよい。
【0053】
図6は、本発明の一実施形態における、環境パラメータを設定するステップを示す。図6を参照すると、ステップS601において、ユーザオペレーションソフトウェアは、新しい環境パラメータを追加するかどうかを決定する。
【0054】
ユーザオペレーションソフトウェアは、ステップS601において、養殖業者が新しい環境パラメータを追加しようとしていると決定した場合、ステップS603において、新しい環境パラメータを確定し、ステップS605において、新しい環境パラメータに対応する養殖機器が正しく接続できているかどうかを決定する。
【0055】
ステップ605において、新しい環境パラメータに対応する養殖機器が正しく接続できていないことが決定されると、ステップ607において、ユーザオペレーションソフトウェアは、養殖業者に確認させるリマインドメッセージを表示し、ステップS605に戻る。
【0056】
次に、ステップS609において、養殖される生物に準じて、関連する環境パラメータのパラメータ範囲が確定される。本実施形態では、水温、および、酸素溶解量の設定が一例として説明される。しかしながら、上記のごとく、環境パラメータは、サイズまたは量、二酸化炭素濃度、pH値、照明パターン、餌の量、温度範囲、および、養殖ユニットの時限装置をさらに含んでよい。
【0057】
その後、ステップS611において、ユーザオペレーションソフトウェアは、養殖業者の入力に従い、予想される環境パラメータを設定し、ステップ613において、ユーザオペレーションソフトウェアは、ステップS609で確定されたパラメータ範囲に基づき、入力された予想される環境パラメータが正常でないかどうかを決定する。
【0058】
ユーザオペレーションソフトウェアは、ステップS613において、入力された環境パラメータが正常でないことを決定した場合、ステップS625において、養殖業者に入力を変更するよう促し、ステップS613に戻る。
【0059】
ユーザオペレーションソフトウェアは、ステップS613において、環境パラメータが正常であると決定した場合、ステップS615において、すべての環境パラメータをまとめて表示する。ユーザオペレーションソフトウェアは、ステップS617において、養殖業者に確認を要求する。
【0060】
ステップS617において、ユーザオペレーションソフトウェアは、養殖業者が環境パラメータを変えようとしているところだと決定した場合、ステップS619において、環境パラメータを訂正するためのインターフェースを表示し、ステップS617に戻る。
【0061】
ステップS617において、ユーザオペレーションソフトウェアは、養殖業者が環境パラメータを設定済みだと決定した場合、ステップS621において、環境学習モジュール170内のデータに基づき、上記の環境パラメータで養殖されるのに適さない生物を表示する。最後に、ステップS623において、ユーザオペレーションソフトウェアは、上記設定を設定ファイルとして環境学習モジュール170に格納する。特に、設定ファイルは、養殖業者同士で養殖の経験情報をやりとりするのに用いられてよい。また、続いて養殖業者が新しい養殖機器を追加する場合、図6に示されるステップを踏んで、新しい養殖機器に対応する環境パラメータが追加されてよい。
【0062】
再び図5を参照すると、ステップ503において、養殖水の水質情報は、一体型水質アナライザ204により得られる。例えば、本実施形態では、水槽182における養殖水の温度は、一体型水質アナライザ204の温度センサ204aにより検知され、水槽182中の養殖水の酸素溶解量は、一体型水質アナライザ204の自動光水質アナライザ204bにより検知される。その後、ステップS505において、水質パラメータレギュレータ202は、一体型水質アナライザ204により検知された現在の水質情報と、予め設定された環境パラメータとを比較する。水質パラメータレギュレータ202は、ステップS505において、現在の水質情報が予め設定された環境パラメータと一致しないと決定した場合、ステップS507において、アクチュエータ206aまたは206bを作動させて空気ポンプ192または加熱バー194を起動させることにより、水質を調整する。水質パラメータレギュレータ202は、ステップS505において、現在の水質情報が環境パラメータと一致すると決定した場合、何もせず、一定の時間の後にステップS503が再び実行され、水槽の監視・制御を行う。
【0063】
ステップS501において、養殖業者は、環境パラメータを設定する以外に、水質情報のプロンプト設定をさらに設定してよい。例えば、温度が期待値を上回る場合、混濁度が期待値を上回る場合、化合物の濃度が期待値を上回る場合、または、特定の要素の成分が低すぎる場合、高性能養殖ノード110は、その情報を端末ホスト120に送り、養殖業者を促す。このように、ステップS509では、水質情報に従い、水質に関する警告メッセージを端末ホスト120に表示するかどうかが決定される。
【0064】
ステップS509において養殖業者が催促されなかった場合、ステップS503が実行される。ステップS509において養殖業者が催促された場合、ステップS511において、端末ホスト120は、警告メッセージを表示し、ステップS513において、養殖業者は、ユーザオペレーションソフトウェアにより制御命令を実行し、高性能養殖ノード110のさまざまな養殖機器を調整しかつ制御する。
【0065】
次に、ステップS515において、環境学習モジュール170は、ステップS513で実行された調整および制御を記録し、次にステップS503を実行する。
【0066】
上述のごとく、本実施形態では、端末ホスト120を介して高性能養殖ノード110を設定した後は、高性能養殖ノード110が水槽182における養殖水の品質を監視・制御してよい。続いて、養殖業者は、水槽182内の養殖水の品質を手動で微調整してもよく、その一方で、環境学習モジュール170は、微調整された調整プロセスを記録し、続いて、同様の条件になったときに記録された調整プロセスを用いて高性能養殖ノード110を設定してよい。
[第2の実施形態]
【0067】
図7は、本発明の第2の実施形態における養殖水の品質を監視・制御するシステムを示す。本実施形態では、水質監視・制御システム700の高性能養殖ノード701から706は、大型の養殖池と、複数の水槽(すなわち第1の水槽、第2の水槽、および、第3の水槽)とを有する養殖環境に設置される。水質監視・制御システム700は、養殖池および水槽の水質情報を検知し、当該検知された水質情報に従い、大型養殖池と、第1、第2、および、第3の水槽とに対応する制御動作を適切に実行する。
【0068】
図7を参照すると、水質監視・制御システム700は、高性能養殖ノード701から706、端末ホスト720、および、養殖ゲートウェイ730を含む。
【0069】
高性能養殖ノード701から706、端末ホスト720、および、養殖ゲートウェイ730は、第1の実施形態における高性能養殖ノード110、端末ホスト120、および、養殖ゲートウェイ130のすべての機能を有し、それらの機能の説明は、省く。以下、本実施形態、および、第1の実施形態における同様の要素における相違のみ説明する。
【0070】
本実施形態では、端末ホスト720のユーザオペレーションインターフェースは、高性能養殖ノード701から706をグループ化する機能を提供する。つまり、端末ホスト720は、高性能養殖ノードをグループ単位で同時に設定し、制御できる。
【0071】
本発明の一実施形態において、上記グループ化機能を実現すべく、養殖ゲートウェイ730は、データ中継ユニット730aの他にグループ決定ユニット730bをさらに有する。グループ決定ユニット730bは、端末ホスト720から受信した制御命令に従い、当該グループ決定ユニット730bに接続されている高性能養殖ノードをグループ化する。具体的には、端末ホスト720は、養殖ゲートウェイ730を制御して高性能養殖ノードを異なる養殖グループにまとめ、同じ養殖グループ内の高性能養殖ノードにより検知された水質情報に従い、同じ養殖グループ内の高性能養殖ノードを同時に制御することにより、対応する養殖機器を起動させる。
【0072】
例えば、本実施形態では、高性能養殖ノード701から703は、大型養殖池を監視・制御するのに用いられる。本実施形態では、養殖池の養殖水は還流しているので、高性能養殖ノード701から703は、第1の養殖グループ7001として設定され、端末ホスト720は、第1の養殖グループ7001におけるすべての高性能養殖ノードの養殖機器を同時に制御できる。
【0073】
また、高性能養殖ノード704から706は、第1の水槽、第2の水槽、および、第3の水槽にそれぞれ配置されてよいが、特定の理由がある場合は、第1の水槽、第2の水槽、第3の水槽の特定の環境パラメータは同時に調整される必要がある(例えば、寒流が来て第1の水槽、第2の水槽、および、第3の水槽の水温を同時に上昇させなければならない場合)。このように、高性能養殖ノード704から706は、第2の養殖グループ7002として設定され、端末ホスト720は、第2の養殖グループ7002におけるすべての高性能養殖ノードを同時に制御できる。
【0074】
図8は、本発明の第2の実施形態における養殖グループの設定方法を示すフローチャートである。
【0075】
図8を参照すると、ステップ801において、養殖業者は、端末ホスト720のユーザオペレーションソフトウェアで実行されるグループ化方法を選択する。本実施形態では、高性能養殖ノードをグループ化する方法、第1のグループ化方法(すなわち、単一の養殖池で複数の高性能養殖ノードをグループ化する方法)と、第2のグループ化方法(すなわち、複数の高性能養殖ノードに属する特定の環境パラメータをグループ化する方法)とを含む。論理上は、第1のグループ化方法および第2のグループ化方法における後続の設定ステップは同じであり、2つの方法における唯一の相違点は、第1のグループ化方法により監視・制御される養殖水は、互いに関連する(同じ養殖池に属している)ので、端末ホスト720は、特別な機構によって同じ養殖池内の高性能養殖ノードを制御する。第2のグループ化方法に関しては、端末ホスト720は、すべての高性能養殖ノードを設定する制御命令を発するだけである。
【0076】
その後、ステップS803(またはS813)において、養殖業者は、同じ養殖グループにまとめられる高性能養殖ノードの識別子を選択する。次に、ステップS805(またはS815)において、養殖業者は、検知されるべき水質情報を選択する(例えば、水温および酸素溶解量)。その後、ステップS807(またはS817)において、養殖業者は、予想される環境パラメータを入力する。その後、ステップS809(またはS819において)、養殖ゲートウェイ730は、端末ホスト720の制御命令に従い、養殖グループの識別子を送信し、ステップS811(またはS821)において、検知されるべき水質情報を送信する。
【0077】
図7を再び参照すると、本実施形態では、高性能養殖ノード701から706は、制御ネットワーク752(例えば制御領域ネットワーク)を介して養殖ゲートウェイ730に接続され、端末ホスト720は、通信ネットワーク754を介して養殖ゲートウェイ730に接続されている。このように、本実施形態では、端末ホスト720は、通信ネットワークと養殖ゲートウェイ730との中継により、制御ネットワーク752を介して接続された高性能養殖ノード701から706を遠隔制御する。本発明の一実施形態では、通信ネットワーク754は、IP通信ネットワークであるが、IP通信ネットワーク以外のネットワークも本発明に適用されうる。
【0078】
図9Aは、養殖水の品質を監視・制御する方法を示し、高性能養殖ノードは、第1のグループ化方法によりグループ化している。
【0079】
図9Aを参照すると、ステップS901において、端末ホスト720は、養殖ゲートウェイ730を介し、高性能養殖ノード701から703の複数の環境パラメータを養殖グループ単位で遠隔設定する。次に、ステップS903において、高性能養殖ノード701から703のそれぞれを用いて、各領域における養殖水の水質情報が検知され、養殖ゲートウェイ730を介して端末ホスト720に送られる。
【0080】
次に、ステップS905において、端末ホスト720は、高性能養殖ノード701から703により検知された現在の水質情報を、養殖ユニット全体(すなわち大型の養殖池)に関連する水質情報に変換する。その後、ステップS907において、端末ホスト720は、大規模養殖池の現在の水質情報と、予め設定された環境パラメータとを比較する。端末ホスト720は、ステップS907において、現在の水質情報が予め設定された環境パラメータと一致しないと決定した場合、ステップS909において、各高性能養殖ノード701から703の制御方法を算定し、ステップ911において、対応する養殖機器を用いて水質を調整するよう、養殖ゲートウェイ730を介して高性能養殖ノード701から703を制御する。ステップS907において、現在の水質情報が予め設定された環境パラメータと一致する場合、端末ホスト720は、何もせず、一定時間の後にステップS903が再び実行されて、監視・制御タスクを継続する。
【0081】
また、ステップS901において、養殖業者は、環境パラメータを設定する以外に、水質情報のプロンプト設定をさらに設定してよい。例えば、温度が期待値を上回る場合、混濁度が期待値を上回る場合、化合物の濃度が期待値を上回る場合、または、特定の要素の成分が低すぎる場合、高性能養殖ノード701から703は、その情報を端末ホスト720に送り、養殖業者を促す。このように、ステップS913では、端末ホスト720は、水質情報に従い、養殖業者に対して警告メッセージを表示するかどうかを決定する。
【0082】
ステップS913において、養殖業者を催促しないと決定された場合、ステップS903が実行される。ステップS913において養殖業者が催促される場合、ステップS915において、端末ホスト720は、警告メッセージを表示し、ステップS917において、養殖業者は、ユーザオペレーションソフトウェアにより制御命令を実行し、高性能養殖ノード701から703のさまざまな養殖機器を制御し、その後、ステップS903が実行される。
【0083】
第1の実施形態と同様に、本発明の他の実施形態では、水質監視・制御システム700は、ステップS917で実行される調整プロセスを記録する環境学習モジュールをさらに有することにより、以降同様の状況になった場合、端末ホスト720は、記録された調整プロセスに従い、高性能養殖ノード701から703を設定できる。
【0084】
図9Bは、養殖水の品質を監視・制御する方法を示し、高性能養殖ノードは、第2のグループ化方法によりグループ化されている。
【0085】
図9Bを参照すると、ステップS921において、端末ホスト720は、養殖ゲートウェイ730を介し、高性能養殖ノード704から706の特定の環境パラメータ(例えば水温)を養殖グループ単位で遠隔ロードする。ステップS923において、特定の環境パラメータに対応するアクチュエータは、養殖ゲートウェイ730を介し、同時に起動または停止する。
【0086】
その後、ステップS925において、高性能養殖ノード704から706のそれぞれを用いて、それぞれの水槽における養殖水の水質情報が検知され、養殖ゲートウェイ730を介して端末ホスト720に送られる。ステップS927において、端末ホスト720は、高性能養殖ノード704から706のそれぞれによって検知された水質情報と、対応する特定の環境パラメータとをそれぞれ比較する。
【0087】
その後、端末ホスト720は、ステップS929において、高性能養殖ノード704から706のそれぞれについての制御方法を算定し、ステップS931において、養殖ゲートウェイ730を介し、特定の環境パラメータに対応するアクチュエータを同時に起動させ、その後、ステップS923が実行されて監視・制御タスクが継続される。
【0088】
上述のごとく、本発明で提供される水質監視・制御システムでは、検知されるべき水質情報がグループ単位で遠隔設定されるよう、一体型水質アナライザ、および、養殖ゲートウェイを有する高性能養殖ノードが採用される。また、本発明で提供される水質監視・制御システムでは、水質試薬および光デバイスを用い、養殖水の品質を自動的に分析できるよう、自動光アナライザが採用される。特に、大型養殖ユニットに関しては、高性能養殖ノードをグループ単位で監視・制御することにより、時間およびマンパワーの両方を著しく削減でき、科学的でリアルタイムな管理が実現できる。
【0089】
また、本発明で提供される水質監視・制御システムでは、養殖業者によって作成される調整プロセスが記録され、以降、同様の養殖環境において用いられるよう、環境学習モジュールがさらに採用される。例えば、養殖者は、水を替えたばかりのフロートガラス製の水槽内での養殖水のpH値は、7.2であることを発見する。この時点で、高性能養殖ノードが自動的に二酸化炭素を自動的に提供しても、養殖業者は、二酸化炭素の濃度が高くなりすぎてフロートグラスに影響を及ぼすのは望まないが、同時に、pH値を予想される範囲内に下げたい場合、端末ホストを介して命令を手動で発行し、軟水器を起動させることができる。軟水器の働きにより、二酸化炭素の供給、および、pH値は、またたく間に理想値になる。環境学習モジュールは、上記手動動作を記録として残すことにより、記録ファイルは、後に同様の状況になったときにすぐ用いられることができるか、あるいは、pH値を制御する方法に対して更新されることができる。環境学習モジュールを採用することにより、システム管理の効率が向上し、調整プロセスの記録によって他の養殖業者の参照を可能にする。
【0090】
さらに、本発明で提供される水質監視・制御システムは、採用される養殖ノードが単数か複数かに関わらず、適用されうる。例えば、養殖業者が試験水槽の中で一種類の魚を飼育して生産性または魚の色を向上させようとする際に、試験水槽内の養殖条件が理想的な状態に達した場合、試験水槽における高性能養殖ノードの調整プロセスは、養殖ゲートウェイを介し、他の実験タンクの間でも共有される。また、調整プロセスは、養殖の経験から得た知識として他の養殖業者と情報交換されることができるか、または、水質監視・制御システムに追加される値として役立ちうる。これによって、水産養殖について何も知識がないか、または、養殖環境を管理する時間のないユーザであっても、製造業者により提供される設定ファイルを用いて養殖作業を実行することができる。さらに、上記水質監視・制御システムは、IPネットワークを介し、ユーザ宅に設置された水槽を製造業者が直接管理することも可能にする。
【0091】
本発明の範囲または趣旨に逸脱せずに、本発明の構造にさまざまな修正および変更がなされうることが当業者には明らかであろう。上記に鑑み、以下の請求項およびそれらの均等物の範囲に納まる限りにおいて、本発明は、本発明の修正および変更を含むことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
養殖水の品質を監視・制御するシステムであって
複数の高性能養殖ノードであって、それぞれが、
養殖機器に接続され、
環境パラメータを設定する水質パラメータレギュレータと、
前記水質パラメータレギュレータに電気的に接続され、前記養殖水の水質情報を検知する一体型水質アナライザと、
前記水質パラメータレギュレータに電気的に接続され、前記養殖機器を起動させるアクチュエータと、を含む複数の高性能養殖ノードと、
前記複数の高性能養殖ノードの前記環境パラメータを設定させる制御命令を発する端末ホストと、
前記複数の高性能養殖ノードと、前記端末ホストとの間に接続され、前記水質情報および前記制御命令を中継する養殖ゲートウェイと、
を備え、
前記端末ホストは、前記複数の高性能養殖ノードの少なくとも一部を一の養殖グループにまとめるよう前記養殖ゲートウェイを制御し、前記養殖グループ内の前記複数の高性能養殖ノードにより収集された前記水質情報に従い、前記養殖機器を起動させるよう、前記養殖グループ内の前記複数の高性能養殖ノードを同時に制御する、システム。
【請求項2】
前記環境パラメータを設定する調整プロセスを記録する環境学習モジュールをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記養殖ゲートウェイと前記端末ホストとを接続する通信ネットワークと、
前記複数の高性能養殖ノードと前記養殖ゲートウェイとを接続する制御ネットワークと、
をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記養殖ゲートウェイは、
前記通信ネットワークと前記制御ネットワークとの間でデータを中継するデータ中継ユニットと、
前記端末ホストから受信された前記制御命令に従い、前記複数の高性能養殖ノードを前記養殖グループにまとめ、前記養殖グループ内の前記複数の高性能養殖ノードを同時に制御するグループ決定ユニットと、
を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記一体型水質アナライザは、前記養殖水の前記水質情報を検知する少なくともとも1つのセンサを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記一体型水質アナライザは、自動光水質アナライザを含み、前記自動光水質アナライザは、
水質分析コントローラと、
前記水質分析コントローラに電気的に接続され、抽水パイプラインを介して前記養殖水を抽出する抽水構造と、
前記水質分析コントローラに電気的に接続され、水パイプラインを介して前記抽水構造から前記養殖水を取得し、前記養殖水を少なくとも1つの試験容器に注入する検水ガイド構造と、
前記水質分析コントローラに電気的に接続され、少なくとも1つの水質試薬を有する試薬ガイド構造と、
前記水質分析コントローラに電気的に接続され、前記試験容器内の前記養殖水を分析することにより、前記水質情報を取得する光分析デバイスと、
を有し、
前記試薬ガイド構造は、前記少なくとも1つの水質試薬を前記少なくとも1つの試験容器に注入する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記水質パラメータレギュレータのそれぞれは、
前記水質情報を分類するパラメータ決定ユニットと、
前記パラメータ決定ユニットに結合され、対応する前記アクチュエータを制御する水質管理ユニットと、
を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記環境学習モジュールは、
前記調整プロセスを記録するパラメータ記録ユニットと、
前記パラメータ記録ユニットに結合され、前記調整プロセスに従い、前記複数の高性能養殖ノードの前記環境パラメータを設定する自動調整ユニットと、
を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記環境パラメータは、養殖ユニットの水量、酸素溶解量、二酸化炭素濃度、pH値、照明パターン、餌の量、および、温度範囲からなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記端末ホストは、前記水質情報に従い、濃度プロンプト、化合物プロンプト、または、元素量プロンプトを表示するプロンプトユニットを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記養殖機器は、ランプ、二酸化炭素を制御する電磁弁、加熱バー、自動フィーダ、空気ポンプ、または、冷水器の少なくとも1つからなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記水質試薬は、窒素化合物試薬、または、溶解酸素試薬を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのセンサは、pHセンサおよび温度センサの少なくとも1つを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項14】
養殖水の品質を監視・制御するシステムに適した、養殖水の品質を管理制御する方法であって、前記システムは、端末ホストと、複数の高性能養殖ノードと、養殖ゲートウェイと、を有し、前記複数の高性能養殖ノードのそれぞれは、養殖機器に接続され、前記方法は、
前記端末ホストを用い、前記養殖ゲートウェイを介して前記複数の高性能養殖ノードの複数の環境パラメータを遠隔設定する段階と、
前記複数の高性能養殖ノードのそれぞれを用い、水質情報を検知する段階と、
前記複数の高性能養殖ノードの少なくとも一部を、一の養殖グループにまとめるよう前記養殖ゲートウェイを制御し、前記端末ホストを用いて、前記養殖機器を起動させるよう、前記養殖グループ内の前記複数の高性能養殖ノードにより収集された前記水質情報に従い、前記養殖グループ内の前記複数の高性能養殖ノードを同時に制御する段階と、
を備える、方法。
【請求項15】
前記システムの環境学習モジュールを用い、前記環境パラメータを設定する調整プロセスを記録する段階をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
養殖水の品質を監視・制御するシステムであって、
複数の養殖機器にそれぞれ接続される複数のアクチュエータと、
前記複数のアクチュエータに電気的に接続され、前記複数のアクチュエータに対応する複数の環境パラメータを有する水質パラメータレギュレータと、
前記水質パラメータレギュレータに電気的に接続され、前記養殖水の水質情報を検知する一体型水質アナライザと、
前記環境パラメータを設定させる制御命令を発する端末ホストと、
前記水質パラメータレギュレータと前記端末ホストとの間に接続され、前記制御命令を中継する養殖ゲートウェイと、
を備え、
前記水質パラメータレギュレータは、前記水質情報および前記環境パラメータに従い、前記アクチュエータを作動させて前記養殖機器を起動する、
システム。
【請求項17】
前記一体型水質アナライザは、前記水質パラメータレギュレータに電気的に接続され、前記養殖水の前記水質情報を検知する少なくとも1つのセンサを有する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記一体型水質アナライザは、前記水質パラメータレギュレータに電気的に接続される自動光水質アナライザを含み、前記自動光水質アナライザは、
水質分析コントローラと、
前記水質分析コントローラに電気的に接続され、抽水パイプラインを介して前記養殖水を抽出する抽水構造と、
前記水質分析コントローラに電気的に接続され、水パイプラインを介して前記抽水構造から前記養殖水を取得し、前記養殖水を少なくとも1つの試験容器に注入する検水ガイド構造と、
前記水質分析コントローラに電気的に接続され、少なくとも1つの水質試薬を有する試薬ガイド構造と、
前記水質分析コントローラに電気的に接続され、前記試験容器内の前記養殖水を分析することにより、前記水質情報を取得する光分析デバイスと、
を有し、
前記試薬ガイド構造は、前記少なくとも1つの水質試薬を前記少なくとも1つの試験容器に注入する、
請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記環境パラメータは、養殖ユニットの水量、酸素溶解量、二酸化炭素濃度、pH値、照明パターン、餌の量、温度範囲、および、アクチュエータ起動時間からなる群から選択される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記養殖機器は、ランプ、二酸化炭素を制御する電磁弁、加熱バー、自動フィーダ、空気ポンプ、および、冷水器の少なくとも1つからなる群から選択される、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの水質試薬は、窒素化合物試薬、または、溶解酸素試薬の少なくとも1つを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記少なくとも1つのセンサは、pHセンサ、または、温度センサの少なくとも1つを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
養殖水の品質を監視・制御する、請求項16に記載のシステムに適した方法であって、
前記水質パラメータレギュレータの前記環境パラメータを設定する段階と、
前記一体型水質アナライザによって、前記水質情報を取得する段階と、
前記水質情報と、前記環境パラメータとを比較して比較結果を得る段階と、
前記比較結果に従い、前記アクチュエータを作動させて前記養殖機器を起動するかどうかを決定する段階と、
を備える、方法。
【請求項24】
一体型水質アナライザであって、
水質分析コントローラと、
前記水質分析コントローラに電気的に接続され、抽水パイプラインを介して検水を抽出する抽水構造と、
前記水質分析コントローラに電気的に接続され、水パイプラインを介して前記抽水構造から前記検水を取得し、前記検水を少なくとも1つの試験容器に注入する検水ガイド構造と、
前記水質分析コントローラに電気的に接続され、少なくとも1つの水質試薬を有する試薬ガイド構造と、
前記水質分析コントローラに電気的に接続され、前記試験容器内の前記検水を分析することにより、水質情報を取得する光分析デバイスと、
を有し、
前記試薬ガイド構造は、前記少なくとも1つの水質試薬を前記少なくとも1つの試験容器に注入する、一体型水質アナライザ。
【請求項25】
前記検水を検知する少なくとも1つのセンサをさらに備える、請求項24に記載の一体型水質アナライザ。
【請求項26】
前記少なくとも1つの試験容器を載置するターンテーブルをさらに備える、請求項24に記載の一体型水質アナライザ。
【請求項27】
前記少なくとも1つの水質試薬は、窒素化合物試薬、または、溶解酸素試薬の少なくとも1つを含む、請求項24に記載の一体型水質アナライザ。
【請求項28】
前記少なくとも1つのセンサは、pHセンサ、および、温度センサの少なくとも1つを含む、請求項24に記載の一体型水質アナライザ。
【請求項29】
請求項24に記載の一体型水質アナライザに適した水質分析方法であって、
前記水質分析コントローラを用い、前記抽水パイプラインを介して検水を取得するよう前記抽水構造を制御する段階と、
前記抽水構造を用い、前記検水を前記少なくとも1つの試験容器に注入する段階と、
前記試薬ガイド構造を用い、前記少なくとも1つの水質試薬を対応する前記試験容器に自動的に注入する段階と、
前記光分析デバイスを用い、前記試験容器における前記検水を分析することにより、前記検水の水質情報を生成する段階と、
を備える、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2010−94121(P2010−94121A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−2628(P2009−2628)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】