説明

骨関節症を治療するための、ヒアルロン酸ナトリウムとコンドロイチン硫酸との混合物の使用

【課題】骨関節症における軟骨疾患の治療用組成物の新規な使用方法の提供。
【解決手段】ヒアルロン酸ナトリウムとコンドロイチン硫酸ナトリウムとで形成される、粘弾性液剤を関節内に点滴注入投与する。コンドロイチン硫酸またはその薬理学的に許容される塩の分子量は20,000〜50,000ダルトンであり、ヒアルロン酸ナトリウムの分子量が500,000〜1,000,000ダルトンであって、該組成物は20,000〜60,000cpsの粘度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒアルロン酸塩とコンドロイチン硫酸(本願明細書では特に断りのない限り、その薬理学的に許容される塩を含む)との混合物を関節内に適用することによる、関節症、特に骨関節症(変形性関節症)に伴う骨軟骨疾患の治療方法およびそのような治療法に用いられる組成物に関する。
さらに詳しくは、本発明はヒトまたは動物(好ましくは哺乳動物)の膝、肩、仙腸骨、臀部、踝、肱、指節間および手首関節(これらに限定されることはない)を含む関節の病期Iおよび病期IIの骨関節症により損傷を受けた関節軟骨の平滑化および再生に関し、ヒアルロン酸ナトリウムとコンドロイチン硫酸とのゲル状の混合物が好ましくは関節内に適用される。
本発明の主たる目的は、ヒアルロン酸ナトリウムとコンドロイチン硫酸ナトリウムとの混合物の、骨関節症によって損傷を受けた関節軟骨を再生するための新規な医学的使用方法、対応する治療方法およびそのような治療用製品を製造するに際しての成分の使用を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
骨関節症は、世界中の何百万の人々が罹患する疾患である。これまでに、骨関節症状に伴う、特に軟骨の疾患を標的とした、当該部位における軟骨の生体内での再生を促進する有効な治療方法はなかった。
この疾患は、外傷、関節の構造的変形および体重過多に起因する関節軟骨のゆっくりとした変性および破壊から成り立っている。この過程において、いわゆるアポトーシスと呼ばれる現象またはプログラム化された細胞死により軟骨が細化する。骨の細化により軟骨表面領域が消失したときは、病期Iの骨関節症と考えられ、軟骨周辺の表面領域が消失したときは、病期IIの骨関節症と考えられる。さらに、軟骨下の骨と境界を形成している深層および石灰化層に影響を与える骨関節症の別のレベルの変性および破壊がある。
【0003】
当該疾患の進行を臨床的に表示するには、関節の浮腫、痛み、軌音および機能的障害が挙げられ、これらはゆっくりと着実に肉体運動を妨げる。例えば、長距離の歩行、罹患関節にもよるが強制的な屈曲および伸展運動が妨げられる。状態が悪化すると、最低限の作業さえ制限する疼痛が始まり、安らかに睡眠を持続させることが困難となる。仮にそういう状態が改善されることなく、および/または治療を受けることなく継続すると、関節は完全に破壊されて患者は全人工装具で補綴する外科手術を受けることになるか、あるいは動けなくなる。
骨関節症に見られる関節軟骨の疾患の改善をするための治療方法が発展してきたが、関節軟骨の再生を生体内およびインビボで達成することができた治療法はこれまでにない。
【0004】
先行技術としては次のものがある。
a)腱、骨膜、筋膜、筋肉あるいは軟骨周囲の移植片の適用
b)フィブリン若しくは培養軟骨細胞の移植(骨軟骨の移植片は症状を改善するが、危険性も増大する。骨関節症については、medscape.com/con/2000/AAOS/story.cfm参照)。
c)インスリン様成長因子IおよびTGF−Bのような軟骨形成性刺激因子の服用
d)コラーゲンあるいは炭素繊維のような合成マトリックスのインプラント
e)電磁場使用等の他の方法 (J. Buckwwalter, M. D., Van C. Mow, Ph. D. and Anthony Ratcliffe, Ph. D. Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgery 1994:2:192-202)
【0005】
上記したこれらの方法においては、修復形成についてごく少数の不完全な結果が報告されているが、再生組織についての報告はなく、荷重を支えきれず、正常運動をする関節機能が回復されない貧弱な質の組織のままであると報告されている。
ある治療法では、本発明と同様に74〜90%の有効率を示す優れた結果を与えているが、これは培養された自己軟骨細胞の移植に関するものである。この治療方法は、1987年にスウェーデンで始めて報告され、1995年にアメリカ合衆国に紹介された。この方法は患者から軟骨細胞性物質を採取し、それを研究所に送り、そこで増殖させるために適当な培地に播種し、次いで充分な量に増殖した後(数週間から数ケ月)、それを特定の容器に移し、最終的にそれを損傷組織に移植して損傷を治療するものである。これは経費のかかる方法であって、患者は必要な細胞性物質を採取されるために、そして引き続き増殖した物質を移植するために手術室で待機しなければならない。さらに、移植準備のために相当な期間、待たなければならない(VLADIMIR, Bobic, MD AAOS Annual Meeting, March 16, 2000)。
【0006】
他のもっと一般的な治療方法としては、抗炎症剤あるいは抗リューマチ剤を使用する治療法、全身療法、理学療法、徐放性ステロイド剤注射による治療法および最近では粘性物質を使用する保護方法(viscoprotection)などが出現してきている。
この粘性物質を使用する保護方法は、市場で入手可能なHYLAN G−F 20、SYNVISC、HYALGAN、ARTZなどの粘弾性のヒアルロン酸ナトリウムを関節内に適用する方法を含む。ヒアルロン酸ナトリウムは、滑液の流動(レオロジー)に効果的であり、殆どすぐに自由に動きまわれる感覚および痛みの顕著な減少をもたらす。関節内に存在している液体をヒアルロン酸ナトリウムの点滴により変換すると、亜滑液組織(subsynovial tissue)および被膜組織における疼痛受容体への遮断が生じること、および骨軟骨の病理に関する機械的要因に加えて、当該液体は平滑化作用によってこれらの受容体に影響を及ぼす。かくして、ヒアルロン酸ナトリウムが点滴投与されたときには、これらの液体の粘度の変化が疼痛性の骨軟骨症状に有効に作用する。しかしながら、公知のヒアルロン酸塩の効果は、一時的なものであり、それは吸収および/または代謝されるわずか約72時間だけ関節腔内に留まるからである。本物質の残留効果は滑液受容体に作用し、数週間から時には何ケ月にも及ぶ痛みの軽減を持続させる。しかしながら、この隔離された効果は、疾患の進行中および軟骨の成育中は逆効果であり、その理由としてはそれが症状を隠蔽するので、初期の問題が改善されておらず、障害を受けた関節軟骨が回復していないのに、関節がより強く使用されてその破壊が加速されるからである。これらの物質を使用し、5年間の経過観察をしている最近の研究によれば、臨床的改善が有意であり、それは疼痛性の症状の軽減が代表的であるが、その期間は短期間および中期間である。また、激痛、有意な滑液の浸出、発疹および踝の腫脹が特徴である副作用が、少なくとも7.2%の治療患者において報告されている。これまでに、軟骨の再生に有効かつ長期間効果があるヒアルロン酸塩による治療法は報告されていない。従って、軟骨再生への改善されたアプローチが望まれている。
【0007】
本発明より先に、出願人は1982年にヒアルロン酸ナトリウム(以下SHと略称する)を、メキシコ国メキシコ市のアメリカ競馬場のサラブレッド競走馬に適用したことがある。これらの競走馬においては、膝および踝が最も傷つきやすい関節である。米国の競馬場の獣医が既にこの方法を用いており、障害を受けた馬の膝にこの粘弾性物質が産生されるという有益な反応を観察している。出願人は、ヒトへの適用を考え、障害を受けた軟骨の表面の回復をもたらすいくつかの物質を添加することを思いついた。
出願人はコンドロイチン硫酸(以下CSと略称する)が軟骨を支持する基礎となるアグレカン(軟骨分子)のプロテオグリカンの最も重要な部分であり、これが修復効果を有しているという仮説を立てた。
【0008】
1996年、メキシコ市のアルコン研究所を訪問した際、出願人はその会社の目薬製品の一つであるVISCOAT(登録商標)ゲル懸濁製剤中に上記二つの物質が包含されているのを知った。発明者はVISCOAT(登録商標)に関する製品説明書の詳細な情報を入手したが、そこには眼球内に使用しても何らの副作用も報告されていないことが述べられており、またこの製品の効果および安全性の研究に関しての文献が充分に引用されていた(CILCO社 VISCOATの有効性と安全性に関する研究 1984年)。そして、出願人はそれをあらゆる進行度合いの骨関節症の患者に試験的に使用することを決断し、ついでその結果を分析した。
【0009】
今回の研究により、膝の骨軟骨疾患の管理にヒアルロン酸ナトリウムとコンドロイチン硫酸ナトリウムとの混合物を関節内に適用するという別の代替治療法が明らかにされた。理論的には不明であるが、この治療法の顕著な効果は、公知の粘弾性治療法の利点と相乗的に組み合わされて軟骨形成を促進することによるものと考えられる。コンドロイン硫酸およびヒアルロン酸ナトリウムの人工的マトリックスである混合物のインプラントは、必須の修復要因を代表するものであり、該マトリックス中で自然発生した軟骨細胞が増殖して組織の結合を回復することができ、それにより破壊された軟骨を再生して元の形態に戻すことができる。
このマトリックスの使用により軟骨が再生するため、症状の進行度合いは非常に好ましいものであり、これは軟骨病変部位において長期間、持続する。適用部位における痛みと軽い腫脹を訴えた患者以外には、何等の副作用も報告されていない。アセタミノフェンを鎮痛薬として投与されたこの患者は、痛みも24時間内には自然に消失した。
【0010】
最も好ましい使用法においては、眼球内投与と全く同様に製品を投与し、その製剤化に際しては何らの変更もされないということを指摘しなければならない。現在、眼科用に提示されているのは0.5ccおよび0.75ccのシリンジ剤型であるので、より容量の大きいシリンジ剤型にする変更を現在、提案中である。
また、本発明製剤は眼球内に適用される製剤と同じであるが、本発明の目的は、通常の関節内への適用方法とは全く異なるものであり、骨関節症により破壊された軟骨を再生させる軟骨形成誘因物質として使用することにあることを指摘しなければならない。
【0011】
上記したように、ヒトへのこの組成物の試験的な適用は、1996年に始まり、優れた結果が観察された。この結果は後に関節鏡検査法(カメラを関節内に挿入して関節軟骨を直接に観察)の研究、病理学的解剖学の研究および組織生理学の研究により確認された。これらの研究は全て臨床的な知見と符号するものであり、通常の関節軟骨の再生が達成された。この治療方法は、現在、利用できる方法として唯一提示されるものであり、人体のあらゆる関節における病期Iおよび病期IIの骨関節症により損傷を受けた関節軟骨を95%まで再生させることができる方法として提案される理由である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、骨関節症により損傷を受けた関節軟骨の治療にこれまで利用できた方法における課題を解決するために開発された。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、関節の軟骨軟化症および/または骨関節症に罹患したヒトまたは動物の患者に、好ましくは病期Iまたは病期IIの骨関節症のヒト患者に、人工的マトリックスを関節内へインプラントして、軟骨誘導により関節軟骨の再生を達成するための方法を提供することにある。
軟骨の再生は、コンドロイチン硫酸およびヒアルロン酸または薬理学的に許容されるそれらの塩の混合物により形成される人工的なマトリックスをインプラントして実現される。自然に発生した軟骨細胞が該マトリックスに定着し、成熟するにつれて3〜4個の軟骨細胞グループで確かな硝子質を形成し、天然軟骨と同系のものを複製する。このようにして、関節表面の連続性が回復され、運動能力が元に戻り、痛みが除かれ、かくして機能が回復する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1〜図6は、本発明の治療を受けた患者のインプラント前およびインプラント後の骨関節像を表す。すなわち、元のものと同じ特徴を有するNovo社製軟骨による関節表面再生の肉眼的および顕微鏡的確認、確かな病理学的報告および組織生理学的試験(S−100プロテイン)であり、後者の二つは再生された軟骨の特徴を確認するものである。
図1および図2は、治療前および治療後2年の骨関節像を示す。
図3は、Novo社製軟骨による関節軟骨の再生を示す。
図4および図5は、充分に増殖し成熟した軟骨細胞が観察され、それが硝子質マトリックスにより包囲されている軟骨周辺域から表面層への成熟を示す顕微鏡像を示す。
図6は、S−100プロテインを適用した場合の確認された組織病理学的像である。これは本試験に対する軟骨組織の反応が陽性であることを示す。
【0015】
〔製品の特徴〕
本発明のコンドロイチン硫酸/ヒアルロン酸塩の組成物の好ましい態様としては、VISCOAT(登録商標:Alcon Inc. Forth Worth, Texas, USA)が挙げられる。本製品は全ての骨関節症(OA)患者の軟骨疾患の治療に適しており、特に伝統的な非薬剤治療および通常の鎮痛剤には適切に反応することができない患者の治療に適している。
VISCOAT製品のパッケージには、米国特許第4,486,416号および米国特許第6,051,560号が表示されており、この二つの特許の全内容を引用することにより本発明に包含される。VISCOAT製品は、また、SSA(メキシコ保険庁)に登録番号Reg SSA Mex. No. 0735 C 88として登録されている。
【0016】
製造業者が提供した製品情報によれば、VISCOAT粘弾性液剤は、高度に精製された非炎症性の中程度の分子量のコンドロイチン硫酸ナトリウムとヒアルロン酸ナトリウムとの、滅菌された発熱性物質を含まない粘弾性溶液である。VISCOATは、40,000〜20,000cps(25C、2/秒 剪断速度)の粘度を有するように製剤化される。VISCOAT溶液の各1mLは、40mg以下のコンドロイチン硫酸ナトリウム、30mgのヒアルロン酸ナトリウム、0.45mgのリン酸二水素ナトリウム1水和物、2.00mgの無水リン酸水素二ナトリウムおよび4.3mgの塩化ナトリウム(注射用水、USP等級、適量)を含有する。VISCOATの重量モル浸透圧は、325mOsM±40mOsMであり、そのpHは7.2±0.2である。
【0017】
コンドロイチン硫酸ナトリウムおよびヒアルロン酸ナトリウムは、化学的および物理的組成に関して全く類似しているが、これは各成分が中程度から高分子量の大きな非分岐の直鎖構造で存在しているからである。VISCOAT粘弾性液剤の製剤化で用いられるコンドロイチン硫酸ナトリウムは、約22,500ダルトンの平均分子量を有しており、一方ヒアルロン酸ナトリウムは500,000ダルトンを超える分子量を示す。
この製品は、ヒアルロン酸ナトリウムとコンドロイチン硫酸との混合物を含有するゲル製剤であり、これらの物質は軟骨、滑液膜、臍帯および眼の硝子体腔の一部として人体中に自然の形態で存在する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本製品は、関節部位を予め無菌化もしくは消毒した後、通常の関節内投与または点滴により、代表的方法としては注射される。この方法は病院の治療室で実施するのが代表的である。投与(注射)された製品は、インプラントと呼ばれる。前記したように、コンドロイチン硫酸(CS)は軟骨分子(アグレカン)の最も重要な部分であり、関節軟骨の主要なプロテオグリカンである。このCSは、プロテイン核に挿入された長鎖が軟骨間質の支持要素として作用する。かくして、これが人工的なマトリックスとして病変床に付着し、それにより遊走している、付着していない、末梢の侵食された、軟骨細胞がその中に定着することができる。軟骨細胞が成熟すると、軟骨細胞は粘弾性組成物(乳母の役目)によって供給された一時的なものと置き換わる硝子体マトリクッスを最終的には分泌する。このようにして、軟骨細胞は初期の形態および厚さを回復するのをコントロールするまで再生する。軟骨再生は、インプラント後の管理された関節鏡検査の実施により、軟骨再生が肉眼的にも観察されて証明された。顕微鏡的には、S−100プロテインに対する組織生理学的な陽性反応のみならず、正常な形態学的な特徴を示すNovo社の関節軟骨についての知見が報告されている。
【0019】
大きな関節を処置する場合、本発明の好ましい軟骨形成誘導方法は、60mgのコンドロイチン硫酸(CS)と45mgのヒアルロン酸ナトリウム(SH)との混合物のゲル懸濁液1.5ccを関節内に適用することであり、そして股大腿関節、踝関節または肘関節のような小さな関節に適用する場合には、0.75cm当たり30mgのCSおよび22.5mgのSHの混合物を使用するのが好ましい。本発明者は、指節間のあるいは手首の関節のような小さな関節に対してさえ、0.5cm当たり、20mgのCSおよび15mgのSHの混合物が使用できることを定めた。該組成物投与の回数および頻度は、通常の粘性保護治療法で使用されるものと同様であり、特定の患者の必要性に応じて調整される。一般的に言えば、1〜3ケ月の間に、2〜6用量が投与される。10〜20日間の間隔で2〜4用量を投与するのが好ましい。効き目にもよるが、最も好ましいのは、15日間の間隔で3用量を投与し、引き続き3ケ月、6ケ月、9ケ月または12ケ月毎に定期的に投与することである。325の膝関節および16の股大腿関節で実施された試験から得た結果によれば、この治療方法は病期Iおよび病期IIの骨関節症により破壊された関節軟骨の94.5%まで再生する。
【0020】
〔治療で使用する化合物の詳細な説明〕
上記したように、本発明の最も好ましい態様において、考慮すべき大切なことは、製剤に何らの変更を加えることなく適当な容量の注射器、例えば21(ゲージ)×32(mm)の無菌皮下注射針を使用して、製品がそのまま正確に関節内に適用できるということである。本発明の目的のために有用なコンドロイチン硫酸とヒアルロン酸塩の濃度は、しかしながら、それぞれの成分について重量割合で約0.1%〜約50%と変わりうる。コンドロイチン硫酸の分子量は、20,000ダルトンより大きく、好ましくは約20,000ダルトンと約50,000ダルトンとの間である。ヒアルロン酸塩の分子量は、少なくとも500,000ダルトンであり、好ましくは約500,000ダルトンから1,000,000ダルトンの間である。
【0021】
本発明を実施するに際しては、ヒアルロン酸ナトリウムは、約4〜37℃の温度で、100mlの水中、約0.1g〜約10gの濃度で使用される。コンドロイチン硫酸もまた約4〜37℃の温度で、100mlの水中約0.1g〜10gの濃度で使用される。他の薬理学的に許容される塩類は、制限されることはないが、コンドロイチン硫酸およびヒアルロン酸のマグネシウム塩、カルシウム塩およびカリウム塩もまた、本発明を実施するのに有用である。上記範囲内において、コンドロイチン硫酸はいかなる量も加えることができ、ヒアルロン酸塩との間に結合相互作用が生じ、関節内使用に適した物理的性質および流動的性質をもたらす。水中で12.6gのコンドロイチン硫酸を10gのヒアルロン酸ナトリウムに加えることにより、生成した溶液は50/秒の低剪断速度に対して25℃で100万超のセンチポイズ(cps)の粘度を有する。ヒアルロン酸塩に対するコンドロイチン硫酸の好ましい割合は、約4:3(重量比)である。コンドロイチン硫酸の好ましい濃度範囲は、重量割合で約0.1%〜約5.3%であり、ヒアルロン酸塩のそれは重量割合で約0.1%〜4.2%である。
【0022】
本発明を実施するに際して使用される好ましい水性緩衝液としては、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムおよび塩化ナトリウムを混合してpHを約7〜約8および重量モル浸透圧を300〜350mOsmol/kgに維持するように調製された水性緩衝液を含む。リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムの緩衝濃度を上げることにより、コンドロイチン硫酸/ヒアルロン酸塩溶液のイオン強度が増大する。コンドロイチン硫酸およびヒアルロン酸塩との分子相互作用の反応速度定数は、イオン強度と温度とを上げることにより増大する。本発明は、リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムの濃度が0.1g/100ml〜5g/100mlであり、4〜40℃の温度でpH値が7.0〜8.0である構成をとりうる。以下の例示は、100mlの水中におけるCS(5.3g)/SH(4.2g)混合物の見掛分子量の粘度に対する緩衝効果を示す。
【0023】
緩衝液1:
リン酸水素二ナトリウム:4.5mg/ml
リン酸二水素ナトリウム1水和物:1.5mg/ml
1/秒、25℃における本発明組成物の粘度:68,878cps
緩衝液2:
リン酸水素二ナトリウム:7.5mg/ml
リン酸二水素ナトリウム1水和物:1.0mg/ml
1/秒、25℃における本発明組成物の粘度:115,011cps
最も好ましい製剤、すなわちVISCOAT製剤は、該混合物の1cm当たり、40mgのコンドロイチン硫酸(分子量約22,500ダルトン)、30mgのヒアルロン酸ナトリウム(分子量約750,000ダルトン)、0.45mgのリン酸二水素ナトリウム1水和物、2mgの無水リン酸水素二ナトリウム、4.3mgの塩化ナトリウムおよび水を含有している。
【実施例】
【0024】
研究のタイプ:予測研究、縦断研究および治験研究
軟骨軟化症および病期Iおよび病期IIの骨関節症に罹患した325の膝、および疼痛性かつ機能が制限された関節症候群に属する16の股大腿関節についての研究が患者210人について実施された。これらの患者はこれまで非ステロイド性抗炎症剤類(NSAID)あるいはステロイド注射で治療されていたが、患者はこれらの治療に対して奏効性を示さなかった。
【0025】
〔組み入れ基準〕
本研究の間の組み入れ基準は以下のとおりである。
膝、股大腿の関節の病期IIまでの関節症を含む、慢性の軟骨性のまたは骨関節軟骨の病理を有する男性、女性患者は共に組み入れられ、これらの患者には通常の治療では臨床的改善が見られず、年齢を問わず自己免疫疾患または腫瘍の病理が付加されておらず、全身的または関節用ステロイドまたは非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)による最近の管理を受けることなくこれまでに関節鏡外科手術を受けた患者が組み入れられる。
〔除外基準〕
以下に述べる除外基準が採用される。すなわち、病期IIIまたは上方膝関節症または股大腿骨関節症の患者で、最近または現在も全身的あるいは関節内ステロイドの治療を受けており、重篤な変形および自己免疫疾患または腫瘍病理所見のある患者は除外される。
【0026】
〔非組み入れ基準〕
治療を中止したり、死亡したりあるいは治療法を変えた患者は組み入れられない。
〔臨床的な評価〕
臨床的な評価は以下のとおりである。
痛み:軽度、中度あるいは重度
歩行:時々の跛行、歩行杖または松葉杖の助けまたは歩行困難
動作:完全な弓なり、軽度の制限、中度の制限、重度の制限
滑液浸出:最小、中程度または重度(時々または恒常的)(特定の手術に対するSCRIPPS尺度による)
【0027】
〔X線写真評価〕
X線写真の変化、関節固定法、軟骨軟化症および骨関節症(変形性関節症)。治療前または治療後のX線写真の研究。
〔関節鏡検査による評価〕
治療前および治療後の像。
〔結果〕
210人の患者の治療:144人の女性(68.5%)、66人の男性(31.5%)、12〜86歳の年齢、平均44.2歳の患者の325の膝(両側性が115(230の膝)および95の片側膝(95の膝)が診断され、68の膝が骨軟化症、40の膝が病期Iの関節症および217の膝が病期IIの骨関節症と診断された。
別の16人の患者の治療:16の股大腿骨(臀部)関節。
【0028】
【表1】

【0029】
視覚的アナログ表示による臨床的尺度(SCRIPPS専門外科病院)が適用され、309の膝(95.07%)が、即効性の有意な改善および2年間のフォローアップの間、満足すべき経過を示した。250の膝(83.3%)は、50ケ月間何らの非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)を服用することなく同様の良好な状態にあり、32の膝(13%)は中程度の痛みがあり、18例(6%)では短期間および中期間での改善は認められなかった。最後に、股大腿骨関節症(臀部)の16の関節(病期I、II、IIIおよびIV)のうち、14(87.5%)の病期IおよびIIの股大腿骨関節は優れた結果を示し、病期IIIおよびIVの2つ(12.5%)の骨大腿骨関節は、悪化が進んでおり何らの良い結果を与えなかった。
この治療の間、患者は誰もが全身性の副作用を示さなかった。ただ一人の患者がインプラント後に痛みと軽い腫脹を訴えた。
以下に示すグラフは、上記の結果を示すものである。
【0030】
【表2】

【0031】
【表3】

【0032】
【表4】

【0033】
上記結果を補足するために、病期II膝骨関節症のため非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)で治療された20人の患者および同様の理由からVISCOATで治療された20人の患者についての比較試験が実施された。
【0034】
【表5】

【0035】
【表6】


〔HSS尺度による24ケ月後の結果(SCRIPPS病院)〕
【表7】

【0036】
【表8】

治験は、3用量の組成物を78の膝に適用することにより継続して実施された。これは治療した膝の31%に相当する。151(60.4%)の膝には2用量、投与され、21の膝(8.4%)には1用量だけ投与された。グラフ中の28%は70人の患者に相当し、6ケ月後、8補充用量まで必要とした。これにより、夜間の痛み、歩行による痛みおよび休息時における痛み度合いを減少させ、かつ運動の範囲を増大させた。
【0037】
【表9】

【0038】
3用量の該組成物によって治療された16の股大腿関節の結果をグラフに示すが、14の股大腿関節においては優れた結果をもたらし、これは87.5%に相当するものである。そして、グラフにおける12.5%は病期IIIおよびIVの骨関節症の二人の患者を示し、彼らに対しては何らの良い結果を示さなかった。
27歳〜79歳の9人の男性および7人の女性患者に、これらの治験は実施された。
【0039】
〔CSおよびSHを含有する組成物の適用により軟骨再生を証明する、患者に実施された研究および試験〕
以下の実施例は本発明の組成物の新規な使用を説明し、例示するものである。
これまでにヒアルロン酸ナトリウムとコンドロイチン硫酸で治療された69歳の女性患者の膝軟骨の生検。
顕微鏡検査の説明:
膝軟骨の組織学的検査を実施した。その顕微鏡検査について以下に説明する。
軟骨切片は、2〜3つのグループに規則正しく整列し互いに接着している軟骨島を有する成熟した軟骨の断片を示し、層状の線維症を形成することなく硝子質マトリックスに囲まれている。該軟骨細胞は、球状核を含み透明な細胞質を有しており、形態学的には正常であり、よく成熟している。軟骨内の骨化または異栄養性骨化はなく、上記した例示にあるように、悪性新生物は観察されない。
【0040】
診断:膝軟骨の生検
Novo社製骨軟骨の形成は形態学的および構造的に正常であり、これは図3に示した像により確認される。
これまでにヒアルロン酸ナトリウムとコンドロイチン硫酸で治療された78歳の女性患者の大腿骨関節丘軟骨の生検。
【0041】
顕微鏡検査の説明:
組織学的研究が、全体で0.5cmの数個の不規則組織断片について行われた。該断片は白色の真珠色をしており、しっかりとした粘りを有していた。また、それらは右側大腿骨関節丘軟骨のものと左側大腿骨関節丘軟骨のものとに同定された。さらに、それらの断片についてパラフィン手法による固定化が実施された。
診断:大腿骨関節丘軟骨の生検
部分硝子質化した成熟軟骨の断片(悪性新生物は観察されない)である。図4の像で確認される。
【0042】
得られた結果の検討:
該製品のインプラント後の機能性に関する結果は、殆どの治療患者に対して非常に満足するものであった。通常の薬剤による全身的な管理と該コンドロイチン硫酸およびヒアルロン酸ナトリウムのインプラントによる関節内適用との間の相違は、極めて明らかに後者が有利である。注目すべきことは、通常の関節内の流動学的変化(粘度、弾性および可塑性)が、痛みを減らし、滑液の応答を刺激して該液体の粘弾性の特徴を変えることにある。しかしながら、根本的な相違は、該液体およびCSによって刺激された軟骨形成誘導により成就される長期間の応答にあり、これを使用することにより軟骨疾患、臨床的な症状の出現および機能的身体障害に対するのみならず、主要な外科手術の危険性に対する恒久的な解決策となり得るのである。
【0043】
結論:
コンドロイチン硫酸ナトリウムおよびヒアルロン酸ナトリウムの関節内への使用による骨関節軟骨疾患の治療が、通常の治療方法と比較して有意によい臨床学的奏功を示すことが証明された。この奏功性は治療前および治療後の関節鏡像および通常の電子顕微鏡検査のみならず、損傷を受けた軟骨が約2年間で再生され、その正常な構造および機能が回復されていることを示す組織学的試験(S−100プロテイン試験で効果確認)により確認された。軟骨誘導関節内治療指針は、好ましくは人体の関節における軟骨軟化症および病期IおよびIIの骨関節症に罹患した患者が対象である。
治療の長期的結果は元の原因に依存するので、骨軟骨病理の元の原因はいつも治療すべきである。あらかじめ外科的な手術管理を行うことは、指導されているように、最小限の侵襲性手術による骨軟化病変の総合的な管理およびそれら病変の長期間にわたる良好な予後のためには優れた代替法である。
【0044】
同様に、本発明方法は他の公知の治療法と併用してもよい。例えば、本発明のコンドロイチン硫酸−ヒアルロン酸混合物は、必要とする関節に抗炎症剤、抗リューマチ剤、ステロイド剤、軟骨刺激因子から選ばれる1つまたはそれ以上の薬剤と組み合わせて別々にあるいは単一製剤として適用してもよい。
従って、ヒアルロン酸ナトリウムおよびコンドロイチン硫酸ナトリウムの混合物は、全ての特徴的な病理学的疾患に対して、治療的に有用な方法で一定量を、簡単な関節内投与ルートにより現在では使用することができ、両成分が安全であるということがこの治療法を特に魅力的なものにしている。
【0045】
上記したように、本発明の粘弾性組成物は、眼科手術に有用であることが知られている。しかしながら、粘弾性技術分野の当業者であれば、そのような組成物が上記した眼および関節の治療以外にも有用であることを理解するであろう。該組成物は種々の治療、特に薬剤伝達、整形手術(美容整形)および再形成手術に使用することができる。本発明の組成物は、抗線維化剤、抗生物質、ステロイド性および非ステロイド性抗炎症剤、麻酔剤、鎮痛剤および他の医薬を発病あるいは外傷を受けた組織への薬剤伝達に、あるいは遺伝子治療によく適合している。化粧学的には、これらの組成物はしわを減らしたり、静脈瘤血管を治療するために注射される。皮膚線あるいはしわの治療のためには、これらの組成物はBOTOX(登録商標:Allergan Inc. Irvine CA, USA)として市場で入手可能なボツリヌス菌毒素タイプA筋弛緩剤と組み合わされ、通常の方法で皮下に注射される。本発明で開示されている組成物および方法は、組織分離または安定化を必要とするどんな環境でも使用可能であり、また手術後の組織の線維化および/または接着から生じる代表的な合併症に対する治療可能性を有する。本発明の組成物および方法は、特に鼻の手術、脊髄の手術、循環器の手術、整形外科手術および歯科矯正手術において有用であり、本発明の組成物及び方法を実施しないとそのような合併症を起こしがちである。
当該分野の当業者は、請求範囲に定義された本発明の思想と範囲から逸脱することなく、好ましい態様を改変あるいは修正してもよいことを認識するであろう。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患の進行中および軟骨の成育中の関節内投与用であって、関節軟骨の変性を示す関節の治療用製品を製造するための、コンドロイチン硫酸およびヒアルロン酸またはそれらの薬理学的に許容される塩の混合物の治療的に有効量からなる粘性の組成物の使用。
【請求項2】
関節がヒト患者のものであり、軟骨の変性が骨軟化症または病期Iまたは病期IIの骨関節症に起因することを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
組成物が0.1〜50重量%濃度のコンドロイチン硫酸またはその薬理学的に許容される塩および0.1〜50重量%濃度のヒアルロン酸ナトリウムの混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
コンドロイチン硫酸またはその薬理学的に許容される塩の濃度が、組成物あたり0.1〜5.3重量%であり、ヒアルロン酸ナトリウム濃度が組成物あたり0.1〜4.2重量%であることを特徴とする請求項3に記載の使用。
【請求項5】
組成物がコンドロイチン硫酸またはその薬理学的に許容される塩約4重量部とヒアルロン酸ナトリウム約3重量部とからなるコンドロイチン硫酸またはその薬理学的に許容される塩とヒアルロン酸ナトリウムとの混合物であり、滅菌された非発熱性の粘弾性溶液であることを特徴とする請求項4に記載の使用。
【請求項6】
コンドロイチン硫酸またはその薬理学的に許容される塩の濃度が約40mg/mlであり、ヒアルロン酸ナトリウム濃度が約30mg/mlであることを特徴とする請求項5に記載の使用。
【請求項7】
コンドロイチン硫酸またはその薬理学的に許容される塩の分子量が20,000〜50,000ダルトンであり、ヒアルロン酸ナトリウムの分子量が500,000〜1,000,000ダルトンであり、該組成物が20,000〜60,000cpsの粘度を有することを特徴とする請求項6に記載の使用。
【請求項8】
罹患関節投与用であって、粘弾性組成物を0.5〜1.5cmの用量とすることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項9】
粘弾性組成物2〜6用量を1〜3ケ月間、投与することを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項10】
粘弾性組成物の2〜4用量を10〜20日間の間隔で投与することを特徴とする請求項9に記載の使用。
【請求項11】
粘弾性組成物の3用量を15日間の間隔で投与することを特徴とする請求項10に記載の使用。
【請求項12】
関節がi) 膝、肩および仙腸骨、ii) 股大腿骨、踝および肘並びにiii) 指節間および手首から選ばれるグループから選択されるヒト関節であることを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項13】
粘弾性組成物の膝、肩または仙腸骨の関節に対する各用量が該組成物の1.5cmであることを特徴とする請求項12に記載の使用。
【請求項14】
粘弾性組成物の股大腿骨、踝または肘の関節に対する各用量が該組成物の0.75cmであることを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項15】
粘弾性組成物の指節間または手首の関節に対する各用量が該組成物の0.5cmであることを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項16】
骨軟化症および/または骨関節症の関節内治療のための製品の製造における、約0.1〜50重量%のコンドロイチン硫酸またはその薬理学的に許容される塩および約0.1〜50重量%のヒアルロン酸ナトリウムの混合物の安定な、粘性の、緩衝化された水溶液の使用。
【請求項17】
溶液が約7.0〜8.0のpHに維持されることを特徴とする請求項16に記載の使用。
【請求項18】
溶液が約300〜約350mOsmol/kgのモル浸透圧濃度を有することを特徴とする請求項16または請求項17に記載の使用。
【請求項19】
疾患の進行中および軟骨の成育中の関節内への点滴注入用であって、軟骨疾患または外傷に特徴づけられる哺乳動物の関節における軟骨修復または再生用製品を製造するための、コンドロイチン硫酸およびヒアルロン酸または薬理学的に許容されるそれらの塩の混合物の使用。
【請求項20】
軟骨疾患または外傷に特徴がある哺乳動物の関節における軟骨の修復または再生をさせる製品の製造のための、コンドロイチン硫酸またはその薬理学的に許容される塩およびヒアルロン酸ナトリウムまたはそれらの薬理学的に許容される塩の混合物の使用。
【請求項21】
コンドロイチン硫酸およびヒアルロン酸またはそれらの薬理学的に許容される塩の混合物の治療的に有効量からなることを特徴とする、疾患の進行中および軟骨の成育中の関節内投与用であって、関節軟骨の変性を示す関節の治療用粘性組成物。
【請求項22】
関節がヒト患者のものであり、軟骨の変性が骨軟化症または病期Iまたは病期IIの骨関節症に起因することを特徴とする請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
組成物が0.1〜50重量%濃度のコンドロイチン硫酸またはその薬理学的に許容される塩および0.1〜50重量%濃度のヒアルロン酸ナトリウムの混合物であることを特徴とする請求項21または22に記載の組成物。
【請求項24】
コンドロイチン硫酸またはその薬理学的に許容される塩の濃度が、組成物あたり0.1〜5.3重量%であり、ヒアルロン酸ナトリウム濃度が組成物あたり0.1〜4.2重量%であることを特徴とする請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
組成物がコンドロイチン硫酸またはその薬理学的に許容される塩約4重量部とヒアルロン酸ナトリウム約3重量部とからなるコンドロイチン硫酸またはその薬理学的に許容される塩とヒアルロン酸ナトリウムとの混合物であり、滅菌された非発熱性の粘弾性溶液であることを特徴とする請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
コンドロイチン硫酸またはその薬理学的に許容される塩の濃度が約40mg/mlであり、ヒアルロン酸ナトリウム濃度が約30mg/mlであることを特徴とする請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
コンドロイチン硫酸またはその薬理学的に許容される塩の分子量が20,000〜50,000ダルトンであり、ヒアルロン酸ナトリウムの分子量が500,000〜1,000,000ダルトンであり、該組成物が20,000〜60,000cpsの粘度を有することを特徴とする請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
罹患関節投与用であって、粘弾性組成物を0.5〜1.5cmの用量とすることを特徴とする請求項21に記載の組成物。
【請求項29】
粘弾性組成物2〜6用量を1〜3ケ月間、投与することを特徴とする請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
粘弾性組成物の2〜4用量を10〜20日間の間隔で投与することを特徴とする請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
粘弾性組成物の3用量を15日間の間隔で投与することを特徴とする請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
関節がi) 膝、肩および仙腸骨、ii) 股大腿骨、踝および肘並びにiii) 指節間および手首から選ばれるグループから選択されるヒト関節であることを特徴とする請求項28に記載の組成物。
【請求項33】
粘弾性組成物の膝、肩または仙腸骨の関節に対する各用量が該組成物の1.5cmであることを特徴とする請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
粘弾性組成物の股大腿骨、踝または肘の関節に対する各用量が該組成物の0.75cmであることを特徴とする請求項28に記載の組成物。
【請求項35】
粘弾性組成物の指節間または手首の関節に対する各用量が該組成物の0.5cmであることを特徴とする請求項28に記載の組成物。
【請求項36】
コンドロイチン硫酸およびヒアルロン酸または薬理学的に許容されるそれらの塩の混合物であることを特徴とする、疾患の進行中および軟骨の成育中の関節内への点滴注入用であって、軟骨疾患または外傷に特徴づけられる哺乳動物の関節における軟骨の修復または再生用混合物。

【公開番号】特開2011−105741(P2011−105741A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13921(P2011−13921)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【分割の表示】特願2003−543611(P2003−543611)の分割
【原出願日】平成14年11月13日(2002.11.13)
【出願人】(501449322)アルコン,インコーポレイティド (140)
【Fターム(参考)】