説明

駆動信号生成回路、及び駆動信号生成方法

【課題】消費電力の低減を図る。
【解決手段】原駆動信号の電圧変化に応じて容量性負荷を充放電する電流増幅回路と、一端に電源電圧が印加される第1コンデンサーの他端の電圧を第1スイッチによって制御する第1チャージポンプ回路と、一端に第1チャージポンプ回路の出力電圧が印加される第2コンデンサーの他端の電圧を第2スイッチによって制御する第2チャージポンプ回路と、を備え、容量性負荷の充電時に原駆動信号が電源電圧よりも高く所定電圧以下のときには、第1スイッチ及び第2スイッチの一方をオンさせ、原駆動信号が所定電圧よりも高くなるときには、第1スイッチと第2スイッチを共にオンさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動信号生成回路、及び駆動信号生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを噴射して画像を印刷するインクジェットプリンターでは、圧電素子(例えばピエゾ素子)を用いてインクを噴射するものが知られている。圧電素子は、電気的にはコンデンサーのような容量性負荷となる。圧電素子はノズル毎に設けられており、各ノズルの圧電素子を動作させるためには十分な電流を供給する必要がある。このため、原駆動信号を電流増幅回路で増幅し、増幅された駆動信号をヘッドに供給している(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−272907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電流増幅回路では、電流増幅回路の高圧側電源電圧端子が電源に接続され、低圧側電源電圧端子が接地されている。このような電流増幅回路で原駆動信号の電流増幅を行う場合、充電側トランジスタにおける消費電力は、高圧側電源電圧と駆動信号との電圧差に電流を乗じた量になり、放電側トランジスタにおける消費電力は、低圧側電源電圧と駆動信号との電圧差に電流を乗じた量になるため、各トランジスタにおける消費電力は大きくなる。
そこで、本発明は、消費電力を低減する構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための主たる発明は、
(A)原駆動信号が入力され、前記原駆動信号の電圧変化に応じて容量性負荷を充放電する電流増幅回路と、
(B)前記電流増幅回路への電源電圧を上昇させる第1チャージポンプ回路であって、
(B1)一端に前記電源電圧が印加される第1コンデンサーと、
(B2)前記第1コンデンサーの他端の電圧を制御する第1スイッチと、
を有し、前記第1スイッチがオンすることに基づいて前記第1コンデンサーの前記一端の電圧を上昇させて出力する第1チャージポンプ回路と、
(C)前記第1チャージポンプ回路と前記電流増幅回路との間に設けられた第2チャージポンプ回路であって、
(C1)一端に前記第1チャージポンプ回路の出力電圧が印加される第2コンデンサーと、
(C2)前記第2コンデンサーの他端の電圧を制御する第2スイッチと、
を有し、前記第2スイッチがオンすることに基づいて前記第2コンデンサーの前記一端の電圧を上昇させて出力する第2チャージポンプ回路と、
を備え、
(D)前記容量性負荷の充電時に前記原駆動信号が前記電源電圧よりも高く所定電圧以下のときには、第1スイッチ及び第2スイッチの一方をオンさせ、前記原駆動信号が前記所定電圧よりも高くなるときには、前記第1スイッチと前記第2スイッチを共にオンさせる
ことを特徴とする駆動信号生成回路である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】プリンター1の全体構成のブロック図である。
【図2】図2Aは、プリンター1の全体構成の概略図である。また、図2Bは、プリンター1の全体構成の横断面図である。
【図3】駆動信号COMの説明図である。
【図4】第1参考例の駆動信号生成回路の構成の説明図である。
【図5】第1参考例の駆動信号生成回路の動作の説明図である。
【図6】第2参考例の駆動信号生成回路の構成の説明図である。
【図7】第2参考例の原駆動信号OCOM、制御信号及び各ポイントでの電圧の時間変化の説明図である。
【図8】本実施形態の駆動信号生成回路の説明図である。
【図9】本実施形態の原駆動信号OCOM、第1制御信号、第2制御信号及びA点での電圧の時間変化の説明図である。
【図10A】ピエゾ素子C1充電時の電流経路の説明図である。
【図10B】ピエゾ素子C1充電時の電流経路の説明図である。
【図11】比較例の駆動信号生成回路の構成の説明図である。
【図12】第2実施形態の駆動信号生成回路の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0008】
(A)原駆動信号が入力され、前記原駆動信号の電圧変化に応じて容量性負荷を充放電する電流増幅回路と、
(B)前記電流増幅回路への電源電圧を上昇させる第1チャージポンプ回路であって、
(B1)一端に前記電源電圧が印加される第1コンデンサーと、
(B2)前記第1コンデンサーの他端の電圧を制御する第1スイッチと、
を有し、前記第1スイッチがオンすることに基づいて前記第1コンデンサーの前記一端の電圧を上昇させて出力する第1チャージポンプ回路と、
(C)前記第1チャージポンプ回路と前記電流増幅回路との間に設けられた第2チャージポンプ回路であって、
(C1)一端に前記第1チャージポンプ回路の出力電圧が印加される第2コンデンサーと、
(C2)前記第2コンデンサーの他端の電圧を制御する第2スイッチと、
を有し、前記第2スイッチがオンすることに基づいて前記第2コンデンサーの前記一端の電圧を上昇させて出力する第2チャージポンプ回路と、
を備え、
(D)前記容量性負荷の充電時に前記原駆動信号が前記電源電圧よりも高く所定電圧以下のときには、第1スイッチ及び第2スイッチの一方をオンさせ、前記原駆動信号が前記所定電圧よりも高くなるときには、前記第1スイッチと前記第2スイッチを共にオンさせる
ことを特徴とする駆動信号生成回路が明らかとなる。
このような駆動信号生成回路によれば、消費電力の低減を図ることができる。
【0009】
かかる駆動信号生成回路であって、前記第1スイッチは、ドレインに前記電源電圧が印加され、ゲートに第1制御信号が印加され、ソースが前記第1コンデンサーの前記他端と接続されたNチャンネルFETであり、前記第2スイッチは、ドレインに前記第1チャージポンプ回路の出力電圧が印加され、ゲートに前記第1制御信号とは大きさの異なる第2制御信号が印加され、ソースが前記第2コンデンサーの前記他端と接続されたNチャンネルFETであることが望ましい。
このような駆動信号生成回路によれば、第1制御信号及び第2制御信号に応じて、第1チャージポンプ回路及び第2チャージポンプ回路の出力電圧を上昇させることができる。
【0010】
かかる駆動信号生成回路であって、前記第1制御信号及び前記第2制御信号は、前記原駆動信号の電圧に応じて変化する信号であることが望ましい。
このような駆動信号生成回路によれば、電流増幅回路における発熱を抑えることができ、消費電力を低減することができる。
【0011】
かかる駆動信号生成回路であって、前記第1チャージポンプ回路及び前記第2チャージポンプ回路は、前記各NチャンネルFETと相補的に接続されてソースフォロアを構成するPチャンネルFETをそれぞれ有し、前記容量性負荷の放電時には、前記第1制御信号及び前記第2制御信号に基づいて前記各PチャンネルFETがオンして、前記容量性負荷の電荷を放出させることが望ましい。
このような駆動信号生成回路によれば、容量性負荷の電荷を放電させることができる。
【0012】
かかる駆動信号生成回路であって、前記容量性負荷の放電時の電荷を蓄積する蓄電素子を更に備えることが望ましい。
このような駆動信号生成回路によれば、容量性負荷の電荷を回生することができる。
【0013】
かかる駆動信号生成回路であって、前記第1スイッチと接続されたツェナーダイオードを有し、前記第1制御信号は、前記ツェナーダイオードによって前記第2制御信号が電圧降下されたものであってもよい。
このような駆動信号生成回路によれば、回路構成を簡素にすることができる。
【0014】
また、原駆動信号が入力され、前記原駆動信号の電圧変化に応じて容量性負荷を充放電する電流増幅回路と、前記電流増幅回路への電源電圧を上昇させる第1チャージポンプ回路であって、一端に前記電源電圧が印加される第1コンデンサーと、前記第1コンデンサーの他端の電圧を制御する第1スイッチと、を有し、前記第1スイッチがオンすることに基づいて前記第1コンデンサーの前記一端の電圧を上昇させて出力する第1チャージポンプ回路と、前記第1チャージポンプ回路と前記電流増幅回路との間に設けられた第2チャージポンプ回路であって、一端に前記第1チャージポンプ回路の出力電圧が印加される第2コンデンサーと、前記第2コンデンサーの他端の電圧を制御する第2スイッチと、を有し、前記第2スイッチがオンすることに基づいて前記第2コンデンサーの前記一端の電圧を上昇させて出力する第2チャージポンプ回路と、を備えた駆動信号生成回路の駆動信号生成方法であって、
前記容量性負荷の充電時に前記原駆動信号が前記電源電圧よりも高く所定電圧以下のときには、第1スイッチ及び第2スイッチの一方をオンにし、前記原駆動信号が前記所定電圧よりも高くなるときには、前記第1スイッチと前記第2スイッチを共にオンにすることを特徴とする駆動信号生成方法が明らかとなる。
【0015】
以下の実施形態では、インクジェットプリンター(以下、プリンター1ともいう)を例に挙げて説明する。
【0016】
===プリンターの構成===
<インクジェットプリンターの構成について>
図1は、プリンター1の全体構成のブロック図である。また、図2Aは、プリンター1の全体構成の概略図である。また、図2Bは、プリンター1の全体構成の横断面図である。以下、プリンターの基本的な構成について説明する。
【0017】
プリンター1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及びコントローラー60を有する。外部装置であるコンピューター110から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラー60は、コンピューター110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0018】
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、給紙ローラー21と、搬送モーター22(PFモータとも言う)と、搬送ローラー23と、プラテン24と、排紙ローラー25とを有する。給紙ローラー21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンター内に給紙するためのローラーである。搬送ローラー23は、給紙ローラー21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラーであり、搬送モーター22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラー25は、紙Sをプリンターの外部に排出するローラーであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
【0019】
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモーター32(CRモーターとも言う)とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモーター32によって駆動される。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
【0020】
ヘッドユニット40は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられているため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。ヘッド41の各ノズルにはピエゾ素子が設けられており、ピエゾ素子が駆動信号COM(後述)で駆動されることによって、ノズルからインクが噴射する。
【0021】
検出器群50には、リニア式エンコーダー51、ロータリー式エンコーダー52、紙検出センサー53、光学センサー54等が含まれる。リニア式エンコーダー51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダー52は、搬送ローラー23の回転量を検出する。紙検出センサー53は、給紙中の紙の先端の位置を検出する。光学センサー54は、キャリッジ31に取付けられている発光部と受光部により、紙の有無を検出する。そして、光学センサー54は、キャリッジ31によって移動しながら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出することができる。また、光学センサー54は、状況に応じて、紙の先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
【0022】
コントローラー60は、プリンターの制御を行うための制御ユニットである。コントローラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、駆動信号生成回路65を有する。インターフェイス部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
【0023】
また、駆動信号生成回路65は、ヘッドユニット40のピエゾ素子を駆動させるための駆動信号COMを生成する。駆動信号生成回路65で生成された駆動信号COMは、フレキシブルケーブル71を介してヘッドユニット40のヘッド41に伝送される。
【0024】
なお、駆動信号生成回路65の詳細については後述する。
【0025】
図3は駆動信号COMの説明図である。駆動信号生成回路65で生成された駆動信号COMはピエゾ素子に印加される。駆動信号COMの電圧の上昇している期間にピエゾ素子が充電される。また、駆動信号COMの電圧が下降している期間にピエゾ素子が放電される。図は、媒体上の1画素にドットを形成する期間の駆動信号COMを示している。媒体に印刷を行う際には、各画素にドットを形成するごとに、図の駆動信号COMが繰り返し生成される。そして、この駆動信号COMの変化に応じてピエゾ素子の充電と放電が行なわれる。このように駆動信号COMによってピエゾ素子が充放電され、ピエゾ素子が駆動信号COMの電圧変化に応じて変位することによってインクチャンバーが膨張・収縮し、対応するノズルからインクが吐出される。
【0026】
<印刷手順について>
コントローラー60は、コンピューター110から印刷命令及び印刷データを受信すると、印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の処理を行う。
【0027】
まず、コントローラー60は、給紙ローラー21を回転させ、印刷すべき用紙Sを搬送ローラー23の所まで送る。次に、コントローラー60は、搬送モーター22を駆動させることによって搬送ローラー23を回転させる。搬送ローラー23が所定の回転量にて回転すると、用紙Sは所定の搬送量にて搬送される。
【0028】
用紙Sがヘッドユニット40の下部まで搬送されると、コントローラー60は、印刷命令に基づいてキャリッジモーター32を回転させる。このキャリッジモーター32の回転に応じて、キャリッジ31が移動方向に移動する。また、キャリッジ31が移動することによって、キャリッジ31に設けられたヘッドユニット40も同時に移動方向に移動する。そして、コントローラー60は、ヘッドユニット40が移動方向に移動している間に駆動信号生成回路65に駆動信号COMを生成させる。そして、駆動信号COMによってピエゾ素子を駆動させることに基づいて、ヘッド41から断続的にインク滴を噴射させる。このインク滴が、用紙Sにインク滴が着弾することによって、移動方向に複数のドットが並ぶドット列が形成される。なお、移動するヘッド41からインクを噴射することによるドット形成動作のことをパスという。
【0029】
また、コントローラー60は、ヘッドユニット40が往復移動する合間に搬送モーター22を駆動させる。搬送モーター22は、コントローラー60からの指令された駆動量に応じて回転方向の駆動力を発生する。そして、搬送モーター22は、この駆動力を用いて搬送ローラー23を回転させる。搬送ローラー23が所定の回転量にて回転すると、用紙Sは所定の搬送量にて搬送される。つまり、用紙Sの搬送量は、搬送ローラー23の回転量に応じて定まることになる。このように、パスと搬送動作を交互に繰り返して行い、用紙Sの各画素にドットを形成していく。こうして用紙Sに画像が印刷される。
【0030】
そして、最後に、コントローラー60は、搬送ローラー23と同期して回転する排紙ローラー25によって印刷が終了した用紙Sを排紙する。
【0031】
===駆動信号生成回路について===
<第1参考例>
図4は第1参考例の駆動信号生成回路65の構成の説明図である。なお、ピエゾ素子は容量性負荷として機能するので、図ではピエゾ素子がコンデンサー(C1)として記載されている。また、プリンター1には、各ノズルに対してそれぞれピエゾ素子が設けられているが、図中ではピエゾ素子を示すコンデンサーを1個で省略記載している。
【0032】
第1参考例の駆動信号生成回路65は、D/Aコンバータ(以下DACともいう)651と電流増幅回路652を有している。
【0033】
DAC651には、CPU62から駆動信号データ(デジタルデータ)が入力される。DAC651はこのデジタルデータをアナログ信号に変換し、駆動信号データに応じた原駆動信号OCOMを出力する。なお、原駆動信号OCOMの電圧変化は、図3の駆動信号COMとほぼ同じである。
【0034】
電流増幅回路652は、多数のピエゾ素子が支障なく動作できるように、十分な電流を供給するための回路である。電流増幅回路652は、入力される原駆動信号OCOMの電圧変化に応じてピエゾ素子C1を充放電するための駆動信号COMを出力する。電流増幅回路652は、充電側トランジスタQ1と放電側トランジスタQ2を有する。充電側トランジスタQ1はNPN型のトランジスタであり、放電側トランジスタQ2はPNP型のトランジスタである。すなわち、電流増幅回路652は、相補的に2個のトランジスタを接続したプッシュプル増幅回路である。
【0035】
充電側トランジスタQ1(NPN型トランジスタ)のベースにはDAC651からの原駆動信号OCOMが入力される。また、充電側トランジスタQ1のコレクタは42V電源と接続されており、充電側トランジスタQ1のエミッタは放電側トランジスタQ2のエミッタと接続されているとともに、ピエゾ素子C1への駆動信号COMの出力信号線に接続されている。
【0036】
放電側トランジスタQ2(PNP型トランジスタ)のベースにはDAC651からの原駆動信号OCOMが入力される。また、放電側トランジスタQ2のコレクタはグランド(GND)と接続されており、放電側トランジスタQ2のエミッタは、充電側トランジスタQ1のエミッタと接続されている。
【0037】
次に第1参考例の駆動信号生成回路65の動作について説明する。図5は、第1参考例の駆動信号生成回路65の動作の説明図である。
【0038】
(充電時)
ピエゾ素子C1の充電時には、DAC651からの原駆動信号OCOMの電圧が徐々に高くなる。これにより、充電側トランジスタQ1がオンとなって、図に示すように電流I1が流れてピエゾ素子C1が充電される。このときの、充電側トランジスタQ1の発熱量(消費電力)は、充電側トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間の電圧と電流I1との積で表される。つまり、図5の左側斜線部(右上がり線のハッチング部分)と電流I1の積になる。
【0039】
(ホールド時)
ホールド時には、原駆動信号OCOMの電圧が変化しない。これにより、充電側トランジスタQ1と放電側トランジスタQ2は共にオフとなる。よって、電流が流れず駆動信号COMは同じ電圧を維持する。
【0040】
(放電時)
ピエゾ素子C1の放電時には、DAC651からの原駆動信号OCOMの電圧が徐々に低くなる。これにより、放電側トランジスタQ2がオンとなって、図に示すように電流I2が流れてピエゾ素子が放電される。このときの、放電側トランジスタQ2の発熱量は、放電側トランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間の電圧と電流I2との積で表される。つまり、図5の右側斜線部(右下がり線のハッチング部分)と電流I2の積になる。
【0041】
<第2参考例>
第1参考例では、斜線部の面積(コレクタ−エミッタ間の電圧差)が大きく、発熱量が大きい。これに対し、第2参考例では、コレクタ−エミッタ間の電圧差を小さくし、発熱量を低減させている。
また、第1参考例では、ピエゾ素子に充電された電荷が全てグランドに放電されてしまう。これに対し、第2参考例では、ピエゾ素子に充電された電荷の一部を放電時に回生している。
【0042】
図6は、第2参考例の駆動信号生成回路65の構成の説明図である。第2参考例の駆動信号生成回路65は、DAC651、電流増幅回路652、チャージポンプ回路66、回生用のコンデンサーC3、及び、21V電源V1を有している。電流増幅回路652の高圧側電源電圧端子は、チャージポンプ回路66の高圧側出力端子と接続している(A点)。また、電流増幅回路652の低圧側電源電圧端子は、チャージポンプ回路66の低圧側出力端子と接続している(B点)。チャージポンプ回路66の充電用端子は、21V電源V1とコンデンサーC3と接続している(C点)。チャージポンプ回路66の放電用端子は、GNDと接続している(D点)。
【0043】
DAC651は、第1参考例と同様の構成である。但し、第2参考例のDAC651は、原駆動信号OCOMだけでなく、制御信号も出力する。なお、制御信号については後述する。
【0044】
電流増幅回路652は、第1参考例と同様の構成である。但し、第2参考例では、充電側トランジスタQ1のコレクタの接続先は、42V電源ではなく、後述するチャージポンプ回路66のコンデンサーC2の高圧側端子である。また、放電側トランジスタQ2の接続先は、グランド(GND)ではなく、チャージポンプ回路66のコンデンサーC2の低圧側端子である。
【0045】
チャージポンプ回路66は、コンデンサーC2、電圧調整部661、ダイオードD1及びダイオードD2を有している。チャージポンプ回路66は、電流増幅回路652の高圧側電源電圧端子に原駆動信号OCOMよりも高い電圧を印加するとともに(A点)、電流増幅回路652の低圧側電源電圧端子に原駆動信号OCOMよりも低い電圧を印加する(B点)。
【0046】
コンデンサーC2は、チャージポンプ用のコンデンサーであり、コンデンサーC1(全てのピエゾ素子の容量の合計)よりも容量が大きい。コンデンサーC2の高圧側端子は、充電側トランジスタQ1のコレクタと接続され、コンデンサーC2の低圧側端子は、放電側トランジスタQ2のコレクタと接続されている。
【0047】
電圧調整部661は、図中B点(コンデンサーC2の低圧側端子、すなわち、放電側トランジスタQ2のコレクタ)の電圧を調整する。電圧調整部661は、DAC651からの制御信号により動作が制御される。
【0048】
第2参考例の電圧調整部661は、相補的に接続されたNチャンネル型FET(Q3)と、Pチャンネル型FET(Q4)によるソースフォロア構成である。この構成により、電圧調整部661の出力電圧(B点電圧)が、入力電圧(制御信号の電圧)と同じになるように制御される。
【0049】
Nチャンネル型FET(以下、N型FETともいう)Q3のゲートには、DAC651からの制御信号が印加される。また、N型FETQ3のドレインは電源V1(21V)に接続されており、N型FETQ3のソースは、Pチャンネル型FET(Q4)のソースと接続されている。
【0050】
Pチャンネル型FET(以下、P型FETともいう)Q4のゲートにはDAC651からの制御信号が印加される。P型FETQ4のドレインはグランド(GND)に接続されており、P型FETQ4のソースは、N型FETQ3のソースと接続されている。また、N型FETQ3のソース及びP型FETQ4のソースは、電流増幅回路652の放電側トランジスタQ2のコレクタと、コンデンサーC2の低圧側端子に接続されている。
【0051】
B点の電圧が制御信号の電圧よりも低くなる場合にはN型FETQ3がオンし、B点の電圧が制御信号の電圧よりも高くなる場合にはP型FETQ4がオンする。こうして、電圧調整部661は、制御信号と同じ電圧になるようにB点の電圧を調整する。
【0052】
ダイオードD1は逆流防止用のダイオードであり、ダイオードD1のカソード側は電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1のコレクタ及びコンデンサーC2の高圧側端子と接続されており、アノード側は電源V1及びN型FETQ3のドレインと接続されている。
【0053】
ダイオードD2は、回生用のダイオードであり、放電側トランジスタQ2からコンデンサーC3へ電流が流れることを許容するためのものである。ダイオードD2のカソード側は、コンデンサーC3の高圧側端子と接続されており、アノード側は放電側トランジスタQ2のコレクタと接続されている。
【0054】
コンデンサーC3(蓄積素子に相当する)は、回生される電荷を蓄積するためのものである。ピエゾ素子C1の放電時に放電側トランジスタQ2から放出された電荷がダイオードD2を介してコンデンサーC3に回生される。このコンデンサーC3の容量は、コンデンサーC1(全てのピエゾ素子の容量の合計)及びコンデンサーC2の容量よりも大きい。コンデンサーC3の低圧側端子はグランドに接続されており、高圧側端子は電源V1、ダイオードD1のアノード側、ダイオードD2のカソード側に接続されている。
【0055】
電源V1は、21Vの電源である。つまり、第2参考例の電源電圧は、第1参考例での電源電圧(42V)よりも低い電圧である。
【0056】
次に第2参考例の駆動信号生成回路65の動作について説明する。
図7は、第2参考例の原駆動信号OCOM(駆動信号COM)、制御信号及び各ポイントでの電圧の時間変化の説明図である。
【0057】
まず、時刻T0では、原駆動信号OCOMに変化がなく、充電側トランジスタQ1、放電側トランジスタQ2は共にオフである。A点電圧(コンデンサーC2の高圧側端子、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1のコレクタ)は電源V1により21Vになる。また、このとき制御信号はGND電圧であり、これにより、B点電圧(コンデンサーC2の低圧側端子)は、GND電圧になる。よって、コンデンサーC2が21Vで充電される。
【0058】
時刻T1〜T2では、DAC651からの原駆動信号OCOMの電位が徐々に高くなる。原駆動信号OCOMが高くなることによって、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1がオンとなり、ピエゾ素子C1が充電される。このときの充電側トランジスタQ1のコレクタ電圧は21Vなので、充電側トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、21V−駆動信号COMの電圧(図のT1〜T2のハッチング部分)となる。これは第1参考例の場合よりも小さい。すなわち、充電側トランジスタQ1の発熱が第1参考例よりも小さくなる。
また、このとき、制御信号はGND電圧である。つまり、図のB点の電圧がGND電圧になっている。
【0059】
時刻T2〜T3では、制御信号の電圧が、原駆動信号OCOMの電圧変化と同じ傾きで、徐々に高くなる。制御信号の電圧が高くなることによって、電圧調整部661のN型FETQ3がオンになる。N型FETQ3がオンすることにより、電源V1(21V)からB点に電流が流れ、B点電圧が制御信号と同じ電圧になる。また、時刻T2直前でコンデンサーC2が21Vで充電されているため、A点電圧が制御信号の電圧+21Vになる(図7参照)。また、原駆動信号OCOMが高くなることによって、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1がオンとなり、ピエゾ素子C1が充電される。このときの充電側トランジスタQ1のコレクタ電圧は「制御信号+21V」なので、充電側トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、「制御信号+21V−駆動信号COMの電圧」となる(図のT2〜T3のハッチング部分)。これは第1参考例の場合よりも小さい。すなわち、充電側トランジスタQ1の発熱が第1参考例よりも小さくなる。
【0060】
時刻T3〜T4(ホールド時)では、原駆動信号OCOMが一定になる。これにより充電側トランジスタQ1が(及び放電側トランジスタQ2も)オフとなり、ピエゾ素子C1には電流が流れず、駆動信号COMは同じ電圧を維持する。また、このとき、制御信号も一定になる。これにより、N型FETQ3及びP型FETQ4はともにオフになる。
【0061】
時刻T4〜T5では、DAC651からの原駆動信号OCOMの電圧が徐々に低くなる。これにより、電流増幅回路652の放電側トランジスタQ2がオンとなり、ピエゾ素子C1が放電される。また、このとき、制御信号が原駆動信号OCOMの電圧と同じ傾きで徐々に低くなる。これにより、P型FETQ4がオンし、B点電圧を制御信号と同じにする。つまり、B点の電圧が原駆動信号OCOMの電圧と同じ傾きで低くなる。また、コンデンサー2は21Vで充電されているので、A点の電圧もB点の電圧が低くなるのと同じ傾きで低くなる。なお、このときの放電側トランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、「駆動信号COMの電圧−B点電圧」となる(図のT4〜T5のハッチング部分)。これは第1参考例の場合よりも小さい。すなわち、放電側トランジスタQ2の発熱が第1参考例よりも小さくなる。
【0062】
なお、放電側トランジスタQ2から放出される電荷は、P型FETQ4を介してGNDに放出されるが、駆動信号が21Vまでは、電荷の一部がダイオードD2を介してコンデンサーC3に移動する(回生)。
【0063】
時刻T5〜T6においても、放電側トランジスタQ2がオンとなり、ピエゾ素子C1が放電される。なお、ここでは、B点の電圧がGND電圧になっているので、放電側トランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、駆動信号COMの電圧−GND(T5〜T6のハッチング部分)である。
以下、同じ動作を繰り返す。
【0064】
<本実施形態>
本実施形態では、チャージポンプ回路を2段構成にすることによって、電源電圧を第2参考例の場合よりもさらに低くしている。
【0065】
図8は、本実施形態の駆動信号生成回路65の説明図である。
本実施形態の駆動信号生成回路65は、DAC651、電流増幅回路652、第1チャージポンプ回路66A、第2チャージポンプ回路66B、回生用のコンデンサーC3、及び、14V電源V2を有している。
【0066】
電流増幅回路652の高圧側電源電圧端子は、第2チャージポンプ回路66Bの高圧側出力端子と接続している(A点)。また、電流増幅回路652の低圧側電源電圧端子は、第2チャージポンプ回路66Bの低圧側出力端子と接続している(B点)。なお、電流増幅回路652には原駆動信号OCOMが入力され、駆動信号COMが出力される。
第2チャージポンプ回路66Bの充電用端子は、第1チャージポンプ回路66Aの高圧側出力端子と接続している(C点)。第2チャージポンプ回路66Bの放電用端子は、第1チャージポンプ回路66Aの低圧側出力端子と接続している(D点)。なお、第2チャージポンプ回路66Bには第2制御信号が入力される。
第1チャージポンプ回路66Aの充電用端子は、14V電源V2及びコンデンサーC3と接続している(E点)。第1チャージポンプ回路66Aの放電用端子は、GNDと接続している(F点)。なお、第1チャージポンプ回路66Aには第1制御信号が入力される。
【0067】
DAC651は、前述の参考例と同様の構成である。但し、本実施形態のDAC651は、原駆動信号OCOMだけでなく、2つの制御信号(第1制御信号、第2制御信号)も出力する。なお、第1制御信号、第2制御信号については後述する。
【0068】
電流増幅回路652は、前述の参考例と同様の構成である。但し、本実施形態では、充電側トランジスタQ1のコレクタの接続先は、後述する第2チャージポンプ回路66BのコンデンサーC22の高圧側端子(A点)である。また、放電側トランジスタQ2の接続先は、第2チャージポンプ回路66BのコンデンサーC22の低圧側端子(B点)である。
【0069】
コンデンサーC3(蓄積素子に相当する)は、回生される電荷を蓄積するためのものである。ピエゾ素子C1の放電時に放電側トランジスタQ2から放出された電荷がコンデンサーC3に回生される。このコンデンサーC3の容量は、コンデンサーC1(全てのピエゾ素子の容量の合計)の容量よりも大きい。コンデンサーC3の低圧側端子はグランドに接続されており、高圧側端子は14V電源V2、第1チャージポンプ回路66Aの充電用端子(E点)に接続されている。
【0070】
電源V2は、14Vの電源である。つまり、本実施形態の電源電圧は、第1参考例での電源電圧(42V)及び第2参考例での電源電圧(21V)よりもさらに低い電圧である。
【0071】
(第2チャージポンプ回路66Bについて)
第2チャージポンプ回路66Bは、コンデンサーC22、第2電圧調整部661B、ダイオードD21及びダイオードD22を有している。第2チャージポンプ回路66Bは、電流増幅回路652の高圧側電源電圧端子に原駆動信号OCOMよりも高い電圧を印加するとともに(A点)、電流増幅回路652の低圧側電源電圧端子に原駆動信号OCOMよりも低い電圧を印加する(B点)。
【0072】
コンデンサーC22は、チャージポンプ用のコンデンサーであり、コンデンサーC1(全てのピエゾ素子の容量の合計)よりも容量が大きい。コンデンサーC22の高圧側端子は、充電側トランジスタQ1のコレクタと接続され、コンデンサーC22の低圧側端子は、放電側トランジスタQ2のコレクタと接続されている。
【0073】
第2電圧調整部661Bは、図中B点(コンデンサーC22の低圧側端子、すなわち、放電側トランジスタQ2のコレクタ)の電圧を調整する。第2電圧調整部661Bは、DAC651からの第2制御信号により動作が制御される。
第2電圧調整部661Bは、第2参考例の電圧調整部661と同様、相補的に接続されたN型FET(Q23)と、P型FET(Q24)によるソースフォロア構成である。この構成により、第2電圧調整部661Bの出力電圧(B点電圧)が、入力電圧(第2制御信号の電圧)と同じになるように制御される。
【0074】
N型FETQ23のゲートにはDAC651からの第2制御信号が印加される。また、N型FETQ23のドレインは第1チャージポンプ回路66Aの高圧側出力端子(C点)と接続されており、N型FETQ23のソースは、P型FETQ24のソースと接続されている。
【0075】
P型FETQ24のゲートにはDAC651からの第2制御信号が印加される。また、P型FETQ24のドレインは第1チャージポンプ回路66Aの低圧側出力端子(D点)と接続されており、P型FETQ24のソースは、N型FETQ23のソースと接続されている。また、N型FETQ23のソース及びP型FETQ24のソースは、電流増幅回路652の放電側トランジスタQ2のコレクタと、コンデンサーC22の低圧側端子に接続されている。
【0076】
B点の電圧が第2制御信号の電圧よりも低くなる場合にはN型FETQ23がオンし、B点の電圧が第2制御信号の電圧よりも高くなる場合にはP型FETQ24がオンする。こうして、第2電圧調整部661Bは、第2制御信号と同じ電圧になるようにB点の電圧を調整する。
【0077】
ダイオードD21は逆流防止用のダイオードであり、ダイオードD21のカソード側は電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1のコレクタ及びコンデンサーC22の高圧側端子と接続されており、アノード側は第1チャージポンプ回路66Aの高圧側出力端子(C点)及びN型FETQ23のドレインと接続されている。
【0078】
ダイオードD22は、回生用のダイオードであり、放電側トランジスタQ2からコンデンサーC3へ電流が流れることを許容するためのものである。ダイオードD22のカソード側は、第1チャージポンプ回路66Aの高圧側出力端子(C点)と接続されており、アノード側は放電側トランジスタQ2のコレクタと接続されている。
【0079】
(第1チャージポンプ回路66Aについて)
第1チャージポンプ回路66Aは、コンデンサーC12、第1電圧調整部661A、ダイオードD11及びダイオードD12を有している。第1チャージポンプ回路66Aは、第2チャージポンプ回路66Bの充電用端子に第2制御信号よりも高い電圧を印加するとともに(C点)、第2チャージポンプ回路66Bの放電用端子に第2制御信号よりも低い電圧を印加する(D点)。なお、第1チャージポンプ回路66Aは第2チャージポンプ回路66Bと同様の構成である。
【0080】
コンデンサーC12は、チャージポンプ用のコンデンサーであり、コンデンサーC1(全てのピエゾ素子の容量の合計)よりも容量が大きい。コンデンサーC12の高圧側端子は、第2チャージポンプ回路66Bの充電用端子(C点)と接続され、コンデンサーC22の低圧側端子は、第2チャージポンプ回路66Bの放電用端子(D点)と接続されている。
【0081】
第1電圧調整部661Aは、図中D点(コンデンサーC12の低圧側端子、第2チャージポンプ回路66Bの放電用端子)の電圧を調整する。第1電圧調整部661Aは、DAC651からの第1制御信号により動作が制御される。
第1電圧調整部661Aは、第2電圧調整部661Bと同様、相補的に接続されたN型FET(Q13)と、P型FET(Q14)によるソースフォロア構成である。この構成により、第1電圧調整部661Aの出力電圧(D点電圧)が、入力電圧(第1制御信号の電圧)と同じになるように制御される。
【0082】
N型FETQ13のゲートにはDAC651からの第1制御信号が印加される。また、N型FETQ13のドレインは電源V2(14V)と接続されており、N型FETQ13のソースは、P型FETQ14のソースと接続されている。
P型FETQ14のゲートにはDAC651からの第1制御信号が印加される。また、P型FETQ14のドレインはGNDと接続されており、P型FETQ14のソースは、N型FETQ13のソースと接続されている。また、N型FETQ13のソース及びP型FETQ14のソースは、第2チャージポンプ回路66Bの放電用端子と、コンデンサーC12の低圧側端子に接続されている。
【0083】
D点の電圧が第1制御信号の電圧よりも低くなる場合にはN型FETQ13がオンし、D点の電圧が第1制御信号の電圧よりも高くなる場合にはP型FETQ14がオンする。こうして、第1電圧調整部661Aは、第1制御信号と同じ電圧になるようにD点の電圧を調整する。なお、第1制御信号及び第2制御信号については後述する。
【0084】
ダイオードD11は逆流防止用のダイオードであり、ダイオードD11のカソード側は第2チャージポンプ回路66Bの充電用端子(C点)及びコンデンサーC12の高圧側端子と接続されており、アノード側は電源V2及びN型FETQ13のドレインと接続されている。
【0085】
ダイオードD12は、回生用のダイオードであり、第2チャージポンプ回路66Bの放電側端子からコンデンサーC3へ電流が流れることを許容するためのものである。ダイオードD12のカソード側は、E点を介してコンデンサーC3と接続されており、アノード側は第2チャージポンプ回路66Bの放電用端子(D点)と接続されている。
【0086】
次に本実施形態の駆動信号生成回路65の動作について説明する。
図9は、本実施形態の原駆動信号OCOM(駆動信号COM)、第1制御信号、第2制御信号及びA点での電圧の時間変化の説明図である。また、図9の下側は、各ポイントに流れる電流を示している。なお、電源電流とは、E点(第1チャージポンプ回路66Aの充電用端子)に流れる電流である。
また、図10A及び図10Bは、ピエゾ素子C1充電時の電流経路の説明図である。
まず、各信号の時間変化について説明する。
【0087】
(原駆動信号OCOM)
時刻t0において、原駆動信号OCOMは最低電圧(約0V)である。時刻t1〜t4では、原駆動信号OCOMの電位が徐々に高くなる。なお、途中の時刻t2において、原駆動信号OCOMが14Vに達する。また時刻t3において原駆動信号OCOMが28Vに達する。時刻t4において、原駆動信号OCOMは最高電圧になる。時刻t4〜t5では、原駆動信号OCOMは一定電圧である。この時間をホールド時間と呼ぶ。時刻t5〜t8では、原駆動信号OCOMの電位が徐々に低くなる。なお、途中の時刻t6において、原駆動信号OCOMが28Vに達する。また、時刻t7において原駆動信号COMが14Vに達する。そして時刻t8において、原駆動信号OCOMは最低電圧になる。このような原駆動信号OCOMをDAC651は出力する。なお、駆動信号生成回路65から出力される駆動信号COMは、原駆動信号OCOMとほぼ同じ電圧変化になる。
【0088】
(第2制御信号)
時刻t1までは、第2制御信号は最低電圧(GND以下の電圧)である。原駆動信号OCOMの電圧が徐々に高くなる時刻t1から、第2制御信号の電圧は、原駆動信号OCOMの電圧変化と同じ傾きで、徐々に高くなる。そして時刻t2の直前で0V以上になる。その後も、第2制御信号の電圧は、原駆動信号OCOMの電圧変化と同じ傾きで徐々に高くなり、時刻t3直前で14Vに達し、時刻t4で最高電圧になる。時刻t4〜t5では、第2制御信号は一定電圧である。時刻t5以降では、第2制御信号の電圧は、最低電圧になるまで、原駆動信号OCOMの電圧変化と同じ傾きで、徐々に低くなる。このような第2制御信号をDAC651は出力する。なお、時刻t6で第2制御信号の電圧はほぼ14Vになる。
【0089】
(第1制御信号)
時刻t2までは、第1制御信号は最低電圧(GND以下の電圧)である。時刻t2から、第1制御信号の電圧は、原駆動信号OCOMの電圧変化と同じ傾きで、徐々に高くなる。そして時刻t3の直前で0V以上になる。その後も、第1制御信号の電圧は、原駆動信号OCOMの電圧変化と同じ傾きで徐々に高くなり、時刻t4で最高電圧になる。時刻t4〜t5では、第1制御信号は一定電圧である。時刻t5以降、第1制御信号の電圧は、最低電圧になるまで、原駆動信号OCOMの電圧変化と同じ傾きで、徐々に低くなる。このような第1制御信号をDAC651は出力する。
【0090】
次に、各タイミングにおける駆動信号生成回路65の動作について説明する。
時刻t0では、原駆動信号OCOMに変化がないので、充電側トランジスタQ1、放電側トランジスタQ2は共にオフである。A点電圧(コンデンサーC22の高圧側端子、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1のコレクタ)は電源V2により14Vになる。また、C点電圧(コンデンサーC12の高圧側端子)も電源V2により14Vになる。また、このとき第1制御信号及び第2制御信号は共にGND以下の電圧であり、これにより、B点電圧(コンデンサーC22の低圧側端子)及びD点電圧(コンデンサーC12の低圧側端子)は、GND電圧になる。よって、コンデンサーC12及びコンデンサーC22が14Vで充電される。
【0091】
時刻t1〜t2では、DAC651からの原駆動信号OCOMの電位が徐々に高くなる。原駆動信号OCOMが高くなることによって、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1がオンとなり、ピエゾ素子C1が充電される。このときの充電側トランジスタQ1のコレクタ電圧は14Vなので、充電側トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、14V−駆動信号COMの電圧となる。これは、第2参考例の場合よりもさらに小さい。すなわち、充電側トランジスタQ1の発熱が第2参考例(及び第1参考例)よりも小さくなる。
また、このとき、第1制御信号及び第2制御信号はGND以下の電圧である。つまり、図のB点の電圧、及びD点の電圧はGND電圧になっている。
【0092】
時刻t2〜t3では、第2制御信号の電圧が、GND電圧よりも大となり、原駆動信号OCOMの電圧変化と同じ傾きで、徐々に高くなる。これにより、第2電圧調整部661BのN型FETQ23がオンになる。N型FETQ23がオンすることで、電源V2(14V)からB点に電流が流れ、B点電圧が第2制御信号と同じ電圧になる。そして、図10Aに示す経路(電源V2→N型FETQ23→コンデンサーC22→充電側トランジスタQ1)の電流が流れる。時刻t2直前でコンデンサーC22が14Vで充電されているため、N型FETQ23がオンすることにより、A点電圧が「B点電圧(第2制御信号の電圧)+14V」になる。
【0093】
また、原駆動信号OCOMが高くなることによって、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1がオンとなり、ピエゾ素子C1が充電される。このときの充電側トランジスタQ1のコレクタ電圧は「第2制御信号の電圧+14V」なので、充電側トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、「第2制御信号の電圧+14V−駆動信号COMの電圧」となる。これは第1参考例、及び、第2参考例の場合よりも小さい。すなわち、充電側トランジスタQ1の発熱が第1参考例、及び、第2参考例よりも小さくなる。
【0094】
時刻t3〜t4では、第1制御信号の電圧が、GND電圧よりも大となり、原駆動信号OCOMの電圧変化と同じ傾きで、徐々に高くなる。これにより、第1電圧調整部661AのN型FETQ13がオンになる。N型FETQ13がオンすることで、電源V2(14V)からD点に電流が流れ、D点電圧が第1制御信号と同じ電圧になる。そして、図10Bに示す経路(電源V2→N型FETQ13→コンデンサーC12→N型FETQ23→コンデンサーC22→充電側トランジスタQ1)の電流が流れる。時刻t3直前でコンデンサーC12が14Vで充電されているため、C点電圧(N型FETQ23のドレイン電圧)が「第1制御信号の電圧+14V」になる。このため、第2制御信号の電圧(N型FETQ23のゲート電圧)が電源V2の14Vを超えても、B点電圧は第2制御信号と同じ電圧に制御される。A点電圧は「第2制御信号の電圧+14V」なので、28Vを超えてさらに上昇する。
【0095】
時刻t4〜t5(ホールド時)では、原駆動信号OCOMが一定になる。これにより充電側トランジスタQ1が(及び放電側トランジスタQ2も)オフとなり、ピエゾ素子C1には電流が流れず、駆動信号COMは同じ電圧を維持する。また、このとき、第1制御信号及び第2制御信号も一定になる。これにより、第1電圧調整部661A及び第2電圧調整部661Bの各トランジスタは全てオフになる。
【0096】
時刻t5〜t7では、DAC651からの原駆動信号OCOMの電圧が徐々に低くなる。これにより、電流増幅回路652の放電側トランジスタQ2がオンとなり、ピエゾ素子C1が放電される。また、このとき、第1制御信号及び第2制御信号が原駆動信号OCOMの電圧と同じ傾きで徐々に低くなる。第2制御信号が徐々に低くなることによってP型FETQ24がオンし、B点電圧を第2制御信号と同じにする。また、コンデンサーC22は14Vで充電されているので、A点の電圧もB点の電圧(第2制御信号)が低くなるのと同じ傾きで低くなる。なお、このときの放電側トランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、「駆動信号COMの電圧−B点電圧」となる。
また、第1制御信号が徐々に低くなることによってP型FETQ14がオンし、D点電圧を第1制御信号と同じにする。
【0097】
このように、P型FETQ24とP型FETQ14がオンすることにより、放電側トランジスタQ2から放出される電荷は、P型FETQ24とP型FETQ14を介してGNDに放出される。なお、第2制御信号が14Vになるまで(時刻t5〜t6)は、放電側トランジスタQ2からの電荷の一部が、ダイオードD22→コンデンサーC12→ダイオードD12を介して、コンデンサーC3に回生される。また、駆動信号COMが14Vになるまでは、放電側トランジスタQ2からの電荷の一部が、P型FETQ24→ダイオードD12を介して、コンデンサーC3に回生される
時刻t7〜t8においても、放電側トランジスタQ2がオンとなり、ピエゾ素子C1が放電される。なお、ここでは、B点の電圧がGND電圧になっている(第2制御信号がGND以下になる)ので、放電側トランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、「駆動信号COMの電圧−GND」である。
以下、同じ動作を繰り返す。
【0098】
<比較例>
図11は比較例の駆動信号生成回路65の構成の説明図である。図8ではDAC651から3つの信号が出力されていたのに対し、この比較例では、DAC651から出力される信号は、原駆動信号OCOMと制御信号の2つである。DAC651から出力された制御信号は、第1チャージポンプ回路66Aの第1電源調整部661Aと、第2チャージポンプ回路66Bの第2電源調整部661Bにそれぞれ入力されている。なお、この制御信号は本実施形態(図8、図9参照)の第2制御信号と同じ信号である。
【0099】
前述の本実施形態では最初に第2チャージポンプ回路66Bを動作させた後、第1チャージポンプ回路66Aを動作させていたが、この比較例では、第2チャージポンプ回路66Bの動作と同じタイミングで第1チャージポンプ回路66Aが動作する。このため、図9の時刻t2〜t3の間においても、図10Bの電流経路で電流が流れる。つまり、この期間にも、コンデンサーC12に電流が流れる。
【0100】
このように、比較例では、ピエゾ素子C1の充電時に1段目のチャージポンプ回路(第1チャージポンプ回路66A)のコンデンサーC12に電流が流れる時間が多くなる(コンデンサーC12の放電が多い)。これにより、第1チャージポンプ回路66Aの充電を多く行うことが必要になり、電力消費が大きい。
【0101】
また、本実施形態では、図9の時刻t2〜t3の間、第1チャージポンプ回路66AのN型FETQ13がオフ(N型FETQ13に電流が流れない)のに対し、比較例では、この間にもN型FETQ13がオン(N型FETQ13に電流が流れる)になる。つまり、比較例では、この期間にN型FETQ13においても発熱する。このように、比較例では1段目のチャージポンプ回路(第1チャージポンプ回路66A)のN型FETQ13での損失が大きい。
【0102】
以上説明したように、本実施形態の駆動信号生成回路65は、電流増幅回路652と、第1チャージポンプ回路66Aと第2チャージポンプ回路66Bを備えている。このようにチャージポンプ回路を2段構成にすることで、第1参考例及び第2参考例よりも電源電圧を低くすることができ、消費電力を小さくすることができる。
また、第1チャージポンプ回路66Aは、電源電圧(E点電圧)が一端に印加されるコンデンサーC12と、ピエゾ素子C1の充電時にコンデンサーC12の他端の電圧を制御するN型FETQ13を有している。
第2チャージポンプ回路66Bは、第1チャージポンプ回路66Aの出力電圧(C点電圧)が一端に印加されるコンデンサーC22と、ピエゾ素子C1の充電時にコンデンサーC22の他端の電圧を調整するN型FETQ23を有している。
そして、原駆動信号が14Vを超える場合、14Vから28Vまでは、第2チャージポンプ回路のみを動作させ、28Vよりも高くなる場合は第1チャージポンプ回路と第2チャージポンプ回路を共に動作させている。
こうすることにより、比較例と比べて、ピエゾ素子C1の充電時に1段目のチャージポンプ回路(第1チャージポンプ回路66A)のコンデンサーC12に電流が流れる時間を少なくすることができ電力消費を小さくすることができる。
【0103】
また、ピエゾ素子C1の充電時に第1チャージポンプ回路66AのN型FETQ13に電流が流れない時間を多くすることができ、N型FETQ13の発熱による損失を小さくすることができる
なお、本実施形態では、第1制御信号が第2制御信号よりも小さかったが、この逆であってもよい。つまり、第2チャージポンプ回路66Bを先に動作させた後、第1チャージポンプ回路66Aを動作させるようにしてもよい。
【0104】
===第2実施形態===
図12は第2実施形態の駆動信号生成回路65の説明図である。第2実施形態では、前述した比較例(図11)と同様にDAC651から出力される制御信号は一つである。但し、第2実施形態では、DAC651と第1チャージポンプ回路66Aの第1電圧調整部661Aとの間に電圧降下用のツェナーダイオードZD1が設けられている。
ツェナーダイオードZD1のカソード側はDAC651と接続されており、DAC651からの制御信号が印加される。また、ツェナーダイオードZD1のアノード側は第1電圧調整部661AのN型FETQ13のゲート及びP型FETQ14のゲートと接続されている。
以上の構成により、ツェナーダイオードZD1の逆方向に電流が流れるときには、ツェナーダイオードZD1の電圧降下分だけ電圧が下がる。つまり、第1チャージポンプ回路66Aを動作させるタイミングを、第2チャージポンプ回路66Bを動作させるタイミングよりも遅らせることができる。
なお、第2実施形態の動作は前述の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0105】
第2実施形態の場合も、最初に第2チャージポンプ回路66Bが動作し、その後、第1チャージポンプ回路66Aが動作するので、コンデンサーC12の放電を少なくすることができ電力消費を抑えることができる。また、1段目のチャージポンプ回路(第1チャージポンプ回路66A)のN型FETQ13での損失を小さくできる。さらに、第2実施形態では、DAC651が出力する制御信号が1つ(第1実施形態では制御信号が2つ)なので、第1実施形態よりもDAC651の構成を簡素にすることができる。
【0106】
===その他の実施形態===
一実施形態としてのプリンター等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0107】
<プリンターについて>
前述の実施形態のプリンターは、ヘッドが移動方向に移動するドット形成動作(パス)と、用紙を搬送方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すプリンター(いわゆるシリアルプリンター)であった。しかし、プリンターの種類は、これに限られるものではない。例えば、ヘッドを固定して、ヘッドと対向させて用紙を搬送させながらヘッドからインクを吐出させて印刷を行うプリンター(いわゆるラインプリンター)であっても良い。
【0108】
<液体噴射装置について>
前述の実施形態では、液体噴射装置の一例としてインクジェットプリンターが説明されている。但し、液体噴射装置はインクジェットプリンターに限られるものではなく、インク以外の液体(液体以外にも、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような液状体も含む)や液体以外の流体(流体として噴射できる固体、例えば粉体)を噴射する流体噴射装置にも適用可能である。例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる液状の色剤や電極材などを噴射する噴射装置や、バイオチップ製造に用いられる液状の生体有機物を噴射する噴射装置に、前述の実施形態を適用しても良い。
【0109】
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンターの実施形態だったので、インクをノズルから噴射しているが、このインクは水性でも良いし、油性でも良い。また、ノズルから噴射する流体は、インクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから噴射しても良い。
【0110】
<ピエゾ素子について>
前述の実施形態では、ピエゾ素子を用いてインクを吐出していた。しかし、駆動される素子が容量性負荷の機能があれば、ピエゾ素子に限られず、他の圧電素子でも良い。
【0111】
<DACについて>
前述の実施形態では、原駆動信号OCOMや制御信号を、DAC(D/Aコンバーター)を用いて生成したが、これに限られない。デジタルデータからアナログ信号に変換することなく、直接アナログ信号として原駆動信号OCOMや制御信号を出力しても良い。
【0112】
<コンデンサーC3について>
本実施形態では、コンデンサーC3によって、ピエゾ素子C1の放電時の電荷を回生していたが、コンデンサーC3を用いなくてもよい(回生しなくてもよい)。
【符号の説明】
【0113】
1 プリンター、20 搬送ユニット、
21 給紙ローラー、22 搬送モーター(PFモーター)、
23 搬送ローラー、24 プラテン、25 排紙ローラー、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 キャリッジモーター(CRモーター)、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 センサー群、51 リニア式エンコーダー、
52 ロータリー式エンコーダー、
53 紙検出センサー、54 光学センサー、
60 コントローラー、61 インターフェイス部、62 CPU、
63 メモリー、64 ユニット制御回路、
65 駆動信号生成回路、651 DAC、652 電流増幅回路、
66 チャージポンプ回路、66A 第1チャージポンプ回路、
66B 第2チャージポンプ回路、661A 第1電圧調整部、
661B 第2電圧調整部、71 フレキシブルケーブル、
Q1 充電側トランジスタ、Q2 放電側トランジスタ、
Q3 N型FET、Q4 P型FET、Q6 N型FET、
Q7 P型FET、Q8 N型FET、Q9 N型FET、
Q13 N型FET、Q14 P型FET、
Q23 N型FET、Q24 P型FET、
C1 ピエゾ素子、C2〜C4,C12,C22 コンデンサー、
D1,D2,D11,D12,D21,D22 ダイオード、
ZD1 ツェナーダイオード
V1 電源(21V)、V2 電源(14V)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)原駆動信号が入力され、前記原駆動信号の電圧変化に応じて容量性負荷を充放電する電流増幅回路と、
(B)前記電流増幅回路への電源電圧を上昇させる第1チャージポンプ回路であって、
(B1)一端に前記電源電圧が印加される第1コンデンサーと、
(B2)前記第1コンデンサーの他端の電圧を制御する第1スイッチと、
を有し、前記第1スイッチがオンすることに基づいて前記第1コンデンサーの前記一端の電圧を上昇させて出力する第1チャージポンプ回路と、
(C)前記第1チャージポンプ回路と前記電流増幅回路との間に設けられた第2チャージポンプ回路であって、
(C1)一端に前記第1チャージポンプ回路の出力電圧が印加される第2コンデンサーと、
(C2)前記第2コンデンサーの他端の電圧を制御する第2スイッチと、
を有し、前記第2スイッチがオンすることに基づいて前記第2コンデンサーの前記一端の電圧を上昇させて出力する第2チャージポンプ回路と、
を備え、
(D)前記容量性負荷の充電時に前記原駆動信号が前記電源電圧よりも高く所定電圧以下のときには、第1スイッチ及び第2スイッチの一方をオンさせ、前記原駆動信号が前記所定電圧よりも高くなるときには、前記第1スイッチと前記第2スイッチを共にオンさせる
ことを特徴とする駆動信号生成回路。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動信号生成回路であって、
前記第1スイッチは、
ドレインに前記電源電圧が印加され、ゲートに第1制御信号が印加され、ソースが前記第1コンデンサーの前記他端と接続されたNチャンネルFETであり、
前記第2スイッチは、
ドレインに前記第1チャージポンプ回路の出力電圧が印加され、ゲートに前記第1制御信号とは大きさの異なる第2制御信号が印加され、ソースが前記第2コンデンサーの前記他端と接続されたNチャンネルFETである、
ことを特徴とする駆動信号生成回路。
【請求項3】
請求項2に記載の駆動信号生成回路であって、
前記第1制御信号及び前記第2制御信号は、前記原駆動信号の電圧に応じて変化する信号である
ことを特徴とする駆動信号生成回路。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の駆動信号生成回路であって、
前記第1チャージポンプ回路及び前記第2チャージポンプ回路は、前記各NチャンネルFETと相補的に接続されてソースフォロアを構成するPチャンネルFETをそれぞれ有し、
前記容量性負荷の放電時には、前記第1制御信号及び前記第2制御信号に基づいて前記各PチャンネルFETがオンして、前記容量性負荷の電荷を放出させる
ことを特徴とする駆動信号生成回路。
【請求項5】
請求項4に記載の駆動信号生成回路であって、
前記容量性負荷の放電時の電荷を蓄積する蓄電素子を更に備える
ことを特徴とする駆動信号生成回路。
【請求項6】
請求項2〜5の何れかに記載の駆動信号生成回路であって、
前記第1スイッチと接続されたツェナーダイオードを有し、
前記第1制御信号は、前記ツェナーダイオードによって前記第2制御信号が電圧降下されたものである
ことを特徴とする駆動信号生成回路。
【請求項7】
原駆動信号が入力され、前記原駆動信号の電圧変化に応じて容量性負荷を充放電する電流増幅回路と、
前記電流増幅回路への電源電圧を上昇させる第1チャージポンプ回路であって、一端に前記電源電圧が印加される第1コンデンサーと、前記第1コンデンサーの他端の電圧を制御する第1スイッチと、を有し、前記第1スイッチがオンすることに基づいて前記第1コンデンサーの前記一端の電圧を上昇させて出力する第1チャージポンプ回路と、
前記第1チャージポンプ回路と前記電流増幅回路との間に設けられた第2チャージポンプ回路であって、一端に前記第1チャージポンプ回路の出力電圧が印加される第2コンデンサーと、前記第2コンデンサーの他端の電圧を制御する第2スイッチと、を有し、前記第2スイッチがオンすることに基づいて前記第2コンデンサーの前記一端の電圧を上昇させて出力する第2チャージポンプ回路と、
を備えた駆動信号生成回路の駆動信号生成方法であって、
前記容量性負荷の充電時に前記原駆動信号が前記電源電圧よりも高く所定電圧以下のときには、第1スイッチ及び第2スイッチの一方をオンにし、
前記原駆動信号が前記所定電圧よりも高くなるときには、前記第1スイッチと前記第2スイッチを共にオンにする、
ことを特徴とする駆動信号生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−16285(P2011−16285A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162134(P2009−162134)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】