説明

香料入り鉛筆芯

【課題】 香料を含有した鉛筆芯の芳香を長期にわたり持続させる。
【解決手段】 自身が摩耗することによって筆跡を形成する多孔質の芯体に、自身が摩耗することによって筆跡を形成する多孔質の芯体に、シクロデキストリンと、香料成分とを含浸させることを特徴とする香料入り鉛筆芯。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも筆記による摩耗の際に香る、香料入り鉛筆芯に関する。
【背景技術】
【0002】
特開昭49−32726号公報(特許文献1)には、焼成した鉛筆芯に香料を含浸させ、筆記の際に香りが得られる鉛筆芯が開示されている。
【特許文献1】特開昭49−32726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示されているもののように、焼成した鉛筆芯に香料を含浸させたのみでは、鉛筆芯ケースから香料入りの鉛筆芯を取り出して、開放された状態に置かれると、徐々に香料が揮散し、例えばシャープペンシルの中のように外気と連通した環境に置かれていると1〜2週間余りで香りが消失されてしまい香りに持続性がないものであった。また、香料が鉛筆芯の摩耗促進剤としても機能しているため、これが揮散していくと、鉛筆芯の摩耗が阻害され、筆跡の濃度が薄くなる問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、自身が摩耗することによって筆跡を形成する多孔質の芯体に、香料成分とシクロデキストリンとを含浸した香料入り鉛筆芯を要旨とする。
【発明の効果】
【0005】
シクロデキストリンと、香料成分とを混合すると、シクロデキストリンと香料成分との混合物である、粘調なまたはゲル状の香料組成物が得られる。よって、芯体の気孔中に配置された状態で香料成分中の香料の揮発速度が抑制されると共に、シクロデキストリン成分の皮膜形成作用により、気孔の開口部分の一部又は全部が覆われて、香料成分が気孔から出て拡散することが抑制される。また、摩耗する直前まで香料成分が含浸された状態であるため、摩耗促進剤としても働き、筆跡の濃度が維持されると共に、摩耗によって多くの気孔が開放するので、筆記に伴って香料が揮散し、筆記者やその周囲に香りを提供することができる。
更に、シリコーンオイル、フッ素オイル、炭素と水素とのみからなる炭化水素オイルから選ばれる1種または2種以上の混合物を使用すると、含浸させる成分を気孔内へ浸透しやすくすることができる上に、長期に渡り放置されて香料が徐々に揮散しても、上記シリコーンオイル、フッ素オイル、炭素と水素とのみからなる炭化水素オイルはほとんど揮散せずに気孔中に残存し、摩耗促進剤として作用するため、濃度減少を継続的に抑えることができる。なかでもシリコーンオイルは、その撥水性によってシクロデキストリンが吸湿することを抑制し、香料組成物の粘調なまたはゲル状の状態が維持されやすく芳香の持続性が向上する。
また、シリコーンオイルの25℃における動粘度が、JIS K 2283に準じた測定方法で20mm/sから300mm/sであれば、含浸後の流動が少ないのでより確実に芯体内に留まり香料成分の揮発経路を狭めることができるので、芳香の持続性が向上して筆跡の濃度減少が抑えられると推察される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、香料とは香気を放つ成分そのものであり、また香料成分とは香料と及びそれを含有し、溶剤などの機能性配合成分や不純物などを各種含む組成物を包含するものである。例えば、植物性原料から圧搾、水蒸気蒸留などの手段により得られるラベンダー、ジャスミン、ローズ、ベルガモットなどの精油や、麝香鹿の香のうや抹香鯨の結石などの動物性原料を、各種溶媒により抽出し濃縮して得られるムスクやアンバーグリースなどの精油や、食品素材を圧搾抽出したり加熱処理を施すなどして得られる調理フレーバー、また、乳原料、脂質、タンパク質及び糖質等と微生物・酵素との化学反応により生成する微生物・酵素フレーバーや、エチルアセテート、プロピルアセテート、エチルブチレート、ベンジルアセテート、酢酸アミル、イソボルニルアセテート、フェニルエチルアルコール、ヘキシルアルコール、ターピネオール、ベンジルアルコールなどの合成香料が挙げられ、さらには、香気の立ち上がり強度や、香りのバランス、更には香りの持続性などを調整する際に使用される各種溶剤類が配合されている場合も含む。
【0007】
溶剤類は無臭有臭の区別なく使用できるもで、例えば、ピネン、セイリネン、サンタレンなどの炭化水素類、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの脂肪族アルコール類、テルピネオール、イソボルネオなどのテルペンアルコール類、サンタロール、セドロール、ランブテロールなどのセスキテルベンアルコール類、フェニルエチルアルコール、桂皮アルコールなどの芳香族アルコール類、パラクレゾール、チモールなどのフェノール類、ベンジルベンゾエート、イソオイゲノールなどのフェニルエーテル類、アグルメなどのC8〜C13の炭化水素鎖をもつ脂肪族アルデヒド類、シトラール、シトロネラなどのテルペンアルデヒド類、ベンズアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド類、シスジャスモン、メントンなどの環状ケトン類、ナノラクトンなどのラクトン類、ベンジルアセテート、ゲラニルアセテートなどのエステル類、インドール、メチルアンスラアニレートなどのニトロ化化合物類、蒸留水などを例示でき、これら溶剤を単独または複数種組み合わせて使用される。
これら香料成分を芯体の気孔中に含浸させる割合は任意でよいが、強く香りを感じたければ芯体重量に対して5重量%以上含浸させれば良い。
【0008】
シクロデキストリンは、環状オリゴ糖である。
本発明においては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンのいずれか1種若しくは2種以上を用いることができ、また、置換基を有してもよい。置換基を有するシクロデキストリンとしては、特に限定されず用いることが出来る。例えば、ヒドロキシルアルキル化シクロデキストリン、アルキル化シクロデキストリン、グルコキシル化シクロデキストリン、アミノ化シクロデキストリン、カルボキシメチル化シクロデキストリン、グルコース残基の少なくともその一部をヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシイソブチル、ジエチルアミノエチル、トリメチルアンモニウムプロピルなどの親水性官能基にしたシクロデキストリン、エピクロルヒドリンや多価グリシジルエーテルなどの架橋剤にて高分子化したシクロデキストリンポリマー、グルコース、マルノースなどの分岐側鎖を有する分岐シクロデキストリン、高度分岐環状デキストリン等のいずれか1種若しくは2種以上を用いることができる。
これらシクロデキストリンの含浸量は、芯体の重量に対して0.01重量%以上含浸させることで十分である。
【0009】
シリコーンオイル、フッ素オイル、炭素と水素とのみからなる炭化水素オイルとしては、以下のものが例示できる。
シリコーンオイルの一例として、ジメチルシリコーンオイル(KF96−50、KF96−100、以上、信越化学工業(株)製、TSF451−200、TSF451−300、以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、メチルフェニルシリコーンオイル(KF50−100、信越化学工業(株)製)、メチルハイドロジェンシリコーンオイル(KF99、信越化学工業(株)製)、アルキル変性シリコーンオイル(XF42−A3161、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。フッ素オイルの一例として、FOMBLIN HC/04、同 HC/25、以上、日光ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。炭素と水素とのみからなる炭化水素オイルの一例として、スクワラン、シンセラン4、PureSyn4、PureSyn10(以上、日光ケミカルズ(株)製)、ダフニーオイルCP 68N(出光興産(株)製)等が挙げられる。
シリコーンオイル、フッ素オイル、炭素と水素とのみからなる炭化水素オイルから選ばれる1種または2種以上の混合物の含浸量は、芯体の重量に対して0.1重量%以上含浸させることで十分である。また、動粘度が20mm/sより小さければ含浸後に芯体内での流動や芯体表面への流出が起き易くなり、300mm/sより大きくなると含浸し難くなる。香料成分に対して相溶し難い組み合わせとなるものを選択すれば、気孔内の香料成分を閉じ込める状態となってより香料の揮散を少なくすることが期待できるので好ましい。
【0010】
これらのシリコーンオイル、フッ素オイル、炭素と水素とのみからなる炭化水素オイルから選ばれる1種または2種以上の混合物、香料成分、シクロデキストリンを、芯体に含浸させる方法は限定されない。
例えば、先ず、溶媒(水、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸、エチレングリコール等)で溶解または分散したシクロデキストリンを含む液中に、芯体を浸漬してシクロデキストリンを含む液を気孔へ含浸させた後に溶媒を除去する。浸漬の際に30℃以上100℃以下の加温状態としても良い。次いで、シクロデキストリンが含浸された芯体を、香料成分に浸漬し、表面に残る香料成分を遠心分離器などで除去した後、シリコーンオイル、フッ素オイル、炭素と水素とのみからなる炭化水素オイルから選ばれる1種または2種以上の混合物に浸漬する。
また、シクロデキストリンが含浸された芯体を香料成分に浸漬してから表面に残る香料成分を遠心分離器などで除去した後に、40℃〜80℃の加温雰囲気で乾燥させ、香料成分の一部を揮散させて液体の入る空間を強制的に作り上げた後に、シリコーンオイル、フッ素オイル、炭素と水素とのみからなる炭化水素オイルから選ばれる1種または2種以上の混合物に芯体を浸漬させても良い。
更に、シクロデキストリンと香料成分とを予め混合した液やシクロデキストリン、香料成分、シリコーンオイル、フッ素オイル、炭素と水素とのみからなる炭化水素オイルから選ばれる1種または2種以上の混合物を予め混合した液に芯体を浸漬しても良い。
【0011】
更に、シャープペンシルのチャック把持の確実性を向上させるために、無機微粉末を芯表面に付着させても良い。付着させる無機微粉末は、劈開などによる形状の崩れが起き難い炭化珪素、アルミナ、チタニア、シリカ、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0012】
本発明に使用する、上述の各成分を含浸させる媒体となる芯体は、従来用いられている構成材料及び製造方法を限定なく用いることができる。
黒鉛や窒化硼素等の各種体質材と、粘土や各種合成樹脂などを結合材として使用し、必要に応じて使用される着色材、気孔形成材、可塑剤、溶剤などと共にニーダー、ヘンシェルミキサー、3本ロールなどで均一分散させ、押し出し成形後、800℃以上1200℃以下で高温焼成して得られる。
具体的には、粘土やポリ塩化ビニル、ポリ塩素化ポリエチレン、フラン樹脂、ポリビニルアルコール、スチロール樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂などの合成樹脂を結合材として使用し、黒鉛、窒化硼素、タルク、雲母などの体質材、必要に応じて使用される有機顔料や無機顔料などの着色材、ポリアミド、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの気孔形成材、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)などの可塑剤、水、アルコール、ケトン、エステル、芳香族炭化水素などの溶剤と共にニーダー、ヘンシェルミキサー、3本ロールなどで均一分散させた後に成形、高温焼成して黒色又は白色の焼成鉛筆が得られる。
【実施例】
【0013】
次に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<焼成芯体1の準備>
塩化ビニル樹脂 40重量部
黒鉛 50重量部
カーボンブラック 2重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合を配合物として、ニーダー及び3本ロールにより十分混練後、細線状に押し出し成形し、空気中で300℃まで加熱し、更に、不活性雰囲気で950℃に加熱し、焼成芯体1を得た。
【0014】
各実施例に使用したシクロデキストリン、香料成分、シリコーンオイル、フッ素オイル、炭素と水素とのみからなる炭化水素オイルから選ばれる1種または2種以上の混合物の組み合わせ及び配合比を、表1に「含浸成分組成表」として示す。
【0015】
【表1】

【0016】
<実施例1>
上記焼成芯体1をステンレス製の金網で出来た容器に入れ、上記含浸成分組成表(表1)中の含浸成分1で満たされたビーカ内に投入する。このビーカをマグネティックスターラー上に置き、スターラーの回転端子が焼成芯体1が入った金網容器と接触しないように調整しながら撹拌を行う。30℃の加温で24時間含浸後に焼成芯体1を引き上げ、芯体表面の余分な含浸成分1を遠心分離器で除去し、芯径0.572mmのベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体1に含浸している含浸成分1は、含浸成分1を含浸する前の焼成芯体1のみの重量に対して約14.0重量%であった。
【0017】
<実施例2>
実施例1において、含浸成分1を、上記含浸成分組成表(表1)中の含浸成分2に代えた以外は実施例1と同様にして、ローズの香り付き鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体1に含浸している含浸成分2は、含浸成分2を含浸する前の焼成芯体1のみの重量に対して約15.0重量%であった。
【0018】
<実施例3>
実施例1において、含浸成分1を、上記含浸成分組成表(表1)中の含浸成分3に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体1に含浸している含浸成分3は、含浸成分3を含浸する前の焼成芯体1のみの重量に対して約13.5重量%であった。
【0019】
<実施例4>
実施例1において、含浸成分1を、上記含浸成分組成表(表1)中の含浸成分4に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体1に含浸している含浸成分4は、含浸成分4を含浸する前の焼成芯体1のみの重量に対して約14.5重量%であった。
【0020】
<実施例5>
実施例1において、含浸成分1を、上記含浸成分組成表(表1)中の含浸成分5に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体1に含浸している含浸成分5は、含浸成分5を含浸する前の焼成芯体1のみの重量に対して約13.8重量%であった。
【0021】
<実施例6>
実施例1において、含浸成分1を、上記含浸成分組成表(表1)中の含浸成分6に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体1に含浸している含浸成分6は、含浸成分6を含浸する前の焼成芯体1のみの重量に対して約11.5重量%であった。
【0022】
<実施例7>
実施例1において、含浸成分1を、上記含浸成分組成表(表1)中の含浸成分7に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体1に含浸している含浸成分7は、含浸成分7を含浸する前の焼成芯体1のみの重量に対して約15.0重量%であった。
【0023】
<実施例8>
実施例1において、含浸成分1の含浸時間を8時間にした以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体1に含浸している含浸成分1は、含浸成分1を含浸する前の焼成芯体1のみの重量に対して約5.3重量%であった。
【0024】
<実施例9>
実施例1において、含浸成分1を、上記含浸成分組成表(表1)中の含浸成分8に代え、含浸時間を8時間とした以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体1に含浸している含浸成分8は、含浸成分8を含浸する前の焼成芯体1のみの重量に対して約5.5重量%であった。
【0025】
<実施例10>
実施例1において、含浸成分1を、上記含浸成分組成表(表1)中の含浸成分9に代え、含浸時間を8時間とした以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体1に含浸している含浸成分9は、含浸成分9を含浸する前の焼成芯体1のみの重量に対して約5.2重量%であった。
【0026】
<実施例11>
実施例5において、含浸成分5を含浸後、芯表面にシリカ微粉末を付着させてベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。
【0027】
<焼成芯体2の準備>
ベントナイト 20重量部
窒化硼素 50重量部
塩化ビニル樹脂 10重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合を配合物として、ニーダー及び3本ロールにより十分混練後、細線状に押し出し成形し、空気中で180℃まで加熱し、更に、不活性雰囲気で1000℃に加熱し、そして空気中で500℃に加熱して白色の焼成芯体を得る。この白色焼成芯体を下記赤色インキへ浸し30℃で24時間静置したのち芯体表面の余分なインキを遠心分離器で除去し赤色の焼成芯体2を得た。
【0028】
(赤色インキ)
赤色染料(染料、Sumifix HF Red G gran、ケムテックス(株)製)
30重量部
エチルアルコール(溶剤) 70重量部
上記配合物を混合して赤色インキを得た。
【0029】
<実施例12>
上記焼成芯体2をステンレス製の金網で出来た容器に入れ、上記含浸成分組成表(表1)中の含浸成分1で満たされたビーカ内に投入する。このビーカをマグネティックスターラー上に置き、スターラーの回転端子が焼成芯体2が入った金網容器と接触しないように調整しながら撹拌を行う。30℃の加温で24時間含浸後に焼成芯体2を引き上げ、焼成芯体2の表面の余分な含浸成分1を遠心分離器で除去し、芯径0.570mmのベルガモットの香り付き赤鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体2に含浸している含浸成分1は、含浸成分1を含浸する前の焼成芯体2のみの重量に対して約14.8重量%であった。
【0030】
<実施例13>
実施例12において、含浸成分1を、上記含浸成分組成表(表1)中の含浸成分5に代えた以外は実施例12と同様にして、ベルガモットの香り付き赤鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体2に含浸している含浸成分5は、含浸成分5を含浸する前の焼成芯体2のみの重量に対して約13.8重量%であった。
【0031】
<実施例14>
実施例1において、含浸成分1を、上記含浸成分組成表(表1)中の含浸成分10に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体1に含浸している含浸成分10は、含浸成分10を含浸する前の焼成芯体1のみの重量に対して約14.2重量%であった。
【0032】
<比較例1>
実施例1において、含浸成分1を、上記含浸成分組成表(表1)中の含浸成分11に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体1に含浸している含浸成分11は、含浸成分11を含浸する前の焼成芯体1のみの重量に対して約15.3重量%であった。
【0033】
<比較例2>
実施例1において、含浸成分1を、上記含浸成分組成表の(表1)中の含浸成分12に代えた以外は実施例1と同様にして、ローズの香り付き鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体1に含浸している含浸成分12は、含浸成分12を含浸する前の焼成芯体1のみの重量に対して約14.2重量%であった。
【0034】
<比較例3>
実施例1において、含浸成分1を、上記含浸成分組成表の(表1)中の含浸成分13に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体1に含浸している含浸成分13は、含浸成分13を含浸する前の焼成芯体1のみの重量に対して約14.2重量%であった。
【0035】
<比較例4>
実施例12において、含浸成分1を、上記含浸成分組成表の(表1)中の含浸成分11に代えた以外は実施例12と同様にして、ベルガモットの香り付き赤鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体2に含浸している含浸成分11は、含浸成分11を含浸する前の焼成芯体2のみの重量に対して約15.2重量%であった。
【0036】
<比較例5>
実施例12において、含浸成分1を、上記含浸成分組成表の(表1)中の含浸成分13に代えた以外は実施例12と同様にして、ベルガモットの香り付き赤鉛筆芯を得た。尚、焼成芯体2に含浸している含浸成分13は、含浸成分13を含浸する前の焼成芯体2のみの重量に対して約14.7重量%であった。
【0037】
以上、各実施例及び比較例の鉛筆芯について、通気のある室内に放置して、所定期間(ア:直後、イ:1週間放置、ウ:2週間放置、エ:1ヶ月放置)毎に取り出して、JIS S 6005の濃度測定で使用する画線機にて筆記し、それぞれの筆跡の濃度(単位D)を測定すると共に、無作為に選んだ10人のパネラーによって、その時得られた画線紙から芳香性が感じられたとするパネラーの割合を百分率にした。各結果を表2に示す。
【0038】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身が摩耗することによって筆跡を形成する多孔質の芯体に、香料成分とシクロデキストリンとを含浸した香料入り鉛筆芯。
【請求項2】
更に、シリコーンオイル、フッ素オイル、炭素と水素とのみからなる炭化水素オイルから選ばれる1種または2種以上の混合物とを含浸した請求項1記載の香料入り鉛筆芯。
【請求項3】
前記シリコーンオイル、フッ素オイル、炭素と水素とのみからなる炭化水素オイルから選ばれる1種または2種以上の混合物が、少なくともシリコーンオイルを含む請求項2記載の香料入り鉛筆芯。
【請求項4】
前記シリコーンオイルの25℃における動粘度が20mm/s以上300mm/s以下である請求項3記載の香料入り鉛筆芯。

【公開番号】特開2009−7496(P2009−7496A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171231(P2007−171231)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】