説明

高タンパクゲル状食品

【課題】 タンパク質補給に充分な量のタンパク質を含有し、食事代替品として手軽に喫食でき、更に、食品としてその食感を楽しむことができる良好な弾力性及び風味等を有する高タンパクゲル状食品を提供する。
【解決手段】 ゲル状食品全体に対して、大豆ペプチドを3〜15質量%含有させ、かつゲル強度を23〜600gに調整する。この高タンパクゲル状食品は、ゲル状食品全体に対して、食物繊維を0.6〜9質量%含有することが好ましい。また、ゲル化剤として、ジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン及びローカストビーンガムを含有することが好ましい。更に、ゲル状食品全体に対して、ジェランガムを0.08〜0.8質量%、カラギーナンを0.21〜1.05質量%、グルコマンナンを0.14〜0.7質量%、ローカストビーンガムを0.084〜0.42質量%含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質補給に充分な量のタンパク質を含有する高タンパクゲル状食品に関し、詳しくは、良好な弾力性及び風味等を有する高タンパクゲル状食品に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質の補給を目的とした加工食品は種々の形態があるが、近年では、より手軽にタンパク質を摂取できるように調製された、タンパク質補給飲料やタンパク質補給ゼリー飲料等が市販されている。
【0003】
特に近年の食形態の変化によって、食事代替機能を持ったゼリー飲料のようなゲル状食品が消費者の支持を受けており、その中で栄養素としてのタンパク質をより多く補給できるゲル状食品が求められている。
【0004】
ゲル状食品は主としてゲル化剤と呼ばれる増粘多糖類によってゲル状に調製されており、ゲル状食品に使用されるゲル化剤としては、ジェランガム、寒天、カラギーナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム等が知られている。
【0005】
例えば、本発明者らは、下記特許文献1において、蓋のできる吸い口を有する柔軟性容器に充填され、ゲル化剤によって流動性が損なわれない程度にゲル化されたゼリー様飲食品において、コラーゲンペプチドを含有することを特徴とするゼリー様飲食品を開示しており、この文献には、ゲル化剤として、寒天、グルコマンナン、カードラン、ジェランガム、ペクチンから選ばれた1種又は2種以上を用いることが記載されている。また、下記特許文献2においては、原料たんぱく質を加熱変性して得られる不溶化たんぱく質と、ゲル状態のジェランガムとを含有し、酸性となるように調整されていることを特徴とする酸性ゲル状食品を開示している。
【0006】
下記特許文献3には、a)熱変性した微粒子の乳清タンパク質、b)微結晶セルロース及び/又は微小繊維状セルロースを含む組成物、c)ゲルを形成させるためのゲル化剤を含有することを特徴とする常温流通可能なゲル状食品が開示されている。そして、ゲル化剤として、寒天、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、サイリュームシードガム、タマリンド種子多糖類、グルコマンナン、タラガム、及びグァーガムから選ばれる1種又は2種以上のゲルを形成させる組み合わせで使用することが記載されている。
【0007】
下記特許文献4には、糖質30〜90重量%、脂質5〜40重量%、蛋白質2〜60重量%、有機酸0.2〜5重量%、有機酸塩0.2〜5重量%、乳化剤0.2〜5重量%、ゲル化剤0.2〜5重量%の各成分(乾燥重量基準)の総量10〜50重量%と水分50〜90重量%との乳化混合物のゲル状物であって、該ゲル状物は3.3〜4の範囲のpHを有し且つ蛋白質の等電点ゲルとゲル化剤による熱溶解性ゲルとの複合ゲルから形成されていることを特徴とする複合栄養補給用ゲル状食品が開示されている。そして、ゲル化剤として、ペクチン、ファーセレラン、カラゲーナン、寒天、ローカストビーンガム、グアガム及びアラビアガムからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが記載されている。
【特許文献1】特開平11−75726号公報
【特許文献2】特開2004−248544号公報
【特許文献3】特開2004−344042号公報
【特許文献4】WO 99/34690号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、ゲル状食品においては様々なゲル化剤が用いられているが、従来のタンパク質含有ゲル状食品の多くは、ゼリー飲料や咀嚼・嚥下困難者用食品等に適したものとするため、容易に喫食できるようにゲル強度が低いものであった。
【0009】
そのため、従来のタンパク質含有ゲル状食品は、ほとんど咀嚼することなく飲み込むことができ、食品としてその食感を楽しめるものではなく、食感が物足りないだけでなく、食べたという実感もあまりないものであった。
【0010】
したがって、本発明の目的は、タンパク質補給に充分な量のタンパク質を含有し、食事代替品として手軽に喫食でき、更に、食品としてその食感を楽しむことができる良好な弾力性及び風味等を有する高タンパクゲル状食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の高タンパクゲル状食品は、ゲル状食品全体に対して、大豆ペプチドを3〜15質量%含有し、かつゲル強度が23〜600gであることを特徴とする。
【0012】
本発明の高タンパクゲル状食品は、上記所定のゲル強度とすることにより、食品としてその食感を楽しむことができる良好な保形性、弾力性及び風味等を有するゲル状食品とすることができる。また、タンパク質素材として、大豆ペプチドを含有することにより、消化吸収性に優れているだけでなく、脂質代謝促進、疲労回復促進、基礎代謝促進、筋肉増強、食事誘導性熱代謝促進等の様々な生理活性効果も期待できる。
【0013】
本発明においては、ゲル状食品全体に対して、食物繊維を0.6〜9質量%含有することが好ましく、前記食物繊維が、イヌリン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、ヘミセルロース、グアーガム、セルロース、キチン、キトサン、リグニン、グルカン、寒天、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、サイリウム種皮、小麦フスマ、アカシアガム、コーンファイバー、ビートファイバーから選ばれた1種又は2種以上であることがより好ましい。
【0014】
これらによれば、より良好な食感と風味を有する高タンパクゲル状食品とすることができる。
【0015】
更に、ゲル化剤として、ジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン及びローカストビーンガムを含有することが好ましく、ゲル状食品全体に対して、ジェランガムを0.08〜0.8質量%、カラギーナンを0.21〜1.05質量%、グルコマンナンを0.14〜0.7質量%、ローカストビーンガムを0.084〜0.42質量%含有することがより好ましい。
【0016】
これらによれば、上記所定量のジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン及びローカストビーンガムを含有することにより、タンパク質補給に充分な量のタンパク質を含有しても、良好な保形性、弾力性及び風味等を有するゲル状食品とすることができる。
【0017】
更にまた、pHが2〜3.8であることが好ましい。これによれば、微生物的な安全性が高くなり、保存性が向上するとともに、適度な酸味、風味を有する高タンパクゲル状食品を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、消化吸収性に優れた大豆ペプチドを、タンパク質補給食品として充分な量含有し、食事代替品として手軽に喫食できる高タンパクゲル状食品を提供できる。また、本発明の高タンパクゲル状食品は、良好な風味を有しており、従来の飲料タイプのタンパク質含有ゲル状食品とは異なり、良好な保形性及び弾力性を有しているので、食品としてその食感を楽しむことができ、喫食した際に「食べた」という実感をより強く感じることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明においてタンパク質素材として用いられる大豆ペプチドは、大豆から抽出された大豆タンパク質を酵素分解して得られるペプチドであり、消化吸収性に優れているだけでなく、例えば、脂質代謝促進、疲労回復促進、基礎代謝促進、筋肉増強、食事誘導性熱代謝促進、リラックス効果の向上、耐ストレス性の向上等様々な生理活性効果を有していることが知られている(薬学雑誌113(4)334−342(1993)、大豆たんぱく質栄養研究会会誌Vol.12,80−84(1991)、大豆たんぱく質栄養研究会会誌Vol.12,91−94(1991)、大豆たんぱく質栄養研究会会誌Vol.13,50−58(1992)、大豆たんぱく質栄養研究会会誌Vol.11,98−103(1990)等)。
【0020】
本発明で用いられる大豆ペプチドは、通常、脱脂豆乳や分離大豆タンパク質を酵素分解して得られるものである。本発明においては、平均分子量が300〜5000のものを用いることが好ましく、平均分子量が500〜1000のものを用いることがより好ましい。このような大豆ペプチドは市販されており、例えば、商品名「ハイニュートDC7」、商品名「ハイニュートDC6」(いずれも不二製油株式会社製)、商品名「SE70M」(DMV社製)等を用いることができる。
【0021】
本発明の高タンパクゲル状食品は、該ゲル状食品全体に対して、上記大豆ペプチドを3〜15質量%含有し、好ましくは4〜10質量%、より好ましくは5〜8質量%含有する。大豆ペプチドの含量が3質量%未満の場合は、タンパク質の補給を目的とする場合にタンパク質の摂取量が不充分となるので好ましくない。また、大豆ペプチドが15質量%を越えると、大豆ペプチド特有の風味が強くでるため風味上好ましくない。
【0022】
また、本発明の高タンパクゲル状食品は、そのゲル強度が23〜600gであることが好ましく、ゲル強度が37〜169gであることがより好ましい。ゲル強度が23g未満であると、ゲルの形成が不充分で充分な保形性と良好な食感を得ることができない。また、ゲル強度が600gを超える場合は、ゲルが固くなり過ぎてボソボソした食感となり好ましくない。
【0023】
なお、本発明においてゲル強度とは、レオメーター(サン科学製:CR−500DX)を用いた圧縮試験におけるゲルの破断強度を意味し、以下の測定条件で圧縮試験を行い、ゲルが破断したときの破断強度(g)を3回測定し、その平均値で求めるものとする。
・水温16℃中に測定するゲルを1.5時間以上放置する。
・測定する際の雰囲気温度は20〜25℃で行う。
・プランジャー:図1に示す形状のプランジャー(側面形状が底辺(a)7.8mm、高さ(b)8mmの二等辺三角形で幅(c)19mm)
・移動速度300mm/分
・進入距離10mm
【0024】
また、本発明においては、ゲル状食品全体に対して、食物繊維を0.6〜9質量%含有することが好ましく、1〜7質量%含有することがより好ましい。
【0025】
前記食物繊維としては、イヌリン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、ヘミセルロース、グアーガム、セルロース、キチン、キトサン、リグニン、グルカン、寒天、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、サイリウム種皮、小麦フスマ、アカシアガム、コーンファイバー、ビートファイバー、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、植物ガム、粘質物、海藻多糖類、コンドロイチン硫酸等が例示できる。中でも、イヌリン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、ヘミセルロース、グアーガム、セルロース、キチン、キトサン、リグニン、グルカン、寒天、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、サイリウム種皮、小麦フスマ、アカシアガム、コーンファイバー、ビートファイバーから選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。例えば、イヌリンを用いることにより、大豆ペプチドの好ましくない風味をマスキングして後味を改善することができるとともに滑らかな食感とすることができるので好ましい。
【0026】
本発明においては、上記例示した食物繊維をそのまま使用することもできるが、必要に応じて微粉砕等の物理的処理、酵素処理、化学修飾又は合成等の化学的処理及び酵素等の生物学的処理したものを使用してもよい。なお、後述するゲル化剤との関係上、本発明においては、ジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン及びローカストビーンガムは食物繊維に含まないものとする。
【0027】
また、本発明においてはゲル化剤として、ジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン及びローカストビーンガムを用いることが好ましい。例えば、カラギーナンは、グルコマンナンやローカストビーンガムと相乗的に作用して、高タンパクゲル状食品に良好な弾力性を付与することができる。また、ジェランガムは、高タンパクゲル状食品に歯切れよさを付与することができる。更に、ジェランガムやカラギーナンは、フレーバーの立ちがよいので良好な風味の製品を得ることができる。
【0028】
本発明においては、ジェランガムの種類は特に限定されず、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガムのいずれも用いることができる。
【0029】
また、カラギーナンは、その構造の違いから8つ(κ、λ、ι、μ、ν、θ、ξ、π)に分類されているが、本発明においては、κ−カラギーナンが好ましく用いられる。
【0030】
本発明の高タンパクゲル状食品は、該ゲル状食品全体に対して、ジェランガムを0.08〜0.8質量%、カラギーナンを0.21〜1.05質量%、グルコマンナンを0.14〜0.7質量%、ローカストビーンガムを0.084〜0.42質量%含有することが好ましく、ジェランガムを0.08〜0.2質量%、カラギーナンを0.21〜0.54質量%、グルコマンナンを0.14〜0.36質量%、ローカストビーンガムを0.084〜0.216質量%含有することがより好ましい。
【0031】
例えば、ジェランガムの含有量が少な過ぎると保形性が低下し、離水が多くなり、ジェランガムの含有量が多過ぎるとボソボソとした食感となり好ましくない。また、カラギーナン、グルコマンナン及びローカストビーンガムの含有量が少な過ぎると保形性が低下し、多過ぎるとゴム状の食感になるため好ましくない。
【0032】
本発明の高タンパクゲル状品は、上記所定量のジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン及びローカストビーンガムを含有することにより、離水を抑制し、充分な保形性を有しつつ、良好な弾力性や風味を付与することができる。
【0033】
また、本発明の高タンパクゲル状食品は、上記以外の他の成分として、糖類、高甘味度甘味料、ビタミン類、ミネラル類、果汁、着香料、着色料、調味料、pH調整剤等を適宜含有することができる。これらの添加順序や添加方法には特に制限はない。
【0034】
例えば、糖類は味付として用いられ、ブドウ糖、ショ糖、果糖、砂糖、麦芽糖、乳糖、異性化糖、トレハロース、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルトデキストリン等が例示できる。また、高甘味度甘味料としては、アスパルテーム、ステビア、アセスルファムK、スクラロース、ソーマチン等が例示できる。これらは単独又は2種類以上を併用して用いることができる。
【0035】
また、ビタミン類としては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンH、ビタミンK、ビタミンP、パントテン酸、コリン、葉酸、イノシトール、ナイアシン、パラアミノ安息香酸(PABA)等が例示でき、これらは単独又は2種類以上を併用して用いることができる。
【0036】
また、ミネラル類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、乳酸カルシウム等が例示でき、これらは単独又は2種類以上を併用して用いることができる。特に、乳酸カルシウム等の可溶性カルシウムは、ゲル化剤のゲル化に必要である。可溶性カルシウムの添加量は、風味等の観点から、ゲル状食品全体に対して0.05〜0.5質量%が好ましい。
【0037】
また、pH調整剤としては、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、アスコルビン酸、グルコン酸等の各種酸味料及びそれらの塩を用いることができる。本発明においては、緩やかな条件で殺菌可能とするために、pH調整剤により、高タンパクゲル状食品のpHが酸性に調整されていることが好ましい。具体的には、pH2〜3.8に調整されていることが好ましく、風味の観点からpH3.6〜3.8に調整されていることが特に好ましい。pHが3.8を越えると生育可能な微生物の種類が増え、食品衛生上の危険が増大するため好ましくなく、pHが2未満では酸味が強くなりすぎるので好ましくない。
【0038】
本発明の高タンパクゲル状食品は、大豆ペプチドと上記各ゲル化剤と、その他必要に応じて上記の他の成分とを混合した後にゲル化を行うことにより得ることができる。具体的には、ジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン及びローカストビーンガムを水に分散させ加熱してゲル溶液を調製した後、大豆ペプチド及び必要に応じて上記の他の成分を添加して混合液を調製する。大豆ペプチド及び上記の他の成分は、別途、分散、加熱溶解してから上記ゲル溶液に添加してもよく、上記ゲル溶液に直接添加してもよい。
【0039】
そして、上記の混合物を包装容器に充填後、冷却することによってゲル化が進行し、本発明の高タンパクゲル状食品を得ることができる。この時、1回の喫食で最低4g程度のタンパク質を摂取できるように分注することが好ましい。
【0040】
包装容器としては特に限定されないが、高タンパクゲル状食品を喫食するのに適している容器が好ましく、容器素材としては、紙、プラスチック、アルミ箔、ビニール等が好ましく例示できる。また、容器の形態についてもゲル状食品を喫食するのに適した形態であれば制限はなく、三方シール、ガセットピロー、ケーシング包装、パウチ等が例示できる。
【0041】
本発明の高タンパクゲル状食品は、必要に応じて殺菌処理を行ってもよく、殺菌方法としては、容器に充填する前に加熱殺菌してホットパックする方法、充填密封後に加熱殺菌する方法、また、容器に充填する前に高タンパクゲル状食品を加熱殺菌し、その後無菌条件下で充填する無菌充填等いずれの方法も可能である。
【実施例1】
【0042】
表1に示す原料を用い、高タンパクゲル状食品全体に対するゲル化剤(ジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム)の配合量を、表2〜5に示すような割合でそれぞれ変化させた調合液を調製した。なお、大豆ペプチドは商品名「ハイニュートDC7」(不二製油株式会社製)を、ジェランガムは商品名「ケルコゲル」(三栄源FFI社製)を、カラギーナンは商品名「カラギニンCSK−2」(三栄源FFI社製)を、グルコマンナンは商品名「レオレックスRS」(清水化学株式会社製)を、ローカストビーンガムは商品名「RL−200−J」(三晶社製)を用いた。
【0043】
【表1】

















【0044】
【表2】







【0045】
【表3】








【0046】
【表4】




【0047】
【表5】

【0048】
各調合液を冷却してゲル化させて、それぞれ高タンパクゲル状食品を得、各サンプルについて、7名のパネラーにより、保形性、弾力性、離水、風味について、以下の評価基準で官能評価を行った。保形性(◎:多少の衝撃では崩れず、手に持てる状態、○:小さな衝撃では崩れない状態、△:自立性はあるが、亀裂や小さな衝撃でも崩れる状態、×:ゲル化しているがすぐに崩れ、自立性がない状態)、弾力性(◎:もっちりとした噛み応えがある状態、○:多少の噛み応えがある状態、△:噛む感覚はあるが、脆い状態又はボソボソとした固すぎる状態、×:すぐに崩れてしまう状態)、離水(◎:ほとんど離水がない状態、○:経時的に離水が発生する状態、△:通常の離水は僅かだが、亀裂や衝撃によって離水が発生する状態、×:ピチャピチャと離水がある状態)、風味(◎:良い、○:普通、△:やや悪い、×:悪い)。
【0049】
また、ゲル強度は、レオメーター(サン科学製:CR−500DX)を用いた圧縮試験により、以下の測定条件でゲルが破断したときの破断強度(g)を3回測定し、その平均値で求めた。
・水温16℃中に測定するゲルを1.5時間以上放置した。
・測定する際の雰囲気温度は20〜25℃で行った。
・プランジャー:図1に示す形状のプランジャー(側面形状が底辺(a)7.8mm、高さ(b)8mmの二等辺三角形で幅(c)19mm)
・移動速度300mm/分
・進入距離10mm
その結果を表2〜5に併せて示す。
【0050】
表2から、ゲル化剤としてκ−カラギーナンとローカストビーンガムを用いたサンプル1〜11は風味が悪いことが分かる。また、ゲル化剤の配合量が少ないサンプル1〜4は保形性、弾力性及び離水も劣っていることが分かる。
【0051】
また、表3から、ゲル化剤としてジェランガムとローカストビーンガムを用いたサンプル12〜16は保形性、弾力性、離水及び風味の全てについて劣っていることが分かる。
【0052】
また、表4から、ゲル化剤としてジェランガム、ローカストビーンガム及びキサンタンガムを用いたサンプル17〜19は保形性、弾力性、離水及び風味に劣っていることが分かる。
【0053】
一方、表5から、ゲル化剤として、ジェランガム、κ−カラギーナン、グルコマンナン及びローカストビーンガムを用いることにより、適度な保形性と弾力性を有し、離水も少なく、良好な風味を有する高タンパクゲル状食品が得られることが分かる。特に、本願で規定するゲル強度を有するサンプルは、良好な官能評価が得られていることが分かる。
【実施例2】
【0054】
表6に示す原料を用い、高タンパクゲル状食品全体に対する食物繊維(イヌリン)の配合量を0〜10質量%でそれぞれ変化させた調合液を調製し、実施例1と同様の方法で高タンパクゲル状食品を得た。各サンプルについて、実施例1と同様にして官能評価及びゲル強度の測定を行った。その結果を表7に示す。










【0055】
【表6】

【0056】
【表7】

【0057】
表7から、イヌリンを配合することにより、より良好な保形性、弾力性、離水及び風味を有する高タンパクゲル状食品が得られることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の高タンパクゲル状食品は、タンパク質補給を目的とした食事代替品として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】レオメーターを用いてゲル強度を測定する際に用いられるプランジャーを示す模式図である。
【符号の説明】
【0060】
1.プランジャー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル状食品全体に対して、大豆ペプチドを3〜15質量%含有し、かつゲル強度が23〜600gであることを特徴とする高タンパクゲル状食品。
【請求項2】
ゲル状食品全体に対して、食物繊維を0.6〜9質量%含有する請求項1記載の高タンパクゲル状食品。
【請求項3】
前記食物繊維が、イヌリン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、ヘミセルロース、グアーガム、セルロース、キチン、キトサン、リグニン、グルカン、寒天、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、サイリウム種皮、小麦フスマ、アカシアガム、コーンファイバー、ビートファイバーから選ばれた1種又は2種以上である請求項2記載の高タンパクゲル状食品。
【請求項4】
ゲル化剤として、ジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン及びローカストビーンガムを含有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の高タンパクゲル状食品。
【請求項5】
ゲル状食品全体に対して、ジェランガムを0.08〜0.8質量%、カラギーナンを0.21〜1.05質量%、グルコマンナンを0.14〜0.7質量%、ローカストビーンガムを0.084〜0.42質量%含有する請求項4記載の高タンパクゲル状食品。
【請求項6】
pHが2〜3.8である請求項1〜5のいずれか1つに記載の高タンパクゲル状食品。

【図1】
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【公開番号】特開2006−304727(P2006−304727A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−133885(P2005−133885)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【出願人】(000006116)森永製菓株式会社 (130)
【Fターム(参考)】