説明

高分岐ポリマー及びそれを架橋してなるフィルム

【課題】機能物質をナノオーダーで制御して、吸着、配位、化学結合等により、フィルムに効率よく良好に保持させることができるフィルム形成用のポリマーを提供すること、及び、気体透過性に優れたフィルム形成用のポリマーを提供すること。
【解決手段】少なくとも、一般式(1)で表される末端水酸基を2個有する化合物又はその誘導体を、一般式(1)中の水酸基とAとを化学反応させることにより重合させて得られる基本化学構造を有することを特徴とする高分岐ポリマー、及びそれを架橋してなるフィルム。


(一般式(1)中、Xは3価の有機基を示し、Y及びYは置換基を有していてもよいアルキレン基を示し、Aは水酸基と化学反応し得る基を示し、n及びmは0以上の整数を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の基本化学構造を有する高分岐ポリマーに関し、更に詳しくは、それを塗布、架橋させることによって、機能物質を吸着、配位、化学結合等によって保持しやすく、また、気体透過性に優れたフィルム形成用の高分岐ポリマーに関するものである。また、その高分岐ポリマーを架橋させてなるフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機能性を持たせたフィルムの製造方法については、機能物質をバインダーポリマーと共に、溶媒に溶解させたり又は分散媒に分散させたりして、基板上に塗布し、その後、乾燥してフィルムを得る方法が知られている。また、溶媒又は分散媒を用いずに、粘調なバインダーポリマー中に機能物質を含有させ、それを塗布しフィルムにする方法等も知られている。
【0003】
しかしながら、これらの方法により得られたフィルムは、抗菌フィルム、殺菌フィルム、貼付剤、パップ剤、保湿剤等のような、機能物質がそのフィルムの外部に徐々に出ていって機能を発揮するような用途に使用された場合には、フィルムの内部に存在する機能物質が最後まで外部に出ず無駄になり、また、長時間徐々に機能を発揮することができない等という問題点があった。また、多量に機能物質をフィルム中に保持できにくいという問題点もあった。
【0004】
また、このような系では、機能物質とバインダーポリマーは、単に物理的に混合しているか、分子レベルで完全に相溶しているかであり、機能物質とバインダーポリマーとの関係が、ナノオーダーで制御されているものではなかったため、その機能物質の有する機能を充分に発揮できない場合もあった。
【0005】
更に、バインダーポリマーの側鎖に機能物質を化学的に結合させて、機能性ポリマーを合成し、それを塗布等の成型を施してフィルムにする方法も知られている。しかしながら、この方法では、機能物質をバインダーに結合させる方法が難しい(すなわち、該機能性ポリマーの合成が困難な)場合が多く、また、充分な濃度で、フィルムに含有させることができない等の問題点もあった。
【0006】
一方、機能物質を、ナノオーダーで制御して担持する物質として、デンドリマーが知られている(非特許文献1)。しかしながら、この方法は、デンドリマーの内部の空孔に機能物質の分子を内包させたり、デンドリマーのコアに機能物質分子を存在させたりして、そこからカプセル状にデンドリマーを合成するものであり、使用できる機能物質は極めて制限されたものであった。また、物質としては興味あるものの、実際の用途は極めて限られたものであった。
【0007】
近年、種々の性質をもった機能性フィルムの高性能化の要求が、ますます高くなってきており、かかる公知技術では、たとえ用いた機能物質が優れたものであっても、機能性フィルムとしては不十分であった。そのため、調整幅が広く、かつ応用分野が広いフィルム形成用のポリマーが望まれていた。
【0008】
【非特許文献1】化学と工業、56−7巻、794頁、(2003年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、機能物質をナノオーダーで制御して、吸着、配位、化学結合等により、フィルムに効率よく良好に保持させることができるフィルム形成用のポリマーを提供することにある。また、気体透過性に優れたフィルム形成用のポリマーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の3官能物質を重合させることによって、機能物質を保持する性能に優れたフィルムを与えることができるポリマーが得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、少なくとも、一般式(1)で表される末端水酸基を2個有する化合物又はその誘導体を、一般式(1)中の水酸基とAとを化学反応させることにより重合させて得られる基本化学構造を有することを特徴とする高分岐ポリマーを提供するものである。
【化3】

(一般式(1)中、Xは3価の有機基を示し、Y及びYは置換基を有していてもよいアルキレン基を示し、Aは水酸基と化学反応し得る基を示し、n及びmは0以上の整数を示す。)
【0012】
また、本発明は、少なくとも、上記の高分岐ポリマーを含有する組成物を、光線又は電子線によって架橋してなることを特徴とするフィルムを提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、機能物質をナノオーダーで制御して、吸着、配位、化学結合等により、フィルムに効率よく良好に保持させることができ、機能物質の用途に応じて、保持性の調整が可能で、気体透過性に優れ、生体にも安全なフィルム形成用のポリマーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、任意に変形して実施することができる。
【0015】
本発明のポリマーは、少なくとも、上記一般式(1)で表される化合物又はその誘導体を、一般式(1)中の、水酸基とAとを反応させることにより重合させて得られる基本化学構造を有する高分岐ポリマーである。
【0016】
一般式(1)において、n及びmは、それぞれ、0又は1以上の整数であるが、1以上であることが好ましい。すなわち、一般式(1)は、置換基を有していてもよいアルキレンオキサイド鎖を有していることが好ましい。
【0017】
一般式(1)中のアルキレンオキサイド鎖について、Y及びYは、互いに異なっていてもよい、置換基を有していてもよいアルキレン基を示す。アルキレン基が存在することによって、本発明の高分岐ポリマーが、光線又は電子線照射によって架橋しやすくなる。また、親水性を付与し、得られたフィルムの用途範囲を拡大することに役立つ。アルキレン基は特に限定はないが、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン、トリメチレン基等が好ましく、親水性付与、生体への安全性を考慮すると、エチレン基が特に好ましい。
【0018】
該アルキレン基は、置換基を有していても有していなくても、上記効果を阻害しなければよい。置換基としては特に限定はないが、炭素数が1〜6程度の低級アルキル基;メトキシ基(OCH)、エトキシ基(OCHCH)等のアルコキシ基;フェニル基等が好ましい。ただ、親水性、生体への安全性等の点からは、置換基を有していないことが特に好ましい。
【0019】
一般式(1)は、末端水酸基をちょうど2個有するものであることが必須である。例えば、上記置換基やA中にも水酸基があって、一般式(1)中に合計で3個以上有するものとなった場合には、本発明の高分岐ポリマーの基本化学構造が得られない場合がある。また、水酸基が1個では本発明の効果を奏する高分岐ポリマーの基本化学構造が得られない。
【0020】
一般式(1)において、n及びmは、互いに異なっていてもよい、0以上の整数であることが必須であるが、1〜100が好ましく、2〜20が特に好ましい。n又はmが小さすぎる場合には、本発明の高分岐ポリマーが光線又は電子線照射によって架橋しにくく、また、親水性を付与できない場合がある。更に好ましくは2〜6であり、原料の入手のしやすさからは、2、3又は6が最も好ましい。
【0021】
一般式(1)において、Aは、アルキレンオキサイド鎖の末端に位置する2個の水酸基と化学反応し得る基であれば特に限定はないが、例えば、カルボン酸基(カルボキシル基)、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基;それらのアルキルエステル;それらの酸クロライド;グリシジル基等が好ましい。特に好ましくは、エステル交換反応で良好に分岐ポリマーが合成できる等の点で、酸のアルキルエステルが特に好ましく、エステル交換反応において、脱離物が低沸点のアルコールであり、本発明の高分岐ポリマーの生成が容易である等の点で、−COOCH、−COOC等のカルボン酸アルキルエステル基が更に好ましい。
【0022】
一般式(1)において、Xは3価の有機基を示す。Xは3価の有機基でありさえすれば、本発明の特定の基本化学構造を有する高分岐ポリマーを生成し得るので特に限定はないが、下記一般式(2)で表される3価の有機基であることが好ましい。
【0023】
【化4】

(一般式(2)中、Qは炭素原子又は脂肪族環若しくは芳香族環を示し、Z〜Zは単なる化学結合又は置換基を有していてもよいアルキレン基若しくはオキシアルキレン基を示す。)
【0024】
一般式(2)において、Qは炭素原子又は脂肪族環若しくは芳香族環を示す。脂肪族環としては特に限定はないが、シクロヘキサン環、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘプタン、シクロオクタン環等が挙げられる。また、芳香族環としては特に限定はないが、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。これらの環には、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基(−SR)等の置換基が結合していてもよい。なお、Qが炭素原子ということは、その炭素には水素が結合している。生体への影響を考慮すると、炭素原子、脂肪族環又はベンゼン環が特に好ましい。
【0025】
一般式(2)において、Z〜Zは、単なる化学結合又は置換基を有していてもよいアルキレン基若しくはオキシアルキレン基を示す。Z、Zを一般式(1)の、末端水酸基のアルキレンオキサイド鎖に結合する方の基とし、Zを一般式(1)の、Aに結合する方の基とすると(以下、同様とする)、Qが炭素原子の場合は、化合物の安定性の点から、ZとZは両方共が同時に単なる化学結合ではないことが好ましく、炭素数1〜6の互いに異なっていてもよいアルキレン基が特に好ましい。また、Zは単なる化学結合、炭素数1〜6のアルキレン基又はトリ(オキシエチレン)基が特に好ましい。
【0026】
また、Qが脂肪族環又は芳香族環の場合は、Z〜Zは単なる化学結合、炭素数1〜6のアルキレン基、オキシアルキレン基が好ましく、原料の入手のし易さの点からは、単なる化学結合が特に好ましい。
【0027】
〜Zは置換基を有していてもよく、置換基としては特に限定はないが、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基等が挙げられる。また、ZとZは、均等に分岐させていくために水酸基の反応性を一定にする点で、同じ基であることが特に好ましい。
【0028】
本発明の高分岐ポリマーは、一般式(1)におけるAと、アルキレンオキサイド鎖の末端にある2個の水酸基が反応することにより重合して得られる基本化学構造を有する。かかる基本化学構造の一例を、下記一般式(3)に示す。なお、全体の分岐の程度、分子量、重合度等は、一般式(3)に限定はされない。一般式(3)において、分岐している点が、一般式(1)におけるXに対応する。
【0029】
【化5】

【0030】
本発明の高分岐ポリマーは、一般式(3)の基本構造を有していれば、末端は水酸基に限定されず、一般式(1)が重合して得られたポリマーの末端水酸基は、種々の置換基で置換されていてもよく、そのような高分岐ポリマーも本発明の範囲に含まれる。一般式(3)のような基本化学構造をとることによって、分岐ポリマーの内部又は末端に機能物質を、分子レベル又はナノレベルで良好に保持しやすくなる。また、末端に化学反応により機能物質を化学結合しやすくなる。
【0031】
上記「種々の置換基」としては、架橋を促進させる基、自身が架橋に関与する基、機能物質を反応させやすくする基、機能物質自身等が挙げられるが、それらについて以下に述べる。すなわち、本発明の高分岐ポリマーは、その基本化学構造において、(a)その末端水酸基の全てが無置換で水酸基のままのもの、又は、(b)その末端水酸基の少なくとも一部が、光線若しくは電子線で架橋し得る基で置換されているものが好ましい。
【0032】
本発明の高分岐ポリマーは、後述するように、フィルム状にした後に架橋させて用いることが好ましい。本発明の高分岐ポリマーの架橋は、一般式(3)における末端の(一般式(1)における未反応の)水酸基がそのまま無置換の状態のものでも可能であるが、架橋性を更に良くするために、該末端水酸基の少なくとも一部を、架橋を促進する化学構造に置換することも好ましい。かかる化学構造は特に限定はなく、光線、電子線、熱等の外部エネルギーによりアルキレンオキサイド鎖と結合するもの、かかる化学構造同士で結合するもの、本発明の高分岐ポリマーに、更に別途加えるポリマーと結合するもの等が挙げられる。また、反応の種類による分類としても、置換反応、ラジカル反応、酸触媒による架橋反応等をする化学構造が挙げられる。好ましくは、高反応性の点から、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、グリシジル基等である。また、電子線照射で架橋させる場合には、アセチル基等が好ましい。
【0033】
これらの基の導入率は特に限定はなく0〜100モル%の範囲で導入可能であるが、末端水酸基全体に対して、10〜70モル%が好ましく、20〜50モル%が特に好ましい。導入率が小さすぎると、架橋密度が低くフィルムが軟らかすぎる場合があり、導入率が大きすぎると、フィルムが硬くなりすぎる場合がある。
【0034】
一般式(3)に示す基本化学構造の末端(一般式(3)の左末端、すなわち一般式(1)の未反応)の水酸基の少なくとも一部には、機能物質が化学反応により結合していることも好ましい。かかる機能物質としては特に限定はなく、フィルムから、機能物質が揮散、脱離等していって機能を発揮する必要がないもので、化学反応で導入可能なものであれば特に限定はないが、ヒアルロン酸、外用セラシド、コラーゲン等の親水性・保湿性付与剤;ビピリジル、テトラメチレンエチレンジアミン(TMEDA)、カルボキシル基を有する化合物等の配位サイト付与・配位能増強剤;ダンシル基を有する化合物等の蛍光性付与剤;酸化チタン、ヘマトポルフィリン誘導体、フォトフリンII、ケトコナゾール、タクロリムス等の殺菌・抗菌性付与剤;インシュリン、トランスロフェリン等の細胞増殖・微生物増殖剤;アドリアマイシン、フラーレン等の抗がん剤等が挙げられる。
【0035】
これらの機能物質の高分岐ポリマーへの導入に際しては、要すれば適当な反応基を有する機能物質の誘導体を別途合成して、高分岐ポリマーの末端水酸基に反応させることもできる。これら機能物質の導入率は特に限定はないが、末端水酸基全体に対して、0.01モル%〜100モル%が好ましく、1〜70モル%が特に好ましく、30〜60モル%が更に好ましい。導入率が小さすぎると、導入の効果がない場合がある。
【0036】
本発明の高分岐ポリマーの合成方法は、2個の水酸基とAが反応すれば特に限定はないが、例えば、Aがカルボン酸アルキルエステルの場合には、無溶媒又は少量の溶媒に溶解させ、塩化トリブチルスズ、塩化トリエチルスズ、ジクロロジブチルスズ等のスズ触媒;チタン酸イソプロピル等のチタン触媒等の存在下で、窒素気流下、100〜250℃、好ましくは190〜210℃に加熱してエステル交換反応を行い、本発明の高分岐ポリマーを合成することが好ましい。また、例えば、Aがグリシジル基の場合には、0℃から室温で、酸触媒を使用して、本発明の高分岐ポリマーを合成することが好ましい。また、例えば、Aがカルボキシル基の場合には、35〜100℃で、スカンジウムトリフレート触媒等を使用して、本発明の高分岐ポリマーを合成するのが好ましい。
【0037】
精製の有無は特に限定はないが、精製をすることが好ましい。精製は、良溶媒に溶解し、貧溶媒に滴下させる方法、分液漏斗で震盪分液する方法、シリカゲルを充填したカラムを通す等で行うことが好ましい。これによって、未反応モノマーが除去される。
【0038】
こうして得られた本発明の高分岐ポリマーの分子量は特に限定はないが、数平均分子量で、800〜10000が好ましく、2000〜4000が特に好ましい。また、重量平均分子量で、800〜30000が好ましく、2000〜20000が特に好ましい。ここで分子量は、THFに溶解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、標準ポリスチレンを分子量基準に用いて測定する。
【0039】
線状ポリマーを0とし、デンドリマーを1とする分岐度は、0.3〜0.8が好ましく、0.5〜0.6が特に好ましい。また、分岐の段数(分岐の世代)の平均値も特に限定はないが、3〜10が好ましく、4〜7が特に好ましい。
【0040】
本発明の高分岐ポリマーは、フィルム状にして用いることができ、また、フィルム状にして用いることが好ましい。例えば、デンドリマーではそれをバインダーポリマーに分散させてフィルム状にすることは可能であるが、単独でフィルム状にすると、硬くもろいフィルムになってしまう場合がある。その点、本発明の高分岐ポリマーは、好適にフィルム状にして用いることができる。
【0041】
フィルムの厚さは、特に限定はないが、10μm〜500μmが好ましく、50μm〜300μmが特に好ましい。厚すぎると、本発明の高分岐ポリマーや機能物質が無駄になったり、フィルム外へ出る量が少なくなったりする場合があり、薄すぎると、強度が不足し、取り扱いにくいフィルムになる場合がある。
【0042】
本発明の高分岐ポリマーをフィルム状にした場合、架橋の有無は特に限定はないが、架橋されていないフィルムは、水等の液体により膨潤したり、機械的強度が弱い場合があったり、高分岐ポリマーが水中に溶出したりする場合があるので、架橋させて用いることが好ましい。本発明の高分岐ポリマーは、良好に架橋できるので、その効果を発揮させるためにも、架橋されていることが好ましい。
【0043】
架橋させる方法は特に限定はなく、熱、光線、電子線等によって可能である。熱で架橋させるために、末端水酸基に熱架橋性又は熱重合性の基を導入した高分岐ポリマーを用いたり、熱重合開始剤等を配合させたりすることができる。また、光線や電子線で架橋させるために、末端水酸基に光架橋性又は光重合性の基を導入したり、また別途、光重合性化合物や光重合開始剤等を配合させたりすることもできる。更には、酸により架橋する物質や光酸発生剤を配合させたりすることもできる。
【0044】
高分岐ポリマーの末端水酸基に導入する架橋性又は重合性の基としては特に限定はないが、アセチル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、グリシジル基等が好ましい。また、本発明の高分岐ポリマー光重合性化合物に配合して用いられる化合物としては、公知の重合性多官能(メタ)アクリルモノマー等が挙げられ、光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルアセタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシロキシムエステル類等のアリールケトン系光重合開始剤;スルフィド類、チオキサントン類等の含硫黄系光重合開始剤;アシルジアリールホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド類;アントラキノン類等、公知のものが挙げられる。また、光増感剤を併用させることもできる。
【0045】
酸により架橋する物質としては、公知のものが使用できるが、例えば、それぞれの窒素原子に、メトキシメチル基等の酸で反応する基が結合した、すなわち、分子中に、−N(CHOR)基(式中、Rはアルキル基又は水素原子を示す)を有する、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、エチレン尿素系架橋剤若しくはグリコールウリル系架橋剤;2,3−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルノルボルナン、3,4,8(又は9)−トリヒドロキシトリシクロデカン、2−メチル−2−アダマンタノール等のヒドロキシル基若しくはヒドロキシアルキル基を有する脂肪族環状炭化水素誘導体;エポキシ基を有する化合物等が挙げられる。
【0046】
光酸発生剤としては、公知のものが使用できるが、例えば、ハロゲン置換アルカン類、ハロメチル化s−トリアジン誘導体類等のハロゲン含有化合物系酸発生剤;ヨードニウム塩、スルホニウム塩等のオニウム塩系酸発生剤;オキシムスルホネート系酸発生剤;ビスアルキルスルホニルジアゾメタン類、ビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類、ジアゾメタンニトロベンジルスルホネート類等のジアゾメタン系酸発生剤;イミノスルホネート系酸発生剤;ジスルホン系酸発生剤等が挙げられる。
【0047】
架橋させる方法は、上述のように、熱、光線、電子線等の照射が挙げられるが、生体に対する影響を考えると、紫外線、X線、ガンマ線等の光線照射、又は電子線照射が、開始剤、架橋剤、増感剤等の低分子量有機物を配合させる必要がないため、及び/又は、照射によって、その殺菌能が利用でき、無菌のフィルムが同時にできるために好ましい。特に好ましくは、ガンマ線又は電子線である。照射装置は公知のものが使用可能である。
【0048】
本発明のフィルムは、本発明の高分岐ポリマーのみで形成されていてもよいが、その他に種々のポリマーを含有させることが可能である。かかる他のポリマーとしては特に限定はないが、ポリアルキレンオキサイドが好ましく、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド又はポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドの共重合体(プロピレンオキサイド含量5〜30モル%)が、電子線を照射した場合に架橋性が上昇する点、生体への影響が少ない点等で特に好ましい。
【0049】
ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド又はポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドの共重合体の数平均分子量としては特に限定はないが、10万〜600万が好ましく、40万〜100万が特に好ましく、50万〜60万が更に好ましい。数平均分子量が大きすぎると、ポリマーを溶解させるのに時間がかかり、また硬いフィルムになる場合があり、一方小さすぎると、粘性のあるフィルムになり取り扱いが困難になる場合がある。
【0050】
本発明のフィルムの製造方法は特に限定されず、公知の方法が使用できるが、本発明の高分岐ポリマーを有機溶剤に溶解し、キャスト法、スピンコート法等で基板上に塗布し、有機溶剤を除去する。このとき使用する有機溶剤としては、本発明の高分岐ポリマーを溶解させるものであれば特に限定はないが、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル等が好ましいものとして挙げられる。その後、要すれば基板からフィルムを剥離し、要すれば架橋させる。
【0051】
フィルムには、種々の機能物質を担持させることができる。かかる機能物質としては特に限定はないが、例えば、ヒアルロン酸、外用セラシド、コラーゲン等の親水性・保湿性付与剤;ビピリジル、テトラメチレンエチレンジアミン(TMEDA)、カルボキシル基を有する化合物等の配位サイト付与・配位能増強剤;ダンシル基を有する化合物等の蛍光性付与剤;酸化チタン、ヘマトポルフィリン誘導体、フォトフリンII、ケトコナゾール、タクロリムス等の殺菌・抗菌性付与剤;インシュリン、トランスロフェリン等の細胞増殖・微生物増殖剤;アドリアマイシン、フラーレン等の抗がん剤等が好ましいものとして挙げられる。
【0052】
これらの機能物質をフィルムに担持させる方法としては、(1)本発明の高分岐ポリマー溶液中に含有させる方法(塗布前に溶媒中に、本発明の高分岐ポリマーと共に含有させる方法)、(2)塗布後で架橋の前にフィルムに担持させる方法、(3)架橋の後にフィルムに担持させる方法等が挙げられ、何れの方法も可能である。機能物質が、電子線、光線、ラジカルに対して耐性がある場合には(1)の方法が、耐性が無い場合には(3)の方法が好ましい。これらの機能物質は、粉体で、液体で又は溶液で、フィルムに担持させることが可能である。
【実施例】
【0053】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
<モノマー(1)の合成>
マグネティックスターラー、ジムロート冷却器を装着した500mLのナスフラスコに、2−[2−(2−クロロエトキシ)エトキシ]エタノール[2]を18.5g(110mmol)、メチル3,5−ジヒドロキシベンゾエート[3]を8.41g(50.0mmol)、炭酸カリウムを49.8g(361mmol)及びアセトニトリルを200mL取り、窒素雰囲気下、48時間還流した。化学反応式を下記に示す。
【0055】
【化6】

【0056】
反応終了後、吸引ろ過により得たろ液より溶媒を減圧留去して褐色粘性オイルを得た。これを少量の酢酸エチルに溶解し、その溶液を、酢酸エチルを溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー処理することにより、第1成分と第2成分を分取した。次に、溶離液をメタノールに変更し、第3成分を分取した。メタノール流出分よりメタノールを減圧留去することで、淡黄色透明粘性オイルとして、上記化学反応式の右辺に示すモノマー[1]を得た。収量は17.7g、収率は81.9%であった。
【0057】
<末端OH基高分岐ポリマー(HBP)の合成>
マグネティックスターラーを装着した30mLのナスフラスコに、上記モノマー[1]を5.01g(11.5mmol)、塩化トリブチルスズを0.05g(0.14mmol)を取り、窒素気流下、200℃で120分攪拌した。放冷後、少量のテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、それをメタノールに滴下して沈殿させた。上澄み液から溶媒を減圧留去し、得られたオイルを少量のTHFに溶解して、イソプロピルエーテルに沈殿させ沈殿物を集め、減圧下で乾燥して末端OH基高分岐ポリマー[HBP]を得た。得られた末端OH基高分岐ポリマー(HBP)の数平均分子量(Mn)は3200、収量4.05g、収率81%であった。化学反応式を下記に示す。
【0058】
【化7】

【0059】
また、末端OH基高分岐ポリマー[HBP]のごく一例ではあるが、より正確な化学構造を、下記化学式(4)に示す。ただし、化学式(4)で示される高分岐ポリマーの重合度については、化学式に記載しやすいところで適当に打ち切ってある。
【0060】
【化8】

【0061】
<末端アセチル化高分岐ポリマー(Acetylated HBP)の合成>
マグネティックスターラーを装備した100mLのナスフラスコに、上記の末端OH基高分岐ポリマー(HBP)(ポリ[ビス(トリエチレングリコール)ベンゾエート]、Poly[bis(triethylene glycol)benzoate]とも表現される)を1.01g(2.34mmol)、アセチルクロライド(Acetyl Chloride)を0.98mL(7.02mmol)、ジクロルメタン(CHCl)15mLを測り取り、攪拌しながら、ジクロルメタン15mLに溶解したトリエチルアミン(Triethylamine)0.58mL(7.02mmol)を滴下し、室温で24時間攪拌した。化学反応式を下記に示す。
【0062】
【化9】

【0063】
その後、溶液を分液漏斗に入れ、1N塩酸とジクロルメタンと蒸留水を加えて分液し、抽出したジクロルメタン層を、ジクロルメタンと飽和食塩水を加え再度分液し、ジクロルメタン層を回収した。無水硫酸マグネシウムを入れ乾燥した後ろ過し、ろ液よりジクロルメタンを減圧留去して得られたオイルを、少量のジクロルメタンに溶解し、イソプロピルエーテルに沈殿させ精製した後、減圧下で乾燥させることにより、末端アセチル化高分岐ポリマー(Acetylated Poly[bis(triethylene glycol)benzoate])(Acetylated HBP)を黄色粘性液体として得た。得られた末端アセチル化HBPの数平均分子量(Mn)は3200、収量1.00g、収率92%であった。また、アセチル基の導入率は、全水酸基に対して、100モル%であった。
【0064】
<末端アクリロイル化高分岐ポリマー(Acrylated HBP)の合成>
マグネティックスターラーを装備した100mLの二口ナスフラスコに、上記の高分岐ポリマー(HBP)(ポリ[ビス(トリエチレングリコール)ベンゾエート]、Poly[bis(triethylene glycol)benzoate])を0.70g(1.62mmol)、アクリル酸クロライド(Acryloyl Chloride)を0.68mL(4.86mmol)、ジクロルメタンを10mL測り取り、攪拌しながら、ジクロルメタン15mlに溶解したトリエチルアミン(Triethylamine)を0.40mL(4.86mmol)滴下し、室温で24時間攪拌した。化学反応式を下記に示す。
【0065】
【化10】

【0066】
溶液を分液漏斗に入れ、1N塩酸とジクロルメタンと蒸留水を加えて分液し、抽出したジクロルメタン層を、ジクロルメタンと飽和食塩水を加え再度分液し、ジクロルメタン層を回収した。無水硫酸マグネシウムを入れ乾燥した後ろ過し、ろ液よりジクロルメタンを減圧留去して得られたオイルを、少量のジクロルメタンに溶解し、イソプロピルエーテルに沈殿させ精製した後、減圧下で乾燥させることにより、末端アクリロイル化高分岐ポリマー(Acrylated Poly[bis(triethylene glycol)benzoate])(Acrylated HBP)を黄色粘性液体として得た。得られた末端アクリロイル化HBPの数平均分子量(Mn)は3200、収量は0.48g、収率は60.8%であった。また、アクリロイル基の導入率は、全水酸基に対して、100モル%であった。
【0067】
<ポリマーフィルム(a)の作製方法>
30mLのサンプル瓶に、上記末端OH基高分岐ポリマー(HBP)を0.3gとポリエチレングリコール(PEO)(数平均分子量600,000)1.20gを秤取り、次いで、20mLのアセトニトリルを加え、約6時間攪拌して、HBP/PEO=20質量%/80質量%よりなる均一な粘性の溶液を調製した。
【0068】
この粘性溶液をガラス板上に塗布し、室温で24時間放置して溶媒を蒸発させた後、更に60℃で24時間減圧乾燥を行うことにより、フィルムを調製した。調製したフィルムはガラス板より剥がし、フィルムがカールしないように端を押さえた後、電子線照射装置を使用して電子線照射を行った。電子線照射条件は、加速電圧200kvで、照射量5、10、20、30Mrad(メガラッド)の4種で行った。20Mradと30Mradの照射では、発熱を抑えるため、10Mradを2回と10Mradを3回照射した。照射は室温、窒素気流下で行った。得られたポリマーフィルム(a)の、電子線照射後の膜厚は、何れも200μmであった。
【0069】
<ポリマーフィルム(b)の作製方法>
末端OH基高分岐ポリマー(HBP)を、上記末端アセチル化高分岐ポリマー(Acetylated HBP)に代えた以外は、ポリマーフィルム(a)と同様にして、ポリマーフィルム(b)を得た。得られたポリマーフィルム(b)の、電子線照射後の膜厚は、何れも
200μmであった。
【0070】
<ポリマーフィルム(c)の作製方法>
末端OH基高分岐ポリマー(HBP)を、上記末端アクリロイル化高分岐ポリマー(Acrylated HBP)に代えた以外は、ポリマーフィルム(a)と同様にして、ポリマーフィルム(c)を得た。得られたポリマーフィルム(c)の、電子線照射後の膜厚は、何れも180μmであった。
【0071】
<ポリマーフィルムの物性評価>
[引っ張り強度の測定]
ドライボックス中でフィルムを1cm×1cmにカットし、その厚みをマイクロメターで測定した。カットしたフィルムを引っ張り試験機(センテックTP−101社製)にセットし、5分間かけて測定を行った、試験機の引っ張り速度は2.5mm/secで、測定温度は30℃と60℃にて行った。測定チャートの例を図1に示す。
【0072】
測定終了後、図1に示すFmax(kgf)の値が検出器に表示された。試料の幅、厚さからフィルムの断面積(A(cm))を計算し、得られたFmax(kgf)を、その断面積(A(cm))で除したものを、引っ張り強度(kgf/cm)とした。
引っ張り強度(kgf/cm)=Fmax(kgf)/A(cm
【0073】
単位をMPaに換算するために、1(kgf/cm)=0.098(MPa)の関係を用い、0.098を掛けた。上記ポリマーフィルム(b)及び(c)について、引っ張り強度を測定した。結果を表1にまとめた。
【0074】
【表1】

【0075】
[膨潤度の測定]
電子線を照射したポリマーフィルムを、約40mgサンプル瓶に取り、乾燥状態での重量(W(g))を測定した後、アセトニトリル15mL又は水15mLに浸漬した。2日間放置後、ポリマーフィルムを取り出し、膨潤状態での重量(W)(g)を測定し、増加した重量(W−W)(g)を、乾燥時の重量(W)(g)で割った値の100倍を膨潤度(%)とした。上記ポリマーフィルム(a)、(b)及び(c)について測定した。その結果を表2にまとめた。
【0076】
【表2】

【0077】
表1、表2の結果から分かるように、ポリマーフィルム(a)、(b)及び(c)の何れもが、特定量の電子線を照射することによって、膨潤度が低下していることが確認でき、架橋がなされていることが分かった。また、架橋によって(適度の電子線照射によって)、アセトニトリルのような有機溶剤や水に対して対抗性を有するようになり、かかる性能が必要な用途にも、本発明のフィルムが有用であることが分かった。
【0078】
また、ポリマーフィルム(b)及び(c)では、架橋によって(適度の電子線照射によって)、引っ張り強度が上昇した。これにより、機械的強度が要求される分野にも、本発明のフィルムが有用であることが分かった。
【0079】
<機能物質保持性>
上記で合成した末端アクリロイル化高分岐ポリマーとポリエチレングリコール(数平均分子量60万)(質量割合で20/80で使用)、及び二酸化チタン(TiO)(全固形分に対し10質量%)を、アセトニトリル溶媒中に混合溶解し、キャスチングによりフィルムを作成し、電子線を30Mrad照射することで得られるフィルムは、機能物質である二酸化チタン(TiO)を良好に保持できるものである。
【0080】
上記で合成した末端アセチル化高分岐ポリマーとポリエチレングリコール(数平均分子量60万)(質量割合で20/80で使用)、及びヒアルロン酸(全固形分に対し、1質量%〜20質量%の範囲で配合量を変化させた)を、アセトニトリル溶媒中に混合溶解し、キャスチングによりフィルムを作成し、電子線を20Mrad照射することで得られるフィルムは、機能物質であるヒアルロン酸を、上記範囲の何れの配合量であっても、良好に保持できるものである。
【0081】
また、上記ポリマーフィルム(a)、(b)及び(c)に対し、電子線を30Mrad照射し架橋させて得た架橋フィルム(a)、(b)及び(c)は、何れもその表面に機能物質を含浸させることによって良好に該機能物質を保持できるものである。
【0082】
以上より、本発明のフィルムは、機能物質を、ナノオーダーで制御して、効率よく良好に保持できるものであり、本発明の高分岐ポリマーは、このような機能を持ったフィルム用として極めて有用であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の高分岐ポリマーを用いたフィルムは、気体透過性、物質保持性、親水性、保湿性、吸着性、配位性、無菌性、生体安全性等に優れており、更に、機能物質を物理的又は化学的に保持させることによって、親水性、保湿性、吸着能、配位能、発光性、抗菌性、殺菌性、触媒能、細胞増殖能、微生物増殖能等を付与できるため、治療、診断等の医療分野のほか、美容、増殖培地、人口皮膚等の分野に広く利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の高分岐ポリマーを用いて形成されたフィルムの引っ張り強度の測定方法、及び測定結果の代表例であり、Fmax(kgf)の定義を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、一般式(1)で表される末端水酸基を2個有する化合物又はその誘導体を、一般式(1)中の水酸基とAとを化学反応させることにより重合させて得られる基本化学構造を有することを特徴とする高分岐ポリマー。
【化1】

(一般式(1)中、Xは3価の有機基を示し、Y及びYは置換基を有していてもよいアルキレン基を示し、Aは水酸基と化学反応し得る基を示し、n及びmは0以上の整数を示す。)
【請求項2】
一般式(1)中のXが、一般式(2)で表される3価の有機基である請求項1記載の高分岐ポリマー。
【化2】

(一般式(2)中、Qは炭素原子又は脂肪族環若しくは芳香族環を示し、Z〜Zは単なる化学結合又は置換基を有していてもよいアルキレン基若しくはオキシアルキレン基を示す。)
【請求項3】
該基本化学構造において、(a)その末端水酸基の全てが無置換で水酸基のままのもの、又は、(b)その末端水酸基の少なくとも一部が、光線若しくは電子線で架橋し得る基で置換されているものである請求項1又は請求項2記載の高分岐ポリマー。
【請求項4】
光線若しくは電子線で架橋し得る基が、アセチル基又はアクリロイル基である請求項3記載の高分岐ポリマー。
【請求項5】
更に、末端水酸基の少なくとも一部に機能物質が化学結合しているものである請求項1ないし請求項4の何れかの請求項記載の高分岐ポリマー。
【請求項6】
少なくとも、請求項1ないし請求項5の何れかの請求項記載の高分岐ポリマーを含有する組成物を、光線又は電子線によって架橋してなることを特徴とするフィルム。
【請求項7】
該組成物が、更に、ポリアルキレンオキサイドを含有するものである請求項6記載のフィルム。
【請求項8】
光線又は電子線による架橋前又は架橋後に、機能物質をフィルム内及び/又はフィルム表面に担持させてなる請求項7又は請求項8記載のフィルム。
【請求項9】
該機能物質が、保湿性付与剤、蛍光化合物、殺菌・抗菌剤、触媒、細胞増殖培地用物質又は医薬である請求項8記載のフィルム。

【図1】
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【公開番号】特開2007−217578(P2007−217578A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40307(P2006−40307)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(304026696)国立大学法人三重大学 (270)
【Fターム(参考)】