説明

高分子のマイクロ繊維エレメントを含む電子機器収容装置用フィルタ

本発明は、回転ディスクを含むハードディスクドライブ格納装置などの電子機器収容装置内に空気のろ過を提供し、任意に電子機器収容装置に空気を入れることを提供する。従って、本発明は、電子機器収容装置で使用するための粒子除去媒体を含むフィルタアセンブリに関する。ある実施例において、粒子除去媒体は、疎水性添加物と、少なくとも1つの高分子とを含む微細繊維を含む。いくつかの実施例において、粒子除去媒体は2つ以上の高分子の混合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器収容装置(electronic enclosure)で使用するための粒子除去媒体を含むフィルタアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、米国内の企業であり、米国を除く全ての国の指定に対する出願人をDonaldson Company,Inc.の名で、および、米国の指定に対する出願人としてマーク エー.ゴギンらの名で、2005年11月9日に国際特許(PCT)出願として出願されたものであり、かつ2004年11月9日に米国仮特許出願第60/626,824の優先権を主張するものである。
【0003】
ハード・ディスク・ドライブは格納装置であり、その中で、磁気材料でコーティングされている曲がらないフラッター(大皿)が急速に回転する。磁気の読み出し/書き込みヘッドは、ディスクのほんの数μm上のエアークッションの上を「飛ぶ」。高効率のハード・ディスク・ドライブを提供するために、ディスクに触れないで、できるだけディスクの近くにヘッドを配置することが好ましい。
【0004】
微粒子とガスの汚染物質がハード・ディスク・ドライブの効率と寿命を減少させるように作用することが見出された。ディスクドライブ中の汚染物質の共通のソースは、意図されたまたは意図されない漏れと、汚染物質を含み得る製造環境と、微粒子とガスを放出するディスクドライブ中に組み込まれた材料とを含む。
【0005】
再循環フィルタは、汚染物質を取り除くために、ハード・ディスク・ドライブおよび他の電子機器収容装置内で使用され、そのようなフィルタは、微粒子の汚染物質を有効に取り除いている。いくつかの再循環フィルタは、微粒子の汚染物質を集めて保持するように設計されている静電気媒体を含んでいる。しかしながら、いくつかのディスクドライブが晒される高温度では、静電気媒体は性能低下する場合がある。これらの問題は、自動車または移動装置にインストールされるディスクドライブなど、高温度環境に晒されるディスクドライブに対して特に重要であり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、電子機器収容装置中で使用するために、再循環フィルタの改良およびフィルタ媒体の改良が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、回転ディスクを含むハード・ディスク・ドライブ格納装置などの電子機器収容装置中で使用するためのフィルタアセンブリに方向付けられる。フィルタアセンブリは、電子機器収容装置での空気の濾過と、任意に、電子機器収容装置に入る空気の濾過を提供する。
【0008】
したがって、本発明は、電子機器収容装置(electronic enclosure)で使用するための微粒子除去媒体を含むフィルタアセンブリに部分的に方向付けられる。ある実施例では、微粒子除去媒体は、疎水性添加物(hydrophobic additive)と少なくとも1つの高分子とを含む微細繊維層を有する。いくつかの例では、微細繊維層は、2つ以上の高分子の混合物を含む。
【0009】
いくつかの例では、微細繊維層は、2つの高分子樹脂の混合物で形成され、0.01〜0.5μmの直径を有する繊維を含む。適切な微細繊維層は、約30.μm未満の厚みを有する層を含む種々の厚みで作ることができる。そのような薄い層は、微細繊維により高効率で微粒子の捕集を可能にし、種々の従来のフィルタ媒体と比べて気流に対する抵抗を減らして効率的に微粒子の捕集を可能にする。いくつかの例では、微細繊維層は、約20μm未満の厚みを有する。
【0010】
微粒子フィルタ媒体に加えて、フィルタアセンブリは、吸着剤材料を含むことができる。適切な吸着剤材料は、例えば、活性炭を含む。フィルタ媒体はさらに織物または不織布の基体を含み得る。適切な基体は、ガラス、高分子、金属、およびそれの組み合わせを含む。
【0011】
いくつかの実施例において、フィルタ媒体は、高温度と高湿度の挑戦的環境において優れた耐久性を示す。例えば、ある実施例では、微細繊維媒体は、約140°Fの温度と約100%の相対湿度を有する空気の流れに晒される場合、繊維の約50%以上が16時間以上生き残っている。そのような条件、特に高湿度は、ディスクドライブを含む正常な電子機器収容装置中では経験されそうにない。しかしながら、そのような極限条件下での耐久性は、微粒子フィルタ媒体の比較的穏やかな劣化でさえディスクドライブの機能に有害な場合がある、ディスクドライブ中の極限条件より低い耐久性を示唆するので利点がある。
【0012】
本発明の特別な例は、電子機器収容装置での使用のためのフィルタアセンブリに向けられ、該フィルタアセンブリは、微細繊維層と約8〜200g/m2の坪量を有する基体層とを含む微粒子除去媒体を含んでいる。微細繊維は、疎水性添加物と、少なくとも2つの異なる高分子の混合物とを含む混合物を有し、約0.01〜0.5μmの繊維サイズを有する。いくつかの実施例では、140°F、100%の相対湿度の空気で1〜16時間、晒した後で、微細繊維の少なくとも50%が実質的に変化せずに残っている。ある例では、微細繊維層は、疎水性添加物と、アクリル系高分子を含む高分子の混合物を含む。例えば、微細繊維層は、高分子樹脂と架橋剤の反応生成物から形成され得る。
【0013】
本発明の上記概要は、本発明のそれぞれ記載された実施例を記述することを意図するものではない。これは、図と以下の詳細な記載の目的である。
【0014】
本発明は、以下の図面を参照してより完全に理解され得る。本発明は様々な変更と代替形態を受けやすいが、その詳細は実施例と図面によって示され、詳細に記載されるだろう。しかしながら、本発明が記載されら特定の実施例に制限されないことは理解され得る。これに反して、本発明は、本発明の精神と範囲内での変更と、等価な物と代替手段と適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、微粒子汚染物質を取り除くために電子機器収容装置で使用する改良されたフィルタ媒体であって、物理的および化学的安定性が改良され、高温度での作動が期待される電子機器収容装置中での使用のために適切に適合しているフィルタ媒体を含むフィルタアセンブリを提供する。
【0016】
本発明は、ディスクドライブ格納装置中に配置するためのフィルタ構造物にも向けられる。フィルタ構造物は、格納装置中の空気と格納装置に入る空気のいずれかまたは両方から微粒子などの物理的な汚染物質を取り除くために構成され得る。運転温度が増加すると、静電気媒体(electrostatic media)の効率は減少する。本発明の媒体は、新しいディスクドライブの応用における作動に対して見積られる新しい高温度よりかなり上の温度で、影響を受けにくい機械的濾過を提供する。
【0017】
本発明のフィルタ媒体は、また、より小さい粒子を取り除こうとするとき、より良い効率を提供することができる。この改良された効率は、ディスクドライブの読み書きヘッドの飛行高さが低減するので、ますます重要となっている。
【0018】
本発明は、また、内部にフィルタ構造物を有するディスクドライブアセンブリに注意を向けられる。そのようなディスクドライブアセンブリは、格納装置、格納装置中に回転可能に取り付けられたディスク、およびフィルタ構造物を含む。格納装置中に配置されるフィルタ構造物は、ディスクドライブ格納装置を移動する気流中に配置されるハウジングと、ハウジング中の第1フィルタ部を含む。
【0019】
ここで、図を参照すると、本発明の実施例は、図を参照して詳細に記述されるが、いくつかの図面を通して同じ参照番号は、同じ部分およびアセンブリを示す。用語、「吸着」、「吸着する」「吸着剤」および同様物は、吸着及び吸収現象と吸着及び吸収材料の両方を含むことが理解される。他の流体はフィルタアセンブリによって濾過され得るが、空気からの汚染物質の濾過が例示として使用されるだろう。
【0020】
図1を参照すると、本発明に基づいて構成されたフィルタアセンブリ10の斜視図が示される。フィルタアセンブリ10は再循環フィルタエレメント12を含む。再循環フィルタエレメント12は、フィルタエレメントが空気の流れがエレメントの内部に通ることを可能にするように、フレームあるいは他の取り付け構造に固定されるように構成されたエッジ部14を有する。フィルタエレメント12の外側表面16、18は、小さい粒子の捕集に特に良く適合されているフィルタ媒体を含んでいる。
【0021】
図2は、図1の線A−A’に沿って得られるフィルタアセンブリ10の断面図を示す。特に、図3はフィルタアセンブリ10の全体の断面図を示す。図3に示された実施例において、フィルタアセンブリの内部20は、さらに活性炭などの吸着剤材料22を含む。
【0022】
フィルタアセンブリは、好ましい場合に、追加の層またはいくつかの層を持ち得るが、その層は上部と下部とで異なり得る。例えば、フィルタアセンブリは、一方の側のみに微粒子の吸収性層と、実質的に微粒子を除去しないで吸着性材料の飛散を防ぐ反対側の追加層とを有するように制限することができる。
【0023】
本発明のフィルタアセンブリを形成するのに使用される材料の追加の記載は以下に提供されるだろう。
【0024】
微粒子除去層
各フィルタアセンブリ10は、少なくとも1つの微粒子除去あるいは濾過層を含んでいる。適切な材料は、参照により本明細書にその全体が合体される米国特許第6,743,273号に記載された内容を含む。本明細書に記載されたフィルタ媒体は、熱、湿度、流速、サブミクロン微粒子、および他の過酷な条件の好ましくない影響に対する実質的に改良された抵抗力を有する。改良されたマイクロ繊維とナノ繊維の性能は、マイクロ繊維またはナノ繊維を形成する高分子材料の改良された特性の結果である。
【0025】
さらに、本発明の改良された高分子材料を使用する本発明のフィルタ媒体18は、研磨性の微粒子がゆるんだ繊維またはフィブリルがない滑らかな外表面と直面したときに、高効率で、少ない流れの規制で、高耐久性(関連するまたは環境に関連する圧力)を含む多くの有利な特徴を提供する。フィルタ媒体の全体構造は、単位体積当たりの媒体面積を改良し、媒体効率を改良し、流れの規制を減らすのを可能にする、全体に薄い媒体を提供する。
【0026】
電子機器収容装置に使用可能なフィルタ媒体は、マイクロ繊維とナノ繊維構成を含むことができる。ナノ繊維は、200nmまたは0.2μm未満の直径を有する繊維である。マイクロ繊維は、直径が0.2μmより大きく10μm以下の繊維である。このフィルタ媒体は、複数の微細繊維層の改良された多層の微細な濾過媒体構造の形態で作ることができる。本発明の微細繊維層は、連結するネットを形成するために結合され得る微細繊維のランダムな分布を含むことができる。濾過性能は、微粒子の通過に対する微細繊維の障壁の結果として、主に得られる。
【0027】
フィルタアセンブリのフィルタ媒体で使用される繊維の堅さ、強度、ひだ付きやすさは、微細繊維が接着されている基体によって提供され得る。微細繊維の連結のネットワークは、重要な特性として、マイクロ繊維あるいはナノ繊維の形態の繊維と、繊維間の比較的小さい空間とを有する。そのような空間は通常、約0.01〜約25μmあるいはより頻繁には約0.1〜約10μmの繊維間隔の範囲である。
【0028】
本発明の好ましい好ましい微細繊維フィルタ媒体は、高温度に条件づけられたかまたは高温で処理された、第1高分子と第2の異なる高分子(高分子の種類、分子量または物理的性質が異なる)を含む混合された高分子である。混合された高分子は、反応し一つの化学種を形成することができるか、またはアニーリング工程によって物理的に結合し混合された組成物になることができる。アニーリングは、結晶化度、応力緩和または配向などの物理的変化を示唆する。好ましい材料は、化学的に反応して、示差走査熱量計分析によって一つの高分子材料であると明らかされるような一つの高分子材料になる。そのような材料は、好ましい添加物と結合すると、高温度、高湿度および過酷な操作条件に接触したとき、疎油性(oleophobicity)、疎水性または他の関連する改良された安定性を提供するような、添加物の表面コーティングをマイクロ繊維上に形成することができる。
【0029】
フィルタ材料の微細繊維材料は、0.01μm未満から2μmまでの直径を持つことができる。そのようなマイクロ繊維は、高分子表面で部分的に溶解しているまたは混合している、添加物材料の分離した層、または、添加物材料の外側の被覆膜、または、それらの両方を有する滑らかな表面を持ち得る。
【0030】
混合された高分子系で使用するための適切な材料は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6-10、ナイロン6-66-610共重合体および他の線形の一般の脂肪族ナイロン組成物を含む。好ましいナイロン共重合体樹脂(SVP-651)は末端基の滴定で分子量が分析された(J.E.WaIzとG.B.Taylor,ナイロンの分子量決定、Anal.Chem.Vol.19,Number7,pp448-450(1947))。平均分子量数(Wn)は21,500と24,800の間あった。組成物は、3成分ナイロンの溶融温度の相図、約45%のナイロン6、約20%のナイロン66、および約25%のナイロン610、によって推定された(286ページ、ナイロン・プラスチック・ハンドブック、メルビン コハン編集、Hanser Publisher、ニューヨーク(1995))。
【0031】
87%〜99.9%以上の加水分解度を有するポリビニルアルコールは、これらの高分子系を使用するフィルタ媒体の製造に使用することができる。これらは、疎油性と疎水性の添加物材料とかなりの量で結合されるように、任意に架橋される。
【0032】
本発明の別の好ましい方法は、繊維寿命や操作上の特性を改良するために添加物組成物と結合された単一の重合体材料を含む。本発明のこの態様における有用な好ましい重合体は、ナイロン重合体、ポリ塩化ビニリデン重合体、ポリフッ化ビニリデン重合体、ポリビニルアルコール重合体、および、特に、強い疎油性と疎水性の添加物と結合すると、微細繊維表面上にコーティングで形成された添加物材料を有するマイクロ繊維またはナノ繊維をもたらし得るリストに載っている材料を含む。また、ナイロン類似物の混合物のような類似の重合体、ポリ塩化ビニル重合体の類似物、ポリ塩化ビニリデン重合体の混合物は本発明で有用である。
【0033】
さらに、重合した混合物または異なる種類の高分子の混合物もまた、電子機器収容装置中のフィルタ媒体としての使用のために認められる。この関連において、相溶性高分子の混合物はマイクロ繊維材料を形成するのに有用である。フッ素界面活性剤、非イオン界面活性剤、約3000未満の分子量を有する第三ブチルフェノール樹脂などの低分子量樹脂添加物組成物を使用することができる。樹脂は、メチレン架橋基がないとき、複数のフェノール核の間のオイゴマー結合によって特徴付けられる。水酸基と第三ブチル基の位置は環の周りにランダムに配置され得る。複数のフェノール核の間の結合は、ランダムに起こるよりは水酸基の近くで起こる。同様に、高分子材料は、ビス−フェノールAから形成されたアルコール可溶性で非線形の重合化された樹脂と結合することができる。そのような材料は、アルキレン基やメチレン基などの架橋基がないときに芳香族環と芳香族環とを直接接続するオリゴマー結合を使用して形成されるので、上記記載された第三ブチルフェノール樹脂と類似するものである。
【0034】
特別に本発明のフィルタ材料は、約0.01〜2μmの直径を持つマイクロ繊維の材料を有する。1つの特別な好ましい繊維サイズ範囲は0.05〜0.5μmである。そのような繊維は、優れたフィルタ性能、逆パルス洗浄(back pulse cleaning)および他の態様の容易さを提供する。
【0035】
形成後のフィルタエレメントの1つの重要なパラメータは、熱、湿度またはそれらの両方の影響に対する抵抗力である。本発明のフィルタ媒体の1つの態様は、温水中にかなりの期間の間、フィルタ媒体を浸漬したときに生き残る能力のテストである。浸漬テストは、微細繊維が高温多湿の条件で生き残る能力に関する貴重な情報を提供し得る。
【0036】
微細繊維フィルタ構造を有する別の適切なフィルタ材料は、2層あるいは多層の構造を含み、そこでは、1つ以上の合成織物、セルロース織物または混合した織物と結合している、あるいは分離している、1つ以上の微細繊維層を含む。別の任意のモチーフは、マトリックス中にあるいは他の繊維の混合物中に微細繊維を含む構造である。
【0037】
本出願人らは、フィルタ構造中の繊維とマイクロ繊維層の重要な特性は、特に、高温度で、マイクロ繊維が湿度、湿気または溶媒と接触したときの温度抵抗、湿度または湿気抵抗、および溶媒抵抗に関連すると信じる。さらに、本発明材料の第2の重要な特性は、基体構造への材料の付着に関連する。マイクロ繊維層の接着性は、フィルタ材料の重要な特性であり、フィルタ材料が基体からマイクロ繊維層を離層せずに製造され、マイクロ繊維および基体を、かなりの離層なしに、ひだ付き構造と、折り曲げられた材料構造と、他の構造とを含むフィルタ構造へと処理することができる。
【0038】
本出願人らは、温度を、1つの高分子材料の溶融温度、あるいは溶融温度より少し低い温度、通常は最低の溶融温度より低い温度まで昇温する製造プロセスの加熱ステップは、かなり繊維の互いの接着性および基体との接着性を改善することを見出した。溶融温度または溶融温度以上で微細繊維はその繊維状構造を失う。また、加熱速度を制御することも重要である。繊維が長い期間、結晶化温度にさらされると、繊維状構造を失う可能性がある。また、慎重な熱処理は、高分子特性を改良する。添加物材料が表面に移動すると、外側に添加物層を形成し、繊維表面上に疎水性基または疎油性基を露出する。
【0039】
性能の基準は、エンドユーザに依存するが、材料が140°F、160°F、270°F、300°Fなどの様々な操作温度で、30%、50%、80%または90%のフィルタ効率を保持しながら、無傷で1時間または3時間生き残れることである。別の性能の基準は、エンドユーザに依存するが、材料が140°F、160°F、270°F、300°Fなどの様々な操作温度で、30%、50%、80%または90%のフィルタ層中の有効な微細繊維を保持しながら、無傷で1時間または3時間生き残れることである。これらの温度での生き残りは、低湿度、高湿度、水が飽和した空気で重要である。本発明のマイクロ繊維とフィルタの材料は、材料が160°Fより高い温度で約5分以上の間、浸漬して生き残り、効率を維持することができる場合に耐湿性であると見なされる。同様に、本発明のマイクロ繊維材料とフィルタ材料における溶媒抵抗は、エタノール、炭化水素、作動油、または芳香族溶媒などの溶媒と70°Fで約5分間以上接触しても50%の効率を維持しながら生き残ることができる材料から得られる。
【0040】
本発明のマイクロまたはナノ繊維を含む層を有する微細繊維は、繊維であり得るし、好ましくは約0.001〜2μm、好ましくは0.05〜0.5μmの直径を持ち得る。通常の微細繊維濾過層の厚みは、約0.01〜240μg・cm-2の範囲の坪量を有する繊維直径の約1〜100倍の範囲である。
【0041】
高分子材料は、非織のおよび織られた織物、繊維およびマイクロ繊維で作られている。高分子材料は製品の安定性に必要な物理的な性質を提供する。これらの材料は、日光、湿度、高温または他の不利な環境の影響の存在により、寸法がかなり変化する、分子量の減少を受ける、柔軟性が低下する、応力破壊を受ける、または物理的に劣化するようなものであるべきではない。本発明は、環境の光、熱、湿度および他の物理的に挑発するものなどの入射電磁放射に直面して物理的な性質を維持することができる改良された高分子材料に関連する。
【0042】
本発明の高分子組成物で使用することができる高分子材料は、例えば、ポリオレフィン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、セルロースエーテルおよびエステル、ポリアルキレンサルファイド(polyalkylene sulfide)、ポリアリレンオキサイド(polyarylene oxide)、ポリスルフォン、修飾されたポリスルフォン重合体およびそれの混合物などの付加重合体材料と縮合重合体材料の両方を含む。これらの一般的なクラス内にある好ましい材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(ビニルクロライド)、ポリメチルメタクリレート(他のアクリルの樹脂)、ポリスチレン、およびそれらの共重合体(ABA型ブロック共重合体)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニリデン)、架橋されおよび架橋されていないで形態の種々の加水分解度(87%〜99.5%)のポリビニルアルコールを含む。好ましい付加重合体は、ガラス状(室温より高いTg)となる傾向がある。これは、ポリ塩化ビニル、ポりメチル・メタクリレート、ポリスチレン重合体組成物または混合物、結晶化度の低いポリフッ化ビニリデンとポリビニルアルコール材料の場合である。
【0043】
ポリアミド縮合重合体の1つの種類はナイロン材料である。用語「ナイロン」は、すべての長い鎖の合成ポリアミドの一般的な名称である。通常、ナイロンの命名法は、ナイロン−6,6などの一連の数を含み、それは、出発材料がC6ジアミンとC6二酸であることを示す(第1のケタがC6ジアミンを示し、第2のケタがC6ジカルボン酸化合物を示す)。別のナイロンは、少量の水があるとき、イプシロンカプロラクタムの縮合によって作ることができる。この反応は、線形のポリアミドであるナイロン-6(環状ラクタムから作られ、また、エピシロン(episilon)−アミノカプロン酸として知られる)を形成する。さらに、ナイロン共重合体体も考えられる。共重合体は、種々のジアミン化合物、種々の二酸化合物および種々の環状ラクタム構造を反応混合物中で結合し、次にポリアミド構造中にランダムに配置された単量体材料でナイロンを形成することによって作ることができる。例えば、ナイロン6,6−6,10材料は、ヘキサメチレンジアミンと、C6およびC10二酸との混合物から製造されたナイロンである。ナイロン6−6,6−6,10材料は、エピシロンアミノカプロン酸C6とヘキサメチレンジアミンとC10二酸の混合物の共重合によって製造されたナイロンである。
【0044】
また、ブロック共重合体も本発明のプロセスで有用である。そのような共重合体では、溶媒膨張剤の選択が重要である。選択された溶媒は両方のブロック共重合体が溶媒中で溶解可能なものである。1つの例が、塩化メチレン溶媒中のABA(スチレン−EP−スチレン)またはAB(スチレン-EP)重合体である。1つの成分が溶媒に可溶でないならば、それはゲルを形成するだろう。そのようなブロック共重合体の例が、Kraton(商標登録)型のスチレン−b−ブタジエンとスチレン−b−水素化されたブタジエン(エチレンプロピレン)、Pebax(商標登録)型のe−カプロラクタム−b−エチレンオキサイド、Sympatex(商標登録)のポロエステル−b−エチレンオキサイドと、エチレンオキサイドとイソシアン酸塩のポリウレタンである。
【0045】
ポリフッ化ビニリデン、シンジオタクチックポリスチレン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、無定形の付加重合体、例えば、ポリ(アクリロニトリル)およびアクリル酸とメタクリル酸エステルとを有するその共重合体、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)とその種々の共重合体、ポリ(メチルメタククリレート)およびその種々の共重合体などのような付加重合体は、低圧・低温で可溶性であるのでかなり容易に溶液紡織(solution spun)をすることができる。しかしながら、ポリエチレンとポリプロピレンのような高結晶性重合体料は、溶液紡織する場合に、高温度、高圧溶媒を必要とする。したがって、ポリエチレンとポリプロピレンの溶液紡織は非常に難しい。静電気溶液紡績(electrostatic solution spinning)はナノ繊維とマイクロ繊維を作る1つの方法である。
【0046】
化学吸収エレメント
いくつかの実施例では、フィルタアセンブリの少なくとも一部は、吸着エレメント、通常は炭素を含む化学的吸着材料を含む。従って、多層の濾過物品で使用される材料の少なくとも一部は、吸着性能を有する。吸着剤材料は、例えば、乾燥剤(すなわち、水あるいは水蒸気を吸着するまたは吸収する材料)、および/または、揮発性の有機化合物および/または酸性ガスを吸着する材料などの物理吸着剤および/または化学吸着剤を含むことができる。酸性ガスは、電子機器収容装置中で発生され得るので、酸性ガスの除去機能を高める化学薬品を含浸した有機蒸気除去層を含むことが好ましい。例示の化学薬品は、硫化水素(H2S)、塩酸(HCl)、塩素ガス(Cl2)、および同様のものを含む酸性ガスを取り除く含浸剤の能力を評価するのに使用することができる。
【0047】
適切な吸着剤材料は、例えば、活性炭、活性アルミナ、分子ふるい、シリカゲル、過マンガン酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ソーダ、硫酸カルシウム、またはそれの混合物を含む。吸着性材料は、例えば、水、水蒸気、酸性ガス、および揮発性の有機化合物を含む、1種類以上の汚染物質を吸着し得る。吸着剤材料は一種類の材料であり得るが、それらの材料の混合物でもあり得る。通常の操作において、−40℃〜100℃の温度範囲中で、安定して吸着する吸着剤材料が好まれる。炭素はたいていの場合に適していて、本発明での使用に適した炭素は、その全体が本明細書に合体される米国特許第6,77,335号公報に記載されている。
【0048】
吸着剤材料は、顆粒材料、錠剤、シート、または他の適切な形式の形態で提供され得る。ある実施例では、吸着剤材料は、一緒に結合されている粉末である。そのような例では、吸着剤材料は、形が決められた吸着商品中に形成する前は、粉末(100メッシュを通過する)か顆粒材料(28〜200メッシュ)であり得る。バインダーは、通常は、乾燥し、粉末状で、および/または、顆粒状で、吸着剤材料と混合され得る。いくつかの実施例では、バインダーと吸着剤材料は、一時的な液体バインダーを使用して混合され、次に、乾燥される。適切なバインダーは、例えば、微晶質セルロース、ポリビニルアルコール、でんぷん、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、二カルシウム燐酸二水塩(dicalcium phosphate dihydrate)および珪酸ナトリウム塩を含む。
【0049】
上記記載された本発明の例は、ハードドライブ格納装置に注意を向けられているが、本装置は他の電子機器収容装置と共に使用され得るし、ハードドライブ格納装置に制限されないのは理解されるだろう。さらに、本発明は、いくつかの特別な例を参照して記載されているが、当業者は、多くの変更が本発明の精神と範囲から逸脱しない範囲でなし得ることを認めるでだろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に基づいて組み立てられ、配置されてた基本なフィルタアセンブリの斜視図である。
【図2】図1の線AーA’に沿った図1の断面図である。
【図3】吸着剤材料を含み、本発明に基づいて作られたフィルタアセンブリの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器収容格納装置で使用するためのフィルタアセンブリであって、
疎水性添加物と少なくとも1つの高分子を含む高分子との混合物を有する微細繊維層を含む微粒子除去媒体を備えることを特徴とするフィルタアセンブリ。
【請求項2】
前記微細繊維層は、2つの高分子樹脂の混合物で形成され、0.01〜0.5μmの直径を有する繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項3】
前記微細繊維層は、少なくとも2つの高分子の混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項4】
前記微細繊維層は、約20μm未満の厚みを有することを特徴とする請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項5】
更に、吸着剤材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項6】
140°F(60℃)の温度と約100%の相対湿度とを有する空気の流れに晒された場合に、前記微細繊維層は、繊維の約50%以上が16時間以上生き残ることを特徴とする請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項7】
前記フィルタアセンブリは、織物基体または不織基体を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項8】
前記不織基体が、ガラス、高分子、金属およびそれらの組み合わせから選択された繊維を含むことを特徴とする請求項7に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項9】
電子機器収容装置で使用するためのフィルタアセンブリであって、
微細繊維の層と、
約8〜200g/m2の坪量を有する基体層と、
を有する微粒子除去層を備え、
前記微細繊維の層が、疎水性添加物と少なくとも2つの異なる種類の高分子の混合物を含む高分子との混合物を有し、
前記微細繊維の層は、約0.01〜0.5μmの繊維サイズを有し、
前記基体層は、フィルタ媒体を含み、
140°F(60℃)の温度、約100%の相対湿度の空気に1〜16時間晒された後で、微細繊維の少なくとも50%が実質的に変化しないことを特徴とするフィルタアセンブリ。
【請求項10】
前記微細繊維層は、疎水性添加物とアクリル系高分子を含む高分子との混合物を含むことを特徴とする請求項9に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項11】
前記微細繊維層は、高分子樹脂と架橋剤との反応生成物を含むことを特徴とする請求項9に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項12】
前記微細繊維層は、2つの高分子樹脂を含み、0.01〜0.2μmの直径を有することを特徴とする請求項9に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項13】
前記フィルタアセンブリは、更に吸着剤材料を含むことを特徴とする請求項9に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項14】
前記フィルタ媒体が、織物または不織基体を更に含むことを特徴とする請求項9に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項15】
電子機器収容装置で使用するための多層のフィルタアセンブリであって、
前記電子機器収容装置の開口部を覆って設置するために構成され配置されている第1フィルタ部であって、前記開口部を覆って前記第1フィルタ部を取り付けるための接着層を含む前記第1フィルタ部と、
前記電子機器収容装置内を循環する空気を濾過するために構成され配置されている第2フィルタ部と、
を有し、
少なくとも前記第1フィルタ部または前記第2フィルタ部は、疎水性添加物と少なくとも2つの異なる高分子の混合物を含む高分子との混合物を含む微細繊維層を有することを特徴とするフィルタアセンブリ。
【請求項16】
前記微細繊維層は、2つの高分子樹脂の混合物で形成され、0.01〜0.5μmの直径を有する繊維を含むことを特徴とする請求項15に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項17】
前記微細繊維層は、約30μm未満の厚みを有することを特徴とする請求項15に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項18】
前記微細繊維層は、約20μm未満の厚みを有することを特徴とする請求項15に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項19】
更に、吸着剤材料を含むことを特徴とする請求項15に記載のフィルタアセンブリ。
【請求項20】
140°F(60℃)の温度と約100%の相対湿度とを有する空気の流れに晒された場合に、前記微細繊維層は、繊維の約50%以上が16時間以上生き残ることを特徴とする請求項15に記載のフィルタアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−520056(P2008−520056A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540193(P2007−540193)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/040601
【国際公開番号】WO2006/053046
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(591163214)ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド (96)
【Fターム(参考)】