説明

餌料培養方法及びその装置

【課題】安定した餌料の培養を行う。
【解決手段】MNB発生装置21は海水に気体を導入してマイクロナノバブル(MNB)を発生させる。MNB水生成槽22ではMNB発生装置21からマイクロナノバブルが海水に供されてMNB水が生成する。培養槽12はMNB水生成槽22からMNB水を導入して餌料を培養する。前記気体は空気または濃縮酸素ガスが挙げられる。培養槽12内の培養液は膜処理装置によって餌料成分を除去した後にMNB水生成槽22に供すると培養槽12に供されるMNB水を増加できる。前記餌料成分を除去した培養液を生物学的な酸化処理に供すると培養槽12内の培養液のアンモニア態窒素濃度を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は海産類仔稚魚の種苗生産において初期飼育餌料として使用するワムシ等の餌料の培養技術に関する。
【背景技術】
【0002】
海産魚類の人工種苗生産は、動物プランクトンであるシオミズツボワムシを仔稚魚の初期餌料に使えることが発見された以降、大きく進歩し、その後のワムシの大量培養法の研究と共に人工種苗生産が発展してきた。仔稚魚の餌となるワムシは海産分野で通称L型ワムシと称されるシオミズツボワムシ(Brachionus plicatilis)とS型ワムシと称されるBrachionus rotundiformis(和名なし)が代表種である。
【0003】
この2種のワムシは多くの海産魚種苗の初期餌料として各地の栽培漁業機関や養殖施設で大量培養されている。ワムシの培養法には、例えば、一定水量にワムシの元種として使う植え継ぎ培養法や、一定密度に達したら一部を培養水ごと抜き取ってクロレラまたは海水を加えながら一週間から数週間にわたって培養を継続する間引き培養法がある(非特許文献1等)。
【0004】
また、図5に例示された餌料培養装置5のように、海水、クロレラを培養槽に自動供給しながら散気により酸素供給と攪拌をしながらワムシを培養し、収穫槽にてワムシの収穫を行う連続培養法がある(非特許文献2等)。この方法によると高密度のワムシを1ヶ月程度連続培養できる。
【0005】
餌料培養装置5は培養槽12と収穫槽13とを備える。培養槽12には海水と淡水クロレラ14が供給される。前記海水は精密ろ過装置11を介してポンプP1によって供される。淡水クロレラ14はポンプP2によって供される。培養槽12内には散気装置15と温度調節器16が設置されている。散気装置15は大気から導入した空気を供給する。温度調節器16は散気装置15によって攪拌された培養液と接触した際の熱交換により前記培養液の温度を調節する。培養液12内の培養液はオーバーフローまたは図示省略されたポンプによって収穫槽13に供給される。また、前記培養液は定期的にドレン弁17によって定量的に引き抜かれる。収穫槽13には強化餌料18がポンプP3によって供給される。以上述べた装置類は制御装置19によって動作制御される。
【0006】
一方、近年マイクロナノバブル(以下、MNBと称す)という気泡径が50μm以下の気泡における特徴的な性質が注目されている(非特許文献3等)。MNBには以下の特徴がある。
【0007】
気体の溶解効率が高い。上昇速度が遅い。表面張力との釣り合いにより気泡内圧力が高い。気泡表面が負に帯電している。生物に作用させると生理活性作用を奏する。MNBが対流するために高拡散性である。
【0008】
このような特徴をもつMNBの発生方法としては例えば以下のものが挙げられる。
【0009】
乱流・せん断法は気液が接触する場所で羽根車等を回転させるかまたは気液流体を物体に衝突させ気泡を発生させている。発生する気泡の径は20μm〜1mmである。
【0010】
旋回流法はノズル内で気液二相流体を高速旋回させてノズル出口付近における内外の気液二相流体の旋回速度差で切断、気泡を発生させている。発生する気泡の径は10〜80μmである。
【0011】
加圧溶解法はヘンリーの法則を利用して加圧下で液体に気体を溶解させ、その後、減圧開放させて気泡を発生させている。発生する気泡の径は10〜100μmである。気泡高濃度である。
【0012】
細孔法は多孔質体、膜、フィルター等の細孔に気体を通過させることで気泡を発生させている。発生する気泡の径は20μm〜1cmである。
【0013】
超音波法は液体中に超音波を発生させ、その急激な圧力低下により液体に溶存している気体を析出させて気泡を発生させている。発生する気泡の径は10μm以下である。
【0014】
流路拡大法は気液流にベンチュリ管等により流路を拡大させ、圧力変動に伴う衝撃波により気泡を発生させている。発生する気泡の径は10μm〜1mmである。高ボイド率である。
【非特許文献1】田中賢二,「海産ワムシの大量培養法とその利用」,用水と廃水,46,5,2004,pp.355〜363
【非特許文献2】日野明徳,「養殖施設ガイド 形態別施設の概要 餌料生物・海産ワムシの培養施設」,養殖 39,4,2002,pp.43〜46
【非特許文献3】大成博文,「マイクロバブルの基礎」,泡のエンジニアリング,2005,pp.423〜429
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ワムシの連続培養では、ワムシの固体密度を高くし(数千〜数万固体/ml)、大量培養を行っている。このため、培養中の溶存酸素濃度を高く保つ必要があり、大量の空気により散気している。溶存酸素が不足すればワムシの増殖は著しく抑えられる。
【0016】
しかし、ワムシはその個体数が多くなればなるほど多くの酸素供給が必要となるが、振とうや機械的攪拌などの物理的な衝撃に弱く、強力な攪拌等によって酸素供給速度を上げることができない。
【0017】
また、ワムシから発生するアンモニア濃度が培養中で上昇するとワムシの増殖は抑制される。アンモニアは水中ではpHが中性以下ではNH4+とOH-に乖離しているが、アルカリ性となると非乖離状態のNH3が増加し、これはNH4+より毒性が強い。そのため、培養液のpHを中性以下と保つようにpH調整を実施する場合がある。しかしながら、連続培養時間が長くなると毒性が低いとはいえNH4+濃度の上昇がワムシの増殖に悪影響を及ぼす。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そこで、請求項1の餌料培養方法は、海水に気体を導入してマイクロナノバブルを発生させる工程と、前記マイクロナノバブルを海水に供給してマイクロナノバブル水を生成させる工程と、マイクロナノバブル水を利用して餌料を培養する工程とを有する。本発明によればマイクロナノバブルは高溶解性であるので餌料の培養に供される海水の溶存酸素濃度を高めることができる。また、マイクロナノバブルは高拡散性であるので餌料の培養系内に均等に酸素を供給させることができる。
【0019】
請求項2の餌料培養方法は、請求項1の餌料培養方法において、前記培養する工程の培養液から餌料をろ過膜によって分離した後に前記マイクロナノバブル水を生成する工程に供する。本発明によれば餌料が分離除去された培養液がマイクロナノバブル水を生成する工程に供されるので餌料の培養工程に供されるマイクロナノバブル水を増加できる。
【0020】
請求項3の餌料培養方法は、請求項2の餌料培養方法において、前記餌料が分離された培養液を生物学的に酸化処理した後に前記マイクロナノバブル水を生成する工程に供する。本発明によれば前記餌料が分離された培養液が生物学的に酸化処理されることにより前記培養液に含まれるアンモニア態窒素が酸化除去されるので、餌料の培養液におけるアンモニア態窒素の蓄積が減少し、餌料の安定した連続培養を行える。
【0021】
請求項4の餌料培養方法は、請求項1から3のいずれかの餌料培養方法において、前記気体は空気または濃縮酸素ガスである。本発明のように空気または酸素によって発生させたマイクロナノバブル水を餌料の培養系に供給することで、強攪拌等の餌料にストレスを与えずに培養系内に均等に溶存酸素の供給を行うことができるので、安定した餌料の培養を行える。特に、酸素によって発生させたマイクロナノバブル水を餌料の培養系に供給することで、餌料の培養系の溶存酸素濃度を一層高めることできる。
【0022】
また、請求項5の餌料培養装置は、海水に気体を導入してマイクロナノバブルを発生させるマイクロナノバブル発生装置と、このマイクロナノバブル発生装置からマイクロナノバブルを海水に供給してマイクロナノバブル水を生成させるマイクロナノバブル水生成槽と、このマイクロナノバブル水生成槽からマイクロナノバブル水を導入して餌料を培養する培養槽とを備える。本発明によればマイクロナノバブルは高溶解性であるので餌料の培養槽に供される海水の溶存酸素濃度を高めることができる。また、マイクロナノバブルは高拡散性であるので餌料の培養槽内に均等に酸素を供給させることができる。
【0023】
請求項6の餌料培養装置は、請求項5の餌料培養装置において、前記培養槽内の培養液から餌料をろ過膜によって分離する膜処理装置を備え、前記膜処理装置によって餌料が分離された培養液が前記マイクロナノバブル水生成槽に返送される。本発明によれば餌料が分離除去された培養液がマイクロナノバブル水生成槽に供されるので、餌料の培養槽に供されるマイクロナノバブル水を増加させることできる。
【0024】
請求項7の餌料培養装置は、請求項6の餌料培養装置において、前記餌料が分離された培養液を生物学的に酸化処理する生物浄化槽を備え、この生物浄化槽によって処理された培養液が前記マイクロナノバブル水生成槽に返送される。本発明によれば前記餌料が分離された培養液が生物学的に酸化処理されることにより前記培養液に含まれるアンモニア態窒素が酸化除去されるので、培養槽内の培養液におけるアンモニア態窒素の蓄積が減少し、餌料の安定した連続培養を行える。
【0025】
請求項8の餌料培養装置は、請求項5から7のいずれかの餌料培養装置において、酸素を濃縮する濃縮酸素供給装置を備え、この濃縮酸素供給装置から供給された濃縮酸素ガスを前記マイクロナノバブル発生装置が導入する。本発明のように酸素が濃縮されたガスによって得たマイクロナノバブル水を餌料の培養槽に供給することで、強攪拌等の餌料にストレスを与えることなく培養系内に均等に溶存酸素の供給を行うことができる。これにより、安定した餌料の培養を行えると共に餌料の培養系の溶存酸素濃度を一層高めることできる。
【発明の効果】
【0026】
したがって、以上の発明によれば安定した餌料の培養を行える。特に、請求項3及び7の発明によれば餌料の安定した連続培養を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は発明の第一の実施形態に係る餌料培養装置1の概略構成図である。
【0028】
餌料培養装置1は、餌料の一例としてワムシを連続的に培養する装置であって、培養液の溶存酸素濃度を上昇させる手段としてマイクロナノバブル(以下、MNBと称す)を連続供給できる機構を備える。
【0029】
餌料培養装置1は従来の培養装置に係る餌料培養装置5の構成においてMNB発生装置21とMNB水生成槽22とを備える。
【0030】
MNB発生装置21はMNB水生成槽22から液相を導入すると共に大気中から空気を導入してMNBを発生させる。MNB発生装置21は例えば乱流・せん断法、旋回流法、加圧溶解法、細孔法、超音波法、流路拡大法のいずれかが適用されたものが挙げられる。尚、MNB発生装置21は制御装置19によって動作制御される。
【0031】
MNB水生成槽22はポンプP1によって供給されたろ過処理済みの海水とMNB発生装置21から供されたMNBとを混合させる。MNB水生成槽22内の液相はオーバーフローによって培養槽12に移行させている。MNB水生成槽22内の液相がポンプで培養槽12に搬送させるとMNBが重合しMNB密度が減少するので、前記オーバーフローによればMNB密度の減少を防止できる。MNB水生成槽22を設けることでMNB発生時に生じる対流が培養槽12へ影響しない。
【0032】
図1を参照しながら餌料培養装置1の動作例について説明する。
【0033】
海水がポンプP1によってMNB水生成槽22に供給される。海水はポンプP1の吸引力によって精密ろ過装置11を通過する過程でろ過処理される。一方、MNB水生成槽22ではMNB発生装置21によって発生されたMNBが前記導入された海水と混ざり合い、MNB水が生成する。MNB水生成槽22内のMNB水はオーバーフローによって培養槽12に移行する。MNB発生装置21によって発生したMNBは高溶解性であるので餌料の培養槽12に供される海水の溶存酸素濃度が高まる。また、MNBは高拡散性であるので餌料の培養槽12内に均等に酸素を供給させることができる。
【0034】
MNB水が供された培養槽12内の培養液にはポンプP2によって淡水クロレラ14が添加される。淡水クロレラ14が添加された培養液は散気装置15によって空気が供給されることで攪拌され且つ溶存酸素濃度が維持されると共に温度調節器16によって淡水クロレラ14の培養に適切な温度に調節される。そして、培養槽12内の培養液はオーバーフローまたはポンプによって収穫槽13に移送される。収穫槽13の培養液にはポンプP3によって強化餌料18が適宜に添加される。強化餌料18は、例えば海産クロレラ、油脂酵母等が挙げられ、養殖する海産動物の種類に応じて適宜に選択されて使用される。
【0035】
図2は発明の第二の実施形態に係る餌料培養装置2の概略構成図である。
【0036】
餌料培養装置2は餌料培養装置1のMNB発生装置21に濃縮酸素供給装置23を備えている。MNB発生装置21は濃縮酸素供給装置23から供給された濃縮酸素ガスを利用して酸素からなる酸素MNBを発生させる。この酸素MNBにより餌料培養装置1よりもさらに酸素濃度を高めた海水の供給ができるようになる。尚、濃縮酸素供給装置23としては圧力スイング吸着法(PSA法)や酸素富化膜法に基づくものが例示される。
【0037】
図2を参照しながら餌料培養装置2の動作例について説明する。
【0038】
海水がポンプP1によってMNB水生成槽22に供給される。海水はポンプP1の吸引力によって精密ろ過装置11を通過する過程でろ過処理される。一方、MNB発生装置21は濃縮酸素供給装置23から濃縮酸素ガスを導入して酸素MNBを発生させる。この酸素MNBはMNB水生成槽22内で海水と混ざり合い、酸素MNB水が生成する。MNB水生成槽22内の酸素MNB水はオーバーフローによって培養槽12に移行する。酸素MNB水が供給された培養槽12内の培養液にはポンプP2によって淡水クロレラ14が添加される。淡水クロレラ14が添加された培養液は散気装置15によって空気が供給されることで攪拌されると共に温度調節器16によって淡水クロレラ14の培養に適切な温度に調節される。そして、培養槽12内の培養液はオーバーフローまたはポンプによって収穫槽13に移送される。収穫槽13の培養液にはポンプP3によって強化餌料18が適宜に添加される。
【0039】
以上のように餌料培養装置2では濃縮酸素ガスによって生成させた酸素MNB水を餌料の培養槽12に供給しているので培養槽12の培養液の溶存酸素濃度をより一層高めることができる。
【0040】
図3は発明の第三の実施形態に係る餌料培養装置3の概略構成図である。
【0041】
餌料培養装置1及び2のMNBの供給量は導入される海水の量と同量であり、それ以上の海水量を投入することはできない。そこで、餌料培養装置3では投入するMNB水量を増加させるため、培養槽12の培養液のろ過液をMNB水生成槽22に返送することにより、投入するMNB水量を増加供給できるようにしている。
【0042】
培養液をろ過するための膜処理装置24は培養槽12の培養液に浸漬されるように設置される。膜処理装置24のろ過膜はワムシが通過できない10μm以下の孔径であればその材料の種類は限定しない。ろ過液をMNB水生成槽22に返送させるポンプP4は膜処理装置24とMNB水生成槽22とを連結させた配管に設置されている。
【0043】
図3を参照しながら餌料培養装置3の動作例について説明する。
【0044】
海水がポンプP1によってMNB水生成槽22に供給される。海水はポンプP1の吸引力によって精密ろ過装置11を通過する過程でろ過処理される。一方、MNB発生装置21は空気または酸素を導入してMNBを発生させる。前記酸素は前述の濃縮酸素供給装置から導入すればよい。このMNBはMNB水生成槽22内で海水と混ざり合い、MNB水が生成する。MNB水生成槽22内のMNB水はオーバーフローによって培養槽12に移行する。MNB水が供された培養槽12内の培養液にはポンプP2によって淡水クロレラ14が添加される。淡水クロレラ14が添加されたMNB水は散気装置15によって空気が供給されることで攪拌され且つ溶存酸素濃度が維持されると共に温度調節器16によって淡水クロレラ14の培養に適切な温度に調節される。また、培養槽12内の培養液はオーバーフローまたはポンプによって収穫槽13に移送される。一方、一部の培養液はポンプP4によってMNB水生成槽22に返送される。この返送の過程で培養液に含有するワムシが膜処理装置24によって分離される。分離されたワムシは培養槽12内に留まる。
【0045】
以上のように餌料培養装置3では餌料が分離除去された培養液がMNB水生成槽22に供されるので餌料の培養槽12に供されるMNB水を増加させることができる。
【0046】
図4は発明の第四の実施形態に係る餌料培養装置4の概略構成図である。
【0047】
餌料培養装置4は、培養槽12内に蓄積するアンモニア態窒素を除去するためのもので、餌料培養装置3の膜処理装置24とMNB水生成槽22との間に生物浄化槽25を備える。生物浄化槽25はポンプP4とMNB水生成槽22との間に配置されている。生物浄化槽25は養殖システム等で養殖水中に蓄積する魚の排泄物に含まれるアンモニア態窒素等を酸化処理するものとして一般的な生物膜法の他に例えば浸漬ろ床法、散水ろ床法、回転円板法等が挙げられる。尚、生物浄化槽25はアンモニア態窒素が生物的に除去できるものであればよいので、前記例示された生物学的処理法に限定されない。
【0048】
図4を参照しながら餌料培養装置4の動作例について説明する。
【0049】
海水がポンプP1によってMNB水生成槽22に供給される。海水はポンプP1の吸引力によって精密ろ過装置11を通過する過程でろ過処理される。一方、MNB発生装置21は空気または酸素を導入してMNBを発生させる。前記酸素は前述の濃縮酸素供給装置から導入すればよい。このMNBはMNB水生成槽22内で海水と混ざり合い、MNB水が生成する。MNB水生成槽22内のMNB水はオーバーフローによって培養槽12に移行する。
【0050】
培養槽12に導入されたMNB水にはポンプP2によって淡水クロレラ14が添加される。淡水クロレラ14が添加されたMNB水は散気装置15によって空気が供給されることで攪拌され且つ溶存酸素濃度が維持されると共に温度調節器16によって淡水クロレラ14の培養に適切な温度に調節される。また、培養槽12内の培養液はオーバーフローまたはポンプによって収穫槽13に移送される。
【0051】
一方、培養槽12内の一部の培養液はポンプP4によって生物浄化槽25に供された後にMNB水生成槽22に返送される。この返送の過程で培養液に含有するワムシは膜処理装置24によって分離される。分離されたワムシは培養槽12内に留まる。そして、生物浄化槽25では担体に生息した微生物群によって膜処理装置24のろ過液に含有するアンモニア態窒素が亜硝酸態窒素、さらには硝酸態窒素に酸化する。尚、生物浄化槽25が脱窒機能を有している場合は前記硝酸態窒素は窒素ガスの形態で大気中に開放される。
【0052】
以上のように餌料培養装置4によれば培養槽12に供給されるMNB水量を増加させることができると共に培養槽12に蓄積するアンモニア態窒素を除去できる。したがって、培養槽12内の培養液におけるアンモニア態窒素の蓄積が減少し、餌料の安定した連続培養を行える。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】発明の第一の実施形態に係る餌料培養装置の概略構成図。
【図2】発明の第二の実施形態に係る餌料培養装置の概略構成図。
【図3】発明の第三の実施形態に係る餌料培養装置の概略構成図。
【図4】発明の第四の実施形態に係る餌料培養装置の概略構成図。
【図5】従来の餌料培養装置の概略構成図。
【符号の説明】
【0054】
1,2,3,4…餌料培養装置
11…精密ろ過装置
12…培養槽
13…収穫槽
14…淡水クロレラ
15…散気装置
16…温度調節器
17…ドレン弁
18…強化餌料
19…制御装置
21…MNB発生装置
22…MNB水生成槽
23…濃縮酸素供給装置
24…膜処理装置
25…生物浄化槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水に気体を導入してマイクロナノバブルを発生させる工程と、
前記マイクロナノバブルを海水に供給してマイクロナノバブル水を生成させる工程と、
マイクロナノバブル水を利用して餌料を培養する工程と
を有することを特徴とする餌料培養方法。
【請求項2】
前記培養する工程の培養液から餌料をろ過膜によって分離した後に前記マイクロナノバブル水を生成する工程に供すること
を特徴とする請求項1に記載の餌料培養方法。
【請求項3】
前記餌料が分離された培養液を生物学的に酸化処理した後に前記マイクロナノバブル水を生成する工程に供すること
を特徴とする請求項2に記載の餌料培養方法。
【請求項4】
前記気体は空気または濃縮酸素ガスであること
を特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の餌料培養方法。
【請求項5】
海水に気体を導入してマイクロナノバブルを発生させるマイクロナノバブル発生装置と、
このマイクロナノバブル発生装置からマイクロナノバブルを海水に供給してマイクロナノバブル水を生成させるマイクロナノバブル水生成槽と、
このマイクロナノバブル水生成槽からマイクロナノバブル水を導入して餌料を培養する培養槽と
を備えたことを特徴とする餌料培養装置。
【請求項6】
前記培養槽内の培養液から餌料をろ過膜によって分離する膜処理装置を備え、
前記膜処理装置によって餌料が分離された培養液が前記マイクロナノバブル水生成槽に返送されること
を特徴とする請求項5に記載の餌料培養装置。
【請求項7】
前記餌料が分離された培養液を生物学的に酸化処理する生物浄化槽を備え、
この生物浄化槽によって酸化処理された培養液が前記マイクロナノバブル水生成槽に返送されること
を特徴とする請求項6に記載の餌料培養装置。
【請求項8】
酸素を濃縮する濃縮酸素供給装置を備え、
この濃縮酸素供給装置から供給された濃縮酸素ガスを前記マイクロナノバブル発生装置が導入すること
を特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の餌料培養装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−34048(P2009−34048A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201597(P2007−201597)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】