説明

高分子分散剤として適した化合物

本発明の化合物は、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルとポリイソシアネートとを、得られる化合物中に遊離イソシアネート基が実質的に存在しないような量にて反応させることによって得られる。ポリイソシアネート自体は、ポリオキシアルキレンジアミン、ポリオキシアルキレンジオール、ポリオキシアルキレンアルカノールアミン、ポリエステルジアミン、ポリエステルジオール、及びポリエステルアルカノールアミンからなる群から選択される1つのイソシアネート反応性分子と2つのポリイソシアネート分子との付加物であり、イソシアネート反応性分子の平均分子量が1000より大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高分子分散剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイソシアネート化合物とポリオキシアルキレンモノオールのモノアルキルエーテルとの組み合わせ物をベースとする分散剤が、例えば、米国特許出願第2002/0042492号、米国特許第4,079,028号、及びヨーロッパ特許出願第1106634A1号で知られている。
【0003】
高分子分散剤、すなわち1000g/モルより大きい平均分子量を有する分散剤は、2つの異なる相(例えば、液体中液体または液体中固体)を分散させるのに適した分散剤である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第2002/0042492号
【特許文献2】米国特許第4,079,028号
【特許文献3】ヨーロッパ特許出願第1106634A1号
【発明の概要】
【0005】
本発明にしたがって、比較的安価で、製造するのが簡単でそれほど複雑ではない、分散剤として適した化合物を設計した。この化合物は、平均すると限定された偏差の分子量を有していて、限定された工程数にて提供するのに適している。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルとポリイソシアネートとを反応させることによって得られる化合物が、遊離イソシアネート基が該化合物中に実質的に存在しないような量にて提供され、このときポリイソシアネートは、ポリオキシアルキレンジアミン、ポリオキシアルキレンジオール、ポリオキシアルキレンアルカノールアミン、ポリエステルジアミン、ポリエステルジオール、及びポリエステルアルカノールアミンからなる群から選択される1つのイソシアネート反応性分子と2つのポリイソシアネート分子との付加物であり、該イシソアネート反応性分子の平均分子量は1000より大きい。
【0007】
驚くべきことに、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルのアミン基を、ポリイソシアネートのイソシアネート基との結合に使用すると(これによりウレア結合が得られる)、分散剤として適した化合物が得られ、この化合物は、加水分解に対してより抵抗性があり、より高い温度に対して抵抗性がある、ということが見出された。つまり、加水分解安定性と温度安定性が、これらのウレア結合を使用することによって改良される。さらに、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルを使用すると、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルをイソシアネート基に結合させるのに触媒を使用しなくて済むという利点が得られる。したがって、本発明の化合物が製造される反応混合物から除去するのが困難な(仮に除去可能であるとしても)触媒の存在が避けられる。これらの触媒(一般には、イソシアネート基が結合したポリオキシアルキレンモノアルコールのモノアルキルエーテルを使用して別の分散剤を製造するのに必要である)は、しばしば分散剤を使用して得られる製品の分解を引き起こすことがある。したがって、本発明の化合物を製造するための反応混合物中にこのような触媒を存在させなくても済む結果、本発明の化合物が分散液中に分散剤として使用されるときに、より安定な分散液が得られる。
【0008】
したがって化合物は、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルとポリイソシアネートとの付加物であり、ポリイソシアネート自体は、2つのイソシアネート反応性基を含む1つのイソシアネート反応性分子と2つのポリイソシアネート分子との付加物である。
【0009】
特に明記しない限り、平均分子量は1モル当たりのグラム数で表示する。
幾つかの実施態様によれば、2つのポリイソシネート分子は同一であってよい。幾つかの実施態様によれば、2つのポリイソシネート分子は2つのものであってよい。
【0010】

幾つかの実施態様によれば、ポリイソシアネート分子はMDI分子であってよい。
ジイソシアネート分子は芳香族ベースのジイソシアネートであってよく、特に、トルエンジイソシアネート(TDI)またはメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)(例えば、4,4’−MDI、2,4’−MDI、2,2’−MDI、及びこうしたMDI変性体の任意の混合物)であってよい。メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)(例えば、4,4’−MDI、2,4’−MDI、2,2’−MDI、及びこうしたMDI変性体の任意の混合物)を使用するのが好ましい。
【0011】
ジイソシアネート分子は、脂肪族ベースのジイソシアネート〔例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)〕、または必要に応じて脂環式ベースのジイソシアネート〔例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)やジイソシアナートジシクロヘキシルメタン(H12MDI)〕であってよい。
【0012】
一般には、ポリイソシアネートは、ポリオキシアルキレンジアミン、ポリオキシアルキレンジオール、ポリオキシアルキレンアルカノールアミン、ポリエステルジアミン、ポリエステルジオール、及びポリエステルアルカノールアミンからなる群から選択されるイソシアネート反応性分子とジイソシアネート分子との付加物であり、2つのイソシアネート反応性基を有するイソシアネート反応性分子とジイソシアネートとを、イソシアネート反応性分子対ジイソシアネート分子が約1:2のモル比にて反応させる。
【0013】
これとは別に、ポリイソシアネート分子はトリイソシアネート(例えば三量化HDI)であってもよい。したがって、ポリオキシアルキレンジアミン、ポリオキシアルキレンジオール、ポリオキシアルキレンアルカノールアミン、ポリエステルジアミン、ポリエステルジオール、及びポリエステルアルカノールアミンとの反応後の、三量体の残留イソシアネートは、非反応性化合物が得られるよう追加のモノアミンによってブロックしなければならない。
【0014】
幾つかの実施態様によれば、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルは1000より大きい分子量を有してよい。
化合物に関しては、最大で6000もしくは6000よりさらに大きい分子量を得ることができる。
【0015】
イソシアネート反応性分子は、ポリオキシアルキレンジアミン、ポリオキシアルキレンジオール、またはポリオキシアルキレンアルカノールアミンであるのが好ましい。これらのポリオキシアルキレンジアミン、ポリオキシアルキレンジオール、及びポリオキシアルキレンアルカノールアミンは、ポリオキシアルキレン基を含む。
【0016】
ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルも、ポリオキシアルキレン基を含む。
ポリオキシアルキレン基は、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルからのものであろうと、イソシアネート反応性分子からのものであろうと、オキシアルキレン成分(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、オキセタン、ブチレンオキシド、エポキシブタン、テトラヒドロフラン、またはこれらの混合物)の重合によって得ることができる。2種以上の異なるオキシアルキレン成分の場合、種々のオキシアルキレンは、ランダム共重合させることもできるし、あるいはブロック共重合させることもできる(例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー)。
【0017】
本発明の幾つかの実施態様によれば、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルからのポリオキシアルキレン基は、少なくとも2種のオキシアルキレン基のブロックコポリマー(例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー)であってよい。
【0018】
本発明の幾つかの実施態様によれば、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルからのポリオキシアルキレン基は、少なくとも2種のオキシアルキレン基のランダムコポリマー(例えば、オキシエチレン基とオキシプロピレン基のランダムコポリマー)である。ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルからのポリオキシアルキレン基は、オキシエチレン基とオキシプロピレン基を含む(必要に応じて、オキシエチレン基とオキシプロピレン基からなる)ポリオキシアルキレン基であって、ランダム重合させることができるポリオキシアルキレン基であるのが好ましい。
【0019】
ランダム重合は、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルからのポリオキシアルキレン基中に、ブロック共重合のオキシエチレン基とオキシプロピレン基だけを有する本発明の化合物と比較して、本発明の化合物の融解温度を下げる効果を有する、ということが見出された。
【0020】
イソシアネート反応性成分のポリオキシアルキレン基は、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルのオキシアルキレン基とは異なるのが好ましい。他方、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルである分子の親水性と、イソシアネート反応性分子の親水性とは大幅に異なる(すなわち、大幅に異なるHLB値を有する)のが最も好ましい。HLBは、親水性/親油性バランスを表わす。
【0021】
ある分子のHLB値は0〜20の範囲の値であり、下式によって算出される。
【0022】
【数1】

【0023】
HLB値が高くなるほど、物質はより親水性になる。
幾つかの実施態様によれば、本発明の化合物は、11〜15の範囲のHLB値を有してよい。
【0024】
本発明の化合物のHLB値は12〜14の範囲(例えば13)であるのが好ましい。
ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルのHLB値は、好ましくは2〜18.6の範囲であってよい。
【0025】
一般には(必ずしも必要ではないが)、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルの親水性は比較的高い(すなわち、10〜19の範囲のHLB値を有する)。ポリオキシアルキレン基の少なくとも一部を得るのに、より親水性の高いオキシアルキル成分(最も好ましくはエチレンオキシド)を使用するのが好ましい。ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルを2種以上使用する場合、これら成分の親水性はほぼ同等であるのが好ましく、全く同じであってもよい。必要に応じて、ポリイソシアネートを、異なる分子量(MW)を有するが、同じ高HLB値を有する2種の異なるポリオキシアルキレンモノアミン〔例えば、2種の異なるポリエーテルモノアミン(例えば、約1000g/モルのMWを有するJEFFAMINE M−1000と約3000g/モルのMWを有するJEFFAMINE M−3000、どちらも17のHLB値を有する)〕と反応させることができる。例えば、1種以上の異なるポリオキシアルキレンモノアミンを使用することによる最終化合物のMWの変動は、分散特性と相溶化特性に影響を及ぼすことがある。しかしながら、ポリイソシアネート(好ましくはジイソシアネート)のイソシアネート基と反応させるのに、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルを1種だけ使用するのが好ましい。
【0026】
イソシアネート反応性分子のHLBは4〜14の範囲であってよい。一般には(必ずしも必要ではないが)、イソシアネート反応性分子の疎水性は、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルの疎水性より高い。ポリオキシアルキレン基の少なくとも一部を得るためには、より疎水性が高くてより親水性の低いオキシアルキレン成分(最も好ましくは、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、またはテトラメチレンオキシド)を使用するのが好ましい。
【0027】
イソシアネート反応性分子のHLB値は0であってよい。
最も好ましいのは、イソシアネート反応性成分のポリアルキレン基が、ポリプロピレンオキシド基及び/又はポリテトラメチレンエーテルグリコールであるが、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルのポリアルキレン基が、エチレンオキシドの(必要に応じて、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、及び/又はテトラメチレンオキシドと組み合わせた形の)付加物であるアルキレンオキシド基である、という本発明の化合物である。
【0028】
幾つかの実施態様によれば、ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルのポリオキシアルキレン基は、エチレンオキシドベースのポリオキシアルキレン基であってよい。ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルは、ポリオキシアルキレン基中にオキシアルキレン成分をもたらすのにエチレンオキシドだけを含んでよい。幾つかの実施態様によれば、イソシアネート反応性分子のポリオキシアルキレン基は、プロピレンオキシドベースのポリオキシアルキレン基であってよい。イソシアネート反応性分子のポリオキシアルキレン基は、ポリオキシアルキレン基中にオキシアルキレン成分をもたらすのにプロピレンオキシドだけを含んでよい。幾つかの実施態様によれば、イソシアネート反応性分子のポリオキシアルキレン基は、テトラメチレンオキシドベースのポリオキシアルキレン基であってよい。
【0029】
イソシアネート反応性分子のポリオキシアルキレン基は、ポリオキシアルキレン基中にオキシアルキレン成分をもたらすのにテトラメチレンオキシドだけを含んでよい。
イソシアネート反応性分子とポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルは、高い分子量(一般には1000より大きい)を有するのが最も好ましい。したがって本発明の化合物は、2000より大きい〔例えば3000より大きい(例えば、さらには400より大きい、あるいは5000より大きい)〕分子量を有してよい。
【0030】
本発明の幾つかの化合物、特に、イソシアネート反応性分子と、大幅に異なる疎水性を有するポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルとを含む化合物は、高分子分散剤として機能することがあり、ある相を他の相中に分散させる(すなわち、液体を液体中に、あるいはある固体を液体中に分散させる)ことができる、ということが見出された。より高い分子量を有していて(例えば、3000より大きい全体的な分子量を有していて)、イソシアネート反応性成分と、ポリオキシアルキレンモノアミンの2種のモノアルキルエーテル(それぞれが1000より大きい分子量を有する)とを含む本発明のこのような化合物は、こうした分散特性をさらに強く示す。
【0031】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様による化合物が分散剤として使用される。該化合物は、第1の液体を第2の液体中に、及び/又は、固体を液体中に分散させるのに使用することができる。
【0032】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様による化合物が可塑剤として使用される。該化合物は、熱可塑性材料もしくは熱可塑性ポリマー〔例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)〕、およびエンジニアリングプラスチック(例えば、ナイロンやポリエステル)を可塑化するのに使用することができる。該化合物は、フタレート可塑剤に対する代替物だけでなく、他の現行可塑剤(例えば、アジペート可塑剤やポリメリック可塑剤)に対する代替物となることがある。
【0033】
独立クレームと従属クレームは、本発明の特定の特徴と好ましい特徴を説明している。従属クレームからの特徴は、必要に応じて、独立クレームまたは他の従属クレームの特徴と組み合わせることができる。
【0034】
本発明の上記特性と他の特性、上記特徴と他の特徴、及び上記利点と他の利点は、例えば、本発明の原理を例証する下記の詳細な説明から明らかとなろう。この説明は、単に例を挙げるためになされており、この説明によって本発明の範囲が限定されることはない。
【0035】
本発明を、特定の実施態様に関して説明する。留意しなければならないことは、特許請求の範囲で用いる「含む(comprising)」という用語は、その後に挙げられる手段に限定されると解釈すべきではなく、他の要素もしくは工程を除外しない、という点である。したがって、含む(comprising)という用語は、言及されている特徴、工程、または成分の存在を明記しているが、1つ以上の他の特徴、工程、成分、またはこれらのグループの存在もしくは追加を除外しないと解釈すべきである。したがって、「手段AとBを含むデバイス」という表現の範囲は、成分AとBだけからなるデバイスに限定されてはならない。該表現は、本発明に関して、デバイスの唯一の関連成分がAとBである、ということを意味している。
【0036】
本明細書全体にわたって、「1つの実施態様」もしくは「ある実施態様」という言及がなされている。このような言及は、該実施態様に関して記載の特定の特徴が、本発明の少なくとも1つの実施態様中に含まれている、ということを示している。したがって、本明細書全体にわたる種々の箇所において「1つの実施態様では」もしく「ある実施態様では」というフレーズが現われても、必ずしも全て同じ実施態様に言及しているわけではない(そういうこともありうるが)。さらに、当業者には明らかなように、特定の特徴もしくは特性は、1つ以上の実施態様において任意の適切な仕方で組み合わせることができる。
【0037】
以後、MWという用語が使用される場合、この用語は、1モル当たりのグラム数として表示される、該成分の平均分子量を表わす。
【実施例】
【0038】
実施例I
2つのMDI分子とポリプロピレングリコールとの付加物であるいわゆるプレポリマーをポリエーテルモノアミンとを反応させた。こうして得られるプレポリマー(芳香族ベースのジイソシアネートであり、したがってイシアネート官能価が2である)は、10.2%のNCO価と412g/eqの当量を有し、ポリプロピレングリコールを2つのMDIベース末端間に有するポリマーを含む。このプレポリマーはエチレンオキシド基を含まないので、HLB値は0である。ポリエーテルモノアミンは約3000のMWを有し、平均で1分子当たり8のPO基と58のEO基を含む。HLB値は17.1である。
【0039】
該プレポリマーとポリエーテルモノアミンを三つ口丸底フラスコ中に装入した。プレポリマー対ポリエーテルモノアミンのモル比は1:1.5〜1:4であり、好ましくは1:1.9〜1:2.1である。フラスコに温度計とオーバーヘッドスターラーを取り付けた。反応混合物を窒素雰囲気で覆った。反応混合物を、40〜100℃(好ましくは40〜60℃)に保持しつつ1〜10時間撹拌した。こうして得られた反応混合物に対し、6824の平均分子量が見出された。反応混合物は、プレポリマーとポリエーテルモノアミンとの付加物である化合物(HLB値は14.9である)を含む。得られた反応混合物中には、プレポリマーとポリエーテルモノアミンとの付加物のほかに、MDIとポリエーテルモノアミンとの付加物も存在した。
【0040】
実施例II
別のプレポリマー(2つのH12MDI分子とポリテトラメチルエーテルグリコールとの付加物)をポリエーテルモノアミンと反応させた。こうして得られるプレポリマー(脂肪族ベースのジイソシアネートであり、イソシアネート官能価は2である)は、4.6〜4.9%のNCO値と887g/eqの平均当量を有し、2つのH12MDIベース末端間にポリテトラメチレンエーテルグリコールを有するポリマーを含む。このプレポリマーはエチレンオキシド基を含まないので、HLB値は0である。ポリエーテルモノアミンは約3000のMWを有し、平均で1分子当たり8のPO基と58のEO基を含む。HLB値は17.1である。
【0041】
該プレポリマーとポリエーテルモノアミンを三つ口丸底フラスコ中に装入した。プレポリマー対ポリエーテルモノアミンのモル比は1:1.5〜1:4であり、好ましくは1:1.9〜1:2.1である。フラスコに温度計とオーバーヘッドスターラーを取り付けた。反応混合物を窒素雰囲気で覆った。反応混合物を、40〜100℃(好ましくは40〜60℃)に保持しつつ1〜10時間撹拌した。こうして得られた反応混合物に対し、7770の平均分子量が見出された。反応混合物は、プレポリマーとポリエーテルモノアミンとの付加物である化合物(HLB値は13である)を含む。得られた反応混合物中には、プレポリマーとポリエーテルモノアミンとの付加物のほかに、H12MDIとポリエーテルモノアミンとの付加物も存在した。
【0042】
理解しておかねばならないことは、本発明の実施態様を提供するために好ましい実施態様及び/又は材料について説明してきたが、本発明の要旨を逸脱することなく種々の改良や変更を行うことができる、という点である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルとポリイソシアネートとを、得られる化合物中に遊離イソシアネート基が実質的に存在しないような量にて反応させることによって得られる化合物であって、
該ポリイソシアネートが、2つのポリイソシアネート分子と1つのイソシアネート反応性分子との付加物であり、該イソシアネート反応性分子が、ポリオキシアルキレンジアミン、ポリオキシアルキレンジオール、ポリオキシアルキレンアルカノールアミン、ポリエステルジアミン、ポリエステルジオール、及びポリエステルアルカノールアミンからなる群から選択され、該イソシアネート反応性分子の平均分子量が1000より大きい上記化合物。
【請求項2】
前記2つのポリイソシアネート分子が同一である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記2つのポリイソシアネート分子が2つのジイソシアネート分子である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネート分子がMDI分子である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が6000より大きい平均分子量を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルが1000より大きい分子量を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
化合物が11〜15の範囲のHLB値を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
前記ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルのポリオキシアルキレン基が、エチレンオキシドベースのポリオキシアルキレン基である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルからのポリオキシアルキレン基が、少なくとも2種の異なるオキシアルキレン基のランダムコポリマーである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
ポリオキシアルキレンモノアミンのモノアルキルエーテルからのポリオキシアルキレン基が、少なくとも2種の異なるオキシアルキレン基のブロックコポリマーである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
前記イソシアネート反応性分子が、ポリオキシアルキレンジアミン、ポリオキシアルキレンジオール、及びポリオキシアルキレンアルカノールアミンからなる群から選択され、前記イシソアネート反応性分子のポリオキシアルキレン基がプロピレンオキシドベースのポリオキシアルキレン基である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物の、分散剤としての使用。
【請求項13】
第1の液体を第2の液体中に分散させるための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
固体を液体中に分散させるための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物の、可塑剤としての使用。
【請求項16】
ポリ塩化ビニルを可塑化するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2012−530162(P2012−530162A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515410(P2012−515410)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057018
【国際公開番号】WO2010/145913
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(500030150)ハンツマン・インターナショナル・エルエルシー (56)
【Fターム(参考)】