説明

高アルコール果汁発酵法

【課題】ワイン等の果汁発酵液において、アルコール度数が、好適には、21%の果汁発酵液を製造することを課題とする。また、発酵液をベースとする低アルコール飲料において、アルコール度数の高い果汁発酵液を用いて、高品質で果汁含量の多い低アルコール商品を提供することを課題とする。
【解決手段】高基質濃度(糖度の高い状態、30〜40Brix)の果汁又は果汁調製物に、好適には高アルコール生成酵母を添加し、発酵中に攪拌を行なうことで高アルコール濃度の果汁発酵液を製造する方法を提供する。
更らにこの高アルコール濃度の果汁発酵液を用いて、果汁感のある高品質な低アルコール商品を開発することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、果実酒類、雑酒及び低アルコール飲料の分野に属する。
【0002】
更に具体的には、アルコール含量の高い果汁発酵液、たとえば、アルコールを21%で含有する果汁発酵液、及び高濃度のアルコールを含有する果汁発酵液をベースに調製した、低アルコール飲料の技術分野に関する。
【背景技術】
【0003】
近年アルコール飲料の嗜好の多様化に伴い、RTD(ready to drink=栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料)の市場が先進国で拡大しており、日本でも大きな市場となっている。わが国では、とくに果汁フレーバーを付した低アルコール飲料が、飲酒後の香りも良いなどの理由で人気となってきている。このような果汁をミックスさせた低アルコール商品を開発する上で、果汁感をより付与することが望まれており、果汁含量を増加させるため、ベースアルコールとしてアルコール度数の高いスピリッツ(ウォッカなど)や焼酎を用いることが多い(非特許文献1)。スピリッツ等を用いて開発された果汁含量の高い低アルコール商品は、果汁感あふれる商品となるが、果汁とアルコール感の分離、ボディ感の不足、香料の使用量の増加など、香味上改善すべき点が多い。
【0004】
他方、それに対し、発酵液をベースアルコールとして用いると、発酵液由来の香り、ボディ感が付与され、更に発酵に使用した果汁と同じ果汁をミックスすると、アルコール感の分離も感じず、香味の改善につながる。但し、一般的に発酵液はアルコール度数がスピリッツに比べ低いことから、ベースアルコールとしての使用量が増加し、果汁含量が減少してしまい、果汁含量の高い低アルコール商品を製造することは非常に困難であった。
【0005】
特にワインに関しては、市販されている一般的なスティルワインはアルコール度数12〜14%であり、一般的なワイン用酵母のアルコール耐性も18%までである(非特許文献2)から、高アルコールのワインは得られていない。
【0006】
なお、発酵後のアルコール度数を高めるため、基質である糖濃度を高くすると、発酵液中の酵母の均一化、更には酵母の発酵性に影響を及ぼす(非特許文献3)。
【0007】
たしかに日本酒に使用される酵母には、高アルコール生成能を有する酵母があるが(非特許文献4)、その仕込み方法において、並行複式発酵を用いており、なおかつ3段仕込が主流であることから、酵母添加時の初発基質濃度は低い。このような低い基質から発酵を開始し、数回に分けて基質を添加しアルコール度数を高める方法があるが、発酵期間が長く、酵母の活性が落ちる欠点があり、ワイン製造には応用できないものであった。
【0008】
【非特許文献1】佐々木 清裕「レディーメイド・チューハイの開発」日本醸造協会誌 第90巻 第12号 P893 1995
【非特許文献2】セティ株式会社 ウバファーム葡萄酒用酵母データ及び特徴
【非特許文献3】銭林 祐 著 「醸造・発酵食品の事典」P277 3.3.2 スティルワインの醸造法(2)貴腐ワイン
【特許文献1】特開2002−238582号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ワイン等の果汁発酵液において、アルコール度数が、18%以上、好適には、21%の果汁発酵液を製造することを課題とする。具体的には、本願発明は、高濃度で基質を含有する果汁又は果汁調製物からアルコール度数21%の果汁発酵液を製造する方法を提供することを課題とする。
【0010】
また、発酵液をベースとする低アルコール飲料において、果汁含量が多い低アルコール飲料が求められているところ、アルコール度数の高い果汁発酵液を用いて、高品質で果汁含量の高い低アルコール商品を提供することを課題とする。
【0011】
更には、アルコール度数の高い果汁発酵液を用いて高アルコール濃度の果実酒を調製することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
高基質濃度(糖度の高い状態、30〜40Brix)の果汁又は果汁調製物に、酵母、好適には高アルコール生成酵母を添加し、発酵温度10〜25℃で、攪拌をしながら発酵を行なうことで高アルコール濃度の果汁発酵液を製造する方法を提供する。
【0013】
更に、この発酵液を用いて果汁、液糖、香料などを添加し、果汁感のある高品質な低アルコール商品を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、果汁発酵液においても、従来法に比べ高濃度でアルコールを含有する高アルコール発酵液を製造することができる。また、発酵液をベースとする低アルコール飲料において、今まで以上に果汁含量の高い低アルコール商品の開発が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
1.はじめに
アルコール飲料の分野で最近とくに人気が高まり、今後も成長が期待される分野として、いわゆるRTD(ready to drink=栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料)分野が挙げられる。この低アルコール飲料分野では、従来、ベースアルコールとしてアルコール度数の高いスピリッツ(ウォッカなど)や焼酎を用いたものが多かったが、果汁とアルコール感の分離、ボディ感の不足、香料の使用量の増加など、香味上改善すべき点が多かった。最近、ブドウ果汁発酵液など発酵液をベースアルコールとして用いたものも現れており、発酵液由来の香り、ボディ感が付与され、更に発酵に使用した果汁と同じ果汁をミックスすると、アルコール感の分離も感じず、香味が改善されてきている。しかしながら、果汁発酵液は、アルコール度数がスピリッツに比べ低いことから、ベースアルコールとしての果汁発酵液の使用量が増加するため、添加できる果汁含量に限度があった。そこでよりフレーバーの優れた添加果汁量の多い、低アルコール飲料開発には、果汁発酵液のアルコール度数を上げることが望まれている。
【0016】
2.高アルコール度数の果汁発酵液の調製
2−1.原料及び酵母
本願発明で言う高アルコール度数の果汁発酵液とは、たとえば、アルコール濃度を18%以上、より好適には、21%以上で含有する果汁発酵液のことを意味する。
【0017】
ここで、原料となる果汁としては、調製される発酵液のアルコール濃度を18%と出来るものであれば、とく特定されないが、たとえば、ブドウ果汁が挙げられる。その他キウイ、リンゴ、ブルーベリー、アンズ等の果汁なども用いることができるが、何等限定されるものではない。これらの果汁の分析(比重、直接還元糖、総酸、フェノール、糖度等)は常法に従って行うことができる。
【0018】
糖濃度の高い果汁が望ましく、発酵開始時(初発基質濃度)がBrixとしては、たとえば、Brix30以上40以下、好適には、Brix35とすることがとくに望ましい。
【0019】
本願発明で、果汁に加える酵母としては、高アルコール生産性の酵母が望ましい。
【0020】
本発明者等は、別途、高基質濃度の原料からアルコール発酵を開始可能であり、かつアルコール発酵を継続し、高アルコール濃度(アルコール度数21%)の発酵液を生成できる酵母を育種し、選抜した。
【0021】
具体的には、FERM P-21447(Saccharomyces cerevisiae)及びFERM P-21448(Saccharomyces cerevisiae)を挙げることができる。
【0022】
2−2.果汁発酵条件
果汁及び酵母を含む果汁培養液を開放した系で攪拌しながら発酵することにより、アルコールを高濃度で生成させることができる。
【0023】
果汁に接種する酵母量としては、果実酒製造に使用される通常の酵母接種量でよく、たとえばブドウ果汁を発酵させる場合には、10〜10細胞/mlとすることが出来る。
【0024】
発酵果汁は、発酵温度を4〜35℃、好ましくは10〜25℃に調節し、攪拌しながら発酵することが出来る。攪拌は、果汁発酵液を攪拌しながら培養できる方法であればいずれの方法でもよい。攪拌手段としては、例えばインペラー、不活性ガスを用いるエアーリフト発酵槽、発酵ブロスのポンプ駆動循環、又はこれら手段の組合せ等を使用することができる。
【0025】
攪拌は、連続攪拌が望ましいが、間歇攪拌とすることも可能である。
【0026】
開放した系で攪拌を行うことにより、発酵初期に溶存酸素濃度が一旦上昇した後降下するが、約120時間好気〜微好気状態を保持させることができる。この間好気条件であることから酵母は増殖(図4)する。その後、おそらく液面に二酸化炭素の層が生じるために、嫌気条件下となり、アルコール生産が増大する。なお、この好気状態または嫌気状態は、たとえば、DOを測定することにより確認することができる。
【0027】
また、攪拌により、接種酵母細胞数が約1.5×10細胞/mlの場合、たとえば、4日間攪拌培養することにより、酵母数を14.0×10細胞/mlに増加させることができる。攪拌により、酵母の増殖に必要な酸素の供給がされ、しかも発酵液中での酵母の均一性を保たれるものと思われる。また、この間好気条件により酵母が活性化されているものと思われる。更に、攪拌することにより増加した細胞を液中に浮遊・分散させることができ、高アルコール発酵に適した条件となるものと考えられる。なお、開放した系で攪拌を行なっても、酵母の増加により一定期間で溶存酸素が0%となるが、それ以降も攪拌を行なうことにより、アルコールが高濃度で生成される。
【0028】
攪拌の程度としては、それぞれの攪拌装置により異なるが、発酵開始後初期に酵母が増殖するような攪拌条件が望ましい。具体的には、発酵開始後3日間、望ましくは5日間、酵母の増殖が続くような攪拌が望ましい。増殖が停止した後も同じ程度の攪拌を発酵中に継続することが望ましい。
【0029】
また攪拌の程度を、発酵開始後、少なくとも3日間、望ましくは5日間、発酵液(培養液)が嫌気状態とはならない程度の攪拌とすることも出来る。この場合も、嫌気状態となった後も、同じ程度の攪拌を継続することが望ましい。
【0030】
より具体的には、70mm攪拌子(マグネチックスターラー)を用いてステンレス製ジャーファーメンター(3L容)で1Lの発酵液(培養液)を攪拌しながら培養する場合、攪拌50〜200rpm、より好ましくは攪拌80〜120rpm程度の攪拌とすることができる。
【0031】
発酵期間としては、8日以上、好適には、19日間以上行うことが望ましい。発酵途中に補糖を行ってもよい。補糖はグルコースを使用することが望ましい。
【0032】
2−3.低アルコール飲料(RTD)の製造
本発明の高アルコール含有発酵液を用いることで、今までのワインベースの低アルコール飲料(RTD)に比べ、果汁含量の多い商品を開発することができる。
【0033】
RTDは、高アルコール含有発酵液に、果汁、必要に応じ、香料、糖類、及び炭酸ガスなどを添加して製造することが出来る。
【0034】
果汁発酵液をベースとしているので、香料を添加しなくとも、蒸留酒ベースの高果汁低アルコール商品に比較し、発酵由来のコクや香りがあり、香味に優れている。
【0035】
果汁液としては、果汁濃縮液を用いることもできる。また果汁液は、任意の果実の果汁液でよいが、たとえば、ブドウ果汁発酵液をベースとする場合には、ブドウ果汁を用いることが一般的である。
【0036】
低アルコール飲料の製造において、通常のワインを用いた場合と高アルコール発酵液を用いた場合との比較を以下に表にして示す。
【0037】
【表1】

【実施例1】
【0038】
高アルコール生成酵母(寄託酵母)の前培養
清酒酵母とワイン酵母減数体の交雑により得た酵母株寄託番号FERM P-21447を用いてブドウ果汁発酵液をまず前培養した。前培養の培養液は、マスカット透明濃縮果汁1/6(カーギルジャパン社から供試)310g、酵母エキス(Merck Extract of yeast) 2.6g、及びリン酸水素二アンモニウム(和光純薬社製 一級)1.3gをイオン交換水で1Lになるまで加水して調製した。本前培養液の発酵開始時の糖濃度(Brix)は20Brixとなった。この前培養用の培養液を300ml三角フラスコに100ml分注し、上記酵母を1白金針培養液に接種後、培養温度25℃で、120rpmで振とう培養器で3日間培養を行った。培養終了後、酵母を遠心分離(3,000回転、5分間、5℃)にて採取した。
【実施例2】
【0039】
発酵初期の基質濃度が30、35又は40Brixとなる量のマスカット透明濃縮果汁1/6(カーギルジャパン社から供試)及び果糖・ブドウ糖液糖(配合比は、濃縮マスカット果汁530gに対し果糖・ブドウ糖液糖が45g)、酵母エキス(Merck Extract of yeast)2.6g、並びにリン酸水素二アンモニウム(和光純薬社製 一級)1.3gをイオン交換水で1Lになるまで加水して発酵液(本培養液)を調製した。上記発酵液1Lを精製した後、実施例1の前培養で得られた酵母を、2〜4×107cells/mlとなるよう発酵液に添加した。酵母添加後、70mm攪拌子(マグネチックスターラー)をセットしたジャケット付ステンレス製ジャーファーメンター(3L容)に移し変え、攪拌子を100rpmで回転(攪拌)させ、発酵液を15℃にコントロールしながら発酵を開始した。発酵中にアルコール濃度を計測した。結果を図1に示す。3種類のBrixの中で、35Brixの基質濃度の時に一番アルコール濃度が高いことが分かった。基質濃度30Brixではアルコールの生成スピードは速いものの、基質濃度がアルコール20%到達するための必要量に達していないため、19%で終了した。他方、基質濃度40Brixでは、アルコール生成スピードは遅く、また濃度も18%と低かった。以上の結果から初発基質濃度として、35Brixが至適濃度と判断した。
【実施例3】
【0040】
高アルコール生成酵母(寄託酵母)と市販の乾燥酵母との比較
本培養の発酵液は、マスカット透明濃縮果汁1/6(カーギルジャパン社から供試)530g、果糖・ブドウ糖液糖45g、酵母エキス(Merck Extract of yeast)2.6g、及びリン酸水素二アンモニウム(和光純薬社製 一級)1.3gをイオン交換水で1Lになるまで加水して調製した。上記発酵液1Lを精製した後、実施例1の前培養で得られた酵母又はRhone2226を、2〜4×107cells/mlとなるよう発酵液に添加した。なお、精製時の発酵液の糖度(Brix)は35Brixであった。酵母添加後、70mm攪拌子(マグネチックスターラー)をセットしたジャケット付ステンレス製ジャーファーメンター(3L容)に移し変え、攪拌子を100rpmで回転(攪拌)させ、発酵液を15℃にコントロールしながら発酵を開始した。発酵中にアルコール濃度を計測した。結果を図2に示す。
【0041】
高アルコール生成酵母は、19日目にアルコール度21%に到達したが、Rhone 2226は24日目で約17%であった。この結果から高アルコール生成酵母のアルコール生成能が他の酵母に比べ高いことが判明した。
【実施例4】
【0042】
本培養の発酵液は、マスカット透明濃縮果汁1/6(カーギルジャパン社から供試)530g、果糖・ブドウ糖液糖45g、酵母エキス(Merck Extract of yeast)2.6g、及びリン酸水素二アンモニウム(和光純薬社製 一級)1.3gをイオン交換水で1Lになるまで加水して調製した。上記発酵液1Lを精製した後、実施例1の前培養で得られた酵母を、1〜2×107cells/mlとなるよう発酵液に添加した。なお、精製時の発酵液の糖度(Brix)は35Brixであった。酵母添加後、70mm攪拌子(マグネチックスターラー)をセットしたジャケット付ステンレス製ジャーファーメンター(3L容)に移し変えた。
攪拌子を100rpmで回転(攪拌)させ、或いは攪拌することなく発酵液を15℃にコントロールしながら発酵を開始した。
【0043】
アルコール濃度、浮遊細胞数(シスメックス社製粒子計数分析装置CDA500)、及び酵母死滅率(メチレンブルー染色法による)を測定した。結果を、それぞれ、図3〜4及び図7に示す。
【0044】
発酵液中での浮遊酵母数については、攪拌を行った発酵液では、発酵初期に浮遊酵母数が増加し、その後、高い数値にて推移している。これに対し、攪拌を行わなかった発酵液は、発酵初期から浮遊酵母数は減少している。以上から、発酵液の攪拌により、酵母の均一性が高く保持されていると考えられる。
【0045】
酵母死滅率については、攪拌を行った発酵液では、アルコール濃度が21%を超えた時点で酵母死滅率が20%程度であるのに対し、攪拌を行わなかった発酵液では、アルコール濃度が18%に満たない時点で酵母死滅率が20%程度まで上昇しており、アルコール濃度が19%を超えた時点で酵母死滅率が80%を超えている。両発酵液の酵母死滅率測定の結果から、アルコール濃度が17%前後に達した時点で酵母死滅率の上昇が始まるものと推察されるが、攪拌を行った発酵液の場合には浮遊酵母数が高く保たれているため、充分なアルコール生成スピードを保ったままアルコール濃度が21%を超える状態まで発酵を維持することが可能になっていると考えられる。
【0046】
また同様にして、攪拌した場合及び攪拌しない場合で、発酵液中の溶存酸素濃度をB.E.MARUBISHI社のラボコントローラー(型式MDL-6C)及び電極(型式OX-2500)を使用して測定した。その結果を図5及び6に示す。
【0047】
図5に示されるように、攪拌を行うと、発酵初期に溶存酸素濃度が一旦上昇し、約120時間保持した。この間好気条件であることから酵母の増殖が見られた(図4)。この後溶存酸素濃度はほぼ0%で推移した。他方、図6に示されるように、攪拌を行わないと、発酵初期から溶存酸素濃度が低下し、すぐに0%となった。そして、酵母の増殖も見られなかった(図4)。このことから、酵母の増殖に必要な酸素の供給及び発酵液中での酵母の均一性を保つために、攪拌が非常に重要な役割を担っていることが分かった。
【実施例5】
【0048】
以下のレシピで低アルコール飲料を調製した。
【0049】
【表2】

【0050】
(結果)
発酵酒を用いた試作品No.1及び3は、ウォッカベースのサンプルよりも香り・香味ともに良いものとなった。また、総合的に試作品No.1の香味は良く、発酵酒及び果汁含量の高いことにより、良好な香味を実現することができた。特に、試作品No.1及び3には、アルコールの分離感が感じられず、試作品No.2には、アルコールの分離感が感じられた。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本願発明は、たとえば、ボディ感や果汁感を有し、高品質な低アルコール飲料開発の分野で利用できる。また、本願発明の高アルコール含有果汁発酵液製造法は、バイオエタノール生産等に求められる高アルコール生産にも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】至適基質濃度の検討でのアルコール生成結果
【図2】高アルコール生成酵母(寄託酵母)とRhone2226とのアルコール生成比較
【図3】攪拌の有無によるアルコール生成経過の比較
【図4】攪拌の有無による浮遊細胞増殖数の比較
【図5】攪拌を行ったときの発酵液中の溶存酸素濃度の推移
【図6】攪拌を行わないときの発酵液中の溶存酸素濃度の推移
【図7】攪拌の有無による酵母死滅率の比較

【特許請求の範囲】
【請求項1】
果汁発酵液の製造において、酵母を含む果汁含有溶液を連続攪拌してアルコール濃度が18%以上になるまで発酵することを特徴とする、果汁発酵液の製造方法。
【請求項2】
連続攪拌を本培養開始時点から本培養終了時点まで継続することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
発酵開始から5日目の酵母細胞数が14.0×10細胞/ml以上となるように連続攪拌する請求項1〜2いずれか1項記載の方法。
【請求項4】
酵母がアルコール耐性酵母である請求項1〜3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
アルコール耐性酵母が、ワイン酵母と清酒酵母または焼酎酵母との交雑種である請求項4記載の方法。
【請求項6】
交雑させるワイン酵母と、清酒酵母又は焼酎酵母の内、一方が栄養要求性株であり、他方が呼吸欠損株である請求項5記載の方法。
【請求項7】
アルコール耐性酵母がFERM P-21447号である請求項6記載の方法。
【請求項8】
アルコール濃度が21%以上となる請求項1〜7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8いずれかの方法で製造された果汁発酵液。
【請求項10】
請求項9項記載の果汁発酵液に果汁を添加することを含む低アルコール飲料の製造方法。
【請求項11】
請求項9記載の果汁発酵液を含有する低アルコール飲料。
【請求項12】
請求項9記載の果汁発酵液から調製されるアルコール飲料。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−240298(P2009−240298A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294675(P2008−294675)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【出願人】(000253503)キリンホールディングス株式会社 (247)
【Fターム(参考)】