説明

騒音検知システム及び騒音検知方法

【課題】報知の適切化を図ることが可能な騒音検知システム及び騒音検知方法を提供する。
【解決手段】騒音検知システム1は、第1居住空間において発生する音量レベルを測定する測定部71と、第2居住空間の居住者の行動を検出する行動検出部72と、第2居住空間の居住者の行動に応じた閾値を設定する設定部73と、第2居住空間の居住者の行動に対応付けて設定された閾値を記憶する記憶部74と、記憶部74を参照して、行動検出部72により検出された隣人の行動に応じて、設定部73で設定された閾値を選択する選択部75と、選択部75により選択された閾値と測定部71にて測定された音量レベルとを比較する比較部76と、比較部76により、測定部71にて測定された音量レベルが選択された閾値を超えると判断された場合に、第1居住空間内の居住者に対して報知を行う表示部と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、騒音検知システム及び騒音検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内から隣室や上下の部屋に伝わる騒音を検出し、検出された騒音が閾値以上である場合に、報知を行う騒音検知システムが提案されている(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−274562号公報
【特許文献2】特開2006−29859号公報
【特許文献3】特開2008−33397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に人は就寝中やテレビ鑑賞中など行動に応じて騒音を気にする度合いが変わってくる。しかし、従来装置では、検出された騒音が閾値以上である場合に報知を行うため、就寝中など比較的小さな騒音でも気にする場合と、テレビ鑑賞中など比較的大きな騒音でも気にしない場合とで、閾値が同じとなっており、適切に報知が行われているとは言い難い。
【0005】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、報知の適切化を図ることが可能な騒音検知システム及び騒音検知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の騒音検知システムは、第1居住空間において発生する音量レベルを測定する測定手段と、第1居住空間に隣接する第2居住空間の居住者の行動を検出する行動検出手段と、第2居住空間の居住者の行動に応じた閾値を設定する設定手段と、第2居住空間の居住者の行動に対応付けて設定された閾値を記憶する記憶手段と、記憶手段を参照して、行動検出手段により検出された居住者の行動に応じて、設定手段で設定された閾値を選択する選択手段と、選択手段により選択された閾値と測定手段にて測定された音量レベルとを比較する比較手段と、比較手段により、測定手段にて測定された音量レベルが選択された閾値を超えると判断された場合に、第1居住空間内の居住者に対して報知を行う報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の騒音検知システムにおいて、時刻を検出する時刻検出手段をさらに備え、設定手段は、第2居住空間の居住者の行動及び時刻に応じた閾値を設定し、記憶手段は、第2居住空間の居住者の行動と時刻とに対応付けて設定された閾値を記憶し、選択手段は、行動検出手段により検出された第2居住空間の居住者の行動、及び時刻検出手段により検出された時刻の双方に応じて、設定手段により設定された閾値を選択することが好ましい。
【0008】
また、本発明の騒音検知システムにおいて、第1居住空間において発生する音量レベルを測定する測定手段と、時刻を検出する時刻検出手段と、時刻に応じた閾値を設定する設定手段と、時刻に対応付けて設定された閾値を記憶する記憶手段と、記憶手段を参照して、時刻検出手段により検出された時刻に応じて、設定手段で設定された閾値を選択する選択手段と、選択手段により選択された閾値と測定手段にて測定された音量レベルとを比較する比較手段と、比較手段により、測定手段にて測定された音量レベルが選択された閾値を超えると判断された場合に、第1居住空間内の居住者に対して報知を行う報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の騒音検知システムにおいて、測定手段により測定された音量レベルが閾値を超えると判断された場合に、音量の出力源である音源を特定する特定手段と、特定手段により特定された音源から出力される音量の音量レベルが最小の閾値以下となるように、音量制御を行う音量制御手段と、をさらに備える。
【0010】
また、本発明の騒音検知方法は、第1居住空間において発生する音量レベルを測定する測定工程と、第1居住空間に隣接する第2居住空間の居住者の行動を検出する行動検出工程と、第2居住空間の居住者の行動に応じた閾値を設定する設定工程と、第2居住空間の居住者の行動に対応付けて設定された閾値を記憶する記憶手段を参照して、行動検出工程において検出された居住者の行動に応じて、設定工程で設定された閾値を選択する選択工程と、選択工程において選択された閾値と測定工程にて測定された音量レベルとを比較する比較工程と、比較工程において、測定工程にて測定された音量レベルが選択された閾値を超えると判断された場合に、第1居住空間内の居住者に対して報知を行う報知工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の騒音検知方法は、第1居住空間において発生する音量レベルを測定する測定工程と、時刻を検出する時刻検出工程と、時刻に応じた閾値を設定する設定工程と、時刻に対応付けて設定された閾値を記憶する記憶手段を参照して、時刻検出工程において検出された時刻に応じて、設定工程で設定された閾値を選択する選択工程と、選択工程において選択された閾値と測定工程にて測定された音量レベルとを比較する比較工程と、比較工程において、測定工程にて測定された音量レベルが選択された閾値を超えると判断された場合に、第1居住空間内の居住者に対して報知を行う報知工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、報知の適切化を図ることが可能な騒音検知システム及び騒音検知方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る騒音検知システムを示す構成図である。
【図2】図1に示した棟制御装置の詳細を示す機能ブロック図である。
【図3】騒音検知システムが設置される集合住宅の一例を示す図であり、(a)は外観を示し、(b)は隣接関係を示している。
【図4】第2居住空間A〜Dの居住者の行動に応じた閾値を示す図であって、(a)は第2居住空間Aの閾値を示し、(b)は第2居住空間Bの閾値を示し、(c)は第2居住空間Cの閾値を示し、(d)は第2居住空間Dの閾値を示している。
【図5】図2に示した選択部により選択される閾値を示す図である。
【図6】第2居住空間Aの居住者の行動及び時刻に応じた閾値を示す図である。
【図7】本実施形態に係る騒音検知方法を示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態に係る閾値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る騒音検知システムを示す構成図である。
【0015】
図1に示すように、騒音検知システム1は、集合住宅やホテルなどに設置されるものであって、自己の居住空間(第1居住空間)において発生する騒音が隣人に対してうるさく感じられると予測される場合に、自己に対して報知を行うものである。この騒音検知システム1は、マイク10、振動検知器20、表示部(報知手段)30、コンポ40、重量センサ50、ホーム情報ブレーカ60、及び棟制御装置70からなる。なお、本実施形態において騒音検知システム1は、ネット環境設備の機能も兼ねているため、インターネット回線90及びセンターサーバ100についても図示している。
【0016】
マイク10は、第1居住空間において発生した音量に応じた電気信号を出力するものであって、ホーム情報ブレーカ60を通じて音量に応じた電気信号を棟制御装置70に送信するものである。振動検知器20は、第1居住空間において生じた振動量に応じた電気信号を出力するものであって、ホーム情報ブレーカ60を通じて振動量に応じた電気信号を棟制御装置70に送信するものである。
【0017】
表示部30は、NetTVなど映像表示機器である。また、表示部30は、電源がオンされているか否かの情報、及び、電源オン時における音量の情報を、ホーム情報ブレーカ60を通じて棟制御装置70に送信する。コンポ40は、音楽等の再生機器である。また、コンポ40は、電源がオンされているか否かの情報、及び、電源オン時における音量の情報を、ホーム情報ブレーカ60を通じて棟制御装置70に送信する。
【0018】
重量センサ50は、寝室のベッドやリビングのソファーなどに設置され、居住者がベッドで寝ているときや、ソファーに座っているときに重量を検知して、その旨の情報を、ホーム情報ブレーカ60を通じて棟制御装置70に送信する。なお、以下において居住者とは、住宅において長期に居住する者に限らず、ホテルなどの一時的な滞在をする者も含む概念とする。
【0019】
ホーム情報ブレーカ60は、インターネット回線90側からの送信される不要な情報を遮断する遮断装置として機能するものである。また、本実施形態においてホーム情報ブレーカ60は、棟制御装置70とマイク10等とを中継する中継機器としても機能する。
【0020】
図2は、図1に示した棟制御装置70の詳細を示す機能ブロック図である。また、図3は、騒音検知システム1が設置される集合住宅の一例を示す図であり、(a)は外観を示し、(b)は隣接関係を示している。
【0021】
図2に示すように、棟制御装置70は、測定部(測定手段)71、行動検出部(行動検出手段)72、設定部(設定手段)73、記憶部(記憶手段)74、選択部(選択手段)75、及び比較部(比較手段)76を備えている。
【0022】
測定部71は、マイク10からの電気信号、及び、振動検知器20からの電気信号に基づいて、第1居住空間において発生する音量レベルを測定するものである。また、測定部71は、第1居住空間に設置されるマイク10及び振動検知器20からの電気信号に基づいて、第1居住空間において発生する音量レベルを測定する。
【0023】
行動検出部72は、第1居住空間に隣接する第2居住空間の居住者の行動を検出するものである。この行動検出部72は、表示部30からの電源オン情報及び音量情報、コンポ40からの電源オン情報及び音量情報、並びに、重量センサ50からの重量情報から、居住者が「休憩中」「就寝中」「映画テレビ鑑賞中」「音楽鑑賞中」などのいずれの行動をとっているかを検出する。また、本実施形態においてホーム情報ブレーカ60は、外出時にその旨を設定可能となっている。このため、行動検出部72は、ホーム情報ブレーカ60からの信号により「外出中」についても検出可能となっている。
【0024】
設定部73は、第2居住空間の居住者の行動に応じた閾値を設定するものである。例えば設定部73は、居住者の行動が「休憩中」である場合に閾値を21dBに設定し、居住者の行動が「就寝中」である場合に閾値を11dBに設定する。また、例えば設定部73は、居住者の行動が「映画テレビ鑑賞中」及び「音楽鑑賞中」である場合に閾値を31dBに設定し、居住者の行動が「外出中」である場合に閾値を∞dBに設定する。なお、設定部73はデフォルトの閾値を設定していてもよく、例えば「デフォルト」を41dBに設定する。
【0025】
ここで、設定部73は居住空間毎に閾値を設定する。このため、図3(a)に示すように各階5部屋の10階建ての集合住宅に、本実施形態に係る騒音検知システム1が適用されているとする。この場合、設定部73は、50部屋×10階の50の居住空間それぞれについて、居住者の行動に応じた閾値を設定することとなる。
【0026】
記憶部74は、設定部73に設定された閾値を記憶するものであり、第2居住空間の居住者の行動に対応付けて設定された閾値を記憶するものである。比較部76は、記憶部74を参照して、測定部71により測定された第1居住空間において発生した音量レベルと、上記閾値とを比較するものである。すなわち、図3(b)に示すように、比較部76は、第1居住空間が居住空間Xである場合、第1居住空間Xにて発生した音量レベルと、第1居住空間Xと上下左右に隣接する第2居住空間A〜Dに設定される閾値とを比較する。
【0027】
ここで、図4を参照して、第2居住空間A〜Dの居住者の行動に応じた閾値を説明する。図4は、第2居住空間A〜Dの居住者の行動に応じた閾値を示す図であって、(a)は第2居住空間Aの閾値を示し、(b)は第2居住空間Bの閾値を示し、(c)は第2居住空間Cの閾値を示し、(d)は第2居住空間Dの閾値を示している。
【0028】
図4(a)に示すように、第2居住空間Aの居住者の行動が「休憩中」である場合、閾値は21dBに設定され、居住者の行動が「就寝中」である場合、閾値は11dBに設定されている。また、居住者の行動が「映画テレビ鑑賞中」及び「音楽鑑賞中」である場合、閾値は31dBに設定され、居住者の行動が「外出中」である場合、閾値は∞dBに設定されている。さらに、「デフォルト」の場合、閾値は41dBに設定されている。
【0029】
図4(b)に示すように、第2居住空間Bの居住者の行動が「休憩中」である場合、閾値は22dBに設定され、居住者の行動が「就寝中」である場合、閾値は12dBに設定されている。また、居住者の行動が「映画テレビ鑑賞中」及び「音楽鑑賞中」である場合、閾値は32dBに設定され、居住者の行動が「外出中」である場合、閾値は∞dBに設定されている。さらに、「デフォルト」の場合、閾値は42dBに設定されている。
【0030】
図4(c)に示すように、第2居住空間Cの居住者の行動が「休憩中」である場合、閾値は23dBに設定され、居住者の行動が「就寝中」である場合、閾値は13dBに設定されている。また、居住者の行動が「映画テレビ鑑賞中」及び「音楽鑑賞中」である場合、閾値は33dBに設定され、居住者の行動が「外出中」である場合、閾値は∞dBに設定されている。さらに、「デフォルト」の場合、閾値は43dBに設定されている。
【0031】
図4(d)に示すように、第2居住空間Dの居住者の行動が「休憩中」である場合、閾値は24dBに設定され、居住者の行動が「就寝中」である場合、閾値は14dBに設定されている。また、居住者の行動が「映画テレビ鑑賞中」及び「音楽鑑賞中」である場合、閾値は34dBに設定され、居住者の行動が「外出中」である場合、閾値は∞dBに設定されている。さらに、「デフォルト」の場合、閾値は44dBに設定されている。
【0032】
選択部75は、記憶部74を参照して、行動検出部72により検出された第2居住空間の居住者の行動に応じて、設定部73で設定された閾値を選択するものである。
【0033】
図5は、図2に示した選択部75により選択される閾値を示す図である。例えば第2居住空間Aにおいて行動検出部72により検出された行動が「就寝中」である場合、選択部75は、第2居住空間Aについて、11dBの閾値を選択する。同様に、選択部75は、第2居住空間Bにおいて行動検出部72により検出された行動が「休憩中」である場合、22dBの閾値を選択する。また、選択部75は、第2居住空間Cにおいて行動検出部72により検出された行動が「休憩中」である場合、23dBの閾値を選択する。さらに、選択部75は、第2居住空間Dにおいて行動検出部72により検出された行動が「映画テレビ鑑賞中」である場合、34dBの閾値を選択する。
【0034】
特に本実施形態の場合、第1居住空間が4つの第2居住空間と隣接するため、選択された閾値のうち、最小の閾値をさらに選択する。
【0035】
再度、比較部76を説明する。比較部76は、選択部75により選択された閾値と測定部71により測定された音量レベルとを比較する。すなわち、図5に示す例において最小の閾値は11dBである。このため、比較部76は、11dBの閾値と、測定部71により測定された音量レベルとを比較することとなる。なお、第1居住空間が1つの第2居住空間のみと隣接する場合、第2居住空間の居住者の行動に応じて選択された閾値がそのまま最小の閾値となり、測定部71により測定された音量レベルと比較されることとなる。
【0036】
また、比較部76は、測定部71により測定された音量レベルが最小の閾値(上記では11dB)を超えると判断した場合、その旨の信号を出力する。これにより、表示部30は、騒音が高いことを示す報知を第1居住空間X内の居住者に対して行うこととなる。
【0037】
さらに、本実施形態に係る棟制御装置70は、時刻検出部(時刻検出手段)76を備えている。時刻検出部77は時刻を検出するものである。設定部73は、第2居住空間毎に、時刻に応じた閾値を設定している。このため、設定部73は、行動のみならず時刻に応じて閾値を設定することとなる。
【0038】
図6は、第2居住空間Aの居住者の行動及び時刻に応じた閾値を示す図である。図6に示すように、第2居住空間Aの居住者の行動が「休憩中」である場合、時刻が朝、昼及び夜の時間に該当するとき、閾値は15dBに設定され、時刻が深夜の時間に該当するとき、閾値は10dBに設定される。
【0039】
また、第2居住空間Aの居住者の行動が「就寝中」である場合、時刻が朝及び夜の時間に該当するとき、閾値は10dBに設定され、時刻が夜の時間に該当するとき、閾値は7dBに設定される。さらに、時刻が深夜の時間に該当するとき、閾値は5dBに設定される。
【0040】
また、第2居住空間Aの居住者の行動が「映画テレビ鑑賞中」及び「音楽鑑賞中」である場合、時刻が朝、昼及び夜の時間に該当するとき、閾値は∞dBに設定され、時刻が深夜の時間に該当するとき、閾値は60dBに設定される。
【0041】
さらに、「デフォルト」の場合、時刻が朝、昼及び夜の時間に該当するとき、閾値は20dBに設定され、時刻が深夜の時間に該当するとき、閾値は15dBに設定される。なお、図6は第2居住空間Aについての閾値のみを示しているが、他の第2居住空間についても同様である。
【0042】
このように、設定部73は、行動及び時刻に応じた閾値を設定している。このため、選択部75は、第2居住空間毎に、時刻検出部77により検出された時刻に応じて、設定された閾値を選択する。すなわち、選択部75は、行動及び時刻から、複数の閾値のうち対応する1つを選択することとなる。そして、比較部76により最小の閾値と音量レベルとの比較が行われることとなる。なお、第1居住空間が1つの第2居住空間のみと隣接する場合、上記と同様に、第2居住空間の居住者の行動及び時刻に応じて選択された閾値がそのまま最小の閾値となり、測定部71により測定された音量レベルと比較されることとなる。
【0043】
さらに、本実施形態に係る棟制御装置70は、特定部(特定手段)78と、音量制御部(音量制御手段)79とを備えている。特定部78は、測定部71により測定された音量レベルが最小の閾値を超えると判断された場合に、音量の出力源である音源を特定するものである。具体的に特定部78は、表示部30やコンポ40から送信される電源オン時における音量の情報に基づいて、音量の出力源である音源を特定する。
【0044】
音量制御部79は、特定部78により特定された音源から出力される音量の音量レベルが、最小の閾値以下となるように、音量制御を行うものである。これにより、第1居住空間の居住者が直接音量を制御する必要なく、隣人が騒音を気にならないように音量を調整することができる。
【0045】
次に、本実施形態に係る騒音検知方法について説明する。図7は、本実施形態に係る騒音検知方法を示すフローチャートである。まず、棟制御装置70はシステム自体がオフとなったか否かを判断する(S1)。システム自体がオフとなったと判断した場合(S1:YES)、図7に示す処理は終了する。
【0046】
システム自体がオフとなっていないと判断した場合(S1:NO)、行動検出部72は、第2居住空間の居住者の行動を検出する(S2)。このとき、行動検出部72は、表示部30からの電源オン情報及び音量情報、コンポ40からの電源オン情報及び音量情報、並びに、重量センサ50からの重量情報などから、第2居住空間の居住者の行動を検出する。
【0047】
次いで、時刻検出部77は現在時刻を検出し(S3)、選択部75は、ステップS2で検出された第2居住空間の居住者の行動と現在時刻とから、第2居住空間毎に対応する閾値を選択する(S4)。そして、比較部76は、ステップS4において選択された閾値のうち、最小の閾値を決定する(S5)。
【0048】
次に、測定部71は、第1居住空間において発生した音量レベルを測定する(S6)。このとき、測定部71は、マイク10及び振動検知器20からの電気信号に基づいて、音量レベルを測定する。
【0049】
そして、比較部76は、ステップS6において測定した音量レベルが、ステップS5において決定した最小の閾値を超えるか否かを判断する(S7)。ステップS6において測定した音量レベルが、ステップS5において決定した最小の閾値を超えないと判断した場合(S7:NO)、処理はステップS1に移行する。
【0050】
一方、ステップS6において測定した音量レベルが、ステップS5において決定した最小の閾値を超えると判断した場合(S7:YES)、特定部78は、音量の出力源である音源の特定処理を実行する(S8)。この特定処理では、表示部30やコンポ40から送信される電源オン時における音量の情報に基づいて、音源が特定される。
【0051】
その後、特定部78は、音源が特定できたか否かを判断する(S9)。例えば、表示部30やコンポ40以外の、騒音検知システム1に組み込まれていない機器から、音量が発生している場合など、特定部78は音源を特定できないと判断し(S9:NO)、処理はステップS11に移行する。
【0052】
一方、表示部30やコンポ40から大音量が発生している場合など、特定部78は音源を特定できたと判断する(S9:YES)。そして、音量制御部79は、特定された音源のボリュームを低下させ、音量レベルを最小の閾値以下とする(S10)。その後、表示部30は、騒音により隣人に迷惑を掛けている旨の報知を行う(S11)。そして、図7に示す処理は終了する。なお、表示部30は、報知を行うにあたり、ステップS10のボリュームダウンが実行されている場合、その旨を表示してもよい。
【0053】
このようにして、本実施形態に係る騒音検知システム1及び騒音検知方法によれば、第2居住空間の居住者の行動を検出し、検出された行動に応じて閾値を選択する。ここで、例えば隣人が就寝中である場合と音楽鑑賞中である場合とでは、騒音を気にする度合いが変わってくる。このため、隣人が就寝中であるか音楽鑑賞中であるかなどの行動に応じて、閾値を選択し、選択された閾値と測定された音量レベルと比較することで、報知の適切化を図ることができる。
【0054】
さらに、時刻を検出し、検出された時刻に応じて閾値を選択する。ここで、例えば隣人は時刻に応じて、騒音を気にする度合いが変わってくる。このため、時刻に応じて閾値を選択することで、一層報知の適切化を図ることができる。
【0055】
また、測定された音量レベルが最小の閾値を超えると判断された場合に、音量の出力源である音源を特定し、特定した音源から出力される音量の音量レベルが最小の閾値以下となるように、音量制御を行う。このため、第1居住空間の居住者が直接音量を制御する必要なく、隣人が騒音を気にならないように音量調整することができる。これにより、居住者と隣人との苦情発生を極端に抑えることができる。
【0056】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る騒音検知システム1は第1実施形態のものと同様であるが、構成及び処理内容が第1実施形態のものと一部異なっている。以下、相違点について説明する。
【0057】
まず、第2実施形態に係る棟制御装置70は行動検出部72を備えていない。このため、選択部75は時刻検出部77により検出された時刻に応じて、閾値を選択する。図8は、第2実施形態に係る閾値を示す図である。なお、図8に示す例では第2居住空間Aのみを例に説明する。
【0058】
図8に示すように、閾値は「朝」「昼」「夜」「深夜」の4時刻に分けて設定されている。具体的には図8に示すように、時刻が「朝」である場合、閾値は16dBに設定され、時刻が「昼」である場合、閾値は31dBに設定されている。また、時刻が「夜」である場合、閾値は21dBに設定され、時刻が「深夜」である場合、閾値は11dBに設定されている。さらに、「デフォルト」の場合、閾値は41dBに設定されている。また、記憶部74は、図8のように設定された閾値を記憶することとなる。
【0059】
このように構成されるため、第2実施形態において比較部76は、時刻に応じて選択された閾値と、測定部71により測定された音量レベルとを比較することとなる。そして、比較部76は、測定部71により測定された音量レベルが閾値を超えると判断した場合、その旨の信号を出力する。これにより、表示部30は、騒音が高いことを示す報知を第1居住空間X内の居住者に対して行うこととなる。
【0060】
なお、第2実施形態に係る騒音検知方法は、図7に示すステップS2の処理が省略されたものと同様である。
【0061】
このようにして、第2実施形態に係る騒音検知システム1及び騒音検知方法によれば、時刻を検出し、検出された時刻に応じて閾値を選択する。ここで、例えば隣人は時刻に応じて、騒音を気にする度合いが変わってくる。このため、時刻に応じて閾値を選択することで、報知の適切化を図ることができる。
【0062】
また、第1実施形態と同様に、測定された音量レベルが最小の閾値を超えると判断された場合に、音量の出力源である音源を特定し、特定した音源から出力される音量の音量レベルが最小の閾値以下となるように、音量制御を行う。このため、第1居住空間の居住者が直接音量を制御する必要なく、隣人が騒音を気にならないように音量調整することができる。これにより、居住者と隣人との苦情発生を極端に抑えることができる。
【0063】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施形態を組み合わせてもよい。
【0064】
例えば、上記実施形態において騒音検知システム1は、ネット環境設備も兼ねているが、これに限らず、騒音検知システム1が単独で用いられてもよい。
【0065】
また、各居住空間の閾値は、居住空間毎の躯体に関する躯体情報に基づいて自動設定されることが望ましい。ここで、躯体とは、壁の厚さ、壁の素材、鉄筋及び木造などの建物の構造に関するものである。第1居住空間にて発生した音量は、躯体の影響を受けて第2居住空間に騒音として伝わる。このため、閾値は躯体に応じて変化すべきである。よって、居住空間毎の躯体に関する躯体情報に基づいて閾値を自動設定することにより、マンションやホテル等の構造に応じた閾値を設定でき、一層報知の適切化を図ることができる。なお、躯体情報については、所定の装置から棟制御装置70の設定部73に情報送信することによって入力される。
【0066】
また、本実施形態において閾値は行動に応じて全て異なっているが、これに限らず「就寝中」など、1つだけ閾値が異なっていてもよい。
【0067】
また、各閾値は、メーカにより設定されてもよいし、集合住宅の管理人などにより設定されてもよい。さらに、各閾値は、隣人により設定されてもよいし、自己により設定されてもよい。この場合、ホーム情報ブレーカ60をユーザインターフェースとしても用いるようにしてもよい。
【0068】
また、本実施形態において閾値は時刻に応じて、如何様に異なっていてもよい。例えば、「深夜」など、1つだけ閾値が異なっていてもよいし、全ての閾値が異なっていてもよい。さらに、本実施形態では、「朝」「昼」「夜」「深夜」の4つに分けられているが、これに限らず、「9時〜10時」など時間単位で分けられていてもよいし、分まで加味して分けられていてもよい。
【0069】
さらに、上記実施形態において第1居住空間に隣接する第2居住空間は4つであるが、特にこれに限らず、1つ〜3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…騒音検知システム
10…マイク
20…振動検知器
30…表示部(報知手段)
40…コンポ
50…重量センサ
60…ホーム情報ブレーカ
70…棟制御装置
71…測定部(測定手段)
72…行動検出部(行動検出手段)
73…設定部(設定手段)
74…記憶部(記憶手段)
75…選択部(選択手段)
76…比較部(比較手段)
77…時刻検出部(時刻検出手段)
78…特定部(特定手段)
79…音量制御部(音量制御手段)
90…インターネット回線
100…センターサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1居住空間において発生する音量レベルを測定する測定手段と、
第1居住空間に隣接する第2居住空間の居住者の行動を検出する行動検出手段と、
第2居住空間の居住者の行動に応じた閾値を設定する設定手段と、
第2居住空間の居住者の行動に対応付けて設定された前記閾値を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段を参照して、前記行動検出手段により検出された居住者の行動に応じて、前記設定手段で設定された閾値を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された閾値と前記測定手段にて測定された音量レベルとを比較する比較手段と、
前記比較手段により、前記測定手段にて測定された音量レベルが前記選択された閾値を超えると判断された場合に、第1居住空間内の居住者に対して報知を行う報知手段と、
を備えることを特徴とする騒音検知システム。
【請求項2】
時刻を検出する時刻検出手段をさらに備え、
前記設定手段は、第2居住空間の居住者の行動及び時刻に応じた閾値を設定し、
前記記憶手段は、第2居住空間の居住者の行動と時刻とに対応付けて設定された閾値を記憶し、
前記選択手段は、前記行動検出手段により検出された第2居住空間の居住者の行動、及び前記時刻検出手段により検出された時刻の双方に応じて、前記設定手段により設定された閾値を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の騒音検知システム。
【請求項3】
第1居住空間において発生する音量レベルを測定する測定手段と、
時刻を検出する時刻検出手段と、
時刻に応じた閾値を設定する設定手段と、
時刻に対応付けて設定された前記閾値を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段を参照して、前記時刻検出手段により検出された時刻に応じて、前記設定手段で設定された閾値を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された閾値と前記測定手段にて測定された音量レベルとを比較する比較手段と、
前記比較手段により、前記測定手段にて測定された音量レベルが前記選択された閾値を超えると判断された場合に、第1居住空間内の居住者に対して報知を行う報知手段と、
を備えることを特徴とする騒音検知システム。
【請求項4】
前記測定手段により測定された音量レベルが前記閾値を超えると判断された場合に、音量の出力源である音源を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された音源から出力される音量の音量レベルが前記最小の閾値以下となるように、音量制御を行う音量制御手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の騒音検知システム。
【請求項5】
第1居住空間において発生する音量レベルを測定する測定工程と、
第1居住空間に隣接する第2居住空間の居住者の行動を検出する行動検出工程と、
第2居住空間の居住者の行動に応じた閾値を設定する設定工程と、
第2居住空間の居住者の行動に対応付けて設定された前記閾値を記憶する記憶手段を参照して、前記行動検出工程において検出された居住者の行動に応じて、前記設定工程で設定された閾値を選択する選択工程と、
前記選択工程において選択された閾値と前記測定工程にて測定された音量レベルとを比較する比較工程と、
前記比較工程において、前記測定工程にて測定された音量レベルが前記選択された閾値を超えると判断された場合に、第1居住空間内の居住者に対して報知を行う報知工程と、
を備えることを特徴とする騒音検知方法。
【請求項6】
第1居住空間において発生する音量レベルを測定する測定工程と、
時刻を検出する時刻検出工程と、
時刻に応じた閾値を設定する設定工程と、
時刻に対応付けて設定された前記閾値を記憶する記憶手段を参照して、前記時刻検出工程において検出された時刻に応じて、前記設定工程で設定された閾値を選択する選択工程と、
前記選択工程において選択された閾値と前記測定工程にて測定された音量レベルとを比較する比較工程と、
前記比較工程において、前記測定工程にて測定された音量レベルが前記選択された閾値を超えると判断された場合に、第1居住空間内の居住者に対して報知を行う報知工程と、
を備えることを特徴とする騒音検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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