説明

香り提供装置

【課題】意図しないタイミングでその香料成分が人に感ぜられることを抑えた、香料を放出しない時刻においては香料の放出されることを抑制した香り提供装置を提供することを課題とする。
【解決手段】円筒状で、内部の空洞が香料輸送気道となり、側面の一部に開口部を備える遮蔽筒と、内部に香料が収納され、該遮蔽筒の外面に設けられ、遮蔽筒側の側面に開口部を備える香料容器と、前記香料輸送気道の一端に送風可能な送風手段を備え、前記遮蔽筒と前記香料容器が密着しながらの相対的な回転動作によって前記香料容器内部と前記香料輸送気道を貫通状態とすること、および前記香料容器内部と前記香料輸送気道を非貫通状態とすることが可能であることを特徴とする香り提供装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料提供装置に関する。特には、回転式であり動画の進行に対応して定義される香りを提供可能な香り提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映画などの動画に対して、その再生と同期させ場面に応じた種類の香料を気化して人に提供するシステムが販売されている。
【0003】
香料は、動画の場面に応じて、複数種類の香料が予め用意され、場面に合わせて、気化して、人の鼻近近傍に供給される。
【0004】
これらのシステムでは、十種類以上の香料が用意される。(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
多種類の香料は一般に液体であることが多く、瓶などの容器に入れて提供される。香料は揮発性の成分によってなり、容器にわずかな隙間があるとそこから浸透浸出して周囲に匂いを放散させる。
【0006】
香料の空中への放出する方法は、香料を加熱して蒸気にする方法、瓶に入れられた香料の液面に存在する香料蒸気を取り出す方法、あるいは、香料をインクジェット法にもとづいて微粒子化し、空中に放出気化する方法がある。空中に放出された香料は蒸気圧の関係から自ずと気化するか、あるいは加熱されることで気化して人の鼻の位置まで流動して感知される。
【0007】
一般には、音声付動画の進行に合わせて定義された香りを進行に従って人に提供する。香りは、液体や固体によりなる香料が気化したものを人が感ぜられる位置に放出する。気化させる方法は加熱による方法や、超音波霧化器を用いる方法などがあり、その多くは、卓上に香料容器とともに設置して気化し、直径が1mmから数ミリの樹脂配管を通過させて人の顔面近傍に輸送する。また、インクジェット法に基づいて香料を気化する方法は、印刷用のインクジェット装置のように、インキ溜りに振動(音波、超音波を含む)を加えてその圧力の基づいて微小な放出口から放出される。
【0008】
さらには、複数の香りを人に提供するより小型で簡単な方法として、香料の入ったビーズを紙などに印刷しておき、操作者がビーズをつぶすことで内部の香料を放散させて所定の香りを出す方法も実施されている。この場合、視聴者は映画鑑賞中に所定のタイミングで所定の箇所に印刷された香料ビーズをつぶして、その場面に対して設定された香りを鑑賞することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−257126号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】月刊ディスプレイ 2010年9月号 Vo;16,No.9、pp.72−79(ISSN 1341−3961)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
複数の香りを個別の人に提供する装置は香料の入った多数の香料を有する必要があり、またその所定の香料の蒸気のみを人に提供する機構が必要なために大掛かりになる。そのため、通常の香り提供装置は、机の上などに設置され、気化した香料を配管を介して空気と一緒に送って人の鼻近傍に提供される。
【0012】
また、香料をビーズに格納して印刷したカードを用意して香りを提供する方法は、そのつど鑑賞者がビーズをつぶすために所定の箇所をこする必要があり、鑑賞者にとって非常にわずらわしい。
【0013】
香りを提供するための手段では、配管や気化装置の内面に香料成分が付着して、位置しないタイミングでその香料成分が人に感ぜられてしまう問題がある。特に本問題は、複数の香料を提供する場合に大きなものとなる。また、香料は香料容器に格納されて保管されるが、ごくわずかの隙間から香料成分が放散されて、意図しないタイミングで人に感ぜられてしまうことがある。
【0014】
つまり、動画の進行に合わせて香りを提供するに、香料を放出しない時刻においては香料の放出されない香り提供装置やその使用方法が求められている。
【0015】
本発明にあっては、装置の内面に香料成分が付着して、意図しないタイミングでその香料成分が人に感ぜられることを抑えた、香料を放出しない時刻においては香料の放出されることを抑制した香り提供装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために請求項1にかかる発明としては、円筒状で、内部の空洞が香料輸送気道となり、側面の一部に開口部を備える遮蔽筒と、内部に香料が収納され、該遮蔽筒の外面に設けられ、遮蔽筒側の側面に開口部を備える香料容器と、前記香料輸送気道の一端に送風可能な送風手段を備え、前記遮蔽筒と前記香料容器が密着しながらの相対的な回転動作によって前記遮蔽筒の開口部と前記香料容器の開口部を重ねることにより、前記香料容器内部と前記香料輸送気道を貫通状態とすることが可能であり、前記遮蔽筒と前記香料容器が密着しながらの相対的な回転動作によって前記遮蔽筒と前記香料容器の一方の開口部と一方の開口部以外の部分を重ねることにより、前記香料容器内部と前記香料輸送気道を非貫通状態とすることが可能であることを特徴とする香り提供装置とした。
また、請求項2にかかる発明としては、前記香料容器が遮蔽筒の外面に複数の香料室に分割され、該複数の香料室ごとに遮蔽筒側の側面に開口部を備えることを特徴とする請求項1記載の香り提供装置とした。
また、請求項3にかかる発明としては、前記送風手段が、前記香料輸送気道内部を送出方向及び送入方向に送風可能であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の香り提供装置とした。
また、請求項4にかかる発明としては、円筒状であり、内部に香料が収納され側面の一部に開口部を備える香料容器と、該香料容器の外面に接触するように設けられ、側面に開口部を備える遮蔽筒と、前記遮蔽筒外部に香料輸送気道と、該香料輸送気道の一端に送風手段を備え、前記香料容器と前記遮蔽筒が密着しながらの相対的な回転動作によって前記遮蔽筒の開口部と前記香料容器の開口部を重ねることにより、前記香料容器内部と前記香料輸送気道を貫通状態とすることが可能であり、前記遮蔽筒と前記香料容器が密着しながらの相対的な回転動作によって前記遮蔽筒と前記香料容器の一方の開口部と一方の開口部以外の部分を重ねることにより、前記香料容器内部と前記香料輸送気道を非貫通状態とすることが可能であることを特徴とする香り提供装置とした。
また、請求項5にかかる発明としては、前記筒状の香料容器が、内部が分割され複数の香料室を備え、各分割された香料室それぞれが開口部を備えることを特徴とする請求項4記載の香り提供装置とした。
また、請求項6にかかる発明としては、前記送風手段が、前記香料輸送気道内部を送出方向及び送入方向に送風可能であることを特徴とする請求項4または請求項5記載の香り提供装置とした。
【発明の効果】
【0017】
本発明の香り提供装置にあっては、香料輸送気道の側面に香料容器が設置される。これにより香料容器から香り出口までの距離を短くすることができ、装置内面への香料成分の付着を小さくすることができる。これにより、意図しない香料の放出を抑えることのできる香り提供装置とすることができる。なお、本発明の第1の実施形態にあっては、外側に香料容器を有し、内側に遮蔽筒があり、遮蔽筒内部が香料輸送気道となる。一方、本発明の第2の実施形態にあっては、内側に香料容器を有し、外側に遮蔽筒があり、遮蔽筒の外側に香料輸送気道を備える。
また、本発明の香り提供装置は送風手段を備える。送風手段によって送風手段から香り出口に向かって送出方向に送風することにより、香りを迅速に使用者に提供することができる。
また、本発明の香り提供装置は遮蔽筒と香料容器の回転動作により、香料容器と香料輸送気道を貫通状態とすること、非貫通状態とすることの切り替えをおこなうことを特徴とする。ここで、香料容器と香料輸送気道を貫通状態とした場合には香料容器から香料輸送気道に香料が放出され、香り出口から使用者に香りが提供される。一方、香料容器と香料輸送気道を非貫通状態とした場合には香料容器から香料輸送気道に香料が放出されない。すなわち、本発明の香り提供装置にあっては、香料容器と香料輸送気道を貫通状態とすること、非貫通状態とすることの切り替えを迅速におこなうことができ、適切なタイミングで香りを提供することのできる香り提供装置とすることができる。
また、本発明にあっては、香料容器が複数の香料室を備えることが好ましい。香料容器が香料室を複数備えることにより、複数の香りの提供をおこなうことができる。また、本発明にあっては、複数の香料室を備えた場合でも複数の香りを切り替え際に前後の香りが混ざることが少ない香り提供装置とすることができる。
また、本発明の香り提供装置にあっては、送風手段によって香り出口から送風手段に向かって送入方向に送風することにより、香料輸送気道に残留する意図しない不要な香りの回収を迅速におこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は第1の実施形態の構成全体を示す断面図である。
【図2】図2は第1の実施形態の一部分についての説明図である。
【図3】図3は第2の実施形態の構成全体を示す断面図である。
【図4】図4は第2の実施形態の一部分についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
図1および図2を用いて、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態の構成全体を示す断面図である。図2は第1の実施形態の一部分についての説明図である。図2(a)は香料容器の斜視図であり、図2(b)は遮蔽筒の斜視図であり、図2(c)は香料輸送容器の断面図である。
【0020】
図1、図2の香り提供装置にあっては、香料容器1は4つの香料室4を有する。香料容器はドーナツ状であり内面に円筒の貫通口を有しており、その壁面にそれぞれの香料室からの開口部を有している。
【0021】
香料容器の貫通口には、回転式の円筒状の遮蔽筒がすり合わせて密着するようにセットされる。遮蔽筒は、円筒状であり内部が香料輸送気道となる。遮蔽筒の直径と、香料容器の円筒状の貫通口の直径は略等しいか、あるいは別途互いのずり回転をスムーズにするための緩衝材(図示しない)が配置されている。
【0022】
遮蔽筒および香料容器は、遮蔽筒が香料容器に差し込まれた状態で回転する際に、香料容器のもついずれかの香料室の開口部と遮蔽筒の開口部を重ねることにより、貫通状態を形成することができる。また、回転により上記香料室の開口部と遮蔽筒の開口部の重ねられた面積を変更することで香りの強さを制御可能とすることができる。貫通状態となると当該香料容器の香料室内部の香料はその上記を遮蔽筒内部に放散させる状態をなす。
【0023】
図1に示すように、遮蔽筒はモーターに接続されていて、モータの回転に伴って遮蔽筒の開口部が香料容器のいずれの香料室と接続されるかを選択することができる。さらに、図2(c)に示す香料容器断面図に示すように、香料容器は香料室間にせり出し部を有し、せり出し部と遮蔽筒の開口部が重なる状態では、遮蔽筒と貫通状態となる香料容器の香料室は存在しなくなり非貫通状態となる。このとき、香料輸送気道に香料が提供されない状態を作ることができる。
【0024】
また、各香料室の内部には綿状の香料保持体が満たされている。香料保持体は香料室から液体の香料が液体として漏れ出さないために挿入するためのものである。あるいは、香料室の開口部には気体は通すが液体は通さないフィルム、あるいは多孔質セラミック板が配置されて同様の効果をもたせてもよい。
【0025】
また、香料容器は透明であることが望ましい。香料に着色して香料が上記となって消費される過程を外部から観察できて、香料不足を事前に察知して補充することが可能だからである。さらに図1及び図2に示すように香料容器はねじ式で外部ケースに固定される。つまり交換が容易である。
【0026】
図1の外部の電磁波による信号取り込み用アンテナ17は、制御手段と電池を有している。外部信号には、その時刻で放出する香料(開口状態にする香料室の有する香料)を示す情報、あるいは回転用モータに対して回転量指示情報が制御手段の指示に基づき提供される。電池は充電によって繰り返し使用可能な電池が用いられ、通信とモーター駆動、及び送入方向もしくは送出方向に送風可能な空気送風用ファンの動力となる。
【0027】
送風手段である空気送風用ファン8は制御手段の指示に基づき回転して外気取り組み口から周囲の大気を取り込み、香料輸送気道内で香り出口にむかって送出方向に送風し、香料輸送気道に面した貫通状態の香料室からの香料蒸気(香料)を伴って、香り出口から使用者に向かって香りが提供される。
【0028】
空気送風用ファンは、視聴コンテンツの進捗に従って提示される指示情報をうけた制御手段によって制御される。提供したい香料を格納した香料室の開口部に遮蔽筒の開口が互いの回転によって重なるまで、提供を意図しない香料を有した香料室の開口部と一時的に開口状態を生じる。遮蔽筒の回転移動中で香料提供を意図しない時刻においては、空気送風用ファンは、静止しているか、あるいは送入方向(香り出口から外気取り込み口方向)に送風して、香り出口の延長にある人の嗅覚に意図しない香りを感ぜられることを防ぐことができる。なお、送入された意図しない香りを含む空気は、活性炭保持部(香り除去フィルター)14により香りが吸着され外部に放出される。特に、本発明の香り提供装置を頭部に接近して用いる場合には、送入された意図しない香りを含む空気は、活性炭保持部14により香りが吸着され香りを含まない状態で外部に放出される必要がある。
【0029】
空気送風用ファンは、提供する香料蒸気の量を制御することができる。すなわち遅い場合は高濃度にする作用をもたらすことが出来る。また、空気送風用ファンの逆方向の回転を続けることで、香料輸送気道の内部や香り出口までの空気の通り道に残留や付着した香料成分を除去することが出来る。長い時間動作することで配管内部には様々な香料の成分が付着することから人に提供する香りの純度をあげるために有効な操作である。
【0030】
また、本発明にあっては、前記遮蔽筒と前記香料容器が密着しながらの相対的な回転動作によって貫通状態、非貫通状態が形成される。複数の香料室を備える際には、回転動作中において意図しない香りを備える香料室が貫通状態となり、意図しない香りが香料輸送気道に放出される場合がある。本発明にあっては、香りを切り替える際の遮蔽筒と香料容器の相対的な回転動作中に、送風手段を送入方向(香り出口から外気取り込み口方向)に送風するように制御することが好ましい。
【0031】
本実施例に示すように、円筒状の貫通口に対して円筒状の遮蔽筒をすり合わせて、密着し、それを回転する際に空気の提供を制御することで、多数の香料についてその放散を制御する弁を簡易な機構で実現でき、さらにすり合わせ機構により非貫通状態とすることで意図しない時刻での意図しない香料が人に輸送されることがない香り提供装置を実現できる。
【0032】
[第2の実施形態]
図3および図4を用いて、本発明の第2の実施形態について説明する。図3は第2の実施形態の構成全体を示す断面図である。図4は第2の実施形態の一部分についての説明図である。図4(a)は香料容器の斜視図であり、図4(b)は香料容器の断面図であり、図4(c)は香料容器と遮蔽筒をセットした断面図である。
【0033】
この香り提供装置は、円筒形の外周面を持つ香料容器を用いる。香料容器の持つ香料室は全て外周面側に開口部を有し、当該開口部を遮蔽する遮蔽筒は外側から円筒状に香料容器を覆っている。送風手段である空気送風用ファンは、円筒形香料容器のある位置(図3における図面上部)にのみ香料輸送気道を有する。つまり図3は、香料輸送気道の通過する断面を描いている。遮蔽筒はこの実施例では回転せず、その代わり円筒形の香料容器が遮蔽筒と相対的に回転する。回転は香料輸送気道の設置されたとは異なる位置で(この場合図3の下方側)設置され、回転用歯車を介して円筒形香料容器自体を回転させることで、香料輸送気道の位置に位置する香料室(香料)を選ぶことができる。
【0034】
第2の実施形態では、香料容器と遮蔽筒をすりあわせで使用して貫通状態を所定の香料室にのみとすることができる。開口状態を生じさせる意図のない香料室の開口部が遮蔽筒によって完全に密着可能で非貫通状態とすることができるのであれba,その機能に影響は無く採用が可能である。
【0035】
第2の実施形態では、円筒状の香料容器を重ねながら単一の香料輸送気道に接続することも可能である。よって多数の香料を保持することができる。また、円筒状の香料容器の外周部に香料輸送気道との貫通状態を生じさせることができることから第1の実施形態のように遮蔽筒内部の壁面に開口部の面積が限られることがない。香料容器の外周部は大きな面積を有することから、比較的大きな開口部を作ることが可能である。つまり、より効率よく香料を放出することができるという利点を有する。
【0036】
一方、第1の実施形態と比較して、香料容器と遮蔽筒が広い面積でする合わせ面(接触面)を有することから回転摩擦力が大きくなる。このために、円筒形香料容器を回転させるための回転用モータは外周部に形成しているが、香料容器の中心部位置に回転用モータを形成してもよいことは明らかである。
【0037】
また、第2の実施形態では比較的大きな開口部を有することから、第1の実施の形態と同様に開口部を通じて香料が液体のまま香料輸送気道に流れ出すことを防ぐために、気体のみを通過させる気体選択透過膜を有している。気体選択透過膜がない場合は、液体香料を保持する弁状の繊維を香料室につめてもよく、多孔質の香料含有材料を配してもよい。
【0038】
さらに、香料容器が回転する際に、香り提供を意図しない香料室の開口部に遮蔽筒の開口部が位置した場合に、ファンを送入方向あるいは静止することで意図しない香りが提供されることを防ぐことができる。本繰り返しになるが、本発明の香り提供装置にあっては、遮蔽筒と香料容器の相対的な回転動作中に送風手段を送入方向(香り出口から外気取り込み口方向)に送風するように制御することが好ましい。これにより複数の香料室を備える場合の回転動作中の意図しない香りの放出を防ぐことができる。なお、図3にあっては活性炭保持部(香り除去フィルター)は図示していないが、第2の実施形態にあっても活性炭保持部(香り除去フィルター)は設けることができる。
【0039】
図3に示す第2の実施形態では、香料容器の回転のためのモータは、回転用モータ支持部に保持されており、蝶番部を中心に取り外しが可能である。つまり外部ケースからを空けることで香料容器を取り出し交換することが可能で様々な組み合わせで香料を取り替えることができる。
【0040】
図4に香料容器の断面を記載するように、例えば8種類の香料を一つの香料容器に構成することができ、さらにはこれらを3重にセットすることで、先ほど述べたように24種類の香料をセット可能である。また、いずれの円筒形香料容器も、それぞれのいずれかのせり出し部を香料輸送気道の位置で静止することで、いずれの香料室の開口部も香料輸送気道に接続されない状態を作ることができ、香りの提供を意図しない時刻での待機位置とすることができる。また、本実施例では円筒形の内部の全てが香料室となっているが、いずれかの香料室を香料の無い状態、あるいは香りのしない液体を入れることで、その香料室が香料輸送気道室に位置したときに香りの提供を止めることができる。また、いずれかの香料室はその内部に、香料輸送気道の内部の壁面に付着した香料を除去したり、あるいは香らなくする薬剤を保持させてもよい。
【0041】
本発明の香り提供装置にあっては、第1の実施形態と第2の実施形態を組み合わせ、回転中心に近いほうに第1の実施形態の香り提供装置を設置し、回転中心から遠いほうに第2の実施形態の香り提供装置を設置することにより回転中心に対して2重の香料容器(香料室)を設けることができる。これによりより多くの香りを放出することができる。
【0042】
なお、本発明の香り提供装置にあっては、「円筒状の」遮蔽筒、「円筒状の」香料容器は、少なくとも側面の一部が円筒状であり、相対的な回転動作により貫通状態及び非貫通状態を形成することができるものであればよい。例えば、本発明の香り提供装置にあっては断面が扇形のような円周の一部を含むようなものであってもかまわない。ただし、図面に示したように側面すべてが円筒状であることが好ましい。
【符号の説明】
【0043】
1・・・香料容器
2・・・遮蔽筒
3・・・開口部
4・・・香料室
5・・・香料輸送気道
6・・・香料
7・・・回転モータ
8・・・ファン
9・・・外気取り込み口
10・・・制御手段
11・・・香り出口
12・・・貫通口
13・・・せり出し部
14・・・活性炭保持部(香り除去フィルター)
15・・・外部ケース
16・・・気体選択透過膜
17・・・アンテナ
18・・・回転用歯車
20・・・遮蔽筒
21・・・回転用モータ支持体
22・・・蝶番部
23・・・中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状で、内部の空洞が香料輸送気道となり、側面の一部に開口部を備える遮蔽筒と、
内部に香料が収納され、該遮蔽筒の外面に設けられ、遮蔽筒側の側面に開口部を備える香料容器と、
前記香料輸送気道の一端に送風可能な送風手段を備え、
前記遮蔽筒と前記香料容器が密着しながらの相対的な回転動作によって前記遮蔽筒の開口部と前記香料容器の開口部を重ねることにより、前記香料容器内部と前記香料輸送気道を貫通状態とすることが可能であり、
前記遮蔽筒と前記香料容器が密着しながらの相対的な回転動作によって前記遮蔽筒と前記香料容器の一方の開口部と一方の開口部以外の部分を重ねることにより、前記香料容器内部と前記香料輸送気道を非貫通状態とすることが可能である
ことを特徴とする香り提供装置。
【請求項2】
前記香料容器が遮蔽筒の外面に複数の香料室に分割され、該複数の香料室ごとに遮蔽筒側の側面に開口部を備えることを特徴とする請求項1記載の香り提供装置。
【請求項3】
前記送風手段が、前記香料輸送気道内部を送出方向及び送入方向に送風可能であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の香り提供装置。
【請求項4】
円筒状であり、内部に香料が収納され側面の一部に開口部を備える香料容器と、
該香料容器の外面に接触するように設けられ、側面に開口部を備える遮蔽筒と、
前記遮蔽筒外部に香料輸送気道と、
該香料輸送気道の一端に送風手段を備え、
前記香料容器と前記遮蔽筒が密着しながらの相対的な回転動作によって前記遮蔽筒の開口部と前記香料容器の開口部を重ねることにより、前記香料容器内部と前記香料輸送気道を貫通状態とすることが可能であり、
前記遮蔽筒と前記香料容器が密着しながらの相対的な回転動作によって前記遮蔽筒と前記香料容器の一方の開口部と一方の開口部以外の部分を重ねることにより、前記香料容器内部と前記香料輸送気道を非貫通状態とすることが可能である
ことを特徴とする香り提供装置。
【請求項5】
前記筒状の香料容器が、内部が分割され複数の香料室を備え、各分割された香料室それぞれが開口部を備えることを特徴とする請求項4記載の香り提供装置。
【請求項6】
前記送風手段が、前記香料輸送気道内部を送出方向及び送入方向に送風可能であることを特徴とする請求項4または請求項5記載の香り提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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