説明

高さ調整機能付マンホール

【課題】蓋体の高さ調整時の作業コストが低く、蓋体の高さ調整の作業性が高く、作業時間も短縮可能な高さ調整機能付マンホールを提供する。
【解決手段】高さ調整機能付マンホール10の本体部分を、互いに螺合される外管12と内管14とにより構成し、外管12、内管14および蓋体15を外方から抜き差し自在な連結棒25により連結したので、従来のように蓋体の高さ調整時に複数の平板リングを用意する必要がなく、蓋体15の高さ調整の作業コストが安価となる。しかも、外管12に対して内管14をねじ込んだり緩める簡単な作業でこの高さ調整ができる。よって、高さ調整の作業性が良く、作業時間も短縮できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は高さ調整機能付マンホール、詳しくは例えば道路の再舗装時に、地面とマンホールの蓋体との高さとが一致しなくなったとき、両者の高さを簡単に調整可能な高さ調整機能付マンホールに関する。
【背景技術】
【0002】
道路の再舗装工事において、工事後、地面とマンホールの蓋体との高さ(具体的には蓋体の上面の高さ)とが一致しなくなり、両者の間に段差が生じることがある。
それを解消するため、従前では蓋体の周辺の段差部分に速乾性のモルタルなどを充填し、これを地面の高さと蓋体の高さとが揃うようにテーパ形状に補修する方法が知られている。
しかしながら、この方法では作業に熟練を要する。そこで、これを解消する従来技術として、例えば特許文献1が知られている。これは、マンホールの斜壁管の上に勾配調整リングとTリングと平板リングとを順に積層し、平板リング上に蓋受枠を載置して固定した構造であって、Tリングの下面に突設されたリング突条を勾配調整リングの上縁内周面に設けられた凹リング溝に嵌入し、モルタルを使用せず、Tリングと複数の平板リングとによって蓋受枠の高さを調整するようにしたものである。
【0003】
【特許文献1】特開平9−53245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は、このように内周縁下面に突リブを有するTリングと厚さが異なる複数の平板リングを用意し、Tリングと平板リングとを組み合わせることで蓋受枠の高さを調整するようにしたものであった。
そのため、マンホールの蓋体の高さを調整する際には、平板リングを複数個準備する必要があった。これにより、蓋体の高さ調整の作業コストが高くなっていた。
また、この高さ調整時は、使用枚数を変えた平板リングとTリングとの組み合わを何度も変更することになる。その結果、高さ調整の作業性が悪く、作業者に長時間の重労働を強いていた。
【0005】
この発明は、蓋体の高さ調整時の作業コストが低く、蓋体の高さ調整の作業性が高く、作業時間も短縮することができる高さ調整機能付マンホールを提供することを目的としている。
また、この発明は、外管と内管との螺合作業を、簡単かつ短時間で終わらせることができる高さ調整機能付マンホールを提供することを目的としている。
さらに、この発明は、内管と外管との隙間に土砂などが侵入し難い高さ調整機能付マンホールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、内周側に内ねじが形成され、土中に埋設される外管と、前記地面付近に上側開口部を配置し、かつ前記内ねじに螺合される外ねじが外周側に形成された内管と、前記内管の上側開口部を塞ぐ蓋体とを備えた高さ調整機能付マンホールであって、前記内ねじには、長さ方向が前記外管の管軸方向となった外管連結孔が1つまたは複数形成され、前記外ねじには、長さ方向が前記内管の管軸方向で、かつ前記内ねじとの螺合時に前記外管連結孔に連通可能な内管連結孔が1つまたは複数形成され、前記蓋体の外周部には、長さ方向が前記蓋体の厚さ方向で、かつ前記内管の上側開口部の閉蓋時に、前記内管連結孔および前記外管連結孔に連通可能な蓋体連結孔が1つまたは複数形成され、対応する前記蓋体連結孔、前記内管連結孔および前記外管連結孔に、一連に抜き差し可能に挿入される1本または複数本の連結棒を有した高さ調整機能付マンホールである。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、地中に埋まる外管に螺合された内管を取り外し方向にねじると、地面に対する蓋体の位置が高くなる。これとは反対に、内管をねじ込み方向にねじると、地面に対する蓋体の位置が低くなる。こうして蓋体の高さ調整を行った後は、内管の内管連結孔と外管の外管連結孔とを合致させた状態にしておく。
その後、内管の上側開口部に蓋体を載置する。このとき、蓋体連結孔と内管連結孔とを合致させる。それから、互いに連通状態となった蓋体連結孔、内管連結孔および外管連結孔に、上方から連結棒を一連に差し込む。その結果、蓋体、内管および外管が着脱自在に連結される。
【0008】
このように、マンホールの本体部分を、外管とこれに螺合される内管とにより構成し、また蓋体、外管および内管を外方から抜き差し自在な連結棒により連結可能としたので、例えば従来では蓋体の高さ調整の作業に際し、予め平板リングを複数個準備しなければならなかったがその必要がない。これにより、蓋体の高さ調整時の作業コストが安価になる。しかも、外管に対して内管をねじ込んだり、そのねじ込みを緩めるという簡単な作業を行うだけで、蓋体の高さ位置を調整することができる。その結果、蓋体の高さ調整の作業性が高まり、作業時間も短縮することができる。
【0009】
外管および内管の素材は限定されない。例えば、各種のコンクリート、鋳鉄を含む各種の金属、各種の合成樹脂、各種のセラミックス、各種の木材でもよい。
外管および内管の大きさは、互いに螺合可能であれば限定されない。
内ねじは、外管の内周側の全域または一部に形成してもよい。また、外ねじは、内管の外周側の全域または一部に形成してもよい。
外管は、例えばその上側開口部を地表付近に配置して土中に埋設される。また、内管は、例えばその上側開口部を外管より地表に接近させて配置することができる。
蓋体の素材は限定されない。例えば鋳鉄を含む各種の金属を採用することができる。
蓋体の大きさ、形状は、内管の口径または内管形状に応じて適宜変更される。蓋体の厚さは限定されない。
【0010】
内管連結孔は、内ねじに1つだけ形成してもよいし、複数形成してもよい。
外管連結孔は、外ねじに1つだけ形成してもよいし、複数形成してもよい。
蓋体連結孔、内管連結孔および外管連結孔は、外管に螺合された内管に蓋体を装着したとき、マンホールの上方(内管の上側開口部より管軸方向の外側)から視て、これら3つの孔が一致するような位置に形成されていればよい。
蓋体連結孔、内管連結孔および外管連結孔は、同じ口径でもよいし、異なる口径でもよい。ただし、これらは連結棒をそれぞれ挿通可能な口径でなければならない。
【0011】
連結棒の素材は限定されない。例えば、ステンレス、鉄などでもよい。
連結棒の長さは、蓋体連結孔、内管連結孔および外管連結孔に、一連に挿通可能であればよい。
連結棒の使用本数は、挿通される蓋体連結孔、内管連結孔および外管連結孔の形成数に応じて変更される。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記外ねじには、前記内管の周方向に向かって所定間隔毎に、内ねじ挿通用切欠部と部分外ねじとが交互に形成され、前記内ねじには、前記外管の周方向に向かって所定間隔毎に、前記部分外ねじが挿通される外ねじ挿通用切欠部と、各内ねじ挿通用切欠部に遊挿される部分内ねじとが交互に形成された請求項1に記載の高さ調整機能付マンホールである。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、外管および内管の螺合時には、まず外管の直上に内管を配置し、各部分内ねじと、対応する内ねじ挿通用切欠部とを合致させるとともに、各部分外ねじと、対応する外ねじ挿通用切欠部とを合致させる。その後、この状態を保持したまま、内管を徐々に降ろす。これにより、外管に内管が挿入される。その後、内管を周方向に所定角度だけ回動させると、両管が両ねじにより螺合される。
このように、外ねじを内ねじ挿通用切欠部と部分外ねじとを有したもので構成し、かつ内ねじを外ねじ挿通用切欠部と部分内ねじとを有したもので構成したので、両管の螺合時、重い内管を、その軸線を中心にして何回も回しながら外管にねじ込む必要がない。これにより、外管と内管との螺合作業を、簡単かつ短時間で終了させることができる。
【0014】
部分内ねじおよび部分外ねじ(外ねじ挿通用切欠部および内ねじ挿通用切欠部も同じ)は、例えば、対応する外管または内管を、それらの周方向に向かって2つまたは3つ以上に等分割した長さを有するものとして形成してもよい。ただし、これには限定されず、例えば各部分外ねじおよび各部分内ねじを、対応する管の周方向の長さが個々に異なるものとしてもよい。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記内管のうち、前記外管の上縁から上方に突出した部分を外方から覆うカバーを有した請求項1に記載の高さ調整機能付マンホールである。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、内管のうち、外管の上縁から上方に突出した部分を外方からカバーにより覆うので、内管と外管との隙間に土砂などが侵入し難い。
【0017】
カバーの素材は限定されない。ただし、土中に長期間埋められても十分な耐蝕性および耐久性が得られる素材が好ましい。例えば、各種の合成樹脂(塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、ポリプロピレン、フッ素樹脂、シリコン樹脂など)、各種の金属(ステンレス、アルミニウムなど)を採用することができる。
カバーの形状は限定されない。内管のうち、外管の上縁から上方に突出した部分を、外方から覆える形状であればよい。例えば、シート形状(布帛を含む)でもよいし、板形状などでもよい。さらに、筒形状でもよいし、平坦形状でもよい。
カバーは、内管の周方向または長さ方向に分割してもよい。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、マンホールの本体部分を、外管とこれに螺合される内管とにより構成し、また蓋体、外管および内管を、外方から抜き差し自在な連結棒により連結する構造としたので、マンホールの蓋体の高さを調整する際に、従来のように平板リングを複数個準備する必要がなく、これにより蓋体の高さ調整の作業コストが安価となる。しかも、外管に対して内管をねじ込んだり、そのねじ込みを緩めるという簡単な作業で蓋体の高さ調整を行うことができるので、この高さ調整の作業性が良く、作業時間も短縮することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、外ねじを内ねじ挿通用切欠部および部分外ねじにより構成するとともに、内ねじを外ねじ挿通用切欠部および部分内ねじにより構成したので、両管の螺合時、重い内管を、その軸線を中心にして何回も回して外管にねじ込む必要がない。これにより、外管と内管との螺合作業を、簡単かつ短時間で終了させることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、内管のうち、外管の上縁から上方に突出した部分を外方からカバーにより覆うので、内管と外管との隙間に、土砂などが侵入することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施例を参照して説明する。
【実施例1】
【0022】
図1〜図3において、10はこの発明の実施例1に係る高さ調整機能付マンホールで、この高さ調整機能付マンホール10は、内周側に内ねじ11が形成され、かつ土中に埋設される外管12と、地面付近に上側開口部を配置し、かつ内ねじ11に螺合される外ねじ13が外周側に形成された内管14と、内管14の上側開口部を塞ぐ蓋体15とを備えたものである。
外管12および内管14は、鋳鉄またはコンクリートからそれぞれ製造されている。外管12と内管14との長さは略同じである。
外管12の長さ方向の中間部の外周側には、外管12の土中埋設時において、外管12にアンカー効果を付与するフランジ16が形成されている。フランジ16には、土壌に外管12をボルト止めする合計3つのボルト孔16aが、フランジ16の周方向に向かって120°毎に形成されている。各ボルト孔16aを介して、土中に3本のボルトを打ち込み、外管12を土壌にしっかりと固定することができる。
【0023】
また、内ねじ11の全域には、外管12の周方向に向かって60°毎に、後述する部分外ねじ18が挿通される外ねじ挿通用切欠部19と、部分内ねじ20とが、交互に1つずつ合計各3つ形成されている。各部分内ねじ20は、各管軸方向に一定ピッチで、上下7段に配置され、かつそれぞれが均一長さおよび均一形状を有した部分内ねじ片21により構成されている。なお、部分内ねじ片21の総数は7つに限定されない。各部分内ねじ片21の長さ方向の中間部には、内管連結孔21aが1つずつ配置されている。なお、各部分内ねじ片21と後述する各部分外ねじ片23とは、それぞれ螺旋配置されてもよいが、水平配置されてもよい。ここでは、各部分内ねじ片21と各部分外ねじ片23とが、水平配置されたものを例に説明する。
【0024】
内管14の上側の開口部には、蓋体15が載置されるフランジ14aが形成されている。フランジ14aにも、周方向に向かって120°毎に、前記内管連結孔21aが形成されている。ただし、蓋体15をフランジ14aより大径に形成すれば、フランジ14aに各内管連結孔21aを形成しなくても、後述する連結棒25を、蓋体15の蓋体連結孔15a、内管連結孔21aおよび外管連結孔23aに一連に挿通させることができる。
また、外ねじ13の全域には、内管14の周方向に向かって60°毎に、後述する部分内ねじ20が挿通される内ねじ挿通用切欠部22と、部分外ねじ18とが、交互に1つずつ合計各3つ形成されている。各部分外ねじ18は、各管軸方向に一定ピッチで、上下6段に配置され、かつそれぞれが均一長さおよび均一形状を有した部分外ねじ片23により構成されている。なお、部分外ねじ片23の総数は6つに限定されない。各部分外ねじ片23の長さ方向の中間部には、外管連結孔23aが1つずつ配置されている。
【0025】
蓋体15は鋳鉄製である。蓋体15の外周部には、長さ方向が蓋体15の厚さ方向で、かつ内管14の上側開口部の閉蓋時に、内管連結孔21aおよび外管連結孔23aに対して一連に連通される蓋体連結孔15aが、蓋体15の周方向に向かって120°間隔で合計3つ形成されている。
蓋体15の上側の中央部には、1対のハンドル収納部15bが互いに若干長さ離間して形成されている。各ハンドル収納部15bには、ハンドル24がそれぞれ出し入れ自在に格納されている。なお、ハンドル収納部15bおよびハンドル24は、蓋体15に1つだけ形成してもよい(図4)。蓋体15を内管14の上端から外すして高さ調整機能付マンホール10を開口する際には、各ハンドル収納部15bからハンドル24をそれぞれ上方に引き出し、これらの引き出し部分を握って蓋体15を持ち上げる。
対応する蓋体連結孔15a、内管連結孔21aおよび外管連結孔23aには、ステンレス製の連結棒25が、一連に抜き差し可能に挿入されている。これにより、蓋体15、内管14および外管12が互いに分離可能に一体化される。
【0026】
また、高さ調整機能付マンホール10には、内管14のうち、外管12の上縁から上方に突出した部分を外方から覆う合成樹脂製のカバー26が設けられている(図5)。カバー26は、高さ調整機能付マンホール10の周方向に向かって2等分された1対の部分カバー26aから構成されている。両部分カバー26aは、複数本の連結ねじにより、互いの突き合わせ端部同士が締結されている。このカバー26により、外管12と内管14との隙間に、土砂などが侵入し難くなる。
【0027】
次に、この発明の実施例1に係る高さ調整機能付マンホール10の施工方法を説明する。
外管12および内管14の螺合時には、まず内管14の上側開口部に蓋体15を載置し、蓋体連結孔15aと内管連結孔21aとを合致させ、この状態のまま外管12の直上に内管14を配置し、各部分内ねじ20と、対応する内ねじ挿通用切欠部22とを合致させるとともに、各部分外ねじ18と、対応する外ねじ挿通用切欠部19とを合致させる。その後、この状態を保持したまま、内管14を徐々に降ろす。これにより、外管12に内管14が挿入される。
【0028】
そして、蓋体15の上面の高さが地面の高さと略同じになったとき、内管14を周方向に向かって60°だけ回動させる。これにより、各部分外ねじ片23と各部分内ねじ片21とが掛止された状態で、内管14と外管12とが、外ねじ13と内ねじ11により螺合される。その後、内管14のうち、外管12の上縁から上方に突出した部分を外方から環状のカバー26を使用して覆う。これにより、内管14と外管12との隙間に土砂などの異物が侵入し難い。
【0029】
なお、内管14の上側開口部への蓋体15の載置は、この回動作業後に行ってもよい。ただし、その場合には、あらかじめ蓋体15の厚さを考慮して内管14の上端面の高さを決定する必要がある。このとき、3つの蓋体連結孔15aと、これらに対応する内管連結孔21aおよび外管連結孔23aは、平面視してそれぞれ互いに連通状態となっている。次に、各蓋体連結孔15aに連結棒25を上方から差し込む。これにより、連通した各構成孔(蓋体連結孔15a、内管連結孔21a、外管連結孔23a)に対して、一連に連結棒25が差し込まれる。その結果、蓋体15、内管14および外管12が着脱自在に連結され、高さ調整機能付マンホール10の高さ調整が終了する。
【0030】
なお、各部分外ねじ片23と各部分内ねじ片21とが、それぞれ螺旋配置された高さ調整機能付マンホール10の施工方法の場合には、地中に埋まる外管12に螺合された内管14を取り外し方向にねじる(回動させる)と、地面に対する蓋体15の位置が高くなる。これとは反対に、内管14をねじ込み方向にねじると、地面に対する蓋体15の位置が低くなる。こうして蓋体15の高さ調整を行った後は、内管14の内管連結孔21aと外管12の外管連結孔23aとを合致させた状態にしておく。このとき、蓋体連結孔15aと内管連結孔21aとを合致させる。それから、互いに連通状態となった蓋体連結孔15a、内管連結孔21aおよび外管連結孔23aに、上方から連結棒25を一連に差し込む。その結果、蓋体15、内管14および外管12が着脱自在に連結される。
【0031】
このように、高さ調整機能付マンホール10の本体部分を、外管12とこれに螺合される内管14とにより構成し、また蓋体15、外管12および内管14を外方から抜き差し自在な連結棒25により連結可能な構成としたので、例えば従来では蓋体の高さ調整の作業に際し、予め平板リングを複数個準備しなければならなかったものが、その必要がなくなる。その結果、蓋体15の高さ調整時の作業コストが安価になる。しかも、外管12に対して内管14をねじ込んだり、そのねじ込みを緩めるという簡単な作業を行うだけで、蓋体15の高さ位置を調整することができる。よって、蓋体15の高さ調整の作業性が高まり、作業時間も短縮される。
【0032】
また、実施例1では、このように外ねじ13として内ねじ挿通用切欠部22と部分外ねじ18とを有したものを採用し、かつ内ねじ11として外ねじ挿通用切欠部19と部分内ねじ20とを有したものを採用したので、両管12、14の螺合時、重い内管14を、その軸線を中心にして何回も回しながら外管12にねじ込む必要がない。これにより、外管12と内管14との螺合作業を、簡単かつ短時間で終了させることができる。
【0033】
なお、この発明の高さ調整機能付マンホールはこの実施例1に限らず、例えば、図9に示す高さ調整機能付マンホール10Aにも適用することができる。
高さ調整機能付マンホール10Aは、外管12の下端部に、土中に埋設された外管12のアンカー効果を高める下側フランジ12aが周設されている。フランジ14aには、その中心線を中心とした点対称位置に1対の棒端部挿通切欠部14bが形成されている(図6)。また、内管14の上端部のフランジ14aの外周部には、蓋体15の厚さで略同じ高さを有する環状縁部14cが設けられている。環状縁部14cの内径は、蓋体15の直径より若干大きい。また、フランジ14aの上側には、載置された蓋体15の振動および騒音を防ぐ環状のゴムパッキン29が設けられている。
【0034】
また、各ハンドル24の下側には、蓋体15から下方に突出する連結ピン27の元部がそれぞれ連結されている。両連結ピン27の下端部には、蓋体15を内管14の上側の開口部に掛止する蓋体開閉用の水平連結棒28の中間部がそれぞれ固定されている。水平連結棒28の長さは、両棒端部挿通切欠部14bを結ぶ長さより若干短い。また、水平連結棒28の直径は、棒端挿通用切欠部14bの幅より短い。
この構成により、高さ調整機能付マンホール10Aの蓋止め時には、水平連結棒25の両端部を、対応する棒端挿通用切欠部14bに挿入し、その後、蓋体15を周方向に90°回動させれば、内管14の上側の開口部が蓋止めされる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の実施例1に係る高さ調整機能付マンホールの正面図である。
【図2】この発明の実施例1に係る高さ調整機能付マンホールの平面図である。
【図3】この発明の実施例1に係る高さ調整機能付マンホールの蓋体を外した状態の平面図である。
【図4】この発明の実施例1に係る高さ調整機能付マンホールの斜視図である。
【図5】(a)この発明の実施例1に係る高さ調整機能付マンホールの一部を構成するカバーの正面図である。(b)この発明の実施例1に係る高さ調整機能付マンホールの一部を構成するカバーの分解斜視図である。
【図6】この発明の実施例1に係る高さ調整機能付マンホールの一部を構成する蓋体と内管との分解斜視図である。
【図7】この発明の実施例1に係る高さ調整機能付マンホールの分解斜視図である。
【図8】この発明の実施例1に係る高さ調整機能付マンホールによる高さ調整作業中の斜視図である。
【図9】この発明の実施例1に係る他の高さ調整機能付マンホールの断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10、10A 高さ調整機能付マンホール、
11 内ねじ、
12 外管、
13 外ねじ、
14 内管、
15 蓋体、
15a 蓋体連結孔、
18 部分内ねじ、
19 内ねじ挿通用切欠部、
20 部分外ねじと、
21a 内管連結孔、
22 外ねじ挿通用切欠部、
23a 外管連結孔、
25 連結棒、
26 カバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周側に内ねじが形成され、土中に埋設される外管と、
前記地面付近に上側開口部を配置し、かつ前記内ねじに螺合される外ねじが外周側に形成された内管と、
前記内管の上側開口部を塞ぐ蓋体とを備えた高さ調整機能付マンホールであって、
前記内ねじには、長さ方向が前記外管の管軸方向となった外管連結孔が1つまたは複数形成され、
前記外ねじには、長さ方向が前記内管の管軸方向で、かつ前記内ねじとの螺合時に前記外管連結孔に連通可能な内管連結孔が1つまたは複数形成され、
前記蓋体の外周部には、長さ方向が前記蓋体の厚さ方向で、かつ前記内管の上側開口部の閉蓋時に、前記内管連結孔および前記外管連結孔に連通可能な蓋体連結孔が1つまたは複数形成され、
対応する前記蓋体連結孔、前記内管連結孔および前記外管連結孔に、一連に抜き差し可能に挿入される1本または複数本の連結棒を有した高さ調整機能付マンホール。
【請求項2】
前記外ねじには、前記内管の周方向に向かって所定間隔毎に、内ねじ挿通用切欠部と部分外ねじとが交互に形成され、
前記内ねじには、前記外管の周方向に向かって所定間隔毎に、前記部分外ねじが挿通される外ねじ挿通用切欠部と、各内ねじ挿通用切欠部に遊挿される部分内ねじとが交互に形成された請求項1に記載の高さ調整機能付マンホール。
【請求項3】
前記内管のうち、前記外管の上縁から上方に突出した部分を外方から覆うカバーを有した請求項1に記載の高さ調整機能付マンホール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−70692(P2006−70692A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216241(P2005−216241)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(505131496)
【氏名又は名称原語表記】YUN,Jong Ho
【Fターム(参考)】