説明

骨または軟骨障害の検出および診断のための方法

本発明は、骨または軟骨障害を診断し、および/または検出するための方法であって、試験試料中のポリペプチドの発現レベルが前記ポリペプチドに特異的に結合する抗体と試験試料を接触すること、および前期試験試料に対する前期抗体の結合を測定することによって測定される方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、骨または軟骨障害を診断し、および/または検出するための、方法、並びにキットに関する。より具体的には、本発明は、骨および/または軟骨において高レベルにて発現されるいくつかの遺伝子を同定する方法に有用であろう。また、本発明は、体液中に存在するいくつかのペプチドを同定し、これは、本方法において有用であろう。
【背景技術】
【0002】
背景
骨は、種々の組織型を含む強固な、動的器官である。骨の主要組織は、骨様組織であり、骨組織とも呼ばれ、大部分はリン酸カルシウムで形成される比較的硬い、軽量組織である。骨において見いだされるその他の組織型は、骨髄、骨内膜および骨膜、神経(原文ではnervers)、血管、並びに軟骨を含む。
【0003】
2つの異なる細胞系統が、骨において見いだされる。骨芽細胞は、未分化な間充織前駆細胞に由来する骨形成細胞である。破骨細胞は、骨吸収を担う細胞であり、単球幹細胞に由来する。骨の連続的な破壊および再建は、これらの2つの細胞タイプの相互作用により生じる。骨芽細胞および破骨細胞の作用は、これらの細胞の活性を促進し、または阻害し、したがって、骨が作製され、および/または破壊される速度を制御する化学的因子によって制御される。
【0004】
胚発生の間の骨の形成は、2つの異なる経路:軟骨内または膜内骨化を介して生じる。膜内骨化は、主に間充織組織からの頭蓋骨の骨形成の間に生じる。軟骨内骨化は、長骨(たとえば、肢)において生じ、軟骨からの骨形成を伴う。軟骨内骨化は、胎児の発育の間に現れる軟骨における一次骨化中心にて開始する。これらの中心は、長骨の骨幹の形成を担う。二次骨形成は、出生後に生じ、長骨の骨端を形成する。長骨の骨幹および両方の骨端は、骨端軟骨板と呼ばれる軟骨の生長帯によって隔てられる。成熟に達すると(ヒトについては、約18歳)、軟骨は、骨によって置き換えられて、骨幹および両方の骨端を共に融合する骨端閉鎖と称される過程である。
【0005】
障害の一覧は、パジェット病(変形性骨炎)、リウマチ様関節炎、骨関節炎および歯周病などの炎症性骨疾患、骨格転移の間に生じる限局的骨形成、クルゾン症候群、成熟遅延骨異形成症、濃化異骨症/トゥルーズ-ロートレック疾患、骨形成不全症(脆性骨疾患)および骨粗鬆症を含むが、限定されない、骨再吸収(原文ではresporption)および増強の複雑なバランスの混乱により生じる。その他の骨格の障害は、骨軟化症、骨減少症、大理石骨病および離断性骨軟骨炎を含む。
【0006】
骨粗鬆症は、骨格障害で最も顕著なものの1つである。骨粗鬆症では、骨塩量が減少し、骨構造が崩壊して、骨における非コラーゲン性タンパク質の量および多様性が変化される。本疾患は、最も一般的には閉経後の女性において観察されるが、男性においても発症し得る。骨粗鬆症における根底にあるメカニズムは、骨吸収と骨形成との間の平衡異常であり;骨吸収が増加し、および/または新たな骨の形成が不完全である。
【0007】
軟骨は、細胞外基質を産生する軟骨細胞と呼ばれる分化した細胞で構成される一種の強靭結合組織である。軟骨は、骨の関節の表面、胸郭、耳、鼻部、気管支および椎間円板において見いだされる。その機械的特性は、骨と強靭結合組織との間にある。その他の結合組織とは異なり、軟骨は、血管を含まない。
【0008】
軟骨は、3つの群:硝子軟骨、弾性軟骨および線維軟骨に分類されている。硝子軟骨は、硬い、半透明の材料で、高濃度のコラーゲンおよびプロテオグリカンである。これは、骨の末端を覆って、関節の平滑な関節表面を形成する。弾性軟骨は、高濃度のエラスチンを含み、これが弾性を提供し、耳の耳介において、耳管などの管状構造物において、および喉頭蓋(原文ではepioglotis)において見いだされる。繊維軟骨は、高い抗張力および支持体を提供するタイプIコラーゲンの密度の高いネットワークを含み、椎間円板、恥骨結合、並びに一定の腱および靱帯のアタッチメントにおいて見いだされる。
【0009】
骨関節炎、軟骨形成不全および肋軟骨炎を含むいくつかの疾患は、軟骨に影響を及ぼす。骨関節炎は、低品位の炎症が関節において疼痛を生じる臨床的な症候群であり、関節内部軟骨の異常な摩耗または関節を潤滑する滑液の減少によって生じる。骨関節炎の主な症候は、慢性痛であり、運動性の減少を生じる。この状態に対して遺伝性の感受性があると思われる。
【0010】
近年、骨粗鬆症およびリウマチ様関節炎のような重篤な骨および軟骨疾患を引き起こす生物過程を研究するための生物マーカーの総数が増加してきている。最近では、破骨細胞または骨芽細胞増殖のいずれかに影響を及ぼすいくつかの制御分子に対して注目が引かれている。骨代謝回転の生物学の理解におけるこの進歩にもかかわらず、より多くの生物マーカーが、骨および軟骨疾患についての基礎研究および臨床研究のために必要である。
【発明の概要】
【0011】
概要
本発明は、配列番号1〜56によって表される本発明のポリペプチドについて観察される差動的発現に基づいた、骨および/または軟骨障害の分野における診断、並びに検出の方法に関する。また、本発明は、本発明のポリペプチドに由来する、配列番号57〜193によって表される、体液ペプチドの検出に基づいた、骨および/または軟骨障害の分野における診断、並びに検出の方法に関する。
【0012】
本明細書は、その他の組織と比較して、骨および/または軟骨組織において、より高い度合いで発現される種々のポリペプチドの同定を記述する。これらのポリペプチドは、哺乳類における骨および/または軟骨障害の診断、並びに検出のために有効な標的として役立つことが予想される。ポリペプチドは、健康な年齢および性がマッチした対照と比較して、骨および/または軟骨障害を示す患者において差動的に発現されると思われる。当業者であれば、このような差動的に発現されたポリペプチドは、本発明の範囲内の骨障害の早期発見、診断および/または予後において有用性を有することを認識するだろう。
【0013】
また、本明細書は、選択的に発現されたポリペプチドに由来する体液ペプチドの同定を記述する。また、体液ペプチドは、哺乳類における骨および/または軟骨障害の診断、並びに検出のために有効な標的として役立つことが分かる。一般に、診断に使用するための検出は、インビトロアッセイにおいて行われる。
【0014】
本発明にしたがって診断され得る骨障害は、骨粗鬆症、骨減少症、骨軟化症、骨骨髄腫、骨形成異常、パジェット病、骨形成不全症、骨硬化症、再生不良性骨障害、体液性高カルシウム血症骨髄腫、多発性骨髄腫、クルゾン症候群、成熟遅延骨異形成症、濃化異骨症および大理石骨病を含むが、限定されない。
【0015】
本発明にしたがって診断され得る軟骨障害は、骨関節炎およびリウマチ様関節炎、退行性骨関節症、骨軟骨炎、離断性骨軟骨炎、肋軟骨炎および多発性軟骨炎を含む関節炎を含むが、限定されない。
【0016】
一つの態様において、本発明は、好ましくは、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドに特異的に結合する抗体を提供する。関連した態様において、本発明は、好ましくは、配列番号57〜193から選択されるペプチドに特異的に結合する抗体を提供する。任意に、抗体は、モノクローナル抗体、抗体断片、キメラ抗体、ヒト化抗体または単鎖抗体である。診断目的のためには、本発明の抗体は、検出可能的に標識され、固体支持体に付着され、またはその他同様にされていてもよい。抗体は、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドの任意のエピトープに結合してもよく、ポリペプチドの少なくとも1つのエピトープに結合することができる。抗体は、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドの直鎖状または高次構造上のエピトープを認識してもよい。一つの態様において、抗体は、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドおよび配列番号57〜193から選択されるペプチドに共通のエピトープを認識する。
【0017】
その他の態様において、本発明は、本明細書に記述された抗体のいずれかをコードするDNAおよびDNAを含むベクターを提供する。また、このようなベクターを含む宿主細胞が提供される。たとえば、宿主細胞は、CHO細胞、大腸菌(E. coli)細胞または酵母細胞であってもよい。
【0018】
その他の態様において、本発明は、好ましくは、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドに特異的に結合するオリゴペプチドを提供する。関連した態様において、本発明は、好ましくは、配列番号57〜193から選択されるペプチドに特異的に結合するオリゴペプチドを提供する。本発明のオリゴペプチドは、任意にCHO細胞または細菌細胞において産生してもよい。診断目的のためには、オリゴペプチドは、検出可能的に標識され、固体支持体に付着され、またはその他同様にされていてもよい。また、本発明の任意のオリゴペプチドをコードするDNAを含むベクターおよびこのようなベクターを含む宿主細胞が提供される。任意のオリゴペプチドを産生するための方法がさらに提供され、所望のオリゴペプチドの発現のために適した条件下で宿主細胞を培養すること、および細胞培養から所望のオリゴペプチドを回収することを含む。
【0019】
もう一つの態様において、本発明は、好ましくは、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドに特異的に結合する小有機分子を提供する。診断目的のためには、本発明の有機分子は、検出可能的に標識され、固体支持体に付着され、またはその他同様にされていてもよい。
【0020】
もう一つの態様において、本発明は、担体と組み合わせて、任意の本明細書に記述された抗体、オリゴペプチドまたは小有機分子(ひとまとめにして、「特異的な結合剤」)を含む組成物に関する。任意に、担体は、薬学的に許容される担体である。
【0021】
さらにもう一つの態様において、本発明は、容器および容器内の組成物を含むキットであって、組成物は、本明細書に記述された特異的な結合剤(すなわち、抗体、オリゴペプチドまたは小有機分子)のいずれかを含んでいてもよいキットに関する。キットは、骨および/または軟骨障害の診断の検出のための組成物の使用に言及する、容器に添付されたラベルまたは容器と共に含まれた添付文書をさらに任意に含んでいてもよい。
【0022】
本発明のさらにもう一つの態様は、試験試料における配列番号1〜56から選択されるポリペプチドおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドの発現レベルを決定する方法に対して向けられる。一つの側面において、本方法は、試験試料を、ポリペプチドおよび/またはペプチドを特異的に結合する特異的な結合剤(すなわち、抗体、オリゴペプチドまたは小有機分子)と接触させること、および試験試料に対する特異的な結合剤の結合を決定することを含む。好ましくは、特異的な結合剤は、抗体である。
【0023】
本発明のさらにもう一つの態様は、試験試料における配列番号1〜56から選択されるポリペプチドの発現変化を決定する方法であって、(a)試験試料を前記ポリペプチドに特異的に結合する特異的な結合剤と接触させること、(b)前記試験試料に対する前記特異的な結合剤の結合を測定すること、および(c)工程(b)の結合を対照と比較することを含み、これにより、前記ポリペプチドの発現変化が、工程(b)の結合における対照との相違によって同定される、方法に対して向けられる。好ましくは、特異的な結合剤は、抗体である。
【0024】
関連した態様において、本発明は、試験試料における配列番号1〜56から選択されるポリペプチドの発現変化を決定する方法であって、(a)試験試料を配列番号57〜193のペプチドに特異的に結合する特異的な結合剤と接触させること(b)前記試験試料に対する前記特異的な結合剤の結合を測定すること、および(c)工程(b)の結合を対照と比較することを含み、これにより、前記ポリペプチドの発現変化が、工程(b)の結合における対照との相違によって同定される、方法を提供する。好ましくは、特異的な結合剤は、抗体である。
【0025】
本発明のさらにもう一つの態様は、試験試料における配列番号57〜193から選択されるペプチドの発現変化を決定する方法であって、(a)試験試料を前記ペプチドに特異的に結合する特異的な結合剤と接触させること、(b)前記試験試料に対する前記特異的な結合剤の結合を測定すること、および(c)工程(b)の結合を対照と比較することを含み、これにより、前記ペプチドの発現変化が、工程(b)の結合における対照との相違によって同定される、方法に対して向けられる。好ましくは、特異的な結合剤は、抗体である。
【0026】
関連した態様において、本発明は、試験試料における配列番号57〜193から選択されるペプチドの発現変化を決定する方法であって、(a)試験試料を配列番号1〜56のポリペプチドに対して特異的に結合する特異的な結合剤と接触させること、(b)前記試験試料に対する前記特異的な結合剤の結合を測定すること、および(c)工程(b)の結合を対照と比較することを含み、これにより、前記ペプチドの発現変化が、工程(b)の結合における対照との相違によって同定される、方法を提供する。好ましくは、特異的な結合剤は、抗体である。
【0027】
本発明のさらにもう一つの態様は哺、乳類における骨および/または軟骨障害を診断する方法であって、前記障害を有することが疑われる前記哺乳類からの試験試料における配列番号1〜56から選択されるポリペプチドのレベルを決定することを含み、正常な哺乳類における前記ポリペプチドのレベルと比較した前記哺乳類における前記ポリペプチドのレベルの相違は、骨および/または軟骨障害の存在を示す、方法に対して向けられる。好ましくは、哺乳類は、ヒトである。
【0028】
関連した態様において、本発明は、哺乳類における骨および/または軟骨障害を診断する方法であって、前記障害を有することが疑われる前記哺乳類からの試験試料における配列番号57〜193から選択されるペプチドのレベルを決定することを含み、正常な哺乳類における前記ペプチドのレベルと比較した前記哺乳類における前記ペプチドのレベルの相違は、結合および/または軟骨障害の存在を示す、方法を提供する。好ましくは、哺乳類は、ヒトである。
【0029】
一つの側面において、診断法は、(a)哺乳類から得られた試験試料を配列番号1〜56から選択されるポリペプチドに結合する特異的な結合剤と接触させること、(b)試験試料に特異的な結合剤の結合を測定すること、および(c)工程(b)の結合を対照と比較することを含み、これにより、骨および/または軟骨障害が、対照と比較した試験試料におけるポリペプチドの発現の増大または減少によって診断される。好ましくは、特異的な結合剤は、抗体である。
【0030】
関連した側面において、診断法は、(a)哺乳類から得られた試験試料を配列番号57〜193から選択されるペプチドに結合する特異的な結合剤と接触させること、(b)試験試料に対する特異的な結合剤の結合を測定すること、および(c)工程(b)の結合を対照と比較することを含み、これにより、骨および/または軟骨障害が、対照と比較した試験試料に対する結合の増大または減少によって診断される。好ましくは、特異的な結合剤は、抗体である。
【0031】
本発明のさらにもう一つの態様は、特異的な結合剤を配列番号1〜56から選択されるポリペプチドおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドを含む試験試料に結合する方法であって、前記ポリペプチドおよび/またはペプチドに特異的な結合剤の結合のために適した条件下で試験試料を前記特異的な結合剤と接触させること、並びにその間で結合させることを含む方法に対して向けられる。好ましくは、特異的な結合剤は、抗体である。
【0032】
本発明のその他の態様は、骨および/または軟骨障害の診断の検出のために有用な医薬の製造における本明細書に記述された特異的な結合剤の使用に対して向けられる。好ましくは、特異的な結合剤は、抗体である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A】図1Aは、エピフィカン(EPYC)(配列番号19)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図1B】図1Bは、エピフィカン(EPYC)(配列番号19)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図1C】図1Cは、エピフィカン(EPYC)(配列番号19)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図2A】図2Aは、アソポリン(ASPN)(配列番号2)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図2B】図2Bは、アソポリン(ASPN)(配列番号2)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図2C】図2Cは、アソポリン(ASPN)(配列番号2)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図3A】図3Aは、LOC 646627(配列番号28)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図3B】図3Bは、LOC 646627(配列番号28)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図3C】図3Cは、LOC 646627(配列番号28)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図4A】図4Aは、LOXL3(配列番号29)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図4B】図4Bは、LOXL3(配列番号29)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図4C】図4Cは、LOXL3(配列番号29)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図5A】図5Aは、TWIST2(配列番号54)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図5B】図5Bは、TWIST2(配列番号54)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図5C】図5Cは、TWIST2(配列番号54)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図6A】図6Aは、CRTACl(配列番号16)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図6B】図6Bは、CRTACl(配列番号16)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図6C】図6Cは、CRTACl(配列番号16)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図7A】図7Aは、CHAD(配列番号10)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図7B】図7Bは、CHAD(配列番号10)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【図7C】図7Cは、CHAD(配列番号10)についての、認識因子、到達性および極性プロフィールを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
詳細な説明
定義
【0035】
「試験試料」は、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドを含む、もしくは含むことが疑われる生物体、体液、株化細胞、組織培養またはその他の供与源から得られた任意の生体試料が意図される。示したように、生体試料は、ポリペプチドおよび/またはペプチドを含む体液(以下の非限定の例など、痰、羊水、尿、唾液、涙、汗、母乳、分泌、間質液、血液、滑液、血清、髄液、リンパ、精液、膣液、脳脊髄液、細胞培養上清、細胞抽出物、組織抽出物、その他)、並びにポリペプチドおよび/またはペプチドを発現することが見いだされるその他の組織源を含む。生物体からの組織生検および体液を得るための方法は、当該技術分野において周知である。
【0036】
用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、具体的には、たとえば、所望の生物学的または免疫学的活性を示す、単一のモノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニストおよび中和抗体を含む)、ポリエピトープ特異性をもつ抗体組成物、ポリクローナル抗体、単鎖抗体および抗体断片を包含する。用語「免疫グロブリン」(Ig)は、本明細書において抗体と交換可能に使用される。
【0037】
基本的な4鎖抗体単位は、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖で構成されるヘテロ四量体の糖タンパク質である(IgM抗体は、J鎖と呼ばれるさらなるポリペプチドとともに、基本的なヘテロ四量体単位の5つからなり、したがって、10個の抗原結合部位を含み、一方、分泌型IgA抗体は、重合して、J鎖とともに、2〜5個の基本的な4鎖単位を含む多価集団を形成する)。IgGの場合、4鎖単位は、一般に約150kDaである。それぞれのL鎖は、1つの共有結合性ジスルフィド結合によってH鎖に連結され、一方、2つのH鎖は、H鎖アイソタイプに応じて1つまたは複数のジスルフィド結合によって互いに連結される。それぞれのHおよびL鎖は、また規、則正しく間隔を置いて内鎖ジスルフィド架橋を有する。それぞれのH鎖は、N末端にて、可変ドメイン(VH)、続いてαおよびγ鎖のそれぞれについて3つの定常ドメイン(CH)、並びにμおよびεアイソタイプについて4つのCHドメインを有する。それぞれのL鎖は、N末端基にて、可変ドメイン(VL)、続いて他方の末端にて定常ドメイン(CL)を有する。VLは、VHと共に一列に並び、CLは、重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と共に一列に並ぶ。特定のアミノ酸残基は、軽鎖と重鎖可変ドメインとの間の境界面 を形成すると考えられる。VHおよびVLの対形成により、共に単一の抗原結合部位を形成する。
【0038】
任意の脊椎動物種からのL鎖は、これらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、κおよびラムダと呼ばれる2つの明らかに異なるタイプの一方に割り当てることができる。これらの重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てることができる。5つの免疫グロブリンのクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、それぞれα、δ、ε、γおよびμと命名された重鎖を有する。γおよびαクラスは、CH配列および機能における比較的軽微な相違に基づいて、サブクラスにさらに分けられる。
【0039】
用語「可変」は、可変ドメインの一定のセグメントが、抗体間で配列が広範に異なるという事実をいう。Vドメインは、抗原結合を媒介し、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を定義する。しかし、可変性は、可変ドメインの110アミノ酸全長の全体に均一に分布されていない。むしろ、V領域は、それぞれ9〜12アミノ酸長である「超可変領域」と呼ばれる極度に可変性のより短い領域によって分離された15〜30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変の一配列からなる。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、β-シート構造を接続し、場合によってはβ-シート構造の一部を形成するループを形成する3つの高頻度可変または相補性決定領域(CDR)によって接続された、主にβ-シート配置を採用する4つのFRを含む。各鎖の超可変領域は、FRにより、きわめて近接して共に保持されて、その他の鎖からの超可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。定常ドメインは、抗原に対して抗体が結合するのに直接関与しないが、抗体依存性細胞障害性における抗体の関与などの種々のエフェクタ機能を示す。
【0040】
本明細書に使用される、用語「モノクローナル抗体」は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体をいい、すなわち、集団を含む個々の抗体は、おそらく微量に存在するであろう天然に存在する突然変異を除いて、同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して向けられる。さらに、異なる決定因子(エピトープ)に対して向けられた異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製とは対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定因子に対して向けられる。これらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、これらがその他の抗体による混入がなく合成され得るという点で、有利である。修飾語「モノクローナル」は、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものとして解釈されない。たとえば、本発明において有用なモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ方法論によって調製してもよく、または細菌、真核生物の動物もしくは植物細胞における組換えDNA法を使用して作製してもよく、またはファージ抗体ライブラリーから単離してもよい。
【0041】
モノクローナル抗体は、本明細書において、重鎖および/または軽鎖の一部が特定の種に由来し、かつ特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同的であるが、鎖(群)の残りが別の種に由来するか、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同的である「キメラ」抗体鎖、並びにこれらが所望の生物活性を示す限り、このような抗体の断片を含む。関心対象のキメラ抗体は、本明細書において、非ヒト霊長類(たとえば旧世界サル、類人猿など)およびヒト定常領域配列に由来する可変ドメイン抗原結合配列を含む「霊長類化された」抗体を含む。
【0042】
「無処置」抗体は、抗原結合部位、並びにCLおよび少なくとも重鎖定常ドメインCH1、CH2およびCH3を含むものである。
【0043】
「抗体断片」は、無処置の抗体の一部、好ましくは無処置の抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体断片の例は、抗体断片から形成される、Fab、Fab’、F(ab')2およびFv断片;ダイアボディー;直鎖抗体;単鎖抗体分子;並びに多特異的抗体を含む。
【0044】
抗体のパパイン消化により、「Fab」断片およびである容易に結晶化する能力を反映する名称残りの「Fc」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合性断片を生じる。Fab断片は、H鎖の可変領域ドメイン(VH)および1つの重鎖(CH1)の第1の定常ドメインとともに、L鎖全体からなる。それぞれのFab断片は、抗原結合に関して一価であり、すなわち、これは、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理により、おおまかに、二価の抗原結合活性を有し、かつさらに抗原を架橋することができる、2つのジスルフィド連結されたFab断片に対応する単一の大きなF(ab')2断片を生じる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1つまたは複数のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端にてさらなる数個の残基を有することにより、Fab断片とは異なる。Fab'-SHは、本明細書において、定常ドメインのシステイン残基(群)が遊離チオール基を有するFab’のための名称である。F(ab')2抗体断片は、元々それらの間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生される。抗体断片のその他の化学物質カップリングも知られている。
【0045】
Fc断片は、ジスルフィドによって共に保持された両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクタ機能は、Fc領域の配列によって決定され、該領域は、また、細胞の一定のタイプで見いだされるFc受容体(FcR)によって認識される部分である。
【0046】
「Fv」は、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含む最小の抗体断片である。この断片は、しっかりとした、非共有結合性の会合の、1つの重鎖および1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。これらの2つのドメインの折りたたみにより、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、かつ抗体に対して抗原結合特異性を与える、6つの高頻度可変ループ(それぞれ、HおよびL鎖からの3つのループ)を生じる。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ抗原を認識し、および結合するために能力を有するが、結合部位全体よりも低い親和性である。
【0047】
また「sFv」または「scFv」と略記される「単鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に接続されたVHおよびVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、VHとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、これにより、sFvが抗原結合のために所望の構造を形成することができる。
【0048】
用語「ダイアボディー」は、Vドメインの鎖間でなく内鎖対形成が達成されて、二価の断片、すなわち2つの抗原結合部位を有する断片を生じるように、VHとVLドメインとの間に短いリンカー(約5〜10残基)をもつsFv断片を構築することによって調製される小さな抗体断片をいう。二特異的なダイアボディーは、2つの抗体のVHおよびVLドメインが異なるポリペプチド鎖上にある2つの「交差」sFv断片のヘテロ二量体である。
【0049】
非ヒト(たとえば、齧歯類)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体に由来する最小の配列を含むキメラ抗体である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域からの残基が所望の抗体特異性、親和性および能力を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域からの残基によって置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。一部の場合において、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。さらにまた、ヒト化抗体は、レシピエント抗体において、またはドナー抗体において見いだされない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は、抗体性能をさらに洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つおよび典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、高頻度可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、かつFRの全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものであるだろう。また、ヒト化抗体は、任意に免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含むだろう。
【0050】
「種依存的抗体」、たとえば哺乳動物抗ヒトIgE抗体は、第1の哺乳動物種からの抗原に対して、それが第2の哺乳動物種からのその抗原の相同体に対して有するよりも強力な結合親和性を有する抗体である。通常、種依存的抗体は、ヒト抗原に「特異的に結合する」(すなわち、約1×10-7M、好ましくは約1×10-8Mおよび最も好ましくは約1×10-9M、の結合親和性(Kd)値を有する)が、第2の非ヒト哺乳動物種由来の抗原の相同体に対して結合親和性を有し、これは、ヒト抗原に対するその結合親和性よりも少なくとも約50倍または少なくとも約500倍または少なくとも約1000倍弱い。種依存的な抗体は、上記記載の通り種々のタイプの抗体のいずれかであることができるが、好ましくはヒト化またはヒト抗体である。
【0051】
関心対象の抗原、たとえば、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドに「結合する」抗体またはその他の有機分子は、十分な親和性で抗原を結合し、その結果、抗体またはその他の有機分子が抗原を発現する細胞、組織および/または体液において診断薬として有用であり、かつその他のタンパク質で有意に交差反応しない。このような態様において、「非標的」タンパク質に対する抗体またはその他の有機分子の結合の程度は、蛍光標示式細胞分取器(FACS)解析または放射性免疫沈降(RIA)によって決定すると、その特定の標的タンパク質に対する抗体またはその他の有機分子の結合の約10%未満だろう。標的分子に対する抗体またはその他の有機分子の結合に関して、用語特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド標的上のエピトープの「特異的結合」または「特異的に結合する」または「に対して特異的である」は、非特異的な相互作用とは測定可能に異なる結合を意味する。特異的結合は、たとえば、一般に結合活性を有さない同様の構造の分子である対照分子の結合と比較して分子の結合を決定することによって測定することができる。たとえば、特異的結合は、標的に類似する対照分子、たとえば過剰な標識されていない標的との競合によって決定することができる。この場合、特異的結合は、プローブに対する標識された標的の結合が過剰な非標識の標的によって競合的に阻害される場合に、示される。用語、本明細書に使用される特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド標的上のエピトープの「特異的結合」または「特異的に結合する」または「に対して特異的である」は、たとえば、少なくとも約10-4M、あるいは、少なくとも約10-5M、あるいは、少なくとも約10-6M、あるいは、少なくとも約10-7M、あるいは、少なくとも約10-8M、あるいは、少なくとも約10-9M、あるいは、少なくとも約10-10M、あるいは、少なくとも約10-11M、あるいは、少なくとも約10-12Mまたはそれ以上の標的に対するKdを有する分子によって示すことができる。一つの態様において、「特異的結合」とは、分子が実質的に任意のその他のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープに結合することのなく特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープに結合する場合の結合をいう。
【0052】
単語「標識する」は、本明細書に使用されるときに、「標識された」抗体、オリゴペプチドまたはその他の有機分子を産生するために抗体、オリゴペプチドもしくはその他の有機分子に直接もしくは間接的に抱合される検出可能な化合物または組成物をいう。標識は、それ自体検出可能であってもよく(たとえば、放射性同位元素標識または蛍光標識)または酵素標識の場合、基質化合物または検出可能である組成物の化学変化を触媒し得る。
【0053】
用語「ウエスタンブロット」、「ウエスタン免疫ブロット」、「免疫ブロット」および「ウエスタン」は、膜支持体上に固定されたタンパク質(類)、ポリペプチドまたはペプチドの免疫学的解析をいう。タンパク質を最初にポリアクリルアミドゲル電気泳動(すなわち、SDS-PAGE)によって分解してタンパク質を分離し、続いてゲルからニトロセルロースまたはナイロン膜などの固体支持体にタンパク質を転写する。次いで、固定されたタンパク質を関心対象の抗原に対する反応性を有する抗体に曝露する。抗体(すなわち、一次抗体)の結合は、一次抗体を特異的に結合する二次抗体を使用することによって検出される。二次抗体は、典型的には着色された反応生成物の産生によって抗原抗体複合体の可視化を可能にするか、または発光酵素反応を触媒する(たとえば、ECL試薬、Amersham)酵素に抱合される。
【0054】
本明細書に使用される、用語「ELISA」は、酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(またはEIA)をいう。多数のELISA法および適用が当該技術分野において公知であり、多くの参照文献に記述されている(たとえば、Crowther、Molecular Biomethods Handbook内の「Enzyme-Linked Immunosorbent Assay (ELISA)」、Rapleyら[編集者]、ページ595-617、Humana Press, Inc.、 Totowa, N.J. [1998]、Harlow and Lane (編集者)、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press [1988]; Ausubelら(編集者)、Current Protocols in Molecular Biology、第11章、John Wiley & Sons, Inc.、New York [1994]を参照されたい)。加えて、多数の市販のELISA試験系がある。
【0055】
1つのELISA法は、「直接ELISA」であり、試料中の抗原(たとえば、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドおよび/また、配列番号57〜193から選択されるペプチド)が検出される。直接ELISAの一つの態様において、抗原を含む試料は、固体(すなわち、定着された、または固定された)支持体(たとえば、マイクロタイタープレートウェル)に曝露される。試料内の抗原が固定相に固定されて、抗原に特異的な酵素抱合された抗体を使用して直接検出される。
【0056】
代わりの態様において、抗原に特異的な抗体は、試料中で検出される。本態様において、抗体(たとえば、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドまたは配列番号57〜193から選択されるペプチドに特異的な抗体)を含む試料が固体支持体(たとえば、マイクロタイタープレートウェル)に固定される。抗原特異的な抗体は、精製された抗原および酵素抱合された、抗原に特異的な抗体を使用して、その後に検出される。
【0057】
代わりの態様において、「間接的ELISA」が使用される。一つの態様において、抗原(または抗体)が直接ELISAのように固体支持体(たとえば、マイクロタイタープレートウェル)に固定されるが、最初に抗原特異的な抗体(または抗原)を添加し、次いで続いて、「種特異的」抗体(たとえば、ヤギ抗ウサギ抗体)としても知られている、抗原を特異的に結合する抗体に特異的な検出抗体の添加によって間接的に検出され、これらは、当該技術分野において公知の種々の製造業者から入手可能である。
【0058】
その他の態様において、「サンドイッチELISA」が使用され、この場合、抗原(たとえば、試験試料に含まれる)が、固体支持体上に固定され、かつ関心対象の抗原を結合することができる抗体(すなわち、捕捉抗体)を介して固体支持体(たとえば、マイクロタイタープレート)上に固定される。適切な捕捉抗体を、固定した相に添加後、次いで試料をマイクロタイタープレートウェルに添加して、続いて洗浄する。関心対象の抗原が試料中に存在する場合、これが支持体上に存在する捕捉抗体に結合される。一部の態様において、サンドイッチELISAは、「直接的サンドイッチ」ELISAであり、この場合、捕獲された抗原は、抗原に対して向けられた酵素抱合された抗体を使用することにより、直接検出される。あるいは、他の例では、サンドイッチELISAは、「間接的サンドイッチ」ELISAであり、この場合、捕獲された抗原は、抗原に対して向けられた抗体を使用することにより間接的に検出され、次いでこれが、抗原特異的抗体を結合し、したがって抗体-抗原抗体-抗体複合体を形成するもう一つの酵素抱合された抗体によって検出される。次いで、第三の抗体を検出するために、適切なリポーター試薬が添加される。あるいは、一部の態様において、抗原抗体複合体を検出するために、多くのさらなる抗体が必要に応じて添加される。いくつかの好ましい態様において、これらのさらなる抗体は、これらの可視化および/または定量化を可能にするために、標識され、またはタグが付けられる。
【0059】
本明細書に使用される、用語「捕捉抗体」は、抗原の検出の前に試料における抗原を結合する(すなわち、捕獲する)ためにサンドイッチELISAにおいて使用される抗体をいう。たとえば、一部の態様において、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドに対するポリクローナル抗体は、マイクロタイタープレートウェルに固定されたときに、捕獲抗体として役立つ。この捕獲抗体は、ウェルに添加された試料中に存在するポリペプチドおよび/またはペプチドを結合する。本発明の一つの態様において、ビオチン化された捕獲抗体は、アビジンコートされた固体支持体と組み合わせて本発明に使用される。次いで、もう一つの抗体(すなわち、検出抗体)を使用して、抗原抗体複合体を結合し、および検出する。実質的に抗体-抗原-抗体からなる「サンドイッチ」を形成する(すなわち、サンドイッチELISA)。
【0060】
本明細書に使用される、「検出抗体」は、可視化または定量化のための手段を有する抗体であり、これは典型的には、適切な基質の添加後に着色され、または蛍光性の反応生成物を生じる、典型的には複合酵素部分である。ELISAにおける検出抗体によって一般に使用される複合酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコアミラーゼおよびβ-ガラクトシダーゼを含む。一部の態様において、検出抗体は、関心対象の抗原に対して向けられ、一方で、その他の態様において、検出抗体は、関心対象の抗原に対して向けられない。一部の態様において、検出抗体は、抗種抗体である。あるいは、検出抗体は、ビオチン、蛍光マーカーまたは放射性同位元素などの標識でと共に製され、この標識を使用して検出され、および/または定量化される。
【0061】
本明細書に使用される、用語「リポーター試薬」、「リポーター分子」、「検出基質」および「検出試薬」は、抗原に対する抗体の結合の検出および/または定量化を可能にする試薬に関して使用される。たとえば、一部の態様において、リポーター試薬は、抗体に抱合された酵素のための比色基質である。抗体-酵素抱合体に対する適切な基質の添加により、比色または蛍光シグナルの産生を生じる(たとえば、関心対象の抗原に対する抱合された抗体の結合後)。その他のリポーター試薬は、放射性化合物を含むが、限定されない。また、この定義は、検出系の一部としてビオチンおよびアビジンに基づいた化合物(たとえば、ニュートラビジンおよびストレプトアビジンを含むが、限定されない)の使用を包含する。
【0062】
本明細書に使用される、用語「シグナル」は、一般に、反応(たとえば、抗原に対する抗体の結合)が生じたことを示す任意の検出可能な過程に関して使用される。放射能、蛍光または比色の産物/試薬の形態のシグナルは、全て本発明での使用が分かるだろうことが想定される。本発明の種々の態様において、シグナルは、定性的に評価され、一方で、別の態様において、シグナルは、定量的に評価される。
【0063】
本明細書に使用される、用語「増幅器」は、ELISAなどの検出方法においてシグナルを増強する系(たとえば、ELISAにおいて使用されるアルカリホスファターゼ増幅器系)に関して使用される。
【0064】
配列番号1〜56のポリペプチド
【0065】
配列番号1に記載された配列を有するポリペプチド
【0066】
アグリカン 1として知られるこのポリペプチドは、15q26に局在していた遺伝子AGC1によってコードされる。アグリカンは、軟骨組織における細胞外基質(ECM)の構成要素であり、アグリカナーゼまたはその他同種のものによって切断されたときに、体液中に放出される。アグリカンの断片の放出は、滑液、血清および尿における測定が可能である。アグリカン1に由来するペプチドは、配列番号57〜59として記載される。
【0067】
配列番号2に記載されたポリペプチドを有する配列
【0068】
アソポリン(ASPN)として知られるこのポリペプチドは、軟骨基質に関連するタンパク質のロイシンリッチリピートファミリーのメンバーである。アソポリンは、推定上のプロペプチド、4つのアミノ末端システイン、10個のロイシンリッチリピートおよび2つのカルボキシ末端のシステインを含む。
【0069】
配列番号3に記載されたポリペプチドを有する配列
【0070】
ブチリルコリンエステラーゼ(BCHE)(または血清コリンエステラーゼ)として知られるこのポリペプチドは、ニューロンのアセチルコリンエステラーゼに類似する。BCHE座位における変異誘発遺伝子は、外科麻酔の間の筋弛緩剤の投与後に、持続的な無呼吸によって明らかにされるスキサメトニウム感受性の原因となる。BCHEに由来するペプチドは、配列番号:159および160として記載される。
【0071】
配列番号4に記載されたポリペプチドを有する配列
【0072】
骨γ-カルボキシグルタミン酸タンパク質(BGLAP)またはオステオカルシンとして知られるこのポリペプチドは、骨芽細胞によって分泌されて、ミネラル化およびカルシウムイオン恒常性において役割を果たすと考えられる。
【0073】
配列番号5に記載されたポリペプチドを有する配列
【0074】
BGNまたはバイグリカンとして知られるこのポリペプチドは、骨および軟骨などのECM組織において見いだされる小さなロイシンリッチリピートプロテオグリカンである。バイグリカンは、ロイシンリッチリピート領域を含むコアおよびコンドロイチン硫酸またはデルマタン硫酸からなる2つのグリコサミノグリカン鎖からなる。バイグリカンは、骨のミネラル化において役割を果たすものと思われる。バイグリカンは、これがTGFβ1に結合する能力のため、マトリックス構築成長因子活性の制御に関与すると考えられる。BGNに由来するペプチドは、配列番号184〜191として記載される。
【0075】
配列番号6に記載されたポリペプチドを有する配列
【0076】
BMXとして知られるこのポリペプチドは、非受容体チロシンキナーゼである。BMX遺伝子は、染色体Xp22.2に位置するBTK/ITK/TEC/TXKファミリーのメンバーである。
【0077】
配列番号7に記載されたポリペプチドを有する配列
【0078】
Ucma(独特の軟骨基質関連タンパク質)と称されるこのポリペプチドは、種を越えて高度に保存された分泌型軟骨特異的タンパク質であるが、その他の公知のタンパク質に対する相同性はない。Ucmaは、染色体(chrosome)10オープンリーディングフレーム49(cl0orf49)によってコードされる。
【0079】
配列番号8に記載されたポリペプチドを有する配列
【0080】
CALUまたはカルメニンと称されるこのポリペプチドは、哺乳動物心臓およびその他の組織の内/筋小胞体に位置するカルシウム結合タンパク質である。これは、小胞体シャペロンタンパク質でありタンパク質の折畳みおよびソーティングに関与する。カルメニンは、CERC EFハンドスーパーファミリーのメンバーである。ヒトおよびマウスCALUタンパク質は、98%同一である。CALUおよびRCN3は、同時調節され;したがって、CALUについて検出される発現レベルは、CALUまたはこれに由来するペプチドの発現レベルの程度を提供する。
【0081】
配列番号9に記載されたポリペプチドを有する配列
【0082】
軟骨対のクラスホメオタンパク質1(CART1)と称されるこのポリペプチドは、また、ALX1としても知られ、腫瘍壊死因子受容体関連タンパク質ファミリーのメンバーである。CART1は、胚発生の間に軟骨細胞において選択的に発現される。ヒトにおける(原文ではis)CART1の機能は、いまだ決定されていないが、齧歯類において、CART1の突然変異は、神経管欠損を引き起こす。
【0083】
配列番号10に記載された配列を有するポリペプチド
【0084】
コンドロアドヘリン(またはCHAD)と称されるこのポリペプチドは、単離された軟骨細胞の接着を媒介すると考えられる軟骨基質タンパク質である。コンドロアドヘリンは、システインリッチ領域に隣接した11個のロイシンリッチリピートを含む。CHADは、OGNおよびEPYCと同時制御される。したがって、CHADについて検出される発現レベルは、OGNおよび/またはEPYCの発現レベルの程度を提供する。
【0085】
配列番号11に記載された配列を有するポリペプチド
【0086】
キチナーゼ3様1(CH13L1)と称されるこのポリペプチドは、また、軟骨糖タンパク質-39としても知られ、エキソビボで培養された関節軟骨細胞および滑膜細胞の主要な分泌型タンパク質である。キチナーゼ3様1は、ECMの再造形または分解において作用する可能性が最も高いキチン-結合レクチンである。CH13L1に由来するペプチドは、配列番号161〜168として記載される。
【0087】
配列番号12に記載されたポリペプチドを有する配列
【0088】
軟骨間層タンパク質(CILP)と称されるこのポリペプチドは、ヒト関節軟骨から同定され、および精製された。タンパク質のC末端の460アミノ酸は、ブタエクトヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼNTPPHaseに対して90%の類似性を示す。CILPに由来するペプチドは、配列番号60〜72として記載される。
【0089】
配列番号13に記載されたポリペプチドを有する配列
【0090】
CILP2と称されるこのポリペプチドは、50.6%同一であるCILPのアイソフォームである。CILP2に由来するペプチドは、配列番号73〜87として記載される。
【0091】
配列番号14に記載されたポリペプチドを有する配列
【0092】
C-型レクチンドメインファミリー3メンバーA(CLEC3A)と称されるこのポリペプチドは、ECM構造成分である。
【0093】
配列番号15に記載されたポリペプチドを有する配列
【0094】
コレクチンサブファミリーメンバー12(COLEC12)と称されるこのポリペプチドは、C-レクチンファミリーのメンバーであり、このメンバーは、コラーゲン様の配列および炭水化物認識ドメインを有する。COLEC12は、認識/除去を促進する微生物上の炭水化物抗原に結合することができる細胞表面糖タンパク質である。COLEC12は、循環からの特異的なアシアログリコプロテインの選択的なクリアランスに関与し得る。COLEC12に由来するペプチドは、配列番号90〜99として記載される。
【0095】
配列番号16に記載されたポリペプチドを有する配列
【0096】
軟骨酸性タンパク質1(CRTAC1)と称されるこのポリペプチドは、軟骨細胞によって分泌されるヒト関節軟骨のグリコシル化されたECM分子である。CRTAC1は、4つのFG-GAPリピートドメイン、1つのRGDインテグリン結合モチーフおよびEGF様カルシウム結合ドメインを有することが予測される。
【0097】
配列番号17に記載されたポリペプチドを有する配列
【0098】
サイトカイン様1(CYTL1)と称されるこのポリペプチドは、CD34マーカーを有する骨髄および臍帯血単核細胞において特異的に発現されるサイトカイン様タンパク質である。CYTLは、間葉細胞の軟骨形成を調節すると思われる。
【0099】
配列番号18に記載されたポリペプチドを有する配列
【0100】
エンドグリン(またはENG)と称されるこのポリペプチドは、内皮細胞によって高度に発現されるホモ二量体の膜貫通RGD含有糖タンパク質である。エンドグリンは、TGFβ受容体複合体の成分である。エンドグリンの突然変異は、遺伝性出血性毛細管拡張症を生じる。エンドグリンの2つのアイソフォームがあり、配列番号18は、2つのうちでより長い。
【0101】
配列番号19に記載されたポリペプチドを有する配列
【0102】
エピフィカン(EPYC)またはデルマタン硫酸プロテオグリカン3と称されるこのポリペプチドは、小さなロイシンリッチリピートプロテオグリカンファミリーのメンバーである。エピフィカンは、コラーゲン原線維およびその他のECMタンパク質と相互作用することによって原線維形成を調節する。EPYCは、OGNおよびCHADと同時調節される。したがって、EPYCについて検出される発現レベルは、OGNおよび/またはCHADの発現レベルの程度を提供する。
【0103】
配列番号20に記載されたポリペプチドを有する配列
【0104】
エタノールアミンキナーゼ1(ETNK1)と称されるこのポリペプチドは、ホスファチジルエタノールアミン合成経路の最初のコミットされた工程において機能する。ETNK1は、前立腺腫瘍および精上皮腫と関連し得る。ETNKの2つの異なるアイソフォームがあり、配列番号:20は、2つのうちでより長い。
【0105】
配列番号21に記載されたポリペプチドを有する配列
【0106】
フィブロネクチンロイシンリッチ膜貫通タンパク質(FLRT)2と称されるこのポリペプチドは、細胞接着および/または受容体シグナリングにおいて作用し得る。FLRT2に由来するペプチドは、配列番号100〜106として記載される。
【0107】
配列番号22に記載されたポリペプチドを有する配列
【0108】
FLRT3と称されるこのポリペプチドは、フィブロネクチンロイシンリッチ膜貫通タンパク質ファミリーのメンバーである。FLRT3は、FLRT2と44%のアミノ酸配列同一性を有する。FLTR3に由来するペプチドは、配列番号107〜108として記載される。
【0109】
配列番号23に記載されたポリペプチドを有する配列
【0110】
ヒアルロナンおよびプロテオグリカンリンクタンパク質(HAPLN1)と称されるこのポリペプチドは、軟骨におけるアグリカンとヒアルロナンとの間の相互作用の安定剤として機能し得る。
【0111】
配列番号24に記載されたポリペプチドを有する配列
【0112】
IGF様ファミリーメンバー3(IGFL3)と称されるこのポリペプチドは、細胞のエネルギー代謝および成長において重要な役割を果たす。
【0113】
配列番号25に記載されたポリペプチドを有する配列
【0114】
KIAA0999と称されるこのポリペプチドは、また、セリン/スレオニン-プロテインキナーゼQSKとしても知られ、ヒトサイクリックAMP依存性プロテインキナーゼβ-触媒サブユニットである。QSKは、ATPからタンパク質へのホスフェートの輸送を触媒する。QSKは、CAMK Ser/Thrプロテインキナーゼファミリーに属する。
【0115】
配列番号26に記載された配列を有するポリペプチド
【0116】
LOC283951と称されるこのポリペプチドは、細胞膜に局在することが予想される。このポリペプチドについてほとんど知られていない。LOC283951に由来するペプチドは、配列番号127として記載される。
【0117】
配列番号27に記載された配列を有するポリペプチド
【0118】
LOC284998と称されるこのポリペプチドは、染色体2上の位置2q12.1にマッピングする遺伝子によってコードされる仮定的タンパク質である。
【0119】
配列番号28に記載された配列を有するポリペプチド
【0120】
LOC646627と称されるこのポリペプチドは、染色体1上の位置1q44にマッピングする遺伝子によってコードされるホスホリパーゼ阻害剤である。
【0121】
配列番号29に記載された配列を有するポリペプチド
【0122】
とリジルオキシダーゼ様3(LOXL3)称されるこのポリペプチドは、結合組織の生物発生および修復にとって必須である。LOXL3は、コラーゲンおよびエラスチンにおける架橋の形成における最初の工程を触媒する細胞外銅依存的アミンオキシダーゼである。LOXL3は、頭蓋内動脈瘤についての感受性遺伝子である。
【0123】
配列番号30に記載された配列を有するポリペプチド
【0124】
LOXL3のようなリジルオキシダーゼ様4(LOXL4)と称されるこのポリペプチドは、リシルオキシダーゼ遺伝子ファミリーのメンバーである。LOXL3およびLOXL4は、WO/2001/083702に記述されている。
【0125】
配列番号31に記載された配列を有するポリペプチド
【0126】
潜在的トランスフォーミング成長因子β(TGFβ)結合タンパク質1(LTBP1)として知られるこのポリペプチドは、LTBPファミリーに属し、このメンバーは、TGFβの分泌および活性化を調節する。LTBP1は、TGFβが活性化された場合に、ECMに対するTGFβの潜在性複合体をターゲットする。LTBP1の2つのアイソフォームがあり、このうちのより長いものは、配列番号31によって表される。LTBP1に由来するペプチドは、配列番号109〜114として記載される。
【0127】
配列番号32に記載された配列を有するポリペプチド
【0128】
マトリリン1(またはMATN1)として知られるこのポリペプチドは、軟骨基質タンパク質およびフォンビルブラント因子Aドメイン含有ファミリーのメンバーである。マトリリン1は、ECMにおける糸状ネットワークの形成に関与すると考えられる。MATN1遺伝子は、1p35に局在化し、主に軟骨において発現される。MATN3(下記を参照されたい)とともに、MATN1は、軟骨形成の間に最もアップレギュレートされるECMタンパク質の一つである。
【0129】
配列番号33に記載された配列を有するポリペプチド
【0130】
このポリペプチドは、MATN3として知られ、2つのフォンビルブラント因子Aドメインを有するフォンビルブラント因子Aドメイン含有ファミリーのメンバーである。これは、軟骨細胞外基質に存在する。
【0131】
配列番号34に記載された配列を有するポリペプチド
【0132】
ASARMモチーフ(またはMEPE)をもつ細胞外ホスホ糖タンパク質マトリックスとして知られる、このポリペプチドは、ECMホスホ糖タンパク質および小インテグリン結合リガンドN連結糖タンパク質(SIBLING)ファミリーのメンバーである。MEPEは、骨細胞によって主に発現され、ホスフェートおよび骨代謝に関与する。MEPEは、腎臓のホスフェート排出を促進し、骨ミネラル化を阻害する。MEPEに由来するペプチドは、配列番号:134として記載される。
【0133】
配列番号35に記載されたポリペプチドを有する配列
【0134】
マトリックスGlaタンパク質(またはMGP)と称されるこのポリペプチドは、骨および軟骨の有機マトリックスと会合し、骨形成の阻害剤として作用すると考えられる。
【0135】
配列番号36に記載されたポリペプチドを有する配列
【0136】
マトリックス-再造形関連5(MXRA5)として知られるこのポリペプチドは、アドリカンとも呼ばれ、ロイシンリッチリピートおよび免疫グロブリンドメインを含む。MXRA5は、米国特許第7,094,890号に記述されており、その内容は、参照により本明細書に援用される。MXRA5に由来するペプチドは、配列番号169〜180として記載される。
【0137】
配列番号37に記載されたポリペプチドを有する配列
【0138】
マトリックス-再造形関連タンパク質8(MXRA8)またはリミトリンとして知られるこのポリペプチドは、マウス相同分子種がマウス脳におけるグリア境界に選択的に局在化することが示されているので、血液脳関門の成熟および維持において役割を果たし得る。MXRA8に由来するペプチドは、配列番号135〜154として記載される。
【0139】
配列番号38に記載された配列を有するポリペプチド
【0140】
ニドジェン2(NID2)またはオステオニドジェンとして知られるこのポリペプチドは、基底膜の成分である。ニドジェン1およびニドジェン2の欠如は、インビトロにおける基底膜構築を妨げる。ニドジェン2は、いくつかのヒト癌において異常なメチル化を示す。NID2に由来するペプチドは、配列番号88として記載される。
【0141】
配列番号39に記載された配列を有するポリペプチド
【0142】
NLRP5またはNALP5として知られるこのポリペプチドは、NALPタンパク質ファミリーのメンバーであり、元々はマウスにおいて卵母細胞特異的抗原として同定された。このファミリーのメンバーは、典型的にはNACHTドメイン、NACHT関連ドメイン(NAD)、C末端ロイシンリッチリピート(LRR)領域およびN末端ピリンドメイン(PYD)を含む。NALP5は、APS-Iである患者における副甲状腺機能低下症に関与する組織特異的自己抗原であると思われる。米国特許公開第20040248775号は、NALP5発現が一過性大脳動脈閉塞の後に上昇することを開示する。
【0143】
配列番号40に記載された配列を有するポリペプチド
【0144】
ネフロネクチン(またはNPNT)として知られるこのポリペプチドは、腎臓および肺を含む多数の胚および成人の組織において発現されるヒト上皮細胞成長因子様ECMタンパク質である。NPNTをコードする遺伝子は、染色体の位置4q25に位置する。NPNTに由来するペプチドは、配列番号115〜126として記載される。
【0145】
配列番号41に記載された配列を有するポリペプチド
【0146】
オステオグリシン(OGN)として知られるこのポリペプチドは、直列型ロイシンリッチリピートを含む小さなプロテオグリカンである。オステオグリシンは、TGFβと結合して異所性骨形成を誘導する。オステオグリシンの発現変化は、心臓肥大、特に(原文ではepecially)左室肥大と相関していた。OGNに由来するペプチドは、配列番号130〜133として記載される。OGNは、CHADおよびEPYCと同時制御され;したがって、OGNまたはそれに由来するペプチドについて検出される発現レベルは、CHADおよび/またはEPYCの発現レベルの程度を提供する。
【0147】
配列番号42に記載された配列を有するポリペプチド
【0148】
オステオモジュリン/オステオアドヘリン(OMD)として知られるこのポリペプチドは、ロイシンリッチプロテオグリカンファミリーに属する細胞結合ケラチンサルフェートプロテオグリカンである。OMDは、12個のロイシンリッチリピートを含み、バイオミネラル化に関係し得る。OMDは、α5β3インテグリンを結合することが示されている。OMDに由来するペプチドは、配列番号192および193として記載される。
【0149】
配列番号43に記載された配列を有するポリペプチド
【0150】
オンコスタチンM受容体(OSMR)として知られるこのポリペプチドは、IL6サイトカインファミリーのメンバーであるサイトカインオンコスタチンMのシグナル伝達を媒介するヘテロ二量体受容体複合体(gp130とともに)の一部である。OSMの突然変異は、アミロイド症の形成と関連する。OSMRが欠損したマウスは、野生型マウスと比較して、末梢赤血球および血小板の数の減少を示す。
【0151】
配列番号44に記載された配列を有するポリペプチド
【0152】
オステオクリン(OSTN)またはムスクリンと称されるこのポリペプチドは、ビタミンD調節骨特異的タンパク質である。オステオクリンは、骨芽細胞において高度に発現され、骨芽細胞分化のネガティブ制御因子として機能し得るし、骨形成にも関与し得る。OSTNに由来するペプチドは、配列番号128および129として記載される。
【0153】
配列番号45に記載された配列を有するポリペプチド
【0154】
ペリオスチン(POSTN)と称されるこのポリペプチドは、新たな骨形成および細胞接着を調整し得る骨芽細胞特的因子である。また、POSTNは、梗塞後の心臓治癒にとって必須として意味づけられている。
【0155】
配列番号46に記載された配列を有するポリペプチド
【0156】
プロテオグリカン4(PRG4)と称されるこのポリペプチドは、関節軟骨の表面に位置する軟骨細胞によって特異的に合成される大きなプロテオグリカンである。PRG4は、軟骨表面にて潤滑剤として機能し、滑液の弾性吸収およびエネルギー放散に寄与する。PRG4は、複数のアイソフォームとして存在し−配列番号46は、これらのアイソフォームで最も長いものを表す。PRG4に由来するペプチドは、配列番号181〜183として記載される。
【0157】
配列番号47に記載されたポリペプチドを有する配列
【0158】
プレイオトロフィン(PTN)と称されるこのポリペプチドは、ヘパリン結合成長因子8および神経突起成長促進因子1としても知られ、心筋細胞アポトーシスを増強するプロ血管形成サイトカインである。PTNは、神経系発達に、骨ミネラル化に、および学習に関与し得る。PTNは、星細胞腫および脳腫瘍に関連し得る。
【0159】
配列番号48に記載されたポリペプチドを有する配列
【0160】
レチキュロカルビン3(RCN3)として知られるこのポリペプチドは、EFハンドカルシウム結合ドメインを含む。RCN3は、分泌経路に局在する複数のEFハンドカルシウム結合タンパク質のCab45/レチキュロカルビン/ERC45/カルメニン(CREC)ファミリーのメンバーである。RCN3に由来するペプチドは、配列番号89として記載される。RCN3およびCALUは、同時調節され;したがって、RCN3またはこれに由来するペプチドについて検出される発現レベルは、CALUの発現レベルの程度を提供する。
【0161】
配列番号49に記載されたポリペプチドを有する配列
【0162】
セマドメイン、膜貫通および細胞質ドメイン(セマホリン)6D(SEMA6D)として知られるこのポリペプチドは、軸索経路探索、枝分れおよび標的選択における阻害剤または化学忌避物質として意味づけられる巨大タンパク質ファミリーの、セマホリンファミリーのメンバーである。SEMA6D遺伝子は、6つの同定された転写物をコードし;配列番号49は、コードされるポリペプチドで最も長いものを表す。
【0163】
配列番号50に記載のポリペプチドを有する配列
【0164】
セリンペプチダーゼ阻害剤、分岐群E(ネキシン、プラスミノーゲン活性化因子抑制因子1型)メンバー2(SERPINE 2)として知られるこのポリペプチドは、トリプシン、トロンビン、プラスミンおよびその他のセリンプロテイナーゼに対する細胞外セリンプロテイナーゼ阻害剤活性である。SERPINE2は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)感受性遺伝子として意味づけられている。SERPINE2に由来するペプチドは、配列番号155として記載される。
【0165】
配列番号51に記載のポリペプチドを有する配列
【0166】
溶質担体ファミリー15、メンバー3(SLC15A3)と称されるこのポリペプチドは、オリゴペプチド輸送に関与する可能性が高い輸送タンパク質である。
【0167】
配列番号52に記載のポリペプチドを有する配列
【0168】
溶質担体ファミリー28(ナトリウム結合ヌクレオシド輸送体)メンバー3(SLC28A3)と称されるこのポリペプチドは、ヌクレオシド輸送体ファミリーのメンバーであり、このメンバーは、神経伝達、血管緊張、並びにヌクレオシド薬物の輸送および代謝を含む複数の細胞プロセスを調節する。
【0169】
配列番号53に記載のポリペプチドを有する配列
【0170】
チューブリン折り畳み補助因子A(TBCA)として知られるこのポリペプチドは、中間体から正確に折り畳まれたβ-チューブリンを導く経路に関与する4つのタンパク質(補因子A、D、E、C)の1つである。TBCAに由来するペプチドは、配列番号156〜158として記載される。
【0171】
配列番号54に記載のポリペプチドを有する配列
【0172】
TWIST相同体2(TWIST2)として知られるこのポリペプチドは、細胞系譜決定および分化(原文ではdifferneation)に関係していた塩基性ヘリックス-ループ-ヘリックス転写因子である。骨芽細胞発症の間に、TWIST2は、骨芽細胞成熟を阻害し、およびプレ骨芽細胞表現型に細胞を維持し得ると考えられる。TWIST2の発現の減少は、腹膜内転移の多段階過程を抑制し得る。
【0173】
配列番号55に記載のポリペプチドを有する配列
【0174】
LOC339316として知られるこのポリペプチドは、染色体19上の位置19q12にマッピングする遺伝子によってコードされる仮定的タンパク質である。
【0175】
配列番号56に記載のポリペプチドを有する配列
【0176】
LRC15またはヒトロイシンリッチリピート含有タンパク質15[前駆体]として知られるこのポリペプチドは、第3染色体上の位置3q29にマッピングするLRRC 15遺伝子によってコードされる。LRC15は、581アミノ酸の潜在性シングルパス1型膜タンパク質である。
【0177】
配列番号1〜56のポリペプチドのホモログも、本発明において有用であろうことを理解すべきである。
【0178】
抗体
【0179】
ポリクローナル
【0180】
一つの態様において、本発明は、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドおよび/または、配列番号57〜193から選択されるペプチドに結合し、かつ診断薬として本明細書において使用が見いだされる抗体を提供する。例示的な抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、二特異的およびヘテロ接合抗体を含む。
【0181】
ポリクローナル抗体は、好ましくは関連抗原およびアジュバントの複数回の皮下(sc)または腹腔内(ip)注射によって動物において生じる。免疫される種において免疫原性であるタンパク質に対して関連抗原(特に合成ペプチドが使用されるときに)を抱合することが有用であろう。たとえば、抗原は、二官能性薬または誘導体化薬、たとえばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介して抱合)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介して)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸またはSOCl2を使用して、アオガイヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン、ウシチログロブリンまたは大豆トリプシン阻害剤に抱合することができる。
【0182】
動物は、たとえば、100μgもしくは5μgタンパク質または抱合体(ウサギまたはマウスについて、それぞれ)を、3容積のフロインド完全アジュバントと組み合わせること、および溶液を皮内に複数部位にて注射することによって抗原、免疫原性結合体または誘導体に対して免疫される。1月後、動物をフロインド完全アジュバント中の元の量のペプチドまたは抱合体の1/5〜1/10で複数部位にて注射することによって追加免疫する。7〜14日後に、動物を採血し、血清を抗体価についてアッセイする。動物を力価がプラトーになるまで追加免疫する。また、抱合体は、タンパク質融合物として組換え細胞培養物において作製することができる。また、免疫応答を増強するために、ミョウバンなどの凝集剤が、適切に使用される。
【0183】
モノクローナル
【0184】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法を使用して作製してもよく、または組換えDNA方法によって作製してもよい。
【0185】
ハイブリドーマ法では、マウスまたはハムスターなどのその他の適切な宿主動物を上記の通りに免疫して、免疫化のために使用したタンパク質に特異的に結合するだろう抗体を産生するか、または産生することができるリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球をインビトロにおいて免疫してもよい。免疫化後、リンパ球を単離して、次いでポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を使用して骨髄腫株化細胞と融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する。
【0186】
こうして調製されるハイブリドーマ細胞を培地、好ましくは融合されていない親骨髄腫細胞(また、融合パートナーとも呼ばれる)の成長または生存を阻害する1つまたは複数の物質を含む適切な培養液において播種し、および増殖させる。たとえば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンフォスフォリボシル転移酵素(HGPRTまたはHPRT)を欠いている場合、ハイブリドーマのための選択的培養液は、典型的には、HGPRT欠損した細胞の成長を妨げる物質であるヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含むだろう(HAT培地)。
【0187】
好ましい融合パートナー骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベル産生をサポートし、かつ融合されていない親細胞に対して選択する選択培地に感受性であるものである。好ましい骨髄腫株化細胞は、Salk Institute Cell Distribution Center、San Diego、Calif. USAから入手可能なMOPC-21、およびMPC-11マウス腫瘍、並びにSP-2および誘導体、たとえばAmerican Type Culture Collection、Manassas、Va., USAから入手可能なX63-Ag8-653細胞)に由来するものなどのマウス骨髄腫株である。また、ヒト骨髄腫およびマウス-ヒトヘテロ骨髄腫株化細胞は、ヒトモノクローナル抗体の産生のために記述されている。
【0188】
ハイブリドーマ細胞が成長している培養液を、抗原に対して向けられたモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって、または放射免疫アッセイ(RIA)もしくは酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)などのインビトロ結合アッセイによって決定される。モノクローナル抗体の結合親和性は、たとえばスキャチャード解析によって決定することができる。
【0189】
一旦ハイブリドーマ細胞が所望の特異性、親和性および/または活性の抗体を産生すると、が同定されて、クローンを、限界希釈法によってサブクローニングしても、および標準的な方法によって増殖させてもよい。この目的のための適切な培地は、たとえばD-MEMまたはRPMI-1640培地を含む。加えて、ハイブリドーマ細胞は、たとえばマウスへの細胞のi.p.注射によって、動物における腹水癌としてインビボで増殖させてもよい。
【0190】
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、たとえばアフィニティークロマトグラフィ(たとえば、プロテインAまたはタンパク質G-セファロースを使用する)またはイオン交換クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析または同様のものなどの従来の抗体精製法によって、培養液、腹水液または血清から適切に分離させる。
【0191】
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(たとえば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブ使用することにより)容易に単離され、およびシーケンスされる。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供与源として役立つ。一旦単離されたら、DNAを発現ベクター内に置いて、次いでトランスフェクトしなければ抗体タンパク質を産生しない大腸菌(E. coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトして、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を得てもよい。
【0192】
さらなる態様において、モノクローナル抗体または抗体断片は、モノクローナル抗体の単離のための従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術の現実的代案として抗体ファージライブラリーから単離することができる。
【0193】
抗体をコードするDNAは、たとえば、ヒト重鎖および軽鎖定常ドメイン(CHおよびCL)配列を相同的マウス配列に置換することによって、または免疫グロブリンコード配列を非免疫グロブリンポリペプチド(異種ポリペプチド)のコード配列の全部または一部と融合することによって、キメラまたは融合抗体ポリペプチドを産生するために修飾してもよい。非免疫グロブリンポリペプチド配列は、抗体の定常ドメインに置換することができ、またはこれらは、抗原に対して特異性を有する1つの抗原結合部および異なる抗原に対して特異性を有する別の抗原結合部を含むキメラ二価抗体を作製するために、抗体の1つの抗原結合部の可変ドメインに置換される。
【0194】
ヒトおよびヒト化抗体
【0195】
本発明の抗体は、ヒト化抗体またはヒト抗体をさらに含んでいてもよい。非ヒト(たとえば、マウス)抗体のヒト化された形態は、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(たとえばFv、Fab、Fab’、F(ab')2または抗体のその他の抗原結合性の部分列)であり、これらは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含む。ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基が所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラット、またはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基によって置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。一部の例において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が対応する非ヒト残基によって置換される。また、ヒト化抗体は、レシピエント抗体においても、移入されるCDRまたはフレームワーク配列においても見いだされない残基を含んでいてもよい。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つおよび典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むだろうし、CDR領域の全てのまたは実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリンのものに一致し、かつFR領域の全てのまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。また、ヒト化抗体は、至適には、典型的にヒト免疫グロブリンの、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部を含むだろう。
【0196】
非ヒト抗体をヒト化するための方法は、当該技術分野において周知である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである供与源からそれに導入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、「移入」残基とたいてい呼ばれ、これは、典型的には「移入」可変ドメインから得られる。ヒト化は、Winterおよび同僚の方法[Jonesら、Nature、321 :522-525 (1986)、Riechmann、Nature、332:323-327 (1988)、Verhoeyenら、Science、239:1534-1536 (1988)]にしたがって、歯類CDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応配列に置換することによって、本質的に行うことができる。したがって、このような「ヒト化」抗体は、実質的に無処置のヒト可変ドメインより少数が非ヒト種からの対応配列によって置換されたキメラ抗体である。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかのCDR残基およびおそらくいくつかのFR残基が齧歯類抗体における類似の部位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
【0197】
ヒト化抗体を作製する際に使用される軽および重の両方のヒト可変ドメインの選択は、抗原性およびHAMA反応(ヒト抗マウス抗体)を減少させるために非常に重要である。いわゆる「最良適合」法にしたがって、齧歯類抗体の可変ドメインの配列が、公知のヒト可変ドメイン配列の全てのライブラリーに対してスクリーニングされる。齧歯類のものに最も近いヒトVドメイン配列が同定され、その中のヒトフレームワーク領域(FR)がヒト化抗体のために受容される。もう一つの方法は、軽鎖または重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワーク領域を使用する。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体のために使用してもよい。
【0198】
抗体は、抗原およびその他の好ましい生物的性質に対して高い結合親和性を保持してヒト化されることが、さらに重要である。この目標を達成するために、好ましい方法にしたがって、ヒト化抗体は、親およびヒト化配列の三次元モデルを使用する親配列および種々の概念上のヒト化産物の解析の過程によって調製される。三次元免疫グロブリンモデルを一般に利用でき、かつ当業者に周知である。選択された候補免疫グロブリン配列の考えられる三次元高次構造上の構造を図示し、および示すコンピュータプログラムが利用できる。これらのディスプレイの検査により、候補免疫グロブリン配列の機能性における残基の可能性が高い役割の解析、すなわち、候補免疫グロブリンがその抗原を結合する能力に影響を与える残基の解析が可能になる。このようにして、FR残基をレシピエントおよび移入配列から選択して、組み合わせることができ、その結果、標的抗原に対する親和性の増大などの所望の抗体特徴が達成される。一般に、超可変領域残基は、抗原結合に直接影響を及ぼし、最も実質的に関与する。
【0199】
ヒト化に代わるものとして、ヒト抗体を産生することができる。たとえば、免疫化により、内因性免疫グロブリン産生の非存在下でヒト抗体の完全なレパートリーを産生することができる、トランスジェニック動物(たとえば、マウス)を産生することが、現在可能である。たとえば、キメラおよび生殖系列突然変異体マウスにおける抗体重鎖J領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失が内因性抗体産生の完全な阻害を生じることが記述されている。このような生殖系列突然変異体マウスへのヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの移入により、抗原曝露により、ヒト抗体の産生を生じるだろう。
【0200】
あるいは、ファージディスプレイ技術(McCafferty ら, Nature 348:552-553[1990])を使用して、ワクチン接種を受けていないドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、インビトロにおいてヒト抗体および抗体断片を産生することができる。この技術にしたがって、抗体Vドメイン遺伝子をM13またはfdなどの糸状バクテリオファージの主要または微量のいずれかのコートタンパク質遺伝子にインフレームでクローン化して、ファージ粒子の表面上に機能的抗体断片として提示させる。糸状粒子は、ファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能特性に基づいた選択により、これらの特性を示す抗体をコードする遺伝子を選択することにもなる。したがって、ファージは、B細胞の特性のいくつかを模倣する。V遺伝子セグメントのいくつかの供与源は、ファージディスプレイのために使用することができる。ワクチン接種を受けていないヒトドナーからのV遺伝子のレパートリーを構築することができ、抗原(自己抗原を含む)の多様なアレイに対する抗体を記述された技術にしたがって本質的に単離することができる。
【0201】
抗体断片
【0202】
特定の状況において、抗体全体よりもむしろ抗体断片を使用することには、利点がある。断片のサイズが小さいほど、迅速なクリアランスが可能であり、抗原(類)に対するアクセスの改善を生じる。
【0203】
抗体断片の産生のために、種々の技術が開発されてきた。伝統的に、これらの断片は、無処置の抗体のタンパク質分解に由来した。しかし、これらの断片は、現在、組換え宿主細胞によって直接産生することができる。Fab、FvおよびScFv抗体断片は、全て大腸菌(E. coli)において発現させ、および大腸菌から分泌させることができ、したがって、大量のこれらの断片の安易な産生が可能である。抗体断片は、上で論議した抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、Fab’-SH断片は、大腸菌(E. coli)から直接回収して、化学的に結合してF(ab')2断片を形成することができる。もう一つのアプローチにしたがって、F(ab')2断片は、組換え宿主細胞培養から直接単離することができる。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含むインビボの半減期の増大を伴うFabおよびF(ab')2断片が知られている。抗体断片の産生のためのその他の技術は、当業者に明らかだろう。その他の態様において、選択の抗体は、単鎖Fv断片(scFv)である。FvおよびsFvは、定常領域を欠いた無処置の結合部をもつ唯一の種であり;したがって、これらは、インビボの使用の間に非特異的結合を減少させるために適している。sFv融合タンパク質は、sFvのアミノまたはカルボキシ末端のいずれかにてエフェクタータンパク質の融合を生じるように構築され得る。抗体断片は、また、「直鎖状抗体」であってもよい。このような直鎖状抗体断片は、単一特異的または二特異的であってもよい。
【0204】
二特異性抗体
【0205】
二特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。例示的な二特異性抗体は、本明細書に記述したとおりの、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドの2つの異なるエピトープに結合し得る。その他のこのような抗体は、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドのエピトープを、別のタンパク質のための結合部位と組み合わせえもよい。二特異性抗体は、全長抗体または抗体断片(たとえば、F(ab')2)二特異性抗体として調製することができる。
【0206】
二特異性抗体を作製するための方法は、当該技術分野において公知である。全長二特異性抗体の従来の産生は、2つの鎖が異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の同時発現に基づく。
【0207】
多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞により、二価抗体よりも迅速に内在化され(および/または異化され)得る。本発明の抗体は、3つ以上の抗原結合部位をもつ(たとえば、四価の抗体)多価抗体(これは、IgMクラス以外である)であることができ、これは、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現によって容易に産生することができる。多価抗体は、二量体化ドメインおよび3つ以上の抗原結合部位を含むことができる。好ましい二量体化ドメインは、Fc領域またはヒンジ領域を含む(またはからなる)。
【0208】
エピトープマッピング
【0209】
配列番号1〜56から選択されるポリペプチドおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドに対して、好ましくは特異的に結合する抗体によって認識されるエピトープのマッピングは、「Glenn E. Morris ISBN-089603-375-9によるEpitope Mapping Protocols (Methods in Molecular Biology)」に、およびOlwyn M. R. Westwood, Frank C. Hay.Glenn E. Morris ISBN-089603-375-9による「Epitope Mapping:A Practical Approach」Practical Approach Series, 248に詳細に記載されているように行うことができる。好ましい態様において、エピトープスキャニングを使用して、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドに対して特異的に結合する抗体によって認識されるエピトープを同定する。簡潔には、選択されたポリペプチド配列を包含する重複ペプチドを、個々のプラスチックピンで合成する。選択されたポリペプチドに対する抗体によるこれらのペプチドの認識は、好ましくはELISAによって測定される。
【0210】
オリゴペプチド
【0211】
本発明のオリゴペプチドは、本明細書に記述したとおりの配列番号1〜56:から選択されるポリペプチドおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドに、好ましくは特異的に結合するオリゴペプチドである。オリゴペプチドは、公知のオリゴペプチド合成方法論を使用して化学的に合成してもよく、または組換技術を使用して調製し、および精製してもよい。オリゴペプチドは、通常長さが少なくとも約5アミノ酸、あるいは長さが少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100アミノ酸またはそれ以上であり、このようなオリゴペプチドは、本明細書に記述したとおりの配列番号1〜56から選択されるポリペプチドおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドに、好ましくは特異的に結合する。オリゴペプチドは、周知の技術を使用して過度の実験なしで同定され得る。この点に関しては、ポリペプチド標的に特異的に結合することができるオリゴペプチドについてオリゴペプチドライブラリーをスクリーニングするための技術が当該技術分野において周知なことに留意されたい(たとえば、米国特許第5,556,762号、第5,750,373号、第4,708,871号、第4,833,092号、第5,223,409号、第5,403,484号、第5,571,689号第5,663,143号;PCT公開番号WO 84/03506およびWO84/03564、Geysenら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、81 : 3998- 4002 (1984)、Geysenら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、82:178-182 (1985)、Geysenら、Synthetic Peptides as Antigens内、130-149 (1986)、Geysenら、J. Immunol. Meth.、102:259- 274 (1987)、Schoofsら、J. Immunol.、140:611-616 (1988)、Cwirla, S. E.ら(1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87:6378、Lowman, H. B.ら(1991) Biochemistry、 30:10832、Clackson, T.ら(1991) Nature、352: 624、Marks, J. D.ら(1991)、J. Mol. Biol, 222:581、Kang, A. S.ら(1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA、88:8363およびSmith, G. P. (1991) Current Opin. Biotechnol, 2:668を参照されたい)。
【0212】
この点に関しては、バクテリオファージ(ファージ)ディスプレイは、大きなオリゴペプチドライブラリーをスクリーニングして、ポリペプチド標的に特異的に結合することができるこれらのライブラリーのメンバーを同定することができる1つの周知の技術である。ファージディスプレイは、変種ポリペプチドがバクテリオファージ粒子の表面上のコートタンパク質に対する融合タンパク質として示される技術である。ファージディスプレイの有用性は、選択的にランダム化されたタンパク質変異体(またはランダムにクローン化されたcDNA)の大きなライブラリーを、高い親和性で標的分子に結合するこれらの配列について迅速に、かつ効率的に選別することができるという事実にある。ファージ上のペプチドまたはタンパク質ライブラリーのディスプレイは、何百万ものポリペプチドまたはオリゴペプチドを特異的な結合特性をもつものについてスクリーニングするために使用されてきた(Smith, G. P. (1991) Current Opin. Biotechnol, 2:668)。ランダム突然変異体のファージライブラリーを選別するには、多数の変異体を構築して、伝播するためのストラテジー、標的受容体を使用する親和性精製のための手順および結合濃縮の結果を評価する手段を必要とする。米国特許第5,223,409号、第5,403,484号、第5,571,689号および第5,663,143号。
【0213】
配列番号1〜56から選択されるポリペプチドおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドを結合する有機分子。
【0214】
本発明の有機分子は、本明細書に記述したとおりの配列番号1〜56から選択されるポリペプチドおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドに、好ましくは特異的に結合する、本明細書において定義したとおりのオリゴペプチドまたは抗体以外の有機分子である。有機分子は、公知の方法論を使用して、同定し、および化学的に合成され得る(たとえば、PCT公開番号WO00/00823およびWO00/39585を参照されたい)。有機分子は、通常サイズが約2000ダルトン未満、あるいは、サイズが約1500、750、500、250または200ダルトン未満であり、本明細書に記述したとおりの1〜56から選択されるポリペプチドおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドに、好ましくは特異的に結合するこのような有機分子は、周知の技術を使用して過度の実験なしで同定され得る。この点に関しては、ポリペプチド標的に結合することができる分子について有機分子ライブラリーをスクリーニングするための技術は、当該技術分野において周知なことに注意されたい(たとえば、PCT公開番号WO00/00823およびWO00/39585を参照されたい)。本発明の有機分子は、たとえば、アルデヒド、ケトン、オキシム、ヒドラゾン、セミカルバゾン、カルバジド、一級アミン、二級アミン、三級アミン、N-置換されたヒドラジン、ヒドラジド、アルコール、エーテル、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、カルボン酸、エステル、アミド、尿素、カルバメート、カルボナート、ケタール、チオケタール、アセタール、チオアセタール、ハロゲン化アリール、アリールスルホナート、ハロゲン化アルキル、アルキルスルホナート、芳香族化合物、複素環式化合物、アニリン、アルケン、アルキン、ジオール、アミノアルコール、オキサゾリジン、オキサゾリン、チアゾリジン、チアゾリン誘導体、エナミン、スルホンアミド、エポキシド、アジリジン、イソシアネート、塩化スルホニル、ジアゾ化合物、酸塩化物、またはその他同種のものであってもよい。
【0215】
キット
【0216】
種々の目的のために、たとえば骨および/もしくは軟骨障害の診断のために、また細胞、組織および/もしくは体液からの配列番号1〜56から選択されるポリペプチドおよび/もしくは配列番号57〜193から選択されるペプチドの精製もしくは免疫沈降のために有用であるキットが提供される。このようなポリペプチドの単離および精製については、キットは、ビーズ(たとえば、セファロースビーズ)に結合された特異的な結合剤(すなわち、抗体、オリゴペプチドまたは有機分子)を含むことができる。たとえば、ELISAまたはウエスタンブロットにおけるインビトロでのこのようなポリペプチドの検出および定量化のための抗体、オリゴペプチドまたは有機分子を含むキットを提供することができる。キットは、容器および容器上の、もしくは容器に付随するラベルまたは添付文書を含む。容器は、本発明の少なくとも1つの抗体、オリゴペプチドまたは有機分子を含む組成物を保持する。さらなる容器には、たとえば、希釈剤および緩衝液、対照抗体を含むものが含まれてもよい。ラベルまたは添付文書は、組成物の記述、並びにインビトロでの意図された用途または診断のための説明書を提供し得る。
【0217】
本発明は、また、配列番号1〜56から選択されるポリペプドチおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドの検出のためのELISAキットを提供する。加えて、一部の態様において、キットは、種々の適用のためにカスタマイズされる。しかし、本発明のキットは、任意の特定の形式またはデザインに限定されることは意図されない。一部の態様において、本発明のキットは、試料収集(たとえば、脊髄および/または静脈穿刺針)、チューブ(たとえば、試料収集チューブおよび試薬チューブ)、保持具、トレー、ラック、ディッシュ、プレート(たとえば、96ウェルマイクロタイタープレート)、キット使用者に対する説明書、溶液またはその他の化学試薬および標準化および/または規準化のために使用される試料、並びにポジティブおよびネガティブ対照のための材料を含むが、限定されない。特に好ましい態様において、配列番号1〜56から選択されるポリペプドチおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドの検出のために具体的に意図されるELISAキットに含まれる試薬は、配列番号1〜193から選択される対照ポリペプチドまたはペプチド、前記ポリペプチドまたはペプチドに対する抗体、酵素に抱合された前記ポリペプチドまたはペプチドに対する抗体、前記ポリペプチドまたはペプチドでプレコートされた96ウェルマイクロタイタープレート、適切な捕獲抗体、前記ポリペプチドまたはペプチドに対する適切な捕獲抗体でプレコートされた96ウェルマイクロタイタープレート、緩衝液(たとえば、コーティング緩衝液、ブロッキング緩衝液および蒸留水)、酵素反応基質および予じめ混合された酵素基質溶液を含む。
【0218】
本発明は、試料における配列番号1〜56から選択されるポリペプドチおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドの発現を検出するための配列番号1〜56から選択されるポリペプドチおよび/または配列番号57〜193から選択されるペプチドに対して特異的に結合する抗体の規則正しく配置された配列を含むキットであって、固体支持体に会合された1つまたは複数の抗体を含み、それぞれの抗体は、配列番号1〜56のポリペプチドおよび/または配列番号57〜193のペプチドに対して特異的であるキットにも関する。
【0219】
句「規則正しく配置された配列」は、たとえば、米国特許第6,156,501号および第6,077,673号に開示されたアレイなどの、プローブが定義可能な、または位置アドレス指定可能なパターンで配置されることを示す。プローブまたは抗体は、任意の有効な方法で固体支持体に会合される。たとえば、プローブは、基質上のプローブを重合することによって、または基質にプローブを付着することによって、固体支持体に会合することができる。会合は、非共有結合で、共有結合で、静電気で、疎水性で、親水性で、吸収で、吸着で、極性で、その他であることができる。
【0220】
方法
【0221】
ポリペプチドを検出する方法
【0222】
配列番号1〜56のポリペプチドおよび/または配列番号57〜193のペプチドは、任意の効果的な方法にしたがって、検出すること、視覚化すること、決定すること、定量化すること、およびその他ができる。有用な方法は、免疫アッセイ、放射免疫アッセイ(RIA)、ELISA、免疫蛍光、フローサイトメトリー、組織学、電顕法、光学顕微鏡、インサイチューのアッセイ、免疫沈降、ウエスタンブロット等を含むが、限定されない。
【0223】
免疫アッセイは、液体において、または支持体上で実施し得る。たとえば、試料(たとえば、血液、尿、組織、体液、その他)を細胞、細胞粒子もしくは可溶性タンパク質を固定することができるニトロセルロースもしくはその他の固体支持体などの固相支持体または担体と接触させること、およびその上に固定することができる。次いで、支持体を適切な緩衝液で洗浄して、続いて配列番号1〜56のポリペプチドおよび/または配列番号57〜193のペプチドを特異的に認識する検出可能に標識された抗体で処理してもよい。次いで、結合していない抗体を除去するために、固相支持体を緩衝液で二回洗浄することができる。次いで、固体支持体上の結合した標識の量を従来の手段によって検出してもよい。
【0224】
骨および/または軟骨障害の診断
【0225】
本発明のさらにもう一つの態様は、哺乳類において、骨および/もしくは軟骨障害または骨および/もしくは軟骨障害に対する感受性を診断する方法であって、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドまたはそれに由来する配列番号57〜193から選択されるペプチドの発現変化に基づいた方法に対して向けられ、このような障害に相関した有益な臨床的なマーカーを提供するだろう。
【0226】
このような方法は、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドまたはそれに由来する配列番号57〜193から選択されるペプチドが、正常な試料と比較して、試験試料において過剰発現され、または過小発現されるかどうかを決定することを含む。配列番号1〜56のポリペプチドは、本出願の実施例に示すように、ヒト骨および軟骨組織において選択的に発現される。配列番号57〜193のペプチドは、配列番号1〜56のポリペプチドに由来する。患者由来試料における、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドもしくはそれに由来する配列番号57〜193から選択されるペプチドの存在の増加または減少は、たとえば、ウエスタンブロットアッセイまたはELISAなどの定量的アッセイによって一定のタンパク質のレベル(公知の正常な対照と比較して)を測定する任意の標準的な方法論を使用することによって実施される。たとえば、配列番号1〜56から選択されるポリペプチドまたは配列番号57〜193から選択されるペプチドに特異的な抗体を使用する標準的な競合的ELISA形式が、ポリペプチドのレベルを定量化するために使用される。あるいは、捕獲抗体としての第1の抗体および検出抗体としての配列番号1〜193から選択されるポリペプチドまたはペプチドに対して特異的な第二の抗体を使用するサンドイッチELISAが使用される。
【0227】
一つの態様において、本方法は、(a)骨および/または軟骨障害を有することが疑われる患者から試験試料を得ること、(b)配列番号19、27、38、39、41および55からなる群より選択されるポリペプチドをアッセイすることにより配列番号19(EPYC)、27(LOC284998)、38(NID2)、39(NLRP5)、41(OGN)および55(LOC339316)からなる群より選択されるポリペプチドの発現レベルを検出すること;および(c)前記レベルを健康な対照のものと比較することを含み、これにより、対照におけるは配列番号19、27、38、39、41および55からなる群より選択されるポリペプチドの発現レベルと比較した配列番号19、27、38、39、41および55からなる群より選択されるポリペプチドの発現レベルにおける変化は、骨および/または軟骨障害についてポジティブな結果を示す。
【0228】
もう一つの態様において、本方法は、(a)骨および/または軟骨障害を有することが疑われる患者から試験試料を得ること、(b)配列番号88、89、130、131、132、133、127、107および108からなる群より選択されるペプチドの発現レベルを、前記ペプチドをアッセイすることにより検出すること;および(c)前記レベルを健康な対照のものと比較することを含み、これにより、配列番号88、89、130、131、132、133、127、107および108からなる群より選択されるペプチドの発現レベルにおける、対照における同じペプチドの発現レベルと比較した変化は、骨および/または軟骨障害についてポジティブな結果を示す。
【0229】
診断目的のためには、本発明の特異的な結合剤(すなわち、抗体、オリゴペプチドまたは小有機分子)は、検出可能的に標識され、固体支持体に付着され、またはその他がなされていてもよい。固体の表面の性質は、アッセイ形式に応じて変化し得る。マイクロタイターのウェルにおいて実施されるアッセイについては、固体の表面は、ウェルまたはカップの壁である。ビーズを使用するアッセイについては、固体の表面は、ビーズの表面である。有用な固体支持体の例は、ニトロセルロース(たとえば、膜またはマイクロタイターウェル形態において)、塩化ビニル(たとえば、シートまたはマイクロタイターのウェルにおいて)、ポリスチレンラテックス(たとえば、ビーズまたはマイクロタイタープレートにおいて)ポリビニリジンフルオライド、ジアゾ化された紙、ナイロン膜、活性化されたビーズおよびプロテインAビーズを含む。特異的な結合剤を含む固体支持体は、典型的にはこれを試験試料と接触した後に、および結合複合体の検出の前に洗浄される。試験試料との特異的な結合剤のインキュベーションに続いて、検出可能な標識による複合体の検出がなされる。たとえば、標識は、酵素、蛍光、化学発光、放射性または色素である。また、複合体からのシグナルを増幅するアッセイも、当該技術分野において公知である(たとえば、ビオチンおよびアビジンを利用するアッセイ)。
【0230】
本発明の好ましい態様において、試験試料における配列番号1〜56から選択されるポリペプチまたは配列番号57〜193から選択されるペプチドド(抗原)の定量化のためのELISA法が提供される。これらの方法において、抗原は、最初に固体支持体上に(たとえば、マイクロタイタープレートウェルにおいて)固定される。固定された抗原の検出および定量化は、固定された抗原に結合し、および定量化可能なシグナルを生じることができる抗体-酵素抱合体を使用することによって達成される。一部の態様において、存在する抗原の量は、適切な酵素基質の添加の後に産生される酵素反応産物の量に正比例する。
【0231】
ELISAの最終産物は、典型的には色または蛍光の発生として観察されるシグナルである。典型的には、このシグナルは、適切な分光比色計(すなわち、分光光度計)または分光蛍光光度計を使用して読み込まれる(すなわち、定量化される)。色または蛍光の量は、固定された抗原の量に正比例する。本発明の一部の態様において、試料における抗原の量(たとえば、滑液または血液試料における配列番号1〜193から選択されるポリペプチドまたはペプチドの量)は、公知の濃度の抗原を含む一連の対照ウェルを含む試料について得られた結果(すなわち、標準的な濃度曲線)を比較することによって定量化される。また、ネガティブ対照がアッセイ系に含まれる。
【0232】
本発明は、試料における配列番号1〜193から選択されるポリペプチドまたはペプチドの検出および/または定量化するための種々のELISAプロトコルを提供する。一つの態様において、本発明は、試料における配列番号1〜193から選択されるポリペプチドまたはペプチドの検出のための「直接ELISA」を提供する。いくつかの態様において、試料における関心対象の抗原(すなわち、配列番号1〜193から選択されるポリペプチドまたはペプチド)が(無関係な抗原とともに)固体支持体に結合される。次いで、固定された抗原は、抗原特異的な酵素抱合された抗体によって直接検出される。適切な検出基質の添加による、ウェルに存在する抗原の量に正比例する発色現象または蛍光を生じる。
【0233】
もう一つの態様において、本発明は、試料における抗原の検出のための間接的ELISAを提供する。本態様において、試料における関心対象の抗原は、直接ELISAのように(無関係な抗原とともに)固体支持体に固定されるが、最初に抗原特異的抗体を添加し、次いで抗原を特異的に結合する抗体に対して特異的な抗体(「種特異的な」抗体としても知られる(たとえば、ヤギ抗ウサギ抗体))の検出により、間接的に検出される。
【0234】
一部の態様において、各ウェルに添加される試料の濃度が抗原濃度曲線を産生するために滴定される。その他の態様において、抱合された抗体の濃度が滴定される。実際に、このような滴定は、典型的にはELISA系の初期の開発の間に行われる。
【0235】
もう一つの態様において、本発明は、試料における抗原が、事前に固体支持体に結合された「捕捉抗体」によって固体支持体上に固定される「サンドイッチELISA」法を提供する。一般に、サンドイッチELISA法は、その他の配置よりも感受性であり、0.1-1.0ng/m1のタンパク質抗原を検出することができる。上記のように、サンドイッチELISA法は、関心対象の抗原(すなわち、配列番号1〜193から選択されるポリペプチドまたはペプチド)を認識する「捕捉抗体」を固体支持体(たとえば、マイクロタイタープレートウェル)に事前に結合することを含む。一部の態様において、ビオチン化された捕獲抗体は、アビジンコートしたウェルと組み合わせて使用される。次いで、試験試料および対照が捕獲抗体を含むウェルに添加される。抗原が試料および/または対照に存在する場合、これが捕獲抗体によって結合される。
【0236】
一部の態様において、洗浄工程の後、捕獲抗体によって固定された抗原の検出は、直接検出される(すなわち、直接サンドイッチELISA)。その他の態様において、捕獲抗体によって固定された抗原の検出は、間接的に検出される(すなわち、間接的サンドイッチELISA)。直接サンドイッチELISAにおいて、捕獲された抗原は、抗原特異的な酵素抱合された抗体を使用して検出される。間接的サンドイッチELISAにおいて、捕獲された抗原は、抗原に対して向けられた抗体を使用することにより検出され、次いで抗原特異的抗体を結合するもう一つの酵素抱合された抗体によって検出され、したがって、抗体-抗原抗体-抗体複合体を形成する。直接的および間接的なサンドイッチELISAの両方において、適切な検出基質の添加は、ウェルに存在する抗原の量に正比例する発色現象または蛍光を生じる。
【0237】
本発明は、当該技術分において、また本発明における使用を見いだす多数の代わりのELISAプロトコルが周知であるので、特に本明細書に記述された直接ELISAおよびサンドイッチELISAプロトコルに限定されることは意図されない(たとえば、Crowther、「Enzyme-Linked Immunosorbent Assay (ELISA)」、Molecular Biomethods Handbook内、Rapleyら[編集者]、ページ595-617、Humana Press, Inc.、 Totowa, N.J. [1998]、およびAusubelら(編集者), Current Protocols in Molecular Biology、第11章、John Wiley & Sons, Inc.、New York [1994]を参照されたい)。したがって、限定されないが、競合的ELISAを含む任意の適切なELISA法が、また本発明において使用を見いだす。同様に、検出方法は、当該技術分において、また免疫蛍光、フローサイトメトリー、組織学、電顕法、光学顕微鏡、インサイチューのアッセイ、免疫沈降およびウエスタンブロットを含むが、限定されない本発明における使用を見いだす多数の代わりの検出方法が周知であるので、ELISA法に限定されることは意図されない。
【0238】
本明細書に論議される参照の全ては、これらの全体が参照により援用される。
【0239】
以下の実施例は、添付の請求の範囲に記載されたように、本発明を例証することを意味し、本発明の範囲を限定することは意図されない。
【実施例】
【0240】
実施例1
骨および/または軟骨組織において選択的に発現される配列番号1〜56として記載されたポリペプチドの同定
ヒト組織における遺伝子発現についての情報を含むデータベースのマイニングのための手順を開発した。軟骨または骨組織において選択的に発現される遺伝子を、トランスクリプトームを解析することによって同定した。トランスクリプトームの供与源は、パブリックデータベース、特にUniGeneおよびGEOデータベースであった。
【0241】
最初の3つの課題は:(1)データベースのエントリー(遺伝子、転写物、タンパク質およびペプチド)を遺伝子転写物と結びつけるために遺伝子記号を使用する生物情報科学マイニングツールであるMPWアナライザーに使用するためのヒト組織のトランスクリプトームを更新すること、(2)動物ゲノム科学資源をデータウエアハウスへ移入すること、および(3)組織特異的タンパク質の同定に対するトランスクリプトームの適合性を評価することである。データベースに示される組織のトランスクリプトームは、酵素およびタンパク質アイソフォームが20の代謝領域(たとえば、アミノ酸代謝;芳香族化合物代謝;1炭素代謝;炭水化物(原文ではcarbhohydrate)代謝;補酵素およびビタミン;電子伝達;酵素代謝;外来性化合物;脂質代謝;膜輸送;核酸代謝;酸素代謝;リン代謝;タンパク質代謝;プリン代謝;ピロリジン代謝;シグナル伝達;および硫黄代謝)において適切に示される場合、遺伝子の組織選択的発現の解析のために十分な品質であると考えられた。
【0242】
組織選択的転写の系統学的研究のために十分な品質のヒト組織のトランスクリプトームが同定された。すなわち、転写物レベルを、41のその他の組織と比較して、1つの組織における選択的遺伝子発現に対して番号を割り当てることができ、一方で、組織試料における偽陽性を修正する。この数(RD値)は、RD=(1-(TPMb/TPMa))であり、式中TPMは、100万転写物あたりの転写物の数である。この式において、TPMaは、最高の発現レベルを有する組織(本明細書では、骨または軟骨組織)における関心対象の遺伝子についてのTPMであり、かつTPMbは、その遺伝子について次に最高の発現レベルである組織における同じ遺伝子についてのTPMである。したがって、RDは、軟骨または骨組織における関心対象の遺伝子の発現の選択性の程度を提供する。RDは、0〜1の間の値を有し、1は、最も高い可能性のRD値である(最高の発現の選択性に対応する)。本発明の方法に使用するための好ましいポリペプチドは、RD値0.8である遺伝子によってコードされるポリペプチドである。
【0243】
まず最初に百以上の哺乳動物遺伝子が、軟骨、骨もしくは脈管構造またはこれらの組み合わせにおいて高い選択性で発現されることが第一に見いだされた。これらのうちの半分がヒト遺伝子である。これらいくつかのヒトタンパク質から、優先的に選択される。発現の組織特異性、体液における遺伝子産物の存在、獣医学的相同体の存在、細胞外基質(ECM)タンパク質との少数の相互作用およびタンパク質の望まれない構造特性などの基準を選択手順に使用した。これらの選択されたタンパク質の中で、いくつかの仮定的タンパク質(「未知」)のいくつかが、骨について高度に、軟骨についていくらか、および脈管構造について少数のみ選択的であった。選択されたタンパク質のうち、少数のみが細胞内に発現され;残りは、分泌され、およびECMの微量成分である。大部分の選択されたタンパク質は、獣医学的動物において同属種を有する。選択されたタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号1〜56として記載される。
【0244】
配列番号1〜56は、おそらくTGF-βおよびRunx2を介して同時制御されるタンパク質(CHAD、OMD、OGN、ASPN、CALUおよびRCN3)のセットを含む。これらのタンパク質は、たとえばメンバーの1つに由来するペプチド(類)に対する抗体により、単独で、または組み合わせてアッセイしてもよい。
【0245】
配列番号1〜56のポリペプチドについてのRD値を表1に提供してある。
配列番号1〜56のポリペプチドに由来する体液ペプチドを、また表1に収載してある。
【0246】
【表1】

【0247】
【表2】

【0248】
【表3】

【0249】
実施例2
骨および/または軟骨疾患における配列番号1〜56から選択されるポリペプチドまたは配列番号57〜193から選択されるペプチドの発現変化についての試験
骨および/または軟骨障害における。配列番号1〜56のポリペプチドおよび/または配列番号57〜193のペプチドの発現変化を検出するために、本発明にしたがった抗体を利用してもよい。この手順にしたがって、骨および/または軟骨障害を有する患者からの適切な試料および健康な年齢および性がマッチした対照からの試料を収集する。次いで、上記のとおりに、試料を配列番号1〜193の1つまたは複数のポリペプチドおよび/またはペプチドを特異的に結合する抗体を含むELISAに添加する。次いで、結合の量を定量化して比較する。
【0250】
また、タンパクアレイ、質量分析、ゲル電気泳動およびマイクロアレイ免疫アッセイを含むが、限定されない、タンパク質の発現レベルを測定するための当該技術分野において公知のそのその他の技術を使用して、配列番号1〜193からなる群より選択されるポリペプチドまたはペプチドの発現変化を決定してもよいことが理解される。
【0251】
実施例3
骨または軟骨障害に罹患している患者の臨床状態とマーカー濃度の相関
配列番号1〜56のポリペプチド(すなわち「標的」)のそれぞれが骨または軟骨障害の適切な生物マーカーであるかどうかを調べるために、それぞれの標的の濃度を骨(たとえば、骨粗鬆症)または軟骨(たとえば、リウマチ様関節炎)障害に罹患している患者の臨床状態と相関させた。この目的で、研究下の各標的の濃度を、これらの患者を治療する医師によって定義される臨床データもしくはスコアをまたはその他の確立された生物マーカーと整合させた。たとえば、「ラーソンスコア」は、関節炎によって生じる軟骨分解の程度を見積もる放射線で定義された値である。本例における所与の標的についての臨床発想の試験は、ラーソンスコアと相関され、すなわち、標的のレベルの上昇または低下が軟骨分解を予測する。
【0252】
本研究は、(1)抗体を産生するために使用される免疫原を定義するための標的のアミノ酸/エピトープ解析、(2)抗体を産生するためのエピトープ解析および得られた抗血清の特性付けによって定義される合成ペプチドでの免疫化、および(3)標的の臨床評価からなり、産生された抗血清を使用する適切な免疫学的スクリーニングアッセイが開発され、かつ骨多孔症または関節炎患者からの明確に定義された臨床的血清試料が本アッセイを使用して試験した。配列番号1〜56のそれぞれのポリペプチドまたはペプチドを調査した。
【0253】
エピトープは、Fraga S., "Theoretical prediction of protein antigenic determinants from amino acid sequences," Can. J. Chem., 60:2606-2610 (1982)のアルゴリズムにしたがってProtScale(www.expasy.org/tools/protscale.html)で算出することによって決定した。ペプチド断片は、これらのエピトープは、特に免疫原性および抗体に対して容易にアクセス可能であることが判明したので、エピトープ認識因子、到達性および極性(ProtScaleプログラムの結果に対応する)の最大が得られた、それぞれの標的のアミノ酸配列のこれらの領域から選択した。標的についてのデータ:(1)エピフィカン(EPYC)(配列番号19)(2)アソポリン(ASPN)(配列番号2)(3)LOC 646627(配列番号28)(4)LOXL3(配列番号29)、(5)TWIST2(配列番号54)(6)CRTACl(配列番号16)および(7)CHAD(配列番号10)を下記に示してある。上述したポリペプチドのそれぞれについての認識因子、到達性および極性プロフィールを図1〜7に図示してある。
【0254】
エピトープ解析に基づいた、認識因子、到達性および極性のピークの最大に対応する配列(エピトープ)を、抗体を産生するための免疫原に選んだ。2〜3個のペプチド/エピトープをそれぞれの配列番号1〜56のために選択した。標的のために選択したエピトープを表1に示してある。
【0255】
【表4】

【0256】
【表5】

【0257】
選択したペプチドは、化学的に合成して、適切な担体タンパク質(たとえば、KLH)に抱合して、2匹のウサギに注射した。最初の免疫化については、それぞれのウサギには、さらに免疫応答を増加させるためにフロイントのアジュバント(EUROGENTEC)およびBCG(ルメットーゲラン菌(Baccillus Calmette-Gerin))および0.25mgの免疫原と混合した0.5mgの対応する抗原を受けさせた。免疫化/出血パターンを表2に示してある。
【0258】
【表6】

【0259】
抗体収率および親和性に応じて、末端採血を行わず、さらなる追加免疫および採血を可能にした。免疫応答を決定するための抗血清の力価は、以下の通り設定した:0.25μg/mlの異なるエピトープをマイクロタイタープレート上に被覆した。非特異的結合を回避するためにプレートをブロックした。次いで、粗製血清をリン酸緩衝液で希釈して、200μlをペプチドプレート上でインキュベートした。室温にて3時間のインキュベーション後、プレートを洗浄して、200μlのヤギ抗ウサギ-HRPとインキュベートして、プレートのペプチドに被覆された抗体の量を検出した。このインキュベーションの後、プレートを再び洗浄して、200μlのTMBを20分間インキュベートした。反応を酸で止めて、シグナルを450nmにてリーダーで測定した。標的エピトープに対する免疫応答を、種々の濃度における試験採血のシグナル強度を免疫化前の同じウサギからの血清のシグナルと比較することによって定量化した。特異性は、研究下でエピトープのないプレートに対する抗血清のバックグランド反応を試験することによって調べた。表3は、選択した全てのエピトープについての試験採血の1:5000の抗血清希釈における相対的シグナルを示す:
【0260】
【表7】

【0261】
非反応エピトープは、「X」と示した。全ての反応する抗血清を、スクリーニングアッセイを準備するために使用する意図で抗体産生の産生のために選択した。粗製抗血清からの抗体標品は、Akta-Explorer FPLCクロマトグラフィー系および内部で評価した標準プロトコルを使用する標準的なタンパク質Gカラム(プロテインG-セファロース、5ml、GE-Healthcare)での親和性精製によって得た。次いで、得られた抗体標品は、発想の臨床試験のためのスクリーニングアッセイを設定するために使用した。
【0262】
標的の臨床評価は:(1)競合的スクリーニングアッセイを準備すること、(2)アッセイ感度を最適化すること(3)骨/軟骨疾患である、およびない個体からの試料プールを試験すること、並びに(4)データ解析、並びに患者および骨/軟骨血清マーカーの臨床状態に対するデータ相関による臨床概念の証拠を確立することからなる。
【0263】
抗体標品での競合アッセイは、以下のプロトコルにしたがって準備した:選択したエピトープに対応するペプチド断片をマイクロタイタープレートに被覆して、非特異的結合を回避するためにブロックした。抗体およびペプチド濃度は、アッセイの最大感度を得るために最小にした。試験手順は、以下の通りだった:200μ1の希釈した抗体を50μlの試料と共に一晩インキュベートした。プレートを洗浄して、ペプチドプレート上の抗体の量を検出するために、200μlのヤギ抗ウサギ-HRP抗体とインキュベートした。インキュベーション後、プレートを再び洗浄して、20分間TMBとインキュベートした。反応を希硫酸で止めて、シグナルをプレートリーダーで450nm/630nmにて測定した。
【0264】
高度の骨(高骨血清マーカーによって定義される)または軟骨(ラーソンスコア(たとえば、リウマチ様の関節における骨破壊のための放射線計測)によって定義される)分解がある骨粗鬆症およびリウマチ様関節炎患者からの試料のプールを試験した。より多くの量を利用可能なため、個々の試料よりもプール試料の使用により、研究の全体にわたるデータ整合性を保証する。
【0265】
骨および軟骨疾患のためのマーカーは:(1)OPG(オステオプロテジェリン)およびsRANKL(可溶性階級リガンド)、破骨細胞(骨を再吸収する細胞)制御のためのマーカー(2)、DKK-I(Dickkopf-1)およびSOST(スクレロスチン))、骨芽細胞(骨形成細胞)制御のためのマーカーおよび(3)SPARC(分泌タンパク質酸性およびシステインがリッチ)、発生、再造形および組織修復に関連する糖タンパク質を含む。骨および軟骨疾患におけるこれらのマーカーの役割は、非常に多くの刊行物によって十分に文書で裏付けられている。任意のこれらのマーカーに対する標的の相関またはラーソンスコアに対する相関(リウマチ様関節炎についてのみ)を、調査した疾患における標的の役割について証拠を考慮した。
【0266】
スクリーニング試験の結果は、表4に要約してある。
【0267】
【表8】

【0268】
【表9】

【0269】
骨粗鬆症に関する結論:エピフィカン濃度は、OPGと適度な(0.536)相関を示した。アソポリンは、DKK-Iでと、および特にsRANKLと十分に相関した。LOC646627は、sRANKLと十分に相関した。LOXL3は、OPGに対して全てのパラメーター(0.949)で最高の相関を示した。このデータに基づくと、以下の標的は、骨粗鬆症のための有用なマーカーであるはずである:エピフィカン、アソポリン、LOC 646627およびLOXL3。
【0270】
好ましくは、上記のとおりの試験の少なくとも1つにおいて、約0.5以上、より好ましくは、約0.7以上および最も好ましくは約0.8以上の相関係数を示すマーカーが使用される。
【0271】
リウマチ様関節炎に関する結論:全ての試験した標的マーカーは、コンドロアドヘリンを除いて、ラーソンスコアに対して、十分な、しかし広範な(0.319-0.865)相関を示した。面白いことに、CHADは、sRANKLと十分に相関し、これは、疾患進行のための非常に優れた指標である。また、OPGとのLOXL3、エピフィカンおよびLOC646627の驚くほど強力な相関があり、さらに、これらの分子がリウマチ様関節炎のための有益なマーカーであるという概念をサポートする。このデータに基づくと、全ての7つの標的は、リウマチ様関節炎のための適切なマーカーである。
【0272】
本研究は、マーカーを検出するために適した抗体の産生を示す最初のものであり、マーカーが検出可能な量でト血漿/血清において循環することを示す最初のものでありかつこれらのマーカーがこれらの患者基における疾患状態についての有用な臨床情報を提供することを示す最初のものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験試料における配列番号2、10、16、19、28、29および54からなる群より選択されるポリペプチドの発現レベルを検出するための方法であって、試験試料を前記ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体と接触させること、および前記試験試料に対する前記抗体の結合を測定することを含む、方法。
【請求項2】
試験試料における配列番号2、10、16、19、28、29および54からなる群より選択されるポリペプチドの発現変化を検出するための方法であって:
(a)試験試料を前記ポリペプチドに対して特異的に結合する抗体と接触させること;
(b)前記試験試料に対する前記抗体の結合を測定すること;および、
(c)工程(b)の結合を対照と比較すること、
を含み、
これにより、前記ポリペプチドの発現変化が、工程(b)の結合の対照との相違によって同定される、方法。
【請求項3】
配列番号1、2、10、16、19、28、29および54からなる群より選択されるポリペプチドの発現変化と関連する骨および/または軟骨障害を診断するための方法であって、請求項2の方法にしたがって配列番号1、2、10、16、19、28、29および54からなる群より選択されるポリペプチドの発現変化を検出することを含み、これにより、骨および/または軟骨障害が、配列番号1、2、10、16、19、28、29および54からなる群より選択されるポリペプチドの発現の増大または減少によって診断される、方法。
【請求項4】
前記抗体は、ビーズ、スライド、ゲル、マルチウェルプレートおよびカラムの群の少なくとも1つから選択される支持基体上に固定される、請求項2または請求項3の方法。
【請求項5】
配列番号1、2、10、16、19、28、29および54からなる群より選択されるポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む、被験体における骨および/または軟骨障害を診断するためのキット。
【請求項6】
前記抗体は、マルチウェルプレートの複数のウェルに固定される、請求項5のキット。
【請求項7】
使用説明書をさらに含む、請求項5のキット。
【請求項8】
哺乳類における骨および/または軟骨疾患を診断するための方法であって:
(a)前記試料における配列番号1、2、10、16、19、28、29および54からなる群より選択されるポリペプチドをコードする遺伝子の内因性発現を特異的に検出するための薬剤と前記哺乳類からの試験試料を接触させる工程;
(b)前記試料における前記遺伝子の内因性発現のレベルを検出する工程;および、
(c)前記哺乳類における骨および/または軟骨疾患を診断するために、前記試料における配列番号1、2、10、16、19、28、29および54からなる群より選択されるポリペプチドをコードする内因的に発現された遺伝子の前記レベルを、病気にかかっていない哺乳類からの試料において内因的に発現される配列番号1、2、10、16、19、28、29および54からなる群より選択されるポリペプチドをコードする前記遺伝子の基準レベルと比較する工程、
を含む、方法。
【請求項9】
前記薬剤は、配列番号1、2、10、16、19、28、29および54からなる群より選択されるポリペプチドに対して特異的に結合する抗体である、請求項8の方法。
【請求項10】
前記骨および/または軟骨疾患は、骨粗鬆症またはリウマチ様関節炎である、請求項8の方法。
【請求項11】
患者が骨および/または軟骨障害を有するかどうかを同定するための方法であって:
(a)前記患者のから試験試料を得ること;
(b)配列番号1、2、10、16、19、28、29および54からなる群より選択されるポリペプチドをアッセイすることにより、配列番号1、2、10、16、19、28、29および54からなる群より選択されるポリペプチドをコードする遺伝子の発現レベルを検出すること;および、
(c)前記レベルを健康な対照のものと比較すること、
を含み、
これにより、配列番号1、2、10、16、19、28、29および54からなる群より選択されるポリペプチドの発現レベルと比較した配列番号1、2、10、16、19、28、29および54からなることを基から選択されるポリペプチドをコードする遺伝子の発現の変化が、対照における骨および/または軟骨障害についてポジティブな結果を示す、方法。
【請求項12】
患者が骨および/または軟骨障害を有するかどうか、同定するための方法であって:
(a)前記患者から試験試料を得ること;
(b)配列番号57〜193からなる群より選択されるペプチドをアッセイすることにより、配列番号57〜193からなる群より選択されるペプチドの濃度を検出すること;および、
(c)前記濃度を健康な対照のものと比較すること、
を含み、
これにより、配列番号57〜193からなる群より選択されるペプチドの濃度と比較した配列番号57〜193からなる基から選択されるペプチドの濃度の変化が、対照における骨および/または軟骨障害についてポジティブ結果を示す、方法。
【請求項13】
試験試料は、血液、尿、滑液、涙、汗、唾液、血清、リンパ、精液、膣液、脳脊髄液、細胞培養上清、細胞抽出物および組織抽出物からなる基より選択される哺乳動物体液を含む、請求項1〜3、8〜11および12のいずれか1項の方法。
【請求項14】
骨障害は、骨粗鬆症、骨減少症、骨軟化症、骨骨髄腫、骨形成異常、パジェット病、骨形成不全症、骨硬化症、再生不良性骨障害、体液性高カルシウム血症骨髄腫、多発性骨髄腫、クルゾン症候群、オプシスモ異形成(成熟遅延骨異形成症)、濃化異骨症および大理石骨病からなる群より選択される、請求項1〜3、8〜11および12のいずれか1項の方法。
【請求項15】
軟骨障害は、骨関節炎、リウマチ様関節炎、退行性骨関節症、骨軟骨炎、離断性骨軟骨炎、肋軟骨炎および多発性軟骨炎からなる群より選択される、請求項1〜3、8〜11および12のいずれか1項の方法。
【請求項16】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1、2、3、9および10のいずれか1項の方法。
【請求項17】
前記抗体がポリクローナル抗体である、請求項1、2、3、9および10のいずれか1項の方法。
【請求項18】
前記ポリペプチドが少なくとも0.8のRD値を有する、請求項1、2、3、9および10のいずれか1項の方法。
【請求項19】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項5、6および7のいずれか1項のキット。
【請求項20】
前記抗体がポリクローナル抗体である、請求項5、6または7のいずれか1項のキット。
【請求項21】
体液が尿である、請求項13の方法。
【請求項22】
哺乳類を
(a)配列番号2のアミノ酸180〜190;
(b)配列番号2のアミノ酸301〜310;
(c)配列番号2のアミノ酸340〜350;
(d)配列番号10のアミノ酸203〜222;
(e)配列番号10のアミノ酸343〜359;
(f)配列番号16のアミノ酸238〜257;
(g)配列番号16のアミノ酸578〜597;
(h)配列番号16のアミノ酸88〜107;
(i)配列番号19のアミノ酸91〜110;
(j)配列番号19のアミノ酸158〜172;
(k)配列番号19のアミノ酸215〜232;
(1)配列番号28のアミノ酸49〜59;
(m)配列番号28のアミノ酸158-167;
(n)配列番号29のアミノ酸285〜300;
(o)配列番号29のアミノ酸555〜570;
(p)配列番号29のアミノ酸621〜635;
(q)配列番号54のアミノ酸21〜50;および、
(r)配列番号54のアミノ酸91〜110、
からなる群より選択されるペプチド断片で免疫することによって産生される単離された抗体であって、前記ペプチド断片に結合することができる、抗体。
【請求項23】
骨粗鬆症またはリウマチ様関節炎を診断するための方法であって、
(a)骨粗鬆症またはリウマチ様関節炎を有することが疑われる患者から試験試料を得ること;
(a)試験試料を請求項22に記載の抗体と接触させること;
(b)試験試料に対する抗体の結合を測定すること;および、
(c)工程(b)の結合を対照と比較すること、
を含み、
これにより、対照に対する抗体の結合と比較した試験試料に対する抗体の結合の変化が、骨粗鬆症またはリウマチ様関節炎についてポジティブな結果を示す、方法。
【請求項24】
抗体がポリクローナル抗体である、請求項22の抗体。
【請求項25】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項22の抗体。
【請求項26】
被験体における骨および/または軟骨障害を診断するための、請求項22に記載の1つまたは複数の抗体を含むキット。
【請求項27】
前記抗体は、マルチウェルプレートの複数のウェルにおいて固定される、請求項26のキット。
【請求項28】
使用説明書をさらに含む、請求項26のキット。
【請求項29】
配列番号194-211からなる群より選択される配列からなる単離されたペプチド。
【請求項30】
哺乳類を前記ペプチドで免疫することによって抗体を産生するための、請求項29に記載のペプチドの使用。
【請求項31】
哺乳類における骨および/または軟骨疾患を診断するための方法であって:
(d)前記試料における配列番号1〜56からなる群より選択されるポリペプチドをコードする遺伝子の内因性発現を特異的に検出するための薬剤と前記哺乳類からの試験試料を接触させる工程;
(e)前記試料における前記遺伝子の内因性発現のレベルを検出する工程;および、
(f)前記哺乳類における骨および/または軟骨疾患を診断するために、前記試料における配列番号1〜56からなる群より選択されるポリペプチドをコードする内因的に発現された遺伝子の前記レベルを、病気にかかっていない哺乳類からの試料において内因的に発現される配列番号1〜56からなる群より選択されるポリペプチドをコードする前記遺伝子の基準レベルと比較する工程、
を含む、方法。
【請求項32】
前記薬剤は、配列番号1〜56からなる群より選択されるポリペプチドに対して特異的に結合する抗体である、請求項31の方法。
【請求項33】
前記薬剤は、配列番号57〜193からなる群より選択されるペプチドに特異的に結合する抗体である、請求項31の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公表番号】特表2012−506551(P2012−506551A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532635(P2011−532635)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063909
【国際公開番号】WO2010/046443
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(511099696)バイオマーカー デザイン フォルシュングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【Fターム(参考)】