駆動モジュールおよびそれを備える電子機器
【課題】 駆動モジュールおよびそれを備えた電子機器において、組み立てが容易となり、駆動動作を安定させることができるようにする。
【解決手段】 駆動モジュール1は、レンズ枠4と、モジュール枠5と、モジュール枠5およびレンズ枠4に積層して配置され、レンズ枠4に一定方向に沿う付勢力を付与する上板ばね6、下板ばね7と、レンズ枠4を上板ばね6、下板ばね7の付勢力に抗して駆動するワイヤ保持部材15A、15Bに保持されたSMAワイヤ10と、モジュール枠5に積層配置されたモジュール下板8と、ワイヤ保持部材15A、15Bに電気的に接続され、互いの熱容量が等しい電極9a、9bを有しモジュール下板8上でこれに挿通された下側固定ピン14Bを挿通して積層配置された給電部材9を備え、上板ばね6、下板ばね7、給電部材が、それぞれかしめて固定された構成とする。
【解決手段】 駆動モジュール1は、レンズ枠4と、モジュール枠5と、モジュール枠5およびレンズ枠4に積層して配置され、レンズ枠4に一定方向に沿う付勢力を付与する上板ばね6、下板ばね7と、レンズ枠4を上板ばね6、下板ばね7の付勢力に抗して駆動するワイヤ保持部材15A、15Bに保持されたSMAワイヤ10と、モジュール枠5に積層配置されたモジュール下板8と、ワイヤ保持部材15A、15Bに電気的に接続され、互いの熱容量が等しい電極9a、9bを有しモジュール下板8上でこれに挿通された下側固定ピン14Bを挿通して積層配置された給電部材9を備え、上板ばね6、下板ばね7、給電部材が、それぞれかしめて固定された構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動モジュールおよびそれを備える電子機器に関する。例えば、光学系や可動部材を駆動して、焦点位置調整を行ったり、アクチュエータとして用いたりするのに好適となる駆動モジュールおよびそれを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、カメラ機能付き携帯電話などの小型の電子機器においては、撮影レンズユニットなどの被駆動体を駆動するために、例えば特許文献1に示される形状記憶合金ワイヤの伸縮を利用した駆動装置が提案されている。
【0003】
この特許文献1に示される駆動装置では、レンズが取り付けられる被駆動体としての第1の鏡枠と、この鏡枠の支持体となる第2の鏡枠とが設けられ、これら鏡枠が、ばね部材などの他の構成部材と螺子、接着などの固定手段で連結されることにより一体化された駆動モジュールを形成している。また、この一体化された駆動モジュールには形状記憶合金ワイヤ(SMAワイヤ)が張られており、この形状記憶合金ワイヤに対して電流を流すことによりジュール熱を発生させる。そして、この発熱によって形状記憶合金ワイヤを収縮させて、ばね部材の付勢力に抗してレンズユニットを吊り上げてその軸線方向に移動させるようにしている。
また、SMAワイヤは、両端部が第2の鏡枠の上端のそれぞれ離間した位置に設置され、長さ方向の中央の位置で、第1の鏡枠に対して下端側に張架して第1の鏡枠の下端に係止されている。そして、SMAワイヤの両端部に、フレキシブルプリント基板が電気的に接続され、このフレキシブルプリント基板が第2の鏡枠の側面および下面に沿って折り曲げて配置されている。
【特許文献1】特開2007―46561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に示された駆動装置では、SMAワイヤに電流を供給するために、フレキシブルプリント基板を折り曲げて配置するので、組立に手間がかかるという問題がある。
また、SMAワイヤの両端部にいたる配線長さが異なるため、配線の熱容量が異なり、SMAワイヤで発熱し、配線に伝わる熱の放熱特性がSMAワイヤの両端部で異なり、SMAワイヤの係止位置の両側において非対称な温度分布が発生する。このため、SMAワイヤの一方の端部側と他方の端部側とで、長さ方向の収縮量が異なり、被駆動体が傾いて動作することで安定した駆動を行うことができないという問題がある。また、第1の鏡枠のSMAワイヤが係止される部分とSMAワイヤとが擦れあう現象が発生し被駆動体の移動分解能が悪くなる問題もある。更には左右どちらか一方のワイヤの負担が大きくなり耐久性が悪くなる可能性もある。
【0005】
本発明は、従来の有していた問題を解決しようとするものであって、組み立てが容易となり、駆動動作を安定させることができる駆動モジュールおよびそれを備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、両端部の少なくともいずれかに熱可塑性樹脂からなる第1の固定ピン部を有する被駆動体と、該被駆動体を一定方向に沿って移動自在に収容する筒状とされ、両筒端部の少なくともいずれかに前記一定方向沿って延ばされた熱可塑性樹脂からなる第2の固定ピン部を有する支持体と、前記被駆動体の前記第1の固定ピン部と、前記支持体の前記第2の固定ピン部とにそれぞれ同方向から挿通された状態で、前記支持体の筒端部および前記被駆動体の端部に積層して配置され、前記被駆動体に前記一定方向に沿う付勢力を付与する板ばね部材と、前記支持体の筒外周部に張架され、長さ方向の中間位置で前記被駆動体を係止し、前記被駆動体を前記板ばね部材の付勢力に抗して駆動する形状記憶合金ワイヤと、前記支持体の一方の筒端部側で、前記第2の固定ピン部を挿通して積層配置された電気絶縁体からなる板部材と、前記形状記憶合金ワイヤの端部を把持して、位置を固定した状態で前記支持体および前記板部材の側部に配置されるとともに、電流の供給を受けるための端子部が前記板部材の側部の厚さを超える範囲に延ばされた、互いに熱容量が等しい一対のワイヤ保持部材と、前記各ワイヤ保持部材の前記端子部にそれぞれ電気的に接続された、互いに熱容量が等しい一対の電極を有し、前記板部材上で、該板部材に挿通された前記第2の固定ピン部を挿通して積層配置された給電部材とを備え、前記板ばね部材は、前記被駆動体とは前記第1の固定ピン部において、前記支持体とは前記第2の固定ピン部において、それぞれ、前記第1の固定ピン部および前記第2の固定ピン部の先端部をかしめることにより固定され、前記給電部材は、前記第2の固定ピン部の先端部をかしめることにより固定されている構成とする。
この発明によれば、被駆動体を支持体に収容して、それぞれの第1の固定ピン部、第2の固定ピン部の先端部をかしめて板ばね部材が固定される。そして、給電部材は、支持体に積層配置された板部材上に積層配置され、第2の固定ピン部の先端部をかしめることで、板部材上に固定される。形状記憶合金ワイヤは、両端部がそれぞれワイヤ保持部材に把持された状態で、支持体の側部に配置され、各ワイヤ保持部材の端子部が、それぞれ給電部材の電極に電気的に接続されて、電流の供給を受けることが可能となる。
そして給電部材の電極にそれぞれ電流を供給することで、形状記憶合金ワイヤをジュール熱によって加熱し、形状記憶合金ワイヤを収縮させることで、被駆動体を一定方向に駆動することができる。
その際、各ワイヤ保持部材、各電極の熱容量がそれぞれ互いに等しいため、形状記憶合金ワイヤの両端側でのワイヤ保持部材および電極を通じた放熱特性が同一特性となる。この結果、形状記憶合金ワイヤの温度分布が長さ方向において対称な分布になるため、形状記憶合金の収縮量が被駆動体の係止位置の両側で同一となる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の駆動モジュールにおいて、前記給電部材は、同一材料からなり、かつ同一体積を有する一対の金属板の電極からなる構成とする。
この発明によれば、給電部材を、同一材料からなり、かつ同一体積を有する一対の金属板の電極で構成するので、支持体の形状や電極の配置位置に応じて、熱容量の等しい電極を容易に形成することができる。
また、電極の形状を容易に変えることができるため、給電部材の電気抵抗や、電極の端子位置などを容易に変更することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明では、電子機器において、請求項1または2に記載の駆動モジュールを備える構成とする。
この発明によれば、請求項1または2に記載の駆動モジュールを備えるので、請求項1または2に記載の発明と同様の作用を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の駆動モジュールおよびそれを備える電子機器によれば、板部材に積層配置され、互いに熱容量が等しい一対の電極を有する給電部材を、かしめによって固定するので、組み立てが容易となり、駆動動作を安定させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0011】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールについて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールの基板への取り付け状態を説明するための模式的な斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールの概略構成を示す分解斜視図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールの組立状態の内部構成を示す模式的な斜視図である。図4は、図3におけるA−A線に沿う断面図である。図5(a)は、図3におけるB−B線に沿う断面図である。図5(b)は、被駆動体の移動時の図3におけるB−B線に沿う断面図である。図6(a)は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる被駆動体の斜視図である。図6(b)は、図6(a)におけるC視平面図である。図7(a)は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる支持体の斜視図である。図7(b)は、図7(a)におけるD視裏面図である。図8は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる板ばね部材の平面図である。図9(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる板部材の平面図および正面図である。図10は、図9(b)におけるE視裏面図である。図11は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる給電部材の平面図である。図12は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いるカバーの裏面図である。
なお、一部の図面では見易さのため、例えば、レンズユニット12などの構成部材を適宜省略して図示している。
【0012】
本実施形態の駆動モジュールは、図1に示すように、全体として箱型に形成されている。この駆動モジュール1は、組み立てて完成されたものが、電子機器などに設けられ、駆動モジュール1に制御信号や電力を供給する基板2上に嵌め込んだり、接着したりして固定することができる。
基板2の上面には、後述する駆動モジュール1の給電部材と接続されて電力を供給する一対のランド部3、及び撮像素子30が設けられている。
【0013】
駆動モジュール1は、図2に示すように、被駆動体となるレンズ枠4、支持体となるモジュール枠5、板ばね部材となる上板ばね6及び下板ばね7、モジュール下板8、給電部材9、形状記憶合金(Shape Memory Alloy、以下、SMAと略称する)ワイヤ10、カバー11を主な構成部材とするものであって、これら構成部材が一体に積層されることで1つのアクチュエータを構成する。
これらの部材の組立状態では、図3、4に示すように、レンズ枠4は、モジュール枠5の内方に挿入され、上板ばね6、下板ばね7は、これらレンズ枠4とモジュール枠5とを図示上下方向から挟持した状態でかしめにより固定され、これらの図示下方側からモジュール下板8、給電部材9が、この順に積層されて、モジュール枠5の下方からかしめによりそれぞれ共に固定され、これらの積層体を上方側から覆うカバー11が、モジュール下板8に固定されてなる。
【0014】
なお、図中の符号Mは、レンズユニット12の光軸に一致する駆動モジュール1の仮想的な軸線であり、レンズ枠4の駆動方向を示している。以下では、説明の簡単のため、分解された各構成部材の説明においても、組立時の軸線Mとの位置関係に基づいて、位置や方向を参照する場合がある。例えば、構成部材に明確な円、円筒面が存在しない場合でも、誤解のおそれのない限り、軸線Mに沿う方向を、単に軸方向、軸線Mを中心とする円の径方向、周方向を、単に径方向、周方向と称する場合がある。
また、上下方向は、特に断らない限り、軸線Mを鉛直方向に配置し、駆動モジュール1の取付面が鉛直下方となる場合の配置における上下方向を指すものとする。
【0015】
これら構成部材の中で、被駆動体となるレンズ枠4は、図2、図6(a)に示すように全体として筒状に形成されるものであって、その中央を貫通し、軸線Mに同軸に形成された筒状の収容部4Aの内周面4Fに雌ネジが形成されている。そして、収容部4Aには、適宜のレンズまたはレンズ群を外周部に雄ネジが形成された鏡筒に保持したレンズユニット12(図4、5参照)を螺合して固定できるようになっている。
レンズ枠4の外壁面4Bには周方向に90度の間隔をおいて、径方向外方に向けて突出する突出部4Cが軸方向に延ばして設けられ、これら各突出部4Cの上端部と下端部とにおいて、軸線Mに直交する平面からなる端面4a、4b上には、軸線Mに沿う上方及び下方に向けてそれぞれ突出する上側固定ピン13A(第1の固定ピン部)、下側固定ピン13B(第1の固定ピン部)が、それぞれ4本ずつ設けられている。
上側固定ピン13Aは上板ばね6を保持し、下側固定ピン13Bは下板ばね7を保持するためのものである。
【0016】
上側固定ピン13Aおよび下側固定ピン13Bの平面視の位置は、それぞれ異なっていてもよいが、本実施形態では、軸線Mに平行な同軸位置に配置されている。このため、上板ばね6、下板ばね7における、上側固定ピン13A、下側固定ピン13Bの挿通位置は、それぞれ共通化されている。
また、上側固定ピン13Aおよび下側固定ピン13Bの径方向の各中心位置は、異なっていてもよいが、本実施形態では、同一円周上に配置されている。このため、それぞれの中心位置は正方格子状に配置されている。
【0017】
レンズ枠4の径方向外側には、1つの突出部4Cの下端側から、径方向外方に突出するようにガイド突起4Dが設けられている。ガイド突起4Dの突出方向は、各上側固定ピン13A及び各下側固定ピン13Bの軸線Mを中心とする周方向の角度位置とは、90度の整数倍から角度θ(ただし、θは鋭角)だけずらされた位置関係に設定される。すなわち、ガイド突起4Dが、正方形の対角線に沿うように配置されたとき、各上側固定ピン13A及び各下側固定ピン13Bは、すべて正方形の対角線から一定角度θだけずれた位置に配置されるようになっている。
このガイド突起4Dは、図3に示すように、その先端鍵部4D1にSMAワイヤ10を係止し、このSMAワイヤ10の収縮によりガイド突起4Dを上方(矢印(イ)方向)に持ち上げて移動させるためのものである。
また、図2、図6(a)、(b)に示すように、レンズ枠4の外壁面4Bの下部に沿って、各突出部4Cの側部から周方向に延ばされた突片状の度当り部4Eが設けられている。
各度当り部4Eはその上面に平滑な度当り面4E1を有し、度当り面4E1の軸方向の位置は、レンズ枠4が軸線Mに沿って、上方(矢印(イ)方向)に一定距離以上に移動しようとした際に、後述するモジュール枠5の度当り受け部5E(図5(b)参照)に当接する位置に設定される。
また、レンズ枠4は、本実施形態では、熱かしめまたは超音波かしめが可能な熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネート(PC)、液晶ポリマー(LCP)樹脂などにより一体成形されている。
【0018】
モジュール枠5は、図2、図7(a)、(b)に示すように、平面視の外形が全体として略矩形状に形成され、かつその中央部に、軸線Mに同軸に形成された貫通孔からなる収容部5Aが形成された、筒状の部材であって、この収容部5A内にレンズ枠4が収容される。
モジュール枠5の上部及び下部の四隅には、軸線Mに直交する平面からなる端面5a、5bが形成され、端面5aから上方に向けて上側固定ピン14A(第2の固定ピン部)が、また端面5bから下方に向けて下側固定ピン14B(第2の固定ピン部)が、それぞれ4本ずつ設けられている。
上側固定ピン14Aは上板ばね6を保持し、下側固定ピン14Bは下板ばね7、モジュール下板8、給電部材9を保持するためのものである。
端面5a、5bの間の距離は、レンズ枠4の端面4a、4bの間の距離と同一距離に設定されている。
【0019】
モジュール枠5の一隅の下部には平面視の溝幅がレンズ枠4のガイド突起4Dに軸方向に移動可能に嵌合する大きさを有する切欠き5Bが形成されている。この切欠き5Bは、レンズ枠4をモジュール枠5内に下方から挿入して収容した状態で、レンズ枠4のガイド突起4Dを貫通させ、ガイド突起4Dの先端鍵部4D1をモジュール枠5の径方向外部に突出させるとともに、レンズ枠4の周方向の位置決めを行うためのものである。
【0020】
本実施形態では、このような位置に切欠き5Bを設けているため、図7(b)に示すように、切欠き5B近傍の下側固定ピン14Bは、切欠き5Bを避けて軸線Mと外形の隅部の交点とを結ぶ線から離れた位置に形成されている。すなわち、この下側固定ピン14Bは、切欠き5Bに対して周方向に隣接して設けられている。
これに対して、他の3本の下側固定ピン14Bは、それぞれ軸線Mと隅部の外形の交点とを結ぶ線上に設けられ、モジュール枠5の外形に沿うL字状をなして配置されている。したがって、4本の下側固定ピン14Bは、平面視で非対称な位置に配置されている。
一方、上側固定ピン14Aの平面視の位置は、下側固定ピン14Bの配置と異なっていてもよいが、本実施形態では、それぞれ軸線Mに平行な同軸位置に配置されている。このため、上板ばね6、下板ばね7における、上側固定ピン14A、下側固定ピン14Bの挿通位置は、それぞれ共通化されている。
【0021】
そして、図7(b)に示すように、平面視において、モジュール枠5の側面の交点をQ1、Q2、Q3、Q4とすると、各上側固定ピン14A、各下側固定ピン14Bの軸中心は、それぞれ点Q1、Q2、Q3、Q4の近傍にあって、かつ、点Q1、Q2、Q3、Q4と軸線Mとを結ぶ線分K1,K2、K3、K4の線上または近傍に配置されている。すなわち、各上側固定ピン14A、各下側固定ピン14Bの軸中心と軸線Mとを結ぶ線分k1、k2、k3、k4は、線分K1,K2、K3、K4と重なるか、30度以下程度の浅い角度で交差されている。
【0022】
また、図7(a)に示すように、モジュール枠5の切欠き5Bに隣接する2つの隅部には、切欠き5Bが設けられた隅部と同方向側の側面において、SMAワイヤ10を保持するワイヤ保持部材15A、15B(図2、3参照)を取り付けるための一対の係止溝5Cが設けられている。本実施形態では、ワイヤ保持部材15Aは、駆動モジュール1から給電部材9の一対の端子部9Cが突出される側の側面に設けられ、ワイヤ保持部材15Bは、駆動モジュール1から給電部材9の一対の端子部9Cが突出されない側の側面に設けられている。
ワイヤ保持部材15A、15Bは、端部にSMAワイヤ10の端部をかしめてなる鍵状に形成された金属板などの導電性部材であり、係止溝5Cに側方から嵌合させることで、SMAワイヤ10の端部を位置決めして保持するものである。
また、ワイヤ保持部材15A、15Bは、同一形状に打ち抜かれた、同一材料、同一厚さの金属板、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼等からなる金属板を用い、かしめの折り曲げ方向のみ異なる形状としている。そのため、互いの熱容量が等しくなっている。
ワイヤ保持部材15A、15Bは、図3に示すように、SMAワイヤ10のかしめ位置と反対側に片状の端子部15aを備え、モジュール枠5に対する取付状態において、端子部15aがモジュール枠5の下方に積層されたモジュール下板8の下方にわずかに突出されるようになっている。
また、一対のワイヤ保持部材15A、15Bによって両端が保持されたSMAワイヤ10は、モジュール枠の切欠き5Bから突出されたレンズ枠4のガイド突起4Dの先端鍵部4D1に下方から係止され、SMAワイヤの張力により、先端鍵部4D1を介して、レンズ枠4を上方に付勢している。
【0023】
モジュール枠5の収容部5A内には、図7(a)、(b)に示すように、内壁面5Dから径方向外側に向かい、軸方向には下端側から上端側の中間部まで形成された凹部である度当り受け部5Eが、レンズ枠4の各度当り部4Eを下方から挿入できるような形状に設けられている。
度当り受け部5Eは、軸方向の下方側に、度当り部4Eの度当り面4E1を当接可能な受け面5E1を有している。これにより、図5(b)に示すように、レンズ枠4がその軸線Mに沿い上方(矢印(イ)方向)に所定距離だけ移動すると、各度当り受け部5Eの受け面5E1が、それぞれ各度当り部4Eの度当り面4E1と当接されるため、レンズ枠4の上方への移動が規制される。すなわち、度当り受け部5Eは、レンズ枠4の移動範囲を規制する位置規制部を構成し、度当り部4Eは、モジュール枠5の位置規制部に当接可能に設けられた被位置規制部を構成する。
なお、本実施形態では、度当り受け部5Eの平面視の形成位置は、図7(b)に示すように、収容部5Aの中心(軸線M)から、モジュール枠5の矩形状外形の隅部に向かう線分K1、K2、K3、K4に交差する位置に設けられている。
【0024】
このような構成により、例えば、駆動モジュールを落下させるなどして、外部から大きな衝撃が加えられたとしても、レンズ枠4は、度当り受け部5Eの受け面5E1の位置を超えて図示上方に移動できないようになっている。
このような規制位置は、本実施形態では、レンズ枠4がカバー11に衝突せず、かつ、上板ばね6、下板ばね7の変形が、例えば、弾性限界などの変形限界以下となるように設定している。
また、度当り受け部5Eが、収容部5Aの中心から、モジュール枠5の矩形状外形の隅部に向かう線分K1、K2、K3、K4に交差する位置に設けられているため、モジュール枠5において、収容部5Aから径方向外側に突出する矩形状外形の隅部において、径方向の領域を有効利用することができる。
そのため、度当り受け部5Eをモジュール枠5の内側に設けても、モジュール枠5の外形を増大させないようにすることができるので、小型化、軽量化が可能となる。
【0025】
また、モジュール枠5は、本実施形態ではレンズ枠4と同様に、熱かしめまたは超音波かしめが可能な熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネート(PC)、液晶ポリマー(LCP)樹脂などにより一体成形されている。
【0026】
モジュール枠5及びモジュール枠5内に挿入されたレンズ枠4のそれぞれの上部と下部には、図4に示すように、それぞれ上板ばね6と下板ばね7とが積層されている。
本実施形態では、図8に示すように、上板ばね6及び下板ばね7は同一形状に打ち抜かれた平板状の板ばね部材であり、例えば、ステンレス(SUS)鋼板などのばね性を有する金属板からなる。
【0027】
上板ばね6(下板ばね7)の形状は、図8に示すように、平面視の外形が、モジュール枠5の上側(下側)の端部と同様な略矩形状とされ、中央部に軸線Mと同軸で、レンズ枠4の内周面4Fよりわずかに大きな円状の開口6C(7C)が形成され、全体としてリング状とされている。
上板ばね6(下板ばね7)の3つの隅部および1つの隅部近傍には、モジュール枠5の隅部および1つの隅部近傍に形成された上側固定ピン14A(下側固定ピン14B)の配置位置に対応して、各上側固定ピン14A(下側固定ピン14B)にそれぞれ挿通可能な4つの貫通孔6B(7B)が設けられている。本実施形態では、図7(b)における点Q2、Q4に対応する隅部に形成された上側固定ピン14A(下側固定ピン14B)を挿通する貫通孔6B(7B)のうち、一方が基準円孔、他方が小判孔とされ、モジュール枠5に対する軸線Mに直交する平面内の位置決めが可能となっている。
【0028】
また、上板ばね6(下板ばね7)には、レンズ枠4に形成された上側固定ピン13A(下側固定ピン13B)の配置位置に対応して、各上側固定ピン13A(下側固定ピン13B)にそれぞれ挿通可能な4つの貫通孔6A(7A)が設けられている。
すなわち、本実施形態では、各貫通孔6A(7A)は、図7(b)における線分K1に対応する直線L1に対して、90度の整数倍から角度θだけずれた位置に形成されている。
本実施形態では、このような配置として角度θを適切な値に設定することで、貫通孔6A(7A)が位置する軸線Mを中心とした円の円径と、貫通孔6B(7B)が配置される軸線Mを中心とした円の円径との径の差が、角度θが0°となるように配置する場合に比べて、小さくなるようにそれぞれの配置位置を設定することができる。
【0029】
また、開口6C(7C)の径方向外側には、リング部6F(7F)が形成され、軸線Mを挟んで互いに対角方向に対向する貫通孔6A(7A)の近傍位置から、周方向に略半円弧状に延びる4つのスリット6D(7D)がそれぞれ、略四分円弧ずつ径方向に重なった状態に形成されている。
これにより、上板ばね6(下板ばね7)の外側の矩形状枠体から、略四分円弧状に延ばされた4つのばね部6E(7E)が、それぞれ1つずつ貫通孔6A(7A)近傍に延ばされた板ばね部材が形成されている。
【0030】
モジュール下板8は、図2に示すように、モジュール枠5の各下側固定ピン14Bを下板ばね7の貫通孔7Bに貫通させるとともに、モジュール枠5内に収容したレンズ枠4の各下側固定ピン13Bを下板ばね7の貫通孔7Aに貫通させた状態で、モジュール枠5との間で、下板ばね7を下方側から挟んで積層し、下板ばね7の矩形状の外形枠をモジュール枠5の端面5bに対して押圧状態に固定するものである。
モジュール下板8の形状は、図9(a)、図10に示すように、モジュール枠5の外形と略同様の矩形状外形を有する板状部材であり、中央部に軸線Mを中心とする略円形状の開口8Aが厚さ方向に貫通して形成されている。そして、組立時に下板ばね7に積層される上面8a側には、レンズ枠4の各下側固定ピン13Bの配置位置に対応する位置に、後述するかしめ部との干渉を避けるための4つのU字状の凹部8Bが形成されている。
また、モジュール下板8の周縁に位置する各隅部にはモジュール枠5の各下側固定ピン14Bの配置位置に対応して、これら下側固定ピン14Bをそれぞれ挿通させる貫通孔8Cが形成されている。
また、モジュール下板8の下面8bには、図9(b)、図10に示すように、開口8Aに沿って下方に突出された壁部8Dが形成されている。本実施形態では、上面8aと下面8bとの間の距離はh1、上面8aと壁部8Dの端面8cとの距離はh2(ただし、h1<h2)とされている。壁部8Dの端面8cは、基板2に当接させる取付面を構成している。ここで、距離h2は、下面8bに給電部材9をかしめたときに、かしめ部よりも下方側に突出されるような高さに設定される。
また、壁部8Dは、距離h2を適宜設定することで、基板2に対する軸線M方向、すなわち光軸方向の位置決めする位置決めスペーサの機能を有している。
【0031】
モジュール下板8の材質は、本実施形態では、電気絶縁性および遮光性を有する合成樹脂を採用している。
このため、壁部8Dは、図5(a)に示すように、基板2上に設けられた撮像素子30を側方から覆うことで、撮像素子30の周囲を遮光する遮光材の機能を有している。
また、モジュール下板8が電気絶縁性を有することで、給電部材9を下板ばね7に対して電気的絶縁状態で固定する絶縁部材となっている。また、端面8cが当接する基板2に対して電気的絶縁状態を保つ絶縁部材ともなっている。
【0032】
給電部材9は、図11に示すように、本実施形態では、それぞれ板状の金属板からなる一対の電極9a、9bからなる。
電極9a、9bは、いずれも、モジュール下板8の外形に沿う略L字状の配線部9Bと、配線部の端部からモジュール下板8の外形の外側に突出する端子部9Cとを備える折れ線状の金属板からなる。そして、それぞれの配線部9Bには、モジュール下板8の下面8bから下方に突出されるモジュール枠5の下側固定ピン14Bのうち、モジュール下板8の外形に沿って隣り合う2つの下側固定ピン14Bを、それぞれ挿通させて、電極9a、9bをモジュール枠5に対して位置決めを行う2つの貫通孔9Aが設けられている。
本実施形態では、図3に示すように、電極9a、9bの端子部9Cは、モジュール枠5において、ワイヤ保持部材15Aが取り付けられた側の側面から径方向外方に並列して突出するように設けられている。
このため、電極9aには、貫通孔9Aと端子部9Cとの間の配線部9B上の側面に、ワイヤ保持部材15Aの端子部15aを電気的に接続するために凹状に切り欠かれた導電接続部9Dが設けられている。
また、電極9bには、2つの貫通孔9A間の配線部9B上の側面に、ワイヤ保持部材15Bの端子部15aを電気的に接続するために凹状に切り欠かれた導電接続部9Dが設けられている。
また、電極9a、9bは、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼等の同一の金属材料を用いて、同一体積に形成することによって、互いの熱容量が等しくなるようにしておく。また、電極9a、9bの形状は一例であって、必要な熱容量や電気抵抗の大きさにしたがって、モジュール下板8の下面8bの範囲内で、適宜の大きさ、形状に形成することができる。
それぞれの導電接続部9Dを、端子部15aと電気的に接続する手段としては、例えば、半田付けまたは導電性接着剤による接着を採用することができる。
【0033】
このように、本実施形態では、給電部材9の電極9a、9bが、熱容量を同一にして、種々の形状に形成してもモジュール下板8に容易に取り付けることができるので、例えば、端子部9Cの突出方向や突出位置も、取付相手の基板2の形状やランド部3の配置に応じて、容易に変更することができる。また、電極9a、9bの材質や形状などを変えることで、電気抵抗も容易に変えることができるので、例えば、SMAワイヤ10の電流制御を行うコントローラの抵抗仕様が異なる場合でも、電極9a、9bのみの変更で対応することできる。そのため、種々の要求仕様に対応した駆動モジュールの部品の共通化率を格段に高めることができる。
【0034】
カバー11は、図2、4、12に示すように、上面11Eの外縁部から下方側に、モジュール枠5を外嵌可能に覆う側壁部11Dが延ばされ、下方側に矩形状の開口11Cが形成された部材であり、上面11Eの中央部に軸線Mを中心とした円状の開口11Aが設けられている。開口11Aの大きさは、レンズユニット12を出し入れ可能な大きさとされる。
また、上面11Eの裏面側には、図12に示すように、開口11Aの周方向にレンズ枠4の各上側固定ピン13Aの配置位置に対応する位置に、後述するかしめ部16との干渉を避けるための4つのU字状の凹部11Bが形成されている。
凹部11Bの深さは、度当り面4E1と受け面5E1とが、当接した位置でも、かしめ部16とカバー11とが接触しない深さに設定する。凹部11Bは、上方に張り出す凹部としてもよいが、本実施形態では、凹部11Bの肉厚を薄肉として、カバー11の板厚の範囲内に凹部11Bを形成することで、上面11Eの外表面を平面としている。
【0035】
このような構成の駆動モジュール1の組立方法について順を追って説明する。
第1工程では、まず、モジュール枠5の収容部5A内に下方からレンズ枠4を挿入し、モジュール枠5の各端面5aと、レンズ枠4の端面4aとを同一高さに揃える。そして、モジュール枠5の各上側固定ピン14Aとレンズ枠4の各上側固定ピン13Aとに、上板ばね6の各貫通孔6A、6Bをそれぞれ挿通する。
その後、上板ばね6の各貫通孔6A、6Bを貫通して上方に突き出された各上側固定ピン14A、13Aの先端部を、図示しないヒータチップにより熱かしめして、それぞれかしめ部16、17(図3、4参照)を形成する。
このとき、レンズ枠4の端面4aとモジュール枠5の端面5aとは、同一平面上に整列されており、平板状の上板ばね6を変形させることなく配置して、熱かしめを行うことができる。そのため、変形する上板ばね6を押さえる必要がないので、容易にかしめを行うことができる。また、上板ばね6の変形による浮きなどの発生を防止することができる。
また、各ヒータチップの高さを共通とすることができるので、かしめ部16、17を同時に形成しても、かしめ精度のバラツキを低減することができる。
【0036】
次に、第2工程では、レンズ枠4の各下側固定ピン13Bに、下板ばね7の各貫通孔7Aをそれぞれ挿通する。その際、同時にモジュール枠5の各下側固定ピン14Bに、下板ばね7の各貫通孔7B、モジュール下板8の各貫通孔8C、給電部材9の各貫通孔9Aを挿通する。その後、下板ばね7の各貫通孔7Aを貫通して下方に突き出された各下側固定ピン13Bの先端部を、ヒータチップにより熱かしめして、かしめ部18(図4参照)を形成する。
このとき、レンズ枠4の端面4a、4b間の軸方向距離と、モジュール枠5の端面5a、5b間の軸方向距離とは等しいため、端面4b、5bは、同一平面上に整列されており、平板状の下板ばね7を変形させることなくモジュール下板8を積層配置して、熱かしめを行うことができるので、下板ばね7の変形による浮きなどの発生を防止することができる。
また、各ヒータチップの高さを共通とすることができるので、かしめ部18を同時に形成しても、かしめ精度のバラツキを低減することができる。
【0037】
次に、第3工程では、これら貫通孔7B、8C、9Aを貫通して下方に突き出された各下側固定ピン14Bの下端部を、ヒータチップにより熱かしめして、かしめ部19(図4参照)を形成する。
このとき、各ヒータチップの高さを共通とすることができるので、かしめ部19を同時に形成しても、かしめ精度のバラツキを低減することができる。
また、モジュール下板8に凹部8Bが形成されているため、第2工程で形成されたかしめ部18は、モジュール下板8とは接触しない。
【0038】
これら第1〜第3工程の作業を行うことによって、レンズ枠4とモジュール枠5の両端部に、上板ばね6、下板ばね7、モジュール下板8、給電部材9が積層固定される。
【0039】
本実施形態では、上側固定ピン13Aと下側固定ピン13B、また上側固定ピン14Aと下側固定ピン14Bが、それぞれ同軸に設けられているため、第1〜第3工程のかしめにおいて、かしめ部16、18、かしめ部17、19をそれぞれ形成するためのヒータチップの平面上の位置がそれぞれ共通となる。そのため、各かしめにおいて、ヒータチップ位置を変更する必要がないため効率よくかしめ作業を行うことができる。
このように、板ばね部材を熱かしめすることにより、接着などで固定する場合に比べて、固化に要する時間が短いため、組立時間を低減することができる。また、ガスの発生などによって、部品を汚染したりするおそれがない。また、経時的に安定した固定を行うことができる。
また、熱膨張率が異なるねじなどを用いる場合に比べて、ゆるみなどが発生しにくい。その結果、固定部の信頼性を向上することができる。
また、ねじなどの固定部品を用いないため、部品点数が削減された簡素な構成となり、より軽量化、小型化が可能となる。特に、被駆動体であるレンズ枠4が軽量化されるため、高速、低消費電力の駆動が可能となる。
【0040】
次に、第4工程では、SMAワイヤ10が先端に取り付けられた一対のワイヤ保持部材15A、15Bを、モジュール枠5の2箇所の係止溝5Cにそれぞれ係止させ、例えば、嵌合や接着などの手段によりモジュール枠5に保持、固定する。その際、SMAワイヤ10の中央部を、ガイド突起4Dの先端鍵部4D1に係止させ、かつこの先端鍵部4D1を下側から支持するように掛け渡す。
このとき、ワイヤ保持部材15A、15Bの各端子部15aは、モジュール下板8の下方に突出され、それぞれ、モジュール下板8に固定された給電部材9である電極9a、9bの導電接続部9Dに係止されるか、もしくは近接して配置されている。
そこで、例えば、半田付けや導電性接着剤などを用いて、各端子部15aを、それぞれ導電接続部9Dに対して電気的に接続させる。
【0041】
すなわち、本実施形態では、SMAワイヤ10の端部までの配線を、給電部材9を、下側固定ピン14Bに挿通するように配置してから下側固定ピン14Bの先端部でかしめて固定し、ワイヤ保持部材15A、15Bをモジュール枠5の側方から係止溝5Cに嵌め込んで、電気的に接続するといった、簡単な作業によって配線を行うことができる。このような組み立て作業は、例えば、リード線やフレキシブル基板などをモジュール枠5に対して、立体的に配回す場合とは異なり、一方向の動きで組み立てることができるから、きわめて容易に組み立てることができる。そのため、自動組み立てを行うことも容易となる。
【0042】
次に、第5工程では、モジュール枠5の上方から、カバー11を被せ、側壁部11Dとモジュール下板8とを接合する。例えば、側壁部11Dに係合爪などを設けてはめ込みによって接合したり、側壁部11Dとモジュール下板8とを接着、または溶着して接合したりする。
このとき、かしめ部16、17は、それぞれカバー11の上面11Eの裏面に対して、離間された状態にある。
以上で、駆動モジュール1本体の組み立てが完了する。
【0043】
次に、第6工程では、駆動モジュール1の端子部9Cを、基板2上のランド部3(図1参照)に位置合わせして、駆動モジュール1を基板2上に取り付ける。そして、半田付けまたは導電性接着材などの手段によって、端子部9Cをランド部3に対して電気的に接続する。このとき、かしめ部19は、モジュール下板8の壁部8Dの高さより低い高さとなっているので、基板2とは離間されている。
駆動モジュール1の基板2上への取り付けは、接着、嵌め込みなどの固定手段が採用することができる。
基板2は、駆動モジュール1に付属する独立した部材であってもよいし、電子機器等に接続、配置された部材であってもよい。
【0044】
次に、第7工程では、カバー11の開口11Aを通じてレンズ枠4内にレンズユニット12を螺合して取り付ける。
このように、レンズユニット12を最後に取り付けているのは、組立作業により、レンズユニット12のレンズが汚れたり、ゴミなどが付着したりしないためであるが、例えば、駆動モジュール1をレンズユニット12が取り付けられた製品状態で出荷する場合や、カバー11の開口11Aをレンズユニット12の外形より小さくしたい場合、例えば開口絞りを兼用するような場合などには、この第7工程を、第5工程または第6工程の中で実施してもよい。
【0045】
次に、駆動モジュール1の動作について説明する。
駆動モジュール1は、端子部9Cに電力が供給されない状態では、SMAワイヤ10からの張力や、かしめ部16、18で上板ばね6及び下板ばね7から弾性的に付勢される付勢力等のレンズ枠4に作用する力がつり合い、図5(a)に示すように、レンズユニット12が取り付けられたレンズ枠4が、軸方向の一定位置に保持される。
【0046】
端子部9Cから給電部材9に電力を供給すると、例えば、電極9a、ワイヤ保持部材
15A、SMAワイヤ10、ワイヤ保持部15b、電極9bは、それぞれ導通されているため、SMAワイヤ10に電流が流れる。これにより、SMAワイヤ10にジュール熱が発生して、SMAワイヤ10の温度が上昇し、SMAワイヤ10の変態開始温度を超えると、SMAワイヤが温度に応じた長さに収縮する。
この結果、レンズ枠4のガイド突起4Dが、上方(図中の(イ)方向)に移動する。これにより、上板ばね6、下板ばね7が、それぞれ変形し、変形量に応じた弾性復元力がレンズ枠4に付勢される。そして、この弾性復元力がSMAワイヤ10の張力とつり合う位置で、レンズ枠4が停止する。
【0047】
このとき、本実施形態では、上板ばね6、下板ばね7は、平行ばねを構成しているため、レンズ枠4は、軸方向のガイド部材などに沿わせなくても、正確に軸線M上に沿って移動される。このため、部品点数を削減し、小型化することが可能となっている。また、ガイド部材に対する摺動負荷も発生しないので、低消費電力を実現することが可能となる。
【0048】
また、電力の供給を停止すると、SMAワイヤ10が伸長可能となり、レンズ枠4は、下方(図中の(ロ)方向)のつり合い位置まで移動する。
このようにして、電力供給量を制御することで、レンズ枠4を軸線M方向に駆動することができる。
【0049】
また、何らかの異常時、例えば、落下時に衝撃力を受けた時や、電力制御が不安定になった時などに、SMA10が収縮しすぎて、レンズ枠4の移動量が過大になった場合、本実施形態では、度当り部4E、度当り受け部5Eを備えるため、レンズ枠4の位置が、一定の限界値に規制される。そのため、レンズ枠4がカバー11に衝突したり、上板ばね6、下板ばね7が変形限界を超えて変形したりすることを防止できるので、信頼性を向上することができる。
【0050】
本実施形態の駆動モジュール1によれば、モジュール下板8に積層配置され、互いに熱容量が等しい一対の電極9a、9bを有する給電部材9を、かしめによって固定するので、組み立てが容易となり、駆動動作を安定させることができる
【0051】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る電子機器について説明する。
図13(a)、(b)は、本発明の第2の実施形態に係る電子機器の表面、裏面の斜視外観図である。図13(c)は、図13(b)におけるF−F断面図である。
【0052】
図13(a)、(b)に示す本実施形態のカメラ付き携帯電話20は、上記第1の実施形態の駆動モジュール1を備えた電子機器の一例である。
カメラ付き携帯電話20は、受話部22a、送話部22b、操作部22c、液晶表示部22d、アンテナ部22e、不図示の制御回路部などの周知の携帯電話の装置構成をカバー22内外に備えている。
そして、図13(b)に示すように、液晶表示部22dが設けられた側の裏面側のカバー22に、外光を透過させる窓22Aが設けられ、図13(c)に示すように、駆動モジュール1の開口11Aがカバー22の窓22Aを臨み、窓22Aの法線方向に軸線Mが沿うように、上記第1の実施形態の駆動モジュール1が設置されている。
そして、駆動モジュール1は、基板2に機械的、電気的に接続されている。
基板2は、不図示の制御回路部に接続され、駆動モジュール1に電力を供給できるようになっている。
【0053】
このような構成によれば、窓22Aを透過した光を駆動モジュール1の不図示のレンズユニット12で集光し、撮像素子30上に結像することができる。そして、駆動モジュール1に制御回路部から適宜の電力を供給することで、レンズユニット12を軸線M方向に駆動し、焦点位置調整を行って、撮影を行うことができる。
このようなカメラ付き携帯電話20によれば、上記第1の実施形態の駆動モジュール1を備えるため、組み立てが容易となり、駆動動作を安定させることができる。そのため、製造コストを低減することが可能となる。また、焦点位置調整の合焦精度を向上することができる。
【0054】
なお、上記の説明では、被駆動体を一対の板ばね部材で挟持させて場合の例で説明したが、駆動精度が許容範囲内であれば、被駆動体を1つの板ばね部材によって保持した構成としてもよい。この場合、第1の固定ピン部および第2の固定ピン部は、それぞれ、被駆動体および支持体の一方の端部のみに設ければよい。
【0055】
また、上記の説明では、第1の固定ピン部、第2の固定ピン部の先端部を、ヒータチップの熱を利用してかしめるようにしたが、かしめ手段は、これに限定されない。例えば、超音波振動子の振動を用いてかしめてもよい。
【0056】
また、上記の説明では、第1の固定ピン部、第2の固定ピン部を、それぞれ、被駆動体、支持体に一体成形した場合の例で説明したが、第1の固定ピン部および第2の固定ピン部の少なくともいずれかを、別部材とし、他の材質からなる被駆動体または支持体に接合して形成してもよい。すなわち、被駆動体、支持体の材質は、かしめが可能な熱可塑性樹脂に限定されない。
【0057】
また、上記の説明では、モジュール枠5は、全体として略矩形状の部材として説明したが、略矩形状には限定されず、多角形状であってもよい。この場合、矩形状の隅部は、多角形状の隅部に置き換えることができる。
【0058】
また、上記の説明では、給電部材は、電極9a、9bからなる場合の例で説明したが、給電部材は、2系統の配線が形成された、1枚のプリント基板などを採用してもよい。
【0059】
また、上記の説明では、駆動モジュールをレンズユニットの焦点位置調整機構に用いる場合の例で説明したが、駆動モジュールの用途はこれに限定されない。例えば、被駆動体を目標位置に移動させる適宜のアクチュエータとして他の部分に用いてもよい。例えば、レンズユニット12に代えて、ロッド部材などを螺合したり、レンズ枠4を他の形状に変えたりして、適宜のアクチュエータとして用いることができる。すなわち、被駆動体は、筒状の部材に限定されず、柱状の部材であってもよい。
【0060】
また、上記の説明では、駆動モジュールを用いた電子機器として、カメラ付き携帯電話の例で説明したが、電子機器の種類はこれに限定されない。例えば、デジタルカメラ、パソコン内蔵のカメラなどの光学機器に用いてもよいし、情報読取記憶装置やプリンタなどの電子機器において、被駆動体を目標位置に移動させるアクチュエータとしても用いることができる。
【0061】
また、上記に説明した各実施形態の構成要素は、技術的に可能であれば、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせて実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールの基板への取り付け状態を説明するための模式的な斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールの概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールの組立状態の内部構成を示す模式的な斜視図である。
【図4】図3におけるA−A線に沿う断面図である。
【図5】図3におけるB−B線に沿う断面図、および被駆動体の移動時の図3におけるB−B線に沿う断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる被駆動体の斜視図およびそのC視平面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる支持体の斜視図、およびそのD視裏面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる板ばね部材の平面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる板部材の平面図および正面図である。
【図10】図9(b)におけるE視裏面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる給電部材の平面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いるカバーの裏面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る電子機器の表面、裏面の斜視外観図、およびそのF−F断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 駆動モジュール
2 基板
3 端子
4 レンズ枠(被駆動体)
4E 度当り部(被位置規制部)
5 モジュール枠(支持体)
5A 収容部
5E 度当り受け部(位置規制部)
6 上板ばね(板ばね部材)
7 下板ばね(板ばね部材)
8 モジュール下板(板部材)
9 給電部材
9a、9b 電極
10 形状記憶合金(SMA)ワイヤ(駆動手段)
12 レンズユニット
13A 上側固定ピン(第1の固定ピン部)
13B 下側固定ピン(第1の固定ピン部)
14A 上側固定ピン(第2の固定ピン部)
14B 下側固定ピン(第2の固定ピン部)
15A、15B ワイヤ保持部材
16、18 かしめ部
17、19 かしめ部
20 カメラ付き携帯電話(電子機器)
30 撮像素子
M 軸線
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動モジュールおよびそれを備える電子機器に関する。例えば、光学系や可動部材を駆動して、焦点位置調整を行ったり、アクチュエータとして用いたりするのに好適となる駆動モジュールおよびそれを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、カメラ機能付き携帯電話などの小型の電子機器においては、撮影レンズユニットなどの被駆動体を駆動するために、例えば特許文献1に示される形状記憶合金ワイヤの伸縮を利用した駆動装置が提案されている。
【0003】
この特許文献1に示される駆動装置では、レンズが取り付けられる被駆動体としての第1の鏡枠と、この鏡枠の支持体となる第2の鏡枠とが設けられ、これら鏡枠が、ばね部材などの他の構成部材と螺子、接着などの固定手段で連結されることにより一体化された駆動モジュールを形成している。また、この一体化された駆動モジュールには形状記憶合金ワイヤ(SMAワイヤ)が張られており、この形状記憶合金ワイヤに対して電流を流すことによりジュール熱を発生させる。そして、この発熱によって形状記憶合金ワイヤを収縮させて、ばね部材の付勢力に抗してレンズユニットを吊り上げてその軸線方向に移動させるようにしている。
また、SMAワイヤは、両端部が第2の鏡枠の上端のそれぞれ離間した位置に設置され、長さ方向の中央の位置で、第1の鏡枠に対して下端側に張架して第1の鏡枠の下端に係止されている。そして、SMAワイヤの両端部に、フレキシブルプリント基板が電気的に接続され、このフレキシブルプリント基板が第2の鏡枠の側面および下面に沿って折り曲げて配置されている。
【特許文献1】特開2007―46561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に示された駆動装置では、SMAワイヤに電流を供給するために、フレキシブルプリント基板を折り曲げて配置するので、組立に手間がかかるという問題がある。
また、SMAワイヤの両端部にいたる配線長さが異なるため、配線の熱容量が異なり、SMAワイヤで発熱し、配線に伝わる熱の放熱特性がSMAワイヤの両端部で異なり、SMAワイヤの係止位置の両側において非対称な温度分布が発生する。このため、SMAワイヤの一方の端部側と他方の端部側とで、長さ方向の収縮量が異なり、被駆動体が傾いて動作することで安定した駆動を行うことができないという問題がある。また、第1の鏡枠のSMAワイヤが係止される部分とSMAワイヤとが擦れあう現象が発生し被駆動体の移動分解能が悪くなる問題もある。更には左右どちらか一方のワイヤの負担が大きくなり耐久性が悪くなる可能性もある。
【0005】
本発明は、従来の有していた問題を解決しようとするものであって、組み立てが容易となり、駆動動作を安定させることができる駆動モジュールおよびそれを備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、両端部の少なくともいずれかに熱可塑性樹脂からなる第1の固定ピン部を有する被駆動体と、該被駆動体を一定方向に沿って移動自在に収容する筒状とされ、両筒端部の少なくともいずれかに前記一定方向沿って延ばされた熱可塑性樹脂からなる第2の固定ピン部を有する支持体と、前記被駆動体の前記第1の固定ピン部と、前記支持体の前記第2の固定ピン部とにそれぞれ同方向から挿通された状態で、前記支持体の筒端部および前記被駆動体の端部に積層して配置され、前記被駆動体に前記一定方向に沿う付勢力を付与する板ばね部材と、前記支持体の筒外周部に張架され、長さ方向の中間位置で前記被駆動体を係止し、前記被駆動体を前記板ばね部材の付勢力に抗して駆動する形状記憶合金ワイヤと、前記支持体の一方の筒端部側で、前記第2の固定ピン部を挿通して積層配置された電気絶縁体からなる板部材と、前記形状記憶合金ワイヤの端部を把持して、位置を固定した状態で前記支持体および前記板部材の側部に配置されるとともに、電流の供給を受けるための端子部が前記板部材の側部の厚さを超える範囲に延ばされた、互いに熱容量が等しい一対のワイヤ保持部材と、前記各ワイヤ保持部材の前記端子部にそれぞれ電気的に接続された、互いに熱容量が等しい一対の電極を有し、前記板部材上で、該板部材に挿通された前記第2の固定ピン部を挿通して積層配置された給電部材とを備え、前記板ばね部材は、前記被駆動体とは前記第1の固定ピン部において、前記支持体とは前記第2の固定ピン部において、それぞれ、前記第1の固定ピン部および前記第2の固定ピン部の先端部をかしめることにより固定され、前記給電部材は、前記第2の固定ピン部の先端部をかしめることにより固定されている構成とする。
この発明によれば、被駆動体を支持体に収容して、それぞれの第1の固定ピン部、第2の固定ピン部の先端部をかしめて板ばね部材が固定される。そして、給電部材は、支持体に積層配置された板部材上に積層配置され、第2の固定ピン部の先端部をかしめることで、板部材上に固定される。形状記憶合金ワイヤは、両端部がそれぞれワイヤ保持部材に把持された状態で、支持体の側部に配置され、各ワイヤ保持部材の端子部が、それぞれ給電部材の電極に電気的に接続されて、電流の供給を受けることが可能となる。
そして給電部材の電極にそれぞれ電流を供給することで、形状記憶合金ワイヤをジュール熱によって加熱し、形状記憶合金ワイヤを収縮させることで、被駆動体を一定方向に駆動することができる。
その際、各ワイヤ保持部材、各電極の熱容量がそれぞれ互いに等しいため、形状記憶合金ワイヤの両端側でのワイヤ保持部材および電極を通じた放熱特性が同一特性となる。この結果、形状記憶合金ワイヤの温度分布が長さ方向において対称な分布になるため、形状記憶合金の収縮量が被駆動体の係止位置の両側で同一となる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の駆動モジュールにおいて、前記給電部材は、同一材料からなり、かつ同一体積を有する一対の金属板の電極からなる構成とする。
この発明によれば、給電部材を、同一材料からなり、かつ同一体積を有する一対の金属板の電極で構成するので、支持体の形状や電極の配置位置に応じて、熱容量の等しい電極を容易に形成することができる。
また、電極の形状を容易に変えることができるため、給電部材の電気抵抗や、電極の端子位置などを容易に変更することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明では、電子機器において、請求項1または2に記載の駆動モジュールを備える構成とする。
この発明によれば、請求項1または2に記載の駆動モジュールを備えるので、請求項1または2に記載の発明と同様の作用を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の駆動モジュールおよびそれを備える電子機器によれば、板部材に積層配置され、互いに熱容量が等しい一対の電極を有する給電部材を、かしめによって固定するので、組み立てが容易となり、駆動動作を安定させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0011】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールについて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールの基板への取り付け状態を説明するための模式的な斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールの概略構成を示す分解斜視図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールの組立状態の内部構成を示す模式的な斜視図である。図4は、図3におけるA−A線に沿う断面図である。図5(a)は、図3におけるB−B線に沿う断面図である。図5(b)は、被駆動体の移動時の図3におけるB−B線に沿う断面図である。図6(a)は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる被駆動体の斜視図である。図6(b)は、図6(a)におけるC視平面図である。図7(a)は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる支持体の斜視図である。図7(b)は、図7(a)におけるD視裏面図である。図8は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる板ばね部材の平面図である。図9(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる板部材の平面図および正面図である。図10は、図9(b)におけるE視裏面図である。図11は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる給電部材の平面図である。図12は、本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いるカバーの裏面図である。
なお、一部の図面では見易さのため、例えば、レンズユニット12などの構成部材を適宜省略して図示している。
【0012】
本実施形態の駆動モジュールは、図1に示すように、全体として箱型に形成されている。この駆動モジュール1は、組み立てて完成されたものが、電子機器などに設けられ、駆動モジュール1に制御信号や電力を供給する基板2上に嵌め込んだり、接着したりして固定することができる。
基板2の上面には、後述する駆動モジュール1の給電部材と接続されて電力を供給する一対のランド部3、及び撮像素子30が設けられている。
【0013】
駆動モジュール1は、図2に示すように、被駆動体となるレンズ枠4、支持体となるモジュール枠5、板ばね部材となる上板ばね6及び下板ばね7、モジュール下板8、給電部材9、形状記憶合金(Shape Memory Alloy、以下、SMAと略称する)ワイヤ10、カバー11を主な構成部材とするものであって、これら構成部材が一体に積層されることで1つのアクチュエータを構成する。
これらの部材の組立状態では、図3、4に示すように、レンズ枠4は、モジュール枠5の内方に挿入され、上板ばね6、下板ばね7は、これらレンズ枠4とモジュール枠5とを図示上下方向から挟持した状態でかしめにより固定され、これらの図示下方側からモジュール下板8、給電部材9が、この順に積層されて、モジュール枠5の下方からかしめによりそれぞれ共に固定され、これらの積層体を上方側から覆うカバー11が、モジュール下板8に固定されてなる。
【0014】
なお、図中の符号Mは、レンズユニット12の光軸に一致する駆動モジュール1の仮想的な軸線であり、レンズ枠4の駆動方向を示している。以下では、説明の簡単のため、分解された各構成部材の説明においても、組立時の軸線Mとの位置関係に基づいて、位置や方向を参照する場合がある。例えば、構成部材に明確な円、円筒面が存在しない場合でも、誤解のおそれのない限り、軸線Mに沿う方向を、単に軸方向、軸線Mを中心とする円の径方向、周方向を、単に径方向、周方向と称する場合がある。
また、上下方向は、特に断らない限り、軸線Mを鉛直方向に配置し、駆動モジュール1の取付面が鉛直下方となる場合の配置における上下方向を指すものとする。
【0015】
これら構成部材の中で、被駆動体となるレンズ枠4は、図2、図6(a)に示すように全体として筒状に形成されるものであって、その中央を貫通し、軸線Mに同軸に形成された筒状の収容部4Aの内周面4Fに雌ネジが形成されている。そして、収容部4Aには、適宜のレンズまたはレンズ群を外周部に雄ネジが形成された鏡筒に保持したレンズユニット12(図4、5参照)を螺合して固定できるようになっている。
レンズ枠4の外壁面4Bには周方向に90度の間隔をおいて、径方向外方に向けて突出する突出部4Cが軸方向に延ばして設けられ、これら各突出部4Cの上端部と下端部とにおいて、軸線Mに直交する平面からなる端面4a、4b上には、軸線Mに沿う上方及び下方に向けてそれぞれ突出する上側固定ピン13A(第1の固定ピン部)、下側固定ピン13B(第1の固定ピン部)が、それぞれ4本ずつ設けられている。
上側固定ピン13Aは上板ばね6を保持し、下側固定ピン13Bは下板ばね7を保持するためのものである。
【0016】
上側固定ピン13Aおよび下側固定ピン13Bの平面視の位置は、それぞれ異なっていてもよいが、本実施形態では、軸線Mに平行な同軸位置に配置されている。このため、上板ばね6、下板ばね7における、上側固定ピン13A、下側固定ピン13Bの挿通位置は、それぞれ共通化されている。
また、上側固定ピン13Aおよび下側固定ピン13Bの径方向の各中心位置は、異なっていてもよいが、本実施形態では、同一円周上に配置されている。このため、それぞれの中心位置は正方格子状に配置されている。
【0017】
レンズ枠4の径方向外側には、1つの突出部4Cの下端側から、径方向外方に突出するようにガイド突起4Dが設けられている。ガイド突起4Dの突出方向は、各上側固定ピン13A及び各下側固定ピン13Bの軸線Mを中心とする周方向の角度位置とは、90度の整数倍から角度θ(ただし、θは鋭角)だけずらされた位置関係に設定される。すなわち、ガイド突起4Dが、正方形の対角線に沿うように配置されたとき、各上側固定ピン13A及び各下側固定ピン13Bは、すべて正方形の対角線から一定角度θだけずれた位置に配置されるようになっている。
このガイド突起4Dは、図3に示すように、その先端鍵部4D1にSMAワイヤ10を係止し、このSMAワイヤ10の収縮によりガイド突起4Dを上方(矢印(イ)方向)に持ち上げて移動させるためのものである。
また、図2、図6(a)、(b)に示すように、レンズ枠4の外壁面4Bの下部に沿って、各突出部4Cの側部から周方向に延ばされた突片状の度当り部4Eが設けられている。
各度当り部4Eはその上面に平滑な度当り面4E1を有し、度当り面4E1の軸方向の位置は、レンズ枠4が軸線Mに沿って、上方(矢印(イ)方向)に一定距離以上に移動しようとした際に、後述するモジュール枠5の度当り受け部5E(図5(b)参照)に当接する位置に設定される。
また、レンズ枠4は、本実施形態では、熱かしめまたは超音波かしめが可能な熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネート(PC)、液晶ポリマー(LCP)樹脂などにより一体成形されている。
【0018】
モジュール枠5は、図2、図7(a)、(b)に示すように、平面視の外形が全体として略矩形状に形成され、かつその中央部に、軸線Mに同軸に形成された貫通孔からなる収容部5Aが形成された、筒状の部材であって、この収容部5A内にレンズ枠4が収容される。
モジュール枠5の上部及び下部の四隅には、軸線Mに直交する平面からなる端面5a、5bが形成され、端面5aから上方に向けて上側固定ピン14A(第2の固定ピン部)が、また端面5bから下方に向けて下側固定ピン14B(第2の固定ピン部)が、それぞれ4本ずつ設けられている。
上側固定ピン14Aは上板ばね6を保持し、下側固定ピン14Bは下板ばね7、モジュール下板8、給電部材9を保持するためのものである。
端面5a、5bの間の距離は、レンズ枠4の端面4a、4bの間の距離と同一距離に設定されている。
【0019】
モジュール枠5の一隅の下部には平面視の溝幅がレンズ枠4のガイド突起4Dに軸方向に移動可能に嵌合する大きさを有する切欠き5Bが形成されている。この切欠き5Bは、レンズ枠4をモジュール枠5内に下方から挿入して収容した状態で、レンズ枠4のガイド突起4Dを貫通させ、ガイド突起4Dの先端鍵部4D1をモジュール枠5の径方向外部に突出させるとともに、レンズ枠4の周方向の位置決めを行うためのものである。
【0020】
本実施形態では、このような位置に切欠き5Bを設けているため、図7(b)に示すように、切欠き5B近傍の下側固定ピン14Bは、切欠き5Bを避けて軸線Mと外形の隅部の交点とを結ぶ線から離れた位置に形成されている。すなわち、この下側固定ピン14Bは、切欠き5Bに対して周方向に隣接して設けられている。
これに対して、他の3本の下側固定ピン14Bは、それぞれ軸線Mと隅部の外形の交点とを結ぶ線上に設けられ、モジュール枠5の外形に沿うL字状をなして配置されている。したがって、4本の下側固定ピン14Bは、平面視で非対称な位置に配置されている。
一方、上側固定ピン14Aの平面視の位置は、下側固定ピン14Bの配置と異なっていてもよいが、本実施形態では、それぞれ軸線Mに平行な同軸位置に配置されている。このため、上板ばね6、下板ばね7における、上側固定ピン14A、下側固定ピン14Bの挿通位置は、それぞれ共通化されている。
【0021】
そして、図7(b)に示すように、平面視において、モジュール枠5の側面の交点をQ1、Q2、Q3、Q4とすると、各上側固定ピン14A、各下側固定ピン14Bの軸中心は、それぞれ点Q1、Q2、Q3、Q4の近傍にあって、かつ、点Q1、Q2、Q3、Q4と軸線Mとを結ぶ線分K1,K2、K3、K4の線上または近傍に配置されている。すなわち、各上側固定ピン14A、各下側固定ピン14Bの軸中心と軸線Mとを結ぶ線分k1、k2、k3、k4は、線分K1,K2、K3、K4と重なるか、30度以下程度の浅い角度で交差されている。
【0022】
また、図7(a)に示すように、モジュール枠5の切欠き5Bに隣接する2つの隅部には、切欠き5Bが設けられた隅部と同方向側の側面において、SMAワイヤ10を保持するワイヤ保持部材15A、15B(図2、3参照)を取り付けるための一対の係止溝5Cが設けられている。本実施形態では、ワイヤ保持部材15Aは、駆動モジュール1から給電部材9の一対の端子部9Cが突出される側の側面に設けられ、ワイヤ保持部材15Bは、駆動モジュール1から給電部材9の一対の端子部9Cが突出されない側の側面に設けられている。
ワイヤ保持部材15A、15Bは、端部にSMAワイヤ10の端部をかしめてなる鍵状に形成された金属板などの導電性部材であり、係止溝5Cに側方から嵌合させることで、SMAワイヤ10の端部を位置決めして保持するものである。
また、ワイヤ保持部材15A、15Bは、同一形状に打ち抜かれた、同一材料、同一厚さの金属板、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼等からなる金属板を用い、かしめの折り曲げ方向のみ異なる形状としている。そのため、互いの熱容量が等しくなっている。
ワイヤ保持部材15A、15Bは、図3に示すように、SMAワイヤ10のかしめ位置と反対側に片状の端子部15aを備え、モジュール枠5に対する取付状態において、端子部15aがモジュール枠5の下方に積層されたモジュール下板8の下方にわずかに突出されるようになっている。
また、一対のワイヤ保持部材15A、15Bによって両端が保持されたSMAワイヤ10は、モジュール枠の切欠き5Bから突出されたレンズ枠4のガイド突起4Dの先端鍵部4D1に下方から係止され、SMAワイヤの張力により、先端鍵部4D1を介して、レンズ枠4を上方に付勢している。
【0023】
モジュール枠5の収容部5A内には、図7(a)、(b)に示すように、内壁面5Dから径方向外側に向かい、軸方向には下端側から上端側の中間部まで形成された凹部である度当り受け部5Eが、レンズ枠4の各度当り部4Eを下方から挿入できるような形状に設けられている。
度当り受け部5Eは、軸方向の下方側に、度当り部4Eの度当り面4E1を当接可能な受け面5E1を有している。これにより、図5(b)に示すように、レンズ枠4がその軸線Mに沿い上方(矢印(イ)方向)に所定距離だけ移動すると、各度当り受け部5Eの受け面5E1が、それぞれ各度当り部4Eの度当り面4E1と当接されるため、レンズ枠4の上方への移動が規制される。すなわち、度当り受け部5Eは、レンズ枠4の移動範囲を規制する位置規制部を構成し、度当り部4Eは、モジュール枠5の位置規制部に当接可能に設けられた被位置規制部を構成する。
なお、本実施形態では、度当り受け部5Eの平面視の形成位置は、図7(b)に示すように、収容部5Aの中心(軸線M)から、モジュール枠5の矩形状外形の隅部に向かう線分K1、K2、K3、K4に交差する位置に設けられている。
【0024】
このような構成により、例えば、駆動モジュールを落下させるなどして、外部から大きな衝撃が加えられたとしても、レンズ枠4は、度当り受け部5Eの受け面5E1の位置を超えて図示上方に移動できないようになっている。
このような規制位置は、本実施形態では、レンズ枠4がカバー11に衝突せず、かつ、上板ばね6、下板ばね7の変形が、例えば、弾性限界などの変形限界以下となるように設定している。
また、度当り受け部5Eが、収容部5Aの中心から、モジュール枠5の矩形状外形の隅部に向かう線分K1、K2、K3、K4に交差する位置に設けられているため、モジュール枠5において、収容部5Aから径方向外側に突出する矩形状外形の隅部において、径方向の領域を有効利用することができる。
そのため、度当り受け部5Eをモジュール枠5の内側に設けても、モジュール枠5の外形を増大させないようにすることができるので、小型化、軽量化が可能となる。
【0025】
また、モジュール枠5は、本実施形態ではレンズ枠4と同様に、熱かしめまたは超音波かしめが可能な熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネート(PC)、液晶ポリマー(LCP)樹脂などにより一体成形されている。
【0026】
モジュール枠5及びモジュール枠5内に挿入されたレンズ枠4のそれぞれの上部と下部には、図4に示すように、それぞれ上板ばね6と下板ばね7とが積層されている。
本実施形態では、図8に示すように、上板ばね6及び下板ばね7は同一形状に打ち抜かれた平板状の板ばね部材であり、例えば、ステンレス(SUS)鋼板などのばね性を有する金属板からなる。
【0027】
上板ばね6(下板ばね7)の形状は、図8に示すように、平面視の外形が、モジュール枠5の上側(下側)の端部と同様な略矩形状とされ、中央部に軸線Mと同軸で、レンズ枠4の内周面4Fよりわずかに大きな円状の開口6C(7C)が形成され、全体としてリング状とされている。
上板ばね6(下板ばね7)の3つの隅部および1つの隅部近傍には、モジュール枠5の隅部および1つの隅部近傍に形成された上側固定ピン14A(下側固定ピン14B)の配置位置に対応して、各上側固定ピン14A(下側固定ピン14B)にそれぞれ挿通可能な4つの貫通孔6B(7B)が設けられている。本実施形態では、図7(b)における点Q2、Q4に対応する隅部に形成された上側固定ピン14A(下側固定ピン14B)を挿通する貫通孔6B(7B)のうち、一方が基準円孔、他方が小判孔とされ、モジュール枠5に対する軸線Mに直交する平面内の位置決めが可能となっている。
【0028】
また、上板ばね6(下板ばね7)には、レンズ枠4に形成された上側固定ピン13A(下側固定ピン13B)の配置位置に対応して、各上側固定ピン13A(下側固定ピン13B)にそれぞれ挿通可能な4つの貫通孔6A(7A)が設けられている。
すなわち、本実施形態では、各貫通孔6A(7A)は、図7(b)における線分K1に対応する直線L1に対して、90度の整数倍から角度θだけずれた位置に形成されている。
本実施形態では、このような配置として角度θを適切な値に設定することで、貫通孔6A(7A)が位置する軸線Mを中心とした円の円径と、貫通孔6B(7B)が配置される軸線Mを中心とした円の円径との径の差が、角度θが0°となるように配置する場合に比べて、小さくなるようにそれぞれの配置位置を設定することができる。
【0029】
また、開口6C(7C)の径方向外側には、リング部6F(7F)が形成され、軸線Mを挟んで互いに対角方向に対向する貫通孔6A(7A)の近傍位置から、周方向に略半円弧状に延びる4つのスリット6D(7D)がそれぞれ、略四分円弧ずつ径方向に重なった状態に形成されている。
これにより、上板ばね6(下板ばね7)の外側の矩形状枠体から、略四分円弧状に延ばされた4つのばね部6E(7E)が、それぞれ1つずつ貫通孔6A(7A)近傍に延ばされた板ばね部材が形成されている。
【0030】
モジュール下板8は、図2に示すように、モジュール枠5の各下側固定ピン14Bを下板ばね7の貫通孔7Bに貫通させるとともに、モジュール枠5内に収容したレンズ枠4の各下側固定ピン13Bを下板ばね7の貫通孔7Aに貫通させた状態で、モジュール枠5との間で、下板ばね7を下方側から挟んで積層し、下板ばね7の矩形状の外形枠をモジュール枠5の端面5bに対して押圧状態に固定するものである。
モジュール下板8の形状は、図9(a)、図10に示すように、モジュール枠5の外形と略同様の矩形状外形を有する板状部材であり、中央部に軸線Mを中心とする略円形状の開口8Aが厚さ方向に貫通して形成されている。そして、組立時に下板ばね7に積層される上面8a側には、レンズ枠4の各下側固定ピン13Bの配置位置に対応する位置に、後述するかしめ部との干渉を避けるための4つのU字状の凹部8Bが形成されている。
また、モジュール下板8の周縁に位置する各隅部にはモジュール枠5の各下側固定ピン14Bの配置位置に対応して、これら下側固定ピン14Bをそれぞれ挿通させる貫通孔8Cが形成されている。
また、モジュール下板8の下面8bには、図9(b)、図10に示すように、開口8Aに沿って下方に突出された壁部8Dが形成されている。本実施形態では、上面8aと下面8bとの間の距離はh1、上面8aと壁部8Dの端面8cとの距離はh2(ただし、h1<h2)とされている。壁部8Dの端面8cは、基板2に当接させる取付面を構成している。ここで、距離h2は、下面8bに給電部材9をかしめたときに、かしめ部よりも下方側に突出されるような高さに設定される。
また、壁部8Dは、距離h2を適宜設定することで、基板2に対する軸線M方向、すなわち光軸方向の位置決めする位置決めスペーサの機能を有している。
【0031】
モジュール下板8の材質は、本実施形態では、電気絶縁性および遮光性を有する合成樹脂を採用している。
このため、壁部8Dは、図5(a)に示すように、基板2上に設けられた撮像素子30を側方から覆うことで、撮像素子30の周囲を遮光する遮光材の機能を有している。
また、モジュール下板8が電気絶縁性を有することで、給電部材9を下板ばね7に対して電気的絶縁状態で固定する絶縁部材となっている。また、端面8cが当接する基板2に対して電気的絶縁状態を保つ絶縁部材ともなっている。
【0032】
給電部材9は、図11に示すように、本実施形態では、それぞれ板状の金属板からなる一対の電極9a、9bからなる。
電極9a、9bは、いずれも、モジュール下板8の外形に沿う略L字状の配線部9Bと、配線部の端部からモジュール下板8の外形の外側に突出する端子部9Cとを備える折れ線状の金属板からなる。そして、それぞれの配線部9Bには、モジュール下板8の下面8bから下方に突出されるモジュール枠5の下側固定ピン14Bのうち、モジュール下板8の外形に沿って隣り合う2つの下側固定ピン14Bを、それぞれ挿通させて、電極9a、9bをモジュール枠5に対して位置決めを行う2つの貫通孔9Aが設けられている。
本実施形態では、図3に示すように、電極9a、9bの端子部9Cは、モジュール枠5において、ワイヤ保持部材15Aが取り付けられた側の側面から径方向外方に並列して突出するように設けられている。
このため、電極9aには、貫通孔9Aと端子部9Cとの間の配線部9B上の側面に、ワイヤ保持部材15Aの端子部15aを電気的に接続するために凹状に切り欠かれた導電接続部9Dが設けられている。
また、電極9bには、2つの貫通孔9A間の配線部9B上の側面に、ワイヤ保持部材15Bの端子部15aを電気的に接続するために凹状に切り欠かれた導電接続部9Dが設けられている。
また、電極9a、9bは、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼等の同一の金属材料を用いて、同一体積に形成することによって、互いの熱容量が等しくなるようにしておく。また、電極9a、9bの形状は一例であって、必要な熱容量や電気抵抗の大きさにしたがって、モジュール下板8の下面8bの範囲内で、適宜の大きさ、形状に形成することができる。
それぞれの導電接続部9Dを、端子部15aと電気的に接続する手段としては、例えば、半田付けまたは導電性接着剤による接着を採用することができる。
【0033】
このように、本実施形態では、給電部材9の電極9a、9bが、熱容量を同一にして、種々の形状に形成してもモジュール下板8に容易に取り付けることができるので、例えば、端子部9Cの突出方向や突出位置も、取付相手の基板2の形状やランド部3の配置に応じて、容易に変更することができる。また、電極9a、9bの材質や形状などを変えることで、電気抵抗も容易に変えることができるので、例えば、SMAワイヤ10の電流制御を行うコントローラの抵抗仕様が異なる場合でも、電極9a、9bのみの変更で対応することできる。そのため、種々の要求仕様に対応した駆動モジュールの部品の共通化率を格段に高めることができる。
【0034】
カバー11は、図2、4、12に示すように、上面11Eの外縁部から下方側に、モジュール枠5を外嵌可能に覆う側壁部11Dが延ばされ、下方側に矩形状の開口11Cが形成された部材であり、上面11Eの中央部に軸線Mを中心とした円状の開口11Aが設けられている。開口11Aの大きさは、レンズユニット12を出し入れ可能な大きさとされる。
また、上面11Eの裏面側には、図12に示すように、開口11Aの周方向にレンズ枠4の各上側固定ピン13Aの配置位置に対応する位置に、後述するかしめ部16との干渉を避けるための4つのU字状の凹部11Bが形成されている。
凹部11Bの深さは、度当り面4E1と受け面5E1とが、当接した位置でも、かしめ部16とカバー11とが接触しない深さに設定する。凹部11Bは、上方に張り出す凹部としてもよいが、本実施形態では、凹部11Bの肉厚を薄肉として、カバー11の板厚の範囲内に凹部11Bを形成することで、上面11Eの外表面を平面としている。
【0035】
このような構成の駆動モジュール1の組立方法について順を追って説明する。
第1工程では、まず、モジュール枠5の収容部5A内に下方からレンズ枠4を挿入し、モジュール枠5の各端面5aと、レンズ枠4の端面4aとを同一高さに揃える。そして、モジュール枠5の各上側固定ピン14Aとレンズ枠4の各上側固定ピン13Aとに、上板ばね6の各貫通孔6A、6Bをそれぞれ挿通する。
その後、上板ばね6の各貫通孔6A、6Bを貫通して上方に突き出された各上側固定ピン14A、13Aの先端部を、図示しないヒータチップにより熱かしめして、それぞれかしめ部16、17(図3、4参照)を形成する。
このとき、レンズ枠4の端面4aとモジュール枠5の端面5aとは、同一平面上に整列されており、平板状の上板ばね6を変形させることなく配置して、熱かしめを行うことができる。そのため、変形する上板ばね6を押さえる必要がないので、容易にかしめを行うことができる。また、上板ばね6の変形による浮きなどの発生を防止することができる。
また、各ヒータチップの高さを共通とすることができるので、かしめ部16、17を同時に形成しても、かしめ精度のバラツキを低減することができる。
【0036】
次に、第2工程では、レンズ枠4の各下側固定ピン13Bに、下板ばね7の各貫通孔7Aをそれぞれ挿通する。その際、同時にモジュール枠5の各下側固定ピン14Bに、下板ばね7の各貫通孔7B、モジュール下板8の各貫通孔8C、給電部材9の各貫通孔9Aを挿通する。その後、下板ばね7の各貫通孔7Aを貫通して下方に突き出された各下側固定ピン13Bの先端部を、ヒータチップにより熱かしめして、かしめ部18(図4参照)を形成する。
このとき、レンズ枠4の端面4a、4b間の軸方向距離と、モジュール枠5の端面5a、5b間の軸方向距離とは等しいため、端面4b、5bは、同一平面上に整列されており、平板状の下板ばね7を変形させることなくモジュール下板8を積層配置して、熱かしめを行うことができるので、下板ばね7の変形による浮きなどの発生を防止することができる。
また、各ヒータチップの高さを共通とすることができるので、かしめ部18を同時に形成しても、かしめ精度のバラツキを低減することができる。
【0037】
次に、第3工程では、これら貫通孔7B、8C、9Aを貫通して下方に突き出された各下側固定ピン14Bの下端部を、ヒータチップにより熱かしめして、かしめ部19(図4参照)を形成する。
このとき、各ヒータチップの高さを共通とすることができるので、かしめ部19を同時に形成しても、かしめ精度のバラツキを低減することができる。
また、モジュール下板8に凹部8Bが形成されているため、第2工程で形成されたかしめ部18は、モジュール下板8とは接触しない。
【0038】
これら第1〜第3工程の作業を行うことによって、レンズ枠4とモジュール枠5の両端部に、上板ばね6、下板ばね7、モジュール下板8、給電部材9が積層固定される。
【0039】
本実施形態では、上側固定ピン13Aと下側固定ピン13B、また上側固定ピン14Aと下側固定ピン14Bが、それぞれ同軸に設けられているため、第1〜第3工程のかしめにおいて、かしめ部16、18、かしめ部17、19をそれぞれ形成するためのヒータチップの平面上の位置がそれぞれ共通となる。そのため、各かしめにおいて、ヒータチップ位置を変更する必要がないため効率よくかしめ作業を行うことができる。
このように、板ばね部材を熱かしめすることにより、接着などで固定する場合に比べて、固化に要する時間が短いため、組立時間を低減することができる。また、ガスの発生などによって、部品を汚染したりするおそれがない。また、経時的に安定した固定を行うことができる。
また、熱膨張率が異なるねじなどを用いる場合に比べて、ゆるみなどが発生しにくい。その結果、固定部の信頼性を向上することができる。
また、ねじなどの固定部品を用いないため、部品点数が削減された簡素な構成となり、より軽量化、小型化が可能となる。特に、被駆動体であるレンズ枠4が軽量化されるため、高速、低消費電力の駆動が可能となる。
【0040】
次に、第4工程では、SMAワイヤ10が先端に取り付けられた一対のワイヤ保持部材15A、15Bを、モジュール枠5の2箇所の係止溝5Cにそれぞれ係止させ、例えば、嵌合や接着などの手段によりモジュール枠5に保持、固定する。その際、SMAワイヤ10の中央部を、ガイド突起4Dの先端鍵部4D1に係止させ、かつこの先端鍵部4D1を下側から支持するように掛け渡す。
このとき、ワイヤ保持部材15A、15Bの各端子部15aは、モジュール下板8の下方に突出され、それぞれ、モジュール下板8に固定された給電部材9である電極9a、9bの導電接続部9Dに係止されるか、もしくは近接して配置されている。
そこで、例えば、半田付けや導電性接着剤などを用いて、各端子部15aを、それぞれ導電接続部9Dに対して電気的に接続させる。
【0041】
すなわち、本実施形態では、SMAワイヤ10の端部までの配線を、給電部材9を、下側固定ピン14Bに挿通するように配置してから下側固定ピン14Bの先端部でかしめて固定し、ワイヤ保持部材15A、15Bをモジュール枠5の側方から係止溝5Cに嵌め込んで、電気的に接続するといった、簡単な作業によって配線を行うことができる。このような組み立て作業は、例えば、リード線やフレキシブル基板などをモジュール枠5に対して、立体的に配回す場合とは異なり、一方向の動きで組み立てることができるから、きわめて容易に組み立てることができる。そのため、自動組み立てを行うことも容易となる。
【0042】
次に、第5工程では、モジュール枠5の上方から、カバー11を被せ、側壁部11Dとモジュール下板8とを接合する。例えば、側壁部11Dに係合爪などを設けてはめ込みによって接合したり、側壁部11Dとモジュール下板8とを接着、または溶着して接合したりする。
このとき、かしめ部16、17は、それぞれカバー11の上面11Eの裏面に対して、離間された状態にある。
以上で、駆動モジュール1本体の組み立てが完了する。
【0043】
次に、第6工程では、駆動モジュール1の端子部9Cを、基板2上のランド部3(図1参照)に位置合わせして、駆動モジュール1を基板2上に取り付ける。そして、半田付けまたは導電性接着材などの手段によって、端子部9Cをランド部3に対して電気的に接続する。このとき、かしめ部19は、モジュール下板8の壁部8Dの高さより低い高さとなっているので、基板2とは離間されている。
駆動モジュール1の基板2上への取り付けは、接着、嵌め込みなどの固定手段が採用することができる。
基板2は、駆動モジュール1に付属する独立した部材であってもよいし、電子機器等に接続、配置された部材であってもよい。
【0044】
次に、第7工程では、カバー11の開口11Aを通じてレンズ枠4内にレンズユニット12を螺合して取り付ける。
このように、レンズユニット12を最後に取り付けているのは、組立作業により、レンズユニット12のレンズが汚れたり、ゴミなどが付着したりしないためであるが、例えば、駆動モジュール1をレンズユニット12が取り付けられた製品状態で出荷する場合や、カバー11の開口11Aをレンズユニット12の外形より小さくしたい場合、例えば開口絞りを兼用するような場合などには、この第7工程を、第5工程または第6工程の中で実施してもよい。
【0045】
次に、駆動モジュール1の動作について説明する。
駆動モジュール1は、端子部9Cに電力が供給されない状態では、SMAワイヤ10からの張力や、かしめ部16、18で上板ばね6及び下板ばね7から弾性的に付勢される付勢力等のレンズ枠4に作用する力がつり合い、図5(a)に示すように、レンズユニット12が取り付けられたレンズ枠4が、軸方向の一定位置に保持される。
【0046】
端子部9Cから給電部材9に電力を供給すると、例えば、電極9a、ワイヤ保持部材
15A、SMAワイヤ10、ワイヤ保持部15b、電極9bは、それぞれ導通されているため、SMAワイヤ10に電流が流れる。これにより、SMAワイヤ10にジュール熱が発生して、SMAワイヤ10の温度が上昇し、SMAワイヤ10の変態開始温度を超えると、SMAワイヤが温度に応じた長さに収縮する。
この結果、レンズ枠4のガイド突起4Dが、上方(図中の(イ)方向)に移動する。これにより、上板ばね6、下板ばね7が、それぞれ変形し、変形量に応じた弾性復元力がレンズ枠4に付勢される。そして、この弾性復元力がSMAワイヤ10の張力とつり合う位置で、レンズ枠4が停止する。
【0047】
このとき、本実施形態では、上板ばね6、下板ばね7は、平行ばねを構成しているため、レンズ枠4は、軸方向のガイド部材などに沿わせなくても、正確に軸線M上に沿って移動される。このため、部品点数を削減し、小型化することが可能となっている。また、ガイド部材に対する摺動負荷も発生しないので、低消費電力を実現することが可能となる。
【0048】
また、電力の供給を停止すると、SMAワイヤ10が伸長可能となり、レンズ枠4は、下方(図中の(ロ)方向)のつり合い位置まで移動する。
このようにして、電力供給量を制御することで、レンズ枠4を軸線M方向に駆動することができる。
【0049】
また、何らかの異常時、例えば、落下時に衝撃力を受けた時や、電力制御が不安定になった時などに、SMA10が収縮しすぎて、レンズ枠4の移動量が過大になった場合、本実施形態では、度当り部4E、度当り受け部5Eを備えるため、レンズ枠4の位置が、一定の限界値に規制される。そのため、レンズ枠4がカバー11に衝突したり、上板ばね6、下板ばね7が変形限界を超えて変形したりすることを防止できるので、信頼性を向上することができる。
【0050】
本実施形態の駆動モジュール1によれば、モジュール下板8に積層配置され、互いに熱容量が等しい一対の電極9a、9bを有する給電部材9を、かしめによって固定するので、組み立てが容易となり、駆動動作を安定させることができる
【0051】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る電子機器について説明する。
図13(a)、(b)は、本発明の第2の実施形態に係る電子機器の表面、裏面の斜視外観図である。図13(c)は、図13(b)におけるF−F断面図である。
【0052】
図13(a)、(b)に示す本実施形態のカメラ付き携帯電話20は、上記第1の実施形態の駆動モジュール1を備えた電子機器の一例である。
カメラ付き携帯電話20は、受話部22a、送話部22b、操作部22c、液晶表示部22d、アンテナ部22e、不図示の制御回路部などの周知の携帯電話の装置構成をカバー22内外に備えている。
そして、図13(b)に示すように、液晶表示部22dが設けられた側の裏面側のカバー22に、外光を透過させる窓22Aが設けられ、図13(c)に示すように、駆動モジュール1の開口11Aがカバー22の窓22Aを臨み、窓22Aの法線方向に軸線Mが沿うように、上記第1の実施形態の駆動モジュール1が設置されている。
そして、駆動モジュール1は、基板2に機械的、電気的に接続されている。
基板2は、不図示の制御回路部に接続され、駆動モジュール1に電力を供給できるようになっている。
【0053】
このような構成によれば、窓22Aを透過した光を駆動モジュール1の不図示のレンズユニット12で集光し、撮像素子30上に結像することができる。そして、駆動モジュール1に制御回路部から適宜の電力を供給することで、レンズユニット12を軸線M方向に駆動し、焦点位置調整を行って、撮影を行うことができる。
このようなカメラ付き携帯電話20によれば、上記第1の実施形態の駆動モジュール1を備えるため、組み立てが容易となり、駆動動作を安定させることができる。そのため、製造コストを低減することが可能となる。また、焦点位置調整の合焦精度を向上することができる。
【0054】
なお、上記の説明では、被駆動体を一対の板ばね部材で挟持させて場合の例で説明したが、駆動精度が許容範囲内であれば、被駆動体を1つの板ばね部材によって保持した構成としてもよい。この場合、第1の固定ピン部および第2の固定ピン部は、それぞれ、被駆動体および支持体の一方の端部のみに設ければよい。
【0055】
また、上記の説明では、第1の固定ピン部、第2の固定ピン部の先端部を、ヒータチップの熱を利用してかしめるようにしたが、かしめ手段は、これに限定されない。例えば、超音波振動子の振動を用いてかしめてもよい。
【0056】
また、上記の説明では、第1の固定ピン部、第2の固定ピン部を、それぞれ、被駆動体、支持体に一体成形した場合の例で説明したが、第1の固定ピン部および第2の固定ピン部の少なくともいずれかを、別部材とし、他の材質からなる被駆動体または支持体に接合して形成してもよい。すなわち、被駆動体、支持体の材質は、かしめが可能な熱可塑性樹脂に限定されない。
【0057】
また、上記の説明では、モジュール枠5は、全体として略矩形状の部材として説明したが、略矩形状には限定されず、多角形状であってもよい。この場合、矩形状の隅部は、多角形状の隅部に置き換えることができる。
【0058】
また、上記の説明では、給電部材は、電極9a、9bからなる場合の例で説明したが、給電部材は、2系統の配線が形成された、1枚のプリント基板などを採用してもよい。
【0059】
また、上記の説明では、駆動モジュールをレンズユニットの焦点位置調整機構に用いる場合の例で説明したが、駆動モジュールの用途はこれに限定されない。例えば、被駆動体を目標位置に移動させる適宜のアクチュエータとして他の部分に用いてもよい。例えば、レンズユニット12に代えて、ロッド部材などを螺合したり、レンズ枠4を他の形状に変えたりして、適宜のアクチュエータとして用いることができる。すなわち、被駆動体は、筒状の部材に限定されず、柱状の部材であってもよい。
【0060】
また、上記の説明では、駆動モジュールを用いた電子機器として、カメラ付き携帯電話の例で説明したが、電子機器の種類はこれに限定されない。例えば、デジタルカメラ、パソコン内蔵のカメラなどの光学機器に用いてもよいし、情報読取記憶装置やプリンタなどの電子機器において、被駆動体を目標位置に移動させるアクチュエータとしても用いることができる。
【0061】
また、上記に説明した各実施形態の構成要素は、技術的に可能であれば、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせて実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールの基板への取り付け状態を説明するための模式的な斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールの概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールの組立状態の内部構成を示す模式的な斜視図である。
【図4】図3におけるA−A線に沿う断面図である。
【図5】図3におけるB−B線に沿う断面図、および被駆動体の移動時の図3におけるB−B線に沿う断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる被駆動体の斜視図およびそのC視平面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる支持体の斜視図、およびそのD視裏面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる板ばね部材の平面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる板部材の平面図および正面図である。
【図10】図9(b)におけるE視裏面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いる給電部材の平面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係る駆動モジュールに用いるカバーの裏面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る電子機器の表面、裏面の斜視外観図、およびそのF−F断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 駆動モジュール
2 基板
3 端子
4 レンズ枠(被駆動体)
4E 度当り部(被位置規制部)
5 モジュール枠(支持体)
5A 収容部
5E 度当り受け部(位置規制部)
6 上板ばね(板ばね部材)
7 下板ばね(板ばね部材)
8 モジュール下板(板部材)
9 給電部材
9a、9b 電極
10 形状記憶合金(SMA)ワイヤ(駆動手段)
12 レンズユニット
13A 上側固定ピン(第1の固定ピン部)
13B 下側固定ピン(第1の固定ピン部)
14A 上側固定ピン(第2の固定ピン部)
14B 下側固定ピン(第2の固定ピン部)
15A、15B ワイヤ保持部材
16、18 かしめ部
17、19 かしめ部
20 カメラ付き携帯電話(電子機器)
30 撮像素子
M 軸線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部の少なくともいずれかに熱可塑性樹脂からなる第1の固定ピン部を有する被駆動体と、
該被駆動体を一定方向に沿って移動自在に収容する筒状とされ、両筒端部の少なくともいずれかに前記一定方向沿って延ばされた熱可塑性樹脂からなる第2の固定ピン部を有する支持体と、
前記被駆動体の前記第1の固定ピン部と、前記支持体の前記第2の固定ピン部とにそれぞれ同方向から挿通された状態で、前記支持体の筒端部および前記被駆動体の端部に積層して配置され、前記被駆動体に前記一定方向に沿う付勢力を付与する板ばね部材と、
前記支持体の筒外周部に張架され、長さ方向の中間位置で前記被駆動体を係止し、前記被駆動体を前記板ばね部材の付勢力に抗して駆動する形状記憶合金ワイヤと、
前記支持体の一方の筒端部側で、前記第2の固定ピン部を挿通して積層配置された電気絶縁体からなる板部材と、
前記形状記憶合金ワイヤの端部を把持して、位置を固定した状態で前記支持体および前記板部材の側部に配置されるとともに、電流の供給を受けるための端子部が前記板部材の側部の厚さを超える範囲に延ばされた、互いに熱容量が等しい一対のワイヤ保持部材と、
前記各ワイヤ保持部材の前記端子部にそれぞれ電気的に接続された、互いに熱容量が等しい一対の電極を有し、前記板部材上で、該板部材に挿通された前記第2の固定ピン部を挿通して積層配置された給電部材とを備え、
前記板ばね部材は、
前記被駆動体とは前記第1の固定ピン部において、前記支持体とは前記第2の固定ピン部において、それぞれ、前記第1の固定ピン部および前記第2の固定ピン部の先端部をかしめることにより固定され
前記給電部材は、
前記第2の固定ピン部の先端部をかしめることにより固定されていることを特徴とする駆動モジュール。
【請求項2】
前記給電部材は、
同一材料からなり、かつ同一体積を有する一対の金属板の電極からなることを特徴とする請求項1に記載の駆動モジュール。
【請求項3】
請求項1または2に記載の駆動モジュールを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
両端部の少なくともいずれかに熱可塑性樹脂からなる第1の固定ピン部を有する被駆動体と、
該被駆動体を一定方向に沿って移動自在に収容する筒状とされ、両筒端部の少なくともいずれかに前記一定方向沿って延ばされた熱可塑性樹脂からなる第2の固定ピン部を有する支持体と、
前記被駆動体の前記第1の固定ピン部と、前記支持体の前記第2の固定ピン部とにそれぞれ同方向から挿通された状態で、前記支持体の筒端部および前記被駆動体の端部に積層して配置され、前記被駆動体に前記一定方向に沿う付勢力を付与する板ばね部材と、
前記支持体の筒外周部に張架され、長さ方向の中間位置で前記被駆動体を係止し、前記被駆動体を前記板ばね部材の付勢力に抗して駆動する形状記憶合金ワイヤと、
前記支持体の一方の筒端部側で、前記第2の固定ピン部を挿通して積層配置された電気絶縁体からなる板部材と、
前記形状記憶合金ワイヤの端部を把持して、位置を固定した状態で前記支持体および前記板部材の側部に配置されるとともに、電流の供給を受けるための端子部が前記板部材の側部の厚さを超える範囲に延ばされた、互いに熱容量が等しい一対のワイヤ保持部材と、
前記各ワイヤ保持部材の前記端子部にそれぞれ電気的に接続された、互いに熱容量が等しい一対の電極を有し、前記板部材上で、該板部材に挿通された前記第2の固定ピン部を挿通して積層配置された給電部材とを備え、
前記板ばね部材は、
前記被駆動体とは前記第1の固定ピン部において、前記支持体とは前記第2の固定ピン部において、それぞれ、前記第1の固定ピン部および前記第2の固定ピン部の先端部をかしめることにより固定され
前記給電部材は、
前記第2の固定ピン部の先端部をかしめることにより固定されていることを特徴とする駆動モジュール。
【請求項2】
前記給電部材は、
同一材料からなり、かつ同一体積を有する一対の金属板の電極からなることを特徴とする請求項1に記載の駆動モジュール。
【請求項3】
請求項1または2に記載の駆動モジュールを備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−128708(P2009−128708A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304796(P2007−304796)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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