説明

骨組織内の欠陥部を位置定めする装置及び方法

骨組織内の神経構成要素に隣接する欠陥部を位置定めするための装置(60)は回転可能な結合部材(66)を備えたハンドル部材(61)と、結合部材(66)に結合されたプローブ部材(62)とを有する。プローブ部材(62)はハンドル部材(61)から末端方向に延び、長手軸線に沿った長手方向のシャフト部分(67)と、長手軸線に対して横断方向に延びる末端角度付き部分(68)とを有する。角度付き部分(68)は電気信号を運ぶプローブ端部(69)を有する。ハンドル部材(61)は骨組織内の可能性ある欠陥部を位置定めするために骨組織の穴を掃くように長手軸線のまわりでプローブ部材(62)及びプローブ端部(69)を回転させるように作動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は骨組織内の欠陥部を位置定めする装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者に対する手術は、特に患者の人体の冒された領域において、痛みを伴い、精神的外傷を与えることがある。脊椎固定を達成するため、必要な手順はしばしば脊椎茎スクリューを患者の脊椎の椎骨の茎壁内に挿入する工程を含む。茎スクリューは、強靭であって、安定性を提供するという点で有利であるが、脊椎内への茎スクリューの配置中に神経インピンジメント即ち神経侵害を回避することに注意を払わなければならない。茎スクリューの挿入前に任意の可能性ある欠陥部を位置定めするために採られた対策はスクリューの挿入を容易にすることができる。
【0003】
神経を露出させる骨組織内の開口のような欠陥部の位置定めは困難になることがある。ある手順は骨組織の領域内で神経を位置定めするために電気刺激に対する筋肉の反応を監視する工程を含む。神経が位置定めされず、スクリューが露出した神経に接触した場合、スクリューは神経を侵害するか又は神経根の真直に達し、患者に対して痛み又は他の関連事項を生じさせることがある。更に、スクリューを除去するか又は他の医療手順を行うことにより生じる神経損傷を取り消すのに遅過ぎてしまうことがしばしばある。神経構成要素の近接箇所を最初に決定せずに、スクリューを茎壁内に挿入するような手順では、骨組織内の任意の欠陥部の存在及び(又は)近接箇所を決定すること、すなわち、侵害されたか又は欠陥部を含む茎壁の領域、及び、侵害された壁又は欠陥部を回避するために茎スクリューを向け直す場所を決定することは、極めて困難である。
【特許文献1】米国特許第5,474,558号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スクリュー又は他の係留機構を挿入すべき穴を取り囲む骨組織内のいかなる欠陥部をも位置定めするために使用できる器具及び方法の要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様によれば、骨組織内の欠陥部を表示するための器具はハンドル部材及びプローブ部材を具備する。ハンドル部材はプローブ部材に接続するようになった回転可能な結合部材を有する。プローブ部材はハンドル部材から末端方向に延び、シャフト部分及び角度付き部分を有する。角度付き部分はシャフト部分から横断方向に延び、プローブ端部を有する。プローブ端部は電気信号を運び、ハンドル部材は骨組織内の神経構成要素を位置定めする骨組織の穴内でプローブ部材及びプローブ端部を回転させるように作動する。
【0006】
別の態様は神経構成要素の近接箇所を決定し、組織の領域内の欠陥部を位置定めする方法である。この方法は欠陥部位置定め器具を提供する工程を有する。器具はハンドル部材に作動的にかつ回転自在に接続されたプローブ部材を有する。プローブ部材はプローブ部材の長手軸線に対して横断方向に延びる末端角度付き部分を有する。角度付き部分は長手軸線のまわりで回転するように設計された末端の絶縁されていないプローブ端部を有する。方法は更に骨組織内へプローブ端部を挿入する工程と、神経構成要素の近接位置を決定するためにプローブ端部へ電気信号を提供する工程とを有する。更に、方法はプローブ端部を取り囲む骨組織内のいかなる欠陥部をも位置定めするために長手軸線のまわりでプローブ端部を回転させる工程を有する。
【0007】
更に別の態様は神経構成要素及び欠陥部を検出する装置である。この装置はハンドル部材及びプローブ部材を備えた欠陥部位置定め器具を有する。プローブ部材は長手方向のシャフト部分と、末端角度付き部分とを有する。末端角度付き部分は電気信号を運ぶための絶縁されていないプローブ端部をその末端に有する。ハンドル部材は、プローブ端部が電気信号を運ぶ間に、プローブ部材及びプローブ端部を長手軸線のまわりで回転させ、神経構成要素の近接箇所を決定し、穴を取り囲む骨組織内の欠陥部を位置定めする。装置は更に、長手軸線に関するプローブ端部の回転の描写及びプローブ端部により位置定めされた神経構成要素及び骨組織の欠陥部の描写を表示するためのオペレータディスプレイ装置を有する。
【0008】
更に他の態様はハンドル部材、プローブ部材及び神経監視システムを有するシステムである。ハンドル部材はハンドル部材内で結合部材を回転させる回路及びモータを有する。プローブ部材は基端と、基端とは反対側の末端とを有する。プローブ部材の基端はハンドル部材の結合部材に着脱自在に結合される。更に、プローブ部材はその基端で長手軸線に沿った長手方向のシャフト部分と、その末端に隣接して長手軸線に対して横断方向に延びる末端角度付き部分とを有する。末端角度付き部分はその末端にプローブ端部を有し、このプローブ端部は電気信号を運び、神経構成要素及び穴を取り囲む骨組織の領域内の欠陥部を位置定めするために長手軸線のまわりで回転するように設計される。神経監視システムはプローブ部材に電気的に結合される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の原理の促進及び理解の目的のため、ここで、図面に示す実施の形態を参照し、これを述べるために特定の用語を使用する。しかし、これによって本発明の要旨を限定する意図はなく、図示の装置におけるそのような変形及び更なる修正、並びに、ここで例示されたような本発明の原理のそのような更なる応用は、本発明に関連する当業者にとっては普通に行われるものと考えられることを理解されたい。
【0010】
骨組織内の欠陥部を位置定めするための器具はハンドル部材及びプローブ部材を有する。ハンドル部材はプローブ部材に接続された回転可能な結合部材を有する。プローブ部材はハンドル部材から末端方向に延び、長手方向のシャフトと、角度付き端部とを有する。角度付き端部は、ボール先端部のような絶縁されていないプローブ端部をその末端に有し、このプローブ端部は長手軸線のまわりで回転するように設計される。プローブ端部は神経構成要素の近接箇所を決定するために電気信号を運び、骨組織の欠陥部を位置定めするために穴骨組織の穴内で回転する。穴内での骨組織の欠陥部の発生及び位置の検出は、骨組織内での神経構成要素を回避する方法で骨スクリューを受け入れる穴を形成するように医師に対して指示を与える。
【0011】
図1は医療処置を提供するように配列された欠陥部位置定め装置60及び関連する設備を有するシステム20を示す。システム20は神経構成要素の近接位置を決定し、脊柱Bの1又はそれ以上の椎骨の茎壁内の穴を取り囲む骨組織内の欠陥部を発見するように配置される。発見した欠陥部の位置に基づき、システム20は、欠陥部の無い骨組織の領域、従って茎又は他の骨構造内への穴の形成及びスクリューの配置のために一層適する位置を発見するように、欠陥部位置定め装置を向き直らせるように配置される。システム20は神経監視システム30、接続リンク50及び欠陥部位置定め装置60を有する。神経監視システム30は接続リンク50により装置60に結合された設備31を有するか、又は、設備31は装置60と一体化することができる。装置60は、図1に略示するように、人間の患者又は対象者の脊柱Bの脊椎茎壁の穴内に配置するように形状づけられる。
【0012】
1つの実施の形態においては、システム30はメドトロニック社(Medtronic, Inc.)により市場に出されたNIM−Spine(商標名)の一部である。プローブ及び神経監視手順の他の例は米国特許第5,474,558号明細書により提供され、その全体を参照としてここに組み込む。
【0013】
設備31はオペレータ入力装置32、オペレータディスプレイ装置34、及び、使用中患者の外部に位置するシステム20の種々の他のオペレータが利用する設備を含むことができる。入力装置32はアルファベット/数字キーボード及びマウス又は標準種類の他の指針装置を有することができる。代わりに又はこれに加えて、当業者なら行うことのできる音声入力サブシステム又は他の形式のような、1又はそれ以上の他の入力装置を使用することができる。オペレータディスプレイ装置34は陰極線管(CRT)形式、液晶ディスプレイ(LCD)形式、プラズマ形式、有機発光ダイオード(OLED)形式又は当業者なら行うことのできるような異なる形式とすることができる。代わりに又はこれに加えて、プリンタ、1又はそれ以上の拡声器、ヘッドホーン又は当業者なら行うことのできる異なる形式のような、1又はそれ以上の他のオペレータ出力装置を使用することができる。神経監視システム30はまた、ほんの少し示せば、地方局ネットワーク(LAN)、都市局ネットワーク(MAN)及び(又は)インターネットの如きワイドエリアネットワーク(WAN)のようなコンピュータネットワークに接続するのに適した1又はそれ以上の通信インターフェイス;医療診断装置;別の治療装置;医療作像装置;パーソナルデジタルアシスタント(PDA)装置;デジタル静止画像又はビデオカメラ;及び(又は)オーディオ装置を含むことができる。神経監視システム30はオペレータの制御の下で他の情報を示すように配列することができる。
【0014】
設備31はまた、システム20に関連する信号及びデータを処理するための処理サブシステム40を有することができる。サブシステム40はアナログインターフェイス回路42、デジタル信号プロセッサ(DSP)44、データプロセッサ46及びメモリー48を有することができる。アナログインターフェイス回路42は装置60へ対応するアナログ刺激信号を提供するようにDSP44からの制御信号に応答することができる。アナログインターフェイス回路42及びDSP44のうちの少なくとも1つは後に一層詳細に述べるような方法でシステム20の作動を容易にするために1又はそれ以上のデジタル/アナログコンバータ(DAC)及び1又はそれ以上のアナログ/デジタルコンバータ(ADC)を有することができる。プロセッサ46は、それと双方向的に通信し、ディスプレイ装置34に出力を選択的に提供し、オペレータ入力装置32からの入力に選択的に応答するように、DSP44に結合することができる。
【0015】
DSP44及び(又は)プロセッサ46はプログラム可能な形式;専用のハードウエア状態機械;又はその組み合わせとすることができる。DSP44及びプロセッサ46はソフトウエアプログラムインストラクション、ファームウエア、専用ハードウエア又はこれらの組み合わせにより画定できるか又は当業者なら行うことのできるような方法で画定できる作動論理に従って働く。DSP44又はプロセッサ46のプログラム可能な形に対して、この作動論理の少なくとも一部はメモリー48内に記憶されたインストラクションにより画定することができる。DSP44及び(又は)プロセッサ46のプログラミングは標準の静的形式;神経網、専門家アシスト学習、ファジー論理等により提供される順応形式;又はその組み合わせとすることができる。
【0016】
メモリー48はプロセッサ46と関連して示すが、メモリー48は別の形とすることができるか、または、DSP44及びプロセッサ46のうちの一方又は双方内に少なくとも部分的に含ませることができる。メモリー48は少なくとも1つのリムーバブルメモリー装置(RMD)48aを有する。メモリー48はソリッドステート種類、電磁種類、光学種類又はこれらの形の組み合わせとすることができる。更に、メモリー48は揮発性、不揮発性又はこれらの形の混合とすることができる。メモリー48は回路42、DSP44及び(又は)プロセッサ46と少なくとも部分的に一体化することができる。RMD48aはリムーバブル電磁記録媒体のフロッピー(登録商標)ディスク、カートリッジ又はテープ形式;CD又はDVD形式のような光ディスク;不揮発性メモリーの電気的に再プログラム可能なソリッドステート形式;及び(又は)当業者なら行うことのできるような異なる種類とすることができる。更に他の実施の形態においては、RMD48aは省略される。
【0017】
回路42、DSP44及びプロセッサ46はここで述べるように作動するのに適した任意の形式の1又はそれ以上の素子で構成することができる。更に、回路42、DSP44及びプロセッサ46のすべての又は任意の部分は共通の装置として一緒に一体化でき及び(又は)複数の処理ユニットとして提供できることを認識すべきである。DSP44又はプロセッサ46の複数の処理ユニットに対しては、適当なら、分布型、パイプライン型及び(又は)平行型の処理を使用することができる。1つの実施の形態においては、回路42はDSP44の専用の集積回路形に結合された1又はそれ以上の素子として提供され;プロセッサ46は標準のバス接続によりDSP44とインターフェイス接続する1又はそれ以上の汎用中央処理ユニットの形として提供され;メモリー48はDSP44及びプロセッサ46内で一体化された専用メモリー回路及びRMD48aのリムーバブルディスクの形を含む1又はそれ以上の外部メモリー素子を有する。回路42、DSP44及び(又は)プロセッサ46は1又はそれ以上の信号フィルタ、リミッタ、オッシレータ、(DAC又はADCのような)フォーマットコンバータ、電源即ちパワーサプライ、又は、後に一層詳細に述べる方法でシステム20を作動させるのに適するような他の信号オペレータ又はコンディショナーを含むことができる。
【0018】
1つの実施の形態においては、接続リンク50は末端52bとは反対側の基端52aを備えた可撓性の電気ケーブル52と、神経監視システム30の設備31に電気的に接続されたコネクタ54とを有する。ケーブル52は基端25aにおけるコネクタ54から末端52bへ延び、そこで装置60に接続される。接続リンク50は、ケーブル52に加えて又はその代わりに、1又はそれ以上のワイヤ、コード、ワイヤレスリンク、赤外素子、青歯即ちブルーツース又は他の通信リンクを含む形を有することができる。更に、ほんの少しの例を示せば、内視鏡システム、カテーテル導入システム、作像システム、照明システム及び(又は)ビデオカメラシステムのような他の素子、装置及びシステムをシステム20内に組み込むことができることを認識すべきである。接続リンク50及び装置60は、明瞭のために示さない1又はそれ以上のレトラクタ、チューブ、スリーブ、保護体、マイクロ切開又は他の素子を含むことのできる手術手順において脊柱Bに対して進退するように移動することができる。
【0019】
図2は装置60の1つの実施の形態を示す。装置60は長手軸線Lにほぼ沿って延び、ハンドル部材61及びプローブ部材62を有する。ハンドル部材61は内側部分63を取り囲む絶縁性の部材又はコーティングで構成される。1つの実施の形態においては、内側部分63は長手軸線Lのまわりでプローブ部材62を回転させるように作動する回路64及びモータ65を担持する。内側部分63はプローブ部材62に作動的に接続するようになった回転可能な結合部材66をその末端に有する。ハンドル部材61及びプローブ部材62は、例えばネジ接続、ボール/デテント形式の接続、摩擦嵌合、スリップ嵌合、ファスナー及び銃剣式係止を含む任意の適当な手段により、作動的にかつ回転自在にかつ電気的に一緒に結合できることを認識すべきである。
【0020】
1つの実施の形態においては、ハンドル部材61は、プローブ部材62がこれに結合されたことをオペレータに表示するように作動できる。このような接続はシステムのディスプレイをオンすることができ、器具の照明をオンすることができ、可聴の表示を提供することができ、または、任意の他の適当なインジケータを提供することができる。プローブ部材62はプローブ部材62の位置に関する神経構成要素の近接箇所を決定するために電流源に電気的に係合するように設けることができる。例えば、電気リード線がプローブ部材62からハンドル部材61を通って神経監視システム30へ延びることができる。
【0021】
プローブ部材62はその基端における長手方向の区分67と、プローブ部材62の末端に隣接する角度付き区分68とを有する。角度付き区分68はプローブ部材62の末端において絶縁されていないプローブ端部69を有する。プローブ端部69は、骨組織内に形成された穴を掃くように長手軸線Lのまわりで回転するボール先端部又は切開部材又は切除部材の形をとることができる。1つの実施の形態においては、ボール先端部又は他のプローブ端部は組織の拡大及び骨組織内での穴の形成を容易にするように膨張できる。別の実施の形態においては、ハンドル部分に取り付けできる一組のプローブ部材を設ける。一組のプローブ部材は組織内の穴を連続して拡大するために骨組織内へ挿入されるような種々の寸法の端部を具備することができる。
【0022】
図示の実施の形態においては、角度付き区分68はほぼ円筒状の形状を有し、プローブ端部69はほぼ球状の形状を有する。更に、ハンドル部材61及びプローブ部材62の長手方向の区分67は長手軸線Lのまわりでほぼ円筒状の形状になっている。長手方向の区分67及び角度付き区分68は、そこを通して隣接する組織又は装置へ送給される電気の短絡を阻止するためにそのまわりに絶縁性の部材又はコーティングを備えた導電性の材料で構成される。プローブ端部69は、それにより運ばれる電気信号が隣接する骨組織に対して曝されるように、絶縁されない。
【0023】
図3は脊柱Bのセグメント70に対する装置60の関係を示す。図示の実施の形態においては、セグメント70は脊椎茎内に形成された穴72を備えた椎骨71を含む。プローブ部材62は通常の使用中に穴72に挿入されるように又は穴を形成するように形状づけられる。穴72内で位置決めされた後、プローブ端部69は欠陥部のための穴72を掃くように長手軸線Lのまわりで回転する。穴72を取り囲む骨組織内のプローブ端部69に対する神経構成要素の近接箇所は神経構成要素を露出させる欠陥部の表示を提供する。代わりの実施の形態及びシステム20の代わりの作動においては、装置60はまたその中で欠陥部を位置定めしながら骨組織内に穴又はボアを形成することができる。
【0024】
図4はシステム20の作動中のディスプレイ装置34の実施の形態を示す。ディスプレイ装置34は1つの実施の形態に係る図形80を提供する。図形80は一般に穴72に関するハンドル部材61の特定の方位に対する長手軸線Lのまわりでの0、90、180及び270度の位置を表す4つのベクトル82を含む。図形80は更に穴72内でのプローブ端部69の掃き回転運動の描写84を含む。図形80はまた欠陥部インジケータ86による穴72のまわりでの骨組織内の欠陥部の位置の表示を含むことができる。ベクトル82に関する欠陥部インジケータ86の位置は、システム20のオペレータが、穴72に対するハンドル部材61の相対方位を考慮して穴72のまわりでの欠陥部の位置を決定することを可能にする。1つの実施の形態においては、欠陥部インジケータ86は視覚度を増大させるためにオペレータディスプレイ装置34上で点滅効果を有する。更に、オペレータディスプレイ装置34はプローブ端部69へ供給される電流、電圧等の描写88を表示することができる。
【0025】
システム20を作動させるための手順100の例は図5において提供される。ステージ102において、骨組織内の穴のための穴位置は例えば穴72のように特定される。1つの実施の形態においては、骨組織は脊椎セグメント70の椎骨71の脊椎茎壁内の組織の領域である。ステージ104において、プローブ部材62のプローブ端部69は穴72内に挿入される。プローブ端部69は特定の経路に沿って骨組織内に開口を形成するように操作することができる。ステージ106において、プローブ端部69は電気信号を提供され、そのため、欠陥部を特定するために開口又は穴を掃くことができる。次いで、プローブ端部69はモータ65により長手軸線Lのまわりで回転させられる。プローブ端部69の連続的な回転は描写84としてオペレータディスプレイ装置34上に示される。システム20のオペレータはディスプレイ装置34を見て、穴72内でのプローブ端部69の回転を監視することができる。神経構成要素の近接箇所を決定するようにプローブ端部69が穴72内において長手軸線Lのまわりで連続的に回転している間に、プローブ端部69での電流及び患者の反応はステージ108において監視される。プローブ端部69内の信号は患者による応答を引き起こし、この応答は、神経構成要素が極めて近傍にあり、欠陥部が穴のまわりで骨組織内に存在することを表示するために、システム30により記録される。応答をもたらす骨組織内の開口に関するプローブ端部69の位置は欠陥部インジケータ86により表示される。
【0026】
手順100はステージ110において続行し、このステージでは、プローブ端部69における電流が所定のしきい値よりも低いか否かを決定する。所定のしきい値は患者からの反応を引き起こすようなプローブ端部69での電流とすることができ、これは、神経構成要素を回避するように穴72を向き直らせるべきであるような、神経構成要素に対してプローブ端部69が十分に近接することを表示する。ステージ112において、電流が所定のしきい値よりも低く、欠陥部又は神経構成要素の存在の表示がない場合、ステージ114において電流が増大され、ステージ110で手順が繰り返される。
【0027】
ステージ110において、電流がしきい値よりも低くないと決定された場合、手順はステージ116で続行され、このステージでは、欠陥部又は神経構成要素が表示されたか否かを決定する。否の場合は、手順はステージ118で続行され、このステージでは、穴が表示された欠陥部を伴わないものと決定され、穴の準備及び(又は)アンカーの挿入が続行される。ステージ112又はステージ116のいずれかにおいて、欠陥部が表示された場合は、プローブ端部69を回転させているモータ65を停止させる信号を回路64に提供することができる。従って、オペレータディスプレイ装置34上の欠陥部インジケータ86の位置により示されるような、穴のまわりでの、欠陥部又は神経構成要素が位置する位置と整合した状態で、プローブ端部69は回転を停止する。システム20のオペレータはインジケータ86の相対位置を見ることができ、これを装置60上のマーカーと関連づけさせて、穴72内の欠陥部の相対位置をはっきり確認することができる。スクリュー又はアンカーの挿入のための別の位置及び穴を提供することができるか、または、形成されている穴を別ルートにするか又は向き直らせるために、欠陥部の位置から離れる方向にプローブ部材62を向き直らせることができる。
【0028】
図6においては、ハンドル部分61のようなハンドル部分に取り付けることのできるプローブ部材162の別の実施の形態を示す。プローブ部材162はボール先端部の形として示したプローブ端部164を有するが、プローブ端部は任意の適当な形をとることができる。プローブ部材162は、上述のような末端角度付き部分を含んでも含まなくてもよいような細長い直線状のシャフト部分を有することができる。プローブ端部164はそのまわりで離間する複数の刺激素子166を有する。刺激素子166の各々はプローブ端部164のまわりの骨組織へ電気信号を空間的に送給するように交互に及び順々に付勢することができる。
【0029】
個々の刺激素子166により送給された神経刺激は監視することができ、互いに対して及び(又は)既知のしきい値に対して比較することができる。神経刺激を提供する1又はそれ以上の刺激素子166の電流又は他の状態は骨壁又は組織内の欠陥部の存在を表示することができ、神経構成要素への電気経路を提供する。血管部の存在を表示する特定の刺激素子の特定は、プローブ部材の長手軸線に関する欠陥部の位置の表示を提供できる。プローブ部材は骨組織の穴内で回転させる必要はない。その理由は、電気刺激がプローブ端部のまわりの種々の位置から提供され、導かれるからである。
【0030】
別の実施の形態においては、1又はそれ以上の刺激素子は探索すべき穴に関して外部の電場を発生させる。プローブ端部はその先端部のまわりでセンサを具備し、これらのセンサは穴のまわりでの外部の刺激により生じる神経刺激を交互に及び順々に測定する。穴内から神経刺激を検出するセンサは骨組織の穴内に挿入されたプローブ端部に関する骨組織内の欠陥部の存在及び位置の表示を提供する。
【0031】
図面及び上述の説明において本発明を詳細に図示し、説明したが、これは単なる例示であって、特徴を限定するものではないものと考えるべきである。本発明の精神内に入るすべての変更及び修正は保護されるべきであることを望む。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】欠陥部位置定めシステムの概略図である。
【図2】欠陥部位置定め装置の部分概略図である。
【図3】脊椎の区分に関する欠陥部位置定め装置の部分概略図である。
【図4】ディスプレイの概略図である。
【図5】図1のシステムにより履行することのできる1つの形式の診断手順のフローチャートである。
【図6】欠陥部位置定めシステムに使用できるプローブ部材の別の実施の形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨組織内で欠陥部を位置定めするための器具において、
回転可能な結合部材を備えたハンドル部材と;
上記ハンドル部材の上記結合部材に結合され、そこから末端方向に延びるプローブ部材と;
を有し、
上記プローブ部材が長手軸線に沿った長手方向のシャフト部分と、上記長手軸線に対して横断方向に延びる末端角度付き部分とを有し、上記角度付き部分が電気信号を運ぶためのプローブ端部をその末端に有し、上記ハンドル部材が骨組織内で欠陥部を位置定めするために当該長手軸線のまわりで上記結合部材、当該プローブ部材及び上記プローブ端部を回転させるように作動できることを特徴とする器具。
【請求項2】
上記プローブ端部がボール先端部であることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項3】
上記ハンドル部材が上記長手軸線に沿って延びることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項4】
上記電気信号に対する患者の反応が上記プローブ端部に対する神経構成要素の近接箇所を決定することを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項5】
神経構成要素の近接箇所が欠陥部の位置の表示を提供することを特徴とする請求項4に記載の器具。
【請求項6】
上記ハンドル部材を通って上記プローブ部材から延びる電気リード線を更に有することを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項7】
上記長手方向のシャフト部分及び上記末端角度付き部分が導電性材料により形成され、絶縁されることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項8】
上記プローブ端部が絶縁されないことを特徴とする請求項7に記載の器具。
【請求項9】
上記プローブ部材の少なくとも上記末端角度付き部分がアンカーを受け入れるために脊椎茎に形成された穴内で位置決めされるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項10】
上記ハンドル部材が上記長手軸線のまわりで上記結合部材及び上記プローブ部材を回転させるように作動できるモータを有することを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項11】
上記ハンドル部材が骨組織の第1の穴内において上記長手軸線のまわりで上記プローブ部材を回転させるように作動できる回路及びモータを有することを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項12】
上記ハンドル部材が骨組織の欠陥部の位置において上記プローブ部材の回転を自動的に停止させるように作動できることを特徴とする請求項11に記載の器具。
【請求項13】
作動において、
上記プローブ端部が骨組織の欠陥部と整合する状態で回転を停止し;かつ
オペレータディスプレイ装置が上記長手軸線に関する欠陥部の位置の描写を表示する;
ことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項14】
上記ハンドル部材の基端から神経監視システムへ延びる接続リンクを更に有することを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項15】
上記神経監視システムがオペレータディスプレイ装置を有することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
上記プローブ部材は、上記プローブ端部が骨組織の第1の穴内に位置するときに、上記長手軸線のまわりで回転するように作動できることを特徴とする請求項15に記載の器具。
【請求項17】
上記オペレータディスプレイ装置は、上記プローブ部材が回転するときに、上記長手軸線に関する上記プローブ端部の位置の描写を表示することを特徴とする請求項16に記載の器具。
【請求項18】
上記オペレータディスプレイ装置が上記長手軸線に関する欠陥部の位置の描写を表示することを特徴とする請求項17に記載の器具。
【請求項19】
上記器具が欠陥部の検出時に上記プローブ部材の回転を自動的に停止させるように作動できることを特徴とする請求項18に記載の器具。
【請求項20】
方法において、
ハンドル部材に作動的にかつ回転自在に結合されたプローブ部材を有する欠陥部位置定め器具であって、上記プローブ部材が同プローブ部材の長手軸線に対して横断方向に延びる末端角度付き部分を有し、同末端角度付き部分は、当該プローブ部材が回転するときに、同プローブ部材の上記長手軸線のまわりで回転できる末端の絶縁されていないプローブ端部を有するような欠陥部位置定め器具を提供する工程と;
上記欠陥部位置定め器具の上記プローブ端部を骨組織の第1の穴内へ挿入する工程と;
上記プローブ端部へ電気信号を提供する工程と;
上記第1の穴のまわりで骨組織内の神経構成要素を位置定めするために上記長手軸線のまわりで上記プローブ端部を回転させる工程と;
を有することを特徴とする方法。
【請求項21】
骨組織の上記第1の穴がアンカーを受け入れるために脊椎茎内に形成されたボアであることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
上記長手軸線のまわりでの上記プローブ端部の回転の描写を表示するように上記欠陥部位置定め器具に作動的に接続されたオペレータディスプレイ装置を提供する工程を更に有することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
神経構成要素が上記プローブ端部により位置定めされないときは、上記プローブ部材が上記第1の穴から除去され、アンカーが当該第1の穴に挿入されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
信号が神経構成要素の近接箇所を表示するとき、欠陥部が上記プローブ端部により位置定めされ、上記オペレータディスプレイ装置が上記長手軸線に関する欠陥部の位置の描写を表示することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
上記プローブ端部が欠陥部に隣接した上記長手軸線のまわりでの回転を停止することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
上記欠陥部から離れる方向に上記欠陥部位置定め器具を向け直す工程と;
上記欠陥部から離れる方向において神経構成要素を位置定めするために上記長手軸線のまわりで上記プローブ端部を回転させる工程と;
を更に有することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
上記第1の穴から上記プローブ部材を除去する工程と;
骨組織内に第2の穴を形成する工程と;
上記第2の穴に上記プローブ端部を挿入する工程と;
を更に有し、上記プローブ端部が上記第2の穴内で神経構成要素を位置定めするために上記長手軸線のまわりで回転することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
神経構成要素検出装置において、
ハンドル部材及びプローブ部材を有する位置定め器具であって、上記プローブ部材が長手軸線に沿って延びるシャフト部分と、末端角度付き部分とを有し、上記末端角度付き部分は、電気信号を運ぶように及び茎の第1の穴内に挿入されたときに同第1の穴のまわりでの骨組織の神経構成要素を検出すために上記長手軸線のまわりで回転するように作動できるプローブ端部をその末端に有するような位置定め器具と;
上記長手軸線に関する上記プローブ端部の回転の描写及び当該プローブ端部のまわりでの骨組織の神経構成要素の検出により表示される欠陥部の位置を表示するためのオペレータディスプレイ装置と;
を有することを特徴とする装置。
【請求項29】
神経構成要素の検出時に、欠陥部に隣接する上記プローブ端部の回転を停止させるための信号が上記位置定め器具に提供され;
上記オペレータディスプレイ装置が上記長手方向に関する上記プローブ端部従って欠陥部の位置を表示することを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
上記シャフト部分及び上記角度付き部分が導電性材料で構成され;
上記プローブ端部が絶縁されない;
ことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項31】
上記位置定め器具に電気的に結合された神経監視システムを更に有することを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項32】
システムにおいて、
ハンドル部材であって、同ハンドル部材の結合部材を回転させるように作動できる回路及びモータを有するようなハンドル部材と;
基端と、同基端とは反対側の末端とを有するプローブ部材であって、同プローブ部材の上記基端が上記ハンドル部材の上記結合部材に結合され、上記プローブ部材が当該基端における長手軸線に沿って延びる長手方向のシャフト部分と、上記末端に隣接して上記長手軸線に対して横断方向に延びる末端角度付き部分とを有し、上記末端角度付き部分が、当該長手軸線のまわりで回転でき、かつ、骨組織の神経構成要素を検出するための電気信号を運ぶように作動できるプローブ端部をその末端に有するようなプローブ部材と;
上記プローブ部材に電気的に結合され、上記プローブ端部に対する神経構成要素の近接箇所を表示するように作動できる神経監視システムと;
を有することを特徴とするシステム。
【請求項33】
上記神経監視システムが上記長手軸線に関する上記プローブ端部の位置を表示するように作動できるオペレータディスプレイ装置を有することを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
神経構成要素の検出時に、骨組織内の欠陥部が位置定めされ、上記モータを停止させ、及び、上記プローブ端部が欠陥部に隣接した状態で上記プローブ部材の回転を停止させるための信号が上記回路に提供されることを特徴とする請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
上記オペレータディスプレイ装置が上記長手軸線に関する欠陥部の位置を表示するように作動できることを特徴とする請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
方法において、
ハンドル部材に作動的かつ回転自在に結合されたプローブ部材を有する欠陥部位置定め器具であって、上記プローブ部材が同プローブ部材の長手軸線のまわりで回転できる末端の絶縁されていないプローブ端部を有するような欠陥部位置定め器具を提供する工程と;
骨組織の第1の穴内に上記欠陥部位置定め器具の上記プローブ端部を挿入する工程と;
上記プローブ端部に電気信号を提供する工程と;
上記長手軸線のまわりで上記プローブ端部を回転させる工程と;
神経構成要素の検出又は信号しきい値への到達まで上記プローブ端部が回転したときに、上記電気信号を調整する工程と;
を有することを特徴とする方法。
【請求項37】
末端角度付き部分が上記プローブ部材の長手軸線に対して横断方向に延びることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
システムにおいて、
ハンドル部材と;
基端と、同基端とは反対側の末端とを有するプローブ部材であって、同プローブ部材の上記基端が上記ハンドル部材に結合され、上記プローブ部材が長手軸線に沿って末端のプローブ端部へ延びる長手方向のシャフト部分を有し、上記プローブ端部が隣接する組織へ電気的刺激を交互に送給するようにそのまわりに位置する複数の刺激素子を有するようなプローブ部材と;
上記プローブ部材に電気的に結合され、上記複数の刺激素子のうちの任意の刺激素子に対する神経構成要素の近接箇所を表示するように作動できる神経監視システムと;
を有することを特徴とするシステム。
【請求項39】
上記プローブ端部がボール端部であり、上記複数の刺激素子が上記ボール端部内に位置することを特徴とする請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
上記プローブ部材の上記長手方向のシャフト部分が直線状であることを特徴とする請求項38に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−529604(P2008−529604A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554317(P2007−554317)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/004237
【国際公開番号】WO2006/086363
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】