説明

高印刷濃度を有する紙基材

本発明は、紙基材に適用するとき、好ましくは、インクジェット印刷に適した高印刷濃度、印刷鮮明度、低HST、および/または、画像乾燥時間を有する基材、同様に、好ましくは、高白色度および低減した色の間のブリードを有する基材を生み出すサイズ剤組成物に関する。また、本発明は、サイズ剤組成物をその少なくとも1つの表面に適用することによって紙基材のHSTを低下させる方法に関する。さらに、本出願は、サイズ剤組成物を製造および使用する方法;および、サイズ剤組成物を含有する紙を製造および使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の説明
本出願は、2005年11月1日に出願された米国特許仮出願60/732,828に対する35USC§119(e)の下での優先権の利益を主張する。ここで、その内容の全体は参照により本明細書中に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は、紙基材に適用するとき、好ましくは、インクジェット印刷に適した高印刷濃度、印刷鮮明度、低HST、および/または、画像乾燥時間を有する基材、同様に、好ましくは、高白色度および低減した色の間のブリードを有する基材を生み出すサイズ剤組成物に関する。また、本発明は、サイズ剤組成物をその少なくとも1つの表面に適用することによって紙基材のHSTを低下させる方法に関する。さらに、本出願は、サイズ剤組成物を製造および使用する方法;および、サイズ剤組成物を含有する紙を製造および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
水性インクを使用するインクジェット記録システムは、現在、周知である。これらシステムは、通常、ほとんどノイズを生じることなく、かつ、ビジネス、家庭および商業的な印刷用途について多色記録を容易に実現することができる。インクジェット記録用の記録シートは、公知である。例えば、U.S.特許Nos.5,270,103;5,657,064;5,760,809;5,729,266;4,792,487;5,405,678;4,636,409;4,481,244;4,496,629;4,517,244;5,190,805;5,320,902;4,425,405;4,503,118;5,163,973;4,425,405;5,013,603;5,397,619;4,478,910;5,429,860;5,457,486;5,537,137;5,314,747;5,474,843;4,908,240;5,320,902;4,740,420;4,576,867;4,446,174;4,830,911;4,554,181;6,764,726;および4,877,680を参照されたい。これらの米国特許は、本明細書にて参照することによりそれらの全体をここで組み入れる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、慣用的な紙基材、例えば、上記したものは、良好な印刷濃度、HST、色の間のブリード、印刷鮮明度、および/または、画像乾燥時間のバランスがとれないままである。したがって、インクジェット印刷に有用な紙基材、特に、好ましくは、高白色度を有する基材にこのような高性能機能を生じさせる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、紙または板紙基材に適用するとき、基材の印刷濃度、色の間のブリード、印刷鮮明度、および/または、画像乾燥時間を改善するサイズ剤組成物を見出した。さらに、紙基材は、好ましくは、高白色度を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
サイズ剤組成物は、顔料を含有することができる。顔料の例は、クレー;炭酸カルシウム;硫酸カルシウム半水和物および硫酸カルシウム脱水和物;粉砕した炭酸カルシウムおよびシリカ処理した炭酸カルシウムを含めいずれかの形態の炭酸カルシウム、好ましくは、沈降炭酸カルシウムである。顔料が炭酸カルシウムである時、それは、いずれの形態であってもよい。例としては、粉砕した炭酸カルシウムおよび/または沈降炭酸カルシウムが挙げられる。好ましい市販入手可能な製品は、Specialty Minerals Inc.からJetcoat 30として、Specialty Minerals Inc.からJetcoat MD 1093として、Omya Inc.からXC3310-1として、Omya Inc.からOmyaJet B5260、C4440および6606として提供される製品である。
【0007】
顔料は、どのような表面積を有してもよい。高表面積を有する顔料としては、例えば、20平方メートル/グラムより大、好ましくは、30平方メートル/グラムより大、さらに好ましくは、50平方メートル/グラムより大、最も好ましくは、100平方メ−トル/グラムより大の表面積を有する顔料が挙げられる。この範囲としては、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100平方メートル/グラム以上が挙げられる。
【0008】
サイズ剤組成物は、どのような量の顔料を含有してもよい。組成物は、組成物中の固形物の総重量に基づき、0〜99wt%の、好ましくは、少なくとも15wt%の、さらに好ましくは、少なくとも30wt%の、最も好ましくは、少なくとも45wt%の顔料を含むのがよい。この範囲としては、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、組成物中の固形物の総重量に基づき、0、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100wt%の顔料を含むことができる。最も好ましい量は、組成物中の固形物の総重量に基づき、約52wt%の顔料である。
【0009】
サイズ剤組成物は、バインダーを含有するのがよい。バインダーの例としては、ポリビニルアルコール;Amres(Kymeneタイプ);Bayer Parez;ポリクロライドエマルジョン;改質された澱粉、例えば、ヒドロキシエチル澱粉、澱粉;カチオン性および酸化された形を含めかつ例えばトウモロコシおよび/または馬鈴薯からのそれらの誘導体;ポリアクリルアミド、改質されたポリアクリルアミド、ポリオール、ポリオールカルボニル付加体、エタンジアール/ポリオール縮合体、ポリアミド、エピクロロヒドリン、グリオキサール、グリオキサール尿素、エタンジアール、脂肪族ポリイソシアネート、イソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネート、ポリイソシアネート、ポリエステル、ポリエステル樹脂、ポリアクリレート、ポリアクリレート樹脂、アクリレートおよびメタクリレートが挙げられるが、それらに限定されるものではない。いずれの組み合わせのバインダーを使用することもできるものの、1つの実施態様としては、多成分バインダーとしてポリビニルアルコールと組み合わせた澱粉または澱粉改質物を含有するサイズ剤組成物が挙げられる。
【0010】
多成分バインダーシステムが存在するとき、1つの実施態様は、少なくとも1種の澱粉およびそのポリビニルアルコールとの誘導体を含むシステムに関する。この実施態様では、サイズ剤組成物中の固形物の総重量に基づく澱粉/PVOH固形物の比は、組成物に両方が存在する限りどのような比率であってもよい。サイズ剤組成物は、組成物中の固形物の総重量に基づく澱粉/PVOHwt%固形物の比99/1〜1/99、好ましくは、50/1〜1/5、さらに好ましくは、高々10/1〜1:2、最も好ましくは、高々8/1〜1/1を含有するのがよい。この範囲としては、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、99/1、50/1、25/1、15/1、10/1、9/1、8/1、7/1、6/1、5/1、4/1、3/1、2/1、1/1、2/3、1/2、1/10、1/25、1/50、1/99が挙げられる。最も好ましい澱粉/PVOH比は、6/1である。
【0011】
サイズ剤溶液および/または紙にポリビニルアルコールを使用するとき、ポリビニルアルコール(PVOH)は、ポリビニルアセテート(PVA)を加水分解することによって生成される。アセテート基は、アルコール基により置換され、加水分解率が高いほど、より多くのアセテート基が置換されたことを示す。PVOHの加水分解/分子量が低いほど、より粘性ではなく、かつ、より水溶性である。PVOHは、100%〜75%の範囲の%加水分解を有するのがよい。%加水分解は、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、75、76、78、80、82、84、85、86、88、90、92、94、95、96、98および100%加水分解%であってよい。好ましくは、PVOHの%加水分解は、90%より大である。
【0012】
サイズ剤組成物は、バインダーをどのような量で含有してもよい。サイズ剤組成物は、組成物中の固形物の総重量に基づき、少なくとも1種のバインダーを、0〜99wt%、好ましくは、少なくとも10wt%、さらに好ましくは、少なくとも20wt%、最も好ましくは、少なくとも30wt%含有するのがよい。この範囲としては、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、組成物中の固形物の総重量に基づき、0、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100wt%が挙げられる。最も好ましくは、組成物中の固形物の総重量に基づき、約37wt%バインダーであるのがよい。
【0013】
1つの実施態様では、サイズ剤組成物がバインダーおよび顔料を含有するとき、バインダー/顔料の重量比は、どのような比率であってもよい。バインダー顔料の重量比は、99/1〜1/99、好ましくは、50/1〜1/10、さらに好ましくは、25/1〜1/5、最も好ましくは、10/1〜1/3であるのがよい。この範囲としては、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、99/1、50/1、25/1、10/1、5/1、2/1、1/1、1/2、2/3、1/3、1/4、1/5、10/1、25/1、50/1および99/1が挙げられる。最も好ましいバインダー/顔料の重量比は、7/10である。
【0014】
サイズ剤組成物は、少なくとも1種の窒素含有有機化学種を含有することができる。窒素含有有気種の例は、1つ以上の第4級アンモニウム官能基を含有する化合物、オリゴマー類およびポリマー類である。このような官能基は、広く変化させることができ、例えば、置換および非置換アミン類、イミン類、アミド類、ウレタン類、第4級アンモニウム基、ジシアンジアミド類等が挙げられる。このような材料の例は、ポリアミン類;ポリエチレンイミン類;ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)のポリマーおよびコポリマー;ビニルピロリドン(VP)の第4級化されたジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAMEMA)とのコポリマー;ポリアミド類;カチオン性ポリウレタンラテックス;カチオン性ポリビニルアルコール;ポリアルキルアミンジシアンジアミドコポリマー;アミングリシジル付加ポリマー類;ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミノ)エチレン(ジメチルイミノ)エチレン]ジクロライドである。窒素含有種の例としては、US特許No.6,764,726に記載されているものが挙げられ、この特許は、本明細書にて参照することによりその全てをここで組み入れる。最も好ましい窒素含有種は、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)のポリマーおよびコポリマーである。
【0015】
サイズ剤組成物は、少なくとも1種の窒素含有有機化学種をいずれかの量含有することができる。サイズ剤組成物は、組成物中の固形物の総重量に基づき、窒素含有種を0〜99wt%の範囲、好ましくは、0.5〜50wt%の範囲、さらに好ましくは、1〜20wt%の範囲、最も好ましくは、2〜10wt%の範囲の量含有するのがよい。この範囲としては、組成物中の固形物の総重量に基づき、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、0、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100wt%が挙げられる。好ましい実施態様では、組成物は、組成物中の固形物の総重量に基づき、約8wt%の窒素含有種を含有する。
【0016】
サイズ剤組成物は、少なくとも1種の無機塩を含有することができる。適した無機塩類は、1価および/または2価および/または3価であってよく、かつ、そのいずれかのレベルの水和錯体を含有するのがよい。無機塩類の例は、元素の周期律表の1族、2族および13族からの無機塩類およびそれらの水和された錯体、例えば、1水和物、2水和物、3水和物4水和物等である。カチオン性金属は、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムおよび、好ましくは、アルミニウムであるのがよい。無機塩のカチオン性金属のアニオン性対イオンは、いずれかのハロゲン、例えば、クロライド、ボライド、フルオライド等;および/または、ヒドロキシル基であるのがよい。最も好ましい無機塩は、塩化ナトリウムである。
【0017】
サイズ剤組成物は、少なくとも1種の無機塩をいずれかの量含有することができる。サイズ剤組成物は、組成物中の固形物の総重量に基づき、0〜99wt%の、好ましくは、0.25〜25wt%の、さらに好ましくは、0.5〜5wt%の、最も好ましくは、1〜3wt%の無機塩を含有するのがよい。この範囲としては、組成物中の固形物の総重量に基づき、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、0、0.25、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100wt%が挙げられる。好ましい実施態様では、サイズ剤組成物は、組成物中の固形物の総重量に基づき、約2.5wt%の無機塩を含有する。
【0018】
サイズ剤組成物は、少なくとも1種の蛍光増白剤(OBA)を含有するのがよい。適したOBAは、2005年2月19日に出願されたUSSN 60/654,712およびUSP6,890,454に記載されている蛍光増白剤であり、これらの特許は、本明細書にて参照することによって、それらの全体をここで組み入れる。OBAは、Clariantから市販入手可能である。さらに、OBAは、カチオン性および/またはアニオン性のいずれであってもよい。市販入手可能なOBAの例は、ClariantからのLeucophore BCWおよびLeucophore FTSである。1つの実施態様では、サイズ剤組成物に含有されるOBAは、カチオン性である。
【0019】
サイズ剤組成物は、少なくとも1種のアニオン性OBAのいずれかの量を含有してもよい。サイズ剤組成物は、組成物中の固形物の総重量に基づき、アニオン性OBAを0〜99wt%の、好ましくは、5〜75wt%の、さらに好ましくは、10〜50wt%の、最も好ましくは、20〜40wt%の量含有するのがよい。この範囲としては、組成物中の固形物の総重量に基づき、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、0、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、99wt%アニオン性OBAが挙げられる。好ましい実施態様では、サイズ剤組成物は、組成物中の固形物の総重量に基づき、約35wt%のアニオン性OBAを含有する。
【0020】
サイズ剤組成物は、少なくとも1種のカチオン性OBAのいずれかの量含有することができる。サイズ剤組成物は、カチオン性OBAを、組成物中の固形物の総重量に基づき、0〜99wt%、好ましくは、0.5〜25wt%、さらに好ましくは、1〜20wt%、最も好ましくは、5〜15wt%含有するのがよい。この範囲としては、組成物中の固形物の総重量に基づき、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、0、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、99wt%アニオン性OBAが挙げられる。好ましい実施態様では、サイズ剤組成物は、組成物中の固形物の総重量に基づき、約8wt%のカチオン性OBAを含有する。
【0021】
本発明は、また、上記したいずれかのサイズ剤組成物を含有する紙基材に関する。
【0022】
紙基材は、セルロース繊維のウェブを含有する。繊維源は、どのような繊維質植物由来であってもよい。本発明の紙基材は、リサイクルされた繊維および/または未使用繊維を含有することができる。リサイクルされた繊維は、少なくとも一度繊維が乾燥プロセスを経ている点で未使用繊維と異なる。
【0023】
本発明の紙基材は、基材の総重量に基づき、1〜99wt%の、好ましくは、5〜95wt%の、最も好ましくは、60〜80wt%のセルロース繊維を含有することができ、例えば、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99wt%を含め、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含む。
【0024】
繊維源はいずれであってもよいものの、セルロース繊維の好ましい源は、針葉樹および/または広葉樹からである。本発明の紙基材は、紙基材中のセルロース繊維の総量に基づき、1〜100wt%の、好ましくは、5〜95wt%の針葉樹種由来のセルロース繊維を含有するのがよい。この範囲としては、紙基材中のセルロース繊維の総量に基づき、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95および100wt%が挙げられる。
【0025】
本発明の紙基材は、紙基材中のセルロース繊維の総量に基づき、1〜100wt%の、好ましくは、5〜95wt%の広葉樹種由来のセルロース繊維を含有することができる。この範囲としては、紙基材中のセルロース繊維の総量に基づき、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95および100wt%が挙げられる。
【0026】
紙基材が広葉樹および針葉樹の両方の繊維を含有するとき、広葉樹/針葉樹の比が0.001〜1000であるのが好ましい。この範囲としては、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲および同様にこのような比率の逆数のいずれかのおよび全ての範囲および副範囲を含め、0.001、0.002、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900および1000が挙げられる。
【0027】
さらに、本発明の紙基材に含有される針葉樹および/または広葉樹繊維は、物理的および/または化学的手段によって改質することができる。物理的手段の例としては、電磁および機械的手段が挙げられるが、それらに限定されるものではない。電気的改良のための手段としては、繊維を電磁的エネルギー源、例えば、光および/または電流と接触させる工程を含む手段が挙げられるが、それらに限定されるものではない。機械的改良のための手段としては、無生物を繊維と接触させる工程を含む手段が挙げられるが、それらに限定されるものではない。このような無生物の例としては、鋭いおよび/または切れ味の悪いエッジを有する刃物が挙げられる。このような手段としては、また、例えば、切断、混練、打撃、突刺等の手段が挙げられる。
【0028】
化学的な手段の例としては、例えば、架橋およびその上への錯体の沈殿を含め、慣用的な化学的繊維改質手段が挙げられるが、それらに限定されるものではない。繊維のこのような改質の例としては、以下の特許:6,592,717;6,592,712;6,582,557;6,579,415;6,579,414;6,506,282;6,471,824;6,361,651;6,146,494;H1,704;5,731,080;5,698,688;5,698,074;5,667,637;5,662,773;5,531,728;5,443,899;5,360,420;5,266,250;5,209,953;5,160,789;5,049,235;4,986,882;4,496,427;4,431,481;4,174,417;4,166,894、4,075,136および4,022,965に見ることのできるものが挙げられるが、それらに限定するものではない。これらの特許は、本明細書にて参照することによってそれらの全体をここで組み入れる。繊維のさらなる改質は、2005年2月19日に出願された出願番号60/654,712;2006年2月21日に出願された11/358,543;2006年6月2日に出願された11/445,809;および、2006年6月2日に出願された11/446,421を有する米国特許出願に見ることができるが、これらは、それらの中で考察されているような蛍光増白剤(すなわち、OBA)の添加を含み、これらの特許は、本明細書にて参照することによってそれらの全体をここで組み入れる。
【0029】
リサイクルされる繊維の1つの例は、“微細繊維(fine)”である。“微細繊維”源は、セーブオール繊維、再循環される流、排斥流、廃棄繊維流に見ることができる。紙基材中に存在する“微細繊維”の量は、このような流が紙製造プロセスに加えられる速度にその速度を適応させることによって調節することができる。
【0030】
紙基材は、好ましくは、広葉樹繊維、針葉樹繊維および“微細繊維”の組み合わせを含有する。“微細繊維”は、上記考察したように、再循環され、どのような長さであってもよい。微細繊維は、典型的には、平均で長さ100μm以下であり、好ましくは、90μm以下、さらに好ましくは、長さ80μm以下、最も好ましくは、長さ75μm以下である。微細繊維の長さは、好ましくは、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、および100μm以下の長さである。
【0031】
紙基材は、微細繊維をいずれの量か含有するのがよい。紙基材は、紙基材が含有する繊維の総重量に基づき、0.01〜100wt%微細繊維、好ましくは、0.01〜50wt%微細繊維、最も好ましくは、0.01〜15wt%微細繊維を含有するのがよい。紙基材は、紙基材が含有する繊維の総重量に基づき、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、0.01、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95および100wt%以下の微細繊維を含有する。
【0032】
紙基材は、また、内部(internal)サイズ剤および/または外部(external)サイズ剤組成物を含有することができる。内部サイズ剤組成物は、ウエットエンドで製紙の間に繊維に適用することができ、他方、外部サイズ剤組成物は、サイズプレスおよび/またはコータにより繊維に適用することができる。本発明の上記したサイズ剤組成物は、本発明の紙基材が含有する内部および/または外部サイズ組成物であってよい。
【0033】
図1〜3は、本発明の紙基材中の紙基材1の異なる実施態様を明示する。図1は、セルロース繊維3のウェブとサイズ剤組成物2とを有し、サイズ剤組成物2がセルロース繊維3のウェブに最小に相互浸透した紙基材1を明示する。このような実施態様は、例えば、サイズ剤組成物をセルロース繊維のウェブ上に塗工するときになされるのがよい。
【0034】
図2は、セルロース繊維3のウェブとサイズ剤組成物2とを有し、サイズ剤組成物2がセルロース繊維3のウェブに相互浸透する紙基材を明示する。紙基材1の相互浸透層4は、少なくともサイズ剤溶液がセルロース繊維に浸透しかつそのセルロース繊維のうちにある領域を画定する。相互浸透層は、紙基材の少なくとも一部の全断面積の1〜99%であってよく、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、紙基材の1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95および99%が挙げられる。このような実施態様は、例えば、塗工方法に先立ち、サイズ剤組成物がセルロース繊維に添加されるときになされ、必要とあれば、続く塗工方法と組み合わせてもよい。添加点は、例えば、サイズプレス時であってもよい。
【0035】
図3は、セルロース繊維3のウェブとサイズ剤溶液2とを有し、サイズ剤組成物2が、セルロース繊維3のウェブ全体にほぼ均一に分布される紙基材1を明示する。このような実施態様は、例えば、塗工方法に先立ち、サイズ剤組成物がセルロース繊維に添加されるときになされ、必要とあれば、続く塗工方法と組み合わせるのがよい。添加点の例は、紙製造プロセスのウエットエンド、薄い紙料および濃い紙料時であってもよい。
【0036】
紙基材は、サイズ剤溶液のいずれかの成分をセルロース繊維と連続的および/または同時に接触させることによって形成できる。なおさらに、その接触は、いずれかの上記した量のセルロースとサイズ剤溶液の成分とを含有する本発明の紙基材を生ずる許容可能な濃度レベルで生ずることができる。接触は、製紙プロセスのいずれの時点、例えば、それには限定されないが、濃い紙料時、薄い紙料時、ヘッドボックス時およびコータ時が挙げられるが、好ましい添加点は、薄い紙料時である。さらなる添加点としては、抄紙機チェスト、スタッフボックス、ファンポンプの吸引時が挙げられる。好ましくは、サイズ剤溶液の成分は、相互に、および/または、単一および/または別個の塗工層内で組み合わせるかのいずれかで予め配合され、サイズプレスおよび/またはコータにより繊維質ウェブ上に塗工される。
【0037】
本発明の紙および板紙は、公知の慣用的技術を使用して製造することができる。塗工配合物を形成し、製造しかつ紙基材に適用するための方法および装置は、紙および板紙分野で周知である。例えば、上記参考としたG.A.Smookおよびその中に引用されている参考文献を参照し、これらの全ては、参照することによってここで組み入れる。このような公知の方法は、全て、本発明の実施に使用することができ、詳細に説明する必要はないだろう。
【0038】
紙基材は、いずれかの量のサイズ剤組成物を含有することができる。紙基材は、70〜300lbs/トンの紙、好ましくは、80〜250lbs/トンの紙、さらに好ましくは、100〜200lbs/トンの紙、最も好ましくは、125〜175lbs/トンの紙の範囲の量のサイズ剤組成物を含有するのがよい。この範囲としては、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290および300lbs/トンの紙が挙げられる。好ましい実施態様では、紙基材は、サイズプレスにより適用されたサイズ剤組成物を150lbs/トン紙基材の量含有する。
【0039】
本発明の基材に含まれるサイズ剤組成物の上記した好ましい量を示し、顔料、バインダー、窒素含有化合物および無機塩の上記した量と合わせると;紙に含まれる各顔料、バインダー、窒素含有化合物、無機塩の量は、容易に計算することができる。例えば、組成物中の固形物の総重量に基づき、50wt%の顔料がサイズ剤溶液中に存在し、紙基材が150lbsサイズ剤組成物/トンを含むと、紙基材は、50%×150lbs顔料/トンの紙=75lbs顔料/トンの紙を含有し、これは、紙基材の総重量に基づき、75lbs/2000lbs×100=3.75wt%顔料である。
【0040】
紙基材は、いずれかの量の少なくとも1種の顔料を含有する。紙基材は、基材の総重量に基づき、0.5wt%〜10wt%、好ましくは、1〜8wt%、さらに好ましくは、1.5〜6wt%、最も好ましくは、2〜5wt%の顔料を含有するのがよい。この範囲としては、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、基材の総重量に基づき、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5および10wt%の顔料が挙げられる。
【0041】
紙基材は、いずれかの量の少なくとも1種のバインダーを含有する。紙基材は、基材の総重量に基づき、0.1wt%〜7wt%、好ましくは、0.2〜5wt%、さらに好ましくは、0.3〜3wt%、最も好ましくは、1〜3wt%のバインダーを含有するのがよい。この範囲としては、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、基材の総重量に基づき、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7および7.5wt%のバインダーが挙げられる。
【0042】
紙基材は、いずれかの量の少なくとも1種の窒素含有化合物を含有する。紙基材は、基材の総重量に基づき、0.01wt%〜5wt%、好ましくは、0.05〜2wt%、さらに好ましくは、0.1〜1.5wt%、最も好ましくは、0.25〜1wt%の窒素含有化合物を含有するのがよい。この範囲としては、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、基材の総重量に基づき、0.01、0.02、0.03、0.05、0.07、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8および3wt%の窒素含有化合物が挙げられる。
【0043】
紙基材は、いずれかの量の少なくとも1種の無機塩を含有する。紙基材は、基材の総重量に基づき、0.001wt%〜3wt%の、好ましくは、0.01〜2.5wt%の、さらに好ましくは、0.02〜1wt%の、最も好ましくは、0.05〜0.5wt%の無機塩を含有するのがよい。この範囲としては、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、基材の総重量に基づき、0.001、0.002、0.005、0.007、0.01、0.02、0.03、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8および3wtの無機塩が挙げられる。
【0044】
紙基材は、いずれかの量のOBAを含有することができる。OBAは、カチオン性および/またはアニオン性であってもよい。OBAは、上記したサイズ剤組成物によりおよび/またはその基材内で供給することができる。例えば、OBAは、製紙のウエットエンドおよびヘッドボックスの前であってさえ予備混合できる。OBA:繊維ミックスを使用する好ましい例は、2005年2月19日に出願された出願番号60/654,712;2006年2月21日に出願された11/358,543;2006年6月2日に出願された11/445,809;および、2006年6月2日に出願された11/446,421を有する米国特許出願に見ることができ、これらの出願は、本明細書にて参照することによりそれらの全体をここで組み入れる。
【0045】
本発明の1つの実施態様では、紙基材は、内部OBAおよび外部適用されたOBAを含有する。内部OBAは、カチオン性またはアニオン性であってもよいが、好ましくは、アニオン性である。外部適用されたOBAは、カチオン性またはアニオン性であってもよいが、好ましくは、カチオン性である。外部適用されたOBAは、好ましくは、OBAの上記好ましい量で上記したようにサイズプレスでサイズ剤組成物の一員として適用される。しかし、外部OBAは、また、塗工セクションで適用してもよい。
【0046】
本発明の紙基材は、どのような量のOBAを有してもよい。1つの実施態様では、OBAは、紙が少なくとも80%GE白色度を有するように十分な量存在する。GE白色度は、好ましくは、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、少なくとも80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99および100%である。
【0047】
さらに、紙は、紙が好ましくはCIE白色度少なくとも130を有するように、適量のOBAおよびその他の添加剤(例えば、染料)を有するのがよい。CIE白色度は、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、少なくとも130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195および200CIE白色度点であるのがよい。
【0048】
1つの実施態様では、基材は、OBAの有効量を含有する。OBAの有効量は、GE白色度が少なくとも90、好ましくは、少なくとも92、さらに好ましくは、少なくとも94、最も好ましくは、少なくとも95%白色度となる量である。OBAは、カチオン性および/またはアニオン性のいずれかが有効量である限りにて、上記した内部および外部適用されたOBAの混合物であってよい。
【0049】
本発明のウェブの密度、連量および厚さは、広範に変動させることができ、慣用的な連量、密度および厚さは、そのウェブから形成される紙ベースの製品に応じて使用される。本発明の紙または板紙は、好ましくは、紙のカレンダー仕上げ後に最終厚さを有し、例えば、いずれかのニップまたはプレスは、続く約1ミル〜約35ミルの塗工を伴うのがよいが、所望される場合には、厚さは、この範囲外であってもよい。さらに好ましくは、厚さは、約4ミル〜約20ミルであり、最も好ましくは、約7ミル〜約17ミルである。塗工の有り無しに関わらず、紙基材の厚さは、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、17、20、22、25、27、30、32および35であってよい。
【0050】
本発明の紙基材は、好ましくは、連量約10lb/3000ft2〜約500lb/3000ft2を示すが、ウェブの連量は、所望される場合、この範囲外であってもよい。さらに好ましくは、連量は、約30lb/3000ft2〜約200lb/3000ft2であり、最も好ましくは、約35lb/3000ft2〜約150lb/3000ft2である。連量は、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、10、12、15、17、20、22、25、30、32、35、37、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、500lb/3000ft2であってよい。
【0051】
紙の最終密度は、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、上記連量のいずれか÷上記厚さのいずれかによって計算することができる。好ましくは、紙の最終密度、すなわち、連量÷厚さは、好ましくは、約6lb/3000ft2/ミル〜約14lb/3000ft2/ミルであるが、ウェブ密度は、所望される場合、この範囲外であってもよい。さらに好ましくは、ウェブ密度は、約7lb/3000ft2/ミル〜約13lb/3000ft2/ミルであり、最も好ましくは、約9lb/3000ft2/ミル〜約12lb/3000ft2/ミルである。
【0052】
ウェブは、また、その他の慣用的な添加剤、例えば、例として、澱粉、膨潤可能な微小球、無機充填剤、バルキング剤、サイズ剤、歩留り向上剤および強化ポリマーを含むのがよい。とりわけ、使用することのできる充填剤は、有機および無機顔料、例えば、例として、高分子粒子、例えば、ポリスチレンラテックスおよびポリメチルメタクリレート;および、無機物、例えば、炭酸カルシウム、カオリンおよびタルクである。その他の慣用的な添加剤としては、湿潤強力樹脂、内部サイズ剤、乾燥強力樹脂、アルム、充填剤、顔料および染料が挙げられるが、それらに限定されるものではない。内部サイズ剤は、表面サイズ剤がシート中を浸漬するのを防止する補助となり、かくして、それが最大の有効度を有する表面上に保持されるのを可能とする。内部サイズ剤は、抄紙機の湿潤末端で一般に使用されるいずれの内部サイズ剤をも包含する。これらとしては、ロジンサイズ剤、ケテンダイマーおよびマルチマーならびに無水アルケニルコハク酸が挙げられる。内部サイズ剤は、概して、乾燥紙シートの重量に基づき、約0.00wt%〜約0.25wt%のレベルで使用される。ロジンを用いた内部サイズ剤に使用される方法および材料は、E.Strazdinsにより、The Sizing of Paper,Second Edition W.F.Reynolds,Tappi Press,1989,pages 1-33編集にて考察されている。内部サイズ剤用に適したケテンダイマーは、U.S.特許No.4,279,794(この特許は、その全体を参照することにより組み入れる);および、英国特許Nos.786,543;903,416;1,373,788および1,533,434;ならびに、ヨーロッパ特許出願公開No.0666368 A3に開示されている。ケテンダイマーは、Hercules Incorporated,Wilmington,Del.からのAquapel RTM.およびPrecis.RTM.サイズ剤として市販入手可能である。内部サイズ剤に使用されるケテンマルチマーは、1994年6月6日に出願されたU.S.特許出願シリアルNo.08/254,813に対応するヨーロッパ特許出願公開No.0629741A1;1994年2月7日に出願されたU.S.特許出願シリアルNo.08/192,570に対応するヨーロッパ特許出願公開No.0666368A3;および、1996年2月16日に出願されたU.S.特許出願シリアルNo.08/601,113に記載されている。内部サイズ剤用の無水アルケニルコハク酸は、U.S.特許No.4,040,900(この特許は、その全体を参照することによって本明細書に組み入れる);および、C.E.Farley および R.B.Wasserにより、The Sizing of Paper,Second Edition,W.F.Reynolds,Tappi Press,1989,pages 51-62編集に開示されている。種々の無水アルケニルコハク酸が、Albemarle Corporation,Baton Rouge,Laから市販入手可能である。
【0053】
紙基材は、さらなる任意の物質をセルロース繊維と十分に接触させることによって製造することができる。任意の物質とセルロース繊維との接触は、例えば、濃い紙料、薄い紙料、ヘッドボックス、サイズプレス、ウオータボックスおよびコータを含め(これらに限定されるものではないが)製紙プロセスのいずれの時点でも生じさせることができる。さらなる添加点としては、抄紙機チェスト;スタッフボックス;および、ファンポンプの吸引時が挙げられる。セルロース繊維、サイズ剤組成物の成分および/または任意の成分は、互いのいずれかの組み合わせにて、順次、連続して、および/または、同時に接触させることができる。サイズ剤組成物のセルロース繊維成分は、製紙プロセスへの添加前または間のいずれの組み合わせにおいても予め混合することができる。
【0054】
紙基材は、1つ以上のニップを含有するプレスセクションにてプレスすることができる。しかし、製紙分野で一般的に公知のいずれのプレス手段をも使用することができる。ニップは、プレスにて、シングルフェルテッド、ダブルフェルテッド、ロールおよびエクステンデッドニップであってもよいが、それらに限定されるものではない。しかし、製紙分野で一般的に公知のいずれのニップを使用することができる。
【0055】
紙基材は、乾燥セクションにて乾燥させることができる。製紙分野で一般的に公知のいずれの乾燥手段も使用することができる。乾燥セクションとしては、乾燥用カン、シリンダー乾燥、コンデベルト乾燥、IR、または、その他の乾燥手段および当分野公知の機構が挙げられ、含まれる。紙基材は、水のいずれかの選択される量を含有するように乾燥させるのがよい。好ましくは、基材は、10%以下の水しか含有しないほどに乾燥される。
【0056】
紙基材は、サイズプレスを通過させられ、そこでは、製紙分野にて一般的に公知のいずれのサイズ手段も許容可能である。サイズプレスとしては、例えば、パドルモードサイズプレス(例えば、傾斜、垂直、水平)またはメータードサイズプレス(例えば、ブレードメータード、ロッドメータード)がよい。サイズプレスで、サイズ剤、例えば、バインダーが、基材と接触させられるのがよい。場合によっては、これら同サイズ剤は、必要とされる製紙プロセスのウエットエンドで添加するのがよい。サイジング後、紙基材は、上記例として挙げた手段および製紙分野で一般的に公知のその他の乾燥手段に従い、再度、乾燥させても乾燥させなくともよい。紙基材は、水のいずれかの選択される量を含有するように乾燥させるのがよい。好ましくは、基材は、10%以下の水しかを含有しないように乾燥させる。好ましくは、サイズ装置は、パドルサイズプレスである。
【0057】
紙基材は、製紙分野で一般的に公知のいずれかのカレンダー仕上げ手段によりカレンダー仕上げすることができる。さらに詳しくは、例えば、湿潤スタックカレンダー仕上げ、乾燥スタックカレンダー仕上げ、スチールニップカレンダー仕上げ、ホットソフトカレンダー仕上げ、または、エクステンデッドニップカレンダー仕上げ等を使用することができる。特定の理論と結び付けようとする積もりはないが、本発明の膨潤可能な微小球および/または組成物および/または粒子の存在は、その意図する使用に応じて、苛酷なカレンダー仕上げ手段のための要件およびある種の紙基材についての環境を低下させ軽減すると考えられる。
【0058】
紙基材は、製紙技術にて一般的に公知のいずれかのマイクロ仕上げ手段に従いマイクロ仕上げすることができる。マイクロ仕上げは、紙基材の表面を仕上げするための摩擦工程を含む手段である。紙基材は、それに使用されるカレンダー仕上げ手段の有無にかかわらず、連続的および/または同時にマイクロ仕上げすることができる。マイクロ仕上げ手段の例は、米国特許出願公開20040123966およびその中に挙げられた参考文献および2006年6月2日に出願されたUSSN 60/810181に見ることができ、これらの特許出願は、全て、本明細書にて参照することによってそれらの全体をここで組み入れる。
【0059】
基材のHercules Sizing Test Value(“HST”)は、所望される水堅牢度を生ずるように選択される。HSTは、TAPPI 530 pm-89の処理方法を使用し、測定される。本発明の紙基材は、どのようなHSTを有してもよい。いくつかの実施態様では、HSTは、400、300、200および100秒程度であるのがよい。さらに、HSTは、0.1、1、5および10秒程度の低さであってもよい。しかし、本発明の好ましい実施態様では、HSTは、10秒未満であり、好ましくは、5秒未満であり、さらに好ましくは、3秒HST未満であり、最も好ましくは、約1秒未満である。HSTは、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、0.001、0.01、0.05、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5および10秒であるのがよい。当業者周知であるように、HSTは、基材の連量および当分野公知のその他の因子に正比例して変動するであろう。前述の情報に基づき、当業者であれば、慣用的な技術および処理方法を使用して、所望される画像水堅牢度を生ずるために使用される基材について個々のHSTを計算し、決定し、および/または評価することができるであろう。
【0060】
本発明の紙基材は、TAPPI METHOD T 1213 sp-03により測定していずれかの黒色光学濃度を有することができる。黒色光学濃度は、0.5〜2.0、さらに好ましくは、1.0〜1.5であるのがよい。黒色光学濃度は、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15、1.16、1.17、1.18、1.19、1.2、1.3、1.4および1.5であるのがよい。
【0061】
濃度から、以下の式:
(浸漬したインク面積のOD/未浸漬インク面積のOD)100=%水堅牢度
を使用して、水堅牢度を自然に計算することができる。
【0062】
本発明の紙基材は、どのような水堅牢度を有してもよい。紙基材は、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、水堅牢度少なくとも90%、好ましくは、少なくとも95%、さらに好ましくは、98%より大、最も好ましくは、100%より大を有するのがよい。
【0063】
本発明の1つの実施態様では、紙基材は、有効量の顔料およびバインダーを含有することができる。有効量の顔料およびバインダーは、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、少なくとも1.0、好ましくは、1〜2、さらに好ましくは、1〜1.5、最も好ましくは、1.1〜1.3である黒色光学濃度を紙上に与える量の顔料およびバインダーである。
【0064】
本発明は、紙基材のHSTを低下させる方法に関する。好ましくは、上記したサイズ剤組成物は、第1のHSTを有しかつ上記したセルロース繊維のウェブおよび任意の物質を含有する基材とサイズプレスまたは塗工セクションで接触させて、第1のHST未満の第2のHSTを有しかつサイズ剤組成物、セルロース繊維のウェブおよび任意の物質を含有する紙基材を製造する。第2のHSTは、第1のHST未満であるものの、本発明は、好ましくは、第1のHSTを、少なくとも10%、さらに好ましくは、少なくとも25%、最も好ましくは、少なくとも50%低下させる。この低下の範囲は、その中に含まれるいずれのおよび全ての範囲および副範囲を含め、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、75、80、95および99%の第1のHSTであるのがよい。
【0065】
以下の実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は、本発明の範囲を何等限定するものではない。
【実施例】
【0066】
実施例1
表面にサイズ剤を施していない原紙を処理するために、以下のサイズプレス配合物を調製した。
【0067】
【表1】

ロッド計量サイズプレスを使用して、表面にサイズ剤を施していない90gsm原紙に、着色サイズプレス配合物を適用(塗布)した。目標塗工重量または含浸量は、6gsmである。カレンダー仕上げは、ニップ圧力90psiにより室温でスチール対スチール実験室カレンダーで行った。目標平滑度は、125Sheffield平滑度である。
【0068】
Kodak Versamark 5000デジタルプレス上で印刷性能について、実施例1からの紙試料を評価した。優れた印刷性能が達成された。実施例1にて提供される試行試料について、印刷濃度試験結果を以下の表に列挙する。
【0069】
【表2】

実施例2
連量24lb/1300平方フィートを有する紙基材を製造し、その紙基材の両面にサイズプレスでサイズ剤組成物を適用した。紙基材に適用したサイズ剤組成物は、以下の表2に従う組成物である。
【0070】
【表3】

Gen Floc F71100(一般的な薬品)およびCartafix VXZ(Clariant)は、共に、ポリ(dadmac)の化学的性質を有し、窒素含有種である。
【0071】
Amresは、Kamiraからのキメン湿潤強度樹脂であり、また、窒素含有種である。
【0072】
Mowiol 28-99(Clariant)は、PVOHのバージョンで、これは、99%加水分解され、高分子量を有する。
【0073】
澱粉およびPVOHは、別個に、蒸解され、希釈して、固体レベル約15%とした。各配合物は、上記要約した配合方法に従い調製し、一緒に完全に混合した。
【0074】
全体としての%固形物は、成分の残りが全て固形物レベル15%より上を有するので、最初は目標とした15%より大であった。
【0075】
各配合物について、実際の初期%固形物を測定し、ついで、可能な限り、15%にまで希釈した。各配合物は、14”パイロットサイズプレスに送り、ここでパイロットサイズプレスは、C2Sパドル操作に予め設計した。
【0076】
サイズプレス後の紙は、4.2〜5.0%湿分に乾燥させた。
【0077】
下付き文字[a]は、平均を表し、これは、各数が4以上の読み取りを平均したことを意味する。
【0078】
スラッシュ記号の前および後の2つの数は、それぞれ、紙の2つの側からの読みを表す。
【0079】
インクジェット印刷濃度は、X-rite濃度計で光学濃度により測定される。TAPPI METHOD T 1213 sp-03に従う濃度は、透明材料についての透過率または不透明材料についての反射率の基底10に対する光学的に負の対数であり、式:光学密度=log10 I/R[式中、R=反射率]を有する。以下の濃度計を使用した:X-Rite Inc.により製造されたX-Rite濃度計。濃度は、反射された光の百分率の関数である。この濃度処理方法から、以下の式:
%水堅牢度についての計算:
(浸漬したインク面積のOD/未浸漬インク面積のOD)100=%水堅牢度
%ブリードについての計算:
[(浸漬したインク面積近傍のOD−紙のOD)/未浸漬インク面積のOD]100=%ブリード
を使用して、水堅牢度および%ブリードも同様に容易に測定することができる。
【0080】
上記教示に照らし、本発明について数多くの変更および変形が可能である。したがって、特許請求の範囲の請求項の範囲内で、本発明は、本明細書にて詳しく記載したように実施することができることを理解するべきである。
【0081】
全体を通して使用したように、範囲は、その範囲内に入る各値および値ごとにその中に入る全ての副範囲を含め記載するために、簡略な伝達方法として使用する。
【0082】
本明細書にて引用する全ての参考文献およびそれらの引用する参考文献は、本発明の主題およびその実施態様の全てに関する関連部分について参照することによりここで組み入れる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、本発明の紙基材に含まれる紙基材のほんの1つの実施態様の第1の概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の紙基材に含まれる紙基材のほんの1つの実施態様の第2の概略断面図である。
【図3】図3は、本発明の紙基材に含まれる紙基材のほんの1つの実施態様の第3の概略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の顔料;
少なくとも1種のバインダー;
少なくとも1種の窒素含有有機化学種;および、
少なくとも1種の無機塩;
を含むサイズ剤組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の顔料;
少なくとも2種のバインダー;
少なくとも1種の窒素含有有機化学種;および、
少なくとも1種の無機塩;
を含む、請求項1に記載のサイズ剤組成物。
【請求項3】
少なくとも2種のバインダーが、ポリビニルアルコールおよび澱粉である、請求項2に記載のサイズ剤組成物。
【請求項4】
ポリビニルアルコールおよび澱粉が、澱粉/ポリビニルアルコール重量比8/1〜1/1で存在する、請求項3に記載のサイズ剤組成物。
【請求項5】
総バインダーが、組成物の固形物の総重量に基づき、少なくとも20wt%の量存在する、請求項4に記載のサイズ剤組成物。
【請求項6】
さらに、組成物中の固形物の総重量に基づき、20〜40wt%の蛍光増白剤を含む、請求項4に記載のサイズ剤組成物。
【請求項7】
さらに、蛍光増白剤を含む、請求項4に記載のサイズ剤組成物。
【請求項8】
蛍光増白剤が、カチオン性である、請求項8に記載のサイズ剤組成物。
【請求項9】
組成物の固形物の総重量に基づき、少なくとも30wt%の量の少なくとも1種の顔料;
組成物の固形物の総重量に基づき、少なくとも20wt%の量の少なくとも1種のバインダー;
組成物の固形物の総重量に基づき、1〜20wt%の範囲の量の少なくとも1種の窒素含有有機化学種;および、
組成物の固形物の総重量に基づき、0.5〜5wt%の範囲の量の少なくとも1種の無機塩;
を含む、請求項1に記載のサイズ剤組成物。
【請求項10】
少なくとも2種のバインダーが澱粉/ポリビニルアルコールの重量比8/1〜1/1で澱粉およびポリビニルアルコールである該少なくとも2種のバインダー;および、
蛍光増白剤;
を含む、請求項9に記載のサイズ剤組成物。
【請求項11】
請求項1に記載のサイズ剤組成物を含む紙基材。
【請求項12】
基材が、印刷濃度少なくとも1.0およびHST10秒以下を有する、請求項11に記載の紙基材。
【請求項13】
基材が、水堅牢度少なくとも95%を有する、請求項12に記載の紙基材。
【請求項14】
請求項4に記載のサイズ剤組成物を含む紙基材。
【請求項15】
基材が、印刷濃度少なくとも1.0およびHST10秒以下を有する、請求項14に記載の紙基材。
【請求項16】
基材が、水堅牢度少なくとも95%を有する、請求項15に記載の紙基材。
【請求項17】
請求項9に記載のサイズ剤組成物を含む紙基材。
【請求項18】
基材が、印刷濃度少なくとも1.0およびHST10秒以下を有する、請求項17に記載の紙基材。
【請求項19】
基材が、水堅牢度少なくとも95%を有する、請求項18に記載の紙基材。
【請求項20】
請求項10に記載のサイズ剤を含み、かつ、
印刷濃度少なくとも1.0;
HST10秒以下;および、
水堅牢度少なくとも95%;
を有する紙基材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−513843(P2009−513843A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538995(P2008−538995)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/042645
【国際公開番号】WO2007/053681
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(504293447)インターナショナル・ペーパー・カンパニー (15)
【Fターム(参考)】