説明

養殖魚介類用飼料

【課題】本発明は、ビワ茶製造の工程において生じる、ビワ葉粉末、茎、綿毛等の副産物について、有効利用を図ることを課題とする。
【解決手段】ビワ茶製造の工程において生じる、ビワ葉粉末、茎、綿毛等の副産物は、養殖魚介類用の飼料として用いることにより、養殖魚介類の免疫性を高め、内臓等を丈夫にでき、更には飼育期間を短縮できる等の効果を奏することができ、その結果として低コスト化、価格の安定化、耐病性の強化、病死等のリスクの軽減が図られることを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビワ茶、特にねじめビワ茶の副産物を利用した養殖魚介類用飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミン、ミネラル等の成分により保健効果・健康効果をもたらす健康茶には、種々のものがあるが、その内ビワ茶は、健康維持増進や病気療法に古くから利用されており、漢方に配合される薬としても用いられている。
【0003】
ビワ葉に関しては、本出願人はこれを利用して抗高脂血症作用、高血糖降下作用及び抗作用を見出し、これらの作用を有する飲食品あるいは医薬品の特許出願を行っている(特願2007−524050号、特許文献1)。
【0004】
しかしながら、ビワ茶製造の工程において生じる、ビワ葉粉末、茎、綿毛等の副産物については、利用されることなく廃棄されているのが現状である。
【0005】
【特許文献1】特願2007−524050号
【特許文献2】特許第3452351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ビワ茶製造の工程において生じる、ビワ葉粉末、茎、綿毛等の副産物について、有効利用を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意努力した結果、ビワ茶製造の工程において生じる、ビワ葉粉末、茎、綿毛等の副産物は、養殖魚介類用の飼料として用いることにより、養殖魚介類の免疫性を高め、内臓等を丈夫にでき、更には飼育期間を短縮できる等の効果を奏することができ、その結果として低コスト化、価格の安定化、耐病性の強化、病死等のリスクの軽減が図られることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は
(1)ビワ茶製造時に生じる副産物を含有することを特徴とする養殖魚介類用飼料、
(2)ビワ茶製造時に生じる副産物が、ビワの葉の粉末、ビワの茎の粉末、ビワの綿毛、ビワの種子粉末又はビワ炭の粉末のいずれか1以上であることを特徴とする(1)記載の養殖魚介類用飼料、
(3)ビワ茶が、ねじめビワ茶であることを特徴とする(1)又は(2)記載の養殖魚介類用飼料
に関する。
【0009】
ビワ茶の製造方法は、本出願人の特許(特許第3452351号、特許文献2)にも記載してあるが、摘み取ったビワの葉を洗って汚れや農薬を除いた後、水気を切り、乾燥させ、その後使いやすい大きさに刻み、刻んだビワの葉をお湯に入れることからなる。
【0010】
本発明においてビワ茶は、いずれのビワ茶でもよいが特にねじめビワ茶(商品名)が好ましい。ねじめビワ茶は、上記の特許文献2にその製法及び効能が記載されているが、特徴的な点は、剪断後に天日乾燥させたビワの葉を、トルマリン石による高温加熱により焙煎することにあり、本出願人において市販している。
【0011】
なお、トルマリン球を利用することにより、ビワの葉に含まれる健康に寄与する有効成分を引き出し、旨味成分も引き出すことができる。
【0012】
上記本出願人の特許では、ビワ茶の雑味やえぐみを取り除くために、ブラッシング装置と水流発生装置を備えた洗浄・綿毛除去水槽により、ビワの葉裏面の綿毛を削ぎ落としている。
【0013】
上記のようなビワ茶にとって不必要な綿毛、茎、種子粉末あるいはビワの葉の粉末、ビワ炭の粉末等の副産物には、カリウム、カルシウム、亜鉛、鉄、マグネシウム等の有用なミネラルが含まれており、またビワの種子にはアミグダリンという青酸配糖体が含まれている。
【0014】
カリウムは、細胞内の水分を一定に保ち、心臓や筋肉の機能を調節する働きがあり、カルシウムは歯、骨の生育、亜鉛は生体内での血流増加、鉄は赤血球の増加、マグネシウムは血圧の正常化に役立つものである。
【0015】
また、アミグダリンは、希酸で加水分解してグルコースとマンデル酸にしてから混合するが、グルコースはエネルギー源として作用し、マンデル酸は防腐剤として作用する。
【0016】
ビワ茶の副産物、例えばビワの葉の粉末には、ビワ葉粉末18mg中にカリウム983ppm、カルシウム114ppm、マグネシウム52.11ppm、亜鉛0.38ppmそして鉄が0.37ppm含まれている。
【0017】
本発明における養殖魚介類とは、淡水魚のコイ、アユを初め、ブリ、マダイ、カンパチ、ヒラメ、トラフグ等の養殖魚類、クルマエビ等の養殖甲殻類、アワビ等の貝類、観賞用の魚介類等、餌飼料を給餌して管理飼育されている全ての動物に適用できる。
【0018】
また、本発明は、ドライペレットのような固形状乾燥飼料、クランブル状乾燥飼料、膨化タイプ飼料、顆粒状乾燥飼料、粉末状乾燥飼料、モイストペレット、ペースト状飼料等、各種のタイプの飼料において有効である。
【0019】
本発明により、ビワ茶製造の工程において生じる、ビワの葉の粉末、茎、綿毛等の副産物を有効利用でき、養殖魚介類に給餌することにより免疫性を高め、内臓等を丈夫にでき、更には飼育期間を短縮できる等の効果を奏することができ、その結果として低コスト化、価格の安定化、耐病性の強化、病死等のリスクの軽減が図られる。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、養殖魚介類の発育、すなわち免疫性を高め、内臓等を丈夫にできる等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明をより具体的に説明するために実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
本発明の飼料の配合例を以下に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
表1から分かるように、ねじめビワの葉の粉末29%、ねじめビワの茎の粉末18%、ビワの綿毛2%、ビワの種子の粉末2%、ビワ炭の粉末2%と、ビワ茶の副産物だけで合計53%となり、飼料成分の半分以上が従来利用されていなかった部分の有効活用となっている。すなわち、飼料の価格も極めて低廉に抑えることができる。
【0025】
ちなみに、飼料中のビワ茶の副産物の配合割合は、40%〜55%が好ましいが、特に
50%〜55%が最も好ましい。その内訳として、ビワの葉の粉末は20%〜30%、ビワの茎の粉末は15%〜20%、ビワの綿毛は1.5%〜2.5%、ビワの種子の粉末は1.0%〜2.0%、及びビワ炭の粉末は1.5%〜2.0%が好ましい。
【実施例2】
【0026】
淡水魚であるコイ科の魚種ハエを対象にして、市販の飼料、自社の従来飼料及び本発明の飼料(実施例1の配合)を給餌し1年6ヶ月経過後の体長、横幅、縦幅、体重の増加量を比較した。その結果を表2に示す。
【0027】
【表2】

【0028】
この結果をグラフで表示したものが、図1、図2、図3、図4である。表2及び図1、図2、図3及び図4を見ると、本発明の飼料をハエに給餌することによって、体長、横幅、縦幅及び体重のいずれも、従来の餌を給餌することに比べて、大幅に増加していることが分かる。
【0029】
特に、体長と体重はそれぞれ14%増、29%増となっており、市販の飼料の場合それぞれ2%増、8%増、あるいは自社の既飼料の場合1%増、9%増と比べて、格段の増加であると言える。
なお、市販の飼料にも自社の既飼料(従来飼料)にも、ビワ茶の副産物は含まれていない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】給餌1年6ヶ月の体長の推移を示す図。
【図2】給餌1年6ヶ月の横幅の推移を示す図。
【図3】給餌1年6ヶ月の縦幅の推移を示す図。
【図4】給餌1年6ヶ月の体重の推移を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビワ茶製造時に生じる副産物を含有することを特徴とする養殖魚介類用飼料。
【請求項2】
ビワ茶製造時に生じる副産物が、ビワの葉の粉末、ビワの茎の粉末、ビワの綿毛、ビワの種子粉末又はビワ炭の粉末のいずれか1以上であることを特徴とする請求項1記載の養殖魚介類用飼料。
【請求項3】
ビワ茶が、ねじめビワ茶(商品名)であることを特徴とする請求項1又は2記載の養殖魚介類用飼料。






































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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