説明

高分子電解質エマルションおよびその用途

【課題】基材との高い密着性に優れた塗膜を形成する高分子電解質エマルションを提供する。
【解決手段】[1]高分子電解質粒子が分散媒中に分散した高分子電解質エマルションであって、該高分子電解質エマルションから揮発性物質を取り除いて得られる固形物のイオン交換容量が1.5〜3.0meq/gである、高分子電解質エマルション。
[2]体積平均粒径が100nm〜200μmである、[1]の高分子電解質エマルション。
[3]上記いずれかに記載の高分子電解質エマルションと触媒成分とを含む触媒組成物から得られる触媒層、該触媒層を有する膜電極接合体および固体高分子型燃料電池

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子電解質エマルション、並びにこれを用いて製造される電極、膜電極接合体および固体高分子型燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子型燃料電池は、近年、住宅用や自動車用などの用途における発電機としての実用化が期待されている。固体高分子型燃料電池は、水素と空気の酸化還元反応を促進する白金などの触媒成分を含む触媒層と呼ばれる電極を、イオン伝導を担うイオン伝導膜の両面に形成し、さらに該触媒層の外側にガスを効率的に触媒層に供給するためのガス拡散層を貼合した形態として用いられる。ここで、該高分子電解質膜の両面に触媒層を形成したものは、通常、膜電極接合体(以下、「MEA」ということもある。)と呼ばれている。
【0003】
かかるMEAは、イオン伝導膜上に直接触媒層を形成する方法、カーボンペーパーなどのガス拡散層となる基材上に触媒層を形成した後に、これをイオン伝導膜と接合する方法、平板支持基材上に触媒層を形成して、これをイオン伝導膜に転写した後、該支持基材を剥離する方法などを用いて製造される。これらの方法では触媒層を形成するために触媒成分を分散または溶解させた液状組成物(以下、当業分野で広範に使用されている「触媒インク」という用語で呼ぶこともある。)を使用する。触媒インクは、通常、白金族金属を活性炭などに担持した触媒成分、ナフィオンに代表される高分子電解質を含む高分子電解質溶液もしくは高分子電解質分散液、および必要に応じて溶媒、撥水剤、造孔剤、増粘剤などを混合、分散して得られるものである。従来から、このような触媒インクを改良することで、MEAの発電性能を向上させようという技術が種々検討されている。
【0004】
例えば、特許文献1においては、有機溶媒に、貴金属触媒を担持した炭素微粉末を分散させて分散液を得る工程と、前記分散液と固体高分子電解質のアルコール溶液(旭硝子製、フッ素系高分子電解質、商品名「フレミオン」)とを混合して固体電解質の粒子径1〜400nmのコロイドを生成させるとともに、前記コロイドを前記炭素粉末に吸着させた混合液を得る工程と、この混合液をガス拡散層の片面に塗布して電極を作成する工程と、この電極を固体高分子電解質膜の少なくとも片面に加圧一体化する工程を用いることで、電極の反応面積を増大させ濃度過電圧を低下して高性能な電池とする技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2においては、陽イオン伝導性を有するフッ素系高分子電解質(パーフルオロカーボンスルホン酸)と、電極触媒が担持された導電性炭素粒子からなる触媒担持粒子と、分散媒と、を少なくとも含む触媒インクにおいて、前記高分子電解質の平均慣性半径を150〜300nmとすることで、触媒層のガス拡散性をよくすることによって、燃料電池の電池電圧を高くし、かつ長時間にわたって、その高い電池電圧を維持することのできる技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献3においては、ポリオルガノシロキサンを必須成分として含む重合体粒子および水系媒体を含む水系分散体であって、さらにスルホン酸基を含む水系分散体が、固体高分子型燃料電池の電極材料として用いることが可能であるとの記載がある。この特許文献3においては、その効果は必ずしも明確ではないが、水系分散体の体積抵抗が小さいことから、これを用いたMEAは発電性能が向上しうることが推測される。
【0007】
さらに、特許文献4においては、溶媒中に電解質を溶解した電解質溶液と、電解質よりなる電解質粒子と、触媒金属を担体粒子に担持させた触媒担持粒子と、を分散した触媒ペーストを塗布することによって形成された触媒層を設けることで、MEAの発電性能を向上するために必要な三相界面量を十分に確保する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平10−302805号公報(実施例、段落[0027]〜[0043])
【特許文献2】特開2005−108827号公報(実施例、段落[0056]〜[0067])
【特許文献3】特開2005−132996号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開2005−235521号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの技術は何れも、触媒層の触媒活性を向上させることで、発電性能を高めようとする技術であった。しかしながら、本発明者らがMEAの性能を詳細に検討したところ、燃料電池の高性能化は、イオン伝導膜から触媒層が剥離してしまうことにより妨げられていることが判明した。本発明の目的は、このような剥離を著しく抑制し得る触媒層を形成できる高分子電解質エマルションを提供し、さらには該高分子電解質エマルションを用いてなる触媒層を備え、発電性能に優れたMEAを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
[1]高分子電解質粒子が分散媒中に分散してなる高分子電解質エマルションであって、該高分子電解質エマルションから揮発性物質を取り除いて得られる固形物のイオン交換容量が1.5〜3.0meq/gであることを特徴とする高分子電解質エマルション
[2]高分子電解質粒子が分散媒中に分散してなる高分子電解質エマルションであって、該高分子電解質エマルションから揮発性物質を取り除いて得られる固形物のイオン交換容量が1.8〜3.0meq/gであることを特徴とする高分子電解質エマルション
を提供するものである。
上記いずれかに記載の高分子電解質エマルションを用いて触媒層を形成すると、驚くべきことに、高分子電解質膜と触媒層の間の剥離が十分抑制され、極めて発電性能に優れるMEAが得られることを、本発明者らは見出した。
【0010】
さらに、本発明は上記[1]または[2]に係る好適な実施態様である、下記[3]、[4]および[5]を提供する。
[3]動的光散乱法により求められる体積平均粒径が100nm〜200μmである、[1]または[2]に記載の高分子電解質エマルション
[4]上記高分子電解質粒子を構成する高分子電解質が、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算重量平均分子量が1000〜1000000の高分子電解質を含む、[1]〜[3]のいずれかの高分子電解質エマルション
[5]上記高分子電解質粒子を構成する高分子電解質が、芳香族炭化水素系高分子電解質を含む、[1]〜[4]のいずれかの高分子電解質エマルション
[6]上記高分子電解質粒子を構成する高分子電解質の良溶媒の含有量が、200ppm以下であることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかの高分子電解質エマルション
【0011】
また、本発明は上記いずれかの高分子電解質エマルションを使用した、下記の[7]〜[11]を提供する。
[7]固体高分子型燃料電池の電極用に使用される、[1]〜[6]のいずれかの高分子電解質エマルション
[8][1]〜[6]のいずれかの高分子電解質エマルションと、触媒成分とを含む触媒組成物
[9][8]の触媒組成物からなる固体高分子型燃料電池用電極
[10][9]の固体高分子型燃料電池用電極を有する、膜電極接合体
[11][10]の膜電極接合体を有する、固体高分子型燃料電池
【発明の効果】
【0012】
本発明の高分子電解質エマルションを用いた触媒インクは、イオン伝導膜と触媒層との接合性を高めたMEAを提供できる。さらに、このMEAはイオン伝導膜と触媒層の剥離によって生じる出力低下が起こりにくく、発電性能に優れたMEA、ひいては燃料電池を提供できるため、工業的に極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施態様について説明する。
【0014】
<イオン交換容量>
本発明者らは、MEAの触媒層に含まれる触媒機能を担う触媒物質以外の成分について詳細に検討したところ、この成分に基づくイオン交換容量(以下、「IEC」と呼ぶこともある)が、該触媒層と貼合されるイオン伝導膜もしくはガス拡散層との間の相互作用に影響することを見出し、さらに該成分が含まれるエマルションを用いて触媒層を形成すると、該触媒層は、イオン伝導膜あるいはガス拡散層との接合性が、極めて高くなることを見出した。そして、この成分のIECを、高分子電解質により制御してなる高分子電解質エマルションが極めて有効であるという知見を得た。
これらの知見に基づいて、高分子電解質エマルションを構成する固形物(ここで、固形物とは高分子電解質エマルションから揮発性物質を取り除いた固形物質を意味する。)のイオン交換容量を詳細に検討した結果、このイオン交換容量が1.5〜3.0meq/gである高分子電解質エマルションを用いて得られる触媒層が、燃料電池を構成するイオン伝導膜もしくはガス拡散層との接合性が、特に良好となることを見出した。
ここで、IECは、当該高分子電解質エマルションを乾固させて揮発性成分を除去した後、得られた固形物の乾燥重量を測定し、かかる固形分にあるイオン交換基当量数を滴定法にて求め、[固形物のイオン交換基当量数]/[固形物の乾燥重量]で導出した値であり、高分子エマルションの分散体単位重量当たりのイオン交換基当量数で表されるものである。なお、本発明の高分子電解質エマルションは、後述するように、乳化剤や添加剤を含有することができるので、前記固形物には高分子電解質だけでなく、これら乳化剤や添加剤も含有するものである。高分子電解質エマルションから固形物を得るには、通常、当該高分子電解質エマルションに含有される揮発性物質の中で、最も高沸点成分を特定し、この成分の沸点よりも高温で乾燥処理を行って、揮発性物質を取り除けばよい。本発明においては、このような乾燥処理を行ったときの乾燥重量が恒量になったとき、得られた固形物質を上記固形物とする。
【0015】
上記高分子電解質を得る方法としては、(a)予め、イオン交換基を導入できる部位を有する高分子を製造し、かかる高分子にイオン交換基を導入して高分子電解質を製造する方法や、(b)イオン交換基を有する化合物をモノマーとして使用し、該モノマーを重合することで高分子電解質を製造する方法が挙げられる。このような製造方法を用いて、特定のIECの高分子電解質を得るためには、(a)では、イオン交換基を高分子に導入する反応剤の、高分子電解質に対する使用量比を主としてコントロールすることで、容易に実施することができる。(b)では、イオン交換基を有するモノマーが誘導する高分子電解質の繰返し構造単位のモル質量とイオン交換基数から容易にコントロールすることができる。あるいはイオン交換基を有さないコモノマーを併用して共重合する際には、イオン交換基を有さない繰返し構造単位と、イオン交換基を有する繰返し構造単位と、その共重合比率を勘案して、IECをコントロールすることができる。
かかる高分子電解質の中でも、好適な高分子電解質に関しては後述する。
【0016】
本発明の効果をより高めるためには、IECの下限が1.8meq/g以上が、より好ましい。なお、IECの上限は、3.0meq/g以下で十分であるが、2.9meq/g以下がより好ましく、2.8meq/g以下がさらに好ましい。IECが1.5meq/gより小さいと、高分子電解質エマルションから得られる被膜と、イオン伝導膜もしくはガス拡散層との間の密着性が低くなり、IECが3.0meq/gより大きいと、高分子電解質エマルションから得られる被膜自体の耐水性が損なわれることから、燃料電池の耐久性が低下し、それぞれ好ましくない。
【0017】
<平均粒径>
本発明の高分子電解質エマルションに含有される粒子は、動的光散乱法により求められた体積平均粒子径で表して、100nm〜200μmの範囲が好適である。かかる平均粒径としては、好ましくは、150nm〜10μmの範囲であり、さらに好ましくは、200nm〜1μmの範囲である。高分子電解質粒子の平均粒径が上記の範囲であると、得られる高分子電解質エマルションが実用的な貯蔵安定性を有するものとなり、被膜を形成させたとき、該被膜の均一性が比較的良好となる利点がある。なお、上記粒子とは、高分子電解質エマルションに粒子状に分散している物質の全てを指すものであり、高分子電解質を含む高分子電解質粒子はもとより、後述の添加剤を使用する場合は、該添加剤からなる粒子など、高分子電解質エマルションに粒子状に分散している全てを含む概念である。
【0018】
<重量平均分子量>
上記高分子電解質エマルションに含まれる高分子電解質粒子を構成する高分子電解質は、その分子量が、ゲル浸透クロマトグラフィー法(以下、「GPC法」と呼ぶ)によるポリスチレン換算の重量平均分子量で表して、1000〜1000000の高分子電解質を含むと好ましい。その下限としては5000以上、とりわけ10000以上が好ましく、その上限としては500000以下、とりわけ300000以下が好ましい。
該重量平均分子量が上記の範囲の高分子電解質からなる高分子電解質粒子を含むと、得られる触媒層の強度が良好となり、後述する高分子電解質エマルションを用いた触媒層の製造も容易となることから好ましい。
【0019】
<高分子電解質>
次に、本発明に適用する好適な高分子電解質について説明する。本発明の高分子電解質エマルションでは、酸性基を有する高分子電解質、塩基性基を有する高分子電解質いずれも適用することが可能であるが、酸性基を有する高分子電解質を用いると、一層発電性能に優れた燃料電池が得られるため、好ましい。
【0020】
酸性基を有する高分子電解質は、例えば、スルホン酸基(−SO3H)、カルボキシル基(−COOH)、ホスホン酸基(−PO(OH)2)、ホスフィン酸基(−POH(OH)、スルホンイミド基(−SO2NHSO2−)、フェノール性水酸基(−Ph(OH)(Phはフェニル基を表す))などの酸性基を有するものである。中でも、酸性基としては、スルホン酸基またはホスホン酸基が好ましく、スルホン酸基が更に好ましい。
【0021】
かかる高分子電解質の代表例としては、例えば(A)主鎖が脂肪族炭化水素からなる高分子にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した高分子電解質;(B)脂肪族炭化水素の水素原子が全てあるいは一部がフッ素原子に置換された高分子にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した高分子電解質;(C)主鎖が芳香環を有する高分子にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した高分子電解質;(D)主鎖に実質的に炭素原子を含まないポリシロキサン、ポリフォスファゼンなどの高分子にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した高分子電解質;(E)(A)〜(D)のスルホン酸基および/またはホスホン酸基導入前の高分子を構成する繰り返し単位から選ばれるいずれか2種以上の繰り返し単位からなる共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した高分子電解質;(F)主鎖あるいは側鎖に、塩基性を有する窒素原子を含み、該窒素原子に硫酸やリン酸などの酸性化合物をイオン結合により導入した高分子電解質などが挙げられる。
【0022】
上記(A)の高分子電解質としては、例えば、エチレン−ビニルスルホン酸共重合体、ポリスチレンまたはポリ(α−メチルスチレン)にスルホン化剤にてスルホン酸基を導入した樹脂などが挙げられる。ここで、エチレン−ビニルスルホン酸共重合体の場合は、モノマーとして用いるエチレンとビニルスルホン酸の共重合比率でIECをコントロールすることができる。また、ポリスチレンまたはポリ(α−メチルスチレン)にスルホン化剤にてスルホン酸基を導入した樹脂は、スルホン化剤の使用量でIECをコントロールすることができる。
【0023】
また、上記(B)の高分子電解質としては、例えば、特開平9−102322号公報に記載された炭化フッ素系ビニルモノマと炭化水素系ビニルモノマとの共重合によって作られた主鎖と、スルホン酸基を有する炭化水素系側鎖とから構成されるスルホン酸型ポリスチレン−グラフト−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)においては、その実施例にIECが1.3〜2.7meq/gであるものが開示されており、米国特許第4,012,303号公報又は米国特許第4,605,685号公報に準拠すれば、、炭化フッ素系ビニルモノマと炭化水素系ビニルモノマとの共重合によって作られた共重合体に、α,β,β-トリフルオロスチレンをグラフト重合させ、さらに、これにクロロスルホン酸、フルオロスルホン酸などのスルホン化剤にてスルホン酸基を導入して高分子電解質が開示されており、かかるスルホン化剤の使用量によって、IECをコントロールしたスルホン化ポリ(トリフルオロスチレン)−グラフト−ETFE膜を得ることができる。
【0024】
上記(C)の高分子電解質としては、主鎖が酸素原子などのヘテロ原子で中断されているものであってもよく、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(アリーレン・エーテル)、ポリイミド、ポリ((4-フェノキシベンゾイル)-1,4-フェニレン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルキノキサレンなどの単独重合体のそれぞれに、スルホン化剤を用いてスルホン酸基が導入されたもの、スルホアリール化ポリベンズイミダゾール、スルホアルキル化ポリベンズイミダゾール、ホスホアルキル化ポリベンズイミダゾール(特開平9−110982号公報)、ホスホン化ポリ(フェニレンエーテル)(J.Appl.Polym.Sci.,18,1969(1974))などが挙げられる。
【0025】
また上記(D)の高分子電解質としては例えば、ポリフォスファゼンにスルホン酸基が導入されたものなどが挙げられる。
これら(C)または(D)として例示される樹脂も、上記と同様にしてスルホン化剤の使用量によってIECをコントロールすることができる。
【0026】
上記(E)の高分子電解質としては、ランダム共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでも、交互共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでも、ブロック共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでもよい。ランダム共重合体にスルホン酸基が導入されたものとしては、例えば、特開平11−116679号公報に記載の、スルホン化ポリエーテルスルホン-ジヒドロキシビフェニル共重合体が挙げられ、かかる共重合体においてもスルホン化剤の使用量によってIECをコントロールすることができる。
【0027】
上記(E)の高分子電解質の中でブロック共重合体の例示としては、スルホン酸基および/またはホスホン酸基を持つブロックの具体例としては、例えば特開2001−250567号公報に記載のスルホン酸基を有するセグメント(親水性セグメント)と、イオン交換基を実質的に有さないセグメント(疎水性セグメント)とからなるブロック共重合体が開示されており、このようなブロック共重合体は該親水性セグメントと疎水性セグメントとの組成比によってIECをコントロールすることができる。
【0028】
また上記(F)の高分子電解質としては例えば、特表平11−503262号公報に記載の、リン酸を含有せしめたポリベンズイミダゾールなどが挙げられ、これは含有させるリン酸量でIECをコントロールすることができる。
【0029】
上記のような高分子電解質の中では、本発明の企図する効果がより高い被膜が得られることから、(C)、(E)の高分子電解質が好ましく、高分子主鎖が芳香環が連結されてなる芳香族系高分子電解質が、耐熱性に優れることから、特に好ましい。さらに、該芳香族系高分子電解質の中でも、芳香族炭化水素系高分子電解質が、本発明の目的である接合性が、より高度となる触媒層を形成できるため好ましい。ここで、「炭化水素系」とは、高分子電解質を構成する元素組成比におけるフッ素原子の含有量(15重量%以下)で定義するものである。
【0030】
上記の好適な高分子電解質をして例示した(C)、(E)の中でも、とりわけブロック共重合体にスルホン酸基を導入した高分子電解質が好ましい。
なお、ブロック共重合体は、イオン交換基(スルホン酸基など)を有するセグメントと、イオン交換基を実質的に有しないセグメントとを有するものであるが、これらのセグメントを一つずつ有するブロック共重合体であってもよく、いずれか一方のセグメントを2つ以上有するブロック共重合体であってもよく、両方のセグメントを2つ以上有するマルチブロック共重合体のいずれであってもよい。
【0031】
<高分子電解質エマルションの作製>
本発明の高分子電解質エマルションは、上記の特徴をもつ高分子電解質が粒子状に、好ましくは上記の平均粒径を有する粒子として分散媒中に分散させることができる範囲において、その作製方法は特に制限はない。一つの例を挙げると、高分子電解質を、該高分子電解質の良溶媒に溶解して高分子電解質溶液を得、次いで、この高分子電解質溶液を、エマルションの分散媒たる別の溶媒(該高分子電解質の貧溶媒)に滴下して、高分子電解質粒子を該分散媒中で析出・分散せしめて高分子電解質分散液を得る作製方法が例示される。さらに得られた高分子電解質分散液中に含まれる該良溶媒を透析膜などの膜分離を用いて除去する工程や、さらに、高分子電解質分散液を蒸留などで濃縮して高分子電解質濃度を調整することが、好ましい作製方法として示すことができる。この方法により、あらゆる高分子電解質から、安定的な分散性を有する高分子電解質エマルションを作製することができる。なお、例示した作製方法において、「良溶媒」と「貧溶媒」の定義は、25℃における溶媒100gに溶解し得る高分子電解質の重量で規定されるものであり、良溶媒とは、0.1g以上の高分子電解質が可溶な溶媒であり、貧溶媒とは、高分子電解質が0.05g以下しか溶解し得ない溶媒である。高分子電解質エマルション中の良溶媒の残存量は、200ppm以下であると好ましく、100ppm以下であるとさらに好ましく、50ppm以下であると、とりわけ好ましく、高分子電解質エマルション中に、高分子電解質溶液を調製する工程にて使用した良溶媒が実質的に含まれない程度まで除去することが、特に好ましい。上記に例示した高分子電解質エマルションの作製方法においては、高分子電解質分散液を得る過程で、該高分子電解質分散液には必然的に良溶媒が含まれているので、その含有量を200ppm以下まで低減化させるのが必要である。この場合、高分子電解質分散液を、膜分離を用いて、良溶媒の含有量を低減化すれば、より低コストになるため好ましい。
【0032】
<貧溶媒>
上記貧溶媒は、適用する高分子電解質の分散安定性を妨げない限り、特に制限はなく、水、メタノールやエタノールなどのアルコール系溶媒、ヘキサンやトルエンなどの非極性有機溶媒、もしくはこれらの混合物が用いられる。しかしながら、工業的に使用した場合の環境負荷低減の観点から、水もしくは水を主成分とした溶媒が好ましく用いられる。
【0033】
<高分子電解質濃度>
本発明の高分子電解質エマルションの高分子電解質濃度は0.1〜10重量%である。ここで、高分子電解質濃度とは、適用した高分子電解質の総重量を、得られた高分子電解質エマルションの総重量で除した値で定義するものである。該高分子電解質濃度としては、好ましくは0.5〜5重量%、さらに好ましくは1〜2重量%である。高分子電解質濃度が上記の範囲であれば、被膜を形成するのに多量の溶媒を必要としないことから効率的であり、塗布性にも優れるため、好ましい。
【0034】
<乳化剤>
本発明の高分子電解質エマルションには、より良好な分散安定性を付与するために、本発明の企図する効果を損なわない範囲で、乳化剤を添加してもよい。乳化剤として用いられる界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル(塩)、アルキルアリール硫酸エステル(塩)、アルキルリン酸エステル(塩)、脂肪酸(塩)などのアニオン系界面活性剤;アルキルアミン塩、アルキル四級アミン塩などのカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ブロック型ポリエーテルなどのノニオン系界面活性剤;カルボン酸型(例えば、アミノ酸型、ベタイン酸型など)、スルホン酸型などの両性界面活性剤、商品名で、ラテムルS−180A〔花王社製〕、エレミノールJS−2〔三洋化成社製〕、アクアロンHS−10、KH−10〔第一工業製薬社製〕、アデカリアソープSE−10N、SR−10〔旭電化工業社製〕、Antox MS−60〔日本乳化剤社製〕などの反応性乳化剤などのいずれでも使用可能である。
【0035】
親水性基を有するポリマーのうち、高分子電解質エマルションに適用する分散媒に可溶であり、且つ分散機能を有するものも乳化剤として使用することができる。このようなポリマーとしては、スチレン・マレイン酸共重合体、スチレン・アクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリイソプレンのスルホン化物、水添スチレン・ブタジエン共重合体のスルホン化物、スチレン・マレイン酸共重合体のスルホン化物、スチレン・アクリル酸共重合体のスルホン化物などを挙げることができる。特にスルホン酸基を有するポリマーを酸型のまま用いることで体積抵抗を小さくすることができる。このようなポリマーとしては、ポリイソプレンのスルホン化物、水添スチレン・ブタジエン共重合体のスルホン化物、スチレン・マレイン酸共重合体のスルホン化物、スチレン・アクリル酸共重合体のスルホン化物などを挙げることができる。
【0036】
これらの乳化剤は、単独で、あるいは2種以上を併用することができる。乳化剤を使用する場合、エマルション100重量部に対し通常、0.1〜50重量部の乳化剤を使用する。かかる乳化剤の使用量としては、好ましくは0.2〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。乳化剤の使用量が、この範囲であると、高分子電解質粒子の分散安定性を向上させるとともに、泡立ちの抑制などの操作性も良好となるため、好ましい。
【0037】
<その他の添加剤>
かくして、本発明の高分子電解質エマルションを作製することができるが、本発明の高分子電解質エマルションは、無機あるいは有機の粒子、密着助剤、増感剤、レベリング剤、着色剤などその他の添加剤を含有していてもよい。
特に、本発明の高分子電解質エマルションから得られる被膜が、燃料電池の電極の構成成分として使用される場合には、燃料電池の動作中に、当該電極において過酸化物が生成し、この過酸化物が拡散しながらラジカル種に変化し、これが該電極と接合しているイオン伝導膜に移動して、該イオン伝導膜を構成しているイオン伝導材料(高分子電解質)を劣化させることがある。この場合、かかる不都合を回避するために、高分子電解質エマルションには、ラジカル耐性を付与し得る安定剤を添加することが好ましい。
【0038】
<用途>
本発明の高分子電解質エマルションは、固体高分子型燃料電池用の電極を製造するためのバインダー樹脂として好適であるが、固体高分子型燃料電池のイオン伝導膜や、その他コーティング材やバインダー樹脂など種々用途に応用することも可能である。また、このような用途に用いる際に、物性などを設計する観点から、他のポリマーを併用することもできる。該他のポリマーとしては、例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、SBRやNBRなどのジエン系ポリマーなど公知のものが挙げられる。
【0039】
<フィルム成形法>
本発明の高分子電解質エマルションは、さまざまなフィルム成形法にて、精度のよいフィルムを得ることができる。該フィルム成形法として例えば、キャストフィルム成形、スプレー塗布、刷毛塗り、ロールコーター、フローコーター、バーコーター、ディップコーターなどが挙げられ、これらのフィルム成形法を用いて、該高分子電解質エマルションを基材に塗工し、必要に応じて乾燥処理などを施すことでフィルムを成形することができる。塗布膜厚は、用途によって異なるが、乾燥膜厚で、通常、0.01〜1,000μm、好ましくは0.05〜500μmである。
【0040】
また、フィルム成形に使用される基材には特に制限はなく、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの高分子材料、アルミニウム、銅、ジュラルミンなどの非鉄金属、ステンレス、鉄などの鋼板、炭素、ガラス、木材、紙、石膏、アルミナ、無機質硬化体などが挙げられる。基材の形状に特に制限はなく、平面状のものから不織布などの多孔質材料なども使用できる。
さらに、高分子電解質エマルションの好適な用途である固体高分子型燃料電池の触媒層を製造する際には、イオン伝導膜に、該高分子電解質エマルションあるいは該高分子電解質エマルションと触媒成分とを混合してなる触媒インクを直接塗布することで、該イオン伝導膜と触媒層が接合された形態を製造することも可能であり、かかる用途の詳細については後述する。
【0041】
<MEAの説明>
次に、本発明の高分子電解質エマルションを用いて製造されるMEAについて説明する。MEAはイオン伝導膜と、該イオン伝導膜を挟持するようにしてなる一対の触媒層からなる。
さらに、MEAの両触媒層の外側にガスを効率的に触媒層に供給するためのガス拡散層を有する形態を膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)と呼ぶ。
ここで、触媒層はイオン伝導膜もしくはガス拡散層に、触媒インクを塗布することで形成される。
【0042】
まず、イオン伝導膜について説明する。該イオン伝導膜は、イオン伝導性に担う高分子電解質を含み、膜状の構造を有するものである。イオン伝導膜に含まれる高分子電解質としては、上記の高分子エマルションを構成する高分子電解質として例示したものと同様のものを挙げることができる。このように、MEAを構成するイオン伝導膜と、触媒層は共に高分子電解質を含有するものであるが、かかる高分子電解質同士は、同じであっても異なっていてもよい。
【0043】
上記の高分子電解質の例示の中でも、イオン伝導膜に適用されるものは、高い発電性能と耐久性を両立させるという観点から、上記(C)、(E)の高分子電解質が好ましく、とりわけ上記(E)の中でも、ブロック共重合体にスルホン酸基を導入した構造を有し、高分子主鎖が芳香環を有するものが好ましく、特に好ましくは、スルホン酸基を有するブロックと、イオン交換基を実質的に有さないブロックとからなるブロック共重合体である。
このようなブロック共重合体としては、特開2001−250567号公報に記載のスルホン化された芳香族ポリマーブロックを有するブロック共重合体、特開2003−31232号公報、特開2004−359925号公報、特開2005−232439号公報、特開2003−113136号公報などの特許文献に記載の、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホンを主鎖構造とするブロック共重合体を挙げることができる。
【0044】
さらに、該イオン伝導膜は、上記に例示した高分子電解質に加え、所望の特性に応じて、プロトン伝導性を著しく低下させない範囲で他の成分を含んでいてもよい。このような他の成分としては、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤、保水剤などの添加剤が挙げられる。特に、上記のラジカル耐性を付与し得る安定剤は、燃料電池のイオン伝導膜の劣化も抑制しうることから、該イオン伝導膜に含有させると好ましい。
【0045】
また、上記イオン伝導膜の機械的強度を向上させる目的で、高分子電解質と所定の支持体とを複合化した複合膜を用いることもできる。支持体としては、フィブリル形状や多孔膜形状などの基材が挙げられる。
【0046】
上記イオン伝導膜上に、本発明の高分子電解質エマルションからなる触媒インクを用いて触媒層を形成する。
触媒インクは、触媒成分と、高分子電解質エマルションとを必須成分として含むものである。該触媒成分としては、従来の燃料電池において用いられているものをそのまま用いることができ、例えば、白金、白金−ルテニウム合金のような貴金属類や、錯体系電極触媒(例えば、高分子学会燃料電池材料研究会編、「燃料電池と高分子」、103〜112頁、共立出版、2005年11月10日発行に記載されている)などが挙げられる。さらに、触媒層での水素イオンと電子の輸送を容易にできるとの観点から、該触媒物質を表面に担持させた導電性材料を用いると好ましい。該導電性材料としては、カーボンブラックやカーボンナノチューブなどの導電性カーボン材料、酸化チタンなどのセラミック材料などが挙げられる。
【0047】
該触媒インクを構成するその他の成分(添加剤)は任意であり、特に制限はないが、触媒インクの粘度を調整する目的で溶媒が添加されることがある。また、触媒層の撥水性を高める目的で、PTFEなどの撥水材が、また触媒層のガス拡散性を高める目的で、炭酸カルシウムなどの造孔材が、さらに得られるMEAの耐久性を高める目的で金属酸化物などの安定剤などが含まれることもある。
【0048】
該触媒インクは、上記の成分を、公知の方法によって混合して得られるものである。混合方法としては、超音波分散装置、ホモジナイザー、ボールミル、遊星ボールミル、サンドミルなどが挙げられる。
【0049】
上記のようにして調製された触媒インクを用いて、イオン伝導膜上に触媒層を形成する。かかる形成方法は、公知の技術を適用することができるが、本発明の高分子電解質エマルションを含む触媒インクは、イオン伝導膜に直接塗布して、乾燥処理などを施すことで、該イオン伝導膜に対して、高い接合性を有する触媒層を形成することを可能とする。
触媒インクを塗布する方法としては特に制限は無く、ダイコーター、スクリーン印刷、スプレー法、インクジェット法などの既存の方法を使用することができる。
【0050】
次に、本発明が提供するMEAを備えた燃料電池について説明する。
【0051】
図1は、好適な実施形態に係る燃料電池の断面構成を模式的に示す図である。図1に示すように、燃料電池10は、イオン伝導膜12の両側に、これを挟むように触媒層14a,14bがなり、これが本発明の製造方法で得られるMEA20である。さらに、両面の触媒層には、それぞれ、ガス拡散層16a,16bを備え、該ガス拡散層にセパレータ18a,18bが形成されている。
ここで、MEA20とガス拡散層16a,16bを備えたものは、膜−触媒層−ガス拡散層接合体と呼ばれ、通常MEGAと略される。
【0052】
ここで触媒層14a,14bは、燃料電池における電極として機能する層であり、これらのいずれか一方がアノード触媒層となり、他方がカソード触媒層となる。
【0053】
ガス拡散層16a,16bは、MEA20の両側を挟むように設けられており、触媒層14a,14bへの原料ガスの拡散を促進するものである。このガス拡散層16a,16bは、電子伝導性を有する多孔質材料により構成されるものが好ましい。例えば、多孔質性のカーボン不織布やカーボンペーパーが、原料ガスを触媒層14a,14bへ効率的に輸送することができるため、好ましい。
【0054】
セパレータ18a,18bは、電子伝導性を有する材料で形成されており、かかる材料としては、例えば、カーボン、樹脂モールドカーボン、チタン、ステンレスなどが挙げられる。かかるセパレータ18a,18bは、図示しないが、触媒層14a,14b側に、燃料ガスなどの流路となる溝が形成されていると好ましい。
【0055】
そして、燃料電池10は、上述したようなMEGAを、一対のセパレータ18a,18bで挟み込み、これらを接合することで得ることができる。
【0056】
なお、本発明の燃料電池は、必ずしも上述した構成を有するものに限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜異なる構成を有していてもよい。
【0057】
また、燃料電池10は、上述した構造を有するものを、ガスシール体などで封止したものであってもよい。さらに、上記構造の燃料電池10は、直列に複数個接続して、燃料電池スタックとして実用に供することもできる。そして、このような構成を有する燃料電池は、燃料が水素である場合は固体高分子形燃料電池として、また燃料がメタノール水溶液である場合は直接メタノール型燃料電池として動作することができる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
(イオン交換容量の測定方法)
測定に供する高分子電解質を、溶液キャスト法を用いて膜とした後、加熱温度105℃に設定されたハロゲン水分率計を用いて、該膜の乾燥重量を求めた。次いで、この膜を0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液5mLに浸漬した後、更に50mLのイオン交換水を加え、2時間放置した。その後、この膜が浸漬された溶液に、0.1mol/Lの塩酸を徐々に加えることで滴定を行い、中和点を求めた。そして、高分子電解質膜の乾燥重量と上記の中和に要した塩酸の量から、膜のイオン交換容量(単位:meq/g)を算出した。
【0060】
(固形物のイオン交換容量の測定方法)
測定に供する高分子電解質エマルション約10mLを、ガラスシャーレの上に滴下し、温度95℃に設定されたオーブンを用いて、乾燥させた。得られた固形物を、さらに加熱温度105℃に設定されたハロゲン水分率計を用いて、乾燥重量を求めた。次いで、この固形物を0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液5mLに浸漬した後、更に50mLのイオン交換水を加え、2時間放置した。その後、この膜が浸漬された溶液に、0.1mol/Lの塩酸を徐々に加えることで滴定を行い、中和点を求めた。そして、固形物の乾燥重量と上記の中和に要した塩酸の量から、高分子電解質のイオン交換容量(単位:meq/g)を算出した。
【0061】
(重量平均分子量の測定方法)
GPC法による測定を行い、ポリスチレン換算を行うことによって重量平均分子量を算出された。なお、GPC法の測定条件は下記のとおりである。
GPC条件
・GPC測定装置 TOSOH社製 HLC−8220
・カラム Shodex社製 AT−80Mを2本直列に接続
・カラム温度 40℃
・移動相溶媒 ジメチルアセトアミド
(LiBrを10mmol/dm3になるように添加)
・溶媒流量 0.5mL/min
【0062】
(平均粒径測定方法)
各エマルションの平均粒径は、動的光散乱法(濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000[大塚電子製])を用いて測定した。測定温度は30℃、積算時間は30min、測定に用いたレーザーの波長は660nmである。得られたデータを、上記装置付属の解析ソフトウェア(FPARシステム VERSION5.1.7.2)を用い、CONTIN法で解析することで散乱強度分布を得、最も頻度の高い粒径を平均粒径とした。
【0063】
製造例1[4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウムの合成]
攪拌機を備えた反応器に、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン467gと30%発煙硫酸3500gとを加え、100℃で5時間反応させた。得られた反応混合物を冷却した後、大量の氷水中に加え、これに更に50%水酸化カリウム水溶液470mLを滴下した。
次いで、析出した固体を濾過して集め、エタノールで洗浄した後、乾燥させた。得られた固体を脱イオン水6.0Lに溶解させ、50%水酸化カリウム水溶液を加えて、pH7.5に調整した後、塩化カリウム460gを加えた。析出した固体を濾過して集め、エタノールで洗浄した後、乾燥させた。
その後、得られた固体をジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」と呼ぶ)2.9Lに溶解させ、不溶の無機塩を濾過で除き、残渣をDMSO300mLでさらに洗浄した。得られた濾液に酢酸エチル/エタノール=24/1の溶液6.0Lを滴下し、析出した固体をメタノールで洗浄し、100℃で乾燥させて、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウムの固体482gを得た。
【0064】
製造例2[高分子電解質Aの製造]
(スルホン酸基を有する高分子化合物の合成)
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、製造例1で得られた4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム9.32重量部、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム4.20重量部、DMSO59.6重量部、及び、トルエン9.00重量部を加え、これらを室温にて撹拌しながらアルゴンガスを1時間バブリングした。
その後、得られた混合物に、炭酸カリウムを2.67重量部加え、140℃にて加熱撹拌して共沸脱水した。その後トルエンを留去しながら加熱を続け、スルホン酸基を有する高分子化合物のDMSO溶液を得た。総加熱時間は14時間であった。得られた溶液は室温にて放冷した。
【0065】
(イオン交換基を実質的に有さない高分子化合物の合成)
共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン8.32重量部、2,6−ジヒドロキシナフタレン5.36重量部、DMSO30.2重量部、N−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と呼ぶ)30.2重量部、及び、トルエン9.81重量部を加え、室温にて撹拌しながらアルゴンガスを1時間バブリングした。
その後、得られた混合物に、炭酸カリウムを5.09重量部加え、140℃にて加熱撹拌して共沸脱水した。その後トルエンを留去しながら加熱を続けた。総加熱時間は5時間であった。得られた溶液を室温にて放冷し、イオン交換基を実質的に有さない高分子化合物のNMP/DMSO混合溶液を得た。
【0066】
(ブロック共重合体の合成)
得られたイオン交換基を実質的に有さない高分子化合物のNMP/DMSO混合溶液を攪拌しながら、これに、上記スルホン酸基を有する高分子化合物のDMSO溶液の全量とNMP80.4重量部、DMSO45.3重量部を加え、150℃にて40時間ブロック共重合反応を行った。
得られた反応液を大量の2N塩酸に滴下し、1時間浸漬した。その後、生成した沈殿物を濾別した後、再度2N塩酸に1時間浸漬した。得られた沈殿物を濾別、水洗した後、95℃の大量の熱水に1時間浸漬した。そして、この溶液を80℃で12時間乾燥させて、ブロック共重合体である高分子電解質(下式)を得た。これを高分子電解質Aとする。
なお、下記式における「block」の記載は、スルホン酸基を有するブロック及びイオン交換基を有さないブロックをそれぞれ一つ以上有することを表している。

得られた高分子電解質Aのイオン交換容量は1.9meq/gであり、重量平均分子量は4.2×105であった。なお、m、nは各ブロックを構成する括弧内の繰返し単位の平均重合度を表すものである。
【0067】
製造例3[高分子電解質Bの製造]
アルゴン雰囲気下、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、DMSO600ml、トルエン200mL、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム26.5g(106.3mmol)、末端クロロ型であるポリエーテルスルホン(住友化学製スミカエクセルPES5200P、Mn=5.4×104、Mw=1.2×105)10.0g、2,2’−ビピリジル43.8g(280.2mmol)を入れて攪拌した。その後バス温を150℃まで昇温し、トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水した後、60℃に冷却した。次いで、これにビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)73.4g(266.9mmol)を加え、80℃に昇温し、同温度で5時間攪拌した。放冷後、反応液を大量の6mol/Lの塩酸に注ぐことによりポリマーを析出させ濾別。その後6mol/L塩酸による洗浄・ろ過操作を数回繰り返した後、濾液が中性になるまで水洗を行い、減圧乾燥することにより目的とする下記に示すポリアリーレン系ブロック共重合体16.3gを得た。これを高分子電解質Bとする。なお、下記式における「block」の記載は、スルホン酸基を有するブロック及びイオン交換基を有さないブロックをそれぞれ一つ以上有することを表している。

得られた高分子電解質Bのイオン交換容量は2.3meq/gであり、重量平均分子量は、2.7×105であった。なお、p、qは各ブロックを構成する括弧内の繰返し単位の平均重合度を表すものである。
【0068】
製造例4[高分子電解質Cの製造]
4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム7.74g(15.77mmol)、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸カリウム3.00g(13.14mmol)炭酸カリウム1.91g(13.80mmol)を加え、DMSO49mLおよびトルエン35mLを添加した。その後バス温150℃で2時間トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後4時間保温攪拌することでオリゴマーaを得た。仕込み値から計算されるオリゴマーaの繰り返し重合度pの平均は5.5であった。
また別途、共沸蒸留装置を備えたフラスコに、アルゴン雰囲気下、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル8.25g(40.78mmol)、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン9.70g(38.16mmol)、炭酸カリウム6.20g(44.86mmol)を加え、ジメチルスルホキシド82mLおよびトルエン35mLを添加した。その後バス温150℃で2時間トルエンを加熱留去することで系内の水分を共沸脱水し、その後4時間保温攪拌することでオリゴマーbを得た。仕込み値から計算されるオリゴマーbの繰り返し重合度qの平均は15.0であった。
続いて、反応液を室温まで十分に放冷した後、オリゴマーaの反応溶液をオリゴマーbの反応溶液に滴下して、オリゴマーaの反応マスをDMSO20mLで十分に共洗いし、その後内温150℃にて9時間保温攪拌した。反応液を放冷した後、大量の塩酸水に滴下し、生成した沈殿物を濾過回収した。さらに洗液が中性になるまで水で洗浄濾過を繰返した後、80℃の熱水で処理、その後80℃にて常圧乾燥し23.51gのブロック共重合体を得た。これを高分子電解質Cとする。なお、下記式における「block」の記載は、スルホン酸基を有するブロック及びイオン交換基を有さないブロックをそれぞれ一つ以上有することを表している。

得られた高分子電解質Cのイオン交換容量は1.5meq/gであり、重量平均分子量は、139000であった。なお、s、rは各ブロックを構成する括弧内の繰返し単位の平均重合度を表すものである。
【0069】
製造例5[安定剤ポリマーdの製造]
ポリマーaの合成
減圧共沸蒸留装置を備えた2Lセパラブルフラスコを窒素置換し、ビス−4−ヒドロキシジフェニルスルホン63.40g、4,4’−ジヒドロキシビフェニル70.81g、N−メチル−2−ピロリドン955gを加え均一な溶液とした。その後、炭酸カリウム92.80gを添加し、NMPを留去しながら135℃〜150℃で4.5時間減圧脱水した。その後、ジクロロジフェニルスルホン200.10gを添加し180℃で21時間反応をおこなった。
反応終了後、反応溶液をメタノールに滴下し、析出した固体をろ過、回収した。回収した固体は更にメタノール洗浄、水洗浄、熱メタノール洗浄を経て、乾燥し275.55gのポリマーaを得た。このポリマーaの構造を下記に示す。ポリマーaはGPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量が18000であり、NMR測定の積分値から求めたvとwの共重合モル比がw:v=7:3であった。なお、下記の「random」の表記は、下記ポリマーaを形成する構成単位が、ランダムに共重合されていることを示す。

【0070】
ポリマーbの合成
2Lセパラブルフラスコを窒素置換し、ニトロベンゼン1014.12g、ポリマーa80.00g、を加え均一な溶液とした。その後、N-ブロモスクシンイミドを50.25g添加し、15℃まで冷却した。続いて、95%濃硫酸106.42gを40分かけて滴下し15℃で6時間反応をおこなった。6時間後、15℃に冷却しながら10w%水酸化ナトリウム水溶液450.63g、チオ硫酸ナトリウム18.36gを添加した。その後、この溶液をメタノールに滴下し、析出した固体をろ過、回収した。回収した固体はメタノール洗浄、水洗浄、再度メタノール洗浄を経て乾燥し、86.38gのポリマーbを得た。
【0071】
ポリマーcの合成
減圧共沸蒸留装置を備えた2Lセパラブルフラスコを窒素置換し、ジメチルホルムアミド116.99g、ポリマーb80.07g、加え均一な溶液とした。その後、ジメチルホルムアミドを留去しながら5時間減圧脱水をおこなった。5時間後50℃まで冷却し、塩化ニッケルを41.87g添加して130℃まで昇温し、亜リン酸トリエチルを69.67g滴下して140℃〜145℃で2時間反応をおこなった。2時間後亜リン酸トリエチルをさらに17.30g添加し145℃〜150℃で3時間反応をおこなった。3時間後室温まで冷却し、水1161gとエタノール929gの混合溶液を滴下して、析出した固体をろ過、回収した。回収した固体に水を添加して十分に粉砕し、5重量%塩酸水溶液で洗浄、水洗浄を経て、86.83gのポリマーcを得た。
【0072】
ポリマーdの合成
5Lセパラブルフラスコを窒素置換し、35重量%塩酸水溶液1200g、水550g、ポリマーc75.00g、を加え105℃〜110℃で15時間攪拌した。15時間後、室温まで冷却し水1500gを滴下した。その後、系中の固体をろ過、回収し、得た固体を水洗浄、熱水洗浄した。乾燥後目的とするポリマーdを72.51g得た。ポリマーdの元素分析から求めたリンの含有率は5.91%であり、元素分析値から計算したx(ビフェニリレンオキシ基1個当たりのホスホン酸基数)の値は1.6であった。

【0073】
製造例6[イオン伝導膜の作製方法]
製造例2で得られた高分子電解質Aを、N−メチルピロリドンに13.5wt%の濃度となるように溶解させて、高分子電解質溶液を調製した。次いで、この高分子電解質溶液をガラス板上に滴下した。それから、ワイヤーコーターを用いて高分子電解質溶液をガラス板上に均一に塗り広げた。この際、0.25mmクリアランスのワイヤーコーターを用いて塗工厚みをコントロールした。塗布後、高分子電解質溶液を80℃で常圧乾燥した。 得られた膜を1mol/Lの塩酸に浸漬した後、イオン交換水で洗浄し、さらに常温乾燥することによって厚さ30μmのイオン伝導膜Aを得た。
【0074】
製造例7[高分子電解質Dの製造]
特開2005−126684の実施例5に準じた方法により、下記化学式で示される高分子電解質Dを得た。得られた高分子電解質Dのイオン交換容量は1.4meq/gであり、重量平均分子量は1.0×105であった。なお、m、nは各ブロックを構成する括弧内の繰返し単位の平均重合度を表すものである。

【0075】
実施例1[高分子電解質エマルション1の作製]
製造例3で得られた高分子電解質B 0.9gと製造例5で得られたポリマーd0.1gを、N−メチルピロリドン(NMP)99gに溶解させ、高分子電解質溶液100gを作成した。この溶液を、900gの水に攪拌しながら徐々に滴下し、高分子電解質AとNMPと水の混合物を得た。この混合物を浸透膜に封入し、72時間流水で洗浄した。その後、この混合物を、エバポレータを用いて50gになるまで濃縮して高分子電解質エマルション1を得た。この高分子電解質エマルション1の平均粒径は101μmであった。また、高分子電解質エマルション1の固形物のイオン交換容量は2.4meq/gであり、高分子電解質エマルション1中のNMP量は4ppmであった。
得られた高分子電解質エマルション1を後述する密着性試験を行い、密着性を求めた。結果を表1に示す。
【0076】
実施例2[高分子電解質エマルション2の作製]
実施例1において高分子電解質Bを製造例4で得られた高分子電解質Cに置き換える以外は、同じ方法で高分子電解質エマルション2を得た。この高分子電解質エマルションの平均粒径は281nmであった。また、エマルション1の分散体のIECは1.5meq/gであり、高分子電解質エマルション2中のNMP量は10ppmであった。
得られた高分子電解質エマルション2を後述する密着性試験を行い、密着性を求めた。結果を表1に示す。
【0077】
比較例1
実施例1の高分子電解質エマルション1に替わって、市販の市販のナフィオン5重量%溶液(アルドリッチ製)を用い、後述する密着性試験を行い、密着性を求めた。結果を表1に示す。なお、このナフィオンはIEC 0.9meq/gの高分子電解質であり、本例で使用した溶液は、ナフィオン以外の固形物はほとんどないので、固形物のIECも0.9meq/gと見なすことができる。
【0078】
比較例2
実施例1において高分子電解質Bを製造例7で得られた高分子電解質Dに置き換える以外は、同じ方法で高分子電解質エマルション3を得た。この高分子電解質エマルションの平均粒径は467nmであった。また、高分子電解質エマルション3の固形物のイオン交換容量は1.4meq/gであり、高分子電解質エマルション3中のNMP量は4ppmであった。
得られた高分子電解質エマルション3を後述する密着性試験を行い、密着性を求めた。結果を表1に示す。
【0079】
(密着性試験用基材の作製方法)
製造例6で得られたイオン伝導膜Aを密着性試験用の基材とした。さらに上記実施例1、2で得られた高分子電解質エマルション1、2を、密着性試験用基材とアルミ板(1mm)との接着剤として使用した。密着性試験用基材は幅20mm、長さ50mmの短冊状に切り出し、長さ20mm分をのりしろとして、エマルションを接着剤としてアルミ板に接着した。使用するエマルション量はおよそ100μLである。80℃10分乾燥後、島津製作所(株)製オートグラフAGS−500で剥離速度300mm/分、剥離角度90度で剥離し、そのときの剥離荷重を求めた。剥離荷重の大きいものほど密着性が強いことを意味する。
【0080】
【表1】

【0081】
固形物のIECが2.4meq/gである高分子電解質エマルション1を用いた実施例1、固形物のIECが1.5meq/gである高分子電解質エマルション2を用いた実施例2では強固な密着性が得られたが、IECが低い比較例1では剥離荷重が低く、基材と容易に剥離してしまうことが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】好適な実施形態に係る燃料電池の断面構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0083】
10・・・燃料電池、12・・・イオン伝導膜、14a,14b・・・触媒層、16a,16b・・・ガス拡散層、18a,18b・・・セパレータ、20・・・MEA

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子電解質粒子が分散媒中に分散してなる高分子電解質エマルションであって、該高分子電解質エマルションから揮発性物質を取り除いて得られる固形物のイオン交換容量が1.5〜3.0meq/gであることを特徴とする高分子電解質エマルション。
【請求項2】
高分子電解質粒子が分散媒中に分散してなる高分子電解質エマルションであって、該高分子電解質エマルションから揮発性物質を取り除いて得られる固形物のイオン交換容量が1.8〜3.0meq/gであることを特徴とする高分子電解質エマルション。
【請求項3】
動的光散乱法により求められる体積平均粒径が100nm〜200μmである、請求項1または2に記載の高分子電解質エマルション。
【請求項4】
上記高分子電解質粒子を構成する高分子電解質が、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算重量平均分子量が1000〜1000000の高分子電解質を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の高分子電解質エマルション。
【請求項5】
上記高分子電解質粒子を構成する高分子電解質が、芳香族炭化水素系高分子電解質を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の高分子電解質エマルション。
【請求項6】
上記高分子電解質粒子を構成する高分子電解質の良溶媒の含有量が、200ppm以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の高分子電解質エマルション。
【請求項7】
固体高分子型燃料電池の電極用に使用される、請求項1〜6のいずれかに記載の高分子電解質エマルション。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の高分子電解質エマルションと、触媒成分とを含む触媒組成物。
【請求項9】
請求項8記載の触媒組成物からなる固体高分子型燃料電池用電極。
【請求項10】
請求項9記載の固体高分子型燃料電池用電極を有する、膜電極接合体。
【請求項11】
請求項9記載の膜電極接合体を有する、固体高分子型燃料電池。

【図1】
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【公開番号】特開2008−31463(P2008−31463A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−173797(P2007−173797)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】