説明

駆動装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】安価な構成を維持しつつ、簡単にかつ精度よく駆動源の駆動制御を行うことが可能な駆動装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】負荷手段150を駆動する駆動源161と、駆動源161にて負荷手段150を駆動する制御タイミングの基準となるホームポジションHPを検知する検知手段162と、検知手段162にて検知したホームポジションHPに基づいて負荷手段150に対する駆動源151への駆動制御を行う制御手段200とを備えた駆動装置160は、駆動源161からの駆動力による負荷手段150に対する負荷の大きさを示す負荷特性αに基づいて負荷変動ポイントβpが予め設定されており、検知手段162によるホームポジションHPの検知位置は、負荷変動ポイントβpに位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
負荷手段を駆動する駆動源により該負荷手段を駆動するにあたり、該負荷手段を駆動する制御タイミングの基準となるホームポジションを検知手段により検知し、検知したホームポジションに基づいて該負荷手段に対する該駆動源への駆動制御を行う駆動装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の駆動装置においては、バネ等の弾性部材を圧縮又は伸長する負荷手段を駆動する駆動モータ等の駆動源により該負荷手段を駆動する場合、通常は、該負荷手段を駆動する制御タイミングの基準となるホームポジションをホームポジションセンサ等の検知手段により検知し、検知したホームポジションに基づいて該負荷手段に対する該駆動源への駆動制御を行う。
【0003】
この種の駆動装置においては、例えば、駆動源からの駆動力により負荷の変動に落差が大きい負荷手段を駆動源で動作させる場合、負荷が駆動源からの駆動力より小さいときには駆動力が余剰となり、余剰となった駆動力に起因する振動や動作音(振動音)等の不良動作を招く。
【0004】
このような不良動作を軽減するために、従来の駆動装置では、駆動源に対して、ホームポジションセンサの検知位置からの制御タイミングをカウンタでタイマ計測して、駆動源からの駆動力による負荷手段に対する負荷の大きさを示す負荷特性に応じた駆動制御(ソフト的なタイマ制御)を行うようになっている。
【0005】
例えば、特許文献1には、イメージセンサの移動機構(負荷手段)を駆動する駆動源により該移動機構を駆動するにあたり、バックラッシュによる衝撃がない状態でホームポジションからイメージセンサの移動を開始することができるように、該移動機構によるイメージセンサの動きを制御する構成が開示されている。
【0006】
また、従来の駆動装置では、負荷が駆動源からの駆動力より小さいときには駆動源の駆動速度を上げ、自身の駆動力を下げることにより、余剰となった駆動力に起因する不良動作を軽減することもある。
【0007】
例えば、駆動装置が画像形成装置に適用される場合であって、駆動源が駆動モータとされ、負荷手段が定着装置における定着ローラ対の加圧状態を解除する圧接解除手段とされる場合においては、駆動モータからの出力トルク(駆動力)による圧接解除手段に対する負荷が出力トルクより小さいときには駆動モータの回転速度を上げ、自身の出力トルクを下げる。こうすることで、余剰となった出力トルクに起因する振動や動作音(振動音)等の不良動作を軽減することが可能となる。これについて、図10を参照しながらさらに説明する。
【0008】
図10は、従来の駆動装置Mにおける駆動モータM1によって定着ローラ対F1,F2の加圧状態と定着ローラ対F1,F2の加圧状態を解除させた圧接解除(圧解)状態とを切り替えるタイプの定着装置Fを説明するための模式図である。図10(a)は、定着ローラ対F1,F2の加圧状態を示しており、図10(b)は、定着ローラ対F1,F2の圧解状態を示している。
【0009】
図10に示す定着装置Fは、圧接手段F3における圧着バネF4を圧接解除手段F5により圧縮又は伸長(この例では圧縮)させることにより定着ローラ対F1,F2を圧接する加圧状態と、圧接手段F3によって圧接された定着ローラ対F1,F2に対する圧着バネF4の圧接力に抗して回転カム等を含む圧接解除手段F5を駆動装置Mにおける駆動モータM1により駆動することによって定着ローラ対F1,F2間の圧接力を解除する圧解状態とを切り替えるようになっている。
【0010】
図11は、図10に示す定着装置Fにおいて定着ローラ対F1,F2の圧着バネF4による加圧状態から圧接解除手段F5により圧解状態に切り替えるときの駆動モータM1からの駆動力による圧接解除手段F5に対する負荷の大きさを示す負荷特性αの一例を示すグラフである。なお、図11において、縦軸は、負荷の大きさを示し、横軸は、定着ローラ対F1,F2のうちの可動側ローラF2の加圧状態での加圧位置Q(図10参照)からの移動距離L(この例では圧着バネF4の圧縮長さに相当する距離、図10(b)参照)を示している。
【0011】
図10に示す例では、駆動モータM1により圧接解除手段F5を駆動する制御タイミングの基準となるホームポジションHPを検知するホームポジションセンサM2の検知位置は、負荷特性α(図11参照)に関係なく、機種毎に随時任意の位置(この例では、定着ローラ対F1,F2間における圧接力の解除を完了する圧解完了の位置)に設定されている。
【0012】
圧着バネF4による加圧状態から圧接解除手段F5により圧解状態に切り替える場合には、負荷特性αは、駆動モータM1による駆動が進行するにつれて、すなわち、可動側ローラF2の移動距離Lが大きくなる(この例では圧着バネF4の全長が短くなる)につれて負荷の大きさが次第に増加する増加領域βi(図11参照)を含む特性とされている。そして、負荷特性αは、増加領域βiのうち、第1負荷領域β1と第2負荷領域β2との境目の負荷変動ポイントβp辺りから急に負荷が増加する傾向にある。
【0013】
このため、駆動装置Mは、駆動モータM1にて圧接解除手段F5を駆動するときに、ホームポジションセンサM2にて検知したホームポジションHPをトリガーに、時間的にタイマ計測し、負荷特性αに基づいて予め設定された負荷変動ポイントβp(図11参照)を境に、軽負荷側の第1負荷領域β1では駆動速度を高速とする一方、重負荷側の第2負荷領域β2では駆動速度を低速とすることで、負荷が出力トルク(駆動力)より小さいときに余剰となった出力トルクに起因する不良動作を抑制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−107805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、駆動源に対して、ホームポジションセンサの検知位置からの制御タイミングをカウンタでタイマ計測して負荷特性に応じた駆動制御(ソフト的にタイマで制御)する従来の駆動装置では、駆動源に対して駆動制御するための制御構成が複雑化する。
【0016】
この点に関し、ポジションセンサ等の検知手段の数を増やしたり、回転検知エンコーダ等の検知手段を別途設けたりして、負荷変動ポイントの位置を検知すれば、該負荷変動ポイントの制御タイミングを容易にかつ正確に検出できることから、駆動源に対する駆動制御を簡素化する上、検出精度を向上させることができるものの、この場合、ポジションセンサ等の検知手段の数を増やしたり、回転検知エンコーダ等の検知手段を別途設けたりする必要があるため、それだけコストが上昇するという不都合を招く。
【0017】
そこで、本発明は、安価な構成を維持しつつ、簡単にかつ精度よく駆動源の駆動制御を行うことが可能な駆動装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、前記課題を解決するために、負荷手段を駆動する駆動源と、前記駆動源にて前記負荷手段を駆動する制御タイミングの基準となるホームポジションを検知する検知手段と、前記検知手段にて検知した前記ホームポジションに基づいて前記負荷手段に対する前記駆動源への駆動制御を行う制御手段とを備えた駆動装置であって、前記駆動源からの駆動力による前記負荷手段に対する負荷の大きさを示す負荷特性に基づいて負荷変動ポイントが予め設定されており、前記検知手段による前記ホームポジションの検知位置は、前記負荷変動ポイントに位置していることを特徴とする駆動装置を提供する。また、本発明は、前記本発明に係る駆動装置を備えていることを特徴とする画像形成装置も提供する。
【0019】
本発明によれば、前記検知手段による前記ホームポジションの検知位置が前記負荷変動ポイントの位置とされているので、前記検知手段を前記ホームポジションの検知と前記負荷可変ポイントの検知とで共用することができ、これにより、ポジションセンサ等の検知手段の数を増やしたり、回転検知エンコーダ等の検知手段を別途設けたりすることなく、前記負荷変動ポイントの制御タイミングを容易にかつ正確に検出でき、従って、安価な構成を維持しつつ、簡単にかつ精度よく前記駆動源の駆動制御を行うことが可能となる。
【0020】
ここで、前記負荷手段としては、代表的には、バネ(スプリング)等の弾性部材を圧縮又は伸長する作動手段、具体的には、バネ等の弾性部材により圧接された一対の押圧部材間の加圧状態を解除する圧接解除手段を例示できる。また、前記駆動源が前記負荷手段を駆動する構成としては、バネ等の弾性部材を圧縮させる構成や、伸長させる構成を例示できる。
【0021】
また、予め設定される前記負荷変動ポイントは、前記駆動源からの駆動力を一定としたとき、前記負荷特性において、前記負荷が前記駆動源からの駆動力より小さいときに余剰となった駆動力に起因する振動や動作音(振動音)等の不良動作が発生する領域と、該不良動作が発生しない領域との境界ポイントとすることができる。
【0022】
具体的には、前記負荷変動ポイントは、前記負荷特性における最小負荷と最大負荷との間にあることが多い。
【0023】
よって、本発明において、前記負荷変動ポイントは、前記負荷特性における最小負荷と最大負荷との間に設定されている態様を例示できる。
【0024】
この特定事項では、前記負荷特性における最小負荷と最大負荷との間で前記負荷変動ポイントの制御タイミングを検出するので、前記駆動源の駆動制御を確実に行うことが可能となる。
【0025】
また、前記負荷特性は、前記駆動源による駆動が進行するにつれて前記負荷の大きさが次第に変化(増加又は減少)する変化領域を含む特性とされている態様を例示できる。この場合、前記負荷変動ポイントは、前記変化領域のうち、前記負荷特性に対する接線の傾きが負荷変動の基準となる負荷変動基準傾き以下となっている第1負荷領域と、該第1負荷領域に隣接して該接線の傾きが該負荷変動基準傾きを超えている第2負荷領域との境目にあることが多い。
【0026】
よって、本発明において、前記負荷変動ポイントは、前記変化領域のうち、前記負荷特性に対する接線の傾きが負荷変動の基準となる負荷変動基準傾き以下となっている第1負荷領域と、該第1負荷領域に隣接して該接線の傾きが該負荷変動基準傾きを超えている第2負荷領域との境目に設定されている態様を例示できる。
【0027】
この特定事項では、前記変化領域における前記第1負荷領域と前記第2負荷領域との間の境目で前記負荷変動ポイントの制御タイミングを検出するので、前記負荷特性が前記変化領域を含む特性とされている態様において、前記駆動源の駆動制御を確実に行うことが可能となる。
【0028】
本発明において、前記変化領域は、前記駆動源による駆動が進行するにつれて前記負荷の大きさが次第に増加する増加領域を含む態様を例示できる。
【0029】
この特定事項では、例えば、バネ等の弾性部材を前記駆動源により圧縮又は伸長させる構成において、前記駆動源の駆動制御を確実に行うことが可能となる。
【0030】
本発明において、前記制御手段は、前記検知手段にて検知した前記ホームポジションをトリガーに、前記駆動源の駆動速度を切り替える構成とされており、前記負荷特性において、前記負荷変動ポイントを境にして、前記負荷を平均した平均負荷が小さい方の軽負荷領域で、大きい方の重負荷領域よりも速くなるように、前記駆動源の駆動速度を切り替える態様を例示できる。
【0031】
この特定事項では、前記負荷特性において、前記負荷変動ポイントを境にして、前記軽負荷領域で前記重負荷領域よりも速くなるように前記駆動源の駆動速度を切り替えるので、従来の如く、ホームポジションセンサの検知位置からの制御タイミングをカウンタでタイマ計測して負荷特性に応じた駆動制御(ソフト的にタイマで制御)するといった複雑な制御構成とすることなく、簡単な制御構成で、前記負荷が前記駆動源からの駆動力より小さいときに余剰となる駆動力に起因する振動や動作音(振動音)等の不良動作を軽減することが可能となる。
【0032】
本発明において、前記検知手段は、前記軽負荷領域を検知している間、該軽負荷領域を示す第1信号を出力する一方、前記重負荷領域を検知している間、該重負荷領域を示す第2信号を出力する構成とされている態様を例示できる。
【0033】
この特定事項では、前記制御手段によって、前記軽負荷領域を検知している間は前記第1信号を出力する一方、前記検知手段が前記重負荷領域を検知している間は前記第2信号を出力することで、前記駆動源の駆動開始時の前記検知手段による検知位置が前記負荷変動ポイント以外の前記重負荷領域又は前記軽負荷領域に位置していても、前記駆動源の駆動開始時に前記重負荷領域及び前記軽負荷領域のうちの何れの領域の駆動速度で前記駆動源を駆動し始めればよいかを容易に判断することが可能となる。
【0034】
本発明において、前記制御手段は、前記軽負荷領域では前記駆動源を一定の第1駆動速度で駆動する一方、前記重負荷領域では前記駆動源を前記第1駆動速度よりも遅い一定の第2駆動速度で駆動する態様を例示できる。
【0035】
この特定事項では、前記制御手段によって、前記重負荷領域及び前記軽負荷領域で前記駆動源をそれぞれ一定の速度で駆動するので、制御構成のさらなる簡素化を実現することが可能となる。
【0036】
本発明において、前記負荷特性は、前記駆動源からの一方向の駆動力による前記負荷手段に対する前記負荷の大きさを示す第1負荷特性と、前記駆動源からの前記一方向とは逆方向の他方向の駆動力による前記負荷手段に対する前記負荷の大きさを示し、かつ、前記第1負荷特性とは異なる第2負荷特性との負荷方向性を有する特性されている態様を例示できる。
【0037】
この特定事項では、前記負荷特性が前記第1負荷特性と前記第2負荷特性との負荷方向性を有していても、前記第1負荷特性と前記第2負荷特性との双方に対して、既述したように安価な構成を維持しつつ、簡単にかつ精度よく前記駆動源の駆動制御を行うことが可能となる。
【0038】
ところで、バネ等の弾性部材のように、前記第1負荷特性と前記第2負荷特性とのうちの何れか一方において前記駆動源により圧縮又は伸長させるときには前記負荷変動ポイントが存在し、他方において元に戻すときには前記負荷変動ポイントが存在しない場合がある。
【0039】
よって、本発明において、前記第1負荷特性と前記第2負荷特性とのうちの何れか一方において前記負荷変動ポイントが存在しない場合には、前記制御手段は、前記負荷変動ポイントが存在しない方の負荷特性に対して、前記駆動源を一定の駆動速度で駆動する態様を例示できる。
【0040】
この特定事項では、前記制御手段によって、前記第1負荷特性と前記第2負荷特性とのうち前記負荷変動ポイントが存在しない方の負荷特性に対して、前記駆動源を一定の駆動速度で駆動することで、該負荷変動ポイントが存在しない方の負荷特性で制御構成のさらなる簡素化を実現することが可能となる。
【0041】
本発明において、前記ホームポジションの検知位置が調整可能な構成とされている態様を例示できる。
【0042】
この特定事項では、前記ホームポジションの検知位置が調整可能な構成とされているので、前記負荷手段の種類に対応する前記負荷特性の異なった形態によって前記負荷変動ポイントが変わることがあっても、前記ホームポジションの検知位置を前記負荷変動ポイントに位置させることが可能となる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によると、前記ホームポジションの検知位置が前記負荷変動ポイントの位置とされていることで、前記検知手段を前記ホームポジションの検知と前記負荷可変ポイントの検知とで共用することができ、これにより、ポジションセンサ等の検知手段の数を増やしたり、回転検知エンコーダ等の検知手段を別途設けたりすることなく、前記負荷変動ポイントの制御タイミングを容易に検出でき、従って、安価な構成を維持しつつ、簡単にかつ精度よく前記駆動源の駆動制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態に係る駆動装置を備えた画像形成装置を正面より視た概略断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置における定着装置の概略構成を示す側面図であって、圧接装置により加圧ローラをヒートローラへ圧接させた加圧状態を示す図である。
【図3】図2に示す定着装置において圧接制御レバーがホームポジションに位置している状態を示す側面図である。
【図4】図2に示す定着装置においてヒートローラに対する加圧ローラの圧解状態を示す側面図である。
【図5】図2に示す定着装置において圧着バネによる加圧状態から圧接解除装置により圧解状態に切り替えるときの駆動装置における駆動モータからの駆動力による圧接解除装置に対する負荷の大きさを示す負荷特性及びそれに対応するホームポジションセンサの出力値並びに駆動モータの回転速度の一例を示すグラフである。
【図6】駆動装置の駆動制御に係る構成要素を中心に示すブロック図である。
【図7】駆動モータからの逆転方向の駆動力によりヒートローラに対する加圧ローラの圧解状態から加圧状態に切り替えるときの圧接解除装置に対する負荷の大きさを示す負荷特性及び駆動モータの回転速度の一例を示すグラフである。
【図8】ホームポジションの検知位置を調整可能な構成例を説明するための概略側面図であって、(a)は、ホームポジションセンサの取り付け位置が変更可能とされている構成を示す図であり、(b)は、圧接制御レバー本体に対するセンサ光反射片の取り付け位置が変更可能とされている構成を示す図である。
【図9】駆動装置の主制御部による動作制御の一例を示すフローチャートである。
【図10】従来の駆動装置における駆動モータによって定着ローラ対の加圧状態と定着ローラ対の加圧状態を解除させた圧解状態とを切り替えるタイプの定着装置を説明するための模式図であって、(a)は、定着ローラ対の加圧状態を示す図であり、(b)は、定着ローラ対の圧解状態を示す図である。
【図11】図10に示す定着装置において定着ローラ対の圧着バネによる加圧状態から圧接解除手段により圧解状態に切り替えるときの駆動モータからの駆動力による圧接解除手段に対する負荷の大きさを示す負荷特性の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0046】
(画像形成装置の全体構成の説明)
図1は、本発明の実施の形態に係る駆動装置160(図1では図示せず、後述する図6参照)を備えた画像形成装置100を正面より視た概略断面図である。
【0047】
図1に示す画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、記録用紙等のシート(以下、用紙という。)Pに対して多色及び単色の画像を形成するカラー画像形成装置である。画像形成装置100は、原稿読取装置108と、装置本体110とを備えており、装置本体110には、画像形成部102とシート搬送系103とが設けられている。
【0048】
画像形成部102は、露光ユニット1、複数の現像ユニット2,…、複数の感光体ドラム3,…、複数のクリーニング部4,…、複数の帯電器5,…、中間転写ベルトユニット6、複数のトナーカートリッジユニット21,…及び定着ユニット7を備えている。
【0049】
また、シート搬送系103は、給紙トレイ81、手差し給紙トレイ82及びシート排出トレイ(以下、単に排出トレイという。)91を備えている。
【0050】
装置本体110の上部には、原稿(シート)が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、原稿載置台92の下部には原稿を読み取るための光学ユニット90が設けられている。また、原稿載置台92の上側には原稿読取装置108が設けられている。原稿読取装置108は、原稿載置台92の上に自動で原稿を搬送する。また、原稿読取装置108は、装置本体110に対して前側開きで回動自在に取付けられており、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで載置できるようになっている。
【0051】
原稿読取装置108は、自動的に搬送される原稿又は原稿載置台92上に載置された原稿を読み取ることができる。原稿読取装置108で読み取られた原稿の画像全体は、画像データとして画像形成装置100の装置本体110へと送られ、装置本体110において画像データに基づき形成された画像が用紙Pに記録される。
【0052】
画像形成装置100において扱われる画像データは、複数色(ここではブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色)を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像ユニット2,…、感光体ドラム3,…、クリーニング部4,…、帯電器5,…及びトナーカートリッジユニット21,…は、各色に応じた複数種類(ここでは4種類)の画像を形成するようにそれぞれ複数個(ここでは4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)に設定され、これらによって複数(ここでは4つ)の画像ステーションが構成されている。
【0053】
帯電器5,…は、感光体ドラム3,…の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようなチャージャー型の他、接触型であるローラ型やブラシ型の帯電器を用いることができる。
【0054】
露光ユニット1は、レーザ出射部及び反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成されている。露光ユニット1には、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、このポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3,…に導くためのレンズやミラー等の光学素子とが設けられている。また、露光ユニット1としては、この他にも、例えば、EL(エレクトロルミネッセンス)やLED(発光ダイオード)等の発光素子をアレイ状に並べた書込みヘッドを用いる手法を採用することもできる。
【0055】
露光ユニット1は、入力された画像データに応じて、帯電された感光体ドラム3,…をそれぞれ露光することにより、画像データに応じた静電潜像をそれぞれの感光体ドラム3,…の表面に形成する。
【0056】
トナーカートリッジユニット21,…は、トナーを収容するユニットであり、現像ユニット2,…の現像槽へトナーが供給されるようになっている。画像形成装置100の装置本体110において、トナーカートリッジユニット21,…から現像ユニット2,…の現像槽へ供給されるトナーは、該現像槽における現像剤のトナー濃度が一定になるように制御される。
【0057】
現像ユニット2,…は、それぞれの感光体ドラム3,…上に形成された静電潜像を4色(Y,M,C,K)のトナーにより顕像化するものである。また、クリーニング部4,…は、現像及び画像転写後における感光体ドラム3,…上の表面に残留したトナーを除去、回収する。
【0058】
感光体ドラム3,…の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写体として作用する中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、複数の中間転写ローラ64,…及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。
【0059】
中間転写ローラ64,…は、Y,M,C,Kの各色に対応して4本設けられている。中間転写ベルト駆動ローラ62は、中間転写ベルト従動ローラ63及び中間転写ローラ64,…と共に中間転写ベルト61を張架し、回転駆動されることで、中間転写ベルト61が移動方向(図1中矢印A方向)に周回移動され、それに伴い従動ローラ63及び中間転写ローラ64,…が従動回転される。
【0060】
各中間転写ローラ64,…は、感光体ドラム3,…上に形成されたトナー像を中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスが印加される。
【0061】
中間転写ベルト61は、各感光体ドラム3,…に接触するように設けられている。中間転写ベルト61は、感光体ドラム3,…に形成された各色のトナー像を順次重ねて転写されることによって、表面にカラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。中間転写ベルト61は、例えば、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いた無端状のものとされている。
【0062】
感光体ドラム3,…から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64,…によって行われる。中間転写ローラ64,…には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。中間転写ローラ64,…は、直径8mm〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えば、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)や発泡ウレタン等の樹脂材料)により覆われているローラである。中間転写ローラ64,…は、この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加する転写電極とされている。本実施の形態では、転写電極としてローラ形状の転写電極を使用しているが、それ以外に、ブラシなどの転写電極を用いることが可能である。
【0063】
既述のとおり、各感光体ドラム3,…上で各色相に応じて顕像化されたトナー像は、中間転写ベルト61上で積層される。中間転写ベルト61上で積層されたトナー像は、中間転写ベルト61の周回移動によって、用紙Pと中間転写ベルト61との接触位置に配置された二次転写機構部を構成する転写ローラ10によって用紙P上に転写される。但し、二次転写機構部の構成としては、転写ローラに限らず、コロナチャージャや転写ベルト等の転写構成を用いることが可能である。
【0064】
このとき、転写ローラ10は、中間転写ベルト61との間で転写ニップが形成された状態で、トナーを用紙Pに転写させるための電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。転写ローラ10及び中間転写ベルト駆動ローラ62が互いに圧接されることで転写ローラ10と中間転写ベルト61との間には転写ニップが形成される。転写ニップを定常的に得るために、転写ローラ10及び中間転写ベルト駆動ローラ62のうち何れか一方が硬質材料(金属等)で構成された硬質ローラとされ、他方が軟質材料(弾性ゴムや発泡性樹脂等の樹脂材料)で構成された弾性ローラとされている。
【0065】
転写ローラ10による中間転写ベルト61上から用紙P上へのトナー像の転写にあたり、用紙P上に転写されずに中間転写ベルト61上にトナーが残存することがある。中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となる。このため、中間転写ベルト61上に残存したトナーは、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去、回収される。具体的には、中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触するクリーニング部材(例えばクリーニングブレード)が備えられている。従動ローラ63は、中間転写ベルト61を内側(裏側)から支持しており、クリーニング部材は、外側から従動ローラ63に向けて押圧するように中間転写ベルト61に接触している。
【0066】
給紙トレイ81は、画像形成(印刷)される用紙Pを予め収容しておくトレイであり、装置本体110における露光ユニット1の下方に設けられている。また、手差し給紙トレイ82には、画像形成(印刷)される用紙Pが載置される。排出トレイ91は、装置本体110における画像形成部102の上方に設けられており、画像形成(印刷)済みの用紙Pをフェイスダウンで集積する。
【0067】
また、装置本体110には、給紙トレイ81及び手差し給紙トレイ82から送られてきた用紙Pを転写ローラ10及び定着ユニット7を経て、排出トレイ91に送るためのシート搬送路Sが設けられている。シート搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a,11b、複数の(ここでは第1から第4)搬送ローラ12a〜12d、レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7におけるヒートローラ71及び加圧ローラ72、排出ローラ31が配置されている。
【0068】
第1から第4搬送ローラ12a〜12dは、用紙Pの搬送を促進、補助するための小型のローラであり、シート搬送路Sに沿って設けられている。また、ピックアップローラ11aは、給紙トレイ81の用紙供給側の近傍に備えられ、給紙トレイ81から用紙Pを1枚ずつピックアップしてシート搬送路Sに供給する。同様に、ピックアップローラ11bは、手差し給紙トレイ82の用紙供給側の近傍に備えられ、手差し給紙トレイ82から用紙Pを1枚ずつピックアップしてシート搬送路Sに供給する。
【0069】
また、レジストローラ13は、シート搬送路Sを搬送されている用紙Pを一旦保持するものである。そして、レジストローラ13は、中間転写ベルト61上のトナー像の先端と用紙Pの先端を合わせるタイミングで用紙Pを転写ローラ10に搬送する。
【0070】
定着ユニット7は、未定着トナー像を用紙Pに定着するものであり、定着ローラ対として作用するヒートローラ71及び加圧ローラ72を備えている。ヒートローラ71は、回転駆動されることで、従動回転される加圧ローラ72と共に用紙Pを挟持しつつ用紙Pを搬送するようになっている。また、ヒートローラ71は、内側に設けられた加熱用ヒータ71gによって加熱され、温度検知部71eからの信号に基づき所定の定着温度に維持されるようになっている。加熱用ヒータ71gにより加熱されたヒートローラ71は、加圧ローラ72と共に用紙Pに転写された多色トナー像を用紙Pに熱圧着することにより、多色トナー像を溶融、混合、圧接して用紙Pに対して熱定着させる。また、定着ユニット7には、ヒートローラ71を外部から加熱するための外部加熱ベルト73が設けられている。
【0071】
このように構成された画像形成装置100において、用紙Pにして片面印刷が要求されたときには、各給紙トレイ81,82から供給された用紙Pは、シート搬送路Sに沿って設けられた第1搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、用紙Pの先端と中間転写ベルト61上のトナー像の先端を整合するタイミングで転写ローラ10によって搬送され、用紙P上にトナー像が転写される。その後、用紙Pは定着ユニット7を通過することによって用紙P上の未定着トナーが熱で溶融、固着され、第2搬送ローラ12b及び排出ローラ31を経て排出トレイ91上に排出される。
【0072】
また、用紙Pに対して両面印刷が要求されたときには、前記した片面印刷が終了して定着ユニット7を通過した用紙Pの後端が排出ローラ31とシート搬送路Sの分岐部Saとの間に位置する状態で、排出ローラ31が逆回転することによって用紙Pが第3及び第4搬送ローラ12c,12dに導かれる。そして、レジストローラ13を経て転写ニップに搬送されてきた用紙Pは、裏面に印刷された後、排出トレイ91に排出される。
【0073】
[定着装置全体の説明]
図2は、図1に示す画像形成装置100における定着装置7の概略構成を示す側面図である。
【0074】
図2に示す定着装置7は、ヒートローラ71対する加圧ローラ72の加圧状態と、ヒートローラ71及び加圧ローラ72の加圧状態を解除させた圧接解除(圧解)状態とを切り替えるタイプのものとされている。すなわち、定着装置7は、ヒートローラ71と、加圧ローラ72と、加圧ローラ72をヒートローラ71へ圧接させるための圧接装置140と、圧接装置140により加圧ローラ72をヒートローラ71へ圧接させた加圧状態と、加圧状態を解除させた圧解状態とを切り替える圧接解除装置(負荷手段として作用する圧接解除手段の一例)150とを備えている。なお、図2は、圧接装置140により加圧ローラ72をヒートローラ71へ圧接させた加圧状態を示している。
【0075】
詳しくは、定着装置7は、弾性部材(具体的には圧着バネ141)を含む圧接装置(圧接手段の一例)140における圧着バネ141を圧縮又は伸長(この例では圧縮)させることによりヒートローラ71に対して加圧ローラ72を圧接させた加圧状態と、圧接装置140によってヒートローラ71に圧接された加圧ローラ72に対する圧着バネ141の圧接力に抗して圧接制御レバー151を含む圧接解除装置150を駆動することによってヒートローラ71への加圧ローラ72の圧接力を解除させた圧解状態とを切り替えるようになっている。
【0076】
具体的には、定着装置7は、ヒートローラ71に対して加圧ローラ72を圧接させることによって形成される両ローラの接触領域である定着ニップ域Nへ、可視像である未定着トナー像を形成した用紙Pを通過させ、用紙P上の未定着トナーを加熱溶融して用紙P上に定着する。この用紙Pは、シート搬送経路Sに沿って、図2の下から上へと搬送される。定着装置7は、さらに定着装置シャーシ7aと、定着装置シャーシ7aに対してヒートローラ71及び加圧ローラ72のローラ軸線方向に沿った枢支軸回りに揺動する加圧ローラホルダ142とを備えている。定着装置シャーシ7aは、ヒートローラ71及び加圧ローラ72のローラ軸線方向の両外側に設けられており、図2では、仮想線で示している。
【0077】
[定着ローラについて]
ヒートローラ71は、定着装置シャーシ7aに軸線回りに回転自在に設けられており、シート搬送系103における図示を省略した駆動源により回転駆動されるようになっている。詳しくは、ヒートローラ71は、そのローラ軸71dが定着装置シャーシ7aに軸線回りに回転自在に取付けられており、図示を省略した駆動モータからの駆動が駆動伝達手段を介して伝達されることにより、用紙Pを搬送させる方向(図中矢印B方向)に回転するようになっている。
【0078】
ヒートローラ71は、芯金71aと、芯金71aの外周表面に形成された弾性体層71bと、弾性体層71bの外周表面に形成された表面層71cとを備えている。芯金71aを形成する金属には熱伝導率の高い金属を使用でき、例えば、アルミニウム、鉄等が挙げられる。芯金71aの形状としては、円筒状、円柱状等が挙げられるが、芯金71aからの放熱量を少なくできるという観点から円筒状のものを用いることが好ましい。
【0079】
弾性体層71bを構成する材料としては、ゴム弾性を有するものであれば特に制限はないが、さらに耐熱性にも優れるものを用いることが好ましい。このような材料の具体例としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等が挙げられる。これらの中でも、特にゴム弾性に優れるシリコーンゴムを用いることが好ましい。
【0080】
表面層71cを構成する材料は、耐熱性及び耐久性に優れ、トナーとの付着力が弱いものであれば特に制限されない。かかる材料としては、例えば、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂材料、フッ素ゴム等が挙げられる。本実施の形態では、表面層71cは、厚さ約40μmのPFA層とされている。
【0081】
[加圧ローラについて]
加圧ローラ72は、加圧ローラホルダ142に軸線回りに回転自在に設けられている。詳しくは、加圧ローラ72は、そのローラ軸72dが、加圧ローラホルダ142の中央部付近に、軸線回りに回転自在に取付けられている。加圧ローラ72は、回転駆動されるヒートローラ71に接触すると共に、この接触にて従動回転するようになっている。
【0082】
加圧ローラ72は、ヒートローラ71によるトナー像の用紙Pへの加熱定着に際し、溶融状態にあるトナーを用紙Pに対して加圧(押圧)することによって、トナー像の用紙Pへの定着を促進する。
【0083】
また、加圧ローラ72は、芯金72aと、芯金72aの外周表面に形成された弾性体層72bと、弾性体層72bの外周表面に形成された表面層72cとを備えている。芯金72a、弾性体層72b及び表面層72cを形成する材料としては、それぞれ、ヒートローラ71の芯金71a、弾性体層71b及び表面層71cを形成する金属又は材料と同様のものを使用できる。また、芯金72aの形状もヒートローラ71と同様の形状とすることができる。
【0084】
[圧接装置について]
圧接装置140は、圧着バネ141及び加圧ローラホルダ142を備えている。加圧ローラホルダ142は、加圧ローラ72を回転自在に支持する一方、ヒートローラ71に対して圧接する加圧方向(図中Y1方向)及び圧接を解除する圧解方向(図中Y2方向)へローラ軸線方向に沿った枢支軸回りに回動自在に定着装置シャーシ7aに軸支されている。ここで、加圧ローラホルダ142において、ヒートローラ71側を「内側」と称し、ヒートローラ71側とは反対側を「外側」と称する。
【0085】
詳しくは、加圧ローラホルダ142には、加圧ローラホルダ142の加圧ローラ72より下方で、ローラ軸72dから斜め下外側寄りの位置には、ローラ軸線方向に沿ったホルダ支持軸142aが設けられており、ホルダ支持軸142aに定着装置シャーシ7aが回動自在に取付けられている。これにより、加圧ローラ72は、ホルダ支持軸142aを支点として加圧方向Y1及び圧解方向Y2に揺動させることができる。
【0086】
加圧ローラホルダ142は、加圧ローラ72がヒートローラ71に圧接されるように、圧着バネ141にて加圧方向Y1へ付勢されるようになっている。
【0087】
詳しくは、加圧ローラホルダ142の加圧ローラ72より上方の内側には、ホルダ上部面143が形成されている。また、加圧ローラホルダ142のホルダ上部面143の裏面は、加圧ローラホルダ142の外側外方に位置するバネ支持片144で基端が固定された圧着バネ141の先端にて圧接されている。バネ支持片144は、定着装置シャーシ7aに固定されている。これにより、加圧ローラホルダ142は、ヒートローラ71に向かって付勢され、加圧ローラ72をヒートローラ71に対して加圧状態にすることができる。このとき、加圧ローラ72は、圧接装置140によりヒートローラ71を所定の加圧力で圧接している。そして、圧接装置140による加圧ローラ72のヒートローラ71への圧接により、ヒートローラ71と加圧ローラ72との定着ニップ域Nを通過する用紙Pの定着を確実に行うことができるようになっている。
【0088】
[圧接解除装置について]
圧接解除装置150は、加圧ローラ72のヒートローラ71に対する加圧状態において加圧ローラ72のヒートローラ71への加圧力を変更可能とされている。本実施の形態では、圧接解除装置150は、加圧ローラ72をヒートローラ71に対して加圧方向Y1及び圧解方向Y2に移動させるカム機構を備えている。このようにカム機構を用いることで、加圧ローラ72のヒートローラ71に対する圧解状態を容易に実現することができる。しかも、圧接解除装置150は、ヒートローラ71に対する加圧ローラ72の加圧状態において加圧ローラ72のヒートローラ71への加圧力が次第に変化するように加圧ローラホルダ142(すなわち加圧ローラホルダ142に支持された加圧ローラ72)を移動させることができる。
【0089】
詳しくは、圧接解除装置150は、圧接装置140による加圧状態での加圧ローラ72のヒートローラ71への付勢力を規制する圧接制御レバー151を備えている。
【0090】
圧接制御レバー151は、ローラ軸線方向に沿った枢支軸回りに回動自在に定着装置シャーシ7aに支持されている。より具体的には、圧接制御レバー151は、加圧ローラホルダ142の上方斜め内側の位置に加圧ローラホルダ142に接近して設けられている。圧接制御レバー151にはローラ軸線方向に沿ったレバー軸152が設けられており、レバー軸152が定着装置シャーシ7aに軸線回りに回転自在に取付けられている。ここでは、圧接制御レバー151は、扇形の上半分の下に、板片を接合したような形状とされている。
【0091】
[駆動装置について]
駆動装置160は、駆動源として作用する駆動モータ161(図2では図示省略、後述する図6参照)と、検知手段として作用するホームポジションセンサ162(図6参照)とを備えている。
【0092】
駆動モータ161は、圧接制御レバー151を回動駆動する構成とされており、出力側に圧接解除装置150におけるレバー軸152が作動的に(直接的に又は駆動伝達機構を介して間接的に)接続されている。駆動モータ161(図6参照)は、ここでは、ステッピングモータとされており、主制御部200(図6参照)からの指示信号(具体的には正回転或いは逆回転させるための信号)により、正回転或いは逆回転することにより、圧接制御レバー151がレバー軸152を支点として回動駆動されるようになっている。また、駆動モータ161は、主制御部200からの指示信号(具体的にはパルス周波数を変更すること)により、回転速度を変更できるようになっている。なお、図2において、矢印X1は、圧接制御レバー151の回動において正転方向を示しており、矢印X2は、圧接制御レバー151の回動において逆転方向を示している。
【0093】
そして、駆動装置160は、ホームポジションHPを基準として圧接制御レバー151を正転方向X1又は逆転方向X2へ回動することで、ヒートローラ71に対する加圧ローラ72の加圧状態と圧解状態とを変更できるようになっている。
【0094】
図3は、図2に示す定着装置7において圧接制御レバー151がホームポジションHPに位置している状態を示している。図4は、図2に示す定着装置7においてヒートローラ71に対する加圧ローラ72の圧解状態を示している。なお、図3及び図4において符号Lは、加圧ローラ72の加圧状態での加圧位置Qからの移動距離(この例では圧着バネ141の圧縮長さに相当する距離)を示している。
【0095】
圧接制御レバー151には、センサ光反射片155と、レバー軸152を間にしたセンサ光反射片155とは反対側の板片端部にレバー突起部153とが設けられている。圧接制御レバー151は、ホームポジションHP(図3参照)を基準として、レバー軸152回りに逆転方向X2へ回動するときはレバー突起部153が加圧ローラホルダ142のホルダ上部面143に当接しないヒートローラ71に対する加圧ローラ72の加圧状態とし(図2参照)、レバー軸152回りに正転方向X1へ回動するときはレバー突起部153が加圧ローラホルダ142のホルダ上部面143に当接して加圧ローラ72のヒートローラ71に対する圧解状態とすることができる(図4参照)。
【0096】
本実施の形態では、レバー突起部153の外周面(ホルダ上部面143との摺接面)154は、圧接制御レバー151の回動中心(レバー軸152の軸心)との距離(半径)r(図2参照)が正転方向X1の下流側端154aから上流側端154bに向かうに従って次第に大きくなるように形成されている。
【0097】
かかる構成では、圧接制御レバー151がレバー軸152回りに正転方向X1へ回動することで、レバー突起部153の摺接面154が加圧ローラホルダ142のホルダ上部面143に摺接しつつ正転方向X1への回動量に応じて加圧ローラホルダ142を圧解方向Y2へ押し込むことができる。これにより、加圧ローラ72のヒートローラ71への加圧力を圧接制御レバー151の正転方向X1への回動量に応じて次第に小さくすることが可能となる。
【0098】
また、圧接制御レバー151がレバー軸152回りに逆転方向X2へ回動することで、レバー突起部153の摺接面154が加圧ローラホルダ142のホルダ上部面143に摺接しつつ逆転方向X2への回動量に応じて圧接装置140による加圧ローラホルダ142の加圧方向Y1への回動を許容することができる。これにより、加圧ローラ72のヒートローラ71への加圧力を圧接制御レバー151の逆転方向X2への回動量に応じて次第に大きくすることが可能となる。
【0099】
なお、圧接制御レバー151が正転方向X1又は逆転方向X2の一方向のみに回転させるように圧接制御レバー駆動モータを回転制御してもよい。この場合における圧接制御レバーの形状としては、圧接制御レバーを半回転で圧解状態になるように動作させると共に、残りの半回転で加圧状態になるように動作させることが可能なカム形状とすることができる。
【0100】
ホームポジションセンサ162は、駆動モータ161にて圧接制御レバー151を駆動する制御タイミングの基準となるホームポジションHPを検知するものとされている。
【0101】
詳しくは、圧接制御レバー151は、扇形部分がセンサ光反射片155として形成されている。ホームポジションセンサ162は、図2に示すように、発光ダーオード等の発光素子162aと、発光素子162aから出射した光のセンサ光反射片155からの反射光を受光するフォトトランジスタ等の受光素子162bとで構成される反射型のフォトセンサとされている。なお、ホームポジションセンサ162としては、透過型のフォトセンサや、近接センサ等を用いることもできる。
【0102】
図5は、図2に示す定着装置7において圧着バネ141による加圧状態から圧接解除装置150により圧解状態に切り替えるときの駆動装置160における駆動モータ161からの駆動力(出力トルク)による圧接解除装置150に対する負荷の大きさを示す負荷特性α及びそれに対応するホームポジションセンサ162の出力値並びに駆動モータ161の回転速度の一例を示すグラフである。なお、図5において、縦軸は、上段のグラフで負荷の大きさを示し、中段のグラフでホームポジションセンサ162の出力値を示し、下段のグラフで駆動モータ161の回転速度を示している。横軸は、加圧ローラ72の加圧状態での加圧位置Q(図3及び図4参照)からの移動距離L(この例では圧着バネ141の圧縮長さに相当する距離)を示している。
【0103】
圧着バネ141による加圧状態から圧接解除装置150により圧解状態に切り替える場合には、負荷特性αは、駆動モータ161による駆動が進行するにつれて、すなわち、加圧ローラ72の移動距離Lが大きくなる(この例では圧着バネ141の全長が短くなる)につれて負荷の大きさが次第に変化(ここでは増加)する変化領域(ここでは増加領域βi)を含む特性とされている(図5の上段グラフ参照)。そして、負荷特性αは、増加領域βiのうち、第1負荷領域β1と第2負荷領域β2との境目の負荷変動ポイントβp辺りから急に負荷が増加する傾向にある。
【0104】
ところで、従来の駆動装置では、ホームポジションセンサの検知位置は、負荷特性に関係なく、機種毎に随時任意の位置に設定されているため、ホームポジションセンサの検知位置からの制御タイミングをカウンタでタイマ計測して負荷特性に応じた駆動制御(ソフト的にタイマで制御)する必要があり、駆動源に対して駆動制御するための制御構成が複雑化する。また、負荷変動ポイントの制御タイミングを容易にかつ正確に把握して駆動源に対する駆動制御の簡素化や検出精度の向上を実現するためには、ポジションセンサ等の検知手段の数を増やしたり、回転検知エンコーダ等の検知手段を別途設けたりする必要があり、それだけコストが上昇する。
【0105】
この点、本実施の形態では、ホームポジションセンサ162によるホームポジションHPの検知位置は、負荷特性α(αa)に基づいて予め設定された負荷変動ポイントβpに対応する位置に設定されている。
【0106】
本実施の形態によれば、ホームポジションセンサ162によるホームポジションHPの検知位置が負荷変動ポイントβpの位置に対応する位置に設定されているので、ホームポジションセンサ162をホームポジションHPの検知と負荷可変ポイントβpの検知とで共用することができ、これにより、ポジションセンサ等の検知手段の数を増やしたり、回転検知エンコーダ等の検知手段を別途設けたりすることなく、負荷変動ポイントβpの制御タイミングを容易にかつ正確に把握することでき、従って、安価な構成を維持しつつ、簡単にかつ精度よく前記駆動源の駆動制御を行うことが可能となる。
【0107】
なお、負荷変動ポイントβpは、駆動モータ161からの駆動力を一定としたとき、負荷特性α(αa)において、負荷が駆動モータ161からの駆動力より小さいときに余剰となった駆動力に起因する振動や動作音(振動音)等の不良動作が発生する領域と、該不良動作が発生しない領域との境界ポイントとして、予め実験等で設定しておいたり、或いは、工場での設定工程にて設定しておいたりすることができる。
【0108】
本実施の形態では、負荷変動ポイントβpは、負荷特性α(αa)における最小負荷αminと最大負荷αmaxとの間に設定されている。こうすることで、負荷特性α(αa)における最小負荷αminと最大負荷αmaxとの間で負荷変動ポイントβpの制御タイミングを検出することができ、これにより、駆動モータ161の駆動制御を確実に行うことが可能となる。
【0109】
また、本実施の形態では、負荷特性α(αa)は、駆動モータ161による駆動が進行するにつれて負荷の大きさが次第に変化(ここでは増加)する変化領域(ここでは増加領域βi)を含む特性とされている。そして、第1負荷領域β1は、接線γ1の傾きが負荷変動の基準となる負荷変動基準傾きK以下となっている領域とされており、第2負荷領域β2は、第1負荷領域β1に隣接して接線γ2の傾きが負荷変動基準傾きKを超えている領域とされている。
【0110】
このように、増加領域βiにおける第1負荷領域β1と第2負荷領域β2との間の境目で負荷変動ポイントβpの制御タイミングを検出することで、図5に示すような、負荷特性α(αa)が増加領域βiを含む特性とされている態様、特に、圧着バネ141を駆動モータ161により圧縮させる構成において、駆動モータ161の駆動制御を確実に行うことが可能となる。
【0111】
次に、主制御部200による駆動装置160の駆動制御について図6を参照しながら、以下に説明する。
【0112】
[主制御部について]
図6は、駆動装置160の駆動制御に係る構成要素を中心に示すブロック図である。
【0113】
主制御部200は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置200aと、記憶部200bと、センサ制御部210と、モータ制御部220とを備えている。主制御部200は、センサ制御部210にてホームポジションセンサ162からの信号を受け付け、処理装置200aにて各種制御プログラムを記憶部200bから読み出し、読み出した該制御プログラムを実行させることで、モータ制御部220にて駆動モータ161の駆動制御(具体的には駆動モータ161に対する駆動タイミングや回転速度の制御)を行う。
【0114】
詳しくは、処理装置200aは、センサ制御部210からの信号を受け付ける入力部201と、入力部210にて受け付けた信号を処理する処理部202と、処理部202にて処理した信号をモータ制御部220へ出力する出力部203とを備えている。また、処理部202は、検出手段P1と、カウント手段P2とを構成するようになっており、内部メモリ202aを有している。検出手段P1は、ホームポジションセンサ162にて検知したホームポジションHPを基準となる検知タイミングとして検出するようになっている。カウント手段P2は、圧接制御レバー151の後述する第1回動時間及び第2回動時間を計測するようになっている。なお、第1回動時間及び第2回動時間は、内部メモリ202aに予め記憶されている。
【0115】
記憶部200bは、各種制御プログラムや必要な関数を記憶しており、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)や書き換え可能な不揮発性メモリ等の記憶手段により構成されている。
【0116】
なお、主制御部200は、画像形成装置100における画像形成部102に設けられた画像形成動作全体を制御する制御部(図示せず)にて指示されるようになっている。
【0117】
本実施の形態では、主制御部200は、ホームポジションセンサ162にて検知したホームポジションHPをトリガーに、駆動モータ161の回転速度を切り替える構成とされており、負荷特性α(αa)において、負荷変動ポイントβpを境にして、負荷を平均した平均負荷が小さい方の軽負荷領域βaで、大きい方の重負荷領域βbよりも速くなるように、駆動モータ161の回転速度を切り替える構成とされている(図5の下段グラフ参照)。こうすることで、従来の如く、ホームポジションセンサの検知位置からの制御タイミングをカウンタでタイマ計測して負荷特性に応じた駆動制御(ソフト的にタイマで制御)するといった複雑な制御構成とすることなく、簡単な制御構成で、負荷が駆動モータ161からの駆動力より小さいときに余剰となる駆動力に起因する振動や動作音(振動音)等の不良動作を軽減することが可能となる。
【0118】
また、本実施の形態では、駆動装置160におけるホームポジションセンサ162は、軽負荷領域βaを検知している間、軽負荷領域βaを示す第1信号(ここでは、受光素子162bにて受光しないLowレベル信号(図5の中段グラフの論理値参照))を出力する一方、重負荷領域βbを検知している間、重負荷領域βbを示す第2信号(ここでは、発光素子162aから出射した光のセンサ光反射片155からの反射光を受光素子162bにて受光したHighレベル信号(図5の中段グラフの論理値参照))を出力する構成とされている。
【0119】
このように、主制御部200によって、ホームポジションセンサ162が軽負荷領域βaを検知している間は第1信号(具体的にはLowレベル信号)を出力する一方、重負荷領域βbを検知している間は第2信号(具体的にはHighレベル信号)を出力することで、駆動モータ161の駆動開始時のホームポジションセンサ162による検知位置が負荷変動ポイントβp以外の重負荷領域βb又は軽負荷領域βaに位置(停止)していても、駆動モータ161の駆動開始(再開)時に重負荷領域βb及び軽負荷領域βaのうちの何れの領域の回転速度で駆動モータ161を駆動し始めればよいかを容易に判断することが可能となる。
【0120】
また、本実施の形態では、主制御部200は、軽負荷領域βaでは駆動モータ161を一定の第1回転速度Vaで駆動する一方、重負荷領域βbでは駆動モータ161を第1回転速度Vaよりも遅い一定の第2回転速度Vbで駆動する構成とされている(図5の下段グラフ参照)。このように、主制御部200によって、重負荷領域βb及び軽負荷領域βaで駆動モータ161をそれぞれ一定の速度で駆動することで、制御構成のさらなる簡素化を実現することが可能となる。
【0121】
図7は、駆動モータ161からの逆転方向X2の駆動力によりヒートローラ71に対する加圧ローラ72の圧解状態から加圧状態に切り替えるときの圧接解除装置150に対する負荷の大きさを示す負荷特性α(αb)及び駆動モータ161の回転速度の一例を示すグラフである。
【0122】
本実施の形態の負荷特性αは、駆動モータ161からの正転方向X1の駆動力による圧接解除装置150に対する負荷の大きさを示す第1負荷特性αa(図5の上段グラフ参照)と、駆動モータ161からの逆転方向X2の駆動力による圧接解除装置150に対する負荷の大きさを示し、かつ、第1負荷特性αaとは異なる第2負荷特性αb(図7の上段グラフ参照)との負荷方向性を有する特性されている。
【0123】
そして、負荷特性αは、第1負荷特性αaと第2負荷特性αbとのうちの何れか一方(ここでは第1負荷特性αa)において駆動モータ161により圧着バネ141を圧縮させるときには負荷変動ポイントβpが存在し(図5の上段グラフ参照)、他方(ここでは第2負荷特性αb)において元に戻すときには負荷変動ポイントが存在しない特性(図7の上段グラフ参照)となっている。ここで、圧着バネ141の圧縮を元に戻すときには、駆動モータ161は、第2負荷特性αbの全域で負荷が軽い動作となり、従って、駆動モータ161が第2負荷特性αbの全域で過剰な駆動力となり易い。このため、駆動モータ161の回転速度を速い状態に保つことが好ましい。
【0124】
よって、本実施の形態では、主制御部200は、負荷変動ポイントが存在しない方の負荷特性(ここでは第2負荷特性αb)に対して、駆動モータ161を一定の回転速度(ここでは第2回転速度Vbよりも高速な第1回転速度Va)で駆動する構成とされている。
【0125】
このように、主制御部200によって、第1負荷特性αaと第2負荷特性αbとのうち負荷変動ポイントが存在しない方の負荷特性(ここでは第2負荷特性αb)に対して(図7の上段グラフ参照)、駆動モータ161を一定の回転速度(ここでは第1回転速度Va)で駆動することで(図7の下段グラフの実線参照)、負荷変動ポイントが存在しない方の負荷特性(ここでは第2負荷特性αb)で制御構成のさらなる簡素化を実現することが可能となる。しかも、駆動モータ161を第2回転速度Vbよりも高速な第1回転速度Vaで駆動することで、過剰な駆動力を軽減でき、これにより、余剰となった駆動力に起因する振動や動作音(振動音)等の不良動作の発生を防ぐことが可能となる。
【0126】
なお、負荷変動ポイントが存在しない方の負荷特性(ここでは第2負荷特性αb)に対する駆動モータ161の回転速度は、ここでは、第2回転速度Vbよりも高速な第1回転速度Vaとされているが、第1回転速度Vaよりも高速な第3回転速度Vc(図7の下段グラフの破線参照)とされていてもよい。
【0127】
本実施の形態では、主制御部200は、加圧ローラ72を圧解方向Y2へ移動させる駆動初期の場合において、ホームポジションセンサ162により第1信号(具体的にはLowレベル信号)を検出しているときは、駆動モータ161を一定の第1回転速度(高速)Vaで正転方向X1へ回転駆動させて圧接制御レバー151を圧解方向Y2へ回転させる。一方、主制御部200は、加圧ローラ72を圧解方向Y2へ移動させる駆動初期の場合において、ホームポジションセンサ162により第2信号(具体的にはHighレベル信号)を検出しているときは、駆動モータ161を一定の第2回転速度(低速)Vb又は一定の第1回転速度(高速)Vaで逆転方向X2へ回転駆動させて圧接制御レバー151を加圧方向Y1へ回転させる。そして、主制御部200は、ホームポジションセンサ162によりホームポジションHPを検出して、駆動モータ161を一定の第2回転速度(低速)Vbで正転方向X1へ回転駆動させて圧接制御レバー151を圧解方向Y2へ回転させてから所定の第1回動時間経過後(加圧ローラ72が所定の圧解側距離移動後)に駆動モータ161の駆動を停止し、ヒートローラ71に対して加圧ローラ72を圧解状態にする。
【0128】
また、主制御部200は、加圧ローラ72を加圧方向Y1へ移動させる駆動初期の場合においては、ホームポジションセンサ162により第2信号(具体的にはHighレベル信号)を検出しているときは、駆動モータ161を一定の第1回転速度(高速)Va又は一定の第2回転速度(低速)Vbで逆転方向X2へ回転駆動させて圧接制御レバー151を加圧方向Y1へ回転させる。一方、主制御部200は、加圧ローラ72を加圧方向Y1へ移動させる駆動初期の場合において、ホームポジションセンサ162により第1信号(具体的にはLowレベル信号)を検出しているときは、駆動モータ161を一定の第1回転速度(高速)Vaで正転方向X1へ回転駆動させて圧接制御レバー151を圧解方向Y2へ回転させる。そして、主制御部200は、ホームポジションセンサ162によりホームポジションHPを検出して、駆動モータ161を一定の第1回転速度(高速)Vaで逆転方向X2へ回転駆動させて圧接制御レバー151を加圧方向Y1へ回転させから所定の第2回動時間経過後(加圧ローラ72が所定の加圧側距離移動後)に駆動モータ161の駆動を停止し、ヒートローラ71と加圧ローラ72とを加圧状態にする。
【0129】
ところで、負荷手段として作用する圧接解除装置に対応する負荷特性の異なった形態(例えば、異なる種類の前記負荷手段や、同一種類の前記負荷手段であっても個々の部品のバラツキ)によっては、負荷変動ポイントが変わることがある。具体的には、バネ等の弾性部材を圧縮又は伸長(本実施の形態では圧縮)する動作を想定した機構の場合、選択する弾性部材の設定圧(バネの種類)により負荷変動ポイントが変わることがある。
【0130】
よって、本実施の形態では、ホームポジションHPの検知位置が調整可能な構成とされている。例えば、画像形成装置100のプロセス速度帯(クラス)によって、圧着バネ141の種類を変更する場合であっても(負荷変動ポイントも変わる場合であっても)、負荷変動ポイントの位置に応じて、ホームポジションHPの検知位置を微調整することが可能となる。
【0131】
具体的には、ホームポジションセンサ162と圧接制御レバー151とのうち少なくとも一方の取り付け位置が変更可能とされている構成を例示できる。
【0132】
図8は、ホームポジションHPの検知位置を調整可能な構成例を説明するための概略側面図である。図8(a)は、ホームポジションセンサ162の取り付け位置が変更可能とされている構成を示しており、図8(b)は、圧接制御レバー本体156に対するセンサ光反射片155の取り付け位置が変更可能とされている構成を示している。
【0133】
図8(a)に示す例では、駆動装置160は、さらに、支持アーム163と、ガイド部材164とを備えている。
【0134】
支持アーム163は、先端側がホームポジションセンサ162を支持し、基端側がガイド部材164に、圧接制御レバー151の検知位置の第1回動軌跡(仮想線θ1参照)に沿ってホームポジションセンサ162を位置調整可能に設けられている。
【0135】
詳しくは、ガイド部164は、定着装置シャーシ7a(図2参照)に固定されて支持されており、第1回動軌跡θ1の外側に第1回動軌跡θ1と同心の第2回動軌跡(仮想線θ2参照)に沿って形成された長穴164aを有している。支持アーム163は、基端側において第2回動軌跡θ2に沿って形成され、かつ、ガイド部164の長穴164aに挿通されて長穴164aに沿って摺動する突起部163aを有している。また、突起部163aには、固定部材(具体的には固定ビス)165によって支持アーム163をガイド部164に固定する固定部(具体的にはビス穴)163bが設けられている。
【0136】
かかる構成を備えることにより、ホームポジションセンサ162は、支持アーム163を介して第1回動軌跡θ1に移動可能とされた状態で固定部材165によってガイド部164に固定されるようになっている。
【0137】
図8(b)に示す例では、圧接制御レバー151は、センサ光反射片155と、圧接制御レバー本体156とで構成されている。
【0138】
センサ光反射片155は、圧接制御レバー151の先端側に、圧接制御レバー151の検知位置の第1回動軌跡(仮想線θ1参照)に沿って位置調整可能に設けられている。
【0139】
詳しくは、センサ光反射片155は、第1回動軌跡θ1の内側又は外側(ここでは内側)に第1回動軌跡θ1と同心の第3回動軌跡(仮想線θ3参照)に沿って形成された長穴155aを有している。圧接制御レバー本体156は、先端側において第3回動軌跡θ3に沿って形成され、かつ、センサ光反射片155の長穴155aに挿通して長穴155aに沿って摺動される突起部156aを有している。また、突起部156aには、固定部材(具体的には固定ビス)157によってセンサ光反射片155を圧接制御レバー本体156に固定する固定部(具体的にはビス穴)156bが設けられている。
【0140】
かかる構成を備えることにより、センサ光反射片155は、第1回動軌跡θ1に移動可能とされた状態で固定部材157によって圧接制御レバー本体156に固定されるようになっている。
【0141】
図8(a)及び図8(b)に示す構成では、ホームポジションHPの検知位置が調整可能な構成とされているので、負荷手段として作用する圧接解除装置150の種類に対応する負荷特性α(αa)の異なった形態によって負荷変動ポイントβpが変わることがあっても、ホームポジションHPの検知位置を負荷変動ポイントβpに対応する位置に設定することが可能となる。
【0142】
[制御部による駆動装置の動作制御例について]
次に、主制御部200による駆動装置160の動作制御例について図9を参照しながら説明する。
【0143】
図9は、駆動装置160の主制御部200による動作制御の一例を示すフローチャートを示している。
【0144】
図9に示す制御例では、先ず、圧接制御レバー151を圧解方向Y2へ動作させるか否かを判断する(ステップS1)。
【0145】
ステップS1で圧接制御レバー151を圧解方向Y2へ動作させる場合には(ステップS1:Yes)、負荷特性αが第1負荷特性αaとなり、第1負荷特性αaには負荷変動ポイントβpが存在するため、次のような動作制御が行われる。
【0146】
すなわち、検出手段P1にてホームポジションセンサ162からの論理値がLowレベル(軽負荷領域βa)であるか否かを判断する(ステップS2)。
【0147】
ステップS2でホームポジションセンサ162からの論理値がLowレベル(軽負荷領域βa)である場合には(ステップS2:Yes)、駆動モータ161の回転速度を高速モード(高速の回転速度Va)に設定し(ステップS3)、ステップS7へ移行する。
【0148】
また、ステップS2でホームポジションセンサ162からの論理値がHighレベル(重負荷領域βb)である場合には(ステップS2:No)、駆動モータ161の回転速度を低速モード(低速の回転速度Vb)に設定し(ステップS4)、圧接制御レバー151を加圧方向Y1へ動作させ(ステップS5)、ホームポジションセンサ162からの論理値のLowレベルを検出するまで待機し(ステップS6:No)、Lowレベルを検出すると(ステップS6:Yes)、ステップS7へ移行する。
【0149】
次に、圧接制御レバー151を圧解方向Y2へ動作させ(ステップS7)、ホームポジションセンサ162からの論理値のHighレベル(重負荷領域βb)を検出するまで待機し(ステップS8:No)、Highレベル(重負荷領域βb)を検出すると(ステップS8:Yes)、駆動モータ161の回転速度を低速モード(低速の回転速度Vb)に変更する(ステップS9)。
【0150】
次に、圧接制御レバー151の停止位置に向けカウント手段P2にてソフトカウント(回動時間の計測)を開始する(ステップS10)。
【0151】
次に、内部メモリ202aに予め記憶した目標のカウント値(第1回動時間)へ到達するまで待機し(ステップS11:No)、目標のカウント値(第1回動時間)へ到達すると(ステップS11:Yes)、駆動モータ161の動作を停止し(ステップS12)、処理を終了する。ここで、前記のステップS4の処理において、駆動モータ161の回転速度を低速モード(低速の回転速度Vb)に設定するが、駆動モータ161の回転速度を高速モード(高速の回転速度Va)に設定してもよい。
【0152】
一方、ステップS1で圧接制御レバー151を加圧方向Y1へ動作させる場合には(ステップS1:No)、負荷特性αが第2負荷特性αbとなり、第2負荷特性αbには負荷変動ポイントが存在せず、駆動モータ161からの駆動力による圧接解除装置150に対する負荷が常時軽いため、次のような動作制御が行われる。
【0153】
すなわち、駆動モータ161の回転速度を高速モード(高速の回転速度Va)に設定し(ステップS13)、検出手段P1にてホームポジションセンサ162からの論理値がHighレベルであるか否かを判断する(ステップS14)。
【0154】
ステップS14でホームポジションセンサ162からの論理値がHighレベルである場合には(ステップS14:Yes)、ステップS17へ移行する。
【0155】
また、ステップS14でホームポジションセンサ162からの論理値がLowレベルである場合には(ステップS14:No)、圧接制御レバー151を圧解方向Y2へ動作させ(ステップS15)、ホームポジションセンサ162からの論理値のHighレベル(重負荷領域βb)を検出するまで待機し(ステップS16:No)、Highレベル(重負荷領域βb)を検出すると(ステップS16:Yes)、ステップS17へ移行する。
【0156】
次に、圧接制御レバー151を加圧方向Y1へ動作させ(ステップS17)、ホームポジションセンサ162からの論理値のLowレベルを検出するまで待機し(ステップS18:No)、Lowレベルを検出すると(ステップS18:Yes)、圧接制御レバー151の停止位置に向けカウント手段P2にてソフトカウント(回動時間の計測)を開始する(ステップS19)。
【0157】
次に、内部メモリ202aに予め記憶した目標のカウント値(第2回動時間)へ到達するまで待機し(ステップS20:No)、目標のカウント値(第2回動時間)へ到達すると(ステップS20:Yes)、駆動モータ161の動作を停止し(ステップS21)、処理を終了する。ここで、前記のステップS17の処理直前において、駆動モータ161の回転速度を低速モード(低速の回転速度Vb)に設定し、前記のステップS18の判断(Yes)直後において、駆動モータ161の回転速度を高速モード(高速の回転速度Va)に設定してもよい。
【0158】
なお、本実施の形態の駆動装置160に適用した定着装置7は、圧着バネ141を圧縮させて圧接力を得るタイプの定着装置であったが、圧着バネ141を伸長させて圧接力を得るタイプの定着装置であってもよい。また、駆動装置は、本実施の形態では、定着装置に適用したが、駆動源からの駆動力による負荷手段に対する負荷の大きさを示す負荷特性において負荷変動ポイントを有するものであれば、何れの装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0159】
7 定着装置
7a 定着装置シャーシ
71 ヒートローラ
72 加圧ローラ
100 画像形成装置
140 圧接装置
141 圧着バネ
142 加圧ローラホルダ
142a ホルダ支持軸
143 ホルダ上部面
144 バネ支持片
150 圧接解除装置(負荷手段の一例)
151 圧接制御レバー
152 レバー軸
153 レバー突起部
155 センサ光反射片
155a 長穴
156 圧接制御レバー本体
156a 突起部
156b 固定部
157 固定部材
160 駆動装置
161 駆動モータ(駆動源の一例)
162 ホームポジションセンサ(検知手段の一例)
163 支持アーム
163a 突起部
163b 固定部
164 ガイド部材
164a 長穴
165 固定部材
200 主制御部(制御手段の一例)
HP ホームポジション
K 負荷変動基準傾き
N 定着ニップ域
P 用紙
Va 第1回転速度
Vb 第2回転速度
X1 正転方向
X2 逆転方向
Y1 加圧方向
Y2 圧解方向
α 負荷特性
αmax 最大負荷
αmin 最小負荷
αa 第1負荷特性
αb 第2負荷特性
β1 第1負荷領域
β2 第2負荷領域
βa 軽負荷領域
βb 重負荷領域
βi 増加領域
βp 負荷変動ポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷手段を駆動する駆動源と、
前記駆動源にて前記負荷手段を駆動する制御タイミングの基準となるホームポジションを検知する検知手段と、
前記検知手段にて検知した前記ホームポジションに基づいて前記負荷手段に対する前記駆動源への駆動制御を行う制御手段と
を備えた駆動装置であって、
前記駆動源からの駆動力による前記負荷手段に対する負荷の大きさを示す負荷特性に基づいて負荷変動ポイントが予め設定されており、
前記検知手段による前記ホームポジションの検知位置は、前記負荷変動ポイントに位置していることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動装置であって、
前記負荷変動ポイントは、前記負荷特性における最小負荷と最大負荷との間に設定されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の駆動装置であって、
前記負荷特性は、前記駆動源による駆動が進行するにつれて前記負荷の大きさが次第に変化する変化領域を含む特性とされており、
前記負荷変動ポイントは、前記変化領域のうち、前記負荷特性に対する接線の傾きが負荷変動の基準となる負荷変動基準傾き以下となっている第1負荷領域と、該第1負荷領域に隣接して該接線の傾きが該負荷変動基準傾きを超えている第2負荷領域との境目に設定されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項3に記載の駆動装置であって、
前記変化領域は、前記駆動源による駆動が進行するにつれて前記負荷の大きさが次第に増加する増加領域を含むことを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までの何れか一つに記載の駆動装置であって、
前記制御手段は、前記検知手段にて検知した前記ホームポジションをトリガーに、前記駆動源の駆動速度を切り替える構成とされており、前記負荷特性において、前記負荷変動ポイントを境にして、前記負荷を平均した平均負荷が小さい方の軽負荷領域で、大きい方の重負荷領域よりも速くなるように、前記駆動源の駆動速度を切り替えることを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
請求項5に記載の駆動装置であって、
前記検知手段は、前記軽負荷領域を検知している間、該軽負荷領域を示す第1信号を出力する一方、前記重負荷領域を検知している間、該重負荷領域を示す第2信号を出力する構成とされていることを特徴とする駆動装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の駆動装置であって、
前記制御手段は、前記軽負荷領域では前記駆動源を一定の第1駆動速度で駆動する一方、前記重負荷領域では前記駆動源を前記第1駆動速度よりも遅い一定の第2駆動速度で駆動することを特徴とする駆動装置。
【請求項8】
請求項5から請求項7までの何れか一つに記載の駆動装置であって、
前記負荷特性は、前記駆動源からの一方向の駆動力による前記負荷手段に対する前記負荷の大きさを示す第1負荷特性と、前記駆動源からの前記一方向とは逆方向の他方向の駆動力による前記負荷手段に対する前記負荷の大きさを示し、かつ、前記第1負荷特性とは異なる第2負荷特性との負荷方向性を有する特性されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項9】
請求項8に記載の駆動装置であって、
前記第1負荷特性と前記第2負荷特性との何れか一方において前記負荷変動ポイントが存在しない場合には、前記制御手段は、前記負荷変動ポイントが存在しない方の負荷特性に対して、前記駆動源を一定の駆動速度で駆動することを特徴とする駆動装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までの何れか一つに記載の駆動装置であって、
前記ホームポジションの検知位置が調整可能な構成とされていることを特徴とする駆動装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までの何れか一つに記載の駆動装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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