説明

養生シート用支持金具、およびそれを用いた鉄筋コンクリート基礎の施工方法

【課題】 降雨や積雪に遭っても速やかに排水、排雪可能であり、しかも天端補修や天端レベラー流しなどの作業のときのそれら養生シートの取り外し、再装着が簡便且つ迅速になし得る養生シートの支持技術を提供する。
【解決手段】 コンクリート基礎B用として所定量の生コンクリートが打設され、対峙状となっている一対の型枠パネルP,Pの中の何れか一方の型枠パネルP上端縁枠P1に対し、着脱自在な仮固定用の挟着機構3を備えた取り付き部2と、該取り付き部2にその下端41が一体化、支持され、上端がわは、同取り付き部2から伸び上がり、対峙する一対の型枠パネルP,P間の中央付近所定高さ寸法H上方位置に達するよう湾曲形成された支杆部4と、該支杆部4上端44付近に一体化され、養生シート6鞍掛け用の横架材5を着脱自在に嵌合可能に形成された支承部45とからなる養生シート用支持金具1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄筋コンクリートの施工に関連するあらゆる分野をその技術分野とするものであり、特に鉄筋コンクリート基礎の養生技術に関連する分野は勿論のこと、その施工作業に必要となる設備、器具類の製造、および提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
鉄筋コンクリート基礎は、建築物の土台を十分な強度と精度とによって長年に亘り、確実に支えることができる品質を確保しなければならず、その施工にあっては、根切り・地業、捨てコン打ち、配筋・型枠パネルの組み立て設置、生コンクリートの打設、天端レベラー流しおよび養生、型枠の解体・整地などの一連の作業を、夫々適正な条件の下に行わなければならず、特に養生作業は、季節毎の気温や雨雪などの気象条件が、完成後の強度や外観に大きな影響を及ぼすものとなることから、打設コンクリートの露出状となる基礎天端に養生シートを被着して保温性や防水性、保湿性などの条件を適正な範囲に確保し、強度の低下やクラックの発生などを確実に防止する必要がある。
【0003】
こうした養生シートは、鉄筋コンクリート基礎の天端に付着、密閉しないよう、十分に注して装着しなければならず、特に雨天や積雪のある時には、雨水や雪の重みによって養生シートが窪むように垂れ下がり、硬化前の天端に荷重を加えてしまうなど、所望の養生条件を満たすことができずに天端の変形や著しい強度の低下を招く虞があり、こうした弊害を防止するため、図5の従来の養生シート用支持板の斜視図中に示すように、基礎天端長に略一致する長さの足場板5の幅寸法方向を縦にして、その下方端縁の長さ方向の所定間隔置き毎に、型枠パネルP,P上端縁間隔を僅かに超える程度の長さとした短冊板51の中央部を釘打ちして水平軸心回りに回転自在とするよう一体化した養生シート用支持板5を、各短冊板51,51,……の両端がわが、平行、対峙状に配置された型枠パネルP,P上端縁間上に架け渡し状となるよう載置し、該養生シート用支持板5上方から両側の型枠パネルP,Pに、同図5中に二点鎖線で示すように、養生シート6を鞍掛け状に装着して排水、排雪機能をもたせるようにすることが行われてきた。
【0004】
しかしながら、このような養生シート用支持板5は、型枠パネルP,P上端縁間上に架け渡して載置するだけという不安定なものであり、作業者の不用意な接触などによって容易に横転してしまう虞があり、しかも養生中に養生シート6を剥ぎ取って行う基礎B天端の補修や天端レベラー流し作業などを行うときに邪魔になり、その都度養生シート用支持板5を取り外さなければ、これらの作業を正確に行うことが困難であり、養生作業の効率を悪化させていたという致命的な欠点を有するものであった。
【0005】
(従来の技術)
そうした中にも、その打開策となるようなものとして、例えば特開2002−121893号公報「布基礎用養生材」発明として提案されているもののように、基礎打設空間の上部を覆う被覆部と、該被覆部の端部から下方へ連続してなり、かつ基礎打設空間の外縁部に設置された型枠の上端部側外面に被着する被着部とからなり、被覆部および被着部が連続する発泡体から形成され、全体の断面形状が、被覆部の中央部が上方に突出するような略円弧形状をなし、さらに被着部の被覆部と反対側の端部断面が円状となるよう形成され、型枠パネル上端縁間を密閉状に被覆し、アンカーボルトの突出にも対応可能であり、強風の吹き付けによっても外れない程度に強固な装着を可能とするものや、特開2003−293380号公報「基礎コンクリートの養生方法及び養生カバー」発明として提案されているもののように、養生カバーが、側面カバー部材と天面カバー部材とに分割され、側面カバー部材はボード状のものからなり、内面側にヒーターとマグネットを備え、天面カバー部材は、シート状またはマット状のものからなり、それら側面カバー部材と天面カバー部材とは面ファスナーで連結されるものとし、冬期間のヒーターによる加温を可能とし、面ファスナーによって天面カバー部材を開閉し易くしたもの等が散見される。
【0006】
前者の「布基礎用養生材」発明は、鉄筋コンクリート基礎の天端を覆う被覆部の中央部を上方に突出するような略円弧型断面形状とし、雨水の排水性や排雪性を確保したものとなっており、さらに被着部の被覆部と反対側の端部断面を円状に形成し、強風に飛ばされない装着力を得るものとされているが、養生中に天端の補修や天端レベラー流し作業などを行うときには、簡単には取り外すことができず、その作業性を悪化させてしまうことが懸念され、また、後者の「基礎コンクリートの養生方法及び養生カバー」発明は、側面カバー部材にヒーターを備え、冬期間の加温によって適正な養生を実現可能としてはいるものの、天面カバー部材は、断熱作用のあるシート状またはマット状のものからなっているため、雨水や積雪によって基礎コンクリート天端上に窪んで垂れ下がり、打設コンクリート面に接触してしまって養生の機能を果たし得なくなったり、それらの除去作業に支障を来す虞があるなどという欠点を抱えるものであった。
【特許文献1】(1)特開2002−121893号公報 (2)特開2003−293380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(問題意識)
このように、従前までに提案のある「布基礎用養生材」発明のような技術手段では、型枠パネル上端縁間に一旦装着してしまうと天端補修や天端レベラー流しの作業のときに、例えば一人の作業者の手によって簡単に取り外すことが困難であり、着脱作業性についての改善が臨まれるものであったり、また、「基礎コンクリートの養生方法及び養生カバー」発明のようなものの場合は、天面カバー部材の着脱を、面ファスナーを用いて簡便にできるようなものとしているが、天面カバー部材上に雨水が溜まったり、雪が積もったりすると、コンクリート基礎の天端に天面カバー部材の下面が接触し、荷重を加えて変形させたり、保温性を損ねてコンクリートの硬化を妨げたりしてしまう虞があり、さらなる改善が求められるものであった。
【0008】
(発明の目的)
そこで、この発明は、降雨や積雪に遭っても速やかに排水、排雪することが可能であり、しかも天端補修や天端レベラー流しなどの作業のとき、少人数であっても簡便且つ迅速に養生シートの取り外し、および再装着を行うことができる養生シートの支持技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の養生シート用支持金具、およびそれを用いた新規な鉄筋コンクリート基礎の施工方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の養生シート用支持金具は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、コンクリート基礎用として所定量の生コンクリートが打設され、対峙状となっている一対の型枠パネルの中の何れか一方の型枠パネル上端縁枠に対し、着脱自在な仮固定用の挟着機構を備えた取り付き部と、該取り付き部にその下端が一体化、支持され、上端がわは、同取り付き部から伸び上がり、対峙する一対の型枠パネル間の中央付近所定高さ寸法上方位置に達するよう湾曲形成された支杆部と、該支杆部上端付近に一体化され、養生シート鞍掛け用の横架材を着脱自在に嵌合可能に形成された支承部とからなるものとした構成を要旨とする養生シート用支持金具である。
【0010】
この基本的な構成からなる養生シート用支持金具の構成を換言して示すならば、コンクリート基礎用として所定量の生コンクリートが打設され、対峙状となっている一対の型枠パネルの中の何れか一方の型枠パネル上端縁枠に対し、着脱自在な仮固定用の挟着機構を備えた取り付き部と、該取り付き部にその下端が一体化、支持され、上端がわは、同取り付き部から伸び上がり、対峙する一対の型枠パネル間の中央付近所定高さ寸法上方位置に達するよう湾曲形成された支杆部と、該支杆部上端付近に一体化され、養生シート鞍掛け用の横架材を着脱自在に嵌合可能に形成された支承部とからなるものとし、対峙状となる一対の型枠パネルの中の何れか一方の型枠パネル上端縁枠に沿う適宜間隔置きとなる箇所、夫々に取り付き部を装着して複数個を設置し、それらの各支承部に架け渡すよう、横架材を載架させ、充填コンクリート天端を掩覆するよう、同横架材上方から両側の型枠パネル背面がわに養生シートを鞍掛け状に覆設可能とするよう設定された養生シート用支持金具となる。
【0011】
(関連する発明)
上記した、養生シート用支持金具に関連し、この発明には、それを使用した鉄筋コンクリート基礎の施工方法も包含している。
即ち、複数枚の型枠パネルを用いて、鉄筋コンクリート基礎用の成型空間を設定する如く鉛直状の対峙面壁を形成するよう組み立てる型枠パネル設置工程の後、該成型空間内に生コンクリートを充填するコンクリート充填工程を行うと同時か、またはその前後の何れかの段階に、適宜間隔置きとなるよう任意に選択された各型枠パネルの上端縁の夫々に、養生シート用支持金具の取り付き部を着脱自在に仮固定させる支持金具装着工程、および、それら養生シート用支持金具の各支承部間に横架材を載架する横架材装架工程を行い、後の養生シート覆設・養生工程により、同横架材上方から鞍掛け状とするよう、両側の型枠パネル背面がわに掛けて養生シートを覆設し、所定時間に亘ってコンクリートを被覆、養生させ、撤収工程によって養生を完了した基礎コンクリートから、養生シート、横架材、養生シート用支持金具、型枠パネルおよび各種緊結金具類を撤収するよう設定されてなる、この発明の基本をなす前記養生シート用支持金具を用いた鉄筋コンクリート基礎の施工方法である。
【0012】
これをより具体的に示すと、複数枚の型枠パネルを用いて、鉄筋コンクリート基礎用の成型空間を設定する如く鉛直状の対峙面壁を形成するよう組み立てる型枠パネル設置工程の後、該成型空間内に生コンクリートを充填するコンクリート充填工程を行うと同時か、またはその前後の何れかの段階に、適宜間隔置きとなるよう任意に選択された各型枠パネルの上端縁の夫々に、養生シート用支持金具の取り付き部を着脱自在に仮固定させる支持金具装着工程、および、それら養生シート用支持金具の各支承部間に横架材を載架する横架材装架工程を行い、後の養生シート覆設・養生工程により、同横架材上方から鞍掛け状とするよう、両側の型枠パネル背面がわに掛けて養生シートを覆設し、所定時間に亘ってコンクリートを被覆、養生させ、該養成中の適時に、養生シートの一部または全部を剥ぎ、型枠パネルの上端縁と、横架状に支持された横架材との間から、コンクリート基礎上部の点検、補修ならびに天端レベラーの供給を行い、再度養生シートを被せ直して養生を完了させ、撤収工程によって養生を完了した基礎コンクリートから、養生シート、横架材、養生シート用支持金具、型枠パネルおよび各種緊結金具類を撤収するようにしたことを構成とする鉄筋コンクリート基礎の施工方法となる。
【発明の効果】
【0013】
以上のとおり、この発明の養生シート用支持金具によれば、対峙状となっている一対の型枠パネルの中の何れか一方の型枠パネル上端縁枠に対し、着脱自在に仮固定可能な挟着機構を備えた取り付き部を設けたものとし、コンクリート基礎用として所定量の生コンクリートが打設された型枠パネル上端縁枠の任意に選択された適所に、簡単且つ迅速に装着および取り外し可能なものとなり、生コンクリート打設直後などに、万が一天候が急変して降雨や積雪に見舞われたときにも、速やかにその対策として養生シートを迅速、簡便に装着できるようにし、コンクリート基礎の秀れた品質の確保とを実現、可能とすることができるものとなり、しかも当該取り付き部にその下端が一体化、支持され、上端がわについては、同取り付き部から伸び上がり、対峙する一対の型枠パネル間の中央付近所定高さ寸法上方位置に達するよう湾曲形成した支杆部、および、該支杆部上端付近に一体化され、養生シート鞍掛け用の横架材を着脱自在に嵌合可能に形成した支承部を備えたものとし、養生シートが、複数の養生シート用支持金具の支杆部間に架け渡し状とした横架材から、その両がわに配された各型枠パネル上端縁がわに向けて概略屋根形状に支持されたものとなり、降雨や積雪が速やかに各型枠パネルの外側に流下または滑落、排除されるようになることによって天端に水分が浸入するのを防止できると共に、雨水や雪の停滞や堆積を防止し、充填直後の生コンクリートからなる天端に不要な荷重が加わり、硬化後に変形部分を残したり、クラックの発生を招いてしまうのを確実に防止することができるという秀れた特徴が得られるものである。
【0014】
加えて、支杆部を、対峙する一対の型枠パネル間の中央付近所定高さ寸法上方位置に達するよう湾曲形成されたものとしてあり、装着した養生シートに損傷を与えるのを防止することが可能となり、しかも作業者の衣服や足を引っ掛けたり、各種ホースやコード類の取り回し中に、それらを損傷させてしまうような事故を未然に防止できるという効果が得られることになる。
【0015】
さらに、取り付き部が、対峙状となっている一対の型枠パネルの中の何れか一方の型枠パネルの成型用面壁の裏面がわとなる背面、該成型用面壁の上端縁水平面壁の下面、および該上端縁水平面壁の成型用面壁とは反対がわであって鉛直下向きに折曲した小幅の折曲面壁の夫々に当接可能な接合面壁を有する横転角柱型に形成され、型枠パネルの背面に接合されるのとは反対がわとなる外側鉛直面壁か、または成型用面壁の上端縁水平面壁下面に接合されるのとは反対がわとなる下がわ水平面壁かの何れか一方から支杆部を延伸させた嵌着用ブロックを有し、該支杆部の鉛直状に立ち上がる直立案内部に対し、先端がわを、嵌着用ブロック上面壁との間に、当該型枠パネル上端縁水平面壁を挟着可能とするよう下向きに折曲させた仮止め板の、基端がわ中途適所の肉厚方向に穿設した係脱孔が上下移動自在、且つ嵌着用ブロック上面壁との間に、当該型枠パネル上端縁水平面壁を挟み込んだときには、その弾性力によって仮固定可能とするよう遊嵌されるようにしたものの場合には、嵌着用ブロックを各種金属製または強化プラスチック製の型枠パネルの上端縁外がわ下部に嵌合状に装着し、仮止め板を支杆部の鉛直状に立ち上がる直立案内部に沿って降下させ、同仮止め板の先端と嵌着用ブロックの上がわ面壁との間に、型枠パネルの上端縁水平面壁を挟み込むようにして仮固定させることができるようになるという利点が得ら
【0016】
しかも、嵌着用ブロックの上方外側配置となる角部分が、型枠パネルの鉛直下向きに折曲された小幅の折曲面壁に係合状となってより正確な位置決め固定が可能となり、さらに正確で効率的な着脱を実現化することができ、当該仮止め板の基端に樹脂製の被覆部が形成されるようにしたものでは、上方から装着した養生シートに硬質な角部分が直接接触するのを阻止し、養生シートの損傷をより確実に防止できるものとする外、支承部が概略U字型に形成され、横架材となる木製の貫板の適所を係合、支持可能とするよう設定されてなるものでは、木材のもつ吸湿性によって養生シート内の結露の発生を防止することが可能となり、しかも横架材それ自体の結露も発生しないので、横架材からコンクリート基礎の天端に水滴など落下してコンクリートの養生に悪影響を及ぼすのをさらに確実に防止することができるという効果が期待できるものとなる。
【0017】
一方、この発明の養生シート用支持金具を用いた鉄筋コンクリート基礎の施工方法によれば、型枠パネル設置工程の後、該成型空間内に生コンクリートを充填するコンクリート充填工程を行うと同時か、またはその前後の何れかの段階に、適宜間隔置きとなるよう任意に選択された各型枠パネルの上端縁夫々に、養生シート用支持金具の取り付き部を着脱自在に仮固定させる支持金具装着工程、および、それら養生シート用支持金具の各支承部間に横架材を載架する横架材装架工程を行い、後の養生シート覆設・養生工程により、同横架材上方から鞍掛け状とするよう両側の型枠パネル背面がわに掛けて養生シートを覆設し、所定時間に亘ってコンクリートを被覆、養生させ、撤収工程によって養生を完了した基礎コンクリートから、養生シート、養生シート用支持金具、型枠パネルおよび各種緊結金具類を撤収するよう作業を進め、成型空間内に充填されたコンクリートを、適正な温度および湿度、環境下に保って養生することが可能となり、しかも各支承部間に載架された横架材上から、両側の型枠パネル背面がわに掛けて鞍掛け状とするよう、装着した養生シートが、概略屋根型を呈して雨水や積雪を速やかに排除するものとなり、コンクリート基礎の天端形状を保護することができると共に、装着した養生シートを簡便に取り外して両側の型枠パネル上端縁と、支承部間に載架された横架材下端縁との間を通じて、天端の補修や天端レベラー流し作業などを支障なく円滑に行うことが可能となる上、養生シートを再度被着する作業も簡単で、より効率的な養生作業を実現化するという特徴を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(養生シート用支持金具)
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
取り付き部は、横転状とした横架材の一部を載架可能とする支承部と、該支承部を支える支杆部とを、コンクリート基礎用として所定量の生コンクリートが打設され、対峙状となっている一対の型枠パネルの中の何れか一方の型枠パネル上端縁枠に対し、着脱自在に仮固定可能とする機能を果たすものであり、任意に選択された型枠パネル上端縁枠に対し、支承部および支杆部を、確りと所望の姿勢に仮固定可能なものとしなければならず、バネを有する洗濯挟み型やネジを有する万力型などのような挟着機構を有して簡単且迅速に着脱可能なものとすべきであるが、磁性金属製の型枠パネルに対して磁力で吸着、固定可能なものとすることも可能である。
【0019】
挟着機構は、取り付き部をコンクリート基礎用として所定量の生コンクリートが打設され、対峙状となっている一対の型枠パネルの中の何れか一方の型枠パネル上端縁枠に対し、着脱自在に仮固定可能とする機能を果たすものであり、横転状とした横架材の一部を載架可能とする支承部と、該支承部を支える支杆部とを、十分な強度をもって支持できるものとしなければならず、前述のようにバネを有する洗濯挟み型、またはネジを有する万力型などとすることが可能であり、後述する実施例に示すように、コンクリート基礎用として所定量の生コンクリートが打設され、対峙状となっている一対の型枠パネルの中の何れか一方の型枠パネルの成型用面壁の裏面がわとなる背面、該成型用面壁の上端縁水平面壁の下面、および該上端縁水平面壁の成型用面壁とは反対がわであって鉛直下向きに折曲させた小幅の折曲面壁の夫々に当接可能な接合面壁を有する横転角柱型に形成され、型枠パネルの背面に接合されるのとは反対がわとなる外側鉛直面壁か、または、成型用面壁の上端縁水平面壁下面に接合されるのとは反対がわとなる下がわ水平面壁かの何れか一方から支杆部を延伸させた嵌着用ブロックを有し、該支杆部の鉛直状に立ち上がる直立案内部に対し、先端がわを、嵌着用ブロック上面壁との間に、当該型枠パネル上端縁水平面壁を挟着可能とするよう下向きに折曲させた仮止め板の、基端がわ中途適所の肉厚方向に穿設してある係脱孔が上下移動自在且つ、嵌着用ブロック上面壁との間に、当該型枠パネル上端縁水平面壁を挟み込んだとき、その弾性力によって仮固定可能とするよう遊嵌されてなるものとすることができる。
【0020】
嵌着用ブロックは、対峙状となっている一対の型枠パネルの中の何れか一方の型枠パネルの上端縁外がわ付近に嵌合状に装着され、仮止め板の先端との間に、該型枠パネルの上端縁を弾性的に挟み込み、支杆部以上の支承部および横架材を支持する取り付き部を仮固定可能とする機能を果たすものであり、後述する実施例に示すように、型枠パネルの成型用面壁の裏面がわとなる背面、該成型用面壁の上端縁水平面壁の下面、および該上端縁水平面壁の成型用面壁とは反対がわであって鉛直下向きに折曲した小幅の折曲面壁の夫々に、当接可能な接合面壁を有する横転角柱型に形成されたものとしなければならず、型枠パネルの背面に接合されるのとは反対がわとなる外側鉛直面壁か、または、成型用面壁の上端縁水平面壁下面に接合されるのとは反対がわとなる下がわ水平面壁かの何れか一方から支杆部を延伸させたものとすべきであり、型枠パネルとの接触面以外の適所に、軽量化を目的とした肉抜き孔を穿設してなるものとすることができる。
【0021】
仮止め板は、対峙状となっている一対の型枠パネルの中の何れか一方の型枠パネルの上端縁水平面壁の上面に接合して嵌着用ブロックとの間に、該型枠パネルの上端縁を弾性的に挟み込み、支杆部以上の支承部および横架材を支持する取り付き部を仮固定可能とする機能を果たすものであり、バネ鋼板やステンレス鋼板製などの板バネ材からなり、中央付近を略「く」字型に山折りし、その先端がわを嵌着用ブロック上面壁に対峙させ、基端がわ中途部の肉厚方向に穿設された係脱孔を、支杆部の鉛直状に立ち上がる直立案内部に対して上下移動可能に遊嵌したものとし、その先端と嵌着用ブロック上面壁との間に、当該型枠パネル上端縁水平面壁を挟み込んだときには、その弾性力によって仮固定可能とするよう設定されたものとしなければならず、後述する実施例に示すように、基端がわに樹脂製の被覆部を形成したものとするのが望ましい。
【0022】
係脱孔は、仮止め板基端がわの適所を、支杆部の鉛直状に立ち上がる直立案内部に対して上下移動自在に装着し、嵌着用ブロック上面壁との間に、当該型枠パネル上端縁水平面壁を挟み込んだ場合には、その弾性力によって仮固定可能とする機能を果たし、支杆部の鉛直状に立ち上がる直立案内部の直径よりも僅かに大きな直径に設定され、仮止め板基端がわ適所の肉厚方向に貫通されたものとしなければならない。
【0023】
支杆部は、取り付き部より上方であって対峙する一対の型枠パネル間の中央付近所定高さ寸法上方位置に、横転状の姿勢とした横架材の一部を載架、支持可能とする強度を兼ね備えるよう、支承部を一体的に支持可能とする機能を果たし、取り付き部から伸び上がり、対峙する一対の型枠パネル間の中央付近所定高さ寸法上方位置に達するよう湾曲形成したものとしなければならず、後述する実施例に示すように、嵌着用ブロックおよび仮止め板からなる挟着機構を備えたものの場合には、取り付き部または嵌着用ブロックから鉛直状に立ち上がる直立案内部を、仮止め板に穿孔された係脱孔よりも僅かに小さな直径に設定されたものとすべきである。
【0024】
支承部は、対峙する一対の型枠パネル間の中央付近所定高さ寸法上方位置に、横転状の姿勢とした横架材の一部を載架、支持可能とする機能を果たし、横架材を不用意に転落させないよう支持可能な係合または嵌合形状を有するものとしなければならず、十分な強度をもって支杆部上端付近に一体化されたものとすべきであり、後述する実施例に示すように、概略U字型に形成され、横架材となる木製の貫板の適所を係合、支持可能とするよう設定されてなるものとすることができる。
【0025】
横架材は、適宜間隔置きとなるよう任意に選択された各型枠パネルの上端縁夫々に着脱自在に仮固定された複数個の養生シート用支持金具の各支承部に沿って載架され、養生シートの鞍掛け状の装着を可能とする機能を果たすものであり、一人の作業者によって容易く運搬できる程度に軽量なものとすべきであり、取り付き部の型枠パネル上端縁枠への仮固定による支持高さが、コンクリート基礎用の成型空間から上方に突出するアンカーボルトよりも高所となるよう設定されたものとしなければならず、金属製のパイプや棒、板などの外、合成樹脂製のパイプや棒、板とすることも可能であるが、なるべく結露などを発生し難い木製の棒や板材とするのが望ましい。
【0026】
養生シートは、支承部に沿って載架された横架材上方から、両がわに配された一対の型枠パネルの上端縁枠外がわに掛けて被覆、取り外し自在に被着され、型枠パネルによって形成された成型空間内に注入された打設コンクリートを断熱、保温、防水および保湿して適正な養生を可能とする機能を果たし、横架材や型枠パネルの背面などに沿って柔軟に変形可能な、合成樹脂シート、発泡合成樹脂シート、不織布、金属箔、防水加工の施された布、またはそれらに様々な防水性、保温性あるいは断熱性を与える皮膜層を形成したシートなど様々な素材製のものから適宜選択、使用することが可能である。
【0027】
型枠パネルは、鉄筋コンクリート造の建築物施工用のものであって、建築物の基礎部分を成型する成型空間を形成可能とする機能を果たし、複数枚を組み合わせて布基礎やベタ基礎などに代表される建築物の基礎立ち上がり部分を成型可能な一般的なものであり、鋼鉄製、ステンレス鋼製、アルミニウム合金製、強化プラスチック製、合板製などとすることが可能である。
【0028】
この発明の鉄筋コンクリート基礎の施工方法における型枠パネル設置工程は、複数枚の型枠パネルを用いて、所定の鉄筋かぶり厚を確保し、鉄筋コンクリート基礎用の成型空間を設定する如く鉛直状の対峙面壁を形成するよう組み立てる作業にあり、一般的な建築物の基礎を施工する場合の型枠、鉄筋類の設置と略同様の作業内容となる。
【0029】
コンクリート充填工程は、成型空間内に生コンクリートを充填する作業にあり、一般的な建築物の基礎を施工する場合と同様に行うことが可能であり、レディーミクストコンクリートを、コンクリート製造設備からトラクタアジテータまたはトラックミキサ(生コンミキサー車)によって建設現場まで輸送し、型枠内に供給するようにしたり、建設現場において水、セメント、細骨材(砂)、粗骨材(砂利)ならびに必要に応じてAE剤(Air Entraining agent)や高炉スラグなどの混和材料を適正な割合で混練し、型枠内に供給することも可能である。
【0030】
支持金具装着工程は、適宜間隔置きとなるよう任意に選択された各型枠パネルの上端縁夫々に、養生シート用支持金具の取り付き部を着脱自在に仮固定させる作業にあり、型枠パネル設置工程の後に行わなければならず、コンクリート充填工程を行うと同時か、またはその前後の何れかの段階に行うことが可能であり、作業効率を考慮するとコンクリート充填工程の直後に行うのが最も望ましいということがいえ、取り付き部の仮固定作業については、支杆部を確りと支えることができるように行わなければならず、支承部を鉛直状の姿勢に支持するよう固定すべきである。
【0031】
横架材装架工程は、各型枠パネルの上端縁夫々に仮固定された養生シート用支持金具の各支承部間に横架材を略水平状の姿勢とするよう載架する作業にあり、横架材を各支承部に対して脱落などしないよう確りと架け渡し、載置しなければならず、結露の発生や強度などを考慮して、後述する実施例に示すように、横架材として足場用の板材としても利用可能な程度の形状、寸法、強度に設定された、木製の貫板を用いるのが望ましい。
【0032】
養生シート覆設・養生工程は、横架材上方から鞍掛け状とするよう、両側の型枠パネル背面がわに掛けて養生シートを覆設し、所定時間に亘ってコンクリートを被覆、養生させる作業にあり、型枠内に充填された生コンクリートが十分な強度を発現するまで継続して行わなければならず、その間は、一般的なコンクリート養生のように温度、湿度の管理を適正に行うべきであり、養生中の適時に、養生シートの一部または全部を剥ぎ、型枠パネルの上端縁と、横架状に支持された横架材との間から、コンクリート基礎上部の点検、補修ならびに天端レベラーの供給を行い、再度養生シートを被せ直して養生を完了させるようにすることができる。
【0033】
撤収工程は、養生を完了した基礎コンクリートから、養生シート、養生シート用支持金具、型枠パネルおよび各種緊結金具類を撤収する作業にあり、撤収の手順については適宜自由に行うことができるが、全ての養生シートを取り去った後、各横架材および各養生シート用支持金具を簡単且つ迅速に取り外し、次に型枠パネルおよび各種緊結金具類を取り外すよう作業を進めるのが望ましい。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0034】
図1の養生シート用支持金具の斜視図、図2の設置状態を縦断面化した養生シート用支持金具の正面図、および、図3の横架材を載架した養生シート用支持金具群の斜視図に示される事例は、コンクリート基礎B用として所定量の生コンクリートが打設され、対峙状となっている一対の型枠パネルP,P,……の中の何れか一方の型枠パネルP上端縁枠P1に対し、着脱自在な仮固定用の挟着機構3を備えた取り付き部2と、該取り付き部2にその下端41が一体化、支持され、上端がわは、同取り付き部2から伸び上がり、対峙する一対の型枠パネルP,P間の中央付近所定高さ寸法H上方位置に達するよう湾曲形成した支杆部4と、該支杆部4上端44付近に一体化され、養生シート6鞍掛け用の横架材5を着脱自在に嵌合可能に形成した支承部45とからなる、この発明の養生シート用支持金具における代表的な一実施例を示すものである。
【0035】
当該養生シート用支持金具1は、図1ないし図3中に示すように、鉄筋コンクリート基礎B打設用として設置された型枠パネルPの上端縁枠P1に挟着可能な取り付き部2と、該取り付き部2から伸び上がり状となるよう一体化された支杆部4とを有し、該取り付き部2は、型枠パネルPの成型用面壁P6の裏面がわとなる背面P7、成型用面壁P6の上端縁水平面壁P2の下面P3、および上端縁水平面壁P2の成型用面壁P6とは反対がわであって鉛直下向きに折曲した小幅の折曲面壁P4の内がわ面P5の互いに直角に交差するよう連続する三面の、夫々に嵌合状に当接可能な接合面壁を有する縦寸法Yが40mm、横幅Xが75mm、奥行きZが40mmの横転角柱型に形成され、左右端面壁の中央間に幅寸法X方向に貫通する肉抜き孔22が穿設された鋼製の嵌着用ブロック21からなり、直径9mmの丸鋼棒からなる支杆部4が、その概略L字型に折曲された下端41を、該嵌着用ブロック21の型枠パネルPの背面P7に接合されるのとは反対がわとなる外側鉛直面壁24の横幅寸法X方向の中央下端縁付近から、同中央底面23付近の肉厚中に達するよう水平状に挿し込み、圧入、熔接、蝋付け、またはネジ結合などによって強固に固着してある。
【0036】
支杆部4は、その下端41が、嵌着用ブロック21の外側鉛直面壁24に対して直角姿勢となる水平方向に長さL35mm延伸されてから鉛直上方に向けて折曲され、所定寸法に亘って鉛直状に立ち上がる直立案内部42を形成し、さらにその上方範囲を、嵌着用ブロック21の上方を超えて反対がわまで、直径145mmの曲率をもって伸び上がり状とされた湾曲部43を形成し、その上端44を水平状の姿勢とし、嵌着用ブロック21の天面25から上方206mmの高さ位置Hまで到達させたものとしており、鉛直状に立ち上がる直立案内部42から上端44までの水平寸法Wは、鉄筋コンクリート基礎Bを挟み対峙する型枠パネルP,P間の水平距離の約1/2の寸法に設定している。
【0037】
該支杆部4の鉛直状に立ち上げられた直立案内部42には、幅22mm、長さ100mm、厚さ4.5mmのバネ鋼板を、先端がわから44mm、基端がわから56mmの箇所から115°の角度に山折り状に折曲し、基端がわ56mm範囲の中央に直径11mmの係脱孔32を穿設してなる仮止め板31が、その係脱孔32を摺動自在に遊嵌されたものとし、該仮止め板31の下向きに折曲した先端と嵌着用ブロック21とによって取り付き部2を型枠パネルPの上端縁枠P1に仮固定可能とする挟着機構3を形成してあり、該仮止め板31の基端には、天然ゴム製、軟質合成樹脂製、発泡樹脂製または面取り形状とした硬質合成樹脂製の被覆部33が一体に被着されている。
また、支杆部4の上端44上部には、直径9mmの丸鋼棒製であって直径22mmの曲率によってU字型に折曲され、高さhを65mmに設定した支承部45の底部が、熔接によって強固に一体化してある。
【実施例2】
【0038】
図4の取り付き部の挟着機構に変更を加えた養生シート用支持金具の正面図に示した事例は、取り付き部2を所定寸法に設定した平板体26とし、その先端がわ上面を合板製の型枠パネルP上端縁水平面壁P2の下面P3に接合可能とし、その中央後端がわ上面から鉛直状の支柱板27を立ち上げ、該支柱板27の上端に、前述の実施例1中に示したのと略同様に支承部45を一体化してなる支杆部4を立設したものとしている。
【0039】
支柱板27の上下中途適所には、遊端がわを平板体26上面との間に型枠パネルP上端縁水平面壁P2を挟み込み可能とするよう、下向きに湾曲した仮止め板31の基端部分が水平軸心回りに回動自在に軸着され、同平板体26および仮止め板31の中途箇所であって型枠パネルP上端縁水平面壁P2に干渉しない適所には、双方を貫通する上下方向同心状の緊締孔34,34が穿設されると共に、仮止め板31の緊締孔34上部にはナット35が熔接によって同心状に一体化された上、各緊締孔34,34に対して下方から上向きに蝶ネジ36が貫通され、その先端が、仮止め板31上面のナット35に螺合されるようにしてある。
【0040】
(実施例の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明の養生シート用支持金具1は、この発明に包含される鉄筋コンクリート基礎の施工方法を実施可能とするものであり、以下では、その鉄筋コンクリート基礎の施工方法の作業手順に従い、その作用について説示すると、先ず、図2および図3中に示すように、金属製の複数枚の型枠パネル(株式会社NSP製)P,P,……を用いて所定の鉄筋かぶり厚を確保し、コンクリート基礎用の成型空間を設定する如く鉛直状の対峙面壁を形成するよう組み立てる型枠パネル設置工程を行い、続くコンクリート充填工程にて、コンクリート製造設備からトラクタアジテータまたはトラックミキサ(生コンミキサー車)によって建設現場まで輸送されたレディーミクストコンクリートを該成型空間内に充填し、その充填作業と同時平行してか、またはその前段階である型枠パネルP,P,……設置直後か、あるいは成型空間内に生コンクリートを充填した直後か、の何れかの段階であって、望ましくは生コンクリート充填作業の障害とならない、生コンクリート充填直後の時点に、次に示す支持金具装着工程を行う。
【0041】
支持金具装着工程は、適宜間隔置きとなるよう任意に選択した各型枠パネル型枠パネルP,P,……の上端縁枠P1の夫々に、図1ないし図3中に示される養生シート用支持金具1,1,……の複数個の夫々を、各取り付き部2の嵌着用ブロック21が、図2中に示す型枠パネルPの成型用面壁P6の裏面がわとなる背面P7、該成型用面壁P6の上端縁水平面壁P2の下面P3、および該上端縁水平面壁P2の成型用面壁P6とは反対がわであって鉛直下向きに折曲した小幅の折曲面壁P4の内がわ面P5の夫々に、嵌合状に装着すると共に、それら支杆部4の鉛直状に立ち上がる直立案内部42に沿って挟着機構3の一部をなす仮止め板31を降下させ、該仮止め板31の下向きに折曲した先端と、嵌着用ブロック21の天面25との間に、型枠パネルPの上端縁水平面壁P2を挟み込み、さらに押し下げるよう操作すると、仮止め板31それ自体のバネ鋼板による弾性力によって支杆部4の鉛直状立ち上がり直立案内部42の周面壁と、これに傾斜、係合状となる係脱孔32内周縁との接触部分間に強い摩擦力を発生させた上、型枠パネルPの小幅の折曲面壁P4の内がわ面P5の係止力により、嵌着用ブロック21を型枠パネルPの上端縁枠P1に対して確りと位置決め、仮固定させたものとする。
【0042】
図2および図3中に示すように、同一直線状に配置された各養生シート用支持金具1,1,……は、夫々の支承部45,45,……が、鉄筋コンクリート基礎B天端より鉛直状に突出されたアンカーボルトB1,B1,……上端より十分に高く、しかも鉄筋コンクリート基礎B天端の幅寸法略中央に直線状に位置決め支持されたものとなり、続く横架材装架工程において、それら養生シート用支持金具1,1,……の各支承部45,45,……の各U字形状谷部分に沿って係合させるよう、木製の貫板からなる横架材5を、その厚み方向が水平方向に向き、鉄筋コンクリート基礎Bに平行となる姿勢とするよう載架させる。
【0043】
支持金具装着工程および横架材装架工程は、対象となる鉄筋コンクリート基礎Bの全ての天端上に亘って同様の作業を行い、後の養生シート覆設・養生工程により、図2中に示すように、各横架材5,5,……上方から鞍掛け状とするよう、各両側の型枠パネルP,P背面P7,P7がわに掛けて保温性および保水性を有するコンクリート養生用の養生シート6を覆設し、所定時間に亘ってコンクリートを被覆、養生し、該養成開始後の適時に、養生シート6の一部または全部を剥ぎ取り、図2および図3中に示す白抜き矢印のように、型枠パネルPの上端縁枠P1と、横架状に支持された横架材5との間から、コンクリート基礎B上部の点検、補修ならびに天端レベラーの供給を行い、再度養生シート6を被せ直して養生を継続することとなり、当該養生シート覆設・養生工程にあって各養生シート用支持金具1,1,……に被せられた養生シート6は、図2中に二点鎖線で示すように、支杆部4中途部や仮止め板31基端に接触することとなるが、各支杆部4の湾曲部43や仮止め板31基端の被覆部33が強い接触を阻止して養生シート6の破損を防止するものとなる。
【0044】
養生を完了した後は、撤収工程によって鉄筋コンクリート基礎Bから、養生シート6,6,……、横架材5,5,……を取り外し、各養生シート用支持金具1,1,……の仮止め板31の基端がわを水平姿勢とするよう上方に軽く押し上げ操作し、係脱孔32が支杆部4の鉛直状に立ち上がる直立案内部42に平行状となって係合状態が離脱され、嵌着用ブロック21を型枠パネルPの上端縁枠P1から簡単に外し取ることが可能となり、さらに、各型枠パネルP,P,……および各種緊結金具類(図示せず)を撤収するという手順によって鉄筋コンクリート基礎Bが施工される。
【0045】
図4中に示した、実施例2の養生シート用支持金具1もまた、挟着機構3は異なるものの基本的に同様の鉄筋コンクリート基礎の施工方法に従って建築物基礎の施工に利用することが可能であり、以下には、前記実施例1と異なる支持金具装着工程中および撤収工程中における挟着機構3の着脱操作についてのみ示すこととする。
【0046】
支持金具装着工程中にあっては、平板体26の上面を合板製型枠パネルPの上端縁水平面壁P2の下面P3に接合させると共に、仮止め板31の先端を同上端縁水平面壁P2の上方に配置した上、蝶ネジ36を締め付け方向に回転操作して取り付き部2を型枠パネルPの上端縁枠P1に対して着脱可能に仮固定することが可能となり、また、撤収工程中においては、該蝶ネジ36を緊締時とは逆向きの弛緩方向に回転操作して仮止め板31の先端と平板体26の上面との間に挟着されていた型枠パネルPの上端縁水平面壁P2を開放して分離、撤去する作業となる。
【0047】
(実施例の効果)
以上のような構成からなる実施例1の養生シート用支持金具1は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、図1ないし図3中に示した、取り付き部2の嵌着用ブロック21を、図1中に示すように、縦寸法Yが40mm、横幅Xが75mm、奥行きZが40mmの横転角柱型に形成したものとしてあり、図2および図3に示すように、型枠パネルPの上端縁水平面壁P2の下面P3に添わせて仮固定したときに、支杆部4が、鉄筋コンクリート基礎Bに平行する方向に転倒するのを阻止し、特にその直立案内部42ならびに支承部45を正確に鉛直状に保持し得るものとなり、挟着機構3の仮止め板31の挟着動作を確実なものとすることができ、しかも肉抜き孔22が鋼製の嵌着用ブロック21を軽量化し、仮固定のときに仮止め板31に加わる負荷を軽減して、より安定した上端縁水平面壁P2への挟着を実現化するという利点が得られるものとなる。
【0048】
さらに、図2および図3中に示すように、型枠パネルPの上端縁枠P1に仮固定した養生シート用支持金具1の支杆部4上端44を、鉄筋コンクリート基礎BのアンカーボルトB1上端より高くなるよう設定し、支承部45およびその上に載架された横架材5がアンカーボルトB1に干渉することなく設置可能となり、養生シート用支持金具1の型枠パネルP上端縁枠P1への着脱や、横架材5の横設、ならびに養生シート6の着脱などの作業効率を格段に高めることができ、しかも。図5中に示した従来の足場板利用の横架材5は、二人以上の作業者によって運搬、設置および撤去を行わなければならなかったが、一人の作業者が運搬、装着及び撤去可能な程度に横架材5の上下寸法を縮小設定し、十分に小型、軽量化することが可能となり、養生作業における工数と労働負担とを大幅に軽減することができる。
【0049】
また、図4中に示した養生シート用支持金具1は、支柱板27(支杆部4、支承部45、横架材5の一部を含む)を支える平板体26と仮止め板31とを、蝶ネジ36およびナット35による締め付けによって型枠パネルPの上端縁枠P1に強力に挟着、仮固定可能としたものであり、合板製の型枠パネルPに対して確りと挟み込み、装着することができるという効果がある。
【0050】
図1ないし図3中に示した実施例1か、または図4中に示した実施例2かの何れかの養生シート用支持金具1を用い、前記実施例の作用の項に記載したように、この発明に包含される鉄筋コンクリート基礎の施工方法によって鉄筋コンクリート基礎Bを施工するようにし、コンクリート充填工程を行った直後に、支持金具装着工程を行うよう作業手順を設定した場合には、コンクリート充填作業中における生コン打設用ホース(図示せず)の取り回しを円滑に行うことが可能となり、生コンクリートの充填後に、順次養生シート用支持金具1,1,……の設置を行うことによって効率的且つ迅速に横架材装架工程および養生シート覆設・養生工程へと作業を進めることができ、コールドジョイントや型枠の倒れなど致命的な欠陥の発生を未然に防止することができる。
【0051】
(結 び)
叙述の如く、この発明の養生シート用支持金具、およびそれを用いた鉄筋コンクリート基礎の施工方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの布基礎用養生材に比較して軽量且つ低廉化させると共に、養生シートの着脱作業性を向上して遥かに経済的なものとすることができる上、基礎天端の補修や天端レベラー流しの作業性を大幅に改善し得るものとなることから、人手不足に悩む建設業界は勿論のこと、型枠パネルや各種緊結金具類などを取り扱う建築資材業界全体にとっても、気象条件に係わらず品質の高いコンクリート基礎の建造を果たし得るものとなり、エンドユーザーである一般企業や一般家庭から高い評価がなされる結果、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図面は、この発明の養生シート用支持金具、およびそれを用いた鉄筋コンクリート基礎の施工方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】養生シート用支持金具を示す斜視図である。
【図2】使用状態の養生シート用支持金具を示す正面図である。
【図3】使用状態の養生シート用支持金具を示す斜視図である。
【図4】挟着機構に変更を加えた養生シート用支持金具を示す正面図である。
【図5】従来の養生作業中にある鉄筋コンクリート基礎を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 養生シート用支持金具
2 取り付き部
21 同 嵌着用ブロック
22 同 肉抜き孔
23 同 底面
24 同 外側鉛直面壁
25 同 天面
26 同 平板体
27 同 支柱板
3 挟着機構
31 同 仮止め板
32 同 係脱孔
33 同 被覆部
34 同 緊締孔
35 同 ナット
36 同 蝶ネジ
4 支杆部
41 同 下端
42 同 直立案内部
43 同 湾曲部
44 同 上端
45 同 支承部
5 横架材
6 養生シート
B 鉄筋コンクリート基礎
B1 同 アンカーボルト
P 型枠パネル
P1 同 上端縁枠
P2 同 上端縁水平面壁
P3 同 上端縁水平面壁の下面
P4 同 折曲面壁
P5 同 折曲面壁の内がわ面
P6 同 成型用面壁
P7 同 成型用面壁の背面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート基礎用として所定量の生コンクリートが打設され、対峙状となっている一対の型枠パネルの中の何れか一方の型枠パネル上端縁枠に対し、着脱自在な仮固定用の挟着機構を備えた取り付き部と、該取り付き部にその下端が一体化、支持され、上端がわは、同取り付き部から伸び上がり、対峙する一対の型枠パネル間の中央付近所定高さ寸法上方位置に達するよう湾曲形成された支杆部と、該支杆部上端付近に一体化され、養生シート鞍掛け用の横架材を着脱自在に嵌合可能に形成された支承部とからなるものとしたことを特徴とする養生シート用支持金具。
【請求項2】
コンクリート基礎用として所定量の生コンクリートが打設され、対峙状となっている一対の型枠パネルの中の何れか一方の型枠パネル上端縁枠に対し、着脱自在な仮固定用の挟着機構を備えた取り付き部と、該取り付き部にその下端が一体化、支持され、上端がわは、同取り付き部から伸び上がり、対峙する一対の型枠パネル間の中央付近所定高さ寸法上方位置に達するよう湾曲形成された支杆部と、該支杆部上端付近に一体化され、養生シート鞍掛け用の横架材を着脱自在に嵌合可能に形成された支承部とからなるものとし、対峙状となる一対の型枠パネルの中の何れか一方の型枠パネル上端縁枠に沿う適宜間隔置きとなる箇所、夫々に取り付き部を装着して複数個を設置し、それらの各支承部に架け渡すよう横架材を載架させ、充填コンクリート天端を掩覆するよう、同横架材上方から両側の型枠パネル背面がわに養生シートを鞍掛け状に覆設可能にしてなるものとしたことを特徴とする養生シート用支持金具。
【請求項3】
取り付き部は、コンクリート基礎用として所定量の生コンクリートが打設され、対峙状となっている一対の型枠パネルの中の何れか一方の型枠パネルの成型用面壁の裏面がわとなる背面、該成型用面壁の上端縁水平面壁の下面、および該上端縁水平面壁の成型用面壁とは反対がわであって鉛直下向きに折曲された小幅の折曲面壁内がわ面の夫々に当接、可能な接合面壁を有する横転角柱型に形成され、型枠パネルの背面に接合されるのとは反対がわとなる外側鉛直面壁か、または、成型用面壁の上端縁水平面壁下面に接合されるのとは反対がわとなる下がわ水平面壁かの何れか一方から支杆部を延伸させた嵌着用ブロックを有し、該支杆部の鉛直状に立ち上がる直立案内部に対し、先端がわを、嵌着用ブロック上面壁との間に、当該型枠パネル上端縁水平面壁を挟着、可能とするよう下向きに折曲させた仮止め板の、基端がわ中途適所の肉厚方向に穿設された係脱孔が、上下移動自在且つ嵌着用ブロック上面壁との間に、当該型枠パネル上端縁水平面壁を挟み込んだ場合には、その弾性力によって仮固定可能に遊嵌されるようにした、請求項1または2何れか一項記載の養生シート用支持金具。
【請求項4】
取り付き部は、コンクリート基礎用として所定量の生コンクリートが打設され、対峙状となっている一対の型枠パネルの中の何れか一方の型枠パネルの成型用面壁の裏面がわとなる背面、該成型用面壁の上端縁水平面壁の下面、および該上端縁水平面壁の成型用面壁とは反対がわであって鉛直下向きに折曲された小幅の折曲面壁内がわ面の夫々に当接、可能な接合面壁を有する横転角柱型に形成され、型枠パネルの背面に接合されるのとは反対がわとなる外側鉛直面壁か、または、成型用面壁の上端縁水平面壁下面に接合されるのとは反対がわとなる下がわ水平面壁かの何れか一方から支杆部を延伸させた嵌着用ブロックを有し、該支杆部の鉛直状に立ち上がる直立案内部に対し、先端がわを、嵌着用ブロック上面壁との間に、当該型枠パネル上端縁水平面壁を挟着、可能とするよう下向きに折曲させた仮止め板の基端に樹脂製の被覆部が施され、同基端がわ中途適所の肉厚方向に穿設された係脱孔が、上下移動自在且つ嵌着用ブロック上面壁との間に、当該型枠パネル上端縁水平面壁を挟み込んだ場合には、その弾性力によって仮固定可能とするよう遊嵌されてなるものとした、請求項1または2何れか一項記載の養生シート用支持金具。
【請求項5】
支承部が、概略U字型に形成され、横架材となる木製の貫板の適所を係合、支持可能に形成された、請求項1ないし4何れか一項記載の養生シート用支持金具。
【請求項6】
複数枚の型枠パネルを用いて、鉄筋コンクリート基礎用の成型空間を設定する如く鉛直状の対峙面壁を形成するよう組み立てる型枠パネル設置工程の後、該成型空間内に生コンクリートを充填するコンクリート充填工程を行うと同時か、またはその前後の何れかの段階に、適宜間隔置きとなるよう任意に選択された各型枠パネルの上端縁の夫々に、養生シート用支持金具の取り付き部を着脱自在に仮固定させる支持金具装着工程、および、それら養生シート用支持金具の各支承部間に横架材を載架する横架材装架工程を行い、後の養生シート覆設・養生工程により、同横架材上方から鞍掛け状とするよう、両側の型枠パネル背面がわに掛けて養生シートを覆設し、所定時間に亘ってコンクリートを被覆、養生させ、撤収工程によって養生を完了した基礎コンクリートから、養生シート、横架材、養生シート用支持金具、型枠パネルおよび各種緊結金具類を撤収するよう設定されてなる、請求項1ないし5何れか一項記載の養生シート用支持金具を用いた鉄筋コンクリート基礎の施工方法。
【請求項7】
複数枚の型枠パネルを用いて、鉄筋コンクリート基礎用の成型空間を設定する如く鉛直状の対峙面壁を形成するよう組み立てる型枠パネル設置工程の後、該成型空間内に生コンクリートを充填するコンクリート充填工程を行うと同時か、またはその前後の何れかの段階に、適宜間隔置きとなるよう任意に選択された各型枠パネルの上端縁の夫々に、養生シート用支持金具の取り付き部を着脱自在に仮固定させる支持金具装着工程、および、それら養生シート用支持金具の各支承部間に横架材を載架する横架材装架工程を行い、後の養生シート覆設・養生工程により、同横架材上方から鞍掛け状とするよう、両側の型枠パネル背面がわに掛けて養生シートを覆設し、所定時間に亘ってコンクリートを被覆、養生させ、該養成中の適時に、養生シートの一部または全部を剥ぎ、型枠パネルの上端縁と、横架状に支持された横架材との間から、コンクリート基礎上部の点検、補修ならびに天端レベラーの供給を行い、再度養生シートを被せ直して養生を完了させ、撤収工程によって養生を完了した基礎コンクリートから、養生シート、横架材、養生シート用支持金具、型枠パネルおよび各種緊結金具類を撤収するよう設定されてなる、請求項1ないし5何れか一項記載の養生シート用支持金具を用いた鉄筋コンクリート基礎の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−82117(P2008−82117A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266101(P2006−266101)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(506328701)
【出願人】(506328712)
【Fターム(参考)】