説明

高分子化合物の結合評価方法

【課題】 高分子化合物と評価対象化合物との結合部位を従来よりも効率良く解明すると供に、高分子化合物と評価対象化合物との結合位置の信憑性を従来よりも向上させる。
【解決手段】 高分子化合物に対する評価対象分子の結合を数値計算に基づいて評価する方法であって、評価対象分子と高分子化合物との結合部位を、評価対象分子及び高分子化合物の評価対象分子に隣接する部分を含む所定限定領域における電子状態の不安定な部位として検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化合物の結合評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬の開発では、生体を構成する高分子化合物の1つであるタンパク質と薬候補剤との結合が評価される。すなわち、タンパク質に対する結合性の低いものは薬候補剤として適当ではなく、そのような低結合性のものは薬候補剤から除外される。また、上記結合性の評価手法としては、X線構造解析や古典分子動力学法が一般的に用いられている。
【0003】
例えば下記の先行技術文献には、古典分子動力学法を用いた結合性の解析事例として、タンパク質であるアデニル酸シクラーゼ(タイプII型)と薬候補剤としてのフォスコリンとの結合メカニズムの検討結果が開示されている。この先行技術文献では、アデニル酸シクラーゼの活性部位の中心にフォスコリン等の各種薬候補剤を置いた解析モデル(系)の内部エネルギー(=位置エネルギー+運動エネルギー)を古典分子動力学法を用いてそれぞれ算出することにより当該内部エネルギーが比較的小さいもの(つまり系をエネルギー的に安定化するもの)をアデニル酸シクラーゼに対して結合性の優れた薬候補剤として抽出すると共に、このようにして抽出された薬候補剤の1つであるフォスコリンについてアデニル酸シクラーゼとの結合部位を検討している。
【非特許文献1】Takeshi Onda et al., J. Bio. Chem., 276(2001) 47785-47793
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記古典分子動力学法はアデニル酸シクラーゼの活性部位と薬候補剤との結合性について一応の評価結果を与えてくれるものの、それのみによってアデニル酸シクラーゼと薬候補剤との結合部位とその結合状態とを明らかにすることはできない。例えば上記先行技術文献では、フォスコリンの側鎖に結合している原子あるいは分子を種々の原子や分子と置換することによってフォスコリンとアデニル酸シクラーゼの活性部位との結合部位を明らかにしているが、この作業には長期間と膨大な労力を必要とする実験に基づくものであり、よって非効率であり実用的ではない。
【0005】
また、上記先行技術文献の結合性評価手法はアデニル酸シクラーゼの活性部位の中心に薬候補剤を置いた解析モデルの内部エネルギーを評価するものであるが、信憑性に問題がありより信憑性のある評価手法が望まれている。すなわち、上記先行技術文献の結合性評価手法では、アデニル酸シクラーゼの活性部位に対する薬候補剤の位置が内部エネルギーに及ぼす影響を考慮していないので、信憑性が低い。本願の発明者は、フォスコリンの位置をアデニル酸シクラーゼの活性部位の中心からずらした解析モデルの方がフォスコリンをアデニル酸シクラーゼの活性部位の中心に置いた解析モデルよりも内部エネルギーが小さくなるという計算結果を得た。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであり、以下の点を目的とするものである。
(1)高分子化合物と評価対象化合物との結合部位を従来よりも効率良く解明する。
(2)高分子化合物と評価対象化合物との結合位置の信憑性を従来よりも向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、高分子化合物に対する評価対象分子の結合を数値計算に基づいて評価する方法であって、評価対象分子と高分子化合物との結合部位を、評価対象分子及び高分子化合物の評価対象分子に隣接する部分を含む所定限定領域における電子状態の不安定な部位として検出する、という解決手段を採用する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高分子化合物と評価対象化合物との結合部位を、評価対象分子及び高分子化合物の評価対象分子に隣接する部分を含む所定限定領域における電子状態の不安定な部位として数値計算によって検出するので、電子数が極めて多い高分子化合物を含む解析対象を効率的に数値解析することが可能であり、したがって従来の実験に基づく結合部位の解析手法に比較して結合部位の解析効率を飛躍的に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
なお、本実施形態は、高分子化合物としてのタンパク質、より具体的にはアデニル酸シクラーゼAの活性部位と評価対象化合物としての薬候補剤、より具体的にはフォスコリンBとの結合評価方法に関するものである。
【0010】
図1は、本結合評価方法の処理手順を示すフローチャートである。この処理手順において、ステップS1は前処理としての結合位置検出工程を示し、ステップS2〜S9は本処理としての結合部位検出工程を示している。
【0011】
さて、結合位置検出工程では、アデニル酸シクラーゼAとフォスコリンBとから成る解析モデルの内部エネルギー(=位置エネルギー+運動エネルギー)をコンピュータを用いた数値解析に基づいて評価することにより結合位置を特定する(ステップS1)。
【0012】
図2は、結合位置を特定するための解析モデルを模式的に示した模式図である。フォスコリンBとアデニル酸シクラーゼAとが結合する場合、フォスコリンBは、破線で示すアデニル酸シクラーゼAの活性部位のいずれかの位置に結合することになるが、本結合評価方法では、フォスコリンBの活性部位に対する位置を複数設定した状態における解析対象モデルの各内部エネルギーを古典分子動力学法を用いて各々数値計算し、各位置に対応する内部エネルギーのうち最小値となるものに対応するフォスコリンBの位置をアデニル酸シクラーゼAの活性部位におけるフォスコリンBの結合位置として特定する。
【0013】
例えば、図2に示すフォスコリンBの位置p1,p2,p3は代表としてピックアップした3箇所であるが、フォスコリンBを各位置p1,p2,p3に位置させた各解析対象モデルの内部エネルギーは以下のようになる。
位置p1:−122477.433kcal/mol
位置p2:−120889.463kcal/mol
位置p3:−124151.413kcal/mol
【0014】
これら内部エネルギーの相互比較から判るように、3つの位置p1,p2,p3のうちフォスコリンBを位置p3に配置した場合の内部エネルギーが最も小さい。これら3つの位置p1,p2,p3の他に複数の位置について内部エネルギーを求めたが、結果的に位置p3に配置した場合の内部エネルギーが最小値となる。すなわち、フォスコリンBは、アデニル酸シクラーゼAの活性部位のうち位置p3に置かれた状態のときに内部エネルギー的に最も安定した状態で活性部位と結合するので、フォスコリンBの活性部位に対する結合位置は位置p3であると特定される。
【0015】
このようにしてフォスコリンBの結合位置が特定されると、当該結合位置におけるフォスコリンBとアデニル酸シクラーゼAとの結合部位がステップS2〜S9の処理に基づいて特定される。このうちステップS2〜S6は、フォスコリンB及びアデニル酸シクラーゼAのフォスコリンBに隣接する部分を含む所定の限定領域Gについて波動関数Φ(r)を求めることにより当該限定領域Gの電荷密度ρ(r)をコンピュータを用いた数値計算によって求める工程(電荷密度算出工程)である。なお、波動関数Φ(r)及び電荷密度ρ(r)において、rは3次元空間上の座標を示す変数である。
【0016】
ここで、上記限定領域Gの設定方法について図3をも参照して説明する。図3は、水素原子に属する電子(1s軌道の電子)の波動関数R(k)を原子核を基点とした動径方向の距離kを変数として数値計算したグラフである。なお、このグラフでは、便宜上波動関数R(k)に距離kを乗算した値を縦軸とし、また横軸は原子核からの距離を単位a.u.(1a.u.=0.529オングストローム)で示している。
【0017】
波動関数R(k)は、周知のように電子の存在確率を示すものであり、このグラフでも原子核の位置では「0」であるが、距離kが大きくなるに従って大きくなり、原子核に比較的近いある距離において最大値を取ると、その後徐々に減少して「0」に漸近する。すなわち、波動関数R(k)が有意な値を取り得る距離範囲は原子核近傍に限定されており、この範囲よりも遠方の距離範囲では殆ど「0」とみなすことができる。このような波動関数R(k)の変化特性は、水素原子に属する電子だけではなく、他の原子、他の軌道に属する電子についても同様である。
【0018】
本実施形態では、このような波動関数の変化特徴を考慮することにより、波動関数が有意な値を取り得る距離範囲を上記限定領域Gとし、つまり3次元位置を表す変数rの範囲を波動関数が十分に大きな値を取り得る領域に限定し、この限定領域Gの波動関数Φ(r)のみを求めることにより当該限定領域Gの電荷密度ρ(r)を算出する。波動関数Φ(r)が有意な値を取り得る距離範囲は原子の種類及び電子軌道によって多少異なるが、原子核から10〜20オングストローム離れた距離では、殆どの原子及び電子軌道における電子の波動関数Φ(r)は「0」に漸近していると考えることができる。
【0019】
以上の観点から本実施形態では、限定領域Gを規定するしきい値として10〜20オングストロームを採用し、これによってフォスコリンBを構成する各原子の原子核を中心として半径10〜20オングストローム内の3次元空間を限定領域Gに設定している。この限定領域Gは、フォスコリンBとアデニル酸シクラーゼAのフォスコリンBに隣接する部分とを含む3次元空間である。このような限定領域Gを設定することにより、以下に説明する電荷密度算出工程における計算量が限定領域Gを設けない場合に比較して大幅に減少する。
【0020】
さて、電荷密度算出工程では、最初に上記限定領域Gについての波動関数Φ(r)と有効ポテンシャルV(r)の各初期値を設定し(ステップS2)、波動関数Φ(r)の初期値を次式(1)に代入することにより限定領域Gの全ての電子に基づく電荷密度ρ(r)の初期値を算出する(ステップS3)。
【0021】
【数1】

【0022】
そして、上記有効ポテンシャルV(r)の初期値及び電荷密度ρ(r)の初期値に基づいて以下のシュレディンガーの波動方程式(2)を解くことにより、上記限定領域Gの波動関数Φ(r)を算出する(ステップS4)。なお、このシュレディンガーの波動方程式(2)において、εは内部エネルギーの期待値である。
【0023】
【数2】

【0024】
さらに、シュレディンガーの波動方程式(2)から求められた波動関数Φ(r)を式(1)に代入することによって電荷密度ρ(r)を求め(ステップS5)、この電荷密度ρ(r)を前回の計算で求められた電荷密度ρ(r)とが等しいか否かを判断し(ステップS6)、両者が等しくない場合(NOの場合)は、ステップS5におけるシュレディンガーの波動方程式(2)を解くことによって求められた波動関数Φ(r)及び有効ポテンシャルV(r)を新たな初期値としてステップS4,S5の処理を繰り返すことにより、新たな波動関数Φ(r)及び電荷密度ρ(r)を求める。
【0025】
すなわち、今回の計算で求められた電荷密度ρ(r)が前回の計算で求められた電荷密度ρ(r)と等しくなるまでシュレディンガーの波動方程式(2)を繰り返し解くことにより、シュレディンガーの波動方程式(2)を満足する、つまり前回の電荷密度ρ(r)と等しい電荷密度ρ(r)を求める。
【0026】
このような電荷密度ρ(r)が求まると、ステップS6の判断はYESとなり、この電荷密度ρ(r)を以下の福井関数(3),(4)に代入することにより、上記限定領域Gにおける福井関数(3),(4)の値としてのLUMOf(r)及びHOMOf(r)が算出される(ステップS7)。
【0027】
【数3】

【0028】
【数4】

【0029】
このLUMOf(r)及びHOMOf(r)は、限定領域Gにおける電子状態の不安定さの度合いを示すものであり、一方のLUMOf(r)は電子受容性(電子を受け取り易い性質)の度合いを示し、他方のHOMOf(r)は電子供与性(電子を放出し易い性質)を示している。このようなLUMOf(r)及びHOMOf(r)を画像表示し(ステップS8)、この表示結果に基づいて限定領域GにおけるフォスコリンBとアデニル酸シクラーゼAとの結合部位、つまりフォスコリンBを構成するどの原子とアデニル酸シクラーゼAを構成するどの原子とが結合するかを特定する(ステップS9)。
【0030】
図4は、上記限定領域G内のフォスコリン近傍領域におけるLUMOf(r)及びHOMOf(r)を「Isosurface」として示す特性図である。すなわち、この特性図では、このフォスコリン近傍領域における最大値に対して90%に相当するLUMOf(r)及びHOMOf(r)に対応する部分(空間領域)を「Isosurface」とし、この「Isosurface」をフォスコリンBの分子構造に対応させて表示している。
【0031】
図4(a)はLUMOf(r)に関する上記「Isosurface」を示しているが、この図4(a)とフォスコリンBの分子構造を示す図4(c)とを対比させると解るように、図4(a)において比較的大きな空間として「Isosurface」が表示されている矢印の部分は、フォスコリンBの側鎖の1つである酸素原子(O)に該当する部分である。
【0032】
一方、図4(b)はHOMOf(r)に関する「Isosurface」を示しているが、この図4(b)とフォスコリンBの分子構造を示す図4(c)とを対比させると解るように、図4(b)において比較的大きな空間として「Isosurface」が表示されている矢印の部分は、フォスコリンBの側鎖の1つであるOH基(OH)に該当する部分である。
【0033】
この図4から、フォスコリンBの側鎖である酸素原子(O)は、フォスコリンBを構成する各原子の中でも電子受容性が著しく高く、またフォスコリンBの側鎖であるOH基(OH)は、フォスコリンBを構成する各原子の中でも電子供与性が著しく高いことが分かる。フォスコリンBとアデニル酸シクラーゼAの活性部位との結合は両者に各々属する原子の共有結合によって行われるので、フォスコリンBの上記酸素原子(O)及びOH基(OH)は、アデニル酸シクラーゼAの活性部位と結合する部位(結合部位)と考えられる。
【0034】
そして、このフォスコリンBにおける酸素原子(O)及びOH基(OH)がアデニル酸シクラーゼAの活性部位との結合部位であるという本結合評価方法の結果は、従来技術として示した先行技術文献の結果(実験結果)と完全に一致する。
【0035】
一方、上記限定領域Gにおいてアデニル酸シクラーゼAのフォスコリンBに隣接する部分に関するLUMOf(r)及びHOMOf(r)を上記福井関数(2),(3)に基づいて算出し、かつ「Isosurface」として表示することにより、アデニル酸シクラーゼAのフォスコリンBに隣接する部分について電子受容性及び電子供与性が高い部位(原子)を特定する。この結果も、従来技術として示した先行技術文献の結果(実験結果)と完全に一致する。なお、限定領域Gにおいてアデニル酸シクラーゼAのフォスコリンBに隣接する部分に関するLUMOf(r)及びHOMOf(r)を「Isosurface」として示す特性図については、原子が入り組んでいて図示し難いので省略する。
【0036】
すなわち、限定領域GにおけるフォスコリンB及びアデニル酸シクラーゼAのフォスコリンBに隣接する部分に関するLUMOf(r)及びHOMOf(r)に基づいてアデニル酸シクラーゼAの活性部位とフォスコリンBとの結合部位を特定する本結合評価方法は実験結果と完全に一致する十分に有効な結合部位評価手法である。
【0037】
また、本結合評価方法は、限定領域G内の原子のみを数値解析の対象とするので、フォスコリンB及びアデニル酸シクラーゼAの全構成原子を数値解析の対象とする場合に比較して波動関数Φ(r)及び電荷密度ρ(r)の算出に要する時間を大幅に短縮することが可能であり、よって従来の実験に基づく結合部位の解析手法に比較して結合部位の解析効率を飛躍的に向上させることが可能である。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態は評価対象化合物としてのフォスコリンBと高分子化合物の1つであるアデニル酸シクラーゼAとの結合に関するものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、高分子化合物はアデニル酸シクラーゼAに限定されず、他のタンパク質あるいは他の高分子化合物であっても良く、また評価対象化合物はフォスコリンBに限定されない。
【0039】
(2)上記実施形態では、限定領域Gを規定するしきい値として10〜20オングストロームを採用することによりフォスコリンBを構成する各原子の原子核を中心として半径10〜20オングストローム内の3次元空間を限定領域Gに設定し、このような限定領域Gを設定することによりLUMOf(r)及びHOMOf(r)の算出に必要となる電荷密度ρ(r)の算出における計算量を大幅に削減して解析効率を飛躍的に向上させている。そして、このような限定領域Gは、フォスコリンの構成原子に属する電子の波動関数Φ(r)が原子核から10〜20オングストローム離れた距離において「0」に漸近していると考えることができるという知見に基づいている。
【0040】
しかしながら、限定領域Gを規定する上記しきい値、つまり波動関数Φ(r)が有意な値を取るとみなす距離は10〜20オングストロームに限定されるものではない。また、フォスコリンの構成原子の種類や電子軌道によって波動関数Φ(r)の変化特性は異なるので、波動関数Φ(r)が有意な値を取る距離は構成原子の種類や電子軌道に応じて異なる。したがって、構成原子の種類や電子軌道毎に限定領域Gを規定するしきい値を設定するようにしても良い。
【0041】
(3)上記実施形態では電子状態の不安定な部位を福井関数(3),(4)を用いて特定するが、電子状態の不安定な部位の特定方法は福井関数(3),(4)に限定されるものではない。他の評価関数を用いて電子状態の不安定な部位を特定しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係わる結合評価方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施形態においてアデニル酸シクラーゼAの活性部位に対するフォスコリンBの結合位置を特定するための解析モデルの模式図である。
【図3】本発明の一実施形態において、動径方向の波動関数の変化特性の一例として、水素原子に属する1s軌道の電子の波動関数の変化を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施形態において、フォスコリン近傍領域におけるLUMOf(r)及びHOMOf(r)をIsosurfaceとして示す特性図である。
【符号の説明】
【0043】
A…アデニル酸シクラーゼ、B…フォスコリン、G…限定領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子化合物に対する評価対象分子の結合を数値計算に基づいて評価する方法であって、
前記評価対象分子と高分子化合物との結合部位を、評価対象分子及び高分子化合物の評価対象分子に隣接する部分を含む所定の限定領域における電子状態の不安定な部位として検出することを特徴とする結合評価方法。
【請求項2】
前工程として、前記高分子化合物と評価対象分子とから成る解析対象モデルの内部エネルギーが最小値を与える評価対象分子の位置を活性部位に対する結合位置として検出することを特徴とする請求項1記載の結合評価方法。
【請求項3】
古典分子動力学法に基づいて内部エネルギーを算出することを特徴とする請求項2記載の結合評価方法。
【請求項4】
福井関数に基づいて電子状態の不安定な部位を検出することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の結合評価方法。
【請求項5】
限定領域は、評価対象分子内の電子の波動関数が有意な値を取る領域であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の結合評価方法。
【請求項6】
高分子化合物はタンパク質であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の結合評価方法。
【請求項7】
評価対象分子は薬候補剤であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の結合評価方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−28038(P2006−28038A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205746(P2004−205746)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【Fターム(参考)】