説明

養液供給装置

【課題】養液の成分量を測定するセンサが故障しても、植物の生長に支障を与えず、損害の発生を防止することができる養液供給装置を提供する。
【解決手段】養液供給装置10は、希釈混合槽14にて植物への養液のpHを測定する第1のpHセンサ32および第2のPHセンサ33と、第1のpHセンサ32に基づいて酸性養液を酸タンク13から希釈混合槽14へ供給する養液供給制御用コントローラ41と、第1,第2のpHセンサ32,32からの測定値の差の絶対値が所定範囲内か否かを判定し、所定範囲外であるときに酸性養液の供給を停止することを指示する供給停止信号を供給ポンプに出力する監視用コントローラとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物に養液を供給する養液供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水耕栽培では、水の供給と共に、養液の供給は植物の生長にとって重要である。植物へ供給する養液の成分量を間違えば、植物の生長を促進させるどころか枯らしてしまうおそれがある。養液の供給を正確に行うことができる技術が、例えば、特許文献1〜3に提案されている。
【0003】
特許文献1には、養液の供給管に、養液の一部が流れる分岐管を設け、この分岐管に流れる養液の成分量を検出手段により検出することで、検出手段による検出値を栽培床に供給される成分の濃度を正確に示すものとすることができる植物栽培工場の養液供給装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、養液の導電率、pH値、各種イオン濃度をセンサ部により測定し、優先順位に従って目標範囲に一致させるように制御する際に、優先順位下位の項目、例えばイオン濃度の制御中に、上位項目例えば導電率が目標範囲から逸脱した場合、イオン濃度の制御を停止して導電率を優先的に制御する養液栽培装置が記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、植物栽培に用いる養液中の導電率、pH値、各種イオン濃度をセンサ部により測定して、各値が所定範囲外であるときに、養液の成分の調整をする導電率制御手段、pH制御手段、イオン濃度制御手段を備えた養液栽培装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−316434号公報
【特許文献2】特開平6−209661号公報
【特許文献3】特開平7−227163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これらの従来の養液供給装置では、養液の成分量をセンサにより測定して、この測定値に基づいて養液の成分量を調整しているが、センサが故障することまでは考慮されていない。例えば、センサが故障して成分量が適性範囲外であるにもかかわらず適性範囲内となる測定値を出力したために養液の成分量が過多となったり、適性範囲内であるにもかかわらず適正範囲外となる測定値を出力したために養液の成分量が不足したりする。養液の成分量が過多となる場合には、植物が生長不良となったり、枯れたりして、大損害が発生するおそれがある。
【0008】
そこで本発明は、養液の成分量を測定するセンサが故障しても、植物の生長に支障を与えず、損害の発生を防止することができる養液供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の養液供給装置は、植物への養液の成分量を測定するそれぞれ独立した複数のセンサと、前記複数のセンサからの測定値が示す範囲が所定範囲内か否かを判定し、所定範囲外であるときに養液の供給を停止することを指示する供給停止信号を供給ポンプに出力するコントローラとを備えたことを特徴とする。
本発明の養液供給装置によれば、養液の成分量を測定するセンサをそれぞれに独立させて複数設けているため、1個のセンサが故障して適正範囲内となる測定値や適性範囲外となる測定値を出力しても、他のセンサが正常に動作していれば、他のセンサによる測定値との差が大きくなるので測定値が示す範囲が広くなる。従って、コントローラは、それぞれのセンサからの測定値が所定範囲内か否かを判定することで、センサが故障しているか否かを判定することができるので、供給ポンプによる養液の供給を停止することで、植物の生長に支障を与えてしまうことを防止することができる。
【0010】
前記コントローラは、前記供給停止信号を、酸性養液を植物に供給する供給ポンプのみへ出力するのが望ましい。植物に酸性養液が過多に供給されると、植物の生長に直接的に影響を与えてしまう。従って、コントローラが、供給停止信号を、酸性養液を植物に供給する供給ポンプのみへ出力することで、他の養液の供給を継続して植物の生長を促しつつ、植物の生長に支障を与える酸性養液の過多な供給を停止することができる。
【0011】
前記複数のセンサは、第1のセンサと第2のセンサとから構成され、前記コントローラは、前記第1のセンサからの測定値に基づいて供給ポンプへの養液の供給開始および停止、供給量の調整を行う養液供給制御用コントローラと、前記第1のセンサからの測定値と前記第2のセンサからの測定値との差が所定範囲を外れたときに前記供給ポンプの動作を停止する監視用コントローラとから構成されているのが望ましい。
前記コントローラを養液供給制御用コントローラと監視用コントローラとから構成することで、養液供給制御用コントローラを従来の養液供給装置として設置していれば、第1,2のセンサの故障を検出する監視用コントローラを追加することで、容易に養液供給装置の耐故障性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、センサの故障を検出して供給ポンプによる養液の供給を停止することができるので、植物の生長に支障を与えてしまうことを防止することができ、損害の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る養液供給装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示す養液供給装置の養液供給制御用コントローラの動作を説明するためのフローチャートであり、(A)は液肥濃度を調整する制御を説明するための図、(B)はpH調整剤の濃度を調整する制御を説明するための図である。
【図3】図1に示す養液供給装置の監視用コントローラの動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係る養液供給装置を図面に基づいて説明する。図1に示す養液供給装置10は、水耕栽培で用いられ、養液である肥料およびpH調整剤を調整して植物が育成される図示しない栽培槽へ供給するものである。なお、本実施の形態では、水耕栽培で育成される植物としてベビーリーフを例に説明する。
【0015】
養液供給装置10は、2種類の肥料がそれぞれ貯留される第1の肥料用タンク11および第2の肥料タンク12と、栽培槽を循環する養液がアルカリ性となりやすいためにpHを調整するためのpH調整剤である酸性養液が貯留される酸タンク13と、これらを混ぜ合わせて希釈するための希釈混合槽14とを備えている。
【0016】
第1の肥料用タンク11には、第1の肥料用タンク11の液肥を汲み上げ希釈混合槽14へ供給する第1の肥料用供給ポンプ21が設けられている。第2の肥料用タンク12には、第2の肥料用タンク12の液肥を汲み上げ希釈混合槽14へ供給する第2の肥料用供給ポンプ22が設けられている。酸タンク13には、酸タンク13の酸性養液を汲み上げ希釈混合槽14へ供給するpH調整剤用供給ポンプ23が設けられている。
【0017】
希釈混合槽14には、投入された液肥と酸性養液とを撹拌するための撹拌装置15が設けられている。また、希釈混合槽14には、液肥成分の濃度を示す導電率を測定するためのEC(Electric Conductivity)センサ31と、養液の成分量であるpHを測定するための第1のpHセンサ32および第2のpHセンサ33とがそれぞれ独立して設けられている。
【0018】
ECセンサ31と第1のpHセンサ32とは、養液供給制御用コントローラ41に接続されている。第2のpHセンサ33は、監視用コントローラ42に接続されている。また、第1のpHセンサ32は、養液供給制御用コントローラ41を経由して監視用コントローラ42にも通信線S1により接続されている。
【0019】
養液供給制御用コントローラ41は、ECセンサ31からの養液の導電率を示す測定値に基づいて第1の肥料用供給ポンプ21、第2の肥料用供給ポンプ22の始動・停止・供給量の調整を行うと共に、第1のpHセンサ32からの養液のpH値を示す測定値に基づいてpH調整剤用供給ポンプ23の始動・停止・供給量の調整を通信線S2を介して行う。
【0020】
監視用コントローラ42は、第1のpHセンサ32と第2のpHセンサ33とが測定したpH値に基づいて判定し、通信線S3を介してpH調整剤用供給ポンプ23の停止を示す供給停止信号を養液供給制御用コントローラ41へ通知したり、通信線S4を介してpH調整剤用供給ポンプ23へ供給停止信号を直接通知したりする。監視用コントローラ42には、異常を検知した場合に作業者へ報知するための警報用回転灯43が設けられている。なお、本実施の形態では、第1のpHセンサ32が測定した測定値は、養液供給制御用コントローラ41から通信線S1を介して監視用コントローラ42へ通知される。
【0021】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る養液供給装置の動作および使用状態を、図面に基づいて説明する。まず、養液供給制御用コントローラ41の制御方法について、図2に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0022】
図2(A)に示すフローチャートにより、養液供給制御用コントローラ41の液肥濃度の制御方法について説明する。養液供給制御用コントローラ41はECセンサ31から液肥濃度を示す測定値を読み取る(ステップS10)。養液供給制御用コントローラ41は測定値に基づいて液肥の濃度を判定する(ステップS20)。希釈混合槽14の液肥の濃度が高い場合には、養液供給制御用コントローラ41は第1,第2の肥料用供給ポンプ21,22に停止を指示する(ステップS30)。また、希釈混合槽14に水を供給して希釈する。液肥の濃度が低い場合には、養液供給制御用コントローラ41は第1,第2の肥料用供給ポンプ21,22に所定の供給量を指示して、濃度の増加を指示する(ステップS40)。
【0023】
次に、図2(B)に示すフローチャートにより、養液供給制御用コントローラ41のpH調整剤の濃度の制御方法について説明する。養液供給制御用コントローラ41は第1のpHセンサ32から養液のpH値を示す測定値を読み取る(ステップS50)。養液供給制御用コントローラ41は測定値に基づいて養液のpH値を判定する(ステップS60)。希釈混合槽14のpH値がアルカリ性または中性を示す場合には、養液供給制御用コントローラ41はpH調整剤用供給ポンプ23に、pH値に応じた酸性養液の供給量を調整して指示する(ステップS70)。液肥の濃度が酸性となる所定範囲を上回り高い場合には、養液供給制御用コントローラ41はpH調整剤用供給ポンプ23に停止を指示する(ステップS80)。例えば、養液供給制御用コントローラ41に、pH値が6.5となった段階で徐々に酸性養液の供給量を減少させ、pH値が6となると酸性養液の供給を停止するなどの設定をすることができる。
【0024】
以上のようにして養液供給制御用コントローラ41は、図2(A)に示す液肥濃度の調整と、図2(B)に示すpH調整剤の濃度の調整とを並行して行っている。このように、養液供給制御用コントローラ41は、図2(A)に示す制御と図2(B)に示す制御とを並列的に動作すること以外に、図2(A)に示す制御を優先的に行ってから図2(B)に示す制御を行うことも可能である。これは、図2(B)に示す制御にて酸性濃度を高めるために酸性養液を供給すると液肥濃度に影響を与え、液肥濃度が変動することがあるからである。従って、このような場合には、図2(A)に示す制御を先に行い液肥濃度を調整してから図2(A)に示す制御によりpH値を調整するように養液供給制御用コントローラ41に設定しておくことにより回避することができる。
【0025】
ここで、養液供給装置として、監視用コントローラ42が無く、養液供給制御用コントローラ41のみしか設置されておらず、従ってセンサも第1のpHセンサ32しか備えていない従来の養液供給装置の場合を説明する。
例えば、養液供給制御用コントローラ41に、pH値が6.5となった段階で徐々に酸性養液の供給量を減少させ、pH値が6となった段階でpH調整剤用供給ポンプ23を停止するように設定されていたとする。そして、第1のpHセンサ32が故障して、養液のpH値が実際は6であるにも関わらず測定値として8を測定したとする。
この場合、養液供給制御用コントローラ41は、pH値として2小さくなるように動作する。従って、養液供給制御用コントローラ41はpH調整剤用供給ポンプ23を始動させ、酸タンク13から酸性養液を希釈混合槽14へ供給し続ける。
その結果、希釈混合槽13のpH値は故障した第1のpHセンサ32で6であっても実際のpH値は4となってしまう。また、第1のpHセンサ32の故障モードによっては4より更に下回ることもある。
養液のpH値が4となる酸性であれば、ベビーリーフは短時間に枯れるなどして商品として出荷できない事態となる。
【0026】
本実施の形態に係る養液供給装置10は、前述したように、養液供給制御用コントローラ41だけでなく、第2のpHセンサ33から測定されたpH値により監視する監視用コントローラ42を備えている。この監視用コントローラ42の動作について、図3に基づいて説明する。
【0027】
監視用コントローラ42は、図3に示すように、まず、第1のpHセンサ32からの測定値を第1pH値として読み取る(ステップS110)。次に、監視用コントローラ42は、第2のpHセンサ33からの測定値を第2pH値として読み取る(ステップS120)。次に、監視用コントローラ42は、第1pH値と第2pH値との差の絶対値を演算する(ステップS130)。次に、監視用コントローラ42は、ステップS130にて演算した結果が所定値以下であるか否かを判定することで、第1pH値と第2pH値とが所定範囲内に入っているか否かを判定する(ステップS140)。
【0028】
監視用コントローラ42は、演算した結果が所定値未満である場合には第1のpHセンサ32と第2のpHセンサ33とが正常に動作しているものとして、1回の監視動作を終了する。演算した結果が所定値以上である場合には、監視用コントローラ42は、pH調整剤用供給ポンプ23を停止するよう養液供給制御用コントローラ41へ通知すると共に、pH調整剤用供給ポンプ23へも直接停止を通知する(ステップS150)。監視用コントローラ42の通知は、直接、pH調整剤用供給ポンプ23へ出力するだけでもよいが、念のために、養液供給制御用コントローラ41へ通知することで、養液供給制御用コントローラ41からもpH調整剤用供給ポンプ23へ停止が出力されるので、確実にpH調整剤用供給ポンプ23を停止させることができる。
【0029】
例えば、第1のpHセンサ32および第2のpHセンサ33として設置されたセンサの測定誤差がpH値で0.2であれば、第1のpHセンサ32と第2のpHセンサ33との間で最大0.4の誤差が生じる。この誤差を加味して、第1pH値と第2pH値との差の絶対値が1以上の範囲を外れた場合に、pH調整剤用供給ポンプ23を停止するようにすることができる。
【0030】
例えば、養液供給制御用コントローラ41にpH値が6となった段階でpH調整剤用供給ポンプ23を停止するように設定されているとする。第1のpHセンサ32が故障し、7より大きい値の中性またはアルカリ性を示している場合に、正常に動作している第2のpHセンサ33が6を示していれば、第1のpHセンサ32と第2のpHセンサ33との間で1以上の差が生じる。従って、第1のpHセンサ32または第2のpHセンサ33のいずれかが故障しても、pH調整剤用供給ポンプ23を停止することで、希釈混合槽14内の養液のpH値が6以下とならないようにすることができるので、植物の生長に支障を与えてしまうことを防止することができる。よって、養液供給装置10は損害の発生を防止することができる。
【0031】
また、第1のpHセンサ32と第2のpHセンサ33とが、それぞれアルカリ性や中性を示していても、pH値の差が1以上であるときは、測定誤差の範囲を大きく超えて測定していることになるため、監視用コントローラ42が異常を検出することで、第1のpHセンサ32と第2のpHセンサ33とのいずれか一方が故障していることを検出することができる。また、場合によっては、第1のpHセンサ32と第2のpHセンサ33との両方が故障していることが検出できる。
【0032】
監視用コントローラ42は、pH調整剤用供給ポンプ23へ停止を通知すると、報知手段である警報用回転灯43を点灯させる(ステップS160)。また、ブザーなどにより音による報知を行う。警報用回転灯43からの警報により作業者は異常を知ることができる。
【0033】
なお、本実施の形態では、コントローラを養液供給制御用コントローラ41と監視用コントローラ42とで、別々に構成しているが、1台のコントローラとしてもよい。しかし、養液供給制御用コントローラ41を従来の養液供給装置として設置していれば、第1,2のpHセンサ32,33の故障を検出する監視用コントローラ42を追加することで、容易に養液供給装置10の耐故障性を向上させることができるので、コントローラを養液供給制御用コントローラ41と監視用コントローラ42とから構成するのが望ましい。
【0034】
また、第1のpHセンサ32と第2のpHセンサ33とからのいずれかの測定値が所定値以下となる酸性を示すときにpH調整剤用供給ポンプ23を停止させる機能を、監視用コントローラ42に設けることもできる。そうすることで、養液供給制御用コントローラ41だけでなく、監視用コントローラ42でもpH値の監視ができるので、養液供給制御用コントローラ41が故障して第1のpHセンサ32からの測定値がアルカリ性を示しているにもかかわらず養液供給制御用コントローラ41が酸性養液を供給しようとしている場合でも、監視用コントローラ42がその供給を停止させることができる。
【0035】
また、第1のpHセンサ32からの測定値は、養液供給制御用コントローラ41から通信線S1を介して監視用コントローラ42へ通知されているが、第1のpHセンサ32から監視用コントローラ42へ直接通知するようにしてもよい。
【0036】
また、本実施の形態では、植物への養液の成分量を測定する独立した複数のセンサとして第1のpHセンサ32および第2のpHセンサ33の2台を、pHの測定のために設けているが、測定箇所に応じて3台以上とすることができる。3台以上のセンサを設けるときには、全部の測定値が示す範囲が所定範囲内であれば全部のセンサが正常であると判定できる。例えば、全部の測定値が示す範囲がpH値で1以内であれば正常と判定することができる。また、測定値が示す範囲が所定範囲を外れるセンサは故障していると判定することができる。
【0037】
また、複数設けるセンサをpH以外の養分の成分量を測定するセンサとしてもよい。例えば、肥料の濃度を測定するセンサを複数設け監視することができる。
【0038】
ベビーリーフを水耕栽培する場合では、栽培槽との間で循環する希釈混合槽14の養液がアルカリ性になりやすいので、pH調整剤として酸タンク13に貯留される酸性養液しか備えていないため、コントローラは酸性養液の供給のみを制御し、センサの異常時には酸性養液の供給を停止していた。例えば、酸性養液とアルカリ性養液との供給を行う植物である場合には、アルカリ性養液を植物に過多に供給したとしても、植物の生長に著しい影響をすぐには与えないので、コントローラは酸性養液を供給する供給ポンプのみを停止することで、監視対象となるセンサを余計に設ける必要はなく、植物の生長に支障を与える酸性養液の過多な供給を停止することができる。
【0039】
更に、本実施の形態では希釈混合槽14に2台のセンサ(第1のpHセンサ32,第2のpHセンサ33)を設置しているが、栽培槽へ養液を液送する前に、撹拌装置15により撹拌することで気泡を含んだ養液から脱気するための養液の貯留槽(図示せず)や、栽培槽から希釈混合槽14へ流入させる前に、養液を流れを静めるための養液の貯留槽(図示せず)に、センサを設けるようにしてもよい。また、一台ずつセンサを希釈混合槽14と栽培槽とにそれぞれ独立して設置したり、複数のセンサを一組として、複数組みのセンサを希釈混合槽14と栽培槽とにそれぞれ独立して設置したりすることも可能である。そして、希釈混合槽14と栽培槽とに設置したセンサからの測定値の差の絶対値を演算し、この結果が所定以上の差となったときにいずれかのセンサが故障していると判定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の養液供給装置は、薄膜水耕(NFT:nutrient film technique)、湛液型水耕(DFT:deep flow technique)、噴霧耕、固形培地耕、毛管水耕、礫耕などの水耕栽培および土栽培法に好適である。
【符号の説明】
【0041】
10 養液供給装置
11 第1の肥料用タンク
12 第2の肥料用タンク
13 酸タンク
14 希釈混合槽
15 撹拌装置
21 第1の肥料用供給ポンプ
22 第2の肥料用供給ポンプ
23 pH調整剤用供給ポンプ
31 ECセンサ
32 第1のpHセンサ
33 第2のpHセンサ
41 養液供給制御用コントローラ
42 監視用コントローラ
43 警報用回転灯
S1,S2,S3,S4 通信線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物への養液の成分量を測定するそれぞれ独立した複数のセンサと、
前記複数のセンサからの測定値が示す範囲が所定範囲内か否かを判定し、所定範囲外であるときに養液の供給を停止することを指示する供給停止信号を供給ポンプに出力するコントローラとを備えたことを特徴とする養液供給装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記供給停止信号を、酸性養液を植物に供給する供給ポンプのみへ出力する請求項1記載の養液供給装置。
【請求項3】
前記複数のセンサは、第1のセンサと第2のセンサとから構成され、
前記コントローラは、前記第1のセンサからの測定値に基づいて供給ポンプへの養液の供給開始および停止、供給量の調整を行う養液供給制御用コントローラと、前記第1のセンサからの測定値と前記第2のセンサからの測定値との差が所定範囲を外れたときに前記供給ポンプの動作を停止する監視用コントローラとから構成されている請求項1または2記載の養液供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−55895(P2013−55895A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195295(P2011−195295)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(511121861)旭信興産株式会社 (1)
【Fターム(参考)】