説明

駆動装置、カメラモジュールおよび電子機器

【課題】付勢手段の当接部材と駆動軸との当接による駆動軸の摩耗を低減することができて、耐久性の向上を図ることができるとともに、付勢手段の弾性部材と当接部材との位置を安定化させて、性能を安定化させることができる駆動装置、カメラモジュールおよび電子機器を提供する。
【解決手段】当接部材450pは、当接部452pとこの当接部452pの背面に一体に形成された突出部453pとからなる。当接部452pの前面は横断面形状がく字状に形成されており、この前面のうちのハ字状に配置された部分が駆動軸44の外周面に当接する2つの当接面455p、455pとなっている。当接部452pの背面の中央部から円柱状の突出部453pが後方に向かって突出している。この突出部453pは、ばね45qの一端部分の内側に挿入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置、この駆動装置を用いたカメラモジュールおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ等の撮像装置は多種多様な製品に組み込まれており、携帯電話、ノートパソコン等といった小型な電子機器にカメラを実装する場合、カメラ自体の小型化が強く要望されている。このため、カメラのオートフォーカスレンズに用いられるレンズを移動させるアクチュエータについても、小型化が強く望まれている。
【0003】
このような小型化が可能アクチュエータ(駆動装置)としては、従来、圧電素子の駆動によりレンズを移動させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
以下、特許文献1に記載の駆動装置およびカメラモジュールについて、図9から図16を参照しつつ説明する。
図9から図16はカメラモジュールを示す図であって、図9は斜視図であり、図10は部分分解斜視図であり、図11はレンズユニットの斜視図であり、図12はカメラモジュールの平面図であり、図13は図12のx13−x13線に沿う断面図であり、図14は図12のx14−x14線に沿う断面図であり、図15はレンズユニットの側面図であり、図16は図15のx16−x16に沿う断面図である。
【0004】
図9および図11から図14に示すように、カメラモジュール(カメラ部品)150は、配線基板10、コネクタ11、撮像素子12、透明基板13、筐体20、レンズユニット(レンズ部品)30および蓋50を備えている。
図9、図11および図13に示すように、コネクタ11は、配線基板10上の一端部に設けられている。配線基板10上の他端部には、撮像素子12、透明基板13、筐体20、レンズユニット30および蓋50がこの順で設けられている。透明基板13と撮像素子12とは貼り合わされて撮像モジュールを構成している。筐体20は、移動する移動側部材としてのレンズユニット30(または後述のレンズL1〜L3)に対して、移動しない固定側部材として機能する。
【0005】
配線基板10は、可撓性を有するシート状の配線基板である。この配線基板10は、撮像素子12に入力する制御信号および撮像素子12から出力されるビデオ信号の伝送路として機能する。また、配線基板10は、ピエゾ素子42に入力する駆動電圧の伝送路として機能する。
コネクタ11は、カメラモジュール150を本体機器に電気的および機械的に固定するための接続部分を形成する。
【0006】
撮像素子12は、CCD(Charge Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサといった一般的な固体撮像素子である。この撮像素子12は、マトリクス状に配置された複数の画素を備えており、各画素で光電変換をすることにより入力像を像データに変換して出力する。
透明基板13は、入力光に対して実質的に透明な板状部材である。この透明基板13の平面視形状は方形である。透明基板13の背面には、撮像素子12がバンプ接続されている。
【0007】
図13に示すように、筐体20の下部空間には、透明基板13が収納され、上部空間にレンズユニット30が収納されている。筐体20の内部に外来光が侵入することを抑制するために、筐体20の下端面は、黒色の接着剤により配線基板10に固定されている。筐体20は、例えば、黒色の樹脂が成形されて形成されている。
【0008】
図10に示すように、レンズユニット30は、レンズホルダ(レンズ保持体)31、ピエゾ素子(圧電素子)42、駆動軸44およびリンク部材(軸保持部)45を備えている。
図13に示すように、レンズホルダ31の内部には、複数個のレンズL1〜L3が圧入されて収納されている。なお、レンズホルダ31の上板部には、開口OP2が形成されている。レンズホルダ31の上板部は、光学的に絞りとして機能する。
【0009】
レンズホルダ31の外周面には、レンズL1〜L3の光軸AX方向に所定の間隔をおいて2つの支持板32a、32bが形成されている。支持板32a、32bは、レンズホルダ31の外側に延出する延在部となっている。支持板32a、32bに形成された孔に駆動軸44を圧入(圧力をかけて嵌め込む)ことで、支持板32a、32bに駆動軸44が固定されている。
【0010】
支持板32a、32bの間には、リンク部材45(45h)が駆動軸44に係合されて設けられており、これにより駆動軸44を介して、支持板32a、32bとリンク部材45とが連結されている。駆動軸44は、リンク部材45にレンズの光軸AXに沿って摺動可能な状態で係合している。すなわち、駆動軸44は、リンク部材45に摩擦係合している。駆動軸44の一端面には、ピエゾ素子42が接着剤により固定されている。これにより、ピエゾ素子42の駆動により、一体的に固定されたレンズホルダ31、ピエゾ素子42および駆動軸44が、リンク部材45に対してレンズの光軸AXに沿って摺動移動可能となっている。そして、これらの部材の一体的な移動により、撮像素子12の撮像面に対するレンズL1〜L3の高さ位置を調整することで、所望の被写体像を撮像素子12の撮像面に結像させることができるようになっている。
【0011】
ピエゾ素子42は、セラミックス層(圧電層)が積層された一般的な圧電素子である。ピエゾ素子42の側面には、一対の電極が形成される。例えば、一方の電極を接地させた状態で、他方の電極に駆動電圧を印加することによって、ピエゾ素子42はレンズの光軸方向に伸縮する。リンク部材45は筐体20に固定されているので、ピエゾ素子42で生じた振動によって、ピエゾ素子42、駆動軸44およびレンズホルダ31がリンク部材45に対して移動する。
【0012】
駆動軸44は、ガラス状炭素、繊維強化樹脂、エポキシ樹脂等を成形して形成すると良い。材料としては、黒鉛を含有するガラス状炭素複合材、カーボンを含有する繊維強化樹脂やガラス、カーボンを含有するエポキシ樹脂複合材を用いるのが特に好ましい。
【0013】
また、透明基板13の背面には、配線パターンが予め形成されている。透明基板13と撮像素子12との間には、複数の半田バンプ(不図示)が設けられている。すなわち、撮像素子12は、透明基板13にバンプ実装されている。撮像素子12は、半田バンプを介して透明基板13に機械的に固定されるとともに、半田バンプを介して透明基板13の配線に電気的に接続される。なお、撮像素子12の受光面は、透明基板13側に配置されている。
【0014】
また、筐体20の上部空間および下部空間を隔てる隔壁部22の背面側には、リブ(位置規制部)22a、22bが形成されており、これにより筐体20を透明基板13上に配置するときに上方から透明基板13を押さえ込み、透明基板13を好適に位置決めすることができる。また、隔壁部22には、上下の空間を光学的に連絡するための開口OP1が形成されている。
【0015】
また、配線基板10の下には、黒色のポリイミド等の樹脂材料からなる補強板15が設けられており、これによりカメラモジュール150の内部に外来光が入射することを抑制することができるとともに、可撓性の配線基板10を補強することができる。
また、筐体20の上部には蓋50がネジ等によって取り付けられ、これにより筐体20の上部空間に配置されたレンズユニット30を筐体20内に閉じ込めることができる。
【0016】
図14および図16に示すように、リンク部材45は、リンク本体45h、押え板(板状部材、当接部材)45p、ばね(弾性部材)45qおよび押え板(板状部材)45rを備えている。
図16に示すように、リンク本体45hは、輪状部(軸保持部)45h1および収納部45h2を備えている。輪状部45h1は、駆動軸44が挿通される開口を有し、この開口に挿通された駆動軸44を囲む輪状部分である。収納部45h2は、輪状部45h1に連結した残りの部分であり、この収納部45h2に、駆動軸44を向かって押え板45p、ばね45qおよび押え板45rがこの順に押し込まれる。押え板45rは、リンク本体45h2に接着剤等により固定される。なお、付勢手段は、少なくともばね45qを含んで形成される。
【0017】
ばね45qは、一般的なコイルばねである。リンク本体45hは、例えば、樹脂が成形されて形成される。押え板45p、45rは、例えば、金属板または樹脂板のプレス成形によって形成される。
ばね45qは、レンズホルダ31から見た駆動軸44の配置方向(軸線Lx1に沿う方向)に対して90度を成す方向(軸線Lx2に沿う方向)へ押え板45pを付勢する。これにより、リンク部材45の配置スペースを効果的に小さくすることができ、カメラモジュール150の小型化を図ることができる。なお、軸線Lx1と軸線Lx2とが成す角度は90度には限られない。軸線Lx1と軸線Lx2とが成す角度を、45〜135度としても良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2010−210731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、ピエゾ素子を活用したアクチュエータ(駆動装置)では、ピエゾ素子に連結される駆動軸を摺動可能な状態で保持する必要がある。移動側部材のスムーズな移動を実現するためには、駆動軸と駆動軸を保持する部分との間を適当な力で係合させる必要がある。このため、図14に示すように、押え板45pがばね45qによって駆動軸44側へ付勢され、これにより駆動軸44が押え板45pによって押圧され、リンク部材45に当接する。その結果、駆動軸44は、リンク部材45と押え板45pとの間に挟持された状態になる。換言すると、駆動軸44にリンク部材45および押え板45pが摩擦係合した状態になる。
【0020】
しかしながら、図17に示すように、特許文献1では、押え板(当接部材)45pが平板状に形成されているので、押え板45pの平面状の当接面と横断面形状が円形の駆動軸44の外周面とが平面視において1個所で当接し、このため応力が集中して、駆動軸44の摩耗が早く進行するという問題がある。駆動軸44の摩耗が進行すると、ばね45qによる荷重が変化して、駆動軸44とリンク部材45との摩擦力が変化し、駆動装置の性能が変化してしまう。
【0021】
また、図18の(a)、(b)に示すように、押え板45pが平板状に形成されているので、ばね45qがガイドされないため、ばね45が押え板45pに対して左右に動いてしまい、このためばね45qが押え板45pを押圧する位置がバラツキ、一定でない。その結果、ばね45qによる荷重が変化して一定でないので、駆動軸44とリンク部材45との摩擦力が一定せず、駆動装置の所定の性能が得られない虞がある。
また、図19の(a)、(b)に示すように、ばね45が押え板45pに対して上下に動くと、押え板45pと駆動軸44との駆動軸の軸方向の接触が点接触に近づくため、大きな応力集中が発生し、駆動軸44の摩耗が激しくなる虞がある。
【0022】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、付勢手段の当接部材と駆動軸との当接による駆動軸の摩耗を低減することができて、耐久性の向上を図ることができるとともに、付勢手段の弾性部材と当接部材との位置を安定化させて、性能を安定化させることができる駆動装置、この駆動装置を用いたカメラモジュールおよび電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記目的を達成するために、本発明の駆動装置は、圧電素子の駆動に応じて固定側部材に対して移動側部材を変位させる駆動装置であって、前記圧電素子で生じる振動を受ける駆動軸が、付勢手段により当該駆動軸の長手方向に沿って摺動可能な状態で前記固定側部材および前記移動側部材のいずれか一方に係合しており、前記駆動軸は、横断面形状が円形に形成され、前記付勢手段は、前記駆動軸の外周面に当接する当接部材と当該当接部材を背面側から前記駆動軸に向かって付勢する弾性部材とを備えている駆動装置において、前記当接部材は、ハ字状に配置された2つの当接面と、前記弾性部材が内側または外側に挿入されて前記弾性部材を前記駆動軸に向かうように案内する突出部とを備えていることを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、当接部材の当接部が2つの当接面を備えているので、駆動軸の外周面に2つの当接面の2個所で当接するため、各当接個所に作用する弾性部材の荷重を低減することができ、駆動軸の摩耗を低減することができる。したがって、ばねによる荷重が早期に変化することがないので、駆動軸と軸保持部との摩擦力が早期に変化せず、駆動装置の性能が早期に変化するのを防ぐことができる。
【0025】
また、当接部材が突出部を備えているので、突出部により弾性部材が案内(ガイド)される。このため、弾性部材が当接部材に対して動かず固定されるので、弾性部材が当接部材を押圧する位置が一定となる。したがって、弾性部材による荷重を一定にでき、駆動軸と軸保持部との摩擦力を一定にすることができ、駆動装置の性能を安定させることができる。
【0026】
また、突出部により弾性部材が当接部材に対して動かず固定されるので、弾性部材が当接部材に対して動いて偏った位置で当接部材を押圧して当接面の一部が駆動軸の外周面から離れることを防止できる。したがって、弾性部材が当接部材に対して動いて偏った位置で当接部材を押圧することによって、駆動軸の外周面と当接面との当接部に大きな応力集中が発生するのを防止することができる。
【0027】
また、弾性部材が駆動軸に向かうように案内(ガイド)されるので、弾性部材の付勢力(荷重)の方向が駆動軸に向かうようになっている。これにより、駆動軸に対する当接部材の横方向位置のバラツキ(横振れ)を抑止できる。また、駆動軸の外周面にハ字状に配置された2つの当接面の2個所で当接するため、これによっても駆動軸に対する当接部材の横方向位置のバラツキ(横振れ)を抑止できる。
【0028】
また、ハ字状に配置された2つの当接面と弾性部材をガイドする突出部とを組み合わせることで、当接部の中央部の強度を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0029】
また、本発明のカメラモジュールは、前記移動側部材がレンズを保持したレンズ保持体である前記駆動装置と、前記レンズを介して入力する像を撮像する撮像手段とを備えている。
また、本発明の電子機器は、前記カメラモジュールを備えている。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、付勢手段の当接部材と駆動軸との当接による駆動軸の摩耗を低減することができて、耐久性の向上を図ることができる。また、付勢手段の弾性部材と当接部材との位置を安定化させて、性能安定化させることができる。さらに、付勢手段の当接部材の強度を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係る付勢手段の当接部材およびばねと駆動軸との関係を示す図であって、平面図である。
【図2】同、側面図である。
【図3】携帯電話の開いた状態の平面図である。
【図4】携帯電話の閉じた状態の平面図である。
【図5】駆動装置のブロック図である。
【図6】駆動波形の印加方法を示すタイミングチャートである。
【図7】当接部材の当接部、突出部およびばねの長さの関係を示す側面図である。
【図8】異なる駆動方式の駆動装置を用いたカメラモジュールを示す模式図である。
【図9】従来のカメラモジュールを示す図であって、斜視図である。
【図10】同、部分分解斜視図である。
【図11】同、レンズユニットの斜視図である。
【図12】同、平面図である。
【図13】同、図12のx13−x13線に沿う断面図である。
【図14】同、図12のx14−x14線に沿う断面図である。
【図15】同、レンズユニットの側面図である。
【図16】同、図15のx16−x16に沿う断面図である。
【図17】従来の付勢手段の押え板(当接部材)およびばねと駆動軸との関係を示す図であって、平面図である。
【図18】同、ばねが押え板に対して左右に動いた状態を示す平面図である。
【図19】同、ばねが押え板に対して上限に動いた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、駆動軸を押圧する付勢手段の当接部材の構成にあり、その他の構成および作用は前述した図9から図16の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図9から図16と同一の符号を付して説明を省略するかまたは簡潔に説明するに留める。
【0033】
図1および図2に示すように、本発明の実施形態に係るカメラモジュール150の付勢手段は、当接部材(押え板)450pとばね(弾性部材)45qとを備えている。本実施の形態では、図9から図16に示す駆動装置において、付勢手段の押え板45pに代えて当接部材(押え板)450pを用い、その他の構成は図9から図16に示す駆動装置と同様である。
【0034】
当接部材450pは、当接部452pとこの当接部452pの背面(後面)に一体に形成された突出部453pとからなる。当接部452pの前面は横断面形状がく字状に形成されており、この前面のうちのハ字状に配置された部分が駆動軸44の外周面に当接する2つの当接面455p、455pとなっている。駆動軸44の外周面は各当接面455pの1個所に上下方向に線上に当接する。
【0035】
当接部452pの背面は平面に形成されており、この背面の中央部から円柱状の突出部453pが後方に向かって突出している。この突出部453pは、ばね45qの一端部分の内側に挿入されており、ばね45qの一端は当接部452pの背面に当接している。突出部453pは、ばね45qを駆動軸44に向かうように案内しており、これによりばね45qの付勢力(荷重)の方向が駆動軸44に向かうようになっている。
【0036】
当接部材450pは、アルミニウム合金や亜鉛合金等の硬度の低い材料により形成される。この場合、当接部材450pの材料の硬度は、例えば、ビッカース硬さで150Hv程度以下が好ましく、さらには100Hv程度以下がより好ましい。
【0037】
次に、このように構成されたカメラモジュール150が搭載された携帯電話について説明する。
図3に示すように、携帯電話(電子機器)90は、蓋91と本体92とがヒンジ93により開閉自在に連結されて構成されている。蓋91の内面には、表示部94が設けられており、この表示部94には、着信相手を特定する情報(名前、電話番号)、携帯電話90の記憶部に格納されたアドレス帳等が表示される。本体92の内面には、複数のボタン95が設けられており、操作者はこのボタン95を操作することによって、アドレス帳を開いたり、電話を掛けたり、マナーモードに設定したりする。また、携帯電話90の操作者は、このボタン95を操作することにより、携帯電話90内のカメラモジュール150を起動する。
【0038】
図4に示すように、蓋91の外面には、表示領域96が形成されており、この表示領域96に設けられたLEDが発光することで着信状態を操作者に報知することができる。また、蓋91の外面の領域97には、カメラモジュール150が組み込まれている。
【0039】
次に、カメラモジュール150を動作させるためのシステム構成(アクチュエータの駆動部の構成)について説明する。
図5に示すように、コントローラ80の出力は、駆動電圧生成回路81に接続され、この駆動電圧生成回路81の出力は、ピエゾ素子82に接続される。
【0040】
コントローラ80は、携帯電話90内に組み込まれたCPUであり、プログラムを実行して様々な指令を生成する。コントローラ80は、操作者による携帯電話90の操作により、カメラモジュールの機能を活性化する。駆動電圧生成回路81は、コントローラ80からの制御信号により、ピエゾ素子82に印加される駆動電圧を生成する。このとき、カメラモジュール150のオートフォーカス機能はオン状態にあり、また撮像素子も撮像モードになっている。なお、ピエゾ素子82は、上述のピエゾ素子42に対応する。
【0041】
次に、カメラモジュール150の動作について説明する。
ここでは、ノコギリ歯波形の駆動電圧をピエゾ素子42に印加する。なお、駆動電圧の波形は、ノコギリ歯状に限定されず、他の波形でも良い。
まず、図6(a)に示す駆動波形をピエゾ素子42に印加する場合について説明する。なお、図6(a)において、駆動波形は、立ち上がり期間TR1は、立ち下がり期間TR2に比べて短い。
駆動波形の立ち上がり期間TR1に、レンズホルダ31は前方に移動(変位)する。他方、駆動波形の立ち下がり期間TR2に、レンズホルダ31は移動しない。このように、立ち上がり期間TR1が立ち下がり期間TR2よりも短い駆動波形をピエゾ素子42に印加することにより、レンズホルダ31を順方向(撮影対象側)に移動させることができる。
【0042】
次に、図6(b)に示す駆動波形をピエゾ素子42に印加する場合について説明する。なお、図6(b)において、駆動波形は、立ち上がり期間TR3は、立ち下がり期間TR4に比べて長い。
駆動波形の立ち上がり期間TR3に、レンズホルダ31は移動(変位)しない。他方、駆動波形の立ち下がり期間TR4に、レンズホルダ31は後方に移動する。立ち上がり期間TR3が立ち下がり期間TR4よりも長い駆動波形をピエゾ素子42に印加することにより、レンズホルダ31を逆方向(撮像素子側)に移動させることができる。駆動波形は、立上がり信号の立上がり期間をt1、立下り信号の立下り期間をt2とした場合、次の関係式を満足すると良い。
Min(T1、T2)/(T1+T2)≦0.1
【0043】
以上説明したように、本実施の形態にあっては、当接部材450pの当接部452pが2つの当接面455p、455pを備えているので、駆動軸44の外周面に2つの当接面455p、455pの2個所で当接するため、各当接個所に作用するばね45qの荷重を低減することができ、駆動軸44の摩耗を低減することができる。したがって、ばね45qによる荷重が早期に変化することがないので、駆動軸44とリンク部材45との摩擦力が早期に変化せず、駆動装置の性能が早期に変化するのを防ぐことができる。
【0044】
また、当接部材450pが突出部453pを備えているので、突出部453pによりばね45qが案内(ガイド)され、このためばね45qが当接部材450pに対して動かず固定され、ばね45qが当接部材450pを押圧する位置が一定となる。その結果、ばね45qによる荷重を一定にでき、駆動軸44とリンク部材45との摩擦力を一定にすることができ、駆動装置の性能を安定させることができる。
【0045】
また、突出部453pによりばね45qが当接部材450pに対して動かず固定されるので、ばね45qが当接部材450pに対して動いて偏った位置で当接部材450pを押圧して当接面455pの一部が駆動軸44の外周面から離れることを防止できる。このように、ばね45qが当接部材450pに対して動いて偏った位置で当接部材450pを押圧することによって、駆動軸44の外周面と当接面455pとの当接部に大きな応力集中が発生するのを防止することができる。
【0046】
また、ばね45qが駆動軸44に向かうように案内(ガイド)されるので、ばね45qの付勢力(荷重)の方向が駆動軸44に向かうようになっている。これにより、駆動軸44に対する当接部材450pの横方向位置のバラツキ(横振れ)を抑止できる。
また、駆動軸44の外周面にハ字状に配置された2つの当接面455p、455pの2個所で当接するため、これによっても駆動軸44に対する当接部材450pの横方向位置のバラツキ(横振れ)を抑止できる。
【0047】
また、図7の(b)に示すように、ハ字状に配置された2つの当接面455p、455pを形成するために、当接部452pの前面を横断面形状がく字状になるように形成すると、前面の中央部で前面と背面との間の厚さが薄くなる。そして、この部分の強度を確保するためにこの部分の厚さをある程度確保しようとすると、図7の(c)に示すように、当接部452pが厚くなってしまい、このため当接部452pとばね45qとを合わせた長さも大きくなってしまう。
【0048】
これに対して、本実施形態では、図7の(a)に示すように、突出部453pが設けられているので、当接部452pの前面の中央部で前面と背面との間の厚さを薄くしたままで、当接部452pの前面の中央部の前後方向の厚さを厚くすることができる。このため、図7の(a)と(c)を比較して分かるように、当接部452pとばね45qとを合わせた当接部452pの前後方向の長さは、当接部452pの前面の中央部で前面と背面との間の厚さを厚くした長さmの分だけ、突出部453pを設けた本実施形態の方が短くすることができる。このように、ハ字状に配置された2つの当接面455p、455pとばね45qをガイドする突出部453pとを組み合わせることで、当接部の中央部の強度を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0049】
また、当接部材450pをアルミニウム合金等の硬度の低い材料により形成したので、駆動時44の摩耗を低減することができ、また当接部材450pを鍛造プレス等で安価に製造できる。
【0050】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、上記実施の形態では、当接部材450pの突出部453pを円柱状に形成し、この突出部453pをばね45qの内側に挿入するようにしたが、これに代えて突出部を円筒状に形成し、この円柱状の突出部をばね45qの外側に挿入するようにしても良く、要は突出部は、ばね45q(弾性部材)が内側または外側に挿入されてばね45qを駆動軸に向かうように案内するようになっていれば良い。
【0051】
また、上記実施の形態では、当接部452pの前面を横断面形状がく字状に形成したが、これに限らず、例えば、当接部452pの前面を横断面形状が皿状になるように形成しても良く、要は駆動軸44に当接する当接面がハ字状に配置された2つの当接面となるようにすれば良い。さらに、当接面は平面ではなく、円弧面等の曲面に形成されていても良く、さらには当接面に、駆動軸に直交あるいは交差する突状等が間隔をおいて複数形成されていても良い。
【0052】
また、ピエゾ素子と駆動軸間の連結方法は、接着剤による方法に限らず、嵌め合い等その他方法でも良く、さらにはそれらの間に他の部材を介在させても良い。
また、この駆動装置は、上述のレンズホルダに限らず、他の種々の移動側部材に適用することができる。
【0053】
また、駆動装置の動作原理は上述にものに限られない。例えば、図8に示すカメラモジュール100に含まれる駆動装置に、上記の実施形態で示した駆動装置とは異なる動作原理で動作するが、この駆動装置に対しても、本発明を適用することができる。
【0054】
図8に示すように、カメラモジュール100は、筐体20に連結部32が設けられている。具体的には、筐体20に一組の支持板32a、32bが設けられている。これらの一組の支持板32a、32bには、駆動軸44が圧入されて固定される。駆動軸44には、ピエゾ素子42は固定されている。また、一組の支持板32a、32b間には、レンズホルダ31に一体的に設けられた軸保持部45が配置されている。この軸保持部45に、上述の本発明の実施形態と同様の付勢手段が設けられ、これにより軸保持部45は、駆動軸44が摺動可能な状態で駆動軸44を保持している。そして、ピエゾ素子42の駆動により、駆動軸44上をレンズホルダ31が移動する。なお、筐体20にはレール25が形成され、このレール25にレンズホルダ31の外周に形成されたレール受け部35が上下移動可能に嵌合されており、これによりレンズホルダ31の上下移動を案内している。
【0055】
なお、この駆動装置においては、駆動軸44と筐体20とが連結部32(支持板32a、32b)によって連結されているが、ピエゾ素子42と筐体20が連結部によって連結されていても良く、さらに固定方法は弾性部材を介して連結されていてもよい。また、連結部32を設けずに、ピエゾ素子42と駆動軸44の連結体を筐体20に直接あるいは弾性部材を介して固定してもよい。要は、筐体20に、ピエゾ素子42と駆動軸44との連結体が直接または間接的に固定されていれば良い。
【符号の説明】
【0056】
150 カメラモジュール
31 レンズホルダ(レンズ保持体)
42 ピエゾ素子
44 駆動軸
45 リンク部材
45h リンク本体
45q ばね(弾性部材)
45r 押え板
82 ピエゾ素子
90 携帯電話(電子機器)
L1〜L3 レンズ
450p 当接部材(押え板)
452p 当接部
453p 突出部
455p 当接面
100 カメラモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子の駆動により固定側部材に対して移動側部材を移動させる駆動装置であって、
前記圧電素子で生じる振動を受ける駆動軸が、付勢手段により当該駆動軸の長手方向に沿って摺動可能な状態で前記固定側部材および前記移動側部材のいずれか一方に係合しており、前記駆動軸は、横断面形状が円形に形成され、前記付勢手段は、前記駆動軸の外周面に当接する当接部材と当該当接部材を背面側から前記駆動軸に向かって付勢する弾性部材とを備えている駆動装置において、
前記当接部材は、ハ字状に配置された2つの当接面と、前記弾性部材が内側または外側に挿入されて前記弾性部材を前記駆動軸に向かうように案内する突出部とを備えている、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記移動側部材は、レンズを保持したレンズ保持体であることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の駆動装置と、前記レンズを介して入力する像を撮像する撮像手段と、を備えるカメラモジュール。
【請求項4】
請求項3に記載のカメラモジュールを備える電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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