駆動信号生成回路、流体噴射装置
【課題】容量性負荷の放電時の電荷を回生する際に、回生できる電荷を増やす。
【解決手段】原駆動信号の電圧変化に応じて容量性負荷を充放電する電流増幅回路の高圧側電源電圧端子に、チャージポンプ用コンデンサーの一端が接続され、電流増幅回路の低圧側電源電圧端子にチャージポンプ用コンデンサーの他端が接続される。チャージポンプ用コンデンサーを所定電圧で充電する際に、第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーを直列接続し、直列接続された第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーに所定電圧が印加され、容量性負荷の放電時には、第1蓄電用コンデンサーと第2蓄電用コンデンサーとを電気的に切断し、第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーのうちの少なくとも一方に、電流増幅回路の低圧側電源電圧端子からの電荷を蓄積させる。
【解決手段】原駆動信号の電圧変化に応じて容量性負荷を充放電する電流増幅回路の高圧側電源電圧端子に、チャージポンプ用コンデンサーの一端が接続され、電流増幅回路の低圧側電源電圧端子にチャージポンプ用コンデンサーの他端が接続される。チャージポンプ用コンデンサーを所定電圧で充電する際に、第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーを直列接続し、直列接続された第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーに所定電圧が印加され、容量性負荷の放電時には、第1蓄電用コンデンサーと第2蓄電用コンデンサーとを電気的に切断し、第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーのうちの少なくとも一方に、電流増幅回路の低圧側電源電圧端子からの電荷を蓄積させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動信号生成回路、流体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを噴射して画像を印刷するインクジェットプリンターでは、圧電素子(例えばピエゾ素子)を用いてインクを噴射するものが知られている。圧電素子は、電気的にはコンデンサーのような容量性負荷となる。圧電素子はノズル毎に設けられており、各ノズルの圧電素子を動作させるためには十分な電流を供給する必要がある。このため、原駆動信号を電流増幅回路で増幅し、増幅された駆動信号をヘッドに供給している(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−272907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電流増幅回路では、電流増幅回路の高圧側電源電圧端子が電源に接続され、低圧側電源電圧端子が接地されている。このような電流増幅回路で原駆動信号の電流増幅を行う場合、充電用トランジスタにおける消費電力は、高圧側電源電圧と駆動信号との電圧差に電流を乗じた量になり、放電用トランジスタにおける消費電力は、低圧側電源電圧と駆動信号との電圧差に電流を乗じた量になるため、各トランジスタにおける消費電力は大きくなる。
そこで、本発明は、消費電力を低減する構成を提供することを目的とする。加えて、本発明では、消費電力を低減するためにチャージポンプ回路を採用した構成において放電時の電荷を回生する際に、回生できる電荷を増やすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための主たる発明は、原駆動信号が入力され、前記原駆動信号の電圧変化に応じて容量性負荷を充放電する電流増幅回路と、前記電流増幅回路の高圧側電源電圧端子に一端が接続され、前記電流増幅回路の低圧側電源電圧端子に他端が接続されたチャージポンプ用コンデンサーであって、前記容量性負荷の充電時に前記所定電圧で充電された前記チャージポンプ用コンデンサーの前記他端側の電圧を上げることによって前記電流増幅回路の前記高圧側電源電圧端子の電圧を前記所定電圧よりも高い電圧にさせるためのチャージポンプ用コンデンサーと、前記容量性負荷の放電時の電荷を蓄積する第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーと、を備えた駆動信号生成回路であって、前記チャージポンプ用コンデンサーを前記所定電圧で充電する際に、前記第1蓄電用コンデンサーの一端と前記第2蓄電用コンデンサーの一端とを電気的に接続することによって前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを直列接続し、直列接続された前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーに前記所定電圧が印加され、前記容量性負荷の放電時には、前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端とを電気的に切断し、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーのうちの少なくとも一方に、前記電流増幅回路の前記低圧側電源電圧端子からの電荷を蓄積させることを特徴とする駆動信号生成回路である。
【0006】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】プリンター1の全体構成のブロック図である。
【図2】図2Aは、プリンター1の全体構成の概略図である。また、図2Bは、プリンター1の全体構成の横断面図である。
【図3】駆動信号COMの説明図である。
【図4】第1参考例の駆動信号生成回路65の構成の説明図である。
【図5】第1参考例の駆動信号生成回路65の動作の説明図である。
【図6】第2参考例の駆動信号生成回路65の構成の説明図である。
【図7】第2参考例の原駆動信号OCOM、制御信号及び各ポイントでの電圧の時間変化の説明図である。
【図8】第1実施形態の駆動信号生成回路65の説明図である。
【図9】駆動信号及び各ポイントでの電位の時間変化の説明図である。
【図10】各スイッチのオン/オフ制御の説明図である。
【図11】第2実施形態の駆動信号生成回路の説明図である。
【図12】図12Aは、第2実施形態における原駆動信号OCOM、制御信号、E点の電圧の時間変化の説明図である。図12Bは、原駆動信号OCOM、A点及びB点の電圧の時間変化の説明図である。
【図13】図13Aは、時刻T0のときの電流の説明図である。図13Bは、時刻Tb〜T2での電流の説明図である。図13Cは、時刻T4〜T5での電流の説明図である。
【図14】第3実施形態の駆動信号生成回路の説明図である。
【図15】図15Aは、第3実施形態における原駆動信号OCOM、制御信号、E点の電圧の時間変化の説明図である。図15Bは、原駆動信号OCOM、A点及びB点の電圧の時間変化の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0009】
原駆動信号が入力され、前記原駆動信号の電圧変化に応じて容量性負荷を充放電する電流増幅回路と、前記電流増幅回路の高圧側電源電圧端子に一端が接続され、前記電流増幅回路の低圧側電源電圧端子に他端が接続されたチャージポンプ用コンデンサーであって、前記容量性負荷の充電時に前記所定電圧で充電された前記チャージポンプ用コンデンサーの前記他端側の電圧を上げることによって前記電流増幅回路の前記高圧側電源電圧端子の電圧を前記所定電圧よりも高い電圧にさせるためのチャージポンプ用コンデンサーと、前記容量性負荷の放電時の電荷を蓄積する第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーと、を備えた駆動信号生成回路であって、前記チャージポンプ用コンデンサーを前記所定電圧で充電する際に、前記第1蓄電用コンデンサーの一端と前記第2蓄電用コンデンサーの一端とを電気的に接続することによって前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを直列接続し、直列接続された前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーに前記所定電圧が印加され、前記容量性負荷の放電時には、前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端とを電気的に切断し、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーのうちの少なくとも一方に、前記電流増幅回路の前記低圧側電源電圧端子からの電荷を蓄積させることを特徴とする駆動信号生成回路が明らかとなる。
このような駆動信号生成回路によれば、容量性負荷の放電時に、より多くの電荷の回生させることができる。
【0010】
かかる駆動信号生成回路であって、前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端の間に設けられた第1スイッチと、前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と接地との間に設けられた第2スイッチと、前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第1蓄電用コンデンサーの他端との間に設けられた第3スイッチとを有し、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを直列接続する際には、前記第1スイッチをオンにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオフにし、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを並列接続する際には、前記第1スイッチをオフにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオンにする、ことが望ましい。
このような駆動信号生成回路によれば、第1スイッチ〜第3スイッチのオン/オフの制御によって、容易に第1蓄電用コンデンサーと第2蓄電用コンデンサーの接続状態を直列接続と並列接続とに容易に切り替えることができる。
【0011】
かかる駆動信号生成回路であって、前記所定電圧の電源と、前記電源と第1蓄電用コンデンサーの前記他端との間に設けられた第4スイッチとを有し、前記第1スイッチをオフにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオンにする際に、前記第4スイッチをオフにすることが望ましい。
このような駆動信号生成回路によれば、電荷の回生時に電源から第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーが充電されてしまうことを回避できる。
【0012】
かかる駆動信号生成回路であって、前記第1スイッチ及び前記第4スイッチをオンにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオフにする第1状態と、前記第1スイッチ及び前記第4スイッチをオフにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオンにする第2状態との間に、全てのスイッチをオフにすることが望ましい。
このような駆動信号生成回路によれば、第1スイッチ及び第4スイッチと、第2スイッチ及び第3スイッチが同時にオンとなることを回避できる。
【0013】
かかる駆動信号生成回路であって、一端が前記第1蓄電用コンデンサーの前記他端に接続され、他端が接地された第3蓄電用コンデンサーを有することが望ましい。
このような駆動信号生成回路によれば、各スイッチが同時にオフになったときに、電圧が不定にならないようにすることができる。
【0014】
また、ノズルから流体を噴射させるため電圧変化に応じて変位する圧電素子と、原駆動信号が入力され、前記原駆動信号の電圧変化に応じて前記圧電素子を充放電する電流増幅回路と、前記電流増幅回路の高圧側電源電圧端子に一端が接続され、前記電流増幅回路の低圧側電源電圧端子に他端が接続されたチャージポンプ用コンデンサーであって、前記圧電素子の充電時に前記所定電圧で充電された前記チャージポンプ用コンデンサーの前記他端側の電圧を上げることによって前記電流増幅回路の前記高圧側電源電圧端子の電圧を前記所定電圧よりも高い電圧にさせるためのチャージポンプ用コンデンサーと、前記圧電素子の放電時の電荷を蓄積する第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーと、を備えた駆動信号生成回路であって、前記チャージポンプ用コンデンサーを前記所定電圧で充電する際に、前記第1蓄電用コンデンサーの一端と前記第2蓄電用コンデンサーの一端とを電気的に接続することによって前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを直列接続し、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーに対して前記所定電圧で充電し、前記圧電素子の放電時に、前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端とを電気的に切断し、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーのうちの少なくとも一方に、前記電流増幅回路の前記低圧側電源電圧端子からの電荷を蓄積させる、ことを特徴とする流体噴射装置が明らかとなる。
【0015】
以下の実施形態では、インクジェットプリンター(以下、プリンター1ともいう)を例に挙げて説明する。
【0016】
===プリンターの構成===
<インクジェットプリンターの構成について>
図1は、プリンター1の全体構成のブロック図である。また、図2Aは、プリンター1の全体構成の概略図である。また、図2Bは、プリンター1の全体構成の横断面図である。以下、プリンターの基本的な構成について説明する。
【0017】
プリンター1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及びコントローラー60を有する。外部装置であるコンピューター110から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラー60は、コンピューター110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0018】
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、給紙ローラー21と、搬送モーター22(PFモータとも言う)と、搬送ローラー23と、プラテン24と、排紙ローラー25とを有する。給紙ローラー21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンター内に給紙するためのローラーである。搬送ローラー23は、給紙ローラー21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラーであり、搬送モーター22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラー25は、紙Sをプリンターの外部に排出するローラーであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
【0019】
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモーター32(CRモーターとも言う)とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモーター32によって駆動される。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
【0020】
ヘッドユニット40は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられているため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。ヘッド41の各ノズルにはピエゾ素子が設けられており、ピエゾ素子が駆動信号COM(後述)で駆動されることによって、ノズルからインクが噴射する。
【0021】
検出器群50には、リニア式エンコーダー51、ロータリー式エンコーダー52、紙検出センサー53、光学センサー54等が含まれる。リニア式エンコーダー51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダー52は、搬送ローラー23の回転量を検出する。紙検出センサー53は、給紙中の紙の先端の位置を検出する。光学センサー54は、キャリッジ31に取付けられている発光部と受光部により、紙の有無を検出する。そして、光学センサー54は、キャリッジ31によって移動しながら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出することができる。また、光学センサー54は、状況に応じて、紙の先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
【0022】
コントローラー60は、プリンターの制御を行うための制御ユニットである。コントローラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、駆動信号生成回路65を有する。インターフェイス部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
【0023】
また、駆動信号生成回路65は、ヘッドユニット40のピエゾ素子を駆動させるための駆動信号COMを生成する。駆動信号生成回路65で生成された駆動信号COMは、フレキシブルケーブル71を介してヘッドユニット40のヘッド41に伝送される。
なお、駆動信号生成回路65の詳細については後述する。
【0024】
図3は駆動信号COMの説明図である。駆動信号生成回路65で生成された駆動信号COMはピエゾ素子に印加される。駆動信号COMの電圧の上昇している期間にピエゾ素子が充電される。また、駆動信号COMの電圧が下降している期間にピエゾ素子が放電される。図は、媒体上の1画素にドットを形成する期間の駆動信号COMを示している。媒体に印刷を行う際には、各画素にドットを形成するごとに、図の駆動信号COMが繰り返し生成される。そして、この駆動信号COMの変化に応じてピエゾ素子の充電と放電が行なわれる。このように駆動信号COMによってピエゾ素子が充放電され、ピエゾ素子が駆動信号COMの電圧変化に応じて変位することによってインクチャンバーが膨張・収縮し、対応するノズルからインクが吐出される。
【0025】
<印刷手順について>
コントローラー60は、コンピューター110から印刷命令及び印刷データを受信すると、印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の処理を行う。
【0026】
まず、コントローラー60は、給紙ローラー21を回転させ、印刷すべき用紙Sを搬送ローラー23の所まで送る。次に、コントローラー60は、搬送モーター22を駆動させることによって搬送ローラー23を回転させる。搬送ローラー23が所定の回転量にて回転すると、用紙Sは所定の搬送量にて搬送される。
【0027】
用紙Sがヘッドユニット40の下部まで搬送されると、コントローラー60は、印刷命令に基づいてキャリッジモーター32を回転させる。このキャリッジモーター32の回転に応じて、キャリッジ31が移動方向に移動する。また、キャリッジ31が移動することによって、キャリッジ31に設けられたヘッドユニット40も同時に移動方向に移動する。そして、コントローラー60は、ヘッドユニット40が移動方向に移動している間にヘッド41から断続的にインク滴を噴射させる。このインク滴が、用紙Sにインク滴が着弾することによって、移動方向に複数のドットが並ぶドット列が形成される。なお、移動するヘッド41からインクを噴射することによるドット形成動作のことをパスという。
【0028】
また、コントローラー60は、ヘッドユニット40が往復移動する合間に搬送モーター22を駆動させる。搬送モーター22は、コントローラー60からの指令された駆動量に応じて回転方向の駆動力を発生する。そして、搬送モーター22は、この駆動力を用いて搬送ローラー23を回転させる。搬送ローラー23が所定の回転量にて回転すると、用紙Sは所定の搬送量にて搬送される。つまり、用紙Sの搬送量は、搬送ローラー23の回転量に応じて定まることになる。このように、パスと搬送動作を交互に繰り返して行い、用紙Sの各画素にドットを形成していく。こうして用紙Sに画像が印刷される。
そして、最後に、コントローラー60は、搬送ローラー23と同期して回転する排紙ローラー25によって印刷が終了した用紙Sを排紙する。
【0029】
===第1実施形態の駆動信号生成回路===
<第1参考例>
図4は第1参考例の駆動信号生成回路65の構成の説明図である。なお、ピエゾ素子は容量性負荷として機能するので、図ではピエゾ素子がコンデンサー(C1)として記載されている。また、プリンター1には、各ノズルに対してそれぞれピエゾ素子が設けられているが、図中ではピエゾ素子を示すコンデンサーを1個で省略記載している。
第1参考例の駆動信号生成回路65は、D/Aコンバータ(以下DACともいう)651と電流増幅回路652を有している。
【0030】
DAC651には、CPU62から駆動信号データ(デジタルデータ)が入力される。DAC651はこのデジタルデータをアナログ信号に変換し、駆動信号データに応じた原駆動信号OCOMを出力する。なお、原駆動信号OCOMの電圧変化は、図3の駆動信号COMとほぼ同じである。
【0031】
電流増幅回路652は、多数のピエゾ素子が支障なく動作できるように、十分な電流を供給するための回路である。電流増幅回路652は、入力される原駆動信号OCOMの電圧変化に応じてピエゾ素子C1を充放電するための駆動信号COMを出力する。電流増幅回路652は、充電側トランジスタQ1と放電側トランジスタQ2を有する。充電側トランジスタQ1はNPN型のトランジスタであり、放電側のトランジスタQ2はPNP型のトランジスタである。すなわち、電流増幅回路652は、相補的に2個のトランジスタを接続したプッシュプル増幅回路である。
【0032】
充電側トランジスタQ1(NPN型トランジスタ)のベースにはDAC651からの原駆動信号OCOMが入力される。また、充電側トランジスタQ1のコレクタは42V電源と接続されており、充電側トランジスタQ1のエミッタは放電側トランジスタQ2のエミッタと接続されているとともに、ピエゾ素子C1への駆動信号COMの出力信号線に接続されている。なお、駆動信号COMは、スイッチSW1を介してピエゾ素子C1に印加される。
【0033】
放電側トランジスタQ2(PNP型トランジスタ)のベースにはDAC651からの原駆動信号OCOMが入力される。また、放電側トランジスタQ2のコレクタはグランド(GND)と接続されており、放電側トランジスタQ2のエミッタは、充電側トランジスタQ1のエミッタと接続されている。
【0034】
次に第1参考例の駆動信号生成回路65の動作について説明する。図5は、第1参考例の駆動信号生成回路65の動作の説明図である。
【0035】
(充電時)
ピエゾ素子C1の充電時には、DAC651からの原駆動信号OCOMの電圧が徐々に高くなる。これにより、充電側トランジスタQ1がオンとなって、図に示すように電流I1が流れてピエゾ素子C1が充電される。このときの、充電側トランジスタQ1の発熱量(消費電力)は、充電側トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間の電圧と電流I1との積で表される。つまり、図5の左側斜線部(右上がり線のハッチング部分)と電流I1の積になる。
【0036】
(ホールド時)
ホールド時には、原駆動信号OCOMの電圧が変化しない。これにより、充電側トランジスタQ1と放電側トランジスタQ2は共にオフとなる。よって、電流が流れず駆動信号COMは同じ電圧を維持する。
【0037】
(放電時)
ピエゾ素子C1の放電時には、DAC651からの原駆動信号OCOMの電圧が徐々に低くなる。これにより、放電側トランジスタQ2がオンとなって、図に示すように電流I2が流れてピエゾ素子が放電される。このときの、放電側トランジスタQ2の発熱量は、放電側トランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間の電圧と電流I2との積で表される。つまり、図5の右側斜線部(右下がり線のハッチング部分)と電流I2の積になる。
【0038】
<第2参考例>
第1参考例では、斜線部の面積(コレクタ−エミッタ間の電圧差)が大きく、発熱量が大きい。これに対し、第2参考例では、コレクタ−エミッタ間の電圧差を小さくし、発熱量を低減させている。
また、第1参考例では、ピエゾ素子に充電された電荷が全てグランドに放電されてしまう。これに対し、第2参考例では、ピエゾ素子に充電された電荷の一部を放電時に回生している。
【0039】
図6は、第2参考例の駆動信号生成回路65の構成の説明図である。第2参考例の駆動信号生成回路65は、DAC651、電流増幅回路652、チャージポンプ回路66、回生用のコンデンサーC3、及び、21V電源V1を有している。電流増幅回路652の高圧側電源電圧端子は、チャージポンプ回路66の高圧側出力端子と接続している(A点)。また、電流増幅回路652の低圧側電源電圧端子は、チャージポンプ回路66の低圧側出力端子と接続している(B点)。チャージポンプ回路66の充電用端子は、21V電源V1とコンデンサーC3と接続している(C点)。チャージポンプ回路66の放電用端子は、GNDと接続している(D点)。
【0040】
DAC651は、第1参考例と同様の構成である。但し、第2参考例のDAC651は、原駆動信号OCOMだけでなく、制御信号も出力する。なお、制御信号については後述する。
【0041】
電流増幅回路652は、第1参考例と同様の構成である。但し、第2参考例では、充電側トランジスタQ1のコレクタの接続先は、42V電源ではなく、後述するチャージポンプ回路66のコンデンサーC2の高圧側端子である。また、放電側トランジスタQ2の接続先は、グランド(GND)ではなく、チャージポンプ回路66のコンデンサーC2の低圧側端子である。
【0042】
チャージポンプ回路66は、コンデンサーC2、電圧調整部661、ダイオードD1及びダイオードD2を有している。チャージポンプ回路66は、電流増幅回路652の高圧側電源電圧端子に原駆動信号OCOMよりも高い電圧を印加するとともに(A点)、電流増幅回路652の低圧側電源電圧端子に原駆動信号OCOMよりも低い電圧を印加する(B点)。
【0043】
コンデンサーC2は、チャージポンプ用のコンデンサーであり、コンデンサーC1(全てのピエゾ素子の容量の合計)よりも容量が大きい。コンデンサーC2の高圧側端子は、充電側トランジスタQ1のコレクタと接続され、コンデンサーC2の低圧側端子は、放電側トランジスタQ2のコレクタと接続されている。
【0044】
電圧調整部661は、図中B点(コンデンサーC2の低圧側端子、すなわち、放電側トランジスタQ2のコレクタ)の電圧を調整する。電圧調整部661は、DAC651からの制御信号により動作が制御される。
【0045】
第2参考例の電圧調整部661は、相補的に接続されたNチャンネル型FET(Q3)と、Pチャンネル型FET(Q4)によるソースフォロア構成である。この構成により、電圧調整部661の出力電圧(B点電圧)が、入力電圧(制御信号の電圧)と同じになるように制御される。
【0046】
Nチャンネル型FET(以下、N型FETともいう)Q3のゲートには、DAC651からの制御信号が印加される。また、N型FETQ3のドレインは電源V1(21V)に接続されており、N型FETQ3のソースは、Pチャンネル型FET(Q4)のソースと接続されている。
【0047】
Pチャンネル型FET(以下、P型FETともいう)Q4のゲートにはDAC651からの制御信号が印加される。P型FETQ4のドレインはグランド(GND)に接続されており、P型FETQ4のソースは、N型FETQ3のソースと接続されている。また、N型FETQ3のソース及びP型FETQ4のソースは、電流増幅回路652の放電側トランジスタQ2のコレクタと、コンデンサーC2の低圧側端子に接続されている。
【0048】
B点の電圧が制御信号の電圧よりも低くなる場合にはN型FETQ3がオンし、B点の電圧が制御信号の電圧よりも高くなる場合にはP型FETQ4がオンする。こうして、電圧調整部661は、制御信号と同じ電圧になるようにB点の電圧を調整する。
【0049】
ダイオードD1は逆流防止用のダイオードであり、ダイオードD1のカソード側は電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1のコレクタ及びコンデンサーC2の高圧側端子と接続されており、アノード側は電源V1及びN型FETQ3のドレインと接続されている。
【0050】
ダイオードD2は、回生用のダイオードであり、放電側トランジスタQ2からコンデンサーC3へ電流が流れることを許容するためのものである。ダイオードD1のカソード側は、コンデンサーC3の高圧側端子と接続されており、アノード側は放電側トランジスタQ2のコレクタに接続されている。
【0051】
コンデンサーC3は、回生される電荷を蓄積するためのものである。ピエゾ素子C1の放電時に放電側トランジスタQ2から放出された電荷がダイオードD2を介してコンデンサーC3に回生される。このコンデンサーC3の容量は、コンデンサーC1(全てのピエゾ素子の容量の合計)及びコンデンサーC2の容量よりも大きい。コンデンサーC3の低圧側端子はグランドに接続されており、高圧側端子は電源V1、ダイオードD1のアノード側、ダイオードD2のカソード側に接続されている。
【0052】
電源V1は、21Vの電源である。つまり、第2参考例の電源電圧は、第1参考例での電源電圧(42V)よりも低い電圧である。
【0053】
次に第2参考例の駆動信号生成回路65の動作について説明する。
図7は、第2参考例の原駆動信号OCOM(駆動信号COM)、制御信号及び各ポイントでの電圧の時間変化の説明図である。
まず、時刻T0では、原駆動信号OCOMに変化がなく、充電側トランジスタQ1、放電側トランジスタQ2は共にオフである。A点電圧(コンデンサーC2の高圧側端子、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1のコレクタ)は電源V1により21Vになる。また、このとき制御信号はGND電圧であり、これにより、B点電圧(コンデンサーC2の低圧側端子)は、GND電圧になる。よって、コンデンサーC2が21Vで充電される。
【0054】
時刻T1〜T2(原駆動信号OCOMが21V以下でのピエゾ素子C1の充電時)では、DAC651からの原駆動信号OCOMの電位が徐々に高くなる。原駆動信号が高くなることによって、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1がオンとなり、ピエゾ素子C1が充電される。このときの充電側トランジスタQ1のコレクタ電圧は21Vなので、充電側トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、21V−駆動信号COMの電圧(図のT1〜T2のハッチング部分)となる。これは第1参考例の場合よりも小さい。すなわち、充電側トランジスタQ1の発熱が第1参考例よりも小さくなる。
【0055】
また、このとき、制御信号はGND電圧である。つまり、図のB点の電圧がGND電圧になっている。
【0056】
時刻T2において、原駆動信号OCOM(駆動信号COM)が21Vになる。このとき、DAC651は、制御信号をGND電圧から21Vに変化させる。これにより、N型FETQ3がオンし、電源V1(21V)からB点に電流が流れる。この結果、B点の電圧がGND電圧から21Vになる。また、コンデンサーC2は時刻T2の直前に21Vで充電されているため、時刻T2で低電圧側の電圧(B点電圧)がGND電圧から21Vになることにより、高電圧側の電圧(A点電圧)が42V(21V+21V)になる。
【0057】
時刻T2〜T3(原駆動信号OCOMが21V以上でのピエゾ素子C1の充電時)では、充電側トランジスタQ1がオンであり、ピエゾ素子C1が充電される。なお、この期間の充電側トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、A点電圧が42Vなので、42V−駆動信号COMの電圧(図のT2〜T3のハッチング部分)となる。
【0058】
時刻T3〜T4(ホールド時)では、原駆動信号OCOMが一定になる。これにより充電側トランジスタQ1が(及び放電側トランジスタQ2も)オフとなり、ピエゾ素子C1には電流が流れず、駆動信号COMは同じ電圧を維持する。
【0059】
時刻T4〜T5(原駆動信号OCOMが21V以上でのピエゾ素子C1の放電時)では、DAC651からの原駆動信号OCOMの電圧が徐々に低くなる。これにより、電流増幅回路652の放電側トランジスタQ2がオンとなり、ピエゾ素子C1が放電される。なお、制御信号は21Vのままである。また、放電側トランジスタQ2がオンになった時、P型FETQ4がオンになり、放電側トランジスタQ2からの電荷をGNDに放出する。こうして、B点の電圧は21V(制御信号と同じ電圧)に調整される。なお、放電側トランジスタQ2がオンになった時、放電側トランジスタQ2からの電荷の一部は、ダイオードD2を介して、コンデンサーC3に回生される。コンデンサーC3に回生された電荷は、次にピエゾ素子C1に充電を行うときに用いられることになる。
【0060】
よって、この期間の放電側トランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、駆動信号COMの電圧−21V(図7のT4〜T5のハッチング部分)である。これは、第1参考例の場合よりも小さい。つまり、第1参考例の場合よりも放電側トランジスタQ2の発熱を小さくすることができる。
【0061】
時刻T5(原駆動信号OCOMが21Vになったとき)に、DAC651は制御信号を21VからGND電圧に変化させる。
ここでも、P型FETQ4がオンになり、グランド(GND)に電流が流れる。ただし、制御信号がGND電圧になるので、B点の電圧が21VからGND電圧になる。また、B点の電圧が21VからGND電圧になることによって、A点の電圧は42Vから21Vになる。
【0062】
時刻T5〜T6(原駆動信号が21V以下でのピエゾ素子C1の放電時)においても、放電側トランジスタQ2がオンとなり、ピエゾ素子C1が放電される。なお、B点の電圧がGND電圧になっているので、放電側トランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、駆動信号COMの電圧−GND(図7のT5〜T6のハッチング部分)である。
以下、同じ動作を繰り返す。
【0063】
<第1実施形態>
第2参考例では、コンデンサーC3への電荷の回生は、駆動信号COMが21Vになるまでのピエゾ素子C1の放電時でしか行なわれない。これは、電荷の回生時にコンデンサーC3が21Vで充電されているためである。
これに対し、本実施形態では、駆動信号COMが21Vよりも低い電圧でも電荷の回生を行なえるようにしている。
【0064】
図8は、第1実施形態の駆動信号生成回路65の説明図である。第2参考例と比較すると、第2参考例では回生用のコンデンサーC3が設けられていたのに対し、本実施形態では、回生用のコンデンサーとして、コンデンサーC3(第1蓄電用コンデンサーに相当する)とコンデンサーC4(第2蓄電用コンデンサーに相当する)が設けられている。さらに、本実施形態ではコンデンサーC5(第3蓄電用コンデンサーに相当する)、スイッチSW2〜SW5が追加されている。
以下、第2参考例と異なる構成について説明する。
【0065】
コンデンサーC3及びコンデンサーC4は、回生用のコンデンサーであり、ピエゾ素子C1の放電時の電荷を蓄積する。このコンデンサーC3、C4の各容量は、コンデンサーC1(全てのピエゾ素子の容量の合計、例えば1μF)及びコンデンサーC2の容量(例えば20μF)よりも大きい(例えば40μF)。本実施形態のコンデンサーC3とコンデンサーC4は、後述するスイッチSW2〜SW4によって、接続関係(直列接続及び並列接続)が切り替えられる。なお、コンデンサーC3の図中下側端子は、グランド(GND)と接続され、コンデンサーC4の図中上側端子は、チャージポンプ回路66の充電用端子と接続されている(C点)。
【0066】
コンデンサーC5は、後述する全スイッチ(スイッチSW2〜SW5)がオフになったときに、電位が不定とならないようにさせるためのものである。このコンデンサーC5には、小容量(例えば、0.01μF)のものが用いられる。コンデンサーC5の図中上側端子は、コンデンサーC4の図中上側端子と接続され、コンデンサーC5の図中下側端子は、グランド(GND)と接続されている。
【0067】
スイッチSW2〜SW5は、コントローラー60によりオン/オフが制御される。
スイッチSW2は、コンデンサーC3の図中上側端子と、コンデンサーC4の図中下側端子との間に設けられている。なお、スイッチSW2は第1スイッチに相当する。
スイッチSW3は、コンデンサーC4の図中下側端子とグランド(GND)との間に設けられている。なお、スイッチSW3は第2スイッチに相当する。
スイッチSW4は、コンデンサーC4の図中上側端子と、コンデンサーC3の図中上側端子との間に設けられている。なお、スイッチSW4は第3スイッチに相当する。
スイッチSW5は、コンデンサーC4の図中上側端子と、電源V1(21V)との間に設けられている。また、スイッチSW5は、スイッチSW4を介してコンデンサーC3の図中上側端子と電源V1との間に設けられている。なお、スイッチSW5は第4スイッチに相当する。
【0068】
図9は、駆動信号及び各ポイントでの電位の時間変化の説明図である。また、図10は、各スイッチのオン/オフ制御の説明図である。
最初の時刻T0〜時刻T5直前までは、コントローラー60は、スイッチSW2とスイッチSW5をオンにし、スイッチSW3とスイッチSW4をオフにする。これにより、コンデンサーC3とコンデンサーC4が直列接続になる。このように、時刻T5直前まで、スイッチSW2スとスイッチSW5がオン、スイッチSW3とスイッチSW4がオフという状態が維持されて、前述の第2参考例と同様の動作を行う。
なお、チャージポンプ回路66のコンデンサーC2の充電時に、直列接続されたコンデンサーC3とコンデンサーC4に電源V1の21Vの電源電圧が印加され、コンデンサーC3とコンデンサーC4は、それぞれ10.5Vに充電される。
時刻T5で、コントローラー60は、一旦スイッチSW2〜SW5を全てオフにする。これは、スイッチSW2及びスイッチSW5と、スイッチSW3及びスイッチSW4が同時オンとなるのを回避するためである。
【0069】
時刻T5〜時刻Taでは、コントローラー60は、スイッチSW2とスイッチSW5をオフにし、スイッチSW3とスイッチSW4をオンにする。これにより、コンデンサーC3とコンデンサーC4が並列接続になる。よって、大きな容量C(C3+C4)に充電することができる。なお、コンデンサーC3及びC4のそれぞれの高電位側の電圧は10.5Vである。
これにより、駆動信号COMが10.5Vになるまでの間においても、放電側トランジスタQ2からの電荷の一部がダイオードD2を介してコンデンサーC3、C4に移動する(回生)。つまり、本実施形態では、時刻T4〜時刻T5までの間だけでなく、時刻T5〜Taまでの間も、放電側トランジスタQ2からの電荷を回生することができる。
【0070】
これに対し、第2参考例では、駆動信号COMが21Vになるまでの間(時刻T4〜時刻T5)しか回生できなかった。よって、本実施形態の方が、より多くの電荷を回生させることができる。
なお、この期間においてスイッチSW5がオフなので、21V電源からコンデンサーC3、C4が充電されてしまうことを回避できる。
時刻Taでは、コントローラー60は、一旦スイッチSW2〜SW5を全てオフにする。これは、スイッチSW2及びスイッチSW5と、スイッチSW3及びスイッチSW4が同時オンとなるのを回避するためである。
【0071】
時刻Ta〜時刻T6は、コントローラー60は、スイッチSW2とスイッチSW5をオンにし、スイッチSW3とスイッチSW4をオフにする。これにより、コンデンサーC3とコンデンサーC4が直列接続になる。なお、この時の動作は、前述の第2参考例と同様である。
【0072】
<第1実施形態の変形例>
前述の実施形態では、時刻T5〜Taにおいて、スイッチSW3とスイッチSW4を同時にオンにして、コンデンサーC3とコンデンサーC4を並列接続にしていたが、スイッチSW3とスイッチSW4の何れか一方のみをオンにして、コンデンサーC3とコンデンサーC4のどちらかに放電側トランジスタQ2からの電荷を回生させてもよい。
【0073】
以上説明した本実施形態の駆動信号生成回路65は、電流増幅回路652と、チャージポンプ用のコンデンサーC2と、ピエゾ素子C1の放電時の電荷を蓄積するコンデンサーC3とコンデンサーC4を備えている。電流増幅回路652は、原駆動信号OCOMが入力され、原駆動信号OCOMの電圧変化に追従した駆動信号COMを出力することによって、容量性負荷であるピエゾ素子C1を充放電する。コンデンサーC2は、電流増幅回路652の高圧側電源電圧端子(充電側トランジスタQ1のコレクタ)に高圧側端子が接続され、電流増幅回路652の低圧側電源電圧端子(放電側トランジスタQ2のコレクタ)に低圧側端子が接続されている。そして、コンデンサーC2は、ピエゾ素子C1の充電時に21Vで充電されたコンデンサーC2の低圧側端子の電圧を上げることによって、コンデンサーC2の高圧側端子の電圧を21Vよりも高い電圧にさせる。コンデンサーC3とコンデンサーC4は放電側トランジスタQ2の放電の電荷を蓄積する。
【0074】
このような構成の駆動信号生成回路65において、本実施形態では、チャージポンプ回路66のコンデンサーC2の充電時には、コンデンサーC3の図中上側端子とコンデンサーC4の図中下側端子とを電気的に接続することにより、コンデンサーC3とコンデンサーC4を直列接続にする。このとき、コンデンサーC4の図中上側端子には、電源V1から21Vが印加され、コンデンサーC3とコンデンサーC4はそれぞれ10.5Vに充電される。また、ピエゾ素子C1の放電時には図中上側端子とコンデンサーC4の図中下側端子を電気的に切断する。そして、コンデンサーC3とコンデンサーC4の少なくとも一方に、放電側トランジスタQ2からの電荷を蓄積させる。このとき、コンデンサーC3とコンデンサーC4は10.5Vに充電されているので、10.5Vまで放電側トランジスタQ2からの電荷を回生することができる。つまり、21Vまでしか回生できなかった第2参考例と比べて、より多くの電荷を回生させることができる。
【0075】
===第2実施形態の駆動信号生成回路===
第1実施形態では、時刻T4〜T5の回生時に、ピエゾ素子C1から放電された電荷の大部分はP型FETQ4を介してGNDに流れてしまい、ダイオードD2を介してコンデンサーC3及びコンデンサーC4に回生される電荷が少ない。
これは、P型FETQ4のソース側電圧(B点電圧)がゲート側電圧よりも高電圧になるとP型FETQ4がオンになるためである。このため、第1実施形態では、回生の効率が悪い。
そこで、第2実施形態では、コンデンサーC1の放電時にP型FETQ4がオンになりにくくなるように、電圧調整部661のP型FETQ4を制御する。
【0076】
図11は、第2実施形態の駆動信号生成回路の説明図である。第1実施形態と比較すると、第2実施形態では電圧制御回路67が追加されている。ここでは電圧制御回路67について主に説明を行い、第1実施形態と共通する内容については説明を省略する。
【0077】
電圧制御回路67は、以下に説明するとおり、DAC651が出力する制御信号と原駆動信号OCOMとに基づいて、P型FETQ4のゲート電圧(図のE点電圧)を制御する。
【0078】
電圧制御回路67は、トランジスタQ5と、抵抗R1〜R3と、ダイオードD3を有している。トランジスタQ5のコレクタは、抵抗R1を介して、DAC651が制御信号を出力する伝送線に接続されている。また、トランジスタQ5のエミッタは、抵抗R2を介して、DAC651が原駆動信号OCOMを出力する伝送線に接続されている。また、トランジスタQ5のベースは、抵抗R3及びダイオードD3を介して、21V電源V1に接続されている。電圧制御回路67は、DAC651の出力する制御信号を、N型FETQ3のゲートに印加する。また、電圧制御回路67は、トランジスタQ5のコレクタ電圧(図のE点の電圧)を、P型FETQ4に印加する。
【0079】
電圧制御回路67のトランジスタQ5のベース電圧は、ほぼ21Vになっている。このため、原駆動信号OCOMが21V以下であれば、トランジスタQ5のコレクタ電圧よりもベース電圧の方が高くなり、トランジスタQ5はオフになる。この結果、P型FETQ4のゲートには、DAC651が出力する制御信号とほぼ同じ電圧の信号が印加される。一方、原駆動信号OCOMが21V以上であれば、トランジスタQ5がオンになる。この結果、P型FETQ4のゲートには、DAC651が出力する制御信号と原駆動信号OCOMを抵抗R1と抵抗R2で分圧した信号が印加される。本実施形態では、このとき、原駆動信号OCOMとほぼ同じ電圧の信号が印加されるように、抵抗R1と抵抗R2の抵抗の値が定められている。
【0080】
図12Aは、第2実施形態における原駆動信号OCOM、制御信号、E点の電圧(P型FETQ4のゲート電圧)の時間変化の説明図である。
【0081】
まず、原駆動信号OCOMの時間変化について説明する。時刻T0において、原駆動信号OCOMは最低電圧の約3Vである。時刻T1〜T3では、原駆動信号OCOMの電位が徐々に高くなる。なお、途中の時刻T2において、原駆動信号OCOMが21Vに達する。時刻T3において、原駆動信号OCOMは最高電圧になる。時刻T3〜T5では、原駆動信号OCOMは一定電圧である。この時間をホールド時間と呼ぶ。時刻T4〜T6では、原駆動信号OCOMの電位が徐々に低くなる。なお、途中の時刻T5において、原駆動信号OCOMが21Vに達する。時刻T6において、原駆動信号OCOMは最低電圧の約3Vになる。このような原駆動信号OCOMをDAC651は出力する。なお、駆動信号生成回路65から出力される駆動信号COMは、原駆動信号OCOMとほぼ同じ電圧変化になる。
【0082】
次に、制御信号の時間変化について説明する。第1実施形態では制御信号は矩形形状であったのに対し、第2実施形態では制御信号は台形形状である。時刻T0において、制御信号はGND電圧である。原駆動信号OCOMの電圧が徐々に高くなった時刻T1の後の時刻Tbから、制御信号の電圧は、原駆動信号OCOMの電圧変化と同じ傾きで、徐々に高くなる。時刻T3〜T4では、制御信号は一定電圧である。時刻T4〜Tcでは、制御信号の電圧は、原駆動信号OCOMの電圧変化と同じ傾きで、徐々に低くなる。時刻Tcにおいて、制御信号はGND電圧になる。このような制御信号をDAC651は出力する。
【0083】
さらに、E点電圧(P型FETQ4のゲート電圧)の時間変化について説明する。原駆動信号OCOMが21Vよりも低いときには、前述したように電圧制御回路67のトランジスタQ5はオフになる。これによりE点電圧は制御信号とほぼ同じになる。一方、原駆動信号OCOMが21Vよりも高いときには、電圧制御回路67のトランジスタQ5がオンになる。これにより、E点電圧は原駆動信号OCOMとほぼ同じになる。このため、時刻T0において、E点電圧はGND電圧である。原駆動信号OCOMの電圧が徐々に高くなった後の時刻Tbから、E点電圧は、制御信号と共に、徐々に高くなる。時刻T2において原駆動信号OCOMが21Vに達したら、E点電圧が原駆動信号OCOMとほぼ同じ電圧(21V)になる。時刻T2〜T5では、E点電圧は原駆動信号OCOMとほぼ同じである。すなわち、E点電圧は、時刻T2〜T3では徐々に高くなり、時刻T3〜T4では一定電圧になり、時刻T4〜T5では徐々に低くなる。時刻T5において原駆動信号OCOMが21Vになったら、E点電圧は制御信号と同じになる。そして、E点電圧は、時刻T5〜Tcでは徐々に低くなり、時刻TcにおいてGND電圧になる。
【0084】
次に、これらの信号(原駆動信号OCOM、制御信号)による回路の動作を説明する。
図12Bは、原駆動信号OCOM、A点及びB点の電圧の時間変化の説明図である。図13Aは、時刻T0のときの電流の説明図である。図13Bは、時刻Tb〜T2での電流の説明図である。図13Cは、時刻T4〜T5での電流の説明図である。なお、第1実施形態と同様に、時刻T0〜時刻T5までは、スイッチSW2とスイッチSW5がオンであり、スイッチSW3とスイッチSW4がオフである。これにより、コンデンサーC3とコンデンサーC4が直列接続になる。また、図13A〜図13Cでは、説明の簡略化のため、スイッチSW2〜SW5及びコンデンサーC5の記載を省略している。
【0085】
時刻T0では、A点電圧(コンデンサーC2の高圧側端子、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1のコレクタ)は電源V1により21Vになる。また、このとき制御信号はGND電圧であり、E点電圧もGND電圧である。これにより、B点電圧(コンデンサーC2の低圧側端子)は、GND電圧になる。よって、コンデンサーC2が21Vで充電される(図13A参照)。
【0086】
時刻T1〜Tb(原駆動信号OCOMが21V以下、制御信号がGND電圧でのピエゾ素子C1の充電時)では、DAC651からの原駆動信号OCOMの電位が徐々に高くなる。原駆動信号OCOMが高くなることによって、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1がオンとなり、ピエゾ素子C1が充電される。このときの充電側トランジスタQ1のコレクタ電圧は21Vなので、充電側トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、21V−駆動信号COMの電圧となる。これは第1参考例の場合よりも小さい。すなわち、充電側トランジスタQ1の発熱が第1参考例よりも小さくなる。
【0087】
また、このとき、制御信号、及びE点電圧はGND電圧である。つまり、図のB点の電圧がGND電圧になっている。
【0088】
時刻Tb〜T2(原駆動信号OCOMが21V以下、制御信号がGND電圧以上でのピエゾ素子C1の充電時)では、制御信号の電圧が徐々に高くなることによって、電圧調整部661のN型FETQ3がオンになる。N型FETQ3がオンすることにより、21V電源V1からB点に電流が流れ、B点電圧が制御信号と同じ電圧になる。また、コンデンサーC2が21Vで充電されているため、A点電圧が制御信号+21Vになる(図13B参照)。また、原駆動信号OCOMが高くなることによって、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1がオンとなり、ピエゾ素子C1が充電される。このときの充電側トランジスタQ1のコレクタ電圧は「制御信号+21V」なので、充電側トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、「制御信号+21V−駆動信号COMの電圧」となる。これは第2参考例の場合よりも小さい。すなわち、充電側トランジスタQ1の発熱が第2参考例よりも小さくなる。
【0089】
時刻T2〜T3(原駆動信号OCOMが21V以上でのピエゾ素子C1の充電時)では、電圧制御回路67のトランジスタQ5がオンし、E点電圧が原駆動信号OCOMとほぼ同じになる。これ以外は、時刻Tb〜T2のときと同様である。つまり、制御信号の電圧が徐々に高くなることによって、電圧調整部661のN型FETQ3がオンになる。これにより、21V電源V1からB点に電流が流れ、B点電圧が制御信号と同じ電圧になり、コンデンサーC2が21Vで充電されているため、A点電圧が制御信号+21Vになる(図13B参照)。また、原駆動信号OCOMが高くなることによって、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1がオンとなり、ピエゾ素子C1が充電される。このときの充電側トランジスタQ1のコレクタ電圧は「制御信号+21V」なので、充電側トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、「制御信号+21V−駆動信号COMの電圧」となる。これは第2参考例の場合よりも小さい。すなわち、充電側トランジスタQ1の発熱が第2参考例よりも小さくなる。
【0090】
時刻T3〜T4(ホールド時)では、原駆動信号OCOMが一定になる。これにより充電側トランジスタQ1が(及び放電側トランジスタQ2も)オフとなり、ピエゾ素子C1には電流が流れず、駆動信号COMは同じ電圧を維持する。
【0091】
時刻T4〜T5(原駆動信号OCOMが21V以上でのピエゾ素子C1の放電時)では、DAC651からの原駆動信号OCOMの電圧が徐々に低くなる。これにより、電流増幅回路652の放電側トランジスタQ2がオンとなり、ピエゾ素子C1が放電される。このときB点電圧が21Vまで上昇し、A点電圧が42Vになる。
【0092】
このとき、本実施形態では、E点電圧が21V以上になっている(図12A参照)。このため、本実施形態では、放電側トランジスタQ2がオンとなりB点電圧が上昇しても、P型FETQ4がオンにならない。この結果、放電側トランジスタQ2から放出される電荷は、P型FETQ4を介してGNDに放出されず、ダイオードD2を介して直列接続されたコンデンサーC3とコンデンサーC4に回生される(図13C参照)。このため、本実施形態では、第2参考例の場合よりも、回生される電荷が大きい。
なお、B点電圧が21Vであるので、直列接続されたコンデンサーC3とコンデンサーC4は、それぞれ10.5Vに充電される。
【0093】
時刻T5で、コントローラー60は、一旦スイッチSW2〜SW5を全てオフにする。これは、スイッチSW2及びスイッチSW5と、スイッチSW3及びスイッチSW4が同時オンとなるのを回避するためである。また、時刻T5で原駆動信号OCOMがほぼ21Vになることにより電圧制御回路67のトランジスタQ5がオフとなり、E点電圧が制御電圧とほぼ同じになる。
時刻T5〜時刻Tcでは制御信号が徐々に低くなり、P型FETQ4がオンする。このため、放電側トランジスタQ2から放出される電荷が、P型FETQ4を介してグランド(GND)に放出されるようになる。
時刻Tc〜Taでは制御電圧はほぼGND電圧になる。
【0094】
なお、時刻T5〜時刻Taでは、コントローラー60は、スイッチSW2とスイッチSW5をオフにし、スイッチSW3とスイッチSW4をオンにする。これにより、コンデンサーC3とコンデンサーC4が並列接続になる。よって大きな容量C(C3+C4)に充電することができる。なお、コンデンサーC3及びC4の高電位側の電圧は10.5Vである。
【0095】
これにより、駆動信号COMが10.5Vになるまでの間(時刻Taまで)、放電側トランジスタQ2からの電荷の一部がダイオードD2を介してコンデンサーC3、C4に移動する(回生)。
これに対し、第2参考例では、駆動信号COMが21Vになるまでの間しか回生できなかった。よって、本実施形態の方がより効率的に回生を行なうことができる。
なお、この期間においてスイッチSW5がオフなので、21V電源からコンデンサーC3、C4が充電されてしまうことを回避できる。
【0096】
時刻Taでは、コントローラー60は、一旦スイッチSW2〜SW5を全てオフにする。これは、スイッチSW2及びスイッチSW5と、スイッチSW3及びスイッチSW4が同時オンとなるのを回避するためである。
【0097】
時刻Ta〜時刻T6は、コントローラー60は、スイッチSW2とスイッチSW5をオンにし、スイッチSW3とスイッチSW4をオフにする。これにより、コンデンサーC3とコンデンサーC4が直列接続になる。なお、この時の動作は、前述の実施形態と同様である。
【0098】
このように、第2実施形態では、DAC651からの原駆動信号OCOMの電圧が徐々に低くなる時刻T4〜T5(原駆動信号OCOMが21V以上でのピエゾ素子C1の放電時)で、P型FETQ4がオンにならない。
【0099】
第1実施形態(及び第2参考例)では、DAC651からの原駆動信号OCOMの電圧が徐々に低くなる時刻T4〜T5にP型FETQ4がオンとなり、放電側トランジスタQ2から放出される電荷の大部分が、P型FETQ4を介してGNDに放出されていた。これに対し、第2実施形態では、時刻T4〜T5にP型FETQ4がオンにならないので、放電側トランジスタQ2から放出される電荷が、ダイオードD2を介してコンデンサーC3、及びコンデンサーC4に回生される。よって、第1実施形態よりも電荷の回生をより効率良く行うことができる。
【0100】
なお、第2実施形態では、DAC651は原駆動信号OCOMと制御信号を生成しているが、これに限られるものではなく、DAC651が原駆動信号OCOMのみを生成するだけでも良い。そして、DAC651から出力された原駆動信号OCOMを所定電圧(例えば14V)だけ降下させる回路を設け、この回路で生成した信号をN型FETQ3のゲートに印加しても良い。この場合、この回路で生成した信号と原駆動信号OCOMとに基づいて、第2実施形態の電圧制御回路67により生成した信号をP型FETQ4に印加すると良い。
また、DAC651が、P型FETQ4に印加する信号を別途生成するようにしてもよい。この場合、電圧制御回路67は不要である。
【0101】
===第3実施形態の駆動信号生成回路===
前述の実施形態では、コンデンサーC3とコンデンサーC4を並列接続にしているのは、時刻T5〜時刻Taの間だけであった。第3実施形態では、コンデンサーC3とコンデンサーC4を並列接続にする時間を増やしている。
【0102】
図14は、第3実施形態の駆動信号生成回路の説明図である。
第2実施形態(図11)と比べると、スイッチSW5の位置が異なっている。また、A点と充電側トランジスタQ1のコレクタとの間にダイオードD4が設けられている。
第3実施形態では、スイッチSW5は、電源V1とダイオードD3のカソード側との間に設けられている。
また、ダイオードD4は、逆流防止用のダイオードであり、アノード側は、コンデンサーC2の高圧側端子(A点)と接続され、カソード側は充電側トランジスタQ1のコレクタと接続されている。
【0103】
第2実施形態において電圧制御回路67のトランジスタQ5のベース電圧は21Vであったのに対し、第3実施形態では、トランジスタQ5のベース電圧は、スイッチSW5がオンの場合は21Vとなり、スイッチSW5がオフの場合はC点の電圧(コンデンサC4の高圧側端子の電圧)となる。なお、トランジスタQ5のコレクタ電圧よりもベース電圧の方が高ければ、トランジスタQ5はオフになる。この結果、P型FETQ4のゲートには、制御信号とほぼ同じ電圧の信号が印加される。一方トランジスタQ5のコレクタ電圧よりもベース電圧の方が低ければ、トランジスタQ5はオンになる。この結果、P型FETQ4のゲートには、ほぼ原駆動信号OCOMと同じ電圧の信号が印加される。
【0104】
図15Aは、第3実施形態における原駆動信号OCOM、制御信号、E点の電圧(P型FETQ4のゲート電圧)の時間変化の説明図である。また、図15Bは、原駆動信号OCOM、A点及びB点の電圧の時間変化の説明図である。なお、第3実施形態では時刻T3〜時刻T4の間(例えば時刻T4の直前)に、スイッチSW2とスイッチSW5をオフにし、スイッチSW3とスイッチSW4をオンにする。すなわち、コンデンサーC3とコンデンサーC4を並列接続にする。また、スイッチSW5がオフになることにより、トランジスタQ5のベース電圧は、C点の電圧(10.5V)になる。
図15Aにおいて、原駆動信号OCOMと制御信号の時間変化については第2実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0105】
E点電圧(P型FETQ4のゲート電圧)は、時刻T5までは第2実施形態と同じように変化する。但し、第3実施形態では、E点電圧は、時刻T5〜時刻Taにおいても原駆動信号OCOMに沿って変化し、原駆動信号OCOMが10.5Vになる時刻Taで制御信号と同じになる。つまり、時刻TaまではE点電圧は10.5V以上である。
また、図15Bにおいて、時刻T0〜時刻T4までは第2実施形態と同じである。
【0106】
第3実施形態では、時刻T4の直前に、B点電圧が10.5Vになり、時刻Taまで10.5Vが維持される。このとき、本実施形態では、E点電圧が10.5V以上になっている(図15A参照)。このため、P型FETQ4がオンにならない。この結果、放電側トランジスタQ2から放出される電荷は、P型FETQ4を介してGNDに放出されず、ダイオードD2を介して並列接続されたコンデンサーC3とコンデンサーC4に回生される。そして、時刻TaでE点電圧が10.5Vよりも低く(GND電圧に)なることによってP型FETQ4がオンし、B点電圧がGND電圧になる。なお、A点電圧はB点電圧+21Vである。この場合、充電側トランジスタQ1のベース電圧(OCOM)の方がコレクタ電圧(A点の電圧)よりも高くなるポイントが発生するが、ダイオードD4によって逆電流が防止される。
なお、時刻ta以降については、第2実施形態と同じである。
【0107】
このように、第3実施形態では、時刻T4〜時刻Taの期間に、コンデンサーC3とコンデンサーC4を並列接続にして、放電側トランジスタQ2から放出される電荷の回生を行なっている。また、この期間(時刻T4〜時刻Ta)にP型FETQ4がオンにならないので、回生を効率良く行うことができる。
【0108】
また、第3実施形態では、スイッチの切り替えタイミングに十分な余裕をとることができる。前述の実施形態では、時刻T5のタイミングでスイッチの切り替え(コンデンサーC3とコンデンサーC4を直列から並列に切り替え)を行なっていた。このため、少しのタイミングのずれが生じると駆動信号COMの波形に影響が出るおそれがあった。これに対し、第3実施形態では、時刻T3〜時刻T4(ホールド時)の期間にスイッチの切り替えを行なうので、スイッチの切り替えによるノイズが影響しない(駆動信号COMの波形に影響を与えない)。ただし、第3実施形態では、放電側トランジスタQ2の電荷の回生時の駆動信号COMとコンデンサーとの電位差が大きいので、その間の経路で熱が発生しやすくなる。
【0109】
===その他の実施形態===
一実施形態としてのプリンター等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0110】
<プリンターについて>
前述の実施形態のプリンターは、ヘッドが移動方向に移動するドット形成動作(パス)と、用紙を搬送方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すプリンター(いわゆるシリアルプリンター)であった。しかし、プリンターの種類は、これに限られるものではない。例えば、ヘッドを固定して、ヘッドと対向させて用紙を搬送させながらヘッドからインクを吐出させて印刷を行うプリンター(いわゆるラインプリンター)であっても良い。
【0111】
<液体噴射装置について>
前述の実施形態では、液体噴射装置の一例としてインクジェットプリンターが説明されている。但し、液体噴射装置はインクジェットプリンターに限られるものではなく、インク以外の液体(液体以外にも、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような液状体も含む)や液体以外の流体(流体として噴射できる固体、例えば粉体)を噴射する流体噴射装置にも適用可能である。例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる液状の色剤や電極材などを噴射する噴射装置や、バイオチップ製造に用いられる液状の生体有機物を噴射する噴射装置に、前述の実施形態を適用しても良い。
【0112】
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンターの実施形態だったので、インクをノズルから噴射しているが、このインクは水性でも良いし、油性でも良い。また、ノズルから噴射する流体は、インクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから噴射しても良い。
【0113】
<ピエゾ素子について>
前述の実施形態では、ピエゾ素子を用いてインクを吐出していた。しかし、駆動される素子が容量性負荷の機能があれば、ピエゾ素子に限られず、他の圧電素子でも良い。
【0114】
<DACについて>
前述の実施形態では、原駆動信号OCOMや制御信号を、DAC(D/Aコンバーター)を用いて生成したが、これに限られない。デジタルデータからアナログ信号に変換することなく、直接アナログ信号として原駆動信号OCOMや制御信号を出力しても良い。
【符号の説明】
【0115】
1 プリンター、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラー、22 搬送モーター(PFモーター)、
23 搬送ローラー、24 プラテン、25 排紙ローラー、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 キャリッジモーター(CRモーター)、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、42 データ受信部、43 駆動信号生成部、
50 センサー群、51 リニア式エンコーダー、52 ロータリー式エンコーダー、
53 紙検出センサー、54 光学センサー、
60 コントローラー、61 インターフェイス部、62 CPU、
63 メモリー、64 ユニット制御回路、
65 駆動信号生成部、651 DAC、652 電流増幅回路、
66 チャージポンプ回路、661 電圧調整部、67 電圧制御回路、
Q1 充電用トランジスタ、Q2 放電用トランジスタ、
Q3 N型FET、Q4 P型FET、Q5 トランジスタ、
C1 ピエゾ素子、C2〜C5 コンデンサー、
SW1〜SW5 スイッチ、V1 21V電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動信号生成回路、流体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを噴射して画像を印刷するインクジェットプリンターでは、圧電素子(例えばピエゾ素子)を用いてインクを噴射するものが知られている。圧電素子は、電気的にはコンデンサーのような容量性負荷となる。圧電素子はノズル毎に設けられており、各ノズルの圧電素子を動作させるためには十分な電流を供給する必要がある。このため、原駆動信号を電流増幅回路で増幅し、増幅された駆動信号をヘッドに供給している(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−272907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電流増幅回路では、電流増幅回路の高圧側電源電圧端子が電源に接続され、低圧側電源電圧端子が接地されている。このような電流増幅回路で原駆動信号の電流増幅を行う場合、充電用トランジスタにおける消費電力は、高圧側電源電圧と駆動信号との電圧差に電流を乗じた量になり、放電用トランジスタにおける消費電力は、低圧側電源電圧と駆動信号との電圧差に電流を乗じた量になるため、各トランジスタにおける消費電力は大きくなる。
そこで、本発明は、消費電力を低減する構成を提供することを目的とする。加えて、本発明では、消費電力を低減するためにチャージポンプ回路を採用した構成において放電時の電荷を回生する際に、回生できる電荷を増やすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための主たる発明は、原駆動信号が入力され、前記原駆動信号の電圧変化に応じて容量性負荷を充放電する電流増幅回路と、前記電流増幅回路の高圧側電源電圧端子に一端が接続され、前記電流増幅回路の低圧側電源電圧端子に他端が接続されたチャージポンプ用コンデンサーであって、前記容量性負荷の充電時に前記所定電圧で充電された前記チャージポンプ用コンデンサーの前記他端側の電圧を上げることによって前記電流増幅回路の前記高圧側電源電圧端子の電圧を前記所定電圧よりも高い電圧にさせるためのチャージポンプ用コンデンサーと、前記容量性負荷の放電時の電荷を蓄積する第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーと、を備えた駆動信号生成回路であって、前記チャージポンプ用コンデンサーを前記所定電圧で充電する際に、前記第1蓄電用コンデンサーの一端と前記第2蓄電用コンデンサーの一端とを電気的に接続することによって前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを直列接続し、直列接続された前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーに前記所定電圧が印加され、前記容量性負荷の放電時には、前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端とを電気的に切断し、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーのうちの少なくとも一方に、前記電流増幅回路の前記低圧側電源電圧端子からの電荷を蓄積させることを特徴とする駆動信号生成回路である。
【0006】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】プリンター1の全体構成のブロック図である。
【図2】図2Aは、プリンター1の全体構成の概略図である。また、図2Bは、プリンター1の全体構成の横断面図である。
【図3】駆動信号COMの説明図である。
【図4】第1参考例の駆動信号生成回路65の構成の説明図である。
【図5】第1参考例の駆動信号生成回路65の動作の説明図である。
【図6】第2参考例の駆動信号生成回路65の構成の説明図である。
【図7】第2参考例の原駆動信号OCOM、制御信号及び各ポイントでの電圧の時間変化の説明図である。
【図8】第1実施形態の駆動信号生成回路65の説明図である。
【図9】駆動信号及び各ポイントでの電位の時間変化の説明図である。
【図10】各スイッチのオン/オフ制御の説明図である。
【図11】第2実施形態の駆動信号生成回路の説明図である。
【図12】図12Aは、第2実施形態における原駆動信号OCOM、制御信号、E点の電圧の時間変化の説明図である。図12Bは、原駆動信号OCOM、A点及びB点の電圧の時間変化の説明図である。
【図13】図13Aは、時刻T0のときの電流の説明図である。図13Bは、時刻Tb〜T2での電流の説明図である。図13Cは、時刻T4〜T5での電流の説明図である。
【図14】第3実施形態の駆動信号生成回路の説明図である。
【図15】図15Aは、第3実施形態における原駆動信号OCOM、制御信号、E点の電圧の時間変化の説明図である。図15Bは、原駆動信号OCOM、A点及びB点の電圧の時間変化の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0009】
原駆動信号が入力され、前記原駆動信号の電圧変化に応じて容量性負荷を充放電する電流増幅回路と、前記電流増幅回路の高圧側電源電圧端子に一端が接続され、前記電流増幅回路の低圧側電源電圧端子に他端が接続されたチャージポンプ用コンデンサーであって、前記容量性負荷の充電時に前記所定電圧で充電された前記チャージポンプ用コンデンサーの前記他端側の電圧を上げることによって前記電流増幅回路の前記高圧側電源電圧端子の電圧を前記所定電圧よりも高い電圧にさせるためのチャージポンプ用コンデンサーと、前記容量性負荷の放電時の電荷を蓄積する第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーと、を備えた駆動信号生成回路であって、前記チャージポンプ用コンデンサーを前記所定電圧で充電する際に、前記第1蓄電用コンデンサーの一端と前記第2蓄電用コンデンサーの一端とを電気的に接続することによって前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを直列接続し、直列接続された前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーに前記所定電圧が印加され、前記容量性負荷の放電時には、前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端とを電気的に切断し、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーのうちの少なくとも一方に、前記電流増幅回路の前記低圧側電源電圧端子からの電荷を蓄積させることを特徴とする駆動信号生成回路が明らかとなる。
このような駆動信号生成回路によれば、容量性負荷の放電時に、より多くの電荷の回生させることができる。
【0010】
かかる駆動信号生成回路であって、前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端の間に設けられた第1スイッチと、前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と接地との間に設けられた第2スイッチと、前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第1蓄電用コンデンサーの他端との間に設けられた第3スイッチとを有し、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを直列接続する際には、前記第1スイッチをオンにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオフにし、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを並列接続する際には、前記第1スイッチをオフにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオンにする、ことが望ましい。
このような駆動信号生成回路によれば、第1スイッチ〜第3スイッチのオン/オフの制御によって、容易に第1蓄電用コンデンサーと第2蓄電用コンデンサーの接続状態を直列接続と並列接続とに容易に切り替えることができる。
【0011】
かかる駆動信号生成回路であって、前記所定電圧の電源と、前記電源と第1蓄電用コンデンサーの前記他端との間に設けられた第4スイッチとを有し、前記第1スイッチをオフにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオンにする際に、前記第4スイッチをオフにすることが望ましい。
このような駆動信号生成回路によれば、電荷の回生時に電源から第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーが充電されてしまうことを回避できる。
【0012】
かかる駆動信号生成回路であって、前記第1スイッチ及び前記第4スイッチをオンにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオフにする第1状態と、前記第1スイッチ及び前記第4スイッチをオフにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオンにする第2状態との間に、全てのスイッチをオフにすることが望ましい。
このような駆動信号生成回路によれば、第1スイッチ及び第4スイッチと、第2スイッチ及び第3スイッチが同時にオンとなることを回避できる。
【0013】
かかる駆動信号生成回路であって、一端が前記第1蓄電用コンデンサーの前記他端に接続され、他端が接地された第3蓄電用コンデンサーを有することが望ましい。
このような駆動信号生成回路によれば、各スイッチが同時にオフになったときに、電圧が不定にならないようにすることができる。
【0014】
また、ノズルから流体を噴射させるため電圧変化に応じて変位する圧電素子と、原駆動信号が入力され、前記原駆動信号の電圧変化に応じて前記圧電素子を充放電する電流増幅回路と、前記電流増幅回路の高圧側電源電圧端子に一端が接続され、前記電流増幅回路の低圧側電源電圧端子に他端が接続されたチャージポンプ用コンデンサーであって、前記圧電素子の充電時に前記所定電圧で充電された前記チャージポンプ用コンデンサーの前記他端側の電圧を上げることによって前記電流増幅回路の前記高圧側電源電圧端子の電圧を前記所定電圧よりも高い電圧にさせるためのチャージポンプ用コンデンサーと、前記圧電素子の放電時の電荷を蓄積する第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーと、を備えた駆動信号生成回路であって、前記チャージポンプ用コンデンサーを前記所定電圧で充電する際に、前記第1蓄電用コンデンサーの一端と前記第2蓄電用コンデンサーの一端とを電気的に接続することによって前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを直列接続し、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーに対して前記所定電圧で充電し、前記圧電素子の放電時に、前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端とを電気的に切断し、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーのうちの少なくとも一方に、前記電流増幅回路の前記低圧側電源電圧端子からの電荷を蓄積させる、ことを特徴とする流体噴射装置が明らかとなる。
【0015】
以下の実施形態では、インクジェットプリンター(以下、プリンター1ともいう)を例に挙げて説明する。
【0016】
===プリンターの構成===
<インクジェットプリンターの構成について>
図1は、プリンター1の全体構成のブロック図である。また、図2Aは、プリンター1の全体構成の概略図である。また、図2Bは、プリンター1の全体構成の横断面図である。以下、プリンターの基本的な構成について説明する。
【0017】
プリンター1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及びコントローラー60を有する。外部装置であるコンピューター110から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラー60は、コンピューター110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0018】
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、給紙ローラー21と、搬送モーター22(PFモータとも言う)と、搬送ローラー23と、プラテン24と、排紙ローラー25とを有する。給紙ローラー21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンター内に給紙するためのローラーである。搬送ローラー23は、給紙ローラー21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラーであり、搬送モーター22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラー25は、紙Sをプリンターの外部に排出するローラーであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
【0019】
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモーター32(CRモーターとも言う)とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモーター32によって駆動される。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
【0020】
ヘッドユニット40は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられているため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。ヘッド41の各ノズルにはピエゾ素子が設けられており、ピエゾ素子が駆動信号COM(後述)で駆動されることによって、ノズルからインクが噴射する。
【0021】
検出器群50には、リニア式エンコーダー51、ロータリー式エンコーダー52、紙検出センサー53、光学センサー54等が含まれる。リニア式エンコーダー51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダー52は、搬送ローラー23の回転量を検出する。紙検出センサー53は、給紙中の紙の先端の位置を検出する。光学センサー54は、キャリッジ31に取付けられている発光部と受光部により、紙の有無を検出する。そして、光学センサー54は、キャリッジ31によって移動しながら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出することができる。また、光学センサー54は、状況に応じて、紙の先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
【0022】
コントローラー60は、プリンターの制御を行うための制御ユニットである。コントローラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、駆動信号生成回路65を有する。インターフェイス部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
【0023】
また、駆動信号生成回路65は、ヘッドユニット40のピエゾ素子を駆動させるための駆動信号COMを生成する。駆動信号生成回路65で生成された駆動信号COMは、フレキシブルケーブル71を介してヘッドユニット40のヘッド41に伝送される。
なお、駆動信号生成回路65の詳細については後述する。
【0024】
図3は駆動信号COMの説明図である。駆動信号生成回路65で生成された駆動信号COMはピエゾ素子に印加される。駆動信号COMの電圧の上昇している期間にピエゾ素子が充電される。また、駆動信号COMの電圧が下降している期間にピエゾ素子が放電される。図は、媒体上の1画素にドットを形成する期間の駆動信号COMを示している。媒体に印刷を行う際には、各画素にドットを形成するごとに、図の駆動信号COMが繰り返し生成される。そして、この駆動信号COMの変化に応じてピエゾ素子の充電と放電が行なわれる。このように駆動信号COMによってピエゾ素子が充放電され、ピエゾ素子が駆動信号COMの電圧変化に応じて変位することによってインクチャンバーが膨張・収縮し、対応するノズルからインクが吐出される。
【0025】
<印刷手順について>
コントローラー60は、コンピューター110から印刷命令及び印刷データを受信すると、印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の処理を行う。
【0026】
まず、コントローラー60は、給紙ローラー21を回転させ、印刷すべき用紙Sを搬送ローラー23の所まで送る。次に、コントローラー60は、搬送モーター22を駆動させることによって搬送ローラー23を回転させる。搬送ローラー23が所定の回転量にて回転すると、用紙Sは所定の搬送量にて搬送される。
【0027】
用紙Sがヘッドユニット40の下部まで搬送されると、コントローラー60は、印刷命令に基づいてキャリッジモーター32を回転させる。このキャリッジモーター32の回転に応じて、キャリッジ31が移動方向に移動する。また、キャリッジ31が移動することによって、キャリッジ31に設けられたヘッドユニット40も同時に移動方向に移動する。そして、コントローラー60は、ヘッドユニット40が移動方向に移動している間にヘッド41から断続的にインク滴を噴射させる。このインク滴が、用紙Sにインク滴が着弾することによって、移動方向に複数のドットが並ぶドット列が形成される。なお、移動するヘッド41からインクを噴射することによるドット形成動作のことをパスという。
【0028】
また、コントローラー60は、ヘッドユニット40が往復移動する合間に搬送モーター22を駆動させる。搬送モーター22は、コントローラー60からの指令された駆動量に応じて回転方向の駆動力を発生する。そして、搬送モーター22は、この駆動力を用いて搬送ローラー23を回転させる。搬送ローラー23が所定の回転量にて回転すると、用紙Sは所定の搬送量にて搬送される。つまり、用紙Sの搬送量は、搬送ローラー23の回転量に応じて定まることになる。このように、パスと搬送動作を交互に繰り返して行い、用紙Sの各画素にドットを形成していく。こうして用紙Sに画像が印刷される。
そして、最後に、コントローラー60は、搬送ローラー23と同期して回転する排紙ローラー25によって印刷が終了した用紙Sを排紙する。
【0029】
===第1実施形態の駆動信号生成回路===
<第1参考例>
図4は第1参考例の駆動信号生成回路65の構成の説明図である。なお、ピエゾ素子は容量性負荷として機能するので、図ではピエゾ素子がコンデンサー(C1)として記載されている。また、プリンター1には、各ノズルに対してそれぞれピエゾ素子が設けられているが、図中ではピエゾ素子を示すコンデンサーを1個で省略記載している。
第1参考例の駆動信号生成回路65は、D/Aコンバータ(以下DACともいう)651と電流増幅回路652を有している。
【0030】
DAC651には、CPU62から駆動信号データ(デジタルデータ)が入力される。DAC651はこのデジタルデータをアナログ信号に変換し、駆動信号データに応じた原駆動信号OCOMを出力する。なお、原駆動信号OCOMの電圧変化は、図3の駆動信号COMとほぼ同じである。
【0031】
電流増幅回路652は、多数のピエゾ素子が支障なく動作できるように、十分な電流を供給するための回路である。電流増幅回路652は、入力される原駆動信号OCOMの電圧変化に応じてピエゾ素子C1を充放電するための駆動信号COMを出力する。電流増幅回路652は、充電側トランジスタQ1と放電側トランジスタQ2を有する。充電側トランジスタQ1はNPN型のトランジスタであり、放電側のトランジスタQ2はPNP型のトランジスタである。すなわち、電流増幅回路652は、相補的に2個のトランジスタを接続したプッシュプル増幅回路である。
【0032】
充電側トランジスタQ1(NPN型トランジスタ)のベースにはDAC651からの原駆動信号OCOMが入力される。また、充電側トランジスタQ1のコレクタは42V電源と接続されており、充電側トランジスタQ1のエミッタは放電側トランジスタQ2のエミッタと接続されているとともに、ピエゾ素子C1への駆動信号COMの出力信号線に接続されている。なお、駆動信号COMは、スイッチSW1を介してピエゾ素子C1に印加される。
【0033】
放電側トランジスタQ2(PNP型トランジスタ)のベースにはDAC651からの原駆動信号OCOMが入力される。また、放電側トランジスタQ2のコレクタはグランド(GND)と接続されており、放電側トランジスタQ2のエミッタは、充電側トランジスタQ1のエミッタと接続されている。
【0034】
次に第1参考例の駆動信号生成回路65の動作について説明する。図5は、第1参考例の駆動信号生成回路65の動作の説明図である。
【0035】
(充電時)
ピエゾ素子C1の充電時には、DAC651からの原駆動信号OCOMの電圧が徐々に高くなる。これにより、充電側トランジスタQ1がオンとなって、図に示すように電流I1が流れてピエゾ素子C1が充電される。このときの、充電側トランジスタQ1の発熱量(消費電力)は、充電側トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間の電圧と電流I1との積で表される。つまり、図5の左側斜線部(右上がり線のハッチング部分)と電流I1の積になる。
【0036】
(ホールド時)
ホールド時には、原駆動信号OCOMの電圧が変化しない。これにより、充電側トランジスタQ1と放電側トランジスタQ2は共にオフとなる。よって、電流が流れず駆動信号COMは同じ電圧を維持する。
【0037】
(放電時)
ピエゾ素子C1の放電時には、DAC651からの原駆動信号OCOMの電圧が徐々に低くなる。これにより、放電側トランジスタQ2がオンとなって、図に示すように電流I2が流れてピエゾ素子が放電される。このときの、放電側トランジスタQ2の発熱量は、放電側トランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間の電圧と電流I2との積で表される。つまり、図5の右側斜線部(右下がり線のハッチング部分)と電流I2の積になる。
【0038】
<第2参考例>
第1参考例では、斜線部の面積(コレクタ−エミッタ間の電圧差)が大きく、発熱量が大きい。これに対し、第2参考例では、コレクタ−エミッタ間の電圧差を小さくし、発熱量を低減させている。
また、第1参考例では、ピエゾ素子に充電された電荷が全てグランドに放電されてしまう。これに対し、第2参考例では、ピエゾ素子に充電された電荷の一部を放電時に回生している。
【0039】
図6は、第2参考例の駆動信号生成回路65の構成の説明図である。第2参考例の駆動信号生成回路65は、DAC651、電流増幅回路652、チャージポンプ回路66、回生用のコンデンサーC3、及び、21V電源V1を有している。電流増幅回路652の高圧側電源電圧端子は、チャージポンプ回路66の高圧側出力端子と接続している(A点)。また、電流増幅回路652の低圧側電源電圧端子は、チャージポンプ回路66の低圧側出力端子と接続している(B点)。チャージポンプ回路66の充電用端子は、21V電源V1とコンデンサーC3と接続している(C点)。チャージポンプ回路66の放電用端子は、GNDと接続している(D点)。
【0040】
DAC651は、第1参考例と同様の構成である。但し、第2参考例のDAC651は、原駆動信号OCOMだけでなく、制御信号も出力する。なお、制御信号については後述する。
【0041】
電流増幅回路652は、第1参考例と同様の構成である。但し、第2参考例では、充電側トランジスタQ1のコレクタの接続先は、42V電源ではなく、後述するチャージポンプ回路66のコンデンサーC2の高圧側端子である。また、放電側トランジスタQ2の接続先は、グランド(GND)ではなく、チャージポンプ回路66のコンデンサーC2の低圧側端子である。
【0042】
チャージポンプ回路66は、コンデンサーC2、電圧調整部661、ダイオードD1及びダイオードD2を有している。チャージポンプ回路66は、電流増幅回路652の高圧側電源電圧端子に原駆動信号OCOMよりも高い電圧を印加するとともに(A点)、電流増幅回路652の低圧側電源電圧端子に原駆動信号OCOMよりも低い電圧を印加する(B点)。
【0043】
コンデンサーC2は、チャージポンプ用のコンデンサーであり、コンデンサーC1(全てのピエゾ素子の容量の合計)よりも容量が大きい。コンデンサーC2の高圧側端子は、充電側トランジスタQ1のコレクタと接続され、コンデンサーC2の低圧側端子は、放電側トランジスタQ2のコレクタと接続されている。
【0044】
電圧調整部661は、図中B点(コンデンサーC2の低圧側端子、すなわち、放電側トランジスタQ2のコレクタ)の電圧を調整する。電圧調整部661は、DAC651からの制御信号により動作が制御される。
【0045】
第2参考例の電圧調整部661は、相補的に接続されたNチャンネル型FET(Q3)と、Pチャンネル型FET(Q4)によるソースフォロア構成である。この構成により、電圧調整部661の出力電圧(B点電圧)が、入力電圧(制御信号の電圧)と同じになるように制御される。
【0046】
Nチャンネル型FET(以下、N型FETともいう)Q3のゲートには、DAC651からの制御信号が印加される。また、N型FETQ3のドレインは電源V1(21V)に接続されており、N型FETQ3のソースは、Pチャンネル型FET(Q4)のソースと接続されている。
【0047】
Pチャンネル型FET(以下、P型FETともいう)Q4のゲートにはDAC651からの制御信号が印加される。P型FETQ4のドレインはグランド(GND)に接続されており、P型FETQ4のソースは、N型FETQ3のソースと接続されている。また、N型FETQ3のソース及びP型FETQ4のソースは、電流増幅回路652の放電側トランジスタQ2のコレクタと、コンデンサーC2の低圧側端子に接続されている。
【0048】
B点の電圧が制御信号の電圧よりも低くなる場合にはN型FETQ3がオンし、B点の電圧が制御信号の電圧よりも高くなる場合にはP型FETQ4がオンする。こうして、電圧調整部661は、制御信号と同じ電圧になるようにB点の電圧を調整する。
【0049】
ダイオードD1は逆流防止用のダイオードであり、ダイオードD1のカソード側は電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1のコレクタ及びコンデンサーC2の高圧側端子と接続されており、アノード側は電源V1及びN型FETQ3のドレインと接続されている。
【0050】
ダイオードD2は、回生用のダイオードであり、放電側トランジスタQ2からコンデンサーC3へ電流が流れることを許容するためのものである。ダイオードD1のカソード側は、コンデンサーC3の高圧側端子と接続されており、アノード側は放電側トランジスタQ2のコレクタに接続されている。
【0051】
コンデンサーC3は、回生される電荷を蓄積するためのものである。ピエゾ素子C1の放電時に放電側トランジスタQ2から放出された電荷がダイオードD2を介してコンデンサーC3に回生される。このコンデンサーC3の容量は、コンデンサーC1(全てのピエゾ素子の容量の合計)及びコンデンサーC2の容量よりも大きい。コンデンサーC3の低圧側端子はグランドに接続されており、高圧側端子は電源V1、ダイオードD1のアノード側、ダイオードD2のカソード側に接続されている。
【0052】
電源V1は、21Vの電源である。つまり、第2参考例の電源電圧は、第1参考例での電源電圧(42V)よりも低い電圧である。
【0053】
次に第2参考例の駆動信号生成回路65の動作について説明する。
図7は、第2参考例の原駆動信号OCOM(駆動信号COM)、制御信号及び各ポイントでの電圧の時間変化の説明図である。
まず、時刻T0では、原駆動信号OCOMに変化がなく、充電側トランジスタQ1、放電側トランジスタQ2は共にオフである。A点電圧(コンデンサーC2の高圧側端子、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1のコレクタ)は電源V1により21Vになる。また、このとき制御信号はGND電圧であり、これにより、B点電圧(コンデンサーC2の低圧側端子)は、GND電圧になる。よって、コンデンサーC2が21Vで充電される。
【0054】
時刻T1〜T2(原駆動信号OCOMが21V以下でのピエゾ素子C1の充電時)では、DAC651からの原駆動信号OCOMの電位が徐々に高くなる。原駆動信号が高くなることによって、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1がオンとなり、ピエゾ素子C1が充電される。このときの充電側トランジスタQ1のコレクタ電圧は21Vなので、充電側トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、21V−駆動信号COMの電圧(図のT1〜T2のハッチング部分)となる。これは第1参考例の場合よりも小さい。すなわち、充電側トランジスタQ1の発熱が第1参考例よりも小さくなる。
【0055】
また、このとき、制御信号はGND電圧である。つまり、図のB点の電圧がGND電圧になっている。
【0056】
時刻T2において、原駆動信号OCOM(駆動信号COM)が21Vになる。このとき、DAC651は、制御信号をGND電圧から21Vに変化させる。これにより、N型FETQ3がオンし、電源V1(21V)からB点に電流が流れる。この結果、B点の電圧がGND電圧から21Vになる。また、コンデンサーC2は時刻T2の直前に21Vで充電されているため、時刻T2で低電圧側の電圧(B点電圧)がGND電圧から21Vになることにより、高電圧側の電圧(A点電圧)が42V(21V+21V)になる。
【0057】
時刻T2〜T3(原駆動信号OCOMが21V以上でのピエゾ素子C1の充電時)では、充電側トランジスタQ1がオンであり、ピエゾ素子C1が充電される。なお、この期間の充電側トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、A点電圧が42Vなので、42V−駆動信号COMの電圧(図のT2〜T3のハッチング部分)となる。
【0058】
時刻T3〜T4(ホールド時)では、原駆動信号OCOMが一定になる。これにより充電側トランジスタQ1が(及び放電側トランジスタQ2も)オフとなり、ピエゾ素子C1には電流が流れず、駆動信号COMは同じ電圧を維持する。
【0059】
時刻T4〜T5(原駆動信号OCOMが21V以上でのピエゾ素子C1の放電時)では、DAC651からの原駆動信号OCOMの電圧が徐々に低くなる。これにより、電流増幅回路652の放電側トランジスタQ2がオンとなり、ピエゾ素子C1が放電される。なお、制御信号は21Vのままである。また、放電側トランジスタQ2がオンになった時、P型FETQ4がオンになり、放電側トランジスタQ2からの電荷をGNDに放出する。こうして、B点の電圧は21V(制御信号と同じ電圧)に調整される。なお、放電側トランジスタQ2がオンになった時、放電側トランジスタQ2からの電荷の一部は、ダイオードD2を介して、コンデンサーC3に回生される。コンデンサーC3に回生された電荷は、次にピエゾ素子C1に充電を行うときに用いられることになる。
【0060】
よって、この期間の放電側トランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、駆動信号COMの電圧−21V(図7のT4〜T5のハッチング部分)である。これは、第1参考例の場合よりも小さい。つまり、第1参考例の場合よりも放電側トランジスタQ2の発熱を小さくすることができる。
【0061】
時刻T5(原駆動信号OCOMが21Vになったとき)に、DAC651は制御信号を21VからGND電圧に変化させる。
ここでも、P型FETQ4がオンになり、グランド(GND)に電流が流れる。ただし、制御信号がGND電圧になるので、B点の電圧が21VからGND電圧になる。また、B点の電圧が21VからGND電圧になることによって、A点の電圧は42Vから21Vになる。
【0062】
時刻T5〜T6(原駆動信号が21V以下でのピエゾ素子C1の放電時)においても、放電側トランジスタQ2がオンとなり、ピエゾ素子C1が放電される。なお、B点の電圧がGND電圧になっているので、放電側トランジスタQ2のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、駆動信号COMの電圧−GND(図7のT5〜T6のハッチング部分)である。
以下、同じ動作を繰り返す。
【0063】
<第1実施形態>
第2参考例では、コンデンサーC3への電荷の回生は、駆動信号COMが21Vになるまでのピエゾ素子C1の放電時でしか行なわれない。これは、電荷の回生時にコンデンサーC3が21Vで充電されているためである。
これに対し、本実施形態では、駆動信号COMが21Vよりも低い電圧でも電荷の回生を行なえるようにしている。
【0064】
図8は、第1実施形態の駆動信号生成回路65の説明図である。第2参考例と比較すると、第2参考例では回生用のコンデンサーC3が設けられていたのに対し、本実施形態では、回生用のコンデンサーとして、コンデンサーC3(第1蓄電用コンデンサーに相当する)とコンデンサーC4(第2蓄電用コンデンサーに相当する)が設けられている。さらに、本実施形態ではコンデンサーC5(第3蓄電用コンデンサーに相当する)、スイッチSW2〜SW5が追加されている。
以下、第2参考例と異なる構成について説明する。
【0065】
コンデンサーC3及びコンデンサーC4は、回生用のコンデンサーであり、ピエゾ素子C1の放電時の電荷を蓄積する。このコンデンサーC3、C4の各容量は、コンデンサーC1(全てのピエゾ素子の容量の合計、例えば1μF)及びコンデンサーC2の容量(例えば20μF)よりも大きい(例えば40μF)。本実施形態のコンデンサーC3とコンデンサーC4は、後述するスイッチSW2〜SW4によって、接続関係(直列接続及び並列接続)が切り替えられる。なお、コンデンサーC3の図中下側端子は、グランド(GND)と接続され、コンデンサーC4の図中上側端子は、チャージポンプ回路66の充電用端子と接続されている(C点)。
【0066】
コンデンサーC5は、後述する全スイッチ(スイッチSW2〜SW5)がオフになったときに、電位が不定とならないようにさせるためのものである。このコンデンサーC5には、小容量(例えば、0.01μF)のものが用いられる。コンデンサーC5の図中上側端子は、コンデンサーC4の図中上側端子と接続され、コンデンサーC5の図中下側端子は、グランド(GND)と接続されている。
【0067】
スイッチSW2〜SW5は、コントローラー60によりオン/オフが制御される。
スイッチSW2は、コンデンサーC3の図中上側端子と、コンデンサーC4の図中下側端子との間に設けられている。なお、スイッチSW2は第1スイッチに相当する。
スイッチSW3は、コンデンサーC4の図中下側端子とグランド(GND)との間に設けられている。なお、スイッチSW3は第2スイッチに相当する。
スイッチSW4は、コンデンサーC4の図中上側端子と、コンデンサーC3の図中上側端子との間に設けられている。なお、スイッチSW4は第3スイッチに相当する。
スイッチSW5は、コンデンサーC4の図中上側端子と、電源V1(21V)との間に設けられている。また、スイッチSW5は、スイッチSW4を介してコンデンサーC3の図中上側端子と電源V1との間に設けられている。なお、スイッチSW5は第4スイッチに相当する。
【0068】
図9は、駆動信号及び各ポイントでの電位の時間変化の説明図である。また、図10は、各スイッチのオン/オフ制御の説明図である。
最初の時刻T0〜時刻T5直前までは、コントローラー60は、スイッチSW2とスイッチSW5をオンにし、スイッチSW3とスイッチSW4をオフにする。これにより、コンデンサーC3とコンデンサーC4が直列接続になる。このように、時刻T5直前まで、スイッチSW2スとスイッチSW5がオン、スイッチSW3とスイッチSW4がオフという状態が維持されて、前述の第2参考例と同様の動作を行う。
なお、チャージポンプ回路66のコンデンサーC2の充電時に、直列接続されたコンデンサーC3とコンデンサーC4に電源V1の21Vの電源電圧が印加され、コンデンサーC3とコンデンサーC4は、それぞれ10.5Vに充電される。
時刻T5で、コントローラー60は、一旦スイッチSW2〜SW5を全てオフにする。これは、スイッチSW2及びスイッチSW5と、スイッチSW3及びスイッチSW4が同時オンとなるのを回避するためである。
【0069】
時刻T5〜時刻Taでは、コントローラー60は、スイッチSW2とスイッチSW5をオフにし、スイッチSW3とスイッチSW4をオンにする。これにより、コンデンサーC3とコンデンサーC4が並列接続になる。よって、大きな容量C(C3+C4)に充電することができる。なお、コンデンサーC3及びC4のそれぞれの高電位側の電圧は10.5Vである。
これにより、駆動信号COMが10.5Vになるまでの間においても、放電側トランジスタQ2からの電荷の一部がダイオードD2を介してコンデンサーC3、C4に移動する(回生)。つまり、本実施形態では、時刻T4〜時刻T5までの間だけでなく、時刻T5〜Taまでの間も、放電側トランジスタQ2からの電荷を回生することができる。
【0070】
これに対し、第2参考例では、駆動信号COMが21Vになるまでの間(時刻T4〜時刻T5)しか回生できなかった。よって、本実施形態の方が、より多くの電荷を回生させることができる。
なお、この期間においてスイッチSW5がオフなので、21V電源からコンデンサーC3、C4が充電されてしまうことを回避できる。
時刻Taでは、コントローラー60は、一旦スイッチSW2〜SW5を全てオフにする。これは、スイッチSW2及びスイッチSW5と、スイッチSW3及びスイッチSW4が同時オンとなるのを回避するためである。
【0071】
時刻Ta〜時刻T6は、コントローラー60は、スイッチSW2とスイッチSW5をオンにし、スイッチSW3とスイッチSW4をオフにする。これにより、コンデンサーC3とコンデンサーC4が直列接続になる。なお、この時の動作は、前述の第2参考例と同様である。
【0072】
<第1実施形態の変形例>
前述の実施形態では、時刻T5〜Taにおいて、スイッチSW3とスイッチSW4を同時にオンにして、コンデンサーC3とコンデンサーC4を並列接続にしていたが、スイッチSW3とスイッチSW4の何れか一方のみをオンにして、コンデンサーC3とコンデンサーC4のどちらかに放電側トランジスタQ2からの電荷を回生させてもよい。
【0073】
以上説明した本実施形態の駆動信号生成回路65は、電流増幅回路652と、チャージポンプ用のコンデンサーC2と、ピエゾ素子C1の放電時の電荷を蓄積するコンデンサーC3とコンデンサーC4を備えている。電流増幅回路652は、原駆動信号OCOMが入力され、原駆動信号OCOMの電圧変化に追従した駆動信号COMを出力することによって、容量性負荷であるピエゾ素子C1を充放電する。コンデンサーC2は、電流増幅回路652の高圧側電源電圧端子(充電側トランジスタQ1のコレクタ)に高圧側端子が接続され、電流増幅回路652の低圧側電源電圧端子(放電側トランジスタQ2のコレクタ)に低圧側端子が接続されている。そして、コンデンサーC2は、ピエゾ素子C1の充電時に21Vで充電されたコンデンサーC2の低圧側端子の電圧を上げることによって、コンデンサーC2の高圧側端子の電圧を21Vよりも高い電圧にさせる。コンデンサーC3とコンデンサーC4は放電側トランジスタQ2の放電の電荷を蓄積する。
【0074】
このような構成の駆動信号生成回路65において、本実施形態では、チャージポンプ回路66のコンデンサーC2の充電時には、コンデンサーC3の図中上側端子とコンデンサーC4の図中下側端子とを電気的に接続することにより、コンデンサーC3とコンデンサーC4を直列接続にする。このとき、コンデンサーC4の図中上側端子には、電源V1から21Vが印加され、コンデンサーC3とコンデンサーC4はそれぞれ10.5Vに充電される。また、ピエゾ素子C1の放電時には図中上側端子とコンデンサーC4の図中下側端子を電気的に切断する。そして、コンデンサーC3とコンデンサーC4の少なくとも一方に、放電側トランジスタQ2からの電荷を蓄積させる。このとき、コンデンサーC3とコンデンサーC4は10.5Vに充電されているので、10.5Vまで放電側トランジスタQ2からの電荷を回生することができる。つまり、21Vまでしか回生できなかった第2参考例と比べて、より多くの電荷を回生させることができる。
【0075】
===第2実施形態の駆動信号生成回路===
第1実施形態では、時刻T4〜T5の回生時に、ピエゾ素子C1から放電された電荷の大部分はP型FETQ4を介してGNDに流れてしまい、ダイオードD2を介してコンデンサーC3及びコンデンサーC4に回生される電荷が少ない。
これは、P型FETQ4のソース側電圧(B点電圧)がゲート側電圧よりも高電圧になるとP型FETQ4がオンになるためである。このため、第1実施形態では、回生の効率が悪い。
そこで、第2実施形態では、コンデンサーC1の放電時にP型FETQ4がオンになりにくくなるように、電圧調整部661のP型FETQ4を制御する。
【0076】
図11は、第2実施形態の駆動信号生成回路の説明図である。第1実施形態と比較すると、第2実施形態では電圧制御回路67が追加されている。ここでは電圧制御回路67について主に説明を行い、第1実施形態と共通する内容については説明を省略する。
【0077】
電圧制御回路67は、以下に説明するとおり、DAC651が出力する制御信号と原駆動信号OCOMとに基づいて、P型FETQ4のゲート電圧(図のE点電圧)を制御する。
【0078】
電圧制御回路67は、トランジスタQ5と、抵抗R1〜R3と、ダイオードD3を有している。トランジスタQ5のコレクタは、抵抗R1を介して、DAC651が制御信号を出力する伝送線に接続されている。また、トランジスタQ5のエミッタは、抵抗R2を介して、DAC651が原駆動信号OCOMを出力する伝送線に接続されている。また、トランジスタQ5のベースは、抵抗R3及びダイオードD3を介して、21V電源V1に接続されている。電圧制御回路67は、DAC651の出力する制御信号を、N型FETQ3のゲートに印加する。また、電圧制御回路67は、トランジスタQ5のコレクタ電圧(図のE点の電圧)を、P型FETQ4に印加する。
【0079】
電圧制御回路67のトランジスタQ5のベース電圧は、ほぼ21Vになっている。このため、原駆動信号OCOMが21V以下であれば、トランジスタQ5のコレクタ電圧よりもベース電圧の方が高くなり、トランジスタQ5はオフになる。この結果、P型FETQ4のゲートには、DAC651が出力する制御信号とほぼ同じ電圧の信号が印加される。一方、原駆動信号OCOMが21V以上であれば、トランジスタQ5がオンになる。この結果、P型FETQ4のゲートには、DAC651が出力する制御信号と原駆動信号OCOMを抵抗R1と抵抗R2で分圧した信号が印加される。本実施形態では、このとき、原駆動信号OCOMとほぼ同じ電圧の信号が印加されるように、抵抗R1と抵抗R2の抵抗の値が定められている。
【0080】
図12Aは、第2実施形態における原駆動信号OCOM、制御信号、E点の電圧(P型FETQ4のゲート電圧)の時間変化の説明図である。
【0081】
まず、原駆動信号OCOMの時間変化について説明する。時刻T0において、原駆動信号OCOMは最低電圧の約3Vである。時刻T1〜T3では、原駆動信号OCOMの電位が徐々に高くなる。なお、途中の時刻T2において、原駆動信号OCOMが21Vに達する。時刻T3において、原駆動信号OCOMは最高電圧になる。時刻T3〜T5では、原駆動信号OCOMは一定電圧である。この時間をホールド時間と呼ぶ。時刻T4〜T6では、原駆動信号OCOMの電位が徐々に低くなる。なお、途中の時刻T5において、原駆動信号OCOMが21Vに達する。時刻T6において、原駆動信号OCOMは最低電圧の約3Vになる。このような原駆動信号OCOMをDAC651は出力する。なお、駆動信号生成回路65から出力される駆動信号COMは、原駆動信号OCOMとほぼ同じ電圧変化になる。
【0082】
次に、制御信号の時間変化について説明する。第1実施形態では制御信号は矩形形状であったのに対し、第2実施形態では制御信号は台形形状である。時刻T0において、制御信号はGND電圧である。原駆動信号OCOMの電圧が徐々に高くなった時刻T1の後の時刻Tbから、制御信号の電圧は、原駆動信号OCOMの電圧変化と同じ傾きで、徐々に高くなる。時刻T3〜T4では、制御信号は一定電圧である。時刻T4〜Tcでは、制御信号の電圧は、原駆動信号OCOMの電圧変化と同じ傾きで、徐々に低くなる。時刻Tcにおいて、制御信号はGND電圧になる。このような制御信号をDAC651は出力する。
【0083】
さらに、E点電圧(P型FETQ4のゲート電圧)の時間変化について説明する。原駆動信号OCOMが21Vよりも低いときには、前述したように電圧制御回路67のトランジスタQ5はオフになる。これによりE点電圧は制御信号とほぼ同じになる。一方、原駆動信号OCOMが21Vよりも高いときには、電圧制御回路67のトランジスタQ5がオンになる。これにより、E点電圧は原駆動信号OCOMとほぼ同じになる。このため、時刻T0において、E点電圧はGND電圧である。原駆動信号OCOMの電圧が徐々に高くなった後の時刻Tbから、E点電圧は、制御信号と共に、徐々に高くなる。時刻T2において原駆動信号OCOMが21Vに達したら、E点電圧が原駆動信号OCOMとほぼ同じ電圧(21V)になる。時刻T2〜T5では、E点電圧は原駆動信号OCOMとほぼ同じである。すなわち、E点電圧は、時刻T2〜T3では徐々に高くなり、時刻T3〜T4では一定電圧になり、時刻T4〜T5では徐々に低くなる。時刻T5において原駆動信号OCOMが21Vになったら、E点電圧は制御信号と同じになる。そして、E点電圧は、時刻T5〜Tcでは徐々に低くなり、時刻TcにおいてGND電圧になる。
【0084】
次に、これらの信号(原駆動信号OCOM、制御信号)による回路の動作を説明する。
図12Bは、原駆動信号OCOM、A点及びB点の電圧の時間変化の説明図である。図13Aは、時刻T0のときの電流の説明図である。図13Bは、時刻Tb〜T2での電流の説明図である。図13Cは、時刻T4〜T5での電流の説明図である。なお、第1実施形態と同様に、時刻T0〜時刻T5までは、スイッチSW2とスイッチSW5がオンであり、スイッチSW3とスイッチSW4がオフである。これにより、コンデンサーC3とコンデンサーC4が直列接続になる。また、図13A〜図13Cでは、説明の簡略化のため、スイッチSW2〜SW5及びコンデンサーC5の記載を省略している。
【0085】
時刻T0では、A点電圧(コンデンサーC2の高圧側端子、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1のコレクタ)は電源V1により21Vになる。また、このとき制御信号はGND電圧であり、E点電圧もGND電圧である。これにより、B点電圧(コンデンサーC2の低圧側端子)は、GND電圧になる。よって、コンデンサーC2が21Vで充電される(図13A参照)。
【0086】
時刻T1〜Tb(原駆動信号OCOMが21V以下、制御信号がGND電圧でのピエゾ素子C1の充電時)では、DAC651からの原駆動信号OCOMの電位が徐々に高くなる。原駆動信号OCOMが高くなることによって、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1がオンとなり、ピエゾ素子C1が充電される。このときの充電側トランジスタQ1のコレクタ電圧は21Vなので、充電側トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、21V−駆動信号COMの電圧となる。これは第1参考例の場合よりも小さい。すなわち、充電側トランジスタQ1の発熱が第1参考例よりも小さくなる。
【0087】
また、このとき、制御信号、及びE点電圧はGND電圧である。つまり、図のB点の電圧がGND電圧になっている。
【0088】
時刻Tb〜T2(原駆動信号OCOMが21V以下、制御信号がGND電圧以上でのピエゾ素子C1の充電時)では、制御信号の電圧が徐々に高くなることによって、電圧調整部661のN型FETQ3がオンになる。N型FETQ3がオンすることにより、21V電源V1からB点に電流が流れ、B点電圧が制御信号と同じ電圧になる。また、コンデンサーC2が21Vで充電されているため、A点電圧が制御信号+21Vになる(図13B参照)。また、原駆動信号OCOMが高くなることによって、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1がオンとなり、ピエゾ素子C1が充電される。このときの充電側トランジスタQ1のコレクタ電圧は「制御信号+21V」なので、充電側トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、「制御信号+21V−駆動信号COMの電圧」となる。これは第2参考例の場合よりも小さい。すなわち、充電側トランジスタQ1の発熱が第2参考例よりも小さくなる。
【0089】
時刻T2〜T3(原駆動信号OCOMが21V以上でのピエゾ素子C1の充電時)では、電圧制御回路67のトランジスタQ5がオンし、E点電圧が原駆動信号OCOMとほぼ同じになる。これ以外は、時刻Tb〜T2のときと同様である。つまり、制御信号の電圧が徐々に高くなることによって、電圧調整部661のN型FETQ3がオンになる。これにより、21V電源V1からB点に電流が流れ、B点電圧が制御信号と同じ電圧になり、コンデンサーC2が21Vで充電されているため、A点電圧が制御信号+21Vになる(図13B参照)。また、原駆動信号OCOMが高くなることによって、電流増幅回路652の充電側トランジスタQ1がオンとなり、ピエゾ素子C1が充電される。このときの充電側トランジスタQ1のコレクタ電圧は「制御信号+21V」なので、充電側トランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間の電圧差は、「制御信号+21V−駆動信号COMの電圧」となる。これは第2参考例の場合よりも小さい。すなわち、充電側トランジスタQ1の発熱が第2参考例よりも小さくなる。
【0090】
時刻T3〜T4(ホールド時)では、原駆動信号OCOMが一定になる。これにより充電側トランジスタQ1が(及び放電側トランジスタQ2も)オフとなり、ピエゾ素子C1には電流が流れず、駆動信号COMは同じ電圧を維持する。
【0091】
時刻T4〜T5(原駆動信号OCOMが21V以上でのピエゾ素子C1の放電時)では、DAC651からの原駆動信号OCOMの電圧が徐々に低くなる。これにより、電流増幅回路652の放電側トランジスタQ2がオンとなり、ピエゾ素子C1が放電される。このときB点電圧が21Vまで上昇し、A点電圧が42Vになる。
【0092】
このとき、本実施形態では、E点電圧が21V以上になっている(図12A参照)。このため、本実施形態では、放電側トランジスタQ2がオンとなりB点電圧が上昇しても、P型FETQ4がオンにならない。この結果、放電側トランジスタQ2から放出される電荷は、P型FETQ4を介してGNDに放出されず、ダイオードD2を介して直列接続されたコンデンサーC3とコンデンサーC4に回生される(図13C参照)。このため、本実施形態では、第2参考例の場合よりも、回生される電荷が大きい。
なお、B点電圧が21Vであるので、直列接続されたコンデンサーC3とコンデンサーC4は、それぞれ10.5Vに充電される。
【0093】
時刻T5で、コントローラー60は、一旦スイッチSW2〜SW5を全てオフにする。これは、スイッチSW2及びスイッチSW5と、スイッチSW3及びスイッチSW4が同時オンとなるのを回避するためである。また、時刻T5で原駆動信号OCOMがほぼ21Vになることにより電圧制御回路67のトランジスタQ5がオフとなり、E点電圧が制御電圧とほぼ同じになる。
時刻T5〜時刻Tcでは制御信号が徐々に低くなり、P型FETQ4がオンする。このため、放電側トランジスタQ2から放出される電荷が、P型FETQ4を介してグランド(GND)に放出されるようになる。
時刻Tc〜Taでは制御電圧はほぼGND電圧になる。
【0094】
なお、時刻T5〜時刻Taでは、コントローラー60は、スイッチSW2とスイッチSW5をオフにし、スイッチSW3とスイッチSW4をオンにする。これにより、コンデンサーC3とコンデンサーC4が並列接続になる。よって大きな容量C(C3+C4)に充電することができる。なお、コンデンサーC3及びC4の高電位側の電圧は10.5Vである。
【0095】
これにより、駆動信号COMが10.5Vになるまでの間(時刻Taまで)、放電側トランジスタQ2からの電荷の一部がダイオードD2を介してコンデンサーC3、C4に移動する(回生)。
これに対し、第2参考例では、駆動信号COMが21Vになるまでの間しか回生できなかった。よって、本実施形態の方がより効率的に回生を行なうことができる。
なお、この期間においてスイッチSW5がオフなので、21V電源からコンデンサーC3、C4が充電されてしまうことを回避できる。
【0096】
時刻Taでは、コントローラー60は、一旦スイッチSW2〜SW5を全てオフにする。これは、スイッチSW2及びスイッチSW5と、スイッチSW3及びスイッチSW4が同時オンとなるのを回避するためである。
【0097】
時刻Ta〜時刻T6は、コントローラー60は、スイッチSW2とスイッチSW5をオンにし、スイッチSW3とスイッチSW4をオフにする。これにより、コンデンサーC3とコンデンサーC4が直列接続になる。なお、この時の動作は、前述の実施形態と同様である。
【0098】
このように、第2実施形態では、DAC651からの原駆動信号OCOMの電圧が徐々に低くなる時刻T4〜T5(原駆動信号OCOMが21V以上でのピエゾ素子C1の放電時)で、P型FETQ4がオンにならない。
【0099】
第1実施形態(及び第2参考例)では、DAC651からの原駆動信号OCOMの電圧が徐々に低くなる時刻T4〜T5にP型FETQ4がオンとなり、放電側トランジスタQ2から放出される電荷の大部分が、P型FETQ4を介してGNDに放出されていた。これに対し、第2実施形態では、時刻T4〜T5にP型FETQ4がオンにならないので、放電側トランジスタQ2から放出される電荷が、ダイオードD2を介してコンデンサーC3、及びコンデンサーC4に回生される。よって、第1実施形態よりも電荷の回生をより効率良く行うことができる。
【0100】
なお、第2実施形態では、DAC651は原駆動信号OCOMと制御信号を生成しているが、これに限られるものではなく、DAC651が原駆動信号OCOMのみを生成するだけでも良い。そして、DAC651から出力された原駆動信号OCOMを所定電圧(例えば14V)だけ降下させる回路を設け、この回路で生成した信号をN型FETQ3のゲートに印加しても良い。この場合、この回路で生成した信号と原駆動信号OCOMとに基づいて、第2実施形態の電圧制御回路67により生成した信号をP型FETQ4に印加すると良い。
また、DAC651が、P型FETQ4に印加する信号を別途生成するようにしてもよい。この場合、電圧制御回路67は不要である。
【0101】
===第3実施形態の駆動信号生成回路===
前述の実施形態では、コンデンサーC3とコンデンサーC4を並列接続にしているのは、時刻T5〜時刻Taの間だけであった。第3実施形態では、コンデンサーC3とコンデンサーC4を並列接続にする時間を増やしている。
【0102】
図14は、第3実施形態の駆動信号生成回路の説明図である。
第2実施形態(図11)と比べると、スイッチSW5の位置が異なっている。また、A点と充電側トランジスタQ1のコレクタとの間にダイオードD4が設けられている。
第3実施形態では、スイッチSW5は、電源V1とダイオードD3のカソード側との間に設けられている。
また、ダイオードD4は、逆流防止用のダイオードであり、アノード側は、コンデンサーC2の高圧側端子(A点)と接続され、カソード側は充電側トランジスタQ1のコレクタと接続されている。
【0103】
第2実施形態において電圧制御回路67のトランジスタQ5のベース電圧は21Vであったのに対し、第3実施形態では、トランジスタQ5のベース電圧は、スイッチSW5がオンの場合は21Vとなり、スイッチSW5がオフの場合はC点の電圧(コンデンサC4の高圧側端子の電圧)となる。なお、トランジスタQ5のコレクタ電圧よりもベース電圧の方が高ければ、トランジスタQ5はオフになる。この結果、P型FETQ4のゲートには、制御信号とほぼ同じ電圧の信号が印加される。一方トランジスタQ5のコレクタ電圧よりもベース電圧の方が低ければ、トランジスタQ5はオンになる。この結果、P型FETQ4のゲートには、ほぼ原駆動信号OCOMと同じ電圧の信号が印加される。
【0104】
図15Aは、第3実施形態における原駆動信号OCOM、制御信号、E点の電圧(P型FETQ4のゲート電圧)の時間変化の説明図である。また、図15Bは、原駆動信号OCOM、A点及びB点の電圧の時間変化の説明図である。なお、第3実施形態では時刻T3〜時刻T4の間(例えば時刻T4の直前)に、スイッチSW2とスイッチSW5をオフにし、スイッチSW3とスイッチSW4をオンにする。すなわち、コンデンサーC3とコンデンサーC4を並列接続にする。また、スイッチSW5がオフになることにより、トランジスタQ5のベース電圧は、C点の電圧(10.5V)になる。
図15Aにおいて、原駆動信号OCOMと制御信号の時間変化については第2実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0105】
E点電圧(P型FETQ4のゲート電圧)は、時刻T5までは第2実施形態と同じように変化する。但し、第3実施形態では、E点電圧は、時刻T5〜時刻Taにおいても原駆動信号OCOMに沿って変化し、原駆動信号OCOMが10.5Vになる時刻Taで制御信号と同じになる。つまり、時刻TaまではE点電圧は10.5V以上である。
また、図15Bにおいて、時刻T0〜時刻T4までは第2実施形態と同じである。
【0106】
第3実施形態では、時刻T4の直前に、B点電圧が10.5Vになり、時刻Taまで10.5Vが維持される。このとき、本実施形態では、E点電圧が10.5V以上になっている(図15A参照)。このため、P型FETQ4がオンにならない。この結果、放電側トランジスタQ2から放出される電荷は、P型FETQ4を介してGNDに放出されず、ダイオードD2を介して並列接続されたコンデンサーC3とコンデンサーC4に回生される。そして、時刻TaでE点電圧が10.5Vよりも低く(GND電圧に)なることによってP型FETQ4がオンし、B点電圧がGND電圧になる。なお、A点電圧はB点電圧+21Vである。この場合、充電側トランジスタQ1のベース電圧(OCOM)の方がコレクタ電圧(A点の電圧)よりも高くなるポイントが発生するが、ダイオードD4によって逆電流が防止される。
なお、時刻ta以降については、第2実施形態と同じである。
【0107】
このように、第3実施形態では、時刻T4〜時刻Taの期間に、コンデンサーC3とコンデンサーC4を並列接続にして、放電側トランジスタQ2から放出される電荷の回生を行なっている。また、この期間(時刻T4〜時刻Ta)にP型FETQ4がオンにならないので、回生を効率良く行うことができる。
【0108】
また、第3実施形態では、スイッチの切り替えタイミングに十分な余裕をとることができる。前述の実施形態では、時刻T5のタイミングでスイッチの切り替え(コンデンサーC3とコンデンサーC4を直列から並列に切り替え)を行なっていた。このため、少しのタイミングのずれが生じると駆動信号COMの波形に影響が出るおそれがあった。これに対し、第3実施形態では、時刻T3〜時刻T4(ホールド時)の期間にスイッチの切り替えを行なうので、スイッチの切り替えによるノイズが影響しない(駆動信号COMの波形に影響を与えない)。ただし、第3実施形態では、放電側トランジスタQ2の電荷の回生時の駆動信号COMとコンデンサーとの電位差が大きいので、その間の経路で熱が発生しやすくなる。
【0109】
===その他の実施形態===
一実施形態としてのプリンター等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0110】
<プリンターについて>
前述の実施形態のプリンターは、ヘッドが移動方向に移動するドット形成動作(パス)と、用紙を搬送方向に搬送する搬送動作とを交互に繰り返すプリンター(いわゆるシリアルプリンター)であった。しかし、プリンターの種類は、これに限られるものではない。例えば、ヘッドを固定して、ヘッドと対向させて用紙を搬送させながらヘッドからインクを吐出させて印刷を行うプリンター(いわゆるラインプリンター)であっても良い。
【0111】
<液体噴射装置について>
前述の実施形態では、液体噴射装置の一例としてインクジェットプリンターが説明されている。但し、液体噴射装置はインクジェットプリンターに限られるものではなく、インク以外の液体(液体以外にも、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような液状体も含む)や液体以外の流体(流体として噴射できる固体、例えば粉体)を噴射する流体噴射装置にも適用可能である。例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる液状の色剤や電極材などを噴射する噴射装置や、バイオチップ製造に用いられる液状の生体有機物を噴射する噴射装置に、前述の実施形態を適用しても良い。
【0112】
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンターの実施形態だったので、インクをノズルから噴射しているが、このインクは水性でも良いし、油性でも良い。また、ノズルから噴射する流体は、インクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから噴射しても良い。
【0113】
<ピエゾ素子について>
前述の実施形態では、ピエゾ素子を用いてインクを吐出していた。しかし、駆動される素子が容量性負荷の機能があれば、ピエゾ素子に限られず、他の圧電素子でも良い。
【0114】
<DACについて>
前述の実施形態では、原駆動信号OCOMや制御信号を、DAC(D/Aコンバーター)を用いて生成したが、これに限られない。デジタルデータからアナログ信号に変換することなく、直接アナログ信号として原駆動信号OCOMや制御信号を出力しても良い。
【符号の説明】
【0115】
1 プリンター、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラー、22 搬送モーター(PFモーター)、
23 搬送ローラー、24 プラテン、25 排紙ローラー、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 キャリッジモーター(CRモーター)、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、42 データ受信部、43 駆動信号生成部、
50 センサー群、51 リニア式エンコーダー、52 ロータリー式エンコーダー、
53 紙検出センサー、54 光学センサー、
60 コントローラー、61 インターフェイス部、62 CPU、
63 メモリー、64 ユニット制御回路、
65 駆動信号生成部、651 DAC、652 電流増幅回路、
66 チャージポンプ回路、661 電圧調整部、67 電圧制御回路、
Q1 充電用トランジスタ、Q2 放電用トランジスタ、
Q3 N型FET、Q4 P型FET、Q5 トランジスタ、
C1 ピエゾ素子、C2〜C5 コンデンサー、
SW1〜SW5 スイッチ、V1 21V電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原駆動信号が入力され、前記原駆動信号の電圧変化に応じて容量性負荷を充放電する電流増幅回路と、
前記電流増幅回路の高圧側電源電圧端子に一端が接続され、前記電流増幅回路の低圧側電源電圧端子に他端が接続されたチャージポンプ用コンデンサーであって、前記容量性負荷の充電時に前記所定電圧で充電された前記チャージポンプ用コンデンサーの前記他端側の電圧を上げることによって前記電流増幅回路の前記高圧側電源電圧端子の電圧を前記所定電圧よりも高い電圧にさせるためのチャージポンプ用コンデンサーと、
前記容量性負荷の放電時の電荷を蓄積する第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーと、
を備えた駆動信号生成回路であって、
前記チャージポンプ用コンデンサーを前記所定電圧で充電する際に、前記第1蓄電用コンデンサーの一端と前記第2蓄電用コンデンサーの一端とを電気的に接続することによって前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを直列接続し、直列接続された前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーに前記所定電圧が印加され、
前記容量性負荷の放電時には、前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端とを電気的に切断し、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーのうちの少なくとも一方に、前記電流増幅回路の前記低圧側電源電圧端子からの電荷を蓄積させる
ことを特徴とする駆動信号生成回路。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動信号生成回路であって、
前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端の間に設けられた第1スイッチと、
前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と接地との間に設けられた第2スイッチと、
前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第1蓄電用コンデンサーの他端との間に設けられた第3スイッチとを有し、
前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを直列接続する際には、前記第1スイッチをオンにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオフにし、
前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを並列接続する際には、前記第1スイッチをオフにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオンにする、
ことを特徴とする駆動信号生成回路。
【請求項3】
請求項2に記載の駆動信号生成回路であって、
前記所定電圧の電源と、
前記電源と第1蓄電用コンデンサーの前記他端との間に設けられた第4スイッチと
を有し、
前記第1スイッチをオフにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオンにする際に、前記第4スイッチをオフにする、
ことを特徴とする駆動信号生成回路。
【請求項4】
請求項3に記載の駆動信号生成回路であって、
前記第1スイッチ及び前記第4スイッチをオンにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオフにする第1状態と、前記第1スイッチ及び前記第4スイッチをオフにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオンにする第2状態との間に、全てのスイッチをオフにする、
ことを特徴とする駆動信号生成回路。
【請求項5】
請求項4に記載の駆動信号生成回路であって、
一端が前記第1蓄電用コンデンサーの前記他端に接続され、他端が接地された第3蓄電用コンデンサーを有する、
ことを特徴とする駆動信号生成回路。
【請求項6】
ノズルから流体を噴射させるため電圧変化に応じて変位する圧電素子と、
原駆動信号が入力され、前記原駆動信号の電圧変化に応じて前記圧電素子を充放電する電流増幅回路と、
前記電流増幅回路の高圧側電源電圧端子に一端が接続され、前記電流増幅回路の低圧側電源電圧端子に他端が接続されたチャージポンプ用コンデンサーであって、前記圧電素子の充電時に前記所定電圧で充電された前記チャージポンプ用コンデンサーの前記他端側の電圧を上げることによって前記電流増幅回路の前記高圧側電源電圧端子の電圧を前記所定電圧よりも高い電圧にさせるためのチャージポンプ用コンデンサーと、
前記圧電素子の放電時の電荷を蓄積する第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーと、
を備えた駆動信号生成回路であって、
前記チャージポンプ用コンデンサーを前記所定電圧で充電する際に、前記第1蓄電用コンデンサーの一端と前記第2蓄電用コンデンサーの一端とを電気的に接続することによって前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを直列接続し、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーに対して前記所定電圧で充電し、
前記圧電素子の放電時に、前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端とを電気的に切断し、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーのうちの少なくとも一方に、前記電流増幅回路の前記低圧側電源電圧端子からの電荷を蓄積させる、
ことを特徴とする流体噴射装置。
【請求項1】
原駆動信号が入力され、前記原駆動信号の電圧変化に応じて容量性負荷を充放電する電流増幅回路と、
前記電流増幅回路の高圧側電源電圧端子に一端が接続され、前記電流増幅回路の低圧側電源電圧端子に他端が接続されたチャージポンプ用コンデンサーであって、前記容量性負荷の充電時に前記所定電圧で充電された前記チャージポンプ用コンデンサーの前記他端側の電圧を上げることによって前記電流増幅回路の前記高圧側電源電圧端子の電圧を前記所定電圧よりも高い電圧にさせるためのチャージポンプ用コンデンサーと、
前記容量性負荷の放電時の電荷を蓄積する第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーと、
を備えた駆動信号生成回路であって、
前記チャージポンプ用コンデンサーを前記所定電圧で充電する際に、前記第1蓄電用コンデンサーの一端と前記第2蓄電用コンデンサーの一端とを電気的に接続することによって前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを直列接続し、直列接続された前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーに前記所定電圧が印加され、
前記容量性負荷の放電時には、前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端とを電気的に切断し、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーのうちの少なくとも一方に、前記電流増幅回路の前記低圧側電源電圧端子からの電荷を蓄積させる
ことを特徴とする駆動信号生成回路。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動信号生成回路であって、
前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端の間に設けられた第1スイッチと、
前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と接地との間に設けられた第2スイッチと、
前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第1蓄電用コンデンサーの他端との間に設けられた第3スイッチとを有し、
前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを直列接続する際には、前記第1スイッチをオンにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオフにし、
前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを並列接続する際には、前記第1スイッチをオフにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオンにする、
ことを特徴とする駆動信号生成回路。
【請求項3】
請求項2に記載の駆動信号生成回路であって、
前記所定電圧の電源と、
前記電源と第1蓄電用コンデンサーの前記他端との間に設けられた第4スイッチと
を有し、
前記第1スイッチをオフにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオンにする際に、前記第4スイッチをオフにする、
ことを特徴とする駆動信号生成回路。
【請求項4】
請求項3に記載の駆動信号生成回路であって、
前記第1スイッチ及び前記第4スイッチをオンにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオフにする第1状態と、前記第1スイッチ及び前記第4スイッチをオフにし、前記第2スイッチと前記第3スイッチをオンにする第2状態との間に、全てのスイッチをオフにする、
ことを特徴とする駆動信号生成回路。
【請求項5】
請求項4に記載の駆動信号生成回路であって、
一端が前記第1蓄電用コンデンサーの前記他端に接続され、他端が接地された第3蓄電用コンデンサーを有する、
ことを特徴とする駆動信号生成回路。
【請求項6】
ノズルから流体を噴射させるため電圧変化に応じて変位する圧電素子と、
原駆動信号が入力され、前記原駆動信号の電圧変化に応じて前記圧電素子を充放電する電流増幅回路と、
前記電流増幅回路の高圧側電源電圧端子に一端が接続され、前記電流増幅回路の低圧側電源電圧端子に他端が接続されたチャージポンプ用コンデンサーであって、前記圧電素子の充電時に前記所定電圧で充電された前記チャージポンプ用コンデンサーの前記他端側の電圧を上げることによって前記電流増幅回路の前記高圧側電源電圧端子の電圧を前記所定電圧よりも高い電圧にさせるためのチャージポンプ用コンデンサーと、
前記圧電素子の放電時の電荷を蓄積する第1蓄電用コンデンサー及び第2蓄電用コンデンサーと、
を備えた駆動信号生成回路であって、
前記チャージポンプ用コンデンサーを前記所定電圧で充電する際に、前記第1蓄電用コンデンサーの一端と前記第2蓄電用コンデンサーの一端とを電気的に接続することによって前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーを直列接続し、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーに対して前記所定電圧で充電し、
前記圧電素子の放電時に、前記第1蓄電用コンデンサーの前記一端と前記第2蓄電用コンデンサーの前記一端とを電気的に切断し、前記第1蓄電用コンデンサー及び前記第2蓄電用コンデンサーのうちの少なくとも一方に、前記電流増幅回路の前記低圧側電源電圧端子からの電荷を蓄積させる、
ことを特徴とする流体噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−253698(P2010−253698A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103279(P2009−103279)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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