説明

骨盤底筋を刺激する方法及び装置

患者の骨盤底筋を刺激する方法及び装置であって、前記患者の身体の骨盤領域内の両側の各々(each side)に、少なくとも1つの電極を外部的に適用する工程と、前記電極にエネルギーを与えて、前記患者の骨盤底を通って患者を横切る筋肉刺激電流(muscular stimulation current)を流す工程と、含むことを特徴とする。複数の電極が、身体の両側に対称的に適用されるのが好ましい。電極は衣服に組み込むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の骨盤底筋を刺激する方法及び装置に関し、特に、ただしこれに限定されないが、腹圧性尿失禁を治療するためにその筋肉を刺激する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
腹圧性尿失禁(SUI)は、中年女性の1/3までが罹患しており、生活の質に多大な影響を与えている大きな医学的問題である。SUIが進行する主要な寄与因子は、膀胱圧(bladder pressure)の増加時における骨盤底筋の弱さと、骨盤底筋の機能障害性の反射性活性化(dysfunctional reflex activation)とである。他の筋肉と同様に、これらの筋肉は、強化及び再教育(re-education)によく反応するであろう。しかしながら、SUIを患った患者は、意識的な制御の確立の難しさと非活動性萎縮とが組み合わされるため、リハビリテーションの成功に不可欠である効果的な随意収縮(effective voluntary contractions)を行うのが非常に困難であることに気付く。効果的な骨盤底収縮を容易にするための、そしてSUIを患った患者にリハビリテーションの成功を促進するための、効果的な神経機能代替法(neuroprosthetic methodologies)が明らかに必要である。
【0003】
従来の研究の努力では、骨盤底収縮を容易にするサポート機構を用いる効果的な方法を見つけようと試みてきた。そのような方法の1つは、神経筋電気刺激(NMES)――長年、筋骨格のリハビリテーションで用いられている治療方法――の使用である。NMESは、これまでかなりの期間、SUIのリハビリテーションで使用されており、一般に肯定的な結果であるが、様々な結果となっている。
【0004】
1990年代初頭から、失禁リハビリテーションの最も一般に用いられているNMES方法では、膣用又は直腸用電極プローブを用いて電気刺激を送っている。その名の通り、これらのプローブは侵襲性であり、よって多くの患者及び臨床医に訴える力がない。患者の快適度は悪化する傾向にあり、また、プローブは、治療後の出血及び圧痛(tenderness)を伴う局所的な組織外傷をもたらす可能性がある。これらの侵襲性電極はいくらかの骨盤底収縮を引き起こすものの、それは通常は制限された強度に過ぎず、よって、期待される効果を低減させている。
【0005】
侵襲性電極領域の周りの電流密度は、患者の不快感をもたらすほどに高く、電極が組織から外れる傾向によって悪化する。その上、侵襲性電極は、更なる不快につながる微細な組織損傷をもたらす可能性がある。これは、SUIの治療アプローチとしてのNMESの寛容性を大いに制限し、その結果として、リハビリテーションの効果が低コンプライアンスによってしばしば制限される。
【0006】
かつて、SUIのためのNMESプロトコルは、腹部(belly)と筋肉(muscle)との上に位置付けられる比較的小型の電極対の使用に集中していた。電流は電極対の一方から他方に流れて、電極間の領域に比較的単純な電場を生成し、必要とされる骨盤底収縮を生じる。しかしながら、これらの外部電極システムによって生成された収縮の強度は、一般的に弱く且つ予測不能であったため、SUI治療でNMESを用いる近年のアプローチでは、侵襲性アプローチを採用してきた。
【0007】
従って、侵襲性電極の必要性を回避し、代わりに外部電極の使用に頼って、より許容でき且つより快適であるにも拘わらず、SUI及び他の疾患の臨床的に効果のある治療を行うことのできる効果的なNMES治療を開発する必要性がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明によれば、患者の骨盤底筋を刺激する方法及び装置であって、
前記患者の身体の骨盤領域内の両側の各々(each side)に、少なくとも1つの電極を外部的に適用する工程と、
前記電極にエネルギーを与えて、前記患者の骨盤底を通って患者を横切る筋肉刺激電流(muscular stimulation current)を流す工程と、含むことを特徴とする方法及び装置を提供する。
【0009】
本発明は、脚部/腰部の部位の片側から、骨盤底を経由して、反対側まで、骨盤を横切る電流を流すことに基づく。
【0010】
急性効果超音波画像診断(Acute effect ultrasound imaging)の研究により、本発明を用いることによって骨盤底筋組織の非常に良好な回復が実証され、そして、このアプローチが市販の侵襲性電極法に対して極めて優位な優越性を提供することが示された。
【0011】
この方法はまた、子宮摘出後の失禁治療に良好な効果を示すことも確かめられており、便失禁及び切迫性尿失禁の治療に対して一役買うこともあり得る。
【0012】
しかし、本発明では、骨盤底活性(pelvic floor activity)を検出するためのセンサを加えることが可能である。そのようなセンサは、膣用又は肛門用の非常に小さいEMG(筋電図)センサ、圧力センサ又は加速センサであってもよい。
【0013】
本発明の第2の態様では、患者の骨盤底筋を刺激する装置であって、
前記患者の骨盤領域内の前記患者の身体の両側の各々に、外部的に適用される少なくとも1つの電極と、
前記電極にエネルギーを与えて、前記患者の骨盤底を通って患者を横切る筋肉刺激電流を流すように配置された駆動回路(drive circuitry)と、を含むことを特徴とする装置を提供する。
【0014】
好ましくは、前記電極は、前記患者に着用される衣服に組み込まれており、前記衣類と前記電極とは、電流が身体の正中線(midline)を横切って流れるように構成されている。
【0015】
本発明の実施態様は、例として、添付の図面を参照しながら記述されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本実施態様に係る電極セット(set of electrodes)を装着した患者の正面図(図1(a))、背面図(図1(b))及び右側(図1(c))の概略図である。
【図2】図2は、図1の電極を組み込んだ、2部材から成る衣服(two-part garment)の右側部材の平面図である。
【図3】図3は、図2の衣服への配線配置の例である。
【図4】図4は、図2及び図3の実施態様の変形例である。
【図5】図5は、図1の電極を組み込んだショートパンツの形態での本発明の実施態様を示す。
【図6】図6は、本発明を具体化した別のショートパンツの正面図(図6a)及び背面図(図6b)である。
【図7】図7は、前述の実施態様の電極を用いた治療例を示すタイミング図である。
【図8】図8は、前述の実施態様の電極を用いた治療例を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<好ましい実施態様の説明>
図1を参照すると、本実施態様では、患者の腹圧性尿失禁を治療する方法は、患者の身体18の骨盤領域(region of the pelvi)内の両側に、大面積の電極セット10〜16のそれぞれを、外部的に(externally)適用することを含む。2つの電極セットは、患者の皮膚の上に、患者の正中線20に対して少なくともほぼ対称的に配置される。(複数の)電極は、身体18の両側において、骨盤の後部(posterior pelvic)で、正中線裂(mid-line cleft)に近接して最大凸点の近傍又はその下に中心のある第1電極10と、腰部(hip)に、電極10と水平方向にほぼ一列に並んでいる第2電極12と、大腿部の前面上部の第3電極14と、大腿部の背面上部の第4電極16と、を含んでいる。本願明細書では、「垂直に」「水平に」などの方向の表現は、直立状態の患者を参照する。後述するように、接触ワイヤ(図示せず)は、筋肉刺激電流を患者に流すことを可能にする電極に、個々に接続される。
【0018】
本実施態様では、各電極はほぼ16cm×12cmであり、身体の両側の各々(すなわち片側)に、ほぼ768cmの電極の総面積を付与する。電極10〜16は、身体18上において、それらの電極の長軸がほぼ水平に方向付けられる。
【0019】
一般に、身体の両側の各々に、4つより少ない又は多い電極があってもよいが、すべてのケースにおいて、それらの電極は、電極にエネルギーを与えたときに筋肉刺激電流が患者の骨盤底を通って患者を横切るように、配置すべきである。我々は、強く顕著な(strong and predominant)骨盤底収縮を達成するためには、身体の両側の各々における電極の総面積が、少なくとも約500cmであるのが好ましいことを見いだした。電極面積が小さいと、刺激強度を制限しそれにより骨盤底の刺激を制限する電極直下の局所的収縮を引き起こすだろう。本実施態様では、最適な電極パッドの面積は、身体の片側当たり768cmであることが分かった。この配置により、電気的インパルスは、骨盤を通って骨盤神経(pelvic nerves)を刺激する。
【0020】
しかしながら、我々は、多くの電極が用いられると、電極を身体上の適所に配置したときに、会陰に対して、水平面内に大きな円弧(large arc)の境界を集合的に定めるのに有利であることを見いだした。これにより、会陰が効果的に包囲されることを保証し、そのため、電流の流束(current flux)の電磁界パターン(field pattern)は、できる限り分岐する(diverge)。
【0021】
理想的には、身体の両側にある電極は、会陰に対して、少なくとも角度が90°の境界を定め、好ましくは120°の境界を定めるだろう。
【0022】
このような配置は、リハビリテーションでNMES技術を用いている現行アプローチからの重要な脱却である。
【0023】
上述のように電極を骨盤領域に適用した場合、強い骨盤底収縮を生じるために、電極にエネルギーを与えて、患者の骨盤底を通り患者を横切って流れるパルス状の筋肉刺激電流を流す。この文脈では、「横に(laterally)」とは、患者の身体の正中線20を横方向に横切ることを意味する。
【0024】
電極は、それらの所望の位置において、例えばヒドロゲルを用いて患者の皮膚に個々に付着させてもよいが、好ましくは、電極を所望の位置により確実に配置する衣服(garment)に、電極を組み込む。
【0025】
図2に一例が図示されており、2つの部材から成る衣服(2部材衣服:two-part garment)の右側部材22の内表面の平面図である。衣服の左側部材は、実質的に右側部品の鏡像(すなわち、右側部品と左右対称)であるので、図示していない。
【0026】
部材22(本願明細書で「ラップ(wrap)」と称している)には、図1の右側の電極セットが組み込まれている。ラップ22は、2つの側部指状伸張部(lateral finger-like extensions)(ストラップ)26、28を有する主電極支持部(main electrode-bearing portion)24を含んでいる。2つのストラップ26、28は、支持部24の一端から延在し、一方は他方の直上に配置されている。使用時には、ラップ22は、電極10〜16が患者の身体の適切な位置で患者の皮膚に対して支持される(bear)ように、内部の電極と共に患者の腰部及び大腿部を包む。ストラップ26、28は、ラップが(腰部等の)部位の周りにぴったりとフィットするために伸縮できるように、伸縮性を有している。ラップ22は、電極支持部24の外表面の面テープ(ベルクロ(登録商標))のループ領域(図示せず)に係合するストラップの自由端の面テープのフック30によって、適当な場所に固定される。ストラップ26、28が接触(meet)する場合には、ラップが更にぴったりとフィットし易くなるように、ラップの支持部24にひだを付けてもよい。電極支持部24はまた、電極14、16の間に、その領域内の支持部24の伸縮性を高めるために伸縮性領域32を有していてもよい。異なる伸縮性を備えた領域を有していることにより、より良好にフィットすることが可能になる。
【0027】
ラップ22は、最初に、身体の右側の骨盤部の後部の適切な場所に電極10、16を位置決めし、次に、ストラップ26、28を右大腿部の前面に持っていって、それらを脚の間に通し、そして最後に、面テープのフックを用いて、ストラップ26、28の自由端を支持部24に固定することにより、装着する。左側のラップは、実質的に右側のラップ22の鏡像であるが、同様の方法で身体の左側に装着される。
【0028】
必要とされるサイズのラップの数(the number of wrap sizes required)を少なくするために、電極の位置の印刷を、小/中/大の身体サイズごとに異ならせてもよい。電極10、16は正中線との関係で位置決めされるので、それらの位置は、対象サイズにかかわらず、それほど違いはない。大きい対象物は、電極12、14を、ラップのより外側に位置決めするだろう。
【0029】
ラップ22の主電極支持部24の材料は、ストラップ26、28よりは弾性が低いが、弾性的に変形可能な材料(例えばネオプレンなど)にすることができる。電極が支持部24から分離するのを回避するために、ラップを対象物の周りに伸ばす場合には、電極領域内では後者(支持部24)を非弾性的な材料にしてもよい。
【0030】
電極への配線(図示せず)はラップ22に組み込まれており、そうするための技術は既知である。電極は、製造時にラップに予め固定してもよく、又は電極は、支持部24に予め印刷された場所にユーザーが固定してもよい。後者のケース(ユーザーによる電極固定)では、各電極の配線は、電極領域の中心に露出したスタッド(stud)で終端してもよい。その後、粘着性の電極をラップの指定領域に設置する。電極の片面は、ラップの内表面に貼り付けられ、反対面は、ラップを着用したときに、皮膚に対して支持される。配線によって、必要に応じて各電極に個々にエネルギーを与えることができる。
【0031】
図3は、図2に示す2部材衣服への電極配線の例である。図3は、右側ラップと左側ラップの両方を含む一式の衣服を示す。駆動回路100も模式的に図示されており、これはNMESの分野で周知の原理によって構築することができる。
【0032】
右側ラップの電極10、12、14、16は、駆動ノード(driver nodes)A、C、D、Bのそれぞれに、個々に接続され、そして、左側ラップの対応する電極は、駆動ノードA’、C’、D’、B’のそれぞれに接続される。各駆動ノードは、電流源又は電流シンク(current sink)として他の駆動ノードと無関係に作動するようにプログラムすることも、又は高インピーダンスを維持するようにプログラムすることもできる。従って、マイクロプロセッサの制御下で、各電極は、電流源、電流シンクとして選択されてもよく、又は除外されて電流の伝達に関与しなくてもよい。このようにして、電極を複数のセット――1つの極性を有する1つのセットと、反対の極性を有する1つのセットと、全く導電しない1つのセット――に分けてもよい(combined into sets)。これにより、電流を、衣服の8つの電極間において、全ての可能な経路を経由して導通することができる。
【0033】
重要なことは、各電極が規定された解剖学的位置(a defined anatomical position)を有しており、そして各電極が、衣服の配線及びコネクターを通って、駆動回路の特定の駆動ノードに接続されることである。従って、ノード間に確立された電流経路は、例えば身体の正中線を横切っている規定された解剖学的経路(a defined anatomical pathway)を有している。予め配線された衣服では、意図された解剖学的な電流経路がユーザーによって変更されないように、これらの配線の接続は、ユーザーによって変更することができない。
【0034】
図3に図示されたケースでは、衣服が2つの部材から成っており、1つの部材は左側用、1つの部材は右側用である場合には、衣服の各部材が、意図された解剖学的関係が保存されるように駆動回路に接続されることが必要である。これは、衣服の接続を交換すること又はその接続の順序を狂わせることができないことを保証するコネクタに、鍵をかけ(keyed)及び/又はコネクタを極性化すること(polarised)により、容易に達成される。
【0035】
最も簡単な実施態様では、身体の片側の電極が1つの極性として選択され、反対側の電極が反対の極性のために選択される。このようなケースでは、電極への個々のエネルギー付与は必要とせず、従って、身体の両側にある(複数の)電極は、衣類の中で互いに電気的に接続されて、単一の導体で駆動回路に運ばれる。例えば、右側電極10、12、14、16を互いに電気的に接続して、右側に、1つの大面積のマルチセグメント電極を形成することもでき、そして、対応する左側電極を互いに電気的に接続して、左側に、1つの大面積のマルチセグメント電極を形成することもできる。
【0036】
各脚部用のラップを備えた2部材衣服が図2及び図3に示されているものの、別の実施態様に利点があることも見いだされた。
【0037】
例えば、図2及び図3の衣服を形成している右側及び左側の電極支持部24のうち、少なくとも内側縁部の上側部分を互いに連結して、図4に示すような1つの部材から成る衣類(ワンピース衣類:one-piece garment)を形成してもよい。衣服の着用において、ユーザーは、最初に、臀部電極(gluteal electrodes)10を単に設置し、次に、単一脚部バージョン(single leg version)と同様に、ラップを閉じる。衣類の左右両側を部分的に分裂すること(partially spitting)(つまり、分離したストラップ26、28を形成すること)により、衣類の適用が容易になることがわかった。
【0038】
上述したように、配線は衣服に組み込まれてもよい。図4には、衣服の両側にある4つの電極10〜16が図示されており、駆動回路100に対して共通して接続されている。しかしながら、電極は、図3に示した方法で、個々に接続されてもよい。また、衣服の両側を横切って連続する材料が存在するので、駆動回路への挿入を容易にするために、全ての配線を束ねて一個所から引き出すこともできる。本実施形態及び全ての実施態様において、駆動回路100は衣服自体に組み込むことができる。身体の両側の各々のための分離した衣服部材を有する2部材衣類の実施態様では、身体の片側の配線は、駆動回路に直接接続することもでき、又は衣服の他方の部材を経由して駆動回路に接続することもできる。
【0039】
衣服の形状は、フラップを備えた典型的な使い捨てのおむつ(diaper or nappy)に極めて酷似するように、多少変更されてもよいことは明らかであろう。そして、あなたがおむつでするのと同じように、ユーザーは、衣服を位置決めし、ファスナーを用いて閉じることができる。衣服自体(又は、少なくともその一部)も、使い捨て材料から作ることもできる。
【0040】
上述した2部材衣服の代わりに、両方の電極セットを、面テープ又はバックル固定部を備えた巻きスカートのような、又は、好ましくは伸縮性の、ショートパンツ(a pair of shorts)のような1部材衣服の内表面に組み込むことができる。
【0041】
図5は、本発明を具体化したショートパンツ40を示す。このケースでは、電極10〜16は、ショートパンツを着用したときにそれらの電極が皮膚に対して適切に位置決めされるように、ショートパンツの内表面に提供される(明確にするために、電極への配線は図示していない)。粘着性のゲル電極又は皮膚上にせん断を生じる(cause shearing)電極と共に使用すると、最初に衣服を適用するときにはショートパンツを緩め、そしてショートパンツを締め付けて電極を皮膚の正しい位置に支持するのに、有利である。これは、ショートパンツの材料に閉鎖可能なスリット42を提供することにより容易になるだろう。有利には、これらのスリットは、ショートパンツの片側で上まで伸びてもよい。
【0042】
衣服を適用した後、スリット42の対向する縁部は、一片の面テープ44のような標準的な機構を用いて、互いに固定されてもよい。ショートパンツの材料を部分的に又は完全に弾性にした場合、皮膚に対して電極を押圧して接続性を改善できる、という更なる長所を有する。ショートパンツは、電極への配線を組み込むことができる。配線の方向は、スリットの位置と、スリットが衣服の縁部まで完全に伸びているかどうか、とに依存するだろう。図示した実施態様では、スリット42は脚部の側部で上まで伸びているが、電極を妨げるのを回避するために、スリットを適切に設置した他の配置も可能である。
【0043】
電極の位置決めにおいて極めて有利であることが見いだされた別の機構は、衣服の上に、フラップ(つまり、材料のオーバーラップする領域)を使用することである。フラップは、電極とその電極への配線接続との両方を伴っており(carry)、使用時には外側材料の下にしまい込まれて(tucked)、電極を皮膚に直接対向させる。衣服の外側材料の下にしまい込まれたフラップに電極を設けることにより、外側の衣服(outer garment)に電極を含まないようにして、より強く圧迫することさえも可能にする。重要なことは、外側衣類には、電極自体を妨げずに、電極領域の上を通り過ぎる(go over)スリットがあってもよい。
【0044】
フラップはまた、標準的な下着を着用しながら、ユーザーが電極を位置決めできる点で、特に有用であることが見いだされた。下着が電極の一部をカバーする傾向がある。これは、臀部の電極(電極10)の外側上部の部分(upper-outer portion)で特に起こりやすい。フラップにより、下着は、下着を再配置すること(例えば、落ち着かずに引っ張り上げること)を必要とせずに、フラップと主な衣服(main garment)との間に位置できる。
【0045】
皮膚に被せる(pulled over)のが容易な電極(例えば、シリコーンゴム電極)を用いると、衣服を緩めて適用した後に締め付けることは、必要ではない。外部ストラップ、材料に固有の弾性、又は下着産業で用いられるような圧迫技術、特に身体をシェープし/輪郭を形成し/圧迫するように設計された衣服によって、電極を皮膚に対して追加で圧迫してもよい。フラップ、タブなどを実際に使用する際に、異なる伸縮性の領域が有利になることは明白である。
【0046】
ショートパンツ50の形状の例は、図6a及び図6bに示される。ショートパンツ自身を、例えば導電性ファブリックのような導体材料から形成するか又はそれに適用される導電部分を有することもできる。望まない刺激、例えば会陰/陰嚢/肛門部の皮膚への刺激を回避するために、いくつかの領域52は、皮膚接触からマスクされてもよい。代わりに、これらの領域を、単に非導電材料から形成してもよい。電極領域の一部又は全部の間に、非導体材料のスリット又は領域が存在してもよい。これは、電極を分離しておくのに役立ち、電流が、隣接する電極間の表面に沿って通過するのではなく、組織内の深部を通過することを保証する。身体の両側の電極は、最適な刺激のために、少なくとも1センチメートルの非導体材料によって互いに分離されるのが好ましい。いくつかの実施態様では、左側が本質的に一方の電極として作用し、右側が他方の電極として作用するので、図6では、正中線の両側にある電極は、それらの間にある非導電性領域と共には図示されない。このタイプの配置は、さらに大きな表面領域を可能にし、そして、このタイプの織物電極に典型的な接続性の品質劣化を補償することに注目すべきである。
【0047】
明確にするために、ショートパンツの配線は示されていない。ショートパンツは、単一層することもでき、又は非導電性の外部層を有することもでき、外部接触から電極をさらに隔離するのに役立つ。外部層は、衣服にさらなる圧迫を加えることができ、及び/又は、最初に位置付けられた内部層に電流を送達するために導電体又は電気的接触部を持つことができる。
【0048】
操作中、電極用の駆動回路は二相電流パルス――つまり、その電流は交替する第1相(第1フェーズ)と第2相(第2フェーズ)とを含み、全ての第2フェーズのパルスは、直前の第1フェーズのパルスに対して逆転している――を送っている。第2フェーズのパルスの各々は、第1フェーズのパルスと同じ持続時間期間を有する必要はないが、同じ総電荷(total charge)を有しているのが好ましい。
【0049】
我々は、著しい骨盤底収縮を確実に達成するには、少なくとも約80mAのパルス電流の振幅が必要であり、4つの電極10〜16に分配されることを見いだした。典型的には、最初は80mAの電流が使用されて、セッション(session)の間に140mAに増加される。次のセッションでは、より高いパルス電流を用いることができるが、200mAを越えないことが好ましい。
【0050】
典型的な治療セッション(図7)では、各々の第1フェーズパルスの全持続時間は620マイクロセカンドであり、続いて、電流の流れていない100マイクロセカンドの相間遅延(interphase delay)がある。各々の第2フェーズパルスも620マイクロセカンドであるが、反対の(負の)極性である。
【0051】
大きな電極サイズは、電流密度が耐えられるままで脚部/腰部/臀部の筋肉を通り抜けることを可能にする。しかしながら、それは骨盤との交差に集中して、骨盤底を収縮する。80mAのピーク電流パルスの振幅では、骨盤領域の両側の4つのパッドの領域に分配されて、各電極のピーク電流密度は
80mA/768cm=0.1mA/cm
である。
【0052】
我々は、単純なパルス技術が多くの人に対して良く効いて、容易に耐えることのできる強い骨盤底収縮を与えることを見いだした。「単純なパルス技術(simple pulse technique)」によって、我々は、そのフェーズに従って、電流パルスが同時に右側の全ての電極から左側の全ての電極まで通過し、またその反対も同様であることを意味している。従って、骨盤領域の両側の電極セット10〜16は、複数部分(multi-part)から成る単一の電極として機能する。図7は、単純なパルス技術の一例である。
【0053】
しかしながら、我々は、何人かの人々では、全ての電流フェーズ又は選択された電流フェーズの間に、又はフェーズの一部において、電流を、片側の1つ以上の電極と反対側の1つ以上の電極との間で選択的に通過させた場合に、骨盤底収縮をさらに高められることを見いだした。
【0054】
好ましい実施態様(図8)では、各々の第1フェーズは2つのサブフェーズ(sub-phase)に分割され、各々の第1サブフェーズの電流パルスは、持続時間が413マイクロセカンドで、身体の片側にある4つ全ての電極から反対側にある4つ全ての電極まで通過する。各々の第2サブフェーズの電流パルスは、持続時間が207マイクロセカンドで、片側の電極10と反対側の電極10との間だけを通過する。逆極性の第2フェーズでは、同様のパターンに従って、対応するサブフェーズにおいて、同じ電極間で反対方向に電流が通過する。シークエンスは次の通りである。

第1フェーズ
第1サブフェーズ: 413マイクロセカンドのパルス、片側の4つ全ての電極から、反対側の4つ全ての電極まで。
第2サブフェーズ: 207マイクロセカンドのパルス、片側の電極10、12から、反対側の同じ電極まで。

相間間隔(Interphase interval)100マイクロセカンド

第2フェーズ
第1サブフェーズ: 413マイクロセカンドのパルス、片側の4つ全ての電極から、反対側の4つ全ての電極まで。
第2サブフェーズ: 207マイクロセカンドのパルス、片側の電極10、12から、反対側の同じ電極まで。
【0055】
本実施態様は、比較的大きい電流、典型的には200mA以下のピークパルス電流と50mA以下のRMS電流とを用いる。パルスフェーズごとの電荷(チャージ)は、通常30マイクロクーロン辺りに制限される典型的な電気療法パルスに比べて、40〜120マイクロクーロンの範囲にすることができる。これらの大電流及びフェーズ電荷は、それらが極めて大きい表面領域電極に分散する場合にのみ耐えることができる。従って、安全性と快適さのためには、装置は、電極表面領域が縮小されたときに、又は皮膚との接触抵抗が増大したときに検知できることが重要である。
【0056】
電極インピーダンスは表面領域と関係しているが、その関係は、肌タイプ、毛髪、皮下脂肪の量、皮膚の清潔さ及び電極の状態によって変わる。従って、インピーダンスだけが、電極表面領域の信頼できるインジケータとはいえない。利用可能な表面領域の全体にわたる不均一なインピーダンスは、インピーダンスが最低の点に電流密度の「ホットスポット」をもたらすだろう。この問題は、電極間にテスト電流を通過させて、ある電極インピーダンスを他のものと比較することによって解消することができる。このように、ある電極が、電極アレイの電流密度のアンバランスをもたらすような予想外に高い又は低い回路インピーダンスを有しているかどうかをはっきりさせることができる。電極が個々に選択可能な場合には、各電極は、他の電極のいずれとでも対にすることができるので、単純な消去プロセス(process of elimination)によって、電気的インピーダンスの点で異常な(1つ又は複数の)電極を見つけることができる。電極を特定することにより、ユーザーは、警告を受けて修正措置(corrective action)をとることができる。
【0057】
従って、回路は、既知のテスト電流に起因する各電極を横切る電圧降下を測定することによって各電極のインピーダンスを決定する手段と、各電極の測定値(the readings)を分析し比較するアルゴリズムと、を含んでいる。各電極についての所定の合否基準(acceptance criteria)は、例えば、身体の反対側にある対応する電極間で顕著なインピーダンスのアンバランスがある場合などの不良状態(fault condition)を決定するのに用いることができる。さらに、そのように決定された電極インピーダンスを統計的に分析して、全電極の平均インピーダンスの所定範囲から外れた異常値(outliers)を特定することができる。インピーダンス値の統計的分散(statistical variance)がプリセット量より高い場合、回路は、電極セットを拒否することもできる。
【0058】
電解質の存在下で皮膚に接触する電極の電気的インピーダンスは、高インピーダンス絶縁体として機能する角質層(stratum corneum)と呼ばれる外皮層により、大きい容量性成分(capacitative component)を含むことが知られている。キャパシタンス値は、接触面積とともに増加する。インピーダンスはまた、接触面積とともに減少する並列抵抗成分も有している。この抵抗成分は、電解質の質にも依存する。主に身体の内部抵抗に起因する直列抵抗成分も存在する。皮膚残留物(skin residues)などの存在だけでなく、電解質の質とその分布(distribution)も、これらのインピーダンス成分(impedance component)に影響する。
【0059】
駆動回路(drive circuitry)は、電極キャパシタンスの測定と、各電極又はいずれかの電極セットの表面接触面積の評価とのための手段を含んでいる。駆動回路は、見積もられた接触面積が所定のしきい値未満の場合又は、アレイ中にある同じサイズの他の電極の所定量より低い場合に、不良状態を知らせて、治療を開始するのを防ぎ又は進行中の治療を中止するように構成することができる。
【0060】
キャパシタンスの計測は、電子工学で周知の様々な技術によって行うことができる。パルス状の電気的刺激装置では、マイクロセカンドの範囲にある定電流テストパルスによって、電圧変化の時間領域測定を行うのが便利である。パルスの充電及び/又は放電フェーズ中のいくつかの所定時間点において、一対の電極を横切る電圧をサンプリングすることにより、充電及び/又は放電の時定数(time constants)を見積もって、それによりモデル中の成分(つまり、直列抵抗成分、並列抵抗成分、及びキャパシタンス)の各々又はいくつかを見積もることができる。
【0061】
電流路は、骨盤などのアラインメントに依存して、多少変更されてもよい。骨盤底の最適な刺激は、対象者が特定の体位/姿勢のときにしやすい。特に、患者が立っているときに、利益があるようである。これは、より「生理学的(physiological)」であるという利点もある。つまり、機械的な理由により、人は直立しているときに緊張性尿失禁をしばしば起こす。腹腔内容物(abdominal content)の重さは、骨盤底に余分な圧力をかける。この体位で筋肉を使うと、筋肉が実際に行わなければならないことが再現される。膣内プローブ電極(Intra-vaginal probe electrodes)は、通常は横たわって/座って使用され、そうでなければ、電極と標的の組織との接触が不十分になって、より不快になる傾向がある。
【0062】
更なる所見には、ハイヒールの着用によって骨盤底収縮が悪化する可能性が含まれる。さらに、一般的に最良の収縮を与える姿勢は、足を離して立ち、対象者が腰の高さ程度の棚又はテーブルに手をもたれながら、わずかに前屈みになる姿勢である。
【0063】
意外にも、何人かの女性は、試験中にこの種の刺激を用いることによる速効(immediate effect)に気づいた。これらの効果は、筋肉の「トレーニング」として説明するには、あまりにも突然かつ急速すぎる。むしろ、以前に抑制されていた筋肉又は使われていない筋肉を復活又は活性化することは可能であり、又はこれらの筋繊維が収縮したような感触になる教育(education)/バイオフィードバック(biofeedback)である。
【0064】
これは2つのカテゴリーに分類される。第1に、何人かの女性は、専門家の指導の下で超音波の助けを借りても従来不可能であった骨盤底の収縮のさせ方を学習する。多くの女性がこれらの筋肉を随意収縮させることができないということは、その運動が少しも役に立たないであろうということを意味する。この新しい電気刺激のセッションだけで、彼女らは骨盤底を随意収縮させることがでるようになった。
【0065】
第2に、何人かの女性、特に子宮摘出後の患者で、何年も失禁を患っていた者は、新しい装置を用いたセッションだけを受けた後に、彼女らの失禁が突然に且つ急速に改善された。
【0066】
上述のカテゴリーに加えて、本発明は、女性の腟脱を治療するのに用いることができる。我々は、たった8セッションの刺激後に、腟脱が解消されたとあるケースを見いだした。これは恐らく、骨盤底の訓練によって、膣を適切な位置に維持する組織が改善されたためである。このことは、しばしば外科手術を必要としていたそのような疾患の、代わりの治療法であることを意味している。
【0067】
さらに、何人かの女性は、この機械を用いた後に性的満足が高まったと報告した。
【0068】
本発明は、本願明細書に記載された実施態様に制限されず、本発明の範囲から逸脱せずに、修正又は変更をすることができる。
【図1(a)】

【図1(b)】

【図1(c)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の骨盤底筋を刺激する方法であって、
前記患者の身体の骨盤領域内の両側の各々に、少なくとも1つの電極を外部的に適用する工程と、
前記電極にエネルギーを与えて、前記患者の骨盤底を通って患者を横切る筋肉刺激電流を流す工程と、含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記電極が、前記患者の正中線に対して少なくともほぼ対称的に配置されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記身体の前記両側の各々の前記電極の総面積は、少なくとも約500cmであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記身体の前記両側の各々に複数の電極があることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の電極は、前記身体の両側の各々において、
臀部の第1電極と、
腰部の第2電極と、
大腿部の前面上部の第3電極と、
前記大腿部の背面上部の第4電極と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記電極は、前記患者の皮膚に対して所望の位置に電極を配置する衣服に組み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記衣服は、各々が前記患者のそれぞれの大腿部の周りを包む2つの部材を含んでおり、
前記部材の各々には、前記身体の片側の前記電極が組み込まれていることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記部分の各々は、主電極支持部の一端から同じ方向に延在し一方が他方の上側に配置されている2つの側部ストラップを有している主電極支持部を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記衣服は、前記身体の前記両側の電極が組み込まれた1つの部材を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記衣服は、主電極支持部の対向する端部から反対方向に延在し一方が他方の上側に配置されている側部ストラップの各々の対を有している主電極支持部を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記衣服はショートパンツを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記衣服は、使用時に前記衣服の材料の外側層の下にしまい込まれる少なくとも1つの電極支持フラップを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記衣服は、少なくとも1つの閉鎖可能なスリットを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記電極は、二相電流パルスによってエネルギーを与えられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記電極は、単純なパルス技術によってエネルギーを与えられることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電極は、すべての電流相の間又は選択された電流相の間に、前記患者の前記身体の片側にある1つ以上の電極と、反対側にある1つ以上の電極との間で、選択的に電流を流すことによってエネルギーを与えられることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
各電流パルス中の相ごとの総電荷が、50マイクロクーロン以上であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
患者の骨盤底筋を刺激する装置であって、
前記患者の身体の骨盤領域内の両側の各々に外部的に適用される少なくとも1つの電極と、
前記電極にエネルギーを与えて、前記患者の骨盤底を通って患者を横切る筋肉刺激電流を流すように配置された駆動回路と、を含むことを特徴とする装置。
【請求項19】
前記電極は、前記患者が着用する衣服に組み込まれていることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記衣服は、各々が前記患者のそれぞれの大腿部の周りを包む2つの部材を含んでおり、
前記部材の各々には、前記身体の片側の前記電極が組み込まれていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記部材の各々は、主電極支持部の一端から同じ方向に延在し一方が他方の上側に配置されている2つの側部ストラップを有している主電極支持部を含むことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記衣服は、前記身体の前記両側の電極が組み込まれた1つの部材を含むことを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記衣服は、主電極支持部の対向する端部から反対方向に延在し一方が他方の上側に配置されている側部ストラップの各々の対を有している主電極支持部を含むことを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記衣服はショートパンツを含むことを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記衣服は、使用時に前記衣服の材料の外側層の下にしまい込まれる少なくとも1つの電極支持フラップを含むことを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項26】
前記衣服は、少なくとも1つの閉鎖可能なスリットを含むことを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項27】
前記衣服が着用されたときに、前記電極が、前記患者の正中線に対して少なくともほぼ対称的に配置されることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項28】
前記身体の前記両側の各々の前記電極の総面積は、少なくとも約500cmであることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項29】
前記身体の前記両側の各々に複数の電極があることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項30】
前記複数の電極は、前記身体の両側の各々において、
臀部の第1電極と、
腰部の第2電極と、
大腿部の前面上部の第3電極と、
前記大腿部の背面上部の第4電極と、を含むことを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記駆動回路は、二相電流パルスによって前記電極にエネルギーを与えることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項32】
前記駆動回路は、単純なパルス技術によって前記電極にエネルギーを与えることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記駆動回路は、すべての電流相の間又は選択された電流相の間に、前記患者の前記身体の片側にある1つ以上の電極と、反対側にある1つ以上の電極との間で、選択的に電流を流すことによって前記電極にエネルギーを与えることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項34】
各電流パルス中の相ごとの電荷が、50マイクロクーロン以上であることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項35】
前記駆動回路は、各電極のインピーダンスを測定して、前記各電極の所定の合否基準を満たさない場合に不良状態を知らせるための手段を含むことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項36】
前記駆動回路は、各電極又はいずれかの電極セットの表面接触面積を見積って、見積もられた接触面積が所定のしきい値未満の場合又は同じサイズの他の電極の所定量より低い場合に不良状態を知らせるための手段を含むことを特徴とする請求項18に記載の装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−515593(P2012−515593A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546982(P2011−546982)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【国際出願番号】PCT/IB2010/000018
【国際公開番号】WO2010/084391
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(501339171)ユニバーシティ・カレッジ・ダブリン,ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド,ダブリン (7)
【出願人】(511180329)バイオ−メディカル・リサーチ・リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】Bio−Medical Research Ltd.
【Fターム(参考)】