説明

駐輪機における車輪係止装置

【課題】駐輪していた自転車を取り出す際に何らの支障も来すことがないようにした車輪係止装置を提供する。
【解決手段】車輪を係止する一対の車輪ストッパ20と、車輪に押し込まれたときに車輪ストッパ20を車輪進入部11内に突出させる車輪係止用作動体30と、車輪係止用作動体30が押し込まれると作動する電磁ソレノイド45と、電磁ソレノイド45の作動により回動して車輪係止用作動体30の固定用穴部34に挿入する固定用回動体50と、固定用回動体50を元の位置に戻す引張りバネ52とからなり、電磁ソレノイド45が作動すると、固定用回動体50が回動して固定用穴部34に挿入し、車輪ストッパ20による車輪の係止を固定し、電磁ソレノイド45が停止すると、固定用穴部34に挿入した固定用回動体50が引張りバネ52によって固定用穴部34から外れ、車輪ストッパ20による車輪の係止の固定を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車あるいはオートバイ等を駐輪するための駐輪機において、自転車あるいはオートバイ等の車輪を係止する車輪係止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車を駐輪するための駐輪機としては、図11、図12に示すように、自転車の車輪1を載せて支持する樋状の車輪ガイドレール5を、高さの高い高タイプと高さの低い低タイプとに分けて、この高タイプの車輪ガイドレール5と低タイプの車輪ガイドレール5を交互に複数並列に配置させる。そして、それぞれの車輪ガイドレール5の前方には自転車の車輪を係止する車輪係止装置6が装着される。この車輪係止装置6における自転車の車輪1の係止については、駐輪機用コントローラ7において車輪の係止の固定や固定の解除が制御されている。
【0003】
なお、オートバイを駐輪するための駐輪機については、車輪ガイドレールの幅や大きさを自転車用の駐輪機よりも大きくし、並列に配置した車輪ガイドレールの間隔を広げることで、オートバイの駐輪も可能になる。
【0004】
そして、このような駐輪機において用いられる車輪係止装置としては、例えば、特許文献1である特開2006−9346号公報に記載されたものが知られている。
【0005】
この車輪係止装置は、鉄製の板材からなるベースを備え、このベースには自転車の車輪が進入する進入スペースとなる車輪進入部を形成する。また、この車輪進入部内に左右両側から突出して車輪進入部に進入した車輪を係止する一対の車輪ストッパを設ける。そして、このベースの車輪進入部の奥側に前後に移動自在の車輪係止用作動体を設け、この車輪係止用作動体は車輪進入部に進入した車輪の押圧力により奥側に押し込まれたときに一対の車輪ストッパを車輪進入部内に突出させる。
【0006】
また、この車輪係止用作動体が奥側に押し込まれることでスイッチがオンとなるリミットスイッチを設け、このリミットスイッチによってベースの車輪進入部に車輪が進入したことを検知すると共に、ベースに電磁ソレノイドを設け、リミットスイッチにて車輪の進入を検知すると、この電磁ソレノイドの可動鉄芯を突き出す。
【0007】
そして、電磁ソレノイドの可動鉄芯により回動する鉄製の固定用回動体を設け、この固定用回動体は電磁ソレノイドの可動鉄芯を突き出すことで上方に回動し、車輪係止用作動体に形成した固定用穴部に挿入して車輪係止用作動体を固定する。
【0008】
このように車輪係止用作動体を固定用回動体にて固定することにより、車輪係止用作動体を介して一対の車輪ストッパを車輪進入部内に突出させて自転車の車輪の係止を固定するようにしている。
【0009】
一方、自転車の車輪の係止の固定を解除する場合は、駐輪機用コントローラからの指示で電磁ソレノイドの可動鉄芯を引き戻すことにより、固定用回動体がその自重によって下方に回動し、車輪係止用作動体の固定用穴部から外れる。そして、車輪係止用作動体の固定が解除されることで車輪ストッパによる車輪の係止の固定も解除されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−9346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
かかる従来の駐輪機における車輪係止装置にあっては、自転車の車輪の係止の固定を解除する場合、電磁ソレノイドの可動鉄芯を引き戻すことにより、固定用回動体がその自重によって下方に回動して車輪係止用作動体の固定用穴部から外れ、車輪係止用作動体の固定が解除されるようになるが、固定用回動体の下方への回動がその自重のみによって行われていたため、車輪係止用作動体の固定用穴部と固定用回動体との位置関係が少しでもずれてしまうと、固定用回動体が固定用穴部に引っ掛かって固定用穴部から外れなくなってしまう。このため、車輪係止用作動体の固定が解除できず、車輪ストッパによる車輪の係止の固定も解除できなくなり、駐輪していた自転車を取り出すことができなくなるといったことが起こるおそれがあった。
【0012】
また、前述のように固定用回動体の下方への回動がその自重のみによって行われているので、車輪係止装置を設置する際、車輪係止装置を常に水平に設置する必要があり、これを斜めに傾けて設置してしまうと、固定用回動体が良好に下方に回動しなくなるといったことが起こるため、地面が傾斜している場所への車輪係止装置を含む駐輪機の設置ができない、あるいは、車輪係止装置を斜めに設置することができない構造となるものであった。
【0013】
本発明は、これらの点を鑑み、駐輪機における車輪係止装置において、車輪係止用作動体の固定用穴部から固定用回動体を外して車輪係止用作動体の固定を確実に解除でき、車輪ストッパによる車輪の係止の固定も確実に解除できることで、駐輪していた自転車を取り出す際に何らの支障も来すことがないようにした車輪係止装置を提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第一の発明は、車輪の進入スペースとなる車輪進入部を形成したベースと、このベースの車輪進入部内に突出して進入した車輪を係止する一対の車輪ストッパと、進入した車輪の押圧力により奥側に押し込まれ、奥側に押し込まれたときに車輪ストッパを車輪進入部内に突出させる前後に移動自在の車輪係止用作動体と、車輪係止用作動体が奥側に押し込まれると車輪進入部内に車輪が進入したと判断して作動するアクチュエータと、このアクチュエータの作動により回動して車輪係止用作動体の固定用穴部に挿入する固定用回動体と、車輪係止用作動体の固定用穴部に挿入した固定用回動体を元の位置に戻す弾性部材とからなり、アクチュエータを作動すると、固定用回動体が回動して車輪係止用作動体の固定用穴部に挿入し、車輪係止用作動体を固定することで、車輪ストッパによる車輪の係止を固定すると共に、アクチュエータの作動を停止すると、車輪係止用作動体の固定用穴部に挿入した固定用回動体が弾性部材によって回動して固定用穴部から外れて元の位置に戻り、車輪係止用作動体の固定を解除することで、車輪ストッパによる車輪の係止の固定を解除するようにした駐輪機における車輪係止装置である。
【0015】
第二の発明は、第一の発明において、前記固定用回動体にあっては、合成樹脂製とした駐輪機における車輪係止装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、自転車の車輪の係止の固定を解除する場合、車輪係止用作動体の固定用穴部に挿入した固定用回動体を元の位置に戻す弾性部材によって、固定用回動体を強制的に下方に回動することができ、これにより、車輪係止用作動体の固定用穴部と固定用回動体との位置関係が少しずれて固定用回動体が固定用穴部に多少引っ掛かったとしても、弾性部材の付勢力により強制的に固定用回動体を車輪係止用作動体の固定用穴部から外すことができ、車輪係止用作動体の固定を確実に解除し、車輪ストッパによる車輪の係止の固定も確実に解除することで、駐輪していた自転車を取り出すことができなくなるといったことをなくすことができる。
【0017】
さらに、本発明によれば、自転車の車輪の係止の固定を解除する場合、前述のように弾性部材によって固定用回動体を強制的に下方に回動するようにしたことで、車輪係止装置を設置する際、車輪係止装置を常に水平に設置する必要がなくなり、多少斜めに傾けて設置しても、固定用回動体を良好に下方に回動させることができ、これにより、地面が傾斜している場所への設置や車輪係止装置を斜めに設置することもでき、いろいろな場所への設置を可能にする。
【0018】
また、本発明によれば、固定用回動体を合成樹脂製としたことで、固定用回動体の軽量化を図ることができ、ベースや車輪ストッパ等の他の部品の軽量化と相まって、車輪係止装置全体を軽量なものにして、車輪係止装置の設置作業を容易に行えるようにすると共に、車輪係止装置を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の駐輪機における車輪係止装置を説明する斜視図である。
【図2】本発明の駐輪機における車輪係止装置を説明する分解斜視図である。
【図3】一部省略した平面図である。
【図4】図3の概略中央縦断面図である。
【図5】自転車の車輪を係止したときの一部省略した平面図である
【図6】図5の概略中央縦断面図である。
【図7】自転車の車輪を係止したときの一部省略した斜視図である。
【図8】自転車の車輪を係止した状態を説明する概略斜視図である。
【図9】自転車の車輪を取り出すとき及び車輪を仮係止状態で保持したときの概略中央縦断面図である。
【図10】自転車の車輪を取り出したときの一部省略した斜視図である。
【図11】駐輪機の全体説明図である。
【図12】駐輪機の全体説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明による駐輪機における車輪係止装置の一実施形態について説明する。
なお、ここでは駐輪機として自転車を駐輪するための駐輪機にて説明するが、これに限定されるものではなく、オートバイ等を駐輪するための駐輪機でも良い。
【0021】
駐輪機としては、従来と同様、自転車の車輪を載せて支持する樋状の車輪ガイドレールを複数並列に配置させ、それぞれの車輪ガイドレールの前方には自転車の車輪を係止する車輪係止装置が装着し、この車輪係止装置における車輪の係止の固定や固定の解除を駐輪機用コントローラにて制御している。
【0022】
そして、図1、図2、図3、図4に示すように、車輪係止装置としては、車輪1の進入スペースとなる一方側が開放する平面略U字形の車輪進入部11を形成したベース10を備える。このベース10は、車輪進入部11を形成した上面板12とその下部に位置する下面板13とから二階構造としており、合成樹脂である強化プラスチックにて造られている。ただし、これに限定されるものではなく、金属や他の材料でも良い。この上面板12に形成する車輪進入部11は上面板12の略半分まで達する大きさにしており、また、下面板13は上面板12における車輪進入部11を形成していない箇所と略同じ大きさかつ形状にしている。そして、この上面板12の先端内側に後述する車輪ストッパ20を出し入れする出入口15を有する内壁部14を相対するように設けると共に、その中央の両側に車輪ストッパ20を軸着するための回転軸16を設ける。また、上面板12の中央には後述する車輪係止用作動体30の前後の移動を案内するためのガイド板17を設ける。
【0023】
そして、ベース10の上面板12に設けた回転軸16それぞれに一対の車輪ストッパ20を相対するように軸着することで、当該車輪ストッパ20を回動自在に取り付ける。この一対の相対する車輪ストッパ20は、全体を横向き略コ字形としており、その先端側の部分がベースにおける内壁部14の出入口15から車輪進入部11内に突出可能となる羽根片21であり、当該車輪ストッパ20が回動して車輪進入部11内に車輪ストッパ20の羽根片21が突出したとき、この羽根片21にて自転車の車輪1を係止する。また、一対の相対する車輪ストッパ20の手前側に支持ピン22をそれぞれ設け、この両側に位置する支持ピン22の間に弾性部材である圧縮バネ23を配置することで、この圧縮バネ23によって、当該車輪ストッパ20が回動して車輪進入部11内に突出した羽根片21を内壁部14の出入口15より内側に入れるようにして、要するに、車輪進入部11内に突出した車輪ストッパ20の羽根片21を元の位置に戻すようにする。さらに、この車輪ストッパ20の手前側には作用部24を突き出すように設けている。なお、この車輪ストッパは合成樹脂である強化プラスチックにて造られているが、これに限定されるものではなく、鉄等の金属を内部にインサートして強度を増すようにしても良い。
【0024】
そして、ベース10に形成した車輪進入部11の奥側に前後に移動自在の車輪係止用作動体30を取り付け、この車輪係止用作動体30はベース10の上面板12の中央に設けたガイド板17に沿って前後に移動する。なお、車輪係止用作動体30の前後の方向は図3及び図4の中では左右の方向である。この車輪係止用作動体30は、上面板31と壁面板32と下面板33とから縦向き略コ字形となっており、壁面板32を自転車の車輪1の形状に合わせた凹曲面状にする。また、この車輪係止用作動体30は、ベース10の車輪進入部11に進入した自転車の車輪1が突き当たることで生ずる押圧力により奥側に押し込まれるように移動するもので、奥側に押し込まれたとき、一対の車輪ストッパ20それぞれの作用部24を押すことにより、車輪ストッパ20が回動し、この車輪ストッパ20の羽根片21を車輪進入部11内に突出させる。なお、この車輪係止用作動体30も合成樹脂である強化プラスチックにて造られている。ただし、これに限定されるものではなく、金属や他の材料でも良い。
【0025】
また、この車輪係止用作動体30にあっては、その下面板33の中央に後述する固定用回動体50が挿入される固定用穴部34を設けると共に、固定用穴部34の横に一対の車輪ストッパ20間に配置する圧縮バネ23を保持するためのバネ保持用ブロック35を設ける。このバネ保持用ブロック35は、圧縮バネ23側を垂直面にしつつ、その反対側を傾斜面にすることで、組立時における圧縮バネ23を組み込む際には傾斜面に沿って容易に圧縮バネ23を組み込むことができ、組み込んだのちは垂直面により容易に圧縮バネ23が抜け落ちることがないようにしている。
【0026】
そして、ベース10の上面板12にはブラケット41を介して車輪進入部11に車輪1が進入したことを検知する検知手段であるリミットスイッチ43を縦向きで設け、このリミットスイッチ43は、そのレバー44に車輪係止用作動体30の下面板33が当たることでスイッチがオンとなり、車輪進入部11内に自転車の車輪1が進入したことを検知する。なお、検出手段としては、リミットスイッチ43に限定されるものではなく、同様の機能を有するものなら他のものでの良い。
【0027】
また、ベース10における上面板12と下面板13との間に、車輪進入部11内に車輪1が進入したと判断すると作動するアクチュエータである自己保持型の電磁ソレノイド45を横向きに設ける。この電磁ソレノイド45では、リミットスイッチ43にて車輪進入部11への車輪1の進入を検知すると、これに基づいて車輪進入部11内に車輪1が進入したと判断して当該電磁ソレノイド45の可動鉄芯46を突き出すように作動すると共に、駐輪機用コントローラからの指令信号等を受けると、可動鉄芯46を引き戻すように作動を停止する。なお、アクチュエータとしては、電磁ソレノイド45に限定されるものではなく、同様の機能を有するものなら他の機器での良い。また、リミットスイッチ43における車輪1の進入を検知してから実際に電磁ソレノイド45の可動鉄芯46を突き出すまでの時間については任意に変更可能にする。この時間については、実際の使用状況等を考慮すると少し時間差を設けるのが良く、例えば、30秒から4,5分程度の時間差を設けるのが好ましい。
【0028】
そして、図5、図6に示すように、ベース10における上面板12と下面板13との間に、電磁ソレノイド45を作動し、すなわち可動鉄芯46を突き出すことによって回動する固定用回動体50を設ける。この固定用回動体50は、全体を縦向き略凵字形としており、その先端側の部分が車輪係止用作動体30の固定用穴部34に挿入されて車輪係止用作動体30を固定する固定部51となり、また、手前側の上部がベース10に取り付けたブラケット41に設けた回転軸42に軸着することで、当該固定用回動体50を上下に回動自在に取り付ける。これによって、電磁ソレノイド45の可動鉄芯46を突き出すことにより、当該固定用回動体50が回動して先端側の固定部51を上方に移動して、この固定部51が車輪係止用作動体30の固定用穴部34に挿入する。なお、この固定用回動体50も合成樹脂である強化プラスチックにて造られている。ただし、これに限定されるものではなく、金属や他の材料でも良い。
【0029】
さらに、この固定用回動体50において、その手前側とベース10に取り付けたブラケット41とにわたって弾性部材である引張りバネ52を取り付ける。これは、固定用回動体50の手前側に穴部53を設けると共に、ブラケット41にピン54を設けて、固定用回動体50の穴部53とピン54とに引張りバネ52を架設することで、この引張りバネ52によって、固定用回動体50を下方に回動する方向に付勢する。そして、電磁ソレノイド45の作動を停止し、すなわち電磁ソレノイド45の可動鉄芯46を引き戻すと、この引張りバネ52の付勢力により、先端側の固定部51が車輪係止用作動体30の固定用穴部34に挿入した固定用回動体50が回動して固定部51を下方に移動して、この固定部51が車輪係止用作動体30の固定用穴部34から外れて元の位置に戻る。なお、固定用回動体50が合成樹脂製の軽量なものであっても、この引張りバネ52によって、固定用回動体50を確実に下方に回動させることができる。また、この引張りバネ52については、これに限定されるものではなく、固定用回動体50を下方に回動する方向に付勢するものなら他の弾性部材でも良く、その取り付け位置を変更することで、圧縮バネや板バネ等のその他のバネを用いることもでき、また、バネ以外の弾性の性質を持っているもの、例えばゴム製部品等を用いるようにしても良い。
【0030】
なお、この車輪係止装置にあっては、前述した各図には記載していませんが、ベース10全体を覆うようになるカバーを上部に取り付けるようにしており、この取り付けたカバーによって、雨水等の内部への進入を防止する。
【0031】
このようになる車輪係止装置において、自転車を駐輪1する場合、図7に示すように、ベース10の車輪進入部11に自転車の車輪1が進入して車輪係止用作動体30を奥側に押し込むと、一対の車輪ストッパ20が回動して車輪進入部11内に羽根片21を突出して自転車の車輪1を係止し、このとき、押し込まれた車輪係止用作動体30によりリミットスイッチ43にて車輪1の進入を検知し、電磁ソレノイド45において車輪進入部11内に車輪1が進入したと判断して可動鉄芯46を突き出す。すると、図8に示すように、固定用回動体50の先端側が上方に移動するにように固定用回動体50が回動して車輪係止用作動体30の固定用穴部34に固定用回動体50の先端側の固定部51を挿入し、車輪係止用作動体30を固定する。このように車輪係止用作動体30を固定することによって、一対の車輪ストッパ20の羽根片21を突出した状態で固定し、車輪ストッパ20による車輪1の係止を固定することで、自転車を車輪係止装置より引抜けないようにする。
【0032】
また、駐輪していた自転車を取り出す場合、駐輪機用コントローラからの指令信号等を電磁ソレノイド45が受けると、電磁ソレノイド45において可動鉄芯46を引き戻す。すると、図9に示すように、固定用回動体50とブラケット41とにわたって取り付けた引張りバネ52により、固定用回動体50の先端側が下方に移動するにように固定用回動体50が回動して車輪係止用作動体30の固定用穴部34から固定用回動体50の固定部51が外れて固定用回動体50を元の位置に戻し、車輪係止用作動体30の固定を解除する。このように車輪係止用作動体30の固定を解除することによって、一対の車輪ストッパ20の羽根片21を突出した状態で固定していたのを解除し、車輪ストッパ20による車輪1の係止の固定も解除することで、自転車を車輪係止装置より引抜こうとすると、一対の相対する車輪ストッパ20間に配置した圧縮バネ23によって、当該車輪ストッパ20が回動して車輪進入部11内に突出した車輪ストッパ20の羽根片21を元の位置に戻し、図10に示すように、車輪ストッパ20による車輪1の係止をなくして自転車を取り出せるようにする。
【0033】
さらに、車輪係止用作動体30にあっては、その下面板33の両側に第一突出片36を設けると共に、第一突出片36より先に延びる第二突出片37を設ける。第一突出片36の先端には鍵状のつめ部38を形成し、第二突出片37の先端には山形状の嵌合部39を形成する。そして、ベース10の上面板12には山形状の嵌合受け部18を設けており、車輪係止用作動体30が奥側に押し込まれたとき、車輪係止用作動体30の第二突出片37の嵌合部39が嵌合受け部18に嵌り合うようにしている。また、ベース10の嵌合受け部18と車輪係止用作動体30の第二突出片37の嵌合部39とが嵌り合っていたのが外れて車輪係止用作動体30が元の位置に戻ると、車輪係止用作動体30の第一突出片36のつめ部38がベース10のガイド板17の端面に引っ掛かるようになり、当該車輪係止用作動体30がベース10より外れないようにしている。
【0034】
このように車輪係止用作動体30に嵌合部39を形成した第二突出片37を設けると共に、ベース10の上面板12に嵌合受け部18を設けることにより、車輪係止用作動体30が奥側に押し込まれたとき、車輪係止用作動体30の第二突出片37の嵌合部39がベース10の嵌合受け部18に嵌り合うことで、車輪係止用作動体30が奥側に押し込まれた状態となり、このとき、一対の車輪ストッパ20は羽根片21が突出した状態となって車輪1を係止している。ただし、車輪係止用作動体30は、車輪係止用作動体30の第二突出片37の嵌合部39とベース10の嵌合受け部18とが嵌り合っているだけで、図9に示すように、車輪係止用作動体30の固定用穴部34に固定用回動体50の固定部51が挿入されていないことから、固定用回動体50による車輪係止用作動体30の固定が行われていない状態、要するに、自転車の車輪1を車輪ストッパ20において仮係止状態で保持している。これにより、車輪ストッパ20において車輪1を仮係止状態で保持したときは、自転車の車輪1を引き出そうとすると、車輪1が車輪ストッパ20の羽根片21に当たって、一対の車輪ストッパ20間に配置した圧縮バネ23により当該車輪ストッパ20が回動して車輪進入部11内に突出した車輪ストッパ20の羽根片21を元の位置に戻すことで、車輪ストッパ20による車輪1の係止がなくなり、自転車を車輪係止装置より引き出すことができる。
【0035】
これにより、リミットスイッチ43における車輪1の進入を検知してから電磁ソレノイド45の可動鉄芯46を突き出すまでの時間を、例えば、4,5分程度の時間差を設けて、固定用回動体50による車輪係止用作動体30の固定を自転車が挿入されてから少し遅らせることにより、車輪進入部11内に自転車の車輪1を入れてから、4,5分程度の少しの時間、車輪ストッパ20において車輪1を仮係止状態にて保持することができ、駐輪場の利用者が自転車を挿入した際、正しく自転車を挿入できていないといった何らかのアクシデントが起こっても、車輪ストッパ20において仮係止状態であれば、自転車の車輪1を引き出せることができ、再度、自転車を挿入し直して、正しい状態で自転車を駐輪させることができる。
【符号の説明】
【0036】
1…車輪、5…車輪ガイドレール、6…車輪係止装置、7…駐輪機用コントローラ、10…ベース、11…車輪進入部、12…上面板、13…下面板、14…内壁部、15…出入口、16…回転軸、17…ガイド板、18…嵌合受け部、20…車輪ストッパ、21…羽根片、22…支持ピン、23…圧縮バネ、24…作用部、30…車輪係止用作動体、31…上面板、32…壁面板、33…下面板、34…固定用穴部、35…バネ保持用ブロック、36…第一突出片、37…第二突出片、38…つめ部、39…嵌合部、41…ブラケット、42…回転軸、43…リミットスイッチ、44…レバー、45…電磁ソレノイド、46…可動鉄芯、50…固定用回動体、51…固定部、52…引張りバネ、53…穴部、54…ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪(1)の進入スペースとなる車輪進入部(11)を形成したベース(10)と、
このベース(10)の車輪進入部(11)内に突出して進入した車輪(1)を係止する一対の車輪ストッパ(20)と、
進入した車輪(1)の押圧力により奥側に押し込まれ、奥側に押し込まれたときに車輪ストッパ(20)を車輪進入部(11)内に突出させる前後に移動自在の車輪係止用作動体(30)と、
車輪係止用作動体(30)が奥側に押し込まれると車輪進入部(11)内に車輪(1)が進入したと判断して作動するアクチュエータと、
このアクチュエータの作動により回動して車輪係止用作動体(30)の固定用穴部(34)に挿入する固定用回動体(50)と、
車輪係止用作動体(30)の固定用穴部(34)に挿入した固定用回動体(50)を元の位置に戻す弾性部材とからなり、
アクチュエータを作動すると、固定用回動体(50)が回動して車輪係止用作動体(30)の固定用穴部(34)に挿入し、車輪係止用作動体(30)を固定することで、車輪ストッパ(20)による車輪(1)の係止を固定すると共に、アクチュエータの作動を停止すると、車輪係止用作動体(30)の固定用穴部(34)に挿入した固定用回動体(50)が弾性部材によって回動して固定用穴部(34)から外れて元の位置に戻り、車輪係止用作動体(30)の固定を解除することで、車輪ストッパ(20)による車輪(1)の係止の固定を解除するようにしたことを特徴とする駐輪機における車輪係止装置。
【請求項2】
前記固定用回動体(50)にあっては、合成樹脂製としたことを特徴とする請求項1記載の駐輪機における車輪係止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−112144(P2012−112144A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260808(P2010−260808)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(504417076)株式会社イワセ (2)