説明

駐輪装置

【課題】 自転車全体を持ち上げることなく、また、前輪の操作技術を伴わずに、簡素な構成で自転車を立姿勢で固定することができる駐輪装置を提供する。
【解決手段】 直立式駐輪装置100は、クランク84の軌道内外をスライド可能に設置されたクランクストッパ7を備え、クランク84の軌道外から軌道内にクランクストッパ7をスライドさせてクランク84の逆方向の移動を拘束することにより自転車80を固定する。これにより、自転車80全体を持ち上げることなく、また、前輪83の操作技術を伴わずに、自転車80を立姿勢で固定することができる。また、クランクの高さは、後輪が同径であれば自転車のフレームサイズに関係なくほぼ同じであるので、個々の自転車に合わせてクランクストッパ7の位置を調整しなくてもすみ、簡素な構成になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車を立姿勢で駐輪する駐輪装置に係り、特に、自転車全体を持ち上げることなく、また、前輪の操作技術を伴わずに、簡素な構成で自転車を立姿勢で固定することができる駐輪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、狭いスペースに効率よく自転車を駐輪するために、自転車の前後方向を垂直方向に沿わせて自転車を立姿勢(以下、単に立姿勢という。)で駐輪する直立式駐輪装置が用いられている。直立式駐輪装置としては、自転車を立姿勢で固定するために、天井等からフックで前輪を吊り下げる技術(特許文献1)や、前輪を起こしてフックでリムを支柱や壁面等に固定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−148912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の直立式駐輪装置にあっては、フックで前輪を吊り下げる構成の場合、サイズの大きい自転車も吊り下げられるようにフックが高い位置に設置されているため、自転車全体を持ち上げる必要があり、負担が大きい。また、前輪を起こしてフックでリムを固定する構成の場合は、前輪固定装置の高さが自転車のサイズによって異なるため、前輪を固定するフックが高さ調整の機構を有した複雑な構造となっている。さらに、両者ともに、ハンドルを操作して前輪を固定させる操作技術が必要となる。
【0005】
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、自転車全体を持ち上げることなく、また、前輪の操作技術を伴わずに、簡素な構成で自転車を立姿勢で固定することができる駐輪装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の駐輪装置は、自転車の前後方向を垂直方向に沿わせて前記自転車を立姿勢で駐輪する駐輪装置であって、駐輪される前記自転車のクランクまたはペダルの軌道内に設置され、前記クランクまたは前記ペダルの逆方向の移動を拘束する固定手段を備える。
【0007】
このような構成であれば、クランクまたはペダルの軌道内に固定手段が設置されているので、クランクまたはペダルを逆方向に回転させて固定手段に接触させ、クランクまたはペダルの逆方向の移動を固定手段により拘束する。これにより、自転車が転倒しないように固定される。これは、自転車のクランクおよびペダルを順方向に回転させると前方に推進する力が発生するが、逆方向に回転させるとラチェット機構によりフリーに回転する特性を活用したものである。
【0008】
自転車を取り出す場合は、例えば、後輪の固定が解除される程度に自転車を持ち上げれば、クランクまたはペダルが順方向に回転し自転車の固定が解除されるので、自転車を取り出すことができる。
【0009】
〔発明2〕 さらに、発明2の駐輪装置は、自転車の前後方向を垂直方向に沿わせて前記自転車を立姿勢で駐輪する駐輪装置であって、駐輪される前記自転車のクランクまたはペダルの軌道内外を移動可能な固定手段を備え、前記固定手段を前記軌道外から前記軌道内に移動させて前記クランクまたは前記ペダルの逆方向の移動を拘束することにより前記自転車を固定する。
【0010】
このような構成であれば、クランクまたはペダルの軌道外から軌道内に固定手段を移動させ、クランクまたはペダルを逆方向に回転させて固定手段に接触させ、クランクまたはペダルの逆方向の移動を固定手段により拘束する。これにより、自転車が転倒しないように固定される。
【0011】
自転車を取り出す場合は、クランクまたはペダルの軌道内から軌道外に固定手段を移動させれば固定が解除されるので、自転車を取り出すことができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、発明1の駐輪装置によれば、クランクまたはペダルの逆方向の移動を拘束することにより自転車を固定するので、自転車全体を持ち上げることなく、また、前輪の操作技術を伴わずに、自転車を立姿勢で固定することができるという効果が得られる。また、クランクまたはペダルの高さは、後輪が同径であれば自転車のフレームサイズに関係なくほぼ同じであるので、個々の自転車に合わせて固定手段の位置を調整しなくてもすみ、簡素な構成になるという効果も得られる。
【0013】
さらに、発明2の駐輪装置によれば、クランクまたはペダルの軌道外から軌道内に固定手段を移動させてクランクまたはペダルの逆方向の移動を拘束することにより自転車を固定するので、自転車全体を持ち上げることなく、また、前輪の操作技術を伴わずに、自転車を立姿勢で固定することができるという効果が得られる。また、クランクまたはペダルの高さは、後輪が同径であれば自転車のフレームサイズに関係なくほぼ同じであるので、個々の自転車に合わせて固定手段の位置を調整しなくてもすみ、簡素な構成になるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用する直立式駐輪装置100の構成を示す図である。
【図2】ストッパ受板8の側面図である。
【図3】本発明を適用する直立式駐輪装置200の構成を示す図である。
【図4】クランクストッパ27の構成を示す図である。
【図5】本発明を適用する直立式駐輪装置300の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を適用する直立式駐輪装置100の構成を示す図である。図1(a)は、直立式駐輪装置100の正面図であり、図1(b)は、図1(a)中のA−A’線に沿った断面図である。
【0016】
直立式駐輪装置100は、図1に示すように、自転車80を立姿勢で収容可能な箱型の自転車収納庫102を有して構成されている。
【0017】
自転車収納庫102は、底板1と、底板1から立ち上がる左の側板2と、底板1から立ち上がる右の側板3と、底板1から立ち上がり側板2、3の後辺と接合された背板4と、底板1と対向し側板2、3および背板4の上辺と接合された天板6と、前面に開閉可能に取り付けられた扉5とを有して構成されている。
【0018】
背板4の内面には、自転車80の前輪83が回転しないように前輪83を固定する前輪ストッパ11が設けられている。前輪ストッパ11には、前輪83を案内する溝が形成されており、前輪83は、この溝に収容されることにより固定される。
【0019】
側板2と側板3との間には、自転車80を固定するパイプ状のクランクストッパ7が左右水平方向に設けられている。側板2の内面には、クランクストッパ7の左端を支持するストッパ受板8が設けられている。側板3の内面であってストッパ受板8に対向する位置には、クランクストッパ7の右端を支持するストッパ受板9が設けられている。そして、クランクストッパ7は、自転車80のクランク84の軌道内外をスライド可能に設置されている。
【0020】
図2は、ストッパ受板8の側面図である。
ストッパ受板8には、図2に示すように、クランクストッパ7をスライドさせるためのコの字型の溝が形成されている。上段の水平溝8aは、クランク84の軌道外に形成され、前後水平方向に伸長している。下段の水平溝8bは、クランク84の軌道内に形成され、前後水平方向に伸長している。垂直溝8cは、水平溝8a、8bの後端を接続し、クランクストッパ7をクランク84の軌道内外に案内する。自転車80の駐輪時は、自転車80の自重によりクランクストッパ7を下段の水平溝8bに案内し手前にスライドさせ、クランク84の逆方向の移動をクランクストッパ7により拘束することにより自転車80を固定する。これに対し、自転車80の取出時は、クランクストッパ7を上段の水平溝8aに案内し手前にスライドさせることにより上段の水平溝8aで保持する。
【0021】
なお、ストッパ受板9にも、同様に、ストッパ受板8と対称となるコの字型の溝が形成されている。
【0022】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
自転車80を駐輪する場合は、自転車80のハンドル81を持ち上げ、後輪82を転がしながら自転車収納庫102のなかに入れる。このとき、クランクストッパ7が上段の水平溝8aに保持されているので、前輪83でクランクストッパ7を前に押し出すことにより、クランクストッパ7を下段の水平溝8bに落とす。そして、後輪82を背板4に押し当て、前輪83を前輪ストッパ11に挿入した状態でクランク84を逆回転させ、クランクストッパ7にクランク84を接触させ、クランク84の逆方向の移動をクランクストッパ7により拘束する。クランク84は、左側からみて約11時または右側から見て約1時の位置で拘束される。後輪82は底板1に接して回転しないことから、クランク84は順方向へは回転しないので、自転車80は転倒しないように固定される。これは、クランク84を順方向に回転させると前方に推進する力が発生するが、逆方向に回転させるとラチェット機構によりフリーに回転する特性を活用したものである。
【0023】
自転車80を取り出す場合は、クランクストッパ7を持ち上げ手前にスライドさせて上段の水平溝8aで保持すれば固定が解除されるので、自転車80を手前に引き出し取り出すことができる。
【0024】
このようにして、本実施の形態では、直立式駐輪装置100は、クランク84の軌道内外をスライド可能に設置されたクランクストッパ7を備え、クランク84の軌道外から軌道内にクランクストッパ7をスライドさせてクランク84の逆方向の移動を拘束することにより自転車80を固定する。
【0025】
これにより、自転車80全体を持ち上げることなく、また、前輪83の操作技術を伴わずに、自転車80を立姿勢で固定することができる。また、クランクの高さは、後輪が同径であれば自転車のフレームサイズに関係なくほぼ同じであるので、個々の自転車に合わせてクランクストッパ7の位置を調整しなくてもすみ、簡素な構成になる。
【0026】
さらに、本実施の形態では、ストッパ受板8には、クランク84の軌道外に水平溝8aが形成されている。
【0027】
これにより、自転車80の取出時にクランクストッパ7を上段の水平溝8aで保持することができるので、自転車80が取り出しやすい。
【0028】
さらに、本実施の形態では、ストッパ受板8には、クランク84の軌道内に水平溝8bが形成されている。
【0029】
これにより、自転車80の固定時にクランクストッパ7の上方へのせり上がりを防止することができる。これは、クランクストッパ7をクランク84の軌道外にスライドさせるためには、クランク84の先端がクランクストッパ7よりも奥に位置している必要があり、クランク84の角度が垂直ではないことから、クランクストッパ7に上方への力が働くためである。
【0030】
本実施の形態において、クランクストッパ7は、発明1または2の固定手段に対応している。
【0031】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
図3は、本発明を適用する直立式駐輪装置200の構成を示す図である。図3(a)は、直立式駐輪装置200の正面図であり、図3(b)は、直立式駐輪装置200の右側面図である。
【0032】
直立式駐輪装置200は、図3に示すように、前後水平方向に伸長するレール23と、埋設、溶接またはボルト締め等によりレール23に垂直に固着された支持柱24とを有して構成されている。基礎面21は、例えば、駐輪場の床面や路面またはその上に設置された台板等からなる。
【0033】
レール23には、後輪82を案内する溝が形成されており、後輪82は、この溝に収容されることにより固定される。
【0034】
支持柱24には、前輪83を案内する溝が形成されており、前輪83は、この溝に収容されることにより固定される。また、支持柱24には、クランクストッパ27が前後方向に突出して設けられている。クランクストッパ27は、クランク84の軌道内外を回動可能に設置されている。
【0035】
図4は、クランクストッパ27の構成を示す図である。図4(a)は、クランクストッパ27の左側面図であり、図4(b)は、クランクストッパ27の水平断面図である。
【0036】
クランクストッパ27は、図4に示すように、前後方向に伸長し矩形断面を有するストッパ支柱25と、左右水平方向に伸長しストッパ支柱25の一端に中央が接合されたストッパハンドル26とを有して構成されている。
【0037】
ストッパ支柱25の他端は、ヒンジにより回動可能に支持柱24に取り付けられている。
【0038】
ストッパハンドル26の表面には、クランク84への損傷を防止するための緩衝材が取り付けられている。
【0039】
ストッパハンドル26の可動範囲は、クランク84が上支点(12時の位置)にある場合にクランク84の先端から所定長(例えば、5cm)下の位置が最下端となり、クランク84が上支点にある場合にクランク84の先端よりも所定長(例えば、3cm)上の位置が最上端となる。自転車80の駐輪時は、クランクストッパ27を最下端まで回動させ、クランク84の逆方向の移動をクランクストッパ27により拘束することにより自転車80を固定する。これに対し、自転車80の取出時は、クランクストッパ27を最上端まで回動させることによりクランク84の軌道外で保持する。
【0040】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
自転車80を駐輪する場合は、ハンドル81を持ち上げ、後輪82をレール23に乗せるとともに前輪83を支持柱24に挿入し、後輪82を転がしながら支持柱24に押し当てる。このとき、クランクストッパ27が最下端に保持されている状態でクランク84を逆回転させ、クランクストッパ27にクランク84を接触させ、クランク84の逆方向の移動をクランクストッパ27により拘束する。後輪82はレール23に接して回転しないことから、クランク84は順方向へは回転しないので、自転車80は転倒しないように固定される。
【0041】
自転車80を取り出す場合は、クランクストッパ27を最上端まで回動させれば固定が解除されるので、自転車80を手前に引き出し取り出すことができる。
【0042】
このようにして、本実施の形態では、直立式駐輪装置200は、クランク84の軌道内外を回動可能に設置されたクランクストッパ27を備え、クランク84の軌道外から軌道内にクランクストッパ27を回動させてクランク84の逆方向の移動を拘束することにより自転車80を固定する。これにより、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0043】
本実施の形態において、クランクストッパ27は、発明1または2の固定手段に対応している。
【0044】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
図5は、本発明を適用する直立式駐輪装置300の側面図である。
【0045】
直立式駐輪装置300は、図5に示すように、壁面32に設けられた前輪ストッパ34と、前輪ストッパ34の下方の壁面32に設けられたクランクストッパ37とを有して構成されている。壁面32は、例えば、建築物や土木構造物の壁面である。
【0046】
クランクストッパ37は、上記第2の実施の形態におけるクランクストッパ27と同様に構成され、クランク84の軌道内外を回動可能に設置されている。
【0047】
ストッパハンドル36の可動範囲は、クランク84が上支点にある場合にクランク84の先端から所定長(例えば、5cm)下の位置が最下端となり、クランク84が上支点にある場合にクランク84の先端よりも所定長(例えば、3cm)上の位置が最上端となる。自転車80の駐輪時は、クランクストッパ37を最下端まで回動させ、クランク84の逆方向の移動をクランクストッパ37により拘束することにより自転車80を固定する。これに対し、自転車80の取出時は、クランクストッパ37を最上端まで回動させることによりクランク84の軌道外で保持する。
【0048】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
自転車80を駐輪する場合は、ハンドル81を持ち上げ、前輪83を前輪ストッパ34に挿入し、後輪82を転がしながら壁面32に押し当てる。このとき、クランクストッパ37が最下端に保持されている状態でクランク84を逆回転させ、クランクストッパ37にクランク84を接触させ、クランク84の逆方向の移動をクランクストッパ37により拘束する。後輪82は基礎面31に接して回転しないことから、クランク84は順方向へは回転しないので、自転車80は転倒しないように固定される。
【0049】
自転車80を取り出す場合は、クランクストッパ37を最上端まで回動させれば固定が解除されるので、自転車80を手前に引き出し取り出すことができる。
【0050】
このようにして、本実施の形態では、直立式駐輪装置300は、クランク84の軌道内外を回動可能に設置されたクランクストッパ37を備え、クランク84の軌道外から軌道内にクランクストッパ37を回動させてクランク84の逆方向の移動を拘束することにより自転車80を固定する。これにより、上記第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0051】
本実施の形態において、クランクストッパ37は、発明1または2の固定手段に対応している。
【0052】
なお、上記第1の実施の形態においては、クランク84の軌道内外をスライド可能にクランクストッパ7を設置するように構成したが、これに限らず、クランクストッパ7をスライド可能とせず、下段の水平溝8bの位置でクランクストッパ7を固定する構成を採用することもできる。また、クランク84の軌道内のみをスライド可能にクランクストッパ7を設置する構成を採用することもできる。これらの構成において、自転車80を駐輪する場合は、自転車80のハンドル81を持ち上げ、後輪82を転がしながら自転車収納庫102のなかに入れる。このとき、後輪82を背板4に押し当て、前輪83を前輪ストッパ11に挿入した状態でクランク84を逆回転させ、クランクストッパ7にクランク84を接触させ、クランク84の逆方向の移動をクランクストッパ7により拘束する。クランク84は、左側からみて約11時または右側から見て約1時の位置で拘束される。後輪82は底板1に接して回転しないことから、クランク84は順方向へは回転しないので、自転車80は転倒しないように固定される。これに対し、自転車80を取り出す場合は、後輪82の固定が解除される程度に自転車80を持ち上げれば、クランク84が順方向に回転し自転車80の固定が解除されるので、自転車80を手前に引き出し取り出すことができる。
【0053】
また、上記第2の実施の形態においては、クランク84の軌道内外を回動可能にクランクストッパ27を設置するように構成したが、これに限らず、クランクストッパ27を回動可能とせず、最下端の位置でクランクストッパ27を固定する構成を採用することもできる。また、クランク84の軌道内のみを回動可能にクランクストッパ27を設置する構成を採用することもできる。これらの構成において、自転車80を駐輪する場合は、ハンドル81を持ち上げ、後輪82をレール23に乗せるとともに前輪83を支持柱24に挿入し、後輪82を転がしながら支持柱24に押し当てる。このとき、クランク84を逆回転させ、クランクストッパ27にクランク84を接触させ、クランク84の逆方向の移動をクランクストッパ27により拘束する。後輪82はレール23に接して回転しないことから、クランク84は順方向へは回転しないので、自転車80は転倒しないように固定される。これに対し、自転車80を取り出す場合は、後輪82の固定が解除される程度に自転車80を持ち上げれば、クランク84が順方向に回転し自転車80の固定が解除されるので、自転車80を手前に引き出し取り出すことができる。
【0054】
また、上記第3の実施の形態においては、クランク84の軌道内外を回動可能にクランクストッパ37を設置するように構成したが、これに限らず、クランクストッパ37を回動可能とせず、最下端の位置でクランクストッパ37を固定する構成を採用することもできる。また、クランク84の軌道内のみを回動可能にクランクストッパ37を設置する構成を採用することもできる。これらの構成において、自転車80を駐輪する場合は、ハンドル81を持ち上げ、前輪83を前輪ストッパ34に挿入し、後輪82を転がしながら壁面32に押し当てる。このとき、クランク84を逆回転させ、クランクストッパ37にクランク84を接触させ、クランク84の逆方向の移動をクランクストッパ37により拘束する。後輪82は基礎面31に接して回転しないことから、クランク84は順方向へは回転しないので、自転車80は転倒しないように固定される。これに対し、自転車80を取り出す場合は、後輪82の固定が解除される程度に自転車80を持ち上げれば、クランク84が順方向に回転し自転車80の固定が解除されるので、自転車80を手前に引き出し取り出すことができる。
【0055】
また、上記第1ないし第3の実施の形態並びに上記変形例においては、クランクストッパ7、27、37によりクランク84を固定するように構成したが、これに限らず、自転車80のペダルを固定するように構成することもできる。
【符号の説明】
【0056】
100、200、300…直立式駐輪装置、 102…自転車収納庫、 1…底板、 2、3…側板、 4…背板、 5…扉、 6…天板、 7、27、37…クランクストッパ、 8、9…ストッパ受板、 8a、8b…水平溝、 8c…垂直溝、 11、34…前輪ストッパ、 21、31…基礎面、 23…レール、 24…支持柱、 25、35…ストッパ支柱、 26、36…ストッパハンドル、 32…壁面、 80…自転車、 81…ハンドル、 82…後輪、 83…前輪、 84…クランク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車の前後方向を垂直方向に沿わせて前記自転車を立姿勢で駐輪する駐輪装置であって、
駐輪される前記自転車のクランクまたはペダルの軌道内に設置され、前記クランクまたは前記ペダルの逆方向の移動を拘束する固定手段を備えることを特徴とする駐輪装置。
【請求項2】
自転車の前後方向を垂直方向に沿わせて前記自転車を立姿勢で駐輪する駐輪装置であって、
駐輪される前記自転車のクランクまたはペダルの軌道内外を移動可能な固定手段を備え、前記固定手段を前記軌道外から前記軌道内に移動させて前記クランクまたは前記ペダルの逆方向の移動を拘束することにより前記自転車を固定することを特徴とする駐輪装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−111244(P2012−111244A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247970(P2010−247970)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【特許番号】特許第4896258号(P4896258)
【特許公報発行日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【出願人】(310022512)パブリックマネジメント株式会社 (1)