骨成長のための骨伸延ツール
記載される実施態様は、外科的に移植される骨伸延デバイスに関し、伸延の過程を通して新しい骨を成長させることを目的とする。本発明のデバイスは、ねじが切られたポストに取り付けられるねじ機構をハウジングする人工器官を含み、これはアンレー・プレートから組織を通って伸びて、外科的に歯槽骨上に置かれる。短い潜伏期の後に、所望の量の新しい骨成長(高さと幅)が達成されるまで、デバイスのスクリュー機構は毎日作動される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願との相互参照
この出願は、2008年2月29日に出願された米国仮出願61/064,377の優先権を主張して出願された、2009年2月27日に出願のされた一部継続出願12/394,480の優先権を主張する。その出願は参照され、その全体が本出願明細書に組み入れられる。
本発明の技術分野
【0002】
本明細書に記載された実施態様は一般に歯科インプラントシステム、および新しい骨の成長方法に関連する骨伸延デバイスに関し、より詳細には骨の欠損により傷ついている口内領域における新しい骨の成長を促進するための歯科インプラントシステムおよび歯科外科方法に関連する骨伸延デバイスに関し、より詳細には顎骨の領域の伸延骨形成法による、新しい骨成長の形成および軟組織の形成ための骨伸延歯科インプラントデバイスおよび方法に関する。
【0003】
本発明の背景
整形外科医は、骨を復元し伸延するために伸延骨形成法に従来は頼った。このプロセスでは骨の脈管片を張力下に置き、それによって骨修復仮骨の生成によって生得の骨形成を引き起こす。その後、それは新しい骨を生成するために張力下に置くことができる。伸延骨形成法を達成するために、外科医は一般に1個以上の片へ骨を切断するか分割する骨切り術を行なう。骨セグメントが直るとともに、それらは徐々に経時的に拡大する;徐々の伸張は、血管および神経エンドが伸延プロセスの間に完全なままであることを可能にする。例えば、しばしば0.5ミリメートルの2つの伸張を3日か4日間行なうことにより骨は1日当たり1ミリメートル伸ばすことができ、これは血管および神経エンドが完全なままであることを可能にする。
【0004】
骨セグメント間のギャップが広がるとともに、体の自然治癒能力により新しい骨と隣接した軟組織との空間が充填される。一旦所望の骨形成が達成されれば、その領域は直り一体化することが許容される。その後、しばしば、伸延骨形成デバイスは回収される。
【0005】
時期尚早の歯の損失は、咀嚼、および明白な発音について患者の能力を制限する。これを受けて、より多くの患者が歯の置換を要求している。従来は、歯科医は、失われた歯を、取り外し可能な人工器官(部分義歯または総義歯)のような様々な手段により置き換えることができた。歯科医は、解決策として、隣接した歯に接合された固定ブリッジ義歯の取り付けを行った。これらの2つの従来方法は、関連する歯のクラウンの交換により歯のなくなったスペースの空間を満たす作用をする;しかしながら、これらの方法は、時期尚早の歯の逸失に関連した他の問題(例えば骨劣化)を解決しない。
【0006】
骨劣化は歯科医の利用可能な選択肢を限定し、最適のサイズの歯科インプラントより小さなものを置くことを要求する。これらのより小さな歯科インプラントは、咀嚼による機械的負荷に適合しない場合があり、結局失ったりおよび/または失敗することがある。さらに、骨劣化は最適であると考えられるものより審美的でないか機能的でない、理想的な位置ではない位置に歯科インプラントを置かせることがある。
【0007】
この骨劣化問題に対する従来の解決策のひとつは、骨逸失が顕著でない場合には、たとえば患者自身の骨または死体の骨を移植するか、または合成骨代用品を移植する骨の土台を造成することだった。骨損失が顕著だった場合、骨造成は第一の外科的処置として行われなければならず、その数か月後に歯科インプラントの配置を第二の外科的処置として、骨移植の治療終了後に行われる。
【0008】
骨移植の必要を低減し、骨欠損領域の骨の実際の切断を防ぎ、患者の審美的な不安を低減し、新しい骨成長の迅速な再生を許容する、新しい伸延デバイスおよび方法に対する必要がある。
【0009】
本発明の概略
記載された実施態様は、伸延のプロセスを通じて新しい骨成長を促進するための、外科的にインプラントされる骨伸延プレートデバイス(bone distraction plate device)に関する。特定の実施態様は、ねじが切られたポストに取り付けられるねじ機構をハウジングする人工器官を含むデバイスに関し、これはアンレー・プレート(金属、バイオ・セラミックス、バイオ・ポリマーまたはそれの任意の組み合わせを含む材料)から組織(transmucosa)を通って伸びて、外科的に歯槽骨上に置かれる。短い潜伏期の後に、所望の量の新しい骨成長(高さと幅)が達成されるまで、伸延ツールを使用してデバイスのスクリュー機構は毎日作動される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本願明細書に記載された実施態様を例証する。
【図2】図2は、本願明細書に記載された実施態様を例証する。
【図3】図3は、本願明細書に記載された実施態様を例証する。
【図4】図4は、本願明細書に記載された第二の実施態様を例証する。
【図5】図5は、本願明細書に記載された第三の実施態様を例証する。
【図6】図6は、図1に記載された実施態様の様々な操作段階を例証する。
【図7】図7は、図1に記載された実施態様の様々な操作段階を例証する。
【図8】図8は、図1に記載された実施態様の様々な操作段階を例証する。
【図9】図9は、図1に記載された実施態様の様々な操作段階を例証する。
【図10】図10は、本願明細書に記載された第四の実施態様を例証する。
【図11】図11は、本願明細書に記載された第五の実施態様を例証する。
【図12】図12は、本願明細書に記載された第五の実施態様の他方向からの図である。
【図13】図13は、本願明細書に記載された第五の実施態様の他方向からの図である。
【図14】図14は、本願明細書に記載された第五の実施態様の他方向からの図である。
【0011】
本発明の詳細な記述
明細書に議論される実施態様は、あご骨および/または上顎顔面部位領域の、伸延骨形成法による、新しい骨成長および軟組織成長を促進するための技術と装置を提供する。以下の記載では、多数の具体的な詳細が、本発明についての完全な理解を提供するために、たとえば材料タイプ、寸法、特定の組織などについて述べられる。医学的な分野における通常の知識を有している医師は、本発明をこれらの詳細の多くを必要とすることなく実行できると理解する。他の例では、有名な装置、方法および生化学過程は本発明を不明瞭にしないようにするために、詳細には記載されていない。
【0012】
本明細書に議論される実施態様は、構造の一体性を向上し、骨劣化を低減させることができる骨伸延プレートデバイスの提供により、先の問題に解決策を提示する。1つの実施態様(図1−3)によれば、骨伸延プレートデバイス100はプレート構成要素110およびエキスパンション構成要素120を含む。プレート構成要素110はディスク部分111および、ディスク部分110の中心から垂直に伸びるねじが切られたシリンダー部分112(または頂点部分)を有する。エキスパンション構成要素120(冠部分)は、プレート構成要素110の後退を制御できるように接続される。プレート構成要素110およびエキスパンション構成要素120は、独立して、以下の材料の1つ以上から選ばれた材料から作ることができる:商業的に利用可能な純粋なグレードIVチタン、合金または他の金属物質。金属物質が歯科インプラント技術で使用される材料用のパラメータに適合するかまたはそれ以上であるべきことが留意されるべきである。プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120は、生物分解性または非分解性のバイオセラミック材料、例えばハイドロキシアパタイト、強化ポリエチレン複合材、ベータリン酸三カルシウム、置換されたリン酸カルシウム、生体活性ガラス、再吸収可能なリン酸カルシウム、アルミナ、ジルコニアなどから、固体構造物として作ることができることが理解されるべきである。プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120を形成するために使用される複合材料を形成するために、バイオセラミック材料とともに生分解性高分子を使用できることは、さらに留意されるべきである。好ましい実施態様では、ハイドロキシアパタイト材料がプレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120を形成するために利用される。プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120は、無毒な副産物に帰着する特性を有する公知の任意のタイプの材料から形成できる。
【0013】
プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120は、たとえばポリウレタン、ポリオルソエステル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ(エチレン)グリコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリビニルピロリドン、およびシアノアクリレートのような合成高分子、海産性接着性タンパク質、またはそれらの類縁体、混合物、組み合わせおよび誘導体から、単独でまたは組み合わせて作ることができる。プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120は、天然高分子または生得的なポリマー、たとえばアガロース、アルギナート、フィブリン、フィブリノゲン、フィブロネクチン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、および他の好適なポリマーおよび生体高分子、または上記のものの類縁体、混合物、組み合わせおよび誘導体を、単独でまたは組み合わせて使用して作ることができる。さらに、プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120は、天然由来の生体高分子および合成高分子の混合物から形成できる。あるいは、プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120は、コラーゲンゲル、ポリビニルアルコールスポンジ、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)ファイバーマトリックス、ポリグラクチンファイバー、アルギン酸カルシウムゲル、ポリグリコール酸メッシュ、ポリエステル(例えばポリ−(L−乳酸)またはポリ無水物)、多糖類(例えばアルギナート)、ポリホスファゼンまたはポリアクリレート、またはポリエチレンオキシド・ポリプロピレングリコール・ブロック共重合体から作ることができる。プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120は、蛋白質(例えばフィブリン、コラーゲンおよびフィブロネクチンのような細胞外マトリックス蛋白質)、ポリマー(例えばポリビニルピロリドン)またはヒアルロン酸から製造できる。合成高分子も使用でき、たとえば生腐食性(bioerodible)ポリマー(例えばポリ(ラクチド)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリカーボネート類、ポリアミド類、ポリアンハイドライド類、ポリアミノ酸類、ポリオルソエステル類、ポリアセタール類、ポリシアノアクリレート類)、分解可能なポリウレタン、非腐食性(non-erodible)ポリマー(例えば、ポリアクリレート類、エチレン酢酸ビニールポリマー類および他のアシル置換酢酸セルロース類およびそれらの誘導体)、非腐食性ポリウレタン類、ポリスチレン類、ポリ塩化ビニル類、ポリフッ化ビニル類、ポリ(ビニルイミダゾール)類、クロロスルフォン化ポリオレフィン類、ポリエチレンオキシド類、ポリビニルアルコール類、テフロン(登録商標)、およびナイロンが使用できる。
【0014】
生産材料として使用されるバイオセラミックは、3分類のバイオマテリアルに分けることができる。すなわち、不活性、吸収可能、および活性なものである。それらはそれぞれ、生理的なプロセスで変化しないもの、溶解するもの、または該プロセスに活性に参加できるものを意味する。プレート構成要素110の生物学的適合で使用可能な材料と考えられるいくつかのリン酸カルシウムセラミックスがある。これらのうち、大部分は吸収可能であり、生理的な環境(例えば細胞外マトリックス)にさらされた時に溶解する。これらの材料のうちのいくつかとしては可溶性の順に以下があげられる:リン酸四カルシウム(Ca4P2O9)>無定形のリン酸カルシウム>アルファ・リン酸三カルシウム(Ca3(PO4)2)>ベータ・リン酸三カルシウム(Ca3(PO4)2)>>ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)。上に列記された他のリン酸カルシウムと異なり、ハイドロキシアパタイトは生理的な条件の下でも分解しない。実際、それは生理的なpHで熱力学的に安定していて、周囲の骨と強い化学結合を形成して、骨結合に活性に参加する。この特性は手術後の迅速な骨修復には有利である。アルミナとジルコニアのような他のバイオセラミック材料はそれらの一般的な化学的不活性および堅さで知られている。それがインプラントデバイスの接合される表面(articulating surface)に使用される場合、これらの特性がインプラントデバイス支持目的のために利用できる。様々な条件または疾病により骨の部分を除去されなければならなかった場合、多孔性のアルミナも骨スペーサーとして使用できる。材料は、骨成長を促進する環境の役割をする。
【0015】
生分解性高分子は、固有の分解のプロセスとともに、反り、中空化または本質的な腐食の問題を生ずる。そのような問題を解決するために、高結晶化度のポリマーが利用される。自己−強化および超高強度の生体吸収性複合物が、ポリグリコリド類、ポリラクチド類、およびグリコリド/ラクチドコポリマーのような、部分的に結晶性の生体吸収性高分子から容易に組み立てられる。これらの材料は、インプラントの幾何学的形状に依存して、高い初期強度、適当な弾性率、4週間から1年までの生体内での強度保持時間を有している。結晶性ポリマーのファイバー、ポリマー中の炭素ファイバーおよび微粒子のフィラー(例えばハイドロキシアパタイト)のような強化要素も、生物分解性デバイスの寸法安定性および機械的性質を改良するために使用されてもよい。生物分解性材料構造中での相互貫入網目構造(IPN)の使用は、機械的強さを改良する手段として実証された。さらにIPN強化生物分解性材料の機械的性質を改良するために、生物分解性のプレートが、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)85:15(PLGA)、またはポリ(l−ラクチド−コ−d,lラクチド)70:30(PLA)のホストマトリックス内に、異なる架橋剤を使用して、架橋されたポリプロピレンフマレートの準相互貫入網目構造(SIPN)として調製されることができる。
【0016】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子状物質を加えた樹脂複合材料は、インプラントデバイス(例えばプレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120)の疎水性および表面特性を改良する。PTFEは、化学薬品への高い耐性、低い表面エネルギー、低温および高温に対する耐性、風化作用に対する耐性、低摩擦ワイヤリング、絶縁性および滑りやすさを有している。しかしながら、従来のPTFEは摩滅に対する貧弱な抵抗を有しているので、発明者はガンマビーム放射で架橋されたPTFEを、摩滅と変形に対する抵抗を劇的に改良するために使用することを企図している。さらに、編まれた炭素繊維およびエポキシ樹脂(いわゆる生物学的適合性の炭素−エポキシ樹脂)で作られた複合材料は、短いかまたは積層された一方向のファイバーで作られた複合材料よりも良好な機械的性質を有している。
【0017】
プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120の外側表面(特にプレート構成要素110の外側表面)は、当業者に公知のように、従来のように被覆/粗化して追加の骨成長を図ることができる。プレート構成要素、エキスパンション構成要素110、120は、対応するシリンダー状部分(ねじが切られたシリンダー部分112および中空のスロット125(以下に記載される))を有し、時計回りまたは反時計回りのねじとして、プレート構成要素110の外側、およびエキスパンション構成要素120の内側にねじを切ることができる。プレート構成要素110のねじは、プレート構成要素110の土台からたとえば約2mmから始めて、プレート構成要素110のシリンダー112の全長さに沿って垂直方向に続いてねじが切られる。
【0018】
一方、エキスパンション構成要素120は、完全に通り抜ける中空のスロット125を有し、エキスパンション構成要素120の全長(エキスパンション構成要素120の頂部126から底部127まで)にわたりねじを有する。中空のスロット125は円筒状の形状を有しており、内側に時計回りまたは反時計回りの雌ねじを有し、これはプレート構成要素110のシリンダー112上のねじに対応する。プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120上のねじのピッチは、およそ0.5mm/日の新しい骨成長を促進する任意のピッチであることができる。新しい骨成長を促進するピッチの例としては例えば、0.25mm、0.3mm、0.5mm、1.0mm、1.5mmおよび2.0mmがあげられる。エキスパンション構成要素120の長さは要求された伸延に応じて変わることができる;例としては、およそ3.5mmのエキスパンション構成要素120の長さがあげられる。外科医または患者が、伸延エキスパンション構成要素120を活性化した後に容易に伸延の距離を読むこと(以下に記載される)を可能にするように、エキスパンション構成要素120の頭は、エキスパンション構成要素120の中心と横側の間の表面上で好ましくはマークされる。マークはエキスパンション構成要素120のぎざぎざであることができ、および/または異なる色から成ることができる。
【0019】
骨伸延プレートデバイス100の最初の配置の前、配置中、および配置後に、プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120の間の水平のインターフェース122は、広く顕著なギャップ150(図2を参照)を有している。このインターフェースは滑らかか、またはプレート構成要素とエキスパンション構成要素110、120の向き合う表面130、140上に組み合わされるかまたは連結する相補的なロック要素131を有する。そのような要素131は、治療中であってプレート構成要素とエキスパンション構成要素110、120が骨105と一体化する前に、水平のインターフェース122の回転とねじりを防ぐ。以下に記載されるように、骨伸延プレートデバイス100のエキスパンション構成要素120は、プレート構成要素とエキスパンション構成要素110、120の間での後退を提供し、プレート構成要素110と骨105の間に、伸延ギャップ150を形成する(図1および2を参照)。
【0020】
図1および2の中で例証されるように、エキスパンション構成要素120はプレート構成要素110のまわりで回転可能でなければならない。以下に詳細に説明される。上述のように、エキスパンション構成要素120は、体内移植中に骨伸延プレートデバイス100のプレート構成要素110の雄ねじと作動可能に噛み合う雌ねじを有している。エキスパンション構成要素120は回転されるので、プレート構成要素110と固定して接続されてはならない。プレート構成要素110が骨105から回転しながら上昇する時、プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120との間のギャップ150が、プレート構成要素110の雄ねじとエキスパンション構成要素120の雌ねじの相互作用によって体内移植中に軸方向に減少するので、エキスパンション構成要素120がプレート構成要素110の周囲を自由に回転することを防止する。エキスパンション構成要素120の回転可能性を維持するための他の従来の手段も許容可能である。プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120は、歯槽骨に垂直の力を適用することにより骨伸延プレートデバイス100の負荷を負うために使用されてもよい。
【0021】
プレート構成要素110は骨内に静止し、たとえばプレート構成要素110の雄ねじとエキスパンション構成要素120の雌ねじの相互作用により提供されるエキスパンション構成要素120の回転運動により、プレート構成要素110のエキスパンション構成要素120への後退を提供する(第6−9図を参照)。その後、人体は、新しい骨106でギャップ150を埋めることにより、治癒を試みる。ギャップ150が毎日広げられる場合、人体は新しく拡張したギャップ150を認識し、新しい骨106でギャップに150を満たし続ける。1日当たり0.5−2.0ミリメートルのようなゆっくりとした速度でギャップ150をゆっくり拡張することによって、人体はギャップ150を治し、新しい骨106を生成することを継続する。従って、在来の骨が修復用のテンプレートとして利用されるので、生成された新しい骨106はオリジナルの骨と同じサイズおよび形を有する。そのような結果は新しい骨の形成に有利でユニークであり、他の従来の骨移植技術を使用する場合には、達成されない。新しい骨の形成に加えて、伸延骨形成法中に、更に被覆軟組織が再生される。これは伸延骨形成法に特有の二次的な利益である。この二次的な利益は顕著な臨床的意味合いを有している。適切に確立された下方の基礎だけではなく、被覆軟組織の再生は欠陥の審美的改善および機能的なリハビリテーションを提供する。
【0022】
取り付けられる際に、プレート構成要素110は、骨105の表面160と同じ高さにあるようにされる。その一方でねじが切られたシリンダー112は、粘膜170を通ってプレート構成要素110の表面を越えて口内に伸びている(図6を参照)。最初に、インプリメンテーション中に、エキスパンション構成要素120はねじが切られたシリンダー112の上に設置される。エキスパンション構成要素120の頂部表面180は六角形の開口190を有している。開口190は、対応するLまたはT型の六角形のキー195を介して、伸延プロセスを活性化するために、エキスパンション構成要素120を回転させるための機械的なアクセスを提供する(図5を参照)。六角形のキーはステンレス鋼から作られ、より詳細に以下に記載されられるように、作業の間に骨伸延プレートデバイス100のプレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120の後退を引き起こす。
【0023】
図11−14は、例示の伸延ツール300を図説する。先に説明したように、六角形の鍵195は、伸延ツール300とともに使用でき、または伸延ツール300で置き換えることができる。伸延ツール300は、外科医、および/または患者が拡張要素120を正確な距離、例えば、1日あたり1ミリメートル(1mm)で回転することができる。伸延ツール300が聞きとれるおよび/または見ることができる指示計を含むことができ、患者がより高い精度で伸延された距離を判断することを可能にする。
【0024】
伸延ツール300はハンドル310、ローテイター320、複数のマイタ歯車330(例えば、マイタ歯車333とマイタ歯車335)、六角ソケット340、および歯止め装置350を含む。ハンドル310は丸い回転端312を有する長方形である。ハンドル310は、伸延の間、伸延ツール300のより良好な手動制御を可能とし、口内で、歯が装置を固定し、安定させるのを可能にする。丸い端部312は、口へのより簡単なアクセスを許容する。三角形のローテイター320は六角ソケット340の手動の回転を許容する。ローテイター320は、その端部にマイタ歯車333を有する軸322に接続される。マイタ歯車333は、他のマイタ歯車335と同時に作用する。マイタ歯車335はマイタ歯車333の軸と垂直に配置され、六角ソケット340が取り付けられる。したがって、適切に付けられると、伸延ツール300は、入力された手動回転を等量の六角回転出力に変換する(例えば、1:1比)。適切な使用のため、ハンドル310の上の回転方向指示器360があることが好ましい。操作では、例として、ハンドル310の4回転は伸延の1回の完全な回転、または1ミリメートル(1mm)の伸延になることができる。また、伸延ツール300は歯止め装置350を含むことができ、開始位置から完全な回転がされた時、可聴表示(例えば、「クリック」音)を与えて、位置を固定することができる。
【0025】
伸延ツール300のための製造材料として多くの異種材料を使うことができる。例えば、ステンレスまたはポリマー、たとえばProplux(登録商標) HSポリプロピレンなど(医療グレードおよびFDA承認の熱可塑性ポリマー)を使用できる。当業者に公知の種々の材料が伸延ツール300を製造するために使用することができる。例えば、患者の安全、および/または、廃棄性に適している材料から伸延ツール300を製造できる。
【0026】
図10は、例えばクラウン、ブリッジまたは義歯のような人工器官を付けるために、骨にアブットメント構成要素(abutment component)210が一体化された第二の実施態様を例証する。アブットメント構成要素210は、エキスパンション構成要素120と同じ寸法を本質的に有している。アブットメント構成要素210は、例えばクラウン、ブリッジまたは義歯のような人工器官用の基礎として、2つの構成要素110、120の制御された分離によって伸延骨形成法によって生成された十分な骨成長の後に、利用される構成要素である。アブットメント210の端212はエキスパンション構成要素120に連結され、骨との一体化中に、2つの構成要素110、120は固定して接続され続ける。
【0027】
図4−9の中に、骨伸延プレートデバイス100の作業が記載される。骨伸延プレートデバイス100は、補足の骨が必要な、前もって決定された部位または領域197の歯槽骨内に形成された、一連の空気孔198の上に置かれる。任意の外科手術手技に先立って、物理的検査、X線検査、およびすべての必要な人工器官を作り上げる歯科医とのコンサルテーションを含めた適切な治療計画が行なわれるべきである。
【0028】
一旦患者の外科手術への準備が整えば、局所麻酔薬がされ、外科手術部位へ浸透される。麻酔と血管収縮のための適切な時間の後に、空気孔198が前もって決定された部位で歯の隆線の稜に沿って作られる。下の骨は、エレベーターで十分な厚さの粘膜骨膜弁をあげることにより公知の方法で暴露される。露出した骨は、骨密度と質について鼓動(palpitation)によって公知の方法で評価される。
【0029】
従来のドリル方法を使用した他の実施態様では、骨切り術は、計画されたインプラント配置サイトで行われる。骨切り術を行うために他の従来の手順を使用することができることが、留意されるべきである。すべての骨ドリリング手順は、豊富な量の洗浄(内部および/または外部)を含む。骨切り術部位は、次第により広いドリルの利用により拡大される。任意に、X線により、骨切り術部位の位置を確認できる。最終サイズの骨切り術部位は、仕上げ用の滑らかな、ツイストドリルを使用するか、または組み合わせ伸延歯科インプラントに対応するねじ内にタップすることによって完了する。この点では、伸延プレート・デバイス100は、手動でまたは当業者によって知られているように、低速に設定された公知のインプラント・ドリルの使用によって骨105の上に、または骨内へ置かれる(図3を参照)。傷は洗浄され、また骨切り術が行われた場合、上述のように切り口は従来のように開口190を露出して閉じた。骨の中への伸延プレート・デバイス100の骨片としての一体化は、視覚的に感知できて確認される。この時点で、患者は例えばクラウン、ブリッジまたは義歯のような任意の人工器官の取り付けに先立った伸延骨形成法による新しい骨を育てるプロセスの準備が整う。
【0030】
その後、患者は、伸延プレート・デバイス100のケアおよび作動に関して教育される。最初の治療の期間、潜在期(約5−7日の)の後に、調整可能なエキスパンション構成要素120は活性化されるか動かされ、回され、それによって、配分された量でプレート構成要素110をエキスパンション構成要素120に対して(1日当たり約1.0mm)で後退させ、それにより、骨の上の伸延ギャップ150を作成する。患者も毎日ギャップ150を広げる、延ばすために必要な教育を受ける。その後、適切に、患者は追跡と評価のために観察される。歯茎の上の自然な歯冠の典型的な高さが、約8mmであるので、適切な機能のために、エキスパンション構成要素120の遠位端185は隣接した歯冠の最低の高さ以上に伸びるべきでない。
【0031】
十分な骨高さ(約5mmから約15mm)が達成された後、伸延プロセスは停止される。エキスパンション構成要素120は回収され、人工器官と取り替えられる。しかしながら、いくつかの実施態様の中で、所定の場所にエキスパンション構成要素120を残すことができることは認識されるべきである。しかしながら、新しく成長した骨106はまだ比較的弱く、骨化が不完全であり、約4から6週までの期間が、例えばクラウン、ブリッジまたは義歯のような最終人工器官の製作および設置の前に必要である。この期間に加え、人工器官(例えばアブットメント構成要素210)はエキスパンション構成要素120と交換するか、またはエキスパンション構成要素120(例えばアブットメント構成要素210)と協力して使用でき、骨に組み込まれ、それにより設置された骨伸延プレートデバイス100の剛性を増加させる。
【0032】
図6−9は、本願明細書に記載された実施態様にしたがって、伸延プロセスを例証する。図6は、最適の歯科インプラントを支持するためには不十分な骨を有している領域に新しく設置された骨伸延プレートデバイス100を示す。図7は、幾分かの骨が再生されたが、最適の歯科インプラントを支持するのには十分でない中間の骨成長状態を示す。プレート構成要素110とエキスパンション120構成要素との間の分離が減少したことは注目されるべきである(つまり減少した伸延ギャップ150)。図8は別の中間の骨再生位置を示す。図9は、アブットメントが伸延プレート・デバイス100に置かれる場合の最終結果を示す。
【0033】
先の記述は、例示的な伸延プレート・デバイスおよび方法を使用して、歯科インプラントのフィールドへの伸延骨形成法の技術および技術の1つの具体的な用途を例証した。従来の歯科インプラントが同様の基礎的な形式を有しているので、当業者には、伸延プレート・デバイスの潜在的な組み合わせは無制限であることは明らかであろう。基本設計の細かな詳細を改良、例えば、歯科インプラントを水平に50/50%ではなく60/40%に分割すること、エキスパンション構成要素の長さまたはテーパーの変更、ねじのピッチの変更などがあげられるが、これらは無制限の可能な変化のごくわずかである。
【0034】
しかしながら、あらゆる可能な変化において、記載された基本概念、すなわち、最適の歯科インプラントを置くために骨の不十分な領域で十分な骨生成を達成するために、プレート構成要素とエキスパンションの構成要素110、120を有している骨伸延プレートデバイス100を利用することは保持される。ここに記載された実施態様の利点としては、新しい骨成長と軟組織の形成を行い、それにより従来の外科手術手順と比較して、患者が伸延中にさらされる外科手術手順の数および病的状態を低減することがあげられる。さらに、上に記載された伸延プレート・デバイスは、追加の外科手術手順を行わずに骨再生過程中に、伸延ギャップ150を連続的に調節するためにエキスパンション構成要素120を使用することにより、より広汎な用途を提供する。
【0035】
この手続きの間に骨治癒プロセスを向上する方法は、伸延の領域へ骨形態形成蛋白質(BMP)および基礎的な線維芽細胞成長因子(bFGF)のような骨成長因子を導入することである。骨成長因子のこれらの2つのクラスは、骨再生、人工器官類似のインプラントへの骨治癒を加速し、かつ仮骨の強さと安定を増加させる。様々な方法によって、伸延の領域に骨成長因子を送達することができる。1つの方法は、ゲルまたはスポンジ状の材料であることができるコラーゲン・マトリックスと協力して、伸延の領域へ骨成長要因を導入することである。骨成長因子は患者自身の骨細胞を活発にするよう刺激するだろう。その一方でコラーゲンは、刺激された骨細胞が成長することができる足場材料を提供する。結局、骨はコラーゲン足場を置き換えることができ、足場は結局再吸収されることができる。フィブリノゲン、a−トロンビン、および他の様々な抗生物質、成長ホルモン、遺伝子治療薬またはそれら因子の組み合わせも、健全な骨成長を促進するために伸延プレート・デバイス100の中で利用されることができる。BMP材料は液体か粘着性のゲル物質として入れられることができる。
【0036】
送達の別の方法は、ハイドロキシアパタイトとともに骨成長因子で実際の骨伸延プレートデバイス100を覆うことでありえる。それは骨細胞に相乗効果がある。これを達成するためには、特定の量の骨成長因子が、グリットブラストされたハイドロキシアパタイトでコーティングされたインプラントまたはインプランテーション前の伸延プレート・デバイスに吸収されるだろう。
【0037】
骨伸延プレートデバイスおよび方法の実施態様は、最適のインプラントを支持するためには、最初に不十分な骨を有している領域に歯科インプラントを置くのに必要な外科手術手順の数を低減し、また従来のデバイスおよび方法と比較して、実際の伸延プロセスの間に、より美学的な満足を与える。それはさらに、当業者には、骨伸延プレートデバイスの上記の概念が歯科インプラントとして使用するために制限されず、上顎顔面部位における一般的な伸延デバイスとして使用できることが理解されるであろう。
【0038】
特に記載された実施態様および方法の変更および改良は本発明の範囲を逸脱せずに実行でき、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ制限されるように意図される。
【0039】
新規であり、保護が請求される発明は特許請求の範囲に記載される。
【技術分野】
【0001】
関連する出願との相互参照
この出願は、2008年2月29日に出願された米国仮出願61/064,377の優先権を主張して出願された、2009年2月27日に出願のされた一部継続出願12/394,480の優先権を主張する。その出願は参照され、その全体が本出願明細書に組み入れられる。
本発明の技術分野
【0002】
本明細書に記載された実施態様は一般に歯科インプラントシステム、および新しい骨の成長方法に関連する骨伸延デバイスに関し、より詳細には骨の欠損により傷ついている口内領域における新しい骨の成長を促進するための歯科インプラントシステムおよび歯科外科方法に関連する骨伸延デバイスに関し、より詳細には顎骨の領域の伸延骨形成法による、新しい骨成長の形成および軟組織の形成ための骨伸延歯科インプラントデバイスおよび方法に関する。
【0003】
本発明の背景
整形外科医は、骨を復元し伸延するために伸延骨形成法に従来は頼った。このプロセスでは骨の脈管片を張力下に置き、それによって骨修復仮骨の生成によって生得の骨形成を引き起こす。その後、それは新しい骨を生成するために張力下に置くことができる。伸延骨形成法を達成するために、外科医は一般に1個以上の片へ骨を切断するか分割する骨切り術を行なう。骨セグメントが直るとともに、それらは徐々に経時的に拡大する;徐々の伸張は、血管および神経エンドが伸延プロセスの間に完全なままであることを可能にする。例えば、しばしば0.5ミリメートルの2つの伸張を3日か4日間行なうことにより骨は1日当たり1ミリメートル伸ばすことができ、これは血管および神経エンドが完全なままであることを可能にする。
【0004】
骨セグメント間のギャップが広がるとともに、体の自然治癒能力により新しい骨と隣接した軟組織との空間が充填される。一旦所望の骨形成が達成されれば、その領域は直り一体化することが許容される。その後、しばしば、伸延骨形成デバイスは回収される。
【0005】
時期尚早の歯の損失は、咀嚼、および明白な発音について患者の能力を制限する。これを受けて、より多くの患者が歯の置換を要求している。従来は、歯科医は、失われた歯を、取り外し可能な人工器官(部分義歯または総義歯)のような様々な手段により置き換えることができた。歯科医は、解決策として、隣接した歯に接合された固定ブリッジ義歯の取り付けを行った。これらの2つの従来方法は、関連する歯のクラウンの交換により歯のなくなったスペースの空間を満たす作用をする;しかしながら、これらの方法は、時期尚早の歯の逸失に関連した他の問題(例えば骨劣化)を解決しない。
【0006】
骨劣化は歯科医の利用可能な選択肢を限定し、最適のサイズの歯科インプラントより小さなものを置くことを要求する。これらのより小さな歯科インプラントは、咀嚼による機械的負荷に適合しない場合があり、結局失ったりおよび/または失敗することがある。さらに、骨劣化は最適であると考えられるものより審美的でないか機能的でない、理想的な位置ではない位置に歯科インプラントを置かせることがある。
【0007】
この骨劣化問題に対する従来の解決策のひとつは、骨逸失が顕著でない場合には、たとえば患者自身の骨または死体の骨を移植するか、または合成骨代用品を移植する骨の土台を造成することだった。骨損失が顕著だった場合、骨造成は第一の外科的処置として行われなければならず、その数か月後に歯科インプラントの配置を第二の外科的処置として、骨移植の治療終了後に行われる。
【0008】
骨移植の必要を低減し、骨欠損領域の骨の実際の切断を防ぎ、患者の審美的な不安を低減し、新しい骨成長の迅速な再生を許容する、新しい伸延デバイスおよび方法に対する必要がある。
【0009】
本発明の概略
記載された実施態様は、伸延のプロセスを通じて新しい骨成長を促進するための、外科的にインプラントされる骨伸延プレートデバイス(bone distraction plate device)に関する。特定の実施態様は、ねじが切られたポストに取り付けられるねじ機構をハウジングする人工器官を含むデバイスに関し、これはアンレー・プレート(金属、バイオ・セラミックス、バイオ・ポリマーまたはそれの任意の組み合わせを含む材料)から組織(transmucosa)を通って伸びて、外科的に歯槽骨上に置かれる。短い潜伏期の後に、所望の量の新しい骨成長(高さと幅)が達成されるまで、伸延ツールを使用してデバイスのスクリュー機構は毎日作動される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本願明細書に記載された実施態様を例証する。
【図2】図2は、本願明細書に記載された実施態様を例証する。
【図3】図3は、本願明細書に記載された実施態様を例証する。
【図4】図4は、本願明細書に記載された第二の実施態様を例証する。
【図5】図5は、本願明細書に記載された第三の実施態様を例証する。
【図6】図6は、図1に記載された実施態様の様々な操作段階を例証する。
【図7】図7は、図1に記載された実施態様の様々な操作段階を例証する。
【図8】図8は、図1に記載された実施態様の様々な操作段階を例証する。
【図9】図9は、図1に記載された実施態様の様々な操作段階を例証する。
【図10】図10は、本願明細書に記載された第四の実施態様を例証する。
【図11】図11は、本願明細書に記載された第五の実施態様を例証する。
【図12】図12は、本願明細書に記載された第五の実施態様の他方向からの図である。
【図13】図13は、本願明細書に記載された第五の実施態様の他方向からの図である。
【図14】図14は、本願明細書に記載された第五の実施態様の他方向からの図である。
【0011】
本発明の詳細な記述
明細書に議論される実施態様は、あご骨および/または上顎顔面部位領域の、伸延骨形成法による、新しい骨成長および軟組織成長を促進するための技術と装置を提供する。以下の記載では、多数の具体的な詳細が、本発明についての完全な理解を提供するために、たとえば材料タイプ、寸法、特定の組織などについて述べられる。医学的な分野における通常の知識を有している医師は、本発明をこれらの詳細の多くを必要とすることなく実行できると理解する。他の例では、有名な装置、方法および生化学過程は本発明を不明瞭にしないようにするために、詳細には記載されていない。
【0012】
本明細書に議論される実施態様は、構造の一体性を向上し、骨劣化を低減させることができる骨伸延プレートデバイスの提供により、先の問題に解決策を提示する。1つの実施態様(図1−3)によれば、骨伸延プレートデバイス100はプレート構成要素110およびエキスパンション構成要素120を含む。プレート構成要素110はディスク部分111および、ディスク部分110の中心から垂直に伸びるねじが切られたシリンダー部分112(または頂点部分)を有する。エキスパンション構成要素120(冠部分)は、プレート構成要素110の後退を制御できるように接続される。プレート構成要素110およびエキスパンション構成要素120は、独立して、以下の材料の1つ以上から選ばれた材料から作ることができる:商業的に利用可能な純粋なグレードIVチタン、合金または他の金属物質。金属物質が歯科インプラント技術で使用される材料用のパラメータに適合するかまたはそれ以上であるべきことが留意されるべきである。プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120は、生物分解性または非分解性のバイオセラミック材料、例えばハイドロキシアパタイト、強化ポリエチレン複合材、ベータリン酸三カルシウム、置換されたリン酸カルシウム、生体活性ガラス、再吸収可能なリン酸カルシウム、アルミナ、ジルコニアなどから、固体構造物として作ることができることが理解されるべきである。プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120を形成するために使用される複合材料を形成するために、バイオセラミック材料とともに生分解性高分子を使用できることは、さらに留意されるべきである。好ましい実施態様では、ハイドロキシアパタイト材料がプレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120を形成するために利用される。プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120は、無毒な副産物に帰着する特性を有する公知の任意のタイプの材料から形成できる。
【0013】
プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120は、たとえばポリウレタン、ポリオルソエステル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ(エチレン)グリコール、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリビニルピロリドン、およびシアノアクリレートのような合成高分子、海産性接着性タンパク質、またはそれらの類縁体、混合物、組み合わせおよび誘導体から、単独でまたは組み合わせて作ることができる。プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120は、天然高分子または生得的なポリマー、たとえばアガロース、アルギナート、フィブリン、フィブリノゲン、フィブロネクチン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、および他の好適なポリマーおよび生体高分子、または上記のものの類縁体、混合物、組み合わせおよび誘導体を、単独でまたは組み合わせて使用して作ることができる。さらに、プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120は、天然由来の生体高分子および合成高分子の混合物から形成できる。あるいは、プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120は、コラーゲンゲル、ポリビニルアルコールスポンジ、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)ファイバーマトリックス、ポリグラクチンファイバー、アルギン酸カルシウムゲル、ポリグリコール酸メッシュ、ポリエステル(例えばポリ−(L−乳酸)またはポリ無水物)、多糖類(例えばアルギナート)、ポリホスファゼンまたはポリアクリレート、またはポリエチレンオキシド・ポリプロピレングリコール・ブロック共重合体から作ることができる。プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120は、蛋白質(例えばフィブリン、コラーゲンおよびフィブロネクチンのような細胞外マトリックス蛋白質)、ポリマー(例えばポリビニルピロリドン)またはヒアルロン酸から製造できる。合成高分子も使用でき、たとえば生腐食性(bioerodible)ポリマー(例えばポリ(ラクチド)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリカーボネート類、ポリアミド類、ポリアンハイドライド類、ポリアミノ酸類、ポリオルソエステル類、ポリアセタール類、ポリシアノアクリレート類)、分解可能なポリウレタン、非腐食性(non-erodible)ポリマー(例えば、ポリアクリレート類、エチレン酢酸ビニールポリマー類および他のアシル置換酢酸セルロース類およびそれらの誘導体)、非腐食性ポリウレタン類、ポリスチレン類、ポリ塩化ビニル類、ポリフッ化ビニル類、ポリ(ビニルイミダゾール)類、クロロスルフォン化ポリオレフィン類、ポリエチレンオキシド類、ポリビニルアルコール類、テフロン(登録商標)、およびナイロンが使用できる。
【0014】
生産材料として使用されるバイオセラミックは、3分類のバイオマテリアルに分けることができる。すなわち、不活性、吸収可能、および活性なものである。それらはそれぞれ、生理的なプロセスで変化しないもの、溶解するもの、または該プロセスに活性に参加できるものを意味する。プレート構成要素110の生物学的適合で使用可能な材料と考えられるいくつかのリン酸カルシウムセラミックスがある。これらのうち、大部分は吸収可能であり、生理的な環境(例えば細胞外マトリックス)にさらされた時に溶解する。これらの材料のうちのいくつかとしては可溶性の順に以下があげられる:リン酸四カルシウム(Ca4P2O9)>無定形のリン酸カルシウム>アルファ・リン酸三カルシウム(Ca3(PO4)2)>ベータ・リン酸三カルシウム(Ca3(PO4)2)>>ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)。上に列記された他のリン酸カルシウムと異なり、ハイドロキシアパタイトは生理的な条件の下でも分解しない。実際、それは生理的なpHで熱力学的に安定していて、周囲の骨と強い化学結合を形成して、骨結合に活性に参加する。この特性は手術後の迅速な骨修復には有利である。アルミナとジルコニアのような他のバイオセラミック材料はそれらの一般的な化学的不活性および堅さで知られている。それがインプラントデバイスの接合される表面(articulating surface)に使用される場合、これらの特性がインプラントデバイス支持目的のために利用できる。様々な条件または疾病により骨の部分を除去されなければならなかった場合、多孔性のアルミナも骨スペーサーとして使用できる。材料は、骨成長を促進する環境の役割をする。
【0015】
生分解性高分子は、固有の分解のプロセスとともに、反り、中空化または本質的な腐食の問題を生ずる。そのような問題を解決するために、高結晶化度のポリマーが利用される。自己−強化および超高強度の生体吸収性複合物が、ポリグリコリド類、ポリラクチド類、およびグリコリド/ラクチドコポリマーのような、部分的に結晶性の生体吸収性高分子から容易に組み立てられる。これらの材料は、インプラントの幾何学的形状に依存して、高い初期強度、適当な弾性率、4週間から1年までの生体内での強度保持時間を有している。結晶性ポリマーのファイバー、ポリマー中の炭素ファイバーおよび微粒子のフィラー(例えばハイドロキシアパタイト)のような強化要素も、生物分解性デバイスの寸法安定性および機械的性質を改良するために使用されてもよい。生物分解性材料構造中での相互貫入網目構造(IPN)の使用は、機械的強さを改良する手段として実証された。さらにIPN強化生物分解性材料の機械的性質を改良するために、生物分解性のプレートが、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)85:15(PLGA)、またはポリ(l−ラクチド−コ−d,lラクチド)70:30(PLA)のホストマトリックス内に、異なる架橋剤を使用して、架橋されたポリプロピレンフマレートの準相互貫入網目構造(SIPN)として調製されることができる。
【0016】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子状物質を加えた樹脂複合材料は、インプラントデバイス(例えばプレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120)の疎水性および表面特性を改良する。PTFEは、化学薬品への高い耐性、低い表面エネルギー、低温および高温に対する耐性、風化作用に対する耐性、低摩擦ワイヤリング、絶縁性および滑りやすさを有している。しかしながら、従来のPTFEは摩滅に対する貧弱な抵抗を有しているので、発明者はガンマビーム放射で架橋されたPTFEを、摩滅と変形に対する抵抗を劇的に改良するために使用することを企図している。さらに、編まれた炭素繊維およびエポキシ樹脂(いわゆる生物学的適合性の炭素−エポキシ樹脂)で作られた複合材料は、短いかまたは積層された一方向のファイバーで作られた複合材料よりも良好な機械的性質を有している。
【0017】
プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120の外側表面(特にプレート構成要素110の外側表面)は、当業者に公知のように、従来のように被覆/粗化して追加の骨成長を図ることができる。プレート構成要素、エキスパンション構成要素110、120は、対応するシリンダー状部分(ねじが切られたシリンダー部分112および中空のスロット125(以下に記載される))を有し、時計回りまたは反時計回りのねじとして、プレート構成要素110の外側、およびエキスパンション構成要素120の内側にねじを切ることができる。プレート構成要素110のねじは、プレート構成要素110の土台からたとえば約2mmから始めて、プレート構成要素110のシリンダー112の全長さに沿って垂直方向に続いてねじが切られる。
【0018】
一方、エキスパンション構成要素120は、完全に通り抜ける中空のスロット125を有し、エキスパンション構成要素120の全長(エキスパンション構成要素120の頂部126から底部127まで)にわたりねじを有する。中空のスロット125は円筒状の形状を有しており、内側に時計回りまたは反時計回りの雌ねじを有し、これはプレート構成要素110のシリンダー112上のねじに対応する。プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120上のねじのピッチは、およそ0.5mm/日の新しい骨成長を促進する任意のピッチであることができる。新しい骨成長を促進するピッチの例としては例えば、0.25mm、0.3mm、0.5mm、1.0mm、1.5mmおよび2.0mmがあげられる。エキスパンション構成要素120の長さは要求された伸延に応じて変わることができる;例としては、およそ3.5mmのエキスパンション構成要素120の長さがあげられる。外科医または患者が、伸延エキスパンション構成要素120を活性化した後に容易に伸延の距離を読むこと(以下に記載される)を可能にするように、エキスパンション構成要素120の頭は、エキスパンション構成要素120の中心と横側の間の表面上で好ましくはマークされる。マークはエキスパンション構成要素120のぎざぎざであることができ、および/または異なる色から成ることができる。
【0019】
骨伸延プレートデバイス100の最初の配置の前、配置中、および配置後に、プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120の間の水平のインターフェース122は、広く顕著なギャップ150(図2を参照)を有している。このインターフェースは滑らかか、またはプレート構成要素とエキスパンション構成要素110、120の向き合う表面130、140上に組み合わされるかまたは連結する相補的なロック要素131を有する。そのような要素131は、治療中であってプレート構成要素とエキスパンション構成要素110、120が骨105と一体化する前に、水平のインターフェース122の回転とねじりを防ぐ。以下に記載されるように、骨伸延プレートデバイス100のエキスパンション構成要素120は、プレート構成要素とエキスパンション構成要素110、120の間での後退を提供し、プレート構成要素110と骨105の間に、伸延ギャップ150を形成する(図1および2を参照)。
【0020】
図1および2の中で例証されるように、エキスパンション構成要素120はプレート構成要素110のまわりで回転可能でなければならない。以下に詳細に説明される。上述のように、エキスパンション構成要素120は、体内移植中に骨伸延プレートデバイス100のプレート構成要素110の雄ねじと作動可能に噛み合う雌ねじを有している。エキスパンション構成要素120は回転されるので、プレート構成要素110と固定して接続されてはならない。プレート構成要素110が骨105から回転しながら上昇する時、プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120との間のギャップ150が、プレート構成要素110の雄ねじとエキスパンション構成要素120の雌ねじの相互作用によって体内移植中に軸方向に減少するので、エキスパンション構成要素120がプレート構成要素110の周囲を自由に回転することを防止する。エキスパンション構成要素120の回転可能性を維持するための他の従来の手段も許容可能である。プレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120は、歯槽骨に垂直の力を適用することにより骨伸延プレートデバイス100の負荷を負うために使用されてもよい。
【0021】
プレート構成要素110は骨内に静止し、たとえばプレート構成要素110の雄ねじとエキスパンション構成要素120の雌ねじの相互作用により提供されるエキスパンション構成要素120の回転運動により、プレート構成要素110のエキスパンション構成要素120への後退を提供する(第6−9図を参照)。その後、人体は、新しい骨106でギャップ150を埋めることにより、治癒を試みる。ギャップ150が毎日広げられる場合、人体は新しく拡張したギャップ150を認識し、新しい骨106でギャップに150を満たし続ける。1日当たり0.5−2.0ミリメートルのようなゆっくりとした速度でギャップ150をゆっくり拡張することによって、人体はギャップ150を治し、新しい骨106を生成することを継続する。従って、在来の骨が修復用のテンプレートとして利用されるので、生成された新しい骨106はオリジナルの骨と同じサイズおよび形を有する。そのような結果は新しい骨の形成に有利でユニークであり、他の従来の骨移植技術を使用する場合には、達成されない。新しい骨の形成に加えて、伸延骨形成法中に、更に被覆軟組織が再生される。これは伸延骨形成法に特有の二次的な利益である。この二次的な利益は顕著な臨床的意味合いを有している。適切に確立された下方の基礎だけではなく、被覆軟組織の再生は欠陥の審美的改善および機能的なリハビリテーションを提供する。
【0022】
取り付けられる際に、プレート構成要素110は、骨105の表面160と同じ高さにあるようにされる。その一方でねじが切られたシリンダー112は、粘膜170を通ってプレート構成要素110の表面を越えて口内に伸びている(図6を参照)。最初に、インプリメンテーション中に、エキスパンション構成要素120はねじが切られたシリンダー112の上に設置される。エキスパンション構成要素120の頂部表面180は六角形の開口190を有している。開口190は、対応するLまたはT型の六角形のキー195を介して、伸延プロセスを活性化するために、エキスパンション構成要素120を回転させるための機械的なアクセスを提供する(図5を参照)。六角形のキーはステンレス鋼から作られ、より詳細に以下に記載されられるように、作業の間に骨伸延プレートデバイス100のプレート構成要素およびエキスパンション構成要素110、120の後退を引き起こす。
【0023】
図11−14は、例示の伸延ツール300を図説する。先に説明したように、六角形の鍵195は、伸延ツール300とともに使用でき、または伸延ツール300で置き換えることができる。伸延ツール300は、外科医、および/または患者が拡張要素120を正確な距離、例えば、1日あたり1ミリメートル(1mm)で回転することができる。伸延ツール300が聞きとれるおよび/または見ることができる指示計を含むことができ、患者がより高い精度で伸延された距離を判断することを可能にする。
【0024】
伸延ツール300はハンドル310、ローテイター320、複数のマイタ歯車330(例えば、マイタ歯車333とマイタ歯車335)、六角ソケット340、および歯止め装置350を含む。ハンドル310は丸い回転端312を有する長方形である。ハンドル310は、伸延の間、伸延ツール300のより良好な手動制御を可能とし、口内で、歯が装置を固定し、安定させるのを可能にする。丸い端部312は、口へのより簡単なアクセスを許容する。三角形のローテイター320は六角ソケット340の手動の回転を許容する。ローテイター320は、その端部にマイタ歯車333を有する軸322に接続される。マイタ歯車333は、他のマイタ歯車335と同時に作用する。マイタ歯車335はマイタ歯車333の軸と垂直に配置され、六角ソケット340が取り付けられる。したがって、適切に付けられると、伸延ツール300は、入力された手動回転を等量の六角回転出力に変換する(例えば、1:1比)。適切な使用のため、ハンドル310の上の回転方向指示器360があることが好ましい。操作では、例として、ハンドル310の4回転は伸延の1回の完全な回転、または1ミリメートル(1mm)の伸延になることができる。また、伸延ツール300は歯止め装置350を含むことができ、開始位置から完全な回転がされた時、可聴表示(例えば、「クリック」音)を与えて、位置を固定することができる。
【0025】
伸延ツール300のための製造材料として多くの異種材料を使うことができる。例えば、ステンレスまたはポリマー、たとえばProplux(登録商標) HSポリプロピレンなど(医療グレードおよびFDA承認の熱可塑性ポリマー)を使用できる。当業者に公知の種々の材料が伸延ツール300を製造するために使用することができる。例えば、患者の安全、および/または、廃棄性に適している材料から伸延ツール300を製造できる。
【0026】
図10は、例えばクラウン、ブリッジまたは義歯のような人工器官を付けるために、骨にアブットメント構成要素(abutment component)210が一体化された第二の実施態様を例証する。アブットメント構成要素210は、エキスパンション構成要素120と同じ寸法を本質的に有している。アブットメント構成要素210は、例えばクラウン、ブリッジまたは義歯のような人工器官用の基礎として、2つの構成要素110、120の制御された分離によって伸延骨形成法によって生成された十分な骨成長の後に、利用される構成要素である。アブットメント210の端212はエキスパンション構成要素120に連結され、骨との一体化中に、2つの構成要素110、120は固定して接続され続ける。
【0027】
図4−9の中に、骨伸延プレートデバイス100の作業が記載される。骨伸延プレートデバイス100は、補足の骨が必要な、前もって決定された部位または領域197の歯槽骨内に形成された、一連の空気孔198の上に置かれる。任意の外科手術手技に先立って、物理的検査、X線検査、およびすべての必要な人工器官を作り上げる歯科医とのコンサルテーションを含めた適切な治療計画が行なわれるべきである。
【0028】
一旦患者の外科手術への準備が整えば、局所麻酔薬がされ、外科手術部位へ浸透される。麻酔と血管収縮のための適切な時間の後に、空気孔198が前もって決定された部位で歯の隆線の稜に沿って作られる。下の骨は、エレベーターで十分な厚さの粘膜骨膜弁をあげることにより公知の方法で暴露される。露出した骨は、骨密度と質について鼓動(palpitation)によって公知の方法で評価される。
【0029】
従来のドリル方法を使用した他の実施態様では、骨切り術は、計画されたインプラント配置サイトで行われる。骨切り術を行うために他の従来の手順を使用することができることが、留意されるべきである。すべての骨ドリリング手順は、豊富な量の洗浄(内部および/または外部)を含む。骨切り術部位は、次第により広いドリルの利用により拡大される。任意に、X線により、骨切り術部位の位置を確認できる。最終サイズの骨切り術部位は、仕上げ用の滑らかな、ツイストドリルを使用するか、または組み合わせ伸延歯科インプラントに対応するねじ内にタップすることによって完了する。この点では、伸延プレート・デバイス100は、手動でまたは当業者によって知られているように、低速に設定された公知のインプラント・ドリルの使用によって骨105の上に、または骨内へ置かれる(図3を参照)。傷は洗浄され、また骨切り術が行われた場合、上述のように切り口は従来のように開口190を露出して閉じた。骨の中への伸延プレート・デバイス100の骨片としての一体化は、視覚的に感知できて確認される。この時点で、患者は例えばクラウン、ブリッジまたは義歯のような任意の人工器官の取り付けに先立った伸延骨形成法による新しい骨を育てるプロセスの準備が整う。
【0030】
その後、患者は、伸延プレート・デバイス100のケアおよび作動に関して教育される。最初の治療の期間、潜在期(約5−7日の)の後に、調整可能なエキスパンション構成要素120は活性化されるか動かされ、回され、それによって、配分された量でプレート構成要素110をエキスパンション構成要素120に対して(1日当たり約1.0mm)で後退させ、それにより、骨の上の伸延ギャップ150を作成する。患者も毎日ギャップ150を広げる、延ばすために必要な教育を受ける。その後、適切に、患者は追跡と評価のために観察される。歯茎の上の自然な歯冠の典型的な高さが、約8mmであるので、適切な機能のために、エキスパンション構成要素120の遠位端185は隣接した歯冠の最低の高さ以上に伸びるべきでない。
【0031】
十分な骨高さ(約5mmから約15mm)が達成された後、伸延プロセスは停止される。エキスパンション構成要素120は回収され、人工器官と取り替えられる。しかしながら、いくつかの実施態様の中で、所定の場所にエキスパンション構成要素120を残すことができることは認識されるべきである。しかしながら、新しく成長した骨106はまだ比較的弱く、骨化が不完全であり、約4から6週までの期間が、例えばクラウン、ブリッジまたは義歯のような最終人工器官の製作および設置の前に必要である。この期間に加え、人工器官(例えばアブットメント構成要素210)はエキスパンション構成要素120と交換するか、またはエキスパンション構成要素120(例えばアブットメント構成要素210)と協力して使用でき、骨に組み込まれ、それにより設置された骨伸延プレートデバイス100の剛性を増加させる。
【0032】
図6−9は、本願明細書に記載された実施態様にしたがって、伸延プロセスを例証する。図6は、最適の歯科インプラントを支持するためには不十分な骨を有している領域に新しく設置された骨伸延プレートデバイス100を示す。図7は、幾分かの骨が再生されたが、最適の歯科インプラントを支持するのには十分でない中間の骨成長状態を示す。プレート構成要素110とエキスパンション120構成要素との間の分離が減少したことは注目されるべきである(つまり減少した伸延ギャップ150)。図8は別の中間の骨再生位置を示す。図9は、アブットメントが伸延プレート・デバイス100に置かれる場合の最終結果を示す。
【0033】
先の記述は、例示的な伸延プレート・デバイスおよび方法を使用して、歯科インプラントのフィールドへの伸延骨形成法の技術および技術の1つの具体的な用途を例証した。従来の歯科インプラントが同様の基礎的な形式を有しているので、当業者には、伸延プレート・デバイスの潜在的な組み合わせは無制限であることは明らかであろう。基本設計の細かな詳細を改良、例えば、歯科インプラントを水平に50/50%ではなく60/40%に分割すること、エキスパンション構成要素の長さまたはテーパーの変更、ねじのピッチの変更などがあげられるが、これらは無制限の可能な変化のごくわずかである。
【0034】
しかしながら、あらゆる可能な変化において、記載された基本概念、すなわち、最適の歯科インプラントを置くために骨の不十分な領域で十分な骨生成を達成するために、プレート構成要素とエキスパンションの構成要素110、120を有している骨伸延プレートデバイス100を利用することは保持される。ここに記載された実施態様の利点としては、新しい骨成長と軟組織の形成を行い、それにより従来の外科手術手順と比較して、患者が伸延中にさらされる外科手術手順の数および病的状態を低減することがあげられる。さらに、上に記載された伸延プレート・デバイスは、追加の外科手術手順を行わずに骨再生過程中に、伸延ギャップ150を連続的に調節するためにエキスパンション構成要素120を使用することにより、より広汎な用途を提供する。
【0035】
この手続きの間に骨治癒プロセスを向上する方法は、伸延の領域へ骨形態形成蛋白質(BMP)および基礎的な線維芽細胞成長因子(bFGF)のような骨成長因子を導入することである。骨成長因子のこれらの2つのクラスは、骨再生、人工器官類似のインプラントへの骨治癒を加速し、かつ仮骨の強さと安定を増加させる。様々な方法によって、伸延の領域に骨成長因子を送達することができる。1つの方法は、ゲルまたはスポンジ状の材料であることができるコラーゲン・マトリックスと協力して、伸延の領域へ骨成長要因を導入することである。骨成長因子は患者自身の骨細胞を活発にするよう刺激するだろう。その一方でコラーゲンは、刺激された骨細胞が成長することができる足場材料を提供する。結局、骨はコラーゲン足場を置き換えることができ、足場は結局再吸収されることができる。フィブリノゲン、a−トロンビン、および他の様々な抗生物質、成長ホルモン、遺伝子治療薬またはそれら因子の組み合わせも、健全な骨成長を促進するために伸延プレート・デバイス100の中で利用されることができる。BMP材料は液体か粘着性のゲル物質として入れられることができる。
【0036】
送達の別の方法は、ハイドロキシアパタイトとともに骨成長因子で実際の骨伸延プレートデバイス100を覆うことでありえる。それは骨細胞に相乗効果がある。これを達成するためには、特定の量の骨成長因子が、グリットブラストされたハイドロキシアパタイトでコーティングされたインプラントまたはインプランテーション前の伸延プレート・デバイスに吸収されるだろう。
【0037】
骨伸延プレートデバイスおよび方法の実施態様は、最適のインプラントを支持するためには、最初に不十分な骨を有している領域に歯科インプラントを置くのに必要な外科手術手順の数を低減し、また従来のデバイスおよび方法と比較して、実際の伸延プロセスの間に、より美学的な満足を与える。それはさらに、当業者には、骨伸延プレートデバイスの上記の概念が歯科インプラントとして使用するために制限されず、上顎顔面部位における一般的な伸延デバイスとして使用できることが理解されるであろう。
【0038】
特に記載された実施態様および方法の変更および改良は本発明の範囲を逸脱せずに実行でき、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ制限されるように意図される。
【0039】
新規であり、保護が請求される発明は特許請求の範囲に記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む骨伸延デバイス:
骨の不十分な領域で新しい骨を育てるためのプレート構成要素;および
該プレート構成要素と作動可能に接続し、制御可能にプレート構成要素を後退させるためのエキスパンション構成要素、および
該エキスパンション構成要素を制御して移動させる伸延ツール。
【請求項2】
該伸延ツールがハンドル、ローテイター、少なくとも2つのマイタ歯車、六角ソケット、および歯止め装置を含む、請求項1記載の骨伸延デバイス。
【請求項3】
該ハンドルは、長方形であり、丸い端部を有する、請求項2記載の骨伸延デバイス。
【請求項4】
該伸延ツールが、ポリプロピレン材料を含む、請求項1記載の骨伸延デバイス。
【請求項5】
該歯止め装置が、可聴表示を含む、請求項2記載の骨伸延デバイス。
【請求項6】
該歯止め装置が、可視表示を含む、請求項2記載の骨伸延デバイス。
【請求項7】
該伸延ツールが該エキスパンション構成要素を回転させ、エキスパンション構成要素を正確な距離だけ後退させることを許容する、請求項1記載の骨伸延デバイス。
【請求項8】
該正確な距離が1ミリメートルである、請求項7記載の骨伸延デバイス。
【請求項9】
さらに六角形のキーを含み、該エキスパンション構成要素を後退させるために、該骨伸延ツールが該六角形のキーとともに使用される、請求項1記載の骨伸延デバイス。
【請求項10】
ハンドル、ローテイター、少なくとも2つのマイタ歯車、六角ソケット、および歯止め装置を含む骨伸延ツールを含む、骨成長のための骨伸延装置。
【請求項11】
該ハンドルは、長方形であり、丸い端部を有する、請求項10記載の骨伸延装置。
【請求項12】
該骨伸延ツールが、ポリプロピレン材料を含む、請求項10記載の骨伸延装置。
【請求項13】
該歯止め装置が、可聴表示を含む、請求項10記載の骨伸延装置。
【請求項14】
該歯止め装置が、可視表示を含む、請求項10記載の骨伸延装置。
【請求項15】
該骨伸延ツールが該エキスパンション構成要素を回転させ、エキスパンション構成要素を正確な距離だけ後退させることを許容する、請求項10記載の骨伸延装置。
【請求項1】
以下を含む骨伸延デバイス:
骨の不十分な領域で新しい骨を育てるためのプレート構成要素;および
該プレート構成要素と作動可能に接続し、制御可能にプレート構成要素を後退させるためのエキスパンション構成要素、および
該エキスパンション構成要素を制御して移動させる伸延ツール。
【請求項2】
該伸延ツールがハンドル、ローテイター、少なくとも2つのマイタ歯車、六角ソケット、および歯止め装置を含む、請求項1記載の骨伸延デバイス。
【請求項3】
該ハンドルは、長方形であり、丸い端部を有する、請求項2記載の骨伸延デバイス。
【請求項4】
該伸延ツールが、ポリプロピレン材料を含む、請求項1記載の骨伸延デバイス。
【請求項5】
該歯止め装置が、可聴表示を含む、請求項2記載の骨伸延デバイス。
【請求項6】
該歯止め装置が、可視表示を含む、請求項2記載の骨伸延デバイス。
【請求項7】
該伸延ツールが該エキスパンション構成要素を回転させ、エキスパンション構成要素を正確な距離だけ後退させることを許容する、請求項1記載の骨伸延デバイス。
【請求項8】
該正確な距離が1ミリメートルである、請求項7記載の骨伸延デバイス。
【請求項9】
さらに六角形のキーを含み、該エキスパンション構成要素を後退させるために、該骨伸延ツールが該六角形のキーとともに使用される、請求項1記載の骨伸延デバイス。
【請求項10】
ハンドル、ローテイター、少なくとも2つのマイタ歯車、六角ソケット、および歯止め装置を含む骨伸延ツールを含む、骨成長のための骨伸延装置。
【請求項11】
該ハンドルは、長方形であり、丸い端部を有する、請求項10記載の骨伸延装置。
【請求項12】
該骨伸延ツールが、ポリプロピレン材料を含む、請求項10記載の骨伸延装置。
【請求項13】
該歯止め装置が、可聴表示を含む、請求項10記載の骨伸延装置。
【請求項14】
該歯止め装置が、可視表示を含む、請求項10記載の骨伸延装置。
【請求項15】
該骨伸延ツールが該エキスパンション構成要素を回転させ、エキスパンション構成要素を正確な距離だけ後退させることを許容する、請求項10記載の骨伸延装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2013−510650(P2013−510650A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538841(P2012−538841)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054464
【国際公開番号】WO2011/059734
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(510186982)イノベイテイブ ヘルス テクノロジーズ エルエルシー (6)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054464
【国際公開番号】WO2011/059734
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(510186982)イノベイテイブ ヘルス テクノロジーズ エルエルシー (6)
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