説明

高分子担体組成物を含有してなる薬学的剤形

高分子担体組成物に分散した少なくとも1種の有効成分の固体分散生成物を含有してなる薬学的剤形であって、該高分子担体組成物が、a)ビニルピロリドンホモポリマー(該ホモポリマーの少なくとも95重量%が、1,000〜13,000の範囲内の分子量を持つような分子量分布をもつ)およびb)5,000〜1,500,000の重量平均分子量をもつビニルピロリドンコポリマーを含有してなる薬学的剤形。該剤形は好ましくは融成物押出し工程により調製する。該高分子担体組成物は高い薬物溶解力を有し、該剤形の機械的性質と保存安定性を劣化させることなく、融成物の粘度を低下させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬学的剤形、とりわけ、高分子担体組成物中に分散した有効成分の固体分散生成物を含有してなる経口投与用の薬学的剤形、および該剤形の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
活性薬学的成分(“薬物”ともいう)の経口剤形が有効であるか否かの基準は、当該剤形の経口投与後に観察される生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)である。経口投与した薬物の生物学的利用能には、様々な因子が影響し得る。これらの因子は、水溶性、胃腸管通過中の薬物吸収、用量の強さおよび初回通過効果などである。水溶性はこれらの因子の最も重要な因子の一つである。残念ながら、多くの既知薬物の結晶体は水性液に対し溶解性の乏しいのが特徴であり、そのことが薬物の溶解速度と生物学的利用能に影響を与えている。
【0003】
薬物の固体分散を形成することにより、固体剤形が提供する生物学的利用能を改善する試みがなされている。固体分散はその中の成分が胃液などの液状媒体と接触したときに、容易に液体溶液を形成するため、好適な物理系である。溶解の容易さは少なくとも一部、固体分散からの組成物の溶解に必要なエネルギーが、バルク結晶性固相からの組成物の溶解に必要なエネルギーよりも小さいという事実に帰することができる。
【0004】
溶解性の乏しい有効成分の溶解速度を上昇させる一手段としての固体分散の形成は、一般に、親水性ポリマー系を含む。薬学的製品開発における固体分散技術の障害は、結晶性薬物を分散状態または無定形状態に安定的に変換するためには、大量の担体が必要とされることである。
【0005】
融解処理技法は固体分散を形成するためにしばしば使用される。これらの方法は、有効成分と親水性ポリマーの融成物を、例えば、粉末混合物を熱融解押出機に押し込むことにより調製することからなる。適切な薬物の均一性と溶解性を得るためには、融成物の粘度が十分に低くなければならない。ポリマーの融成物粘度は一般に高温度で低下するので、十分に高い温度を採用することが、薬物のすぐれた均一性と溶解を達成することに繋がる。しかし、上昇温度でのバルク融解工程と混合工程は、該薬物を「熱履歴」にさらすこととなり、その場合、薬物の純度と効力がかなりの程度減少する。
【0006】
ポリマーの可塑化を惹き起こすある種の添加剤を融成物に取り込ませると、温度が幾分低くても薬物溶解の助けとなる。しかし、かかる添加剤が大量となると、剤形の機械的性質と保存安定性を劣化させ、薬物をより再結晶化させる傾向がある。
【0007】
国際特許出願WO97/26866は、フィケンチャーK値30を有するN−ビニルピロリドンのホモポリマー、N−ビニルピロリドンの水溶性コポリマーおよび生理学的に許容されるナトリウムもしくはカリウム塩の混合物を含有する融成物の押出しと成形により得られる非ステロイド鎮痛剤の製造について開示している。
【0008】
https://kuscholarworks.ku.edu/dspace/bitstream/1808/1176/1/SC08_T_Rades.pdf,でアクセスし得る“剤形および無定形形状の安定性−実用上の指針”と題する報文において、ラデス(T.Rades)はコリドン(Kollidone)17およびコリドン30の混合物からなる混和可能な賦形剤混合物の一例を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
改善された固体剤形の開発については継続して必要性がある。特に、より高い薬物溶解力を示し、および/または剤形の機械的性質と保存安定性を劣化させることなく融成物の粘度の低下を可能とする固体分散を形成するための高分子担体組成物が追求されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この度見出されたことは、ある種の親水性ポリマーが、均一に混合できること、また唯一つのガラス転移温度を有することである。これらのポリマーアロイは、それらの並外れた熱に対する性質および力学的性質により、大きな興味の対象である。
【0011】
本発明は高分子担体組成物に分散した少なくとも1種の有効成分の固体分散生成物を含有してなる薬学的剤形に関し、該高分子担体組成物は以下を含有してなる:
a)ビニルピロリドンホモポリマーであって、該ホモポリマーの少なくとも95重量%が、1,000〜13,000の範囲内の分子量を持つような分子量分布をもつホモポリマー;および
b)5,000〜1,500,000の重量平均分子量をもつビニルピロリドンコポリマー。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1はコリドンVA64/コリドン90Fの50/50(重量比)混合物のDSCサーモグラムを示す(実験は2回の繰り返しで実施した)。
【図2】図2はコリドンVA64/コリドン90F混合物と、対する該混合物の組成物のガラス転移温度のプロットを示す。
【図3】図3はコリドンVA64/コリドンK17の60/40(重量比)混合物のDSCサーモグラムを示す(実験は2回の繰り返しで実施した)。
【図4】図4はコリドンVA64/コリドンK17の40/60(重量比)混合物のDSCサーモグラムを示す(実験は2回の繰り返しで実施した)。
【図5】図5はコリドンVA64/コリドンK17混合物と、対する該混合物の組成物のガラス転移温度のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
該ビニルピロリドンコポリマーは5,000〜1,500,000、好ましくは10,000〜80,000の重量平均分子量を有する。このものは水溶性の薬学的に許容されるビニルピロリドンコポリマー類から選択し得る。水溶液中に、20℃で2%(w/v)に溶解する場合、該コポリマーは1〜5,000mPa.sの見掛け粘度、より好ましくは、1〜700mPa.s、最も好ましくは、5〜100mPa.sの見掛け粘度を有する。
【0014】
好適な実施態様においては、ビニルピロリドンコポリマーの重量平均分子量とその数平均分子量の比(Mw/Mn)が、1.5〜5.0の範囲、好ましくは、2.0〜4.5の範囲にある。この範囲内のMw/Mn比は固体分散生成物の硬さと磨耗抵抗に関して好適であると信じられる。
【0015】
好ましくは、本発明にて使用されるビニルピロリドンコポリマーは、少なくとも40℃のTg、好ましくは少なくとも+50℃、最も好ましくは80℃〜180℃のTgを有する。“Tg”とは、ガラス転移温度を意味する。有機ポリマー類のTg値の測定法は、L.H.Sperling著、“物理高分子科学序論(Introduction to Physical Polymer Science)”、第2版、John Wiley&Sons社、1992年に記載されている。Tg値は、該ポリマーを構成する個々のモノマーiの各々から誘導されるホモポリマーに対するTg値の加重総和として計算され得る;Tg=ΣW(ただし、Wは有機ポリマー中のモノマーiの重量パーセントである;またXはモノマーiから誘導されるホモポリマーに対するTg値である)。ホモポリマーのTg値は、J.Brandrup及びE.H.Immergut著, “ポリマーハンドブック(Polymer Handbook)”,第2版、John Wiley&Sons社、1975年、に示されている。
【0016】
本発明にて使用されるビニルピロリドンコポリマーは、N−ビニル−2−ピロリドン(以下、単にビニルピロリドンともいう)および少なくとも1種のビニルピロリドン以外のコモノマーを含有する。一般に、ビニルピロリドンコポリマーは、コポリマーの総重量に対して、20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%のビニルピロリドン単位から構成される。
【0017】
該コモノマーはカルボキシレート基含有モノマー(例えば、クロトン酸またはマレイン酸無水物)、またはアミンもしくはアミド基含有コモノマー(例えば、ビニルアミン、N,N’−ジメチルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルアクリレートもしくはジアルキルアミノアルキルメタアクリレート、例:アクリル酸ジメチルアミノエチルもしくはメタアクリル酸ジメチルアミノエチル;ジアルキルアミノアルキルスチレン、例:ジメチルアミノメチルスチレン;またはN−ビニルイミダゾール)から適当に選択し得る。該アミン基含有コモノマーは、四級化されていなくても、またはガフクアット(GAFQUAT)−734(80%N−ビニル−2−ピロリドンおよび20%メタアクリル酸ジメチルアミノエチルの50%第四級化コポリマー)の場合のように四級化されていてもよい。
【0018】
しかし、好適なコモノマーは酢酸ビニルまたはプロピオン酸ビニルなどのビニルエステルである。酢酸ビニルが最も好ましいコモノマーである。
特に好適なビニルピロリドンコポリマーは、該コポリマーの60重量%がN−ビニルピロリドンであり、該コポリマーの40重量%が酢酸ビニルからなるコポリマーである。このものは、Kollidon(コリドン、登録商標)VA64、あるいはKollidon(コリドン、登録商標)K28として、ドイツ国、ルードゥイッヒシャフェンのBASF SEから入手し得る。
【0019】
ビニルピロリドンホモポリマーはポリビニルピロリドン(PVP)ともいう。本発明において有用なビニルピロリドンホモポリマーは、該ポリマーの少なくとも95重量%が1,000〜13,000の範囲、好ましくは、2,000〜11,000の範囲の分子量を有するような分子量分布をもつ。
【0020】
本発明にて有用な異なる等級のビニルピロリドンホモポリマーは、PVP K12、PVP K15、またはPVP K17など、市販品として入手し得る。この命名法にて言及するK値は、水溶液中のPVPの粘度からフィケンチャーの式により、水の値に比較して計算する。本発明にて採用すべき特に好適なビニルピロリドンホモポリマーは、PVP K12またはPVP K17または両者の混合物からなる。
【0021】
好適な実施態様において、該高分子担体組成物は、示差走査熱量計で測定した場合、単一のガラス転移温度Tgを示す。一般に、Tgはビニルピロリドンコポリマーとビニルピロリドンホモポリマーの各々に相当するガラス転移温度間の中間の位置を取る。単一のTgが生ずることは、個々のポリマーが分子レベルで互いに混じり合って、熱力学的に定義される一相からなるポリマーアロイもしくは均一な系を与えることを意味している。
【0022】
一般に、a)ビニルピロリドンホモポリマーとb)ビニルピロリドンコポリマーとの重量比は、5:95〜50:50の範囲、好ましくは、10:90〜40:60の範囲にある。
【0023】
本発明の剤形において、有効成分は固体分散体として、または、好ましくは固溶体として、存在する。“固体分散体”という用語は、少なくとも2種の成分を含み、そのうち1成分が他の成分あるいは他の成分類全体におおよそ均一に分散されている固体状態(液体または気体状態とは対照的である)における系と定義される。“固体分散体”という用語は、典型的には直径が1μm未満の小粒子類を有し、一相が別の相に分散されている系を含む。
【0024】
好適な固溶体においては、有効成分が分子レベルで高分子担体組成物中に分散している。典型的に、これらの系は化学的に、また物理的に全体として一様もしくは均一であるか、または一つの相からなる(熱力学的に定義した場合)。かかる固体分散体は“固溶体”または“ガラス溶液”とも呼称する。ガラス溶液は均一なガラス系であり、その溶質はガラス溶媒中に溶解している。ガラス溶液および固溶体は好適な物理系である。これらの系は、熱分析(DSC)またはX線回折分析(WAXS)により証明されるように、有意な量の結晶性もしくは微結晶性状態の有効成分を含まない。
【0025】
本発明による剤形はすぐれた安定性を特徴とし、とりわけ、有効成分(類)の再結晶化または分解に対して高い抵抗性を示す。
固体分散生成物はさらに、可溶化剤、流動調節剤、崩壊剤、充填剤および滑沢剤から選択される少なくとも1種の添加剤を含有し得る。
【0026】
一実施態様において、本発明による剤形は以下からなる方法により得られる:
a)少なくとも1種の活性剤、該高分子担体組成物および少なくとも1種の溶媒を含有する液体混合物を調製すること;および
b)該液体混合物から溶媒を除去し、固体分散生成物を得ること。
【0027】
他の一実施態様において、本発明による剤形は以下からなる方法により得られる:
a)少なくとも1種の有効成分と該高分子担体組成物の均一な融成物を調製すること;および
b)該融成物を凝固させ、固体分散生成物を得ること。
【0028】
選択肢として、固体分散生成物は粉砕し、圧縮して錠剤とする。
一般に、該固体分散生成物は、固体分散生成物総重量に対して、約0.001〜80重量%、好ましくは、約5〜50重量%の少なくとも1種の有効成分を含有してなる。
【0029】
一般に、該固体分散生成物は、固体分散生成物総重量に対して、約99.99〜20重量%、好ましくは、約95〜50重量%の高分子担体組成物を含有してなる。
【0030】
好適な実施態様において、該固体分散生成物は、固体分散生成物総重量に対して、約0.1〜40重量%、好ましくは、約0.5〜10重量%の少なくとも1種の薬学的に許容される可溶化剤を含有してなる。
【0031】
本発明の剤形が全体として固体分散生成物から構成され得る一方で、固体分散生成物を剤形に剤形化する際には、添加剤および補助剤が通常使用される。一般に、該剤形は、固体剤形の総重量に基づき、少なくとも10重量%、好ましくは、少なくとも40重量%、最も好ましくは、少なくとも45重量%の固体分散生成物を含有してなる。
【0032】
薬学的に有効な成分とは生物学的に活性な薬剤であり、局所生理作用を示すもの、並びに経口投与後に全身作用を示すものである。本発明は特に水不溶性または水難溶解性(または“疎水性”または“親油性”)化合物に対し有用である。25℃の水に対する溶解度が1g/100ml未満、とりわけ、0.1g/100ml未満である化合物は、水不溶性または水難溶解性と見なす。
【0033】
薬学的に有効な成分の例は、限定されるものではないが、以下のとおりである:
鎮痛剤および抗炎症剤:例えば、フェンタニル、インドメタシン、イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナック、ジクロフェナックナトリウム、フェノプロフェン、アセチルサリチル酸、ケトプロフェン、ナブメトン、パラセタモール、ピロキシカム、メロキシカム、トラマドール、およびCOX−2インヒビター(セレコキシブおよびロフェコキシブなど);
抗不整脈剤:例えば、プロカインアミド、キニジンおよびベラパミル;
【0034】
抗菌剤および抗原虫剤:例えば、アモキシシリン、アンピシリン、ベンザチンペニシリン、ベンジルペニシリン、セファクロール、セファドロキシル、セフプロジル、セフロキシムアキセチル、セファレキシン、クロラムフェニコール、クロロキン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クリンダマイシン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、フルクロキサシリンナトリウム、ハロファントリン、イソニアジド、硫酸カナマイシン、リンコマイシン、メフロキン、ミノサイクリン、ナフシリンナトリウム、ナリジクス酸、ネオマイシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オキサシリン、フェノキシメチル−ペニシリンカリウム、ピリメタミン−スルファドキシムおよびストレプトマイシン;
【0035】
抗凝血剤:例えば、ワーファリン;
抗鬱剤:例えば、アミトリプチリン、アモキサピン、ブトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドチエピン、ドキセピン、フルオキセチン、レボキセチン、アミネプチン、セレギリン、ゲピロン、イミプラミン、炭酸リチウム、ミアンセリン、ミルナシプラン、ノルトリプチリン、パロキセチン、セルトラリンおよび3−[2−[3,4−ジヒドロベンゾフロ[3,2−c]ピリジン−2(1H)−イル]エチル]−2−メチル−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン;
【0036】
抗糖尿病薬:例えば、グリベンクラミドおよびメトホルミン;
抗癲癇薬:例えば、カルバマゼピン、クロナゼパム、エトスクシミド、ガバペンチン、ラモトリギン、レベチラセタム、フェノバルビトン、フェニトイン、プリミドン、チアガビン、トピラマート、バルプロミドおよびビガバトリン;
【0037】
抗真菌剤:例えば、アンホテリシン、クロトリマゾール、エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、硝酸ミコナゾール、ニスタチン、テルビナフィンおよびボリコナゾール;
【0038】
抗ヒスタミン剤:例えば、アステミゾール、シンナリジン、シプロヘプタジン、デカルボエトキシロラタジン、フェキソフェナジン、フルナリジン、レボカバスチン、ロラタジン、ノルアステミゾール、オキサトミド、プロメタジンおよびテルフェナジン;
【0039】
降血圧剤:例えば、カプトプリル、エナラプリル、ケタンセリン、リシノプリル、ミノキシジル、プラゾシン、ラミプリル、レセルピン、テラゾシンおよびテルミサルタン;
抗ムスカリン剤:例えば、硫酸アトロピンおよびヒヨスチン;
【0040】
抗悪性腫瘍剤および代謝拮抗剤:例えば、白金化合物、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン;タキサン類、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル;テカン類、例えば、カンプトテシン、イリノテカンおよびトポテカン;ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンクリスチンおよびビノレルビン;ヌクレオシド誘導体および葉酸アンタゴニスト、例えば、5−フルオロウラシル、カペシタビン、ゲムシタビン、メルカプトプリン、チオグアニン、クラドリビンおよびメトトレキセート;ナイトロジェンマスタードなどのアルキル化剤、例えば、シクロホスファミド、クロランブシル、クロルメチン、イホスファミド、メルファラン、またはニトロソウレア、例えば、カルムスチン、ロムスチン、または他のアルキル化剤、例えば、ブスルファン、ダカルバジン、プロカルバジン、チオテパ;抗生物質、例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシンおよびマイトマイシン;HER2抗体、例えば、トラスツズマブ;ポドフィロトキシン誘導体、例えば、エトポシドおよびテニポシド;ファメシルトランスフェラーゼインヒビター;アントラキノン誘導体、例えば、ミトキサントロン;チロシンキナーゼインヒビター、例えば、グリーベック;PARPインヒビター;BCL2インヒビター;
【0041】
抗ミグレイン薬:例えば、アルニジタン、ナラトリプタンおよびスマトリプタン:
抗パーキンソン病薬:例えば、メシル酸ブロモクリプチン、レボドーパ、およびセレギリン;
抗精神薬、催眠薬および鎮静剤:例えば、アルプラゾラム、ブスピロン、クロルジアゼポキシド、クロルプロマジン、クロザピン、ジアゼパム、フルペンチキソール、フルフェナジン、フラゼパム、9−ヒドロキシリスペリドン、ロラゼパム、マザペルチン、オランザピン、オキサゼパム、ピモジド、ピパンペロン、ピラセタム、プロマジン、リスペリドン、セルホテル、セロクエル、セルチンドール、スルピリド、テマゼパム、チオチキセン、トリアゾラム、トリフルペリドール、ジプラシドンおよびゾルピデム;
【0042】
抗発作薬:例えば、ルベルゾール、ルベルゾールオキシド、リルゾール、アプチガネル、エリプロジルおよびレマセミド;
鎮咳薬:例えば、デキストロメトルファンおよびレボドロプロピジン;
【0043】
抗ウイルス剤:例えば、アシクロビル、ガンシクロビル、ロビリド、チビラピン、ジドブジン、ラミブジン、ジドブジン/ラミブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、アバカビル、ロピナビル、アンプレナビル、ネビラピン、エファビレンツ、デラビリジン、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、アデホビルおよびヒドロキシウレア;
【0044】
ベータ−アドレナリン受容体遮断剤:例えば、アテノロール、カルベジロール、メトプロロール、ネビボロールおよびプロパノロール;
心臓変力剤:例えば、アムリノン、ジギトキシン、ジゴキシンおよびミルリノン;
【0045】
コルチコステロイド:例えば、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンおよびトリアムシノロン;
殺菌剤:例えば、クロルヘキシジン;
利尿剤:例えば、アセタゾールアミド、フロセミド、ヒドロクロロチアジドおよびイソソルビド;
【0046】
酵素類;
胃腸薬:例えば、シメチジン、シサプリド、クレボプリド、ジフェノキシラート、ドンペリドン、ファモチジン、ランソプラゾール、ロペラミド、ロペラミドオキシド、メサラジン、メトクロプラミド、モサプリド、ニザチジン、ノルシサプリド、オルサラジン、オメプラゾール、パントプラゾール、ペルプラゾール、プルカロプリド、ラベプラゾール、ラニチジン、リドグレルおよびスルファサラジン;
止血剤:例えば、アミノカプロン酸;
【0047】
HIVプロテアーゼ阻害化合物:例えば、リトナビル、ロピナビル、インジナビル、サキナビル、5(S)−Boc−アミノ−4(S)−ヒドロキシ−6−フェニル−2(R)−フェニルメチルヘキサノイル−(L)−Val−(L)−Phe−モルホリン−4−イルアミド;1−ナフトキシアセチル−ベータ−メチルチオ−Ala−(2S,3S)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−ブタノイル 1,3−チアゾリジン−4−t−ブチルアミド;5−イソキノリンオキシアセチル−ベータ−メチルチオ−Ala−(2S,3S)−3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−ブタノイル−1,3−チアゾリジン−4−t−ブチルアミド;[1S−[1R−(R−),2S]]−N’−[3−[[[(1,1−ジメチルエチル)アミノ]カルボニル](2−メチルプロピル)アミノ]−2−ヒドロキシ−1−(フェニルメチル)プロピル]−2−[(2−キノリニルカルボニル)アミノ]ブタンジアミド;アンプレナビル;DMP−323;DMP−450;ネルフィナビル、アタザナビル、チプラナビル、パリナビル、ダルナビル、RO033−4649、フォサンプレナビル、P−1946、BMS186,318、SC−55389a;BILA1906BS、チプラナビル;
【0048】
脂質調節剤:例えば、アトルバスタチン、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸、ロバスタチン、プラバスタチン、プロブコールおよびシンバスタチン;
局所麻酔剤:例えば、ベンゾカインおよびリグノカイン;
オピオイド鎮痛剤:例えば、ブプレノルフィン、コデイン、デキストロモラミド、ジヒドロコデイン、ヒドロコドン、オキシコドンおよびモルヒネ;
【0049】
副交感神経作動薬および抗認知症薬:例えば、AIT−082、エプタスチグミン、ガランタミン、メトリホナート、ミラメリン、ネオスチグミン、フィソスチグミン、タクリン、ドネペジル、リバスチグミン、サブコメリン、タルサクリジン、キサノメリン、メマンチンおよびラザベミド;
ペプチドおよびタンパク質:例えば、抗体、ベカプレルミン、シクロスポリン、タクロリムス、エリスロポイエチン、イムノグロブリンおよびインスリン;
【0050】
性ホルモン:例えば、エストロゲン:複合エストロゲン、エチニルエストラジオール、メストラノール、エストラジオール、エストリオール、エストロン;プロゲストゲン:酢酸クロルマジノン;酢酸シプロテロン、17−デアセチルノルゲスチマート、デソゲストレル、ジエノゲスト、ジドロゲステロン、二酢酸エチノジオール、ゲストデン、3−ケトデソゲストレル、レボノルゲストレル、リネストレノール、酢酸メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ノルエチノドレル、ノルゲスチスマート、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン、プロゲステロンおよび酢酸キンゲスタノール;
【0051】
刺激剤:例えば、シルデナフィル、バルデナフィル;
血管拡張剤:例えば、アムロジピン、ブフロメジル、亜硝酸アミル、ジルチアゼム、ジピリダモール、三硝酸グリセリル、二硝酸イソソルビド、リドフラジン、モルシドミン、ニカルジピン、ニフェジピン、オクスペンチフィリン、および四硝酸ペンタエリスリトール;
それらのN−オキシド、それらの薬学的に許容される酸もしくは塩基付加塩、およびそれらの立体化学的異性体。
【0052】
薬学的に許容される酸付加塩は、塩基形状の有効成分を適切な有機および無機の酸で処理することにより常套的に得られる酸付加塩の形状を含んでなる。
酸性プロトンを含む有効成分は、適切な有機および無機の塩基で処理することにより、それらの非毒性金属もしくはアミン付加塩の形状に変換し得る。
【0053】
用語“付加塩”とは、有効成分が形成し得る水和物および溶媒付加体をも含む。かかる形状の例は水和物、アルコラートなどである。
有効成分のN−オキシドの形状は、有効成分中の1個または数個の窒素原子がいわゆるN−オキシドに酸化されているものを包含する。
【0054】
用途“立体化学的異性体”とは、有効成分が保持し得るすべての可能性のある立体異性体と定義する。とりわけ、立体形成中心は、R−またはS−立体配置を有し得、1個もしくはそれ以上の二重結合を有する有効成分は、EまたはZ−立体配置を有し得る。
【0055】
固体分散生成物は1種以上の可塑剤を含み得る。可塑剤の量は、好ましくは、固体分散生成物の総重量に対して、15重量%を超えず、より好ましくは、5重量%を超えない。本発明にて有用な可塑剤は、有機の、好ましくは非揮発性化合物、例えば、C〜C30−アルカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ブタンジオール、ペンタノール類(例:ペンタエリスリトール)およびヘキサノール類、ポリアルキレングリコール類、好ましくは、分子量200〜1,000のもの、例えば、ポリエチレングリコールなど(例:PEG300、PEG400)、ポリプロピレングリコール類およびポリエチレン/プロピレングリコール類、シリコーン類、芳香族カルボン酸エステル類(例:フタル酸ジアルキル、トリメリット酸エステル、安息香酸エステル、テレフタル酸エステル)または脂肪族ジカルボン酸エステル(例:アジピン酸ジアルキル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、クエン酸および酒石酸エステル、とりわけ、クエン酸トリエチル)、脂肪酸エステル類、例えば、モノ−、ジ−もしくはトリ−酢酸グリセロールまたはスルホコハク酸ジエチルナトリウムである。特に好適な可塑剤は、トリ酢酸グリセリル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールおよびその混合物からなる群より選択される。
【0056】
該固体分散生成物は少なくとも1種の薬学的に許容される可溶化剤を含み得る。用語“薬学的に許容される可溶化剤”とは、本明細書にて使用する場合、薬学的に許容される非イオン性界面活性剤をいう。該可溶化剤は、胃腸管の水性液中で、剤形から放出される有効成分の即時乳化を効果的に惹き起こし、および/または有効成分の沈殿を予防する。可溶化剤は単一で使用しても良いし、数種を組み合わせて使用してもよい。
【0057】
好適な可溶化剤は、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリアルコキシル化脂肪酸エステル、例えば、ポリアルコキシル化グリセリド、ポリアルコキシル化ソルビタン脂肪酸エステルまたはポリアルキレングリコールの脂肪酸エステル、脂肪アルコールのポリアルコキシル化エーテル、トコフェリル化合物またはその2種以上の混合物から選択される。これら化合物の脂肪酸鎖は、通常、8〜22個の炭素原子を含んでなる。該ポリアルキレンオキシドブロックは1分子あたり、平均4〜50個のアルキレンオキシド単位、好ましくはエチレンオキシド単位を含んでなる。
【0058】
適当なソルビタン脂肪酸エステルは、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン(スパン60;登録商標)、モノオレイン酸ソルビタン(スパン80;登録商標)、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタンまたはモノオレイン酸ソルビタンである。
【0059】
適当なポリアルコキシル化ソルビタン脂肪酸エステルの例は、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(トゥイーン80;登録商標)、トリステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(トゥイーン65;登録商標)、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(トゥイーン85;登録商標)、モノスエアリン酸ポリオキシエチレン(4)ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(4)ソルビタンまたはモノオレイン酸ポリオキシエチレン(4)ソルビタンである。
【0060】
適当なポリアルコキシル化グリセリドは、例えば、天然のもしくは水素化したグリセリドのアルコキシル化により、または天然のもしくは水素化したグリセリドのポリアルキレングリコールでのエステル交換反応により入手する。市販品として入手可能な例は、リシノール酸ポリオキシエチレングリセロール35、トリヒドロキシステアリン酸ポリオキシエチレングリセロール40(クレモフォア(登録商標)RH40、BASF AG)およびポリアルコキシル化グリセリド、例えば、ガッテフォッセ(Gattefosse)から商標名ゲルシール(Gelucire;登録商標)およびラブラフィル(Labrafil;登録商標)として入手し得るもの、例えば、ゲルシール(Gelucire;登録商標)44/14(水素化したヤシ殻油をPEG1500でエステル交換することにより調製するラウロイルマクロゴール32グリセリド)、ゲルシール(Gelucire;登録商標)50/13(水素化したヤシ油をPEG1500でエステル交換することにより調製するステアロイルマクロゴール32グリセリド)、またはラブラフィル(Labrafil;登録商標)M1944CS(杏仁油をPEG300でエステル交換することにより調製するオレオイルマクロゴール6グリセリド)である。
【0061】
適当なポリアルキレングリコールの脂肪酸エステルは、例えば、PEG660ヒドロキシ−ステアリン酸(30モル%エチレングリコールによる12−ヒドロキシステアリン酸(70モル%)のポリグリコールエステル)である。
適当な脂肪アルコールのポリアルコキシル化エーテルは、例えば、PEG(2)ステアリルエーテル(ブリジュ(Brij;登録商標)72)、マクロゴール6セチルステアリルエーテルまたはマクロゴール25セチルステアリルエーテルである。
【0062】
一般に、トコフェリル化合物は以下の式に相当する:
【0063】
【化1】

【0064】
(式中、Zは連結基であり、R1およびR2は互いに独立して、水素またはC1−C4アルキルであり、nは5〜100の、好ましくは、10〜50の整数である。典型的には、Zは脂肪族二塩基性酸、例えば、グルタル酸、コハク酸、またはアジピン酸の残基である。好ましくは、R1およびR2は共に水素である)
【0065】
好適なトコフェリル化合物は、アルファ−トコフェリルポリエチレングリコールコハク酸エステルであり、このものは一般にビタミンE TPGSと略記する。ビタミンE TPGSは、d−アルファ−トコフェリル酸コハク酸エステルをポリエチレングリコール1000でエステル化することにより調製される天然源のビタミンEの水溶性形状である。ビタミンE TPGSはイーストマンケミカルカンパニー(キングスポーツ、TN、米国)から入手可能であり、米国薬局方(NF)に掲載されている。
【0066】
上記定義のビニルピロリドンホモポリマーおよびビニルピロリドンコポリマーに加えて、該高分子担体組成物は他の薬学的に許容されるポリマーを含有し得る。これらは以下から選択し得る:
セルロースエステル類およびセルロースエーテル類:とりわけ、メチルセルロースおよびエチルセルロース;ヒドロキシアルキルセルロース類、とりわけ、ヒドロキシプロピルセルロース;ヒドロキシアルキルアルキルセルロース類、とりわけ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;セルロースフタル酸エステル類またはセルロースコハク酸エステル類、とりわけ、セルロース酢酸フタル酸エステルおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースコハク酸エステルまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸コハク酸エステル;
【0067】
高分子ポリアルキレンオキシド:例えば、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、ポリビニルアルコールとポリエチレングリコールとのグラフトコポリマー(コリコート(Kollicoat;登録商標)IRとしてBASF AG(ルードゥイッヒシャフェン、ドイツ)から入手可能);
【0068】
ポリアクリル酸エステルおよびポリメタアクリル酸エステル:例えば、メタアクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、メタアクリル酸/メタアクリル酸メチルコポリマー、メタアクリル酸ブチル/メタアクリル酸2−ジメチルアミノエチルコポリマー、ポリ(アクリル酸ヒドロキシアルキル)、ポリ(メタアクリル酸ヒドロキシアルキル);
ポリアクリルアミド類;
【0069】
酢酸ビニルポリマー:例えば、酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー、部分的に加水分解した酢酸ポリビニル(部分的に鹸化した“ポリビニルアルコール”ともいう);
ポリビニルアルコール;
オリゴ糖および多糖:例えば、カラゲナン、ガラクトマンナンおよびキサンタンガム、またはその1種以上の混合物;
【0070】
適切に使用し得るさらなるポリマーは、PVPと酢酸ポリビニルとの混合物からなるコリドン(Kollidon;登録商標)SR(BASF AG(ルードゥイッヒシャフェン、ドイツ)から入手可能)である。
【0071】
該固体分散生成物は様々な方法で調製し得る。かかる方法の一つは溶媒蒸発法である。溶媒蒸発法においては、少なくとも1種の有効成分、高分子担体組成物および選択肢として添加される固体分散生成物の成分を一般的な溶媒または溶媒の組み合わせに溶解し、続いてその溶液から蒸発により溶媒を除去する。
【0072】
適当な溶媒は、有効成分並びに高分子担体組成物を構成するビニルピロリドンホモポリマーとビニルピロリドンコポリマーを溶解または可溶化し得る溶媒である。かかる溶媒のいずれもが使用可能であるが、薬学的に許容される溶媒が好ましい、その理由は微量の溶媒が乾燥した固体分散生成物中に残存し得るからである。適切には、該溶媒は、アルカノール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール;炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン;ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン;ケトン類、例えば、アセトン;エステル類、例えば、酢酸エチル;エーテル類、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン;およびその2種以上の組み合わせからなる群より選択し得る。エタノールはその利用可能性、溶解力および薬学的としての安全性の故に特に好適である。
【0073】
液体混合物はその成分、すなわち、ビニルピロリドンホモポリマーおよびビニルピロリドンコポリマー、有効成分、選択肢としての成分および溶媒または溶媒の組み合わせを接触させる適当な方法により調製し得る。一実施態様において、液体混合物はビニルピロリドンホモポリマーとビニルピロリドンコポリマーとを溶解して高分子担体溶液を得、その溶液に活性薬剤を加えることにより調製する。溶解した高分子担体組成物は活性薬剤に対して溶解性増強作用を示し得る;従って、高分子担体溶液中の活性薬剤の溶解性は、その溶媒のみでの溶解性よりも数倍高くなり得る。
【0074】
該液体混合物は、液体混合物の総重量に対して90重量%まで、例えば、0.5〜90重量%、殆どの場合に2〜60重量%の乾燥物含量を有する。
該溶媒は当該技術分野で既知の適当な方法、例えば、噴霧乾燥、ドラム乾燥、ベルト乾燥、トレー乾燥またはその2つ以上の組み合わせにより除去し得る。
【0075】
噴霧乾燥においては、乾燥すべき液体をガス流中、例えば、空気中に懸濁する、すなわち、液体を霧状のミスト(噴霧)に変換し、大きな表面積とする。噴霧した液体は乾燥チャンバー内で熱ガス流に接触する。湿気は急速に蒸発し、固体は微細な中空球状粒子からなる粉末として回収される。ガス導入口温度は250℃またはそれ以上として用いるが、蒸発によりガス温度は約30〜150℃の温度(ガスの出口温度)まで急速に低下する。
【0076】
ドラム乾燥工程(ローラー乾燥)の原理は、物質の薄膜が連続して回転する加熱金属ドラムの滑らかな表面に塗布されることである。乾燥した物質の膜は液体物質の塗布位置の反対側に取り付け固定したナイフにより掻き取る。
【0077】
ベルトドライヤーでは、該液体をベルト上に散布するか、または噴霧し、そのベルトを
ベルトの下の数個の加熱プレート上を通過させる。物質は蒸気加熱したプレートまたは電気的に加熱したプレートにより加熱する。溶媒の蒸発はさらにベルトの上に取り付けた赤外線ラジエーターまたはマイクロ波ラジエーターにより促進することができる。
【0078】
トレー乾燥では、液体混合物を多数のトレー上に分配する。これらをオーブンに、通常は熱ガス中に、例えば、空気流下に配置する。さらに真空としてもよい。
乾燥した固体分散生成物を次いで粉砕し、および/または分類(篩い分け)する。
【0079】
次いで、乾燥した固体分散生成物はカプセルに充填してもよいし、または圧縮してもよい。圧縮とは、低間隙率の圧縮品、例えば、錠剤を得るために、固体分散生成物を含んでなる粉末の塊を高圧下で高密度化する工程を意味する。粉末塊の圧縮は、通常、打錠機で、より具体的には2つの可動パンチの間のスチール製ダイで行なわれる。
【0080】
本発明の別の側面において、固体分散生成物は噴霧コーティングにより、すなわち、用いられる芯物質上に該液体混合物を噴霧することによっても入手し得る。“噴霧コーティング”という用語は常套的に使用されるものであり、有効成分/高分子担体組成物を芯物質上にコーティングまたは積層することをいう。芯物質という用語は、芯物質上に固体分散が層を形成するように液体混合物を噴霧し得る固体基体を記載するために広く使用される。
【0081】
好ましくは、該芯物質は噴霧コーティング溶液において、10wt%未満の溶解性;より好ましくは5wt%未満、さらにより好ましくは1wt%未満の溶解性を有する。該芯物質は薬学的として不活性であってもよい。該芯物質は固体粒子または物体であり得、関連する体液中で崩壊することがない。あるいは、該芯物質は、積層された粒子を関連する体液中で崩壊させる崩壊剤を含有し得る。該芯物質は主として固体分散生成物から形成される層(単層であっても複数の積層であってもよい)の担持を意図するものである。芯物質の例は、糖ビーズ、ワックスビーズ、ガラスビーズ、ラクトース、微結晶性セルロース、ポリマービーズ、デンプン、コロイダルシリカ、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、および塩含有カルシウムと添加剤などである。該芯物質は既知の方法、例えば、融解−もしくは噴霧−凝固、押出し/球状化、粒状化、噴霧−乾燥などにより作製し得る。
【0082】
あるいは、該芯物質は、錠剤、ピル、多粒子またはカプセルなどの剤形であり得る。該剤形は同一または異なる薬物を含有してもよく、また即時または制御放出を提供し得る。剤形に無定形薬物を噴霧コーティングすることは、異なる薬物の併用療法にとって有用であり得る。
【0083】
該芯物質は、形状、サイズ、および粒度分布を有し得る。一実施態様において、芯物質は一般に滑らかな表面をもつ球状である。別の実施態様において、該芯物質は約1μm〜約3,000μm、好ましくは、約10μm〜約1,000μm、より好ましくは、約50μm〜約500μmのサイズの範囲である。均一な最終生成物を得るためには、一般に、狭い粒度分布をもつ芯物質を使用することが望ましい。
【0084】
該芯物質は、集塊、顆粒、または本発明に従って単層もしくは複数層を積層した粒子であってもよい。芯集塊および顆粒は、当該技術分野において常套的に使用される方法、例えば、噴霧乾燥、真空乾燥、または噴霧顆粒化により作製し得る。
【0085】
好ましくは、固体分散生成物は融解−押出しにより調製する。融解−押出し法は、有効成分の均一融成物、または有効成分、高分子担体組成物および任意で添加される固体分散生成物成分の組み合わせの均一融成物を調製する工程と、該融成物を凝固するまで冷却する工程とからなる。“融解する”とは1つの成分が他の成分に均一に埋め込まれることが可能である液体もしくはゴム状の状態に変化することを意味する。典型的には、一成分が融解して、他の成分がその融成物に溶解し、その結果、溶液を形成する。一般的に、融解は薬学的に許容されるポリマーを軟化点以上に加熱することからなる。融成物の調製は様々な様式で実施し得る。成分の混合は融成物形成の前、融成物を形成する間、または融成物を形成した後のいずれにおいても実施し得る。例えば、該成分を最初に混合し、次いで融解するか、または同時に混合融解することも可能である。通常、融成物は効率的に有効成分を分散させるために均一化する。同様に、薬学的に許容されるポリマーを最初に融解し、次いで、有効成分を混和し、均一化することが簡便であり得る。
【0086】
融解温度は通常、70〜250℃の範囲、好ましくは、80〜180℃の範囲、最も好ましくは、100〜140℃の範囲である。
この工程に空気が混入することを防ぎ、それによって融成物の有効成分または他の構成分に対する酸化およびその他の不利益な影響を避けるために、この工程は防御ガス、好ましくは、窒素または二酸化炭素などの不活性ガス雰囲気中で実施するのがよい。
【0087】
有効成分はそのまま、またはアルコール、脂肪族炭化水素もしくはエステルなどの適当な溶媒中の溶液または分散液として使用し得る。使用し得る別の溶媒は液体二酸化炭素である。溶媒は融成物の調製に際し、除去、例えば、蒸発させる。
【0088】
種々の添加剤が融成物中に含まれ得る;例えば、コロイダルシリカなどの流動調節剤;滑沢剤、充填剤(増量剤)、崩壊剤、可塑剤、例えば抗酸化剤などの安定剤、光安定剤、ラジカル捕捉剤、または微生物攻撃に対する安定剤である。
【0089】
融解及び/又は混合は、この目的にために通常使用されている装置で行う。特に、押出機または混錬機が好適である。適切な押出機には、単軸押出機、噛み合いスクリュー押出機または他の多軸押出機が含まれ、特に二軸押出機が好適で、この二軸押出機は、共回転又は逆回転ができ、また、融成物を混合または分散させるための混合ディスク類または他のスクリュー要素類を任意に取り付けることができる。作業温度は、押出機の種類、又は使用される押出機の内部構造の種類によっても決められると思われる。押出機内の諸成分を融解及び混合するのに必要なエネルギーの一部は、加熱要素によって供給できる。しかしながら、押出機内の材料の摩擦及びせん断でもこの混合物に十分なエネルギーを供給でき、これによって諸成分の均質な融成物の形成が助長される。
【0090】
押出機から排出される押出物は、ペースト状から粘性のあるものまで多岐にわたる。前記押出物を固化させる前に、前記押出物を事実上すべての所望の形状へと直接成形できる。押出物の成形は、相互に合致する窪みを表面に有する2個の逆回転ローラーを備えたカレンダーにより簡便に行うことができる。異なる形状の窪みを有するローラーを用いることにより、広範な錠剤の形態を実現することができる。ローラーが表面に窪みを有しない場合、フィルムを得ることができる。或いは、押出物は、射出成形することにより、所望の形に成形される。或いは、押出物は、異形押出に供され、固化させる前(ホットカット)又は固化後(コールドカット)に小片へと切断される。
【0091】
さらに、押出物が、例えば二酸化炭素などのガス、例えば低分子量炭化水素などの揮発性化合物、あるいは気体へと熱分解し得る化合物のような噴射剤を含む場合、泡状物が形成され得る。噴射剤は、押出機内の比較的高圧条件下において押出物中に溶解し、押出ダイから押出物が現れると、圧力は突如解放される。したがって、噴射剤の溶解性が低下し及び/又は噴射剤が蒸発することにより、泡状物が形成される。
【0092】
選択肢として、得られた固溶体生成物は顆粒へと粉砕又は磨砕される。次に、顆粒はカプセルに充填してもよいし、又は、圧縮してもよい。圧縮とは、低間隙率を有する圧縮物、例えば錠剤、を得るために、顆粒を含む粉末塊を高圧下で高密度化する工程を意味する。粉末塊の圧縮は、通常、打錠機で、より好ましくは、2つの可動性パンチの間のスチール製ダイで行われる。
【0093】
顆粒を圧縮するに際し、好ましくは、流動調節剤、崩壊剤、充填剤(増量剤)および滑沢剤から選択される少なくとも1種の添加剤を使用してもよい。崩壊剤は胃の中で圧縮体の迅速な崩壊を促進し、放出された顆粒を互いに分離した状態に維持する。適切な崩壊剤は、架橋したポリマー、例えば、架橋ポリビニルピロリドンおよび架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロースである。充填剤(“増量剤”ともいう)は、ラクトース、リン酸水素カルシウム、微結晶性セルロース(アビセル;登録商標)、酸化マグネシウム、馬鈴薯もしくはトウモロコシデンプン、イソマルト、ポリビニルアルコールである。
【0094】
適当な流動調節剤は、高分散性シリカ(エーロジル;登録商標)、および動物性または植物性脂肪もしくはワックスから選択する。
滑沢剤は好ましくは顆粒の圧縮に際して使用する。適当な滑沢剤は、ポリエチレングリコール(例えば、Mw:1,000〜6,000)、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルクなどから選択される。
【0095】
種々の他の添加剤、例えば、アゾ色素などの色素、酸化アルミニウムもしくは酸化チタンなどの有機もしくは無機顔料、または天然由来の色素、抗酸化剤などの安定剤、光安定剤、ラジカル捕捉剤、または微生物攻撃に対する安定剤などが使用し得る。
【0096】
本発明の剤形は、複数の層からなる剤形、例えばラミネート錠又は多層錠として提供され得る。それらは開放又は閉鎖形態を取り得る。“閉鎖剤形”は、1つの層が少なくとも1つの他の層に完全に囲まれているものである。多層形態は、互いに適合しない2つの有効成分を加工し得る、又は、有効成分の放出特性を調節し得るという利点を有する。例えば、外層の1つに有効成分を含ませることにより初回量を提供し、内層に有効成分を含ませることにより維持量を提供することが可能である。多層錠タイプは、2つ又はそれ以上の層の顆粒を圧縮することにより製造することができる。或いは、多層剤形は“共押出”として知られる工程によって製造することができる。本質的に、この工程は、上記に説明したような少なくとも2つの異なる融解組成物の調製と、これらの融解組成物をジョイント共押出ダイ(joint coextrusion die)中へ通過させることを含む。共押出ダイの形状は、必要とされる薬物の形態に依存する。例えば、単純なダイギャップを有するダイ(スロットダイと呼ばれる)及び環状スリットを有するダイが適当である。
【0097】
哺乳動物によるかかる剤形の摂取を容易にするためには、剤形に適当な形を与えることが有利である。快適に飲み込み得る大きな錠剤は、丸い形よりも長い形とすることが好ましい。
【0098】
錠剤のフィルムコーティングは、さらに、嚥下を容易にすることに寄与する。また、フィルムコートは味質を改善し、美しい外見を提供する。所望であれば、フィルムコートは腸溶性コートであってもよい。フィルムコートには、通常、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及び、アクリレート又はメタクリレートコポリマー等のポリマーフィルム形成材料を含む。フィルム形成ポリマーの他に、フィルムコートは、例えばポリエチレングリコールのような可塑化剤、例えばトゥイーン(登録商標)型のような界面活性剤、及び、任意に、例えば二酸化チタン又は酸化鉄のような色素をさらに含んでもよい。フィルムコーティングは接着防止剤としてタルクを含んでもよい。フィルムコートは、通常、剤形の約5重量%未満を占める。
【0099】
以下の実施例および添付の図面は、本発明を制限することなく、本発明をさらに説明しようとするものである。
【実施例】
【0100】
コリドンVA64(60重量%がN−ビニルピロリドンであり40重量%が酢酸ビニルからなるコポリマー)、コリドンK17(ポリビニルピロリドン、Mw7,000〜11,000およびコリドン90F(ポリビニルピロリドン、Mw1,000,000〜1,500,000)はBASF SE(ルードゥイッヒシャフェン、ドイツ)から購入した。
【0101】
コリドンVA64/コリドン90FおよびコリドンVA64/コリドンK17の粉末混合物を、それぞれ、10/90、20/80、30/70、40/60、50/50、60/40、70/30、80/20、90/10の重量比として、適量のポリマーを秤量し、ボールミルにて50Hzで30秒間混合することにより調製した。
【0102】
DSC分析は、スターソフトウエア バージョン9.10により制御したメトラートレド(シュベルツェン、スイス)DSC1装置により実施した。上記混合物のサンプルおよび純ポリマーのサンプルを約6mg秤量し、開放アルミニウムパンにて測定した。サーモグラムは20℃と220℃の間(VA64/90F混合物の3度目の試行では20℃と250℃の間)、10℃/分の速度で記録した。
【0103】
コリドンVA64/コリドン90F混合物は、2つのガラス転移温度をもつ顕著な二相特性を示した(図1参照)。この個々別々のガラス転移温度は個々のポリマーに帰属させることができる。このことは、ポリマーの融解が、一相からなる均一系(熱力学的に定義される)を得るために分子レベルでポリマーのブレンドを生じさせているのではないことを意味する。250℃まで加熱しても同様の結果を生じた。
【0104】
該混合物中のコリドン90Fの比率が50重量%を超えると、コリドンVA64に帰し得るガラス転移温度Tgは、約104℃から約110℃に上昇した(図2参照)。このことは、少量のコリドン90FがコリドンVA64に溶解したことを示している。他方、コリドン90Fに帰し得るTgはポリマー混合物の組成には殆ど依存していなかった。
【0105】
コリドンVA64とコリドンK17の混合物は単一のガラス転移温度を示したが、この温度は個々のポリマーの対応するガラス転移温度の間の中間の位置を占める(図3、5参照)。20重量%、50重量%、および60重量%のコリドンK17を含有する混合物においては、僅かな転移が観察されたが、この転移はコリドンK17に帰し得た(コリドンVA64/コリドンK17の60/40混合物のサーモグラムを図4に示す)。しかし、コリドンK17に帰し得る転移の高さは、ポリマーブレンド物に帰し得るガラス転移の高さよりも有意に低かった。従って、考えられることは、これらの実験における第二のガラス転移は、当初の粉末混合物の不均一性により惹起されたということである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子担体組成物に分散した少なくとも1種の有効成分の固体分散生成物を含有してなる薬学的剤形であって、該高分子担体組成物が、
a)ビニルピロリドンホモポリマーであって、該ホモポリマーの少なくとも95重量%が、1,000〜13,000の範囲内の分子量を持つような分子量分布をもつホモポリマー;および
b)5,000〜1,500,000の重量平均分子量をもつビニルピロリドンコポリマー;
を含有してなる薬学的剤形。
【請求項2】
該ビニルピロリドンコポリマーが、1.5〜5.0の範囲のMw/Mn比を有する請求項1記載の剤形。
【請求項3】
該ビニルピロリドンコポリマーが、該コポリマーの総重量に対して20〜80重量%のビニルピロリドン単位を含有してなる請求項1、2または3に記載の剤形。
【請求項4】
該ビニルピロリドンコポリマーがビニルピロリドンと少なくとも1種のビニルエステルとのコポリマーである請求項1または2に記載の剤形。
【請求項5】
該ビニルエステルが酢酸ビニルである請求項4記載の剤形。
【請求項6】
該ビニルピロリドンホモポリマーが、PVP K12またはPVP K17または両方の混合物からなる前記請求項のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項7】
高分子担体組成物が単一のTgを示すものである前記請求項のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項8】
a)とb)との重量比が5:95〜50:50の範囲にある前記請求項のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項9】
該有効成分が該高分子担体組成物に分子的に分散している前記請求項のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項10】
該固体分散生成物がさらに可溶化剤、流動調節剤、崩壊剤、充填剤および滑沢剤から選択される少なくとも1種の添加剤を含んでなる前記請求項のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項11】
請求項1記載の固体剤形の製造法であって、
a)少なくとも1種の活性剤、該高分子担体組成物および少なくとも1種の溶媒を含有する液体混合物を調製すること;および
b)該液体混合物から溶媒を除去し、固体分散生成物を得ること
からなることを特徴とする製造法。
【請求項12】
請求項1記載の固体剤形の製造法であって、
a)少なくとも1種の有効成分と該高分子担体組成物の均一な融成物を調製すること;および
b)該融成物を凝固させ、固体分散生成物を得ること
からなることを特徴とする製造法。
【請求項13】
さらに当該固体分散生成物を粉砕し、圧縮して錠剤とすることを特徴とする請求項12記載の製造法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−526592(P2011−526592A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515431(P2011−515431)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058187
【国際公開番号】WO2010/000740
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(506382275)アボット ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (11)
【Fターム(参考)】