高さ可変型昇降式階段装置
【課題】高さが変化する昇降床に対応して、高さを容易に変えることができるようにするとともに構造を簡略化した高さ可変型昇降式階段装置を提供する。
【解決手段】互いに連結された複数の踏み面ブロック(11)と、垂設されて各踏み面ブロック(11)をガイドする複数のガイドレール(30)とを有する高さ可変型昇降式階段装置において、前記各踏み面ブロック(11)は互いを連結する連結手段(20)及び踏み面(12)と、該踏み面(12)の側部に固設されガイドレール(30)によりガイドされる側板(13)を有し、最上段の踏み面ブロック(11)を昇降手段により上昇することによりそれに続く踏み面ブロック(11)が上昇され、上昇された各踏み面ブロック(11)間のけ上げ高さ(H)が一定である。
【解決手段】互いに連結された複数の踏み面ブロック(11)と、垂設されて各踏み面ブロック(11)をガイドする複数のガイドレール(30)とを有する高さ可変型昇降式階段装置において、前記各踏み面ブロック(11)は互いを連結する連結手段(20)及び踏み面(12)と、該踏み面(12)の側部に固設されガイドレール(30)によりガイドされる側板(13)を有し、最上段の踏み面ブロック(11)を昇降手段により上昇することによりそれに続く踏み面ブロック(11)が上昇され、上昇された各踏み面ブロック(11)間のけ上げ高さ(H)が一定である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降するステージに適用される高さ可変型昇降式階段装置に関し、特に、工場や劇場等の昇降床にアクセスする昇降ステージに適用されて高さを任意に可変することができる高さ可変型昇降式階段装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例えば工場において大型の機械部品を整備するために、機械部品の周囲を昇降する作業床上に作業員が乗り、作業床の高さを調節しながら機械を補修する等の整備に当たっていた。このような場合、任意の高さにある作業床に作業員が乗り降りするために作業床の高さに応じた階段が必要とされていた。
【0003】
上記必要に応じた従来の高さ可変型階段の一例を図11(a)、(b)により説明する。図11(a)、(b)に示される高さ可変型階段は、複数の踏み面50を有し、これらの踏み面50の前後左右の隅部は、その前後左右に配設された4本の揺動支柱51に軸支されている。支柱51の上端には板状の踊り場52即ちステージが軸支されている。床面上に配設されたスライドガイド53に支柱51の下端に設けられたローラ54が水平に移動可能に支持されている。
図11(a)のようにステージ52が所定の高さに上昇されると、踏み面51が階段状となり人が複数の踏み面50を踏みながらステージ52に到達し、所望の作業をすることができる。ステージ52が最下位置まで下降すると階段は図11(b)に示されるように略水平状態となり、踏み面50の床側一端がステージ52から離れる方向にスライドし通路となる。
【0004】
上記従来の高さ可変型階段では、ステージ52の高さを変えることにより、階段の高さや傾斜角度が変化し、高さの変化に伴いけ上げ高さ、即ち隣接する踏み面の高度差が変化する。ステージが下の方にある時は傾斜角度が浅くなり階段といえるほどのけ上げがなく、通路としては各踏み面50が面一とならず、凹凸した状態となり危険である。またステージが高くなっていくにつれて各踏み面50の重なり量が多くなって利用踏み面が狭くなり上り下りがし難い問題がある。
【0005】
その他の昇降階段として車椅子等の乗り物が昇降可能な昇降階段機構が提案されている(特許文献1)。この昇降階段機構はガイドレールに摺動自在に設けた水平載置台と隣接する踏段相互を上下動自在に連結して中間部の複数の踏段を水平載置台へ載置させて平坦な踊り場部に形成する階段とを有するものであり、車椅子の利用者には有効であるが、昇降階段の規模が大型であり又構造が複雑である。
また、階段の各段が上下に昇降自在とされ各段がすべて上昇した状態で各段の踏み板が上階の床と面一となり、上階の床板側の踏み板が上階から下がるようにした階段が提案されている(特許文献2)。この階段は、身体の不自由な人の場合に有効であるが、各段の踏み板に対して昇降装置としてシリンダ装置を必要とし、構造が複雑でその制御装置も必要となる。
【特許文献1】特開2001−122573号公報
【特許文献2】特開2004−26404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたもので、昇降手段により高さが変化される昇降床に対応して、高さを容易に変えることができるようにするとともに構造を簡略化した高さ可変型昇降式階段装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による高さ可変型昇降式階段装置は、互いに連結された複数の踏み面ブロック11と、垂設されて各踏み面ブロック11をガイドする複数のガイドレール30とを有する高さ可変型昇降式階段装置において、前記各踏み面ブロック11は互いを連結する連結手段20及び踏み面12と、該踏み面12の側部に固設されガイドレール30によりガイドされる側板13を有し、最上段の踏み面ブロック11を昇降手段により上昇することによりそれに続く踏み面ブロック11が上昇され、上昇された各踏み面ブロック11間のけ上げ高さHが一定である。
【0008】
また本発明によれば、最下位置にある各踏み面ブロック11の踏み面12は面一とされている。
【0009】
また本発明によれば、最上段の踏み面ブロック11はステージ40に連結され、該ステージ40は昇降手段により上下動される昇降床1に連結されている
【0010】
また本発明によれば、前記側板13はガイドレール30に係合して踏み面ブロック11の傾倒を阻止する傾倒拘束ローラ31、32及び水平移動を阻止する水平拘束ローラ35、36を有し、前記連結手段20は一方の踏み面ブロック11に設けられた長孔21を有する板状の連結部材22と、他方の踏み面ブロック11に設けられ前記長孔21に係合する連結ピン23とを具備する請求項1の高さ可変型昇降式階段装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば次の効果が奏される。
(a) 最上階の踏み面ブロックを動力手段で上下動し、他の踏み面ブロックを追従作動させて階段の高さを調節することができるので、動力手段を1個とすることができる。
(b) 階段の高さ調節に拘わらず階段の水平投影面積は一定であり、その設置面積を最小化することができる。
(c) 階段の高さ調節に拘わらず各段のけ上げ高さが一定であり階段の上り下りが楽であり且つ安全である。
(d) 同一構造をした簡単な構造の踏み面ブロックを複数連結して階段を構成するので、階段全体の構造が簡単であるとともに製造容易である。
(e) 階段の高さを最下位即ち水平とした場合、各踏み面ブロックの踏み面は面一となりその上を円滑安全に歩行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1〜図3において、10は高さを任意に変えることができる高さ可変型昇降式階段装置を示し、該高さ可変型昇降式階段装置10は工場等で使用される昇降床1即ち作業用床に付設した例で示されている。
図1において左右及び奥側(図の紙面裏方向)に4本のスクリュウー2が支柱4に支持されて立設され、該スクリュウー2にナット3が螺合されている。各スクリュー2は、モータ5によりべベルギヤ6、伝動軸7を介して回動される。
【0014】
各ナット3に設けられた支持部材8は昇降床1の4隅下面を支持している。モータ5の回転に伴いスクリュー2が回転することにより、ナット3が上下動し、昇降床1は上下動される。本実施形態においてモータ5、スクリュー2、ナット3により昇降手段9が構成される。
【0015】
昇降床1に乗った作業員はモータ5、スクリュー2を適宜回転し昇降床1を昇降しながら適当な高さで機械部品Wを整備、修理等をする。
【0016】
前記高さ可変型昇降式階段装置10の具体的構成について図4〜図9により説明する。階段装置10は前後方向に連結された同一構造をした複数の踏み面ブロック11を有する。なお、本明細書において前後方向とは、階段を昇る方向に見ての前後方向をいう。
【0017】
各踏み面ブロック11は踏み面12を有し、その両側に側板13が固設されている。該側板13は上部分14とそれから垂下する中間部分15とその下端に形成された下部分16を有し、上部分14と中間部分15は側方から見て逆L字状を呈している。
【0018】
隣接する踏み面ブロック11は連結手段20により互いに連結されている。該連結手段20は、中間部分15に固設され垂直方向の長孔21を有する板状の連結部材22と、上部分14に設けられ前記長孔21に係合する連結ピン23により構成される。
【0019】
複数の踏み面ブロック11を前後左右に傾斜することなくガイドするため複数の柱状のガイドレール30が垂直方向に設けられている。即ち側板13の上部分14の後部及び下部分16の前部にそれぞれ傾倒拘束ローラ31、32が設けられている。傾倒拘束ローラ31はガイドレール30の前面33に係合し、傾倒拘束ローラ32はガイドレール30の後面34に係合しており、斯かる構成により踏み面ブロック11は、ガイドレール30により傾倒を拘束されながら垂直方向に上下動することができる。
【0020】
また側板13の上部分14と下部分16には踏み面ブロック11の水平方向の移動を拘束する水平拘束ローラ35、36が設けられており、該ローラ35、36はガイドレール30の左右対向面37、38に係合している。
【0021】
なお、傾倒拘束ローラ31、32及び水平拘束ローラ35、36はその取り付け位置を図示例に限定されず、その機能を維持しながら取り付け位置を変更してもよい。また図示のように傾倒拘束ローラ31、32の回転軸は左右方向を向き、水平拘束ローラ35、36の回転軸は前後方向を向いている。
【0022】
図4、図5に示すように、前方の踏み面ブロック11が所定距離上昇すると、その下部分16の後部上面が後方の踏み面ブロック11の上部分14の前部下面に係合して、後続の踏み面ブロック11を引き上げられる。そして前方及び後方の踏み面ブロック11の各踏み面12、12の間の距離が所定のけ上げ高さHとなる。
【0023】
最上段の踏み面ブロック11にステージ40が連結され、踊り場即ちステージ40は図3に示すように昇降床1に連結されている。従って、昇降手段9により昇降床1が上下動されるとそれに伴いステージ40、踏み面ブロック11は昇降される。ステージ40は図1に示されるように昇降床1の側部に配設されているが、昇降床1の前部又は後部に配設してもよい。
【0024】
床面F(図1、図2参照)上に踏み面ブロック11を載置する載置部材41が配設され、該載置部材41の上面は水平面を形成する。また各踏み面ブロック11の左右側部には手すり42が設けられている。なお、載置部材41はガイドレール30に固定してもよい。
【0025】
昇降式階段10への乗り降りを容易にするために、最下段踏み面ブロック11の手前に小踊り場43、固定階段44が設けられ、これらの小踊り場43、固定階段44に手すり45、46が付設されている。
【0026】
以上のような本発明の1実施形態に係る昇降式階段装置の作用について説明する。
【0027】
昇降床1が最下位置にある場合は、それに追随して全ての踏み面ブロック11も最下位置をとり、図10に示すように、載置部材41に載置される。この場合各踏み面ブロック11の踏み面12は平らな面一状態となっている。
【0028】
昇降床1を上昇すると、それに追随してステージ40、最上段の踏み面ブロック11から順次上昇される。図4に最上段の踏み面ブロック11から3番目までの踏み面ブロック11が上昇されているが、この場合中間高さの昇降床1で作業員は機械Wの整備を行うことができる。このように、最上段の踏み面ブロック11が中間高さの状態でも、各隣接する踏み面ブロック11の間のけ上げ高さHは一定であり階段の上り下りが安全円滑に行うことができる。また、図4に示される右から1番目と2番目に示される踏み面ブロック11の踏み面12の上面は面一で平らとなっていて凹凸がなく、安全円滑に歩行することができる。
【0029】
最上段の踏み面ブロック11を図4の状態からさらに上昇させ図4の最右端の踏み面ブロック11をけ上げ高さH分上昇させると、階段装置10は図1、2に示す最高高さとなり、最高高さの昇降床1での作業が可能となる。この場合、最右端の踏み面ブロック11はフリーになっているが、必要に応じて図示しない係止手段により載置部材41に係止されて上昇を拘束されるようにしてもよい。上記と逆の操作をすることにより階段装置10を低くし図10の状態とすることができ、最下位置の各踏み面ブロック11の踏み面12は平らな面一状態となる。
【0030】
なお、図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記載ではない旨を付記する。
例えば昇降手段をスクリュー・ナットの例で説明したが、エアシリンダや油圧シリンダ等の公知の昇降手段を用いても良く、またステージは昇降床である作業床と一体的に構成されているが、ステージは昇降床から分離して単独に移動自在としてもよく、その場合は独自の単一の昇降手段により昇降させるようにしてもよい。また、傾倒拘束ローラは水平拘束ローラは摺動部材に変えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る高さ可変型昇降式階段装置の1実施形態を示す正面図。
【図2】図1の可変型昇降式階段装置左側から見た側面図。
【図3】図1の昇降手段及びステージ部を示す図。
【図4】踏み面ブロックの上昇過程の説明図。
【図5】踏み面ブロックの詳細側面図。
【図6】踏み面ブロックとガイドレールの関係を示す図。
【図7】踏み面ブロックと手すり単体を示す側面図。
【図8】踏み面ブロックとガイドレールの平面図。
【図9】踏み面ブロックと手すりの正面図。
【図10】全ての踏み面ブロックが最下位置にある階段装置の側面図。
【図11】(a)は従来の昇降式階段の上昇した状態を示す図、(b)は従来の昇降式階段の下降した状態を示す図。
【符号の説明】
【0032】
1・・・昇降床
2・・・スクリュー
3・・・ナット
10・・・昇降式階段装置
11・・・踏み面ブロック
12・・・踏み面
13・・・側板
20・・・連結手段
21・・・長孔
22・・・連結ピン
30・・・ガイドレール
31、32・・・傾倒拘束ローラ
35、36・・・水平拘束ローラ
42・・・手すり
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降するステージに適用される高さ可変型昇降式階段装置に関し、特に、工場や劇場等の昇降床にアクセスする昇降ステージに適用されて高さを任意に可変することができる高さ可変型昇降式階段装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例えば工場において大型の機械部品を整備するために、機械部品の周囲を昇降する作業床上に作業員が乗り、作業床の高さを調節しながら機械を補修する等の整備に当たっていた。このような場合、任意の高さにある作業床に作業員が乗り降りするために作業床の高さに応じた階段が必要とされていた。
【0003】
上記必要に応じた従来の高さ可変型階段の一例を図11(a)、(b)により説明する。図11(a)、(b)に示される高さ可変型階段は、複数の踏み面50を有し、これらの踏み面50の前後左右の隅部は、その前後左右に配設された4本の揺動支柱51に軸支されている。支柱51の上端には板状の踊り場52即ちステージが軸支されている。床面上に配設されたスライドガイド53に支柱51の下端に設けられたローラ54が水平に移動可能に支持されている。
図11(a)のようにステージ52が所定の高さに上昇されると、踏み面51が階段状となり人が複数の踏み面50を踏みながらステージ52に到達し、所望の作業をすることができる。ステージ52が最下位置まで下降すると階段は図11(b)に示されるように略水平状態となり、踏み面50の床側一端がステージ52から離れる方向にスライドし通路となる。
【0004】
上記従来の高さ可変型階段では、ステージ52の高さを変えることにより、階段の高さや傾斜角度が変化し、高さの変化に伴いけ上げ高さ、即ち隣接する踏み面の高度差が変化する。ステージが下の方にある時は傾斜角度が浅くなり階段といえるほどのけ上げがなく、通路としては各踏み面50が面一とならず、凹凸した状態となり危険である。またステージが高くなっていくにつれて各踏み面50の重なり量が多くなって利用踏み面が狭くなり上り下りがし難い問題がある。
【0005】
その他の昇降階段として車椅子等の乗り物が昇降可能な昇降階段機構が提案されている(特許文献1)。この昇降階段機構はガイドレールに摺動自在に設けた水平載置台と隣接する踏段相互を上下動自在に連結して中間部の複数の踏段を水平載置台へ載置させて平坦な踊り場部に形成する階段とを有するものであり、車椅子の利用者には有効であるが、昇降階段の規模が大型であり又構造が複雑である。
また、階段の各段が上下に昇降自在とされ各段がすべて上昇した状態で各段の踏み板が上階の床と面一となり、上階の床板側の踏み板が上階から下がるようにした階段が提案されている(特許文献2)。この階段は、身体の不自由な人の場合に有効であるが、各段の踏み板に対して昇降装置としてシリンダ装置を必要とし、構造が複雑でその制御装置も必要となる。
【特許文献1】特開2001−122573号公報
【特許文献2】特開2004−26404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたもので、昇降手段により高さが変化される昇降床に対応して、高さを容易に変えることができるようにするとともに構造を簡略化した高さ可変型昇降式階段装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による高さ可変型昇降式階段装置は、互いに連結された複数の踏み面ブロック11と、垂設されて各踏み面ブロック11をガイドする複数のガイドレール30とを有する高さ可変型昇降式階段装置において、前記各踏み面ブロック11は互いを連結する連結手段20及び踏み面12と、該踏み面12の側部に固設されガイドレール30によりガイドされる側板13を有し、最上段の踏み面ブロック11を昇降手段により上昇することによりそれに続く踏み面ブロック11が上昇され、上昇された各踏み面ブロック11間のけ上げ高さHが一定である。
【0008】
また本発明によれば、最下位置にある各踏み面ブロック11の踏み面12は面一とされている。
【0009】
また本発明によれば、最上段の踏み面ブロック11はステージ40に連結され、該ステージ40は昇降手段により上下動される昇降床1に連結されている
【0010】
また本発明によれば、前記側板13はガイドレール30に係合して踏み面ブロック11の傾倒を阻止する傾倒拘束ローラ31、32及び水平移動を阻止する水平拘束ローラ35、36を有し、前記連結手段20は一方の踏み面ブロック11に設けられた長孔21を有する板状の連結部材22と、他方の踏み面ブロック11に設けられ前記長孔21に係合する連結ピン23とを具備する請求項1の高さ可変型昇降式階段装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば次の効果が奏される。
(a) 最上階の踏み面ブロックを動力手段で上下動し、他の踏み面ブロックを追従作動させて階段の高さを調節することができるので、動力手段を1個とすることができる。
(b) 階段の高さ調節に拘わらず階段の水平投影面積は一定であり、その設置面積を最小化することができる。
(c) 階段の高さ調節に拘わらず各段のけ上げ高さが一定であり階段の上り下りが楽であり且つ安全である。
(d) 同一構造をした簡単な構造の踏み面ブロックを複数連結して階段を構成するので、階段全体の構造が簡単であるとともに製造容易である。
(e) 階段の高さを最下位即ち水平とした場合、各踏み面ブロックの踏み面は面一となりその上を円滑安全に歩行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1〜図3において、10は高さを任意に変えることができる高さ可変型昇降式階段装置を示し、該高さ可変型昇降式階段装置10は工場等で使用される昇降床1即ち作業用床に付設した例で示されている。
図1において左右及び奥側(図の紙面裏方向)に4本のスクリュウー2が支柱4に支持されて立設され、該スクリュウー2にナット3が螺合されている。各スクリュー2は、モータ5によりべベルギヤ6、伝動軸7を介して回動される。
【0014】
各ナット3に設けられた支持部材8は昇降床1の4隅下面を支持している。モータ5の回転に伴いスクリュー2が回転することにより、ナット3が上下動し、昇降床1は上下動される。本実施形態においてモータ5、スクリュー2、ナット3により昇降手段9が構成される。
【0015】
昇降床1に乗った作業員はモータ5、スクリュー2を適宜回転し昇降床1を昇降しながら適当な高さで機械部品Wを整備、修理等をする。
【0016】
前記高さ可変型昇降式階段装置10の具体的構成について図4〜図9により説明する。階段装置10は前後方向に連結された同一構造をした複数の踏み面ブロック11を有する。なお、本明細書において前後方向とは、階段を昇る方向に見ての前後方向をいう。
【0017】
各踏み面ブロック11は踏み面12を有し、その両側に側板13が固設されている。該側板13は上部分14とそれから垂下する中間部分15とその下端に形成された下部分16を有し、上部分14と中間部分15は側方から見て逆L字状を呈している。
【0018】
隣接する踏み面ブロック11は連結手段20により互いに連結されている。該連結手段20は、中間部分15に固設され垂直方向の長孔21を有する板状の連結部材22と、上部分14に設けられ前記長孔21に係合する連結ピン23により構成される。
【0019】
複数の踏み面ブロック11を前後左右に傾斜することなくガイドするため複数の柱状のガイドレール30が垂直方向に設けられている。即ち側板13の上部分14の後部及び下部分16の前部にそれぞれ傾倒拘束ローラ31、32が設けられている。傾倒拘束ローラ31はガイドレール30の前面33に係合し、傾倒拘束ローラ32はガイドレール30の後面34に係合しており、斯かる構成により踏み面ブロック11は、ガイドレール30により傾倒を拘束されながら垂直方向に上下動することができる。
【0020】
また側板13の上部分14と下部分16には踏み面ブロック11の水平方向の移動を拘束する水平拘束ローラ35、36が設けられており、該ローラ35、36はガイドレール30の左右対向面37、38に係合している。
【0021】
なお、傾倒拘束ローラ31、32及び水平拘束ローラ35、36はその取り付け位置を図示例に限定されず、その機能を維持しながら取り付け位置を変更してもよい。また図示のように傾倒拘束ローラ31、32の回転軸は左右方向を向き、水平拘束ローラ35、36の回転軸は前後方向を向いている。
【0022】
図4、図5に示すように、前方の踏み面ブロック11が所定距離上昇すると、その下部分16の後部上面が後方の踏み面ブロック11の上部分14の前部下面に係合して、後続の踏み面ブロック11を引き上げられる。そして前方及び後方の踏み面ブロック11の各踏み面12、12の間の距離が所定のけ上げ高さHとなる。
【0023】
最上段の踏み面ブロック11にステージ40が連結され、踊り場即ちステージ40は図3に示すように昇降床1に連結されている。従って、昇降手段9により昇降床1が上下動されるとそれに伴いステージ40、踏み面ブロック11は昇降される。ステージ40は図1に示されるように昇降床1の側部に配設されているが、昇降床1の前部又は後部に配設してもよい。
【0024】
床面F(図1、図2参照)上に踏み面ブロック11を載置する載置部材41が配設され、該載置部材41の上面は水平面を形成する。また各踏み面ブロック11の左右側部には手すり42が設けられている。なお、載置部材41はガイドレール30に固定してもよい。
【0025】
昇降式階段10への乗り降りを容易にするために、最下段踏み面ブロック11の手前に小踊り場43、固定階段44が設けられ、これらの小踊り場43、固定階段44に手すり45、46が付設されている。
【0026】
以上のような本発明の1実施形態に係る昇降式階段装置の作用について説明する。
【0027】
昇降床1が最下位置にある場合は、それに追随して全ての踏み面ブロック11も最下位置をとり、図10に示すように、載置部材41に載置される。この場合各踏み面ブロック11の踏み面12は平らな面一状態となっている。
【0028】
昇降床1を上昇すると、それに追随してステージ40、最上段の踏み面ブロック11から順次上昇される。図4に最上段の踏み面ブロック11から3番目までの踏み面ブロック11が上昇されているが、この場合中間高さの昇降床1で作業員は機械Wの整備を行うことができる。このように、最上段の踏み面ブロック11が中間高さの状態でも、各隣接する踏み面ブロック11の間のけ上げ高さHは一定であり階段の上り下りが安全円滑に行うことができる。また、図4に示される右から1番目と2番目に示される踏み面ブロック11の踏み面12の上面は面一で平らとなっていて凹凸がなく、安全円滑に歩行することができる。
【0029】
最上段の踏み面ブロック11を図4の状態からさらに上昇させ図4の最右端の踏み面ブロック11をけ上げ高さH分上昇させると、階段装置10は図1、2に示す最高高さとなり、最高高さの昇降床1での作業が可能となる。この場合、最右端の踏み面ブロック11はフリーになっているが、必要に応じて図示しない係止手段により載置部材41に係止されて上昇を拘束されるようにしてもよい。上記と逆の操作をすることにより階段装置10を低くし図10の状態とすることができ、最下位置の各踏み面ブロック11の踏み面12は平らな面一状態となる。
【0030】
なお、図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記載ではない旨を付記する。
例えば昇降手段をスクリュー・ナットの例で説明したが、エアシリンダや油圧シリンダ等の公知の昇降手段を用いても良く、またステージは昇降床である作業床と一体的に構成されているが、ステージは昇降床から分離して単独に移動自在としてもよく、その場合は独自の単一の昇降手段により昇降させるようにしてもよい。また、傾倒拘束ローラは水平拘束ローラは摺動部材に変えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る高さ可変型昇降式階段装置の1実施形態を示す正面図。
【図2】図1の可変型昇降式階段装置左側から見た側面図。
【図3】図1の昇降手段及びステージ部を示す図。
【図4】踏み面ブロックの上昇過程の説明図。
【図5】踏み面ブロックの詳細側面図。
【図6】踏み面ブロックとガイドレールの関係を示す図。
【図7】踏み面ブロックと手すり単体を示す側面図。
【図8】踏み面ブロックとガイドレールの平面図。
【図9】踏み面ブロックと手すりの正面図。
【図10】全ての踏み面ブロックが最下位置にある階段装置の側面図。
【図11】(a)は従来の昇降式階段の上昇した状態を示す図、(b)は従来の昇降式階段の下降した状態を示す図。
【符号の説明】
【0032】
1・・・昇降床
2・・・スクリュー
3・・・ナット
10・・・昇降式階段装置
11・・・踏み面ブロック
12・・・踏み面
13・・・側板
20・・・連結手段
21・・・長孔
22・・・連結ピン
30・・・ガイドレール
31、32・・・傾倒拘束ローラ
35、36・・・水平拘束ローラ
42・・・手すり
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連結された複数の踏み面ブロックと、垂設されて各踏み面ブロックをガイドする複数のガイドレールとを有する高さ可変型昇降式階段装置において、前記各踏み面ブロックは互いを連結する連結手段及び踏み面と、該踏み面の側部に固設されガイドレールによりガイドされる側板を有し、最上段の踏み面ブロックを昇降手段により上昇することによりそれに続く踏み面ブロックが上昇され、上昇された各踏み面ブロック間のけ上げ高さが一定であることを特徴とする高さ可変型昇降式階段装置。
【請求項2】
最下位置にある各踏み面ブロックの踏み面は面一とされている請求項1の高さ可変型昇降式階段装置。
【請求項3】
最上段の踏み面ブロックはステージに連結され、該ステージは昇降手段により上下動される昇降床に連結されている請求項1の高さ可変型昇降式階段装置。
【請求項4】
前記側板はガイドレールに係合して踏み面ブロックの傾倒を阻止する傾倒拘束ローラ及び水平移動を阻止する水平拘束ローラを有し、前記連結手段は一方の踏み面ブロックに設けられた長孔を有する板状の連結部材と、他方の踏み面ブロックに設けられ前記長孔に係合する連結ピンとを具備する請求項1の高さ可変型昇降式階段装置。
【請求項1】
互いに連結された複数の踏み面ブロックと、垂設されて各踏み面ブロックをガイドする複数のガイドレールとを有する高さ可変型昇降式階段装置において、前記各踏み面ブロックは互いを連結する連結手段及び踏み面と、該踏み面の側部に固設されガイドレールによりガイドされる側板を有し、最上段の踏み面ブロックを昇降手段により上昇することによりそれに続く踏み面ブロックが上昇され、上昇された各踏み面ブロック間のけ上げ高さが一定であることを特徴とする高さ可変型昇降式階段装置。
【請求項2】
最下位置にある各踏み面ブロックの踏み面は面一とされている請求項1の高さ可変型昇降式階段装置。
【請求項3】
最上段の踏み面ブロックはステージに連結され、該ステージは昇降手段により上下動される昇降床に連結されている請求項1の高さ可変型昇降式階段装置。
【請求項4】
前記側板はガイドレールに係合して踏み面ブロックの傾倒を阻止する傾倒拘束ローラ及び水平移動を阻止する水平拘束ローラを有し、前記連結手段は一方の踏み面ブロックに設けられた長孔を有する板状の連結部材と、他方の踏み面ブロックに設けられ前記長孔に係合する連結ピンとを具備する請求項1の高さ可変型昇降式階段装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−37825(P2010−37825A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202553(P2008−202553)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000159272)吉永機械株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000159272)吉永機械株式会社 (6)
【Fターム(参考)】
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