説明

首枕

【課題】 頭が不自然に傾くのを抑制できる首枕を提供する。
【解決手段】 首枕1は、首の後ろに配置されて横方向に延びる連結部材2と、連結部材2の一方端部上に位置し、頭の後ろから左顎の下にまで延びる立体形状の第1クッション材3と、連結部材2の他方端部上に位置し、頭の後ろから右顎の下にまで延びる立体形状の第2クッション材4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、首を保護する首枕に関し、特に車の座席やチャイルドシートに座った人の首を保護する首枕に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2004−8755号公報(特許文献1)および特開2002−67769号公報(特許文献2)は、車の座席に座っている人の頭を安定させる枕を開示している。
【特許文献1】特開2004−8755号公報
【特許文献2】特開2002−67769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の先行技術文献に開示された枕は、着座者の頭または首の後ろに配置されるものであり、頭が不自然に傾くのを防止できない。
【0004】
車の座席やチャイルドシートに座っている人は、シートベルトを装着した状態のままで眠ることがあるが、その場合、一般的には頭が前方または側方に傾く。頭が前方または側方に傾いた状態が長く続くと、首が痛くなることがある。特に、首の発育が不十分な子供の場合、頭が不自然に前方または側方に傾いた状態が長く続くのは、好ましくない。
【0005】
この発明の目的は、頭が不自然に傾くのを抑制できる首枕を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従った首枕は、首の後ろに配置されて横方向に延びる連結部材と、連結部材の一方端部上に位置し、頭の後ろから左顎の下にまで延びる立体形状の第1クッション材と、連結部材の他方端部上に位置し、頭の後ろから右顎の下にまで延びる立体形状の第2クッション材とを備える。
【0007】
上記構成の本発明によれば、立体形状の第1クッション材および第2クッション材が使用者の左右の顎の下に位置するので、頭が不自然に前方または側方に傾くのを抑制でき、使用者は楽に眠ることができる。
【0008】
一つの実施形態では、第1クッション材および第2クッション材は、それぞれ、内側に湾曲した円錐形状を有している。また、好ましくは、第1クッション材および第2クッション材のうちの少なくとも一方は、連結部材に取り外し可能に接続されている。さらに好ましくは、第1クッション材と第2クッション材との間隔が調整可能である。
【0009】
他の実施形態では、連結部材は、第1クッション材と第2クッション材との間に位置する領域に、袋を有する。袋には、必要に応じて、パッドが入れられる。使用者が身体の小さい子供の場合、例えば、袋内には何も入れない。そして、子供が成長して大きな身体になった段階で、袋にパッドを入れる。パッドの存在は、首に対して心地良い感触を与える。使用者の好みに応じて、パッドを入れたり出したりしてもよい。袋は、例えば、連結部材の内部に位置し、その開口部が連結部材上に露出するようにしてもよい。
【0010】
連結部材の一方端部および他方端部が、それぞれ、下方に突出して使用者の肩に当接する突出部を有するものであってもよい。首枕の連結部材は、通常、使用者の首と座席の背もたれ部との間に位置するが、このような突出部を設ければ、首枕を適正な位置に保持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1〜図4は、この発明の一実施形態に係る首枕を示し、図5は、首枕の使用状態を示している。図示するように、首枕1は、首の後ろに配置されて横方向に延びる連結部材2と、連結部材2の一方端部上に位置し、頭の後ろから左顎の下にまで延びる立体形状の第1クッション材3と、連結部材2の他方端部上に位置し、頭の後ろから右顎の下にまで延びる立体形状の第2クッション材4とを備える。
【0012】
本明細書中に用いる「立体形状」という用語は、厚み方向の寸法が小さい平面形状と区別するものであり、縦、横および厚み方向のいずれにもある程度の大きさを有している形状のものを意味する。図示した実施形態の第1クッション材3および第2クッション材4は、それぞれ、内側に湾曲した円錐形状を有している。このような円錐形状のクッション材3,4であれば、それらが都合よく使用者の左右の顎の下に位置するようになる。他の実施形態として、第1クッション材および第2クッション材が、円柱状または棒状の形態を有していても良い。
【0013】
図示した実施形態では、第1クッション材3は連結部材2の一方端部上に固定して取付けられ、第2クッション材4は連結部材2の他方端部上に取り外し可能に接続されている。図3に示すように、連結部材2の他方端部上には面状ファスナ5が取付けられている。また、図4に示すように、第2クッション材4の底面には、上記の面状ファスナ5に係合する面状ファスナ6が取付けられている。したがって、第2クッション材4は、面状ファスナ5,6を介して、連結部材2の他方端部上に取り外し可能に接続される。
【0014】
2つの面状ファスナ5,6の接合箇所を横方向にずらすことにより、第2クッション材4の横方向位置を調節することができる。これにより、第1クッション材3と第2クッション材4との間隔を適宜調整できるので、使用者の首の大きさに適切に対応することができる。
【0015】
面状ファスナ5,6は接合手段の一例であり、他の構造のものを採用できるのは言うまでもない。
【0016】
なお、他の実施形態として、第1クッション材3および第2クッション材4の両者を連結部材2に対して取り外し可能に接続してもよいし、その逆に第1クッション材3および第2クッション材4の両者を連結部材2に固定して取り付けるようにしてもよい。
【0017】
図5に示すように、首枕1の使用状態では、第1クッション材3が使用者の左顎の下に位置し、第2クッション材4が使用者の右顎の下に位置しているので、使用者の頭が不自然に前方または側方に傾くのを抑制できる。
【0018】
図6は、この発明の他の実施形態に係る首枕を図解的に示す正面図である。図示する首枕10は、首の後ろに配置されて横方向に延びる連結部材11と、連結部材11の一方端部上に位置し、頭の後ろから左顎の下にまで延びる立体形状の第1クッション材13と、連結部材11の他方端部上に位置し、頭の後ろから右顎の下にまで延びる立体形状の第2クッション材12とを備える。
【0019】
図6に示した実施形態では、連結部材11は、第1クッション材13と第2クッション材12との間に位置する領域に、袋17を有する。袋17は、連結部材11の内部に位置し、その開口部16が連結部材11上にスリットとして現われている。袋17には、必要に応じて、パッドが入れられる。パッドの存在は、使用者の首に対して心地良い感触を与え得る。
【0020】
また、図示するように、連結部材11の一方端部および他方端部は、それぞれ、下方に突出して使用者の肩に当接する円弧状の突出部15,14を有する。首枕10の連結部材11は、通常、使用者の首と座席の背もたれ部との間に位置するが、このような突出部15,14を設ければ、首枕10を適正な位置に保持できる。
【0021】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
この発明は、首を保護する首枕として有利に利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態に係る首枕を示す斜視図である。
【図2】首枕の平面図である。
【図3】固定された連結部材と第1クッション材とを示す斜視図である。
【図4】第2クッション材を示す斜視図である。
【図5】首枕の使用状態を示す図である。
【図6】この発明の他の実施形態に係る首枕を示す図解的正面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 首枕、2 連結部材、3 第1クッション材、4 第2クッション材、5,6 面状ファスナ、10 首枕、11 連結部材、12 第2クッション材、13 第1クッション材、14,15 円弧状突出部、16 スリット、17 袋。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
首の後ろに配置されて横方向に延びる連結部材と、
前記連結部材の一方端部上に位置し、頭の後ろから左顎の下にまで延びる立体形状の第1クッション材と、
前記連結部材の他方端部上に位置し、頭の後ろから右顎の下にまで延びる立体形状の第2クッション材とを備える、首枕。
【請求項2】
前記第1クッション材および第2クッション材は、それぞれ、内側に湾曲した円錐形状を有している、請求項1に記載の首枕。
【請求項3】
前記第1クッション材および第2クッション材のうちの少なくとも一方は、前記連結部材に取り外し可能に接続されている、請求項1または2に記載の首枕。
【請求項4】
前記第1クッション材と前記第2クッション材との間隔が調整可能である、請求項1〜3のいずれかに記載の首枕。
【請求項5】
前記連結部材は、前記第1クッション材と前記第2クッション材との間に位置する領域に、袋を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の首枕。
【請求項6】
前記袋は、前記連結部材の内部に位置し、その開口部が連結部材上に露出している、請求項5に記載の首枕。
【請求項7】
前記連結部材の一方端部および他方端部は、それぞれ、下方に突出して使用者の肩に当接する突出部を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の首枕。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−204754(P2006−204754A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−23785(P2005−23785)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)
【Fターム(参考)】