説明

高周波ウェルダー性に優れた成形体

【課題】本発明の課題は、ポリオレフィン系グラフト共重合体と、ポリオレフィン樹脂からなる高周波ウェルダー性に優れる成形体を提供することにある。
【解決手段】配位重合触媒の存在下、オレフィン系モノマーと、乳化重合またはミクロ懸濁重合により製造されたビニルエステル系マクロモノマーとをグラフト共重合させ、ポリオレフィン樹脂に添加することによりポリオレフィン樹脂系組成物を調製する。得られたポリオレフィン系樹脂組成物をシートあるいはフィルムなどの成形体にすることで、高周波ウェルダー性に優れた成形体が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配位重合触媒の存在下、オレフィン系モノマーと、乳化重合またはミクロ懸濁重合により製造されたビニルエステル系マクロモノマーとをグラフト共重合させることを特徴とする、ポリオレフィン系グラフト共重合体と、ポリオレフィン樹脂との高周波ウェルダー性に優れた成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
グラフト共重合体は、その構造上の特徴から、ポリマーへの機能付与剤、表面機能付与剤、ポリマーブレンドの相溶化剤、ポリマー/フィラー系複合材料の界面活性化剤等々、機能性ポリマーとして有効に利用されている。
また、乳化重合を利用して得られるグラフト共重合体としては、コアシェルポリマーが有名であり、特に、ジエン系ゴム粒子、アクリル系ゴム粒子、アクリル/シリコーン系複合ゴム粒子などを用いたコアシェルポリマー、例えば、ABS樹脂、MBS樹脂、ASA樹脂等が、耐衝撃性の高い樹脂あるいは樹脂組成物として市販されている。しかし、これらの樹脂はポリエチレン、ポリプロピレンなど低極性の樹脂には分散性が低いため適さないという問題があった。
【0003】
これらの問題を解決するべく、例えば、前周期遷移金属錯体系の配位重合触媒の存在下、アクリル酸エステル重合体にオレフィンを重合反応させてグラフト共重合体を製造する技術等がある。(特許文献1)、このポリオレフィン系グラフト共重合体はポリオレフィンへの極性付与剤として機能しうるが、高周波ウェルダー性については必ずしも十分ではなかった。
【特許文献1】特開2003−335828
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、配位重合触媒の存在下、オレフィン系モノマーと、乳化重合またはミクロ懸濁重合により製造されたビニルエステル系マクロモノマーとをグラフト共重合させることを特徴とする、ポリオレフィン系グラフト共重合体と、ポリオレフィン樹脂との成形体において、高周波ウェルダー性に優れたものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、ビニルエステル系マクロモノマーを用いることによって、高周波ウェルダー性を高められることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0006】
即ち本発明は、配位重合触媒の存在下、オレフィン系モノマーと、乳化重合またはミクロ懸濁重合により製造されたビニルエステル系マクロモノマーとをグラフト共重合させることを特徴とするポリオレフィン系グラフト共重合体と、ポリオレフィン樹脂からなる高周波ウェルダー性に優れた成形体(請求項1)。
ビニルエステル系マクロモノマーがビニルアルコールユニットを含むことを特徴とする、請求項1に記載の高周波ウェルダー性に優れた成形体(請求項2)。
高周波ウェルダーを用い、40℃以下の温度を有する金型により溶着することを特徴とする、請求項1、2のいずれかに記載の高周波ウェルダー性に優れた成形体(請求項3)。
【0007】
成形体がシートである請求項1〜3いずれかに記載の成形体(請求項4)。
である。
【発明の効果】
【0008】
アクリル系ラテックスコアとエチレンの共重合体を添加したポリプロピレンのシート(比較例1)では、シートの溶着条件に60℃の温度が必要であるのに対し、ビニルエステル系のラテックスコアとエチレンの共重合体で変性させたポリプロピレン(実施例1)では室温での溶着が可能であった。よって、ビニルエステル系のラテックスコアとエチレンの共重合体で変性されたポリプロピレンの高周波ウェルダー性の高さが示された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明は、配位重合触媒の存在下、オレフィン系モノマーと、乳化重合またはミクロ懸濁重合により製造されたビニルエステル系マクロモノマーとをグラフト共重合させることを特徴とする、ポリオレフィン系グラフト共重合体と、ポリオレフィン樹脂との高周波ウェルダー性に優れた成形体に関するものである。
【0011】
なお、本発明で言うポリオレフィン系グラフト共重合体とは、オレフィンとマクロモノマーとをグラフト共重合させて得られる共重合体のことである。本発明で言うマクロモノマーとは、オリゴマーまたはポリマーであって、他のモノマーと共重合しうる官能基を有するものをいう。一般的なマクロモノマーの製造方法はアニオン重合、カチオン重合、ラジカル重合、配位重合、重縮合、開環重合、塊状重合、溶液重合、(ミクロ)懸濁重合、乳化重合など様々な方法が知られている。本発明においてはマクロモノマーをラテックスの状態でオレフィンと共重合させるため、ミクロ懸濁重合または乳化重合により製造されたマクロモノマーが特に好ましい。
【0012】
ポリオレフィン系グラフト共重合体を製造するための触媒としては、水および極性化合物の共存下でオレフィン重合活性を有する配位重合触媒であれば特に制限はなく、好ましい例としてケミカル・レビュー(Chemical Review),2000年,100巻,1169−1203頁、ケミカル・レビュー(Chemical Review),2003年,103巻,283−315頁、有機合成化学協会誌,2000年,58巻,293頁、アンゲバンテ・ケミー国際版(Angewandte Chemie International Edition),2002年,41巻,544−561頁、アンゲバンテ・ケミー国際版(Angewandte Chemie International Edition),2005年,44巻,429−432頁、ケミカルコミュニケーション(Chem.Commun.),2000年,301頁、Macromol.Symp.2000年,150巻,53頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules),2003年,36巻,6711−6715頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules),2001年,34巻,1165−1171頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules),2001年,34巻,2022−2026頁に記載されているものや、WO97/17380、WO97/48740に記載されているものを挙げる事ができる。
但し、これに限定されるものではない。合成が簡便であり高活性が得られるという点から、一般式(1)または(2)
【0013】
【化1】

【0014】
(式中、Mはパラジウムまたはニッケルである。R1,R4は各々独立して、炭素数1〜4の炭化水素基である。R2,R3は各々独立して水素原子、またはメチル基である。R5はハロゲン原子、水素原子、または炭素数1〜20の有機基である。XはMに配位可能なヘテロ原子を持つ有機基であり、R5につながっていてもよい、またはXは存在しなくてもよい。L-は任意のアニオンである。)
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、Mはパラジウムまたはニッケルである。R1,R4は各々独立して、炭素数1〜4の炭化水素基である。R5はハロゲン原子、水素原子、または炭素数1〜20の有機基である。XはMに配位可能なヘテロ原子を持つ有機基であり、R5につながっていてもよい、またはXは存在しなくてもよい。L-は任意のアニオンである。)
で示される後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒と一般式(3)、(4)または(5)
【0017】
【化3】

【0018】
(式中、Mはニッケル、パラジウムまたは白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砒素またはアンチモンである。R6,R7,R8は各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Rf1はフッ素原子または炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基である。Rは水素、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエーテル基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエステル基、スルホン酸塩または炭素数1〜20の炭化水素基からなるスルホン酸エステル基である。)
【0019】
【化4】

【0020】
【化5】

【0021】
(式中、Mはニッケル、パラジウムまたは白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砒素またはアンチモンである。R6,R7,R8は各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Yはハロゲン原子である。mは1〜3である。)
で示される後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒が特に好ましい。
【0022】
一般式(1)または(2)で示される後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒は、Brookhart触媒として知られている。
【0023】
水中で安定であることから特にMはパラジウムが好ましい。
【0024】
1,R4で表される炭素数1〜4の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ブチル基などが好ましく、さらに好ましくはメチル基、イソプロピル基が好ましい。
【0025】
Xで表されるMに配位可能な分子としては、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、アセトアルデヒド、酢酸、酢酸エチル、水、エタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレンなどの極性化合物を例示することができるが、なくてもよい。またR5がヘテロ原子、特にエステル結合等のカルボニル酸素を有する場合には、このカルボニル酸素がXとして配位してもよい。また、オレフィンとの重合時には、該オレフィンが配位する形になることが知られている。
【0026】
また、L-で表される対アニオンは、α−ジイミン型の配位子と遷移金属とからなる触媒と助触媒の反応により、カチオン(M+)と共に生成するが、溶媒中で非配位性のイオンペアを形成できるものならばいずれでもよい。
【0027】
両方のイミン窒素に芳香族基を有するα−ジイミン型の配位子、具体的には、ArN=C(R2)−C(R3)=NArで表される化合物は、合成が簡便で、活性が高いことから好ましい。R2、R3は炭化水素基であることが好ましく、特に、水素原子、メチル基、および一般式(2)で示されるアセナフテン骨格としたものが合成が簡便で活性が高いことから好ましい。さらに、両方のイミン窒素に置換芳香族基を有するα−ジイミン型の配位子を用いることが、立体因子的に有効で、ポリマーの分子量が高くなる傾向にあることから好ましい。従って、Arは置換基を持つ芳香族基であることが好ましく、例えば、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジイソプロピルフェニルなどが挙げられる。
【0028】
本発明の後周期遷移金属錯体から得られる活性種中の補助配位子(R5)としては、炭化水素基あるいはハロゲン基あるいは水素基が好ましい。後述する助触媒のカチオン(Q+)が、触媒の金属−ハロゲン結合あるいは金属−水素結合あるいは水素−炭素結合から、ハロゲン等を引き抜き、塩が生成する一方、触媒からは、活性種である、金属−炭素結合あるいは金属−ハロゲン結合あるいは金属−水素結合を保有するカチオン(M+)が発生し、助触媒のアニオン(L-)と非配位性のイオンペアを形成する必要があるためである。R5を具体的に例示すると、メチル基、クロロ基、ブロモ基あるいは水素基が挙げられ、特に、メチル基あるいはクロロ基が、合成が簡便であることから好ましい。なお、M+−ハロゲン結合へのオレフィンの挿入よりM+−炭素結合(あるいは水素結合)へのオレフィンの挿入の方がおこりやすいため、触媒の補助配位子として特に好ましいR5はメチル基である。
【0029】
さらに、R5としてはMに配位可能なカルボニル酸素を持つエステル結合を有する有機基であってもよく、例えば、酪酸メチルから得られる基が挙げられる。
【0030】
助触媒としては、Q+-で表現できる。Qとしては、Ag、Li、Na、K、Hが挙げられ、Agがハロゲンの引き抜き反応が完結しやすいことから好ましく、Na、Kが安価であることから好ましい。Lとしては、BF4、B(C65)4、B(C63(CF32)4、PF6、AsF6、SbF6、(RfSO22CH、(RfSO23C、(RfSO22N、RfSO3が挙げられる。特に、PF6、AsF6、SbF6、(RfSO22CH、(RfSO23C、(RfSO22N、RfSO3が、極性化合物に安定な傾向を示すという点から好ましく、さらに、PF6、AsF6、SbF6が、合成が簡便で工業的に入手容易であるという点から特に好ましい。
【0031】
活性の高さからは、BF4、B(C65)4、B(C63(CF324が、特にB(C65)4、B(C63(CF324が好ましい。Rfは複数のフッ素基を含有する炭化水素基である。これらフッ素は、アニオンを非配位的にするために必要で、その数は多いほど好ましい。Rfの例示としては、CF3、C25、C49、C817、C65があるが、これらに限定されない。またいくつかを組み合わせてもよい。
一般式(3)、(4)または(5)で示される後周期遷移金属錯体系の配位重合触媒は、SHOP(Shell Higher Olefin Process)触媒として知られている。
【0032】
(3)の中でも下記一般式(6):
【0033】
【化6】

【0034】
(式中、Mはニッケル、パラジウムまたは白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砒素またはアンチモンである。R6,R7,R8は各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Rf1,Rf2は各々独立してフッ素原子または炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基である。)で表されるオレフィン系重合用触媒が好ましい。特に、Rf1がフッ素化炭化水素基である場合、乳化系でも高いエチレン重合活性を示すことが報告されている(Angew.Chem.Int.Ed.2002年,41巻,544頁)。Rf2を電子吸引性のフッ素原子または炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基にすることでより高活性およびまたはより高分子量のポリオレフィンを得ることができる。
【0035】
(3)は、以下の反応により調製するのが好ましい。
【0036】
【化7】

【0037】
(反応式中、Mはニッケル、パラジウムまたは白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砒素またはアンチモンである。R6,R7,R8は各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Rf1はフッ素原子または炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基である。Rは水素、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、水酸基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエーテル基、炭素数1〜20の炭化水素基からなるエステル基、スルホン酸塩または炭素数1〜20の炭化水素基からなるスルホン酸エステル基である。MLnはゼロ価のニッケル、パラジウムまたは白金化合物である。LはMに対して配位し、Mの価数をゼロ価に保持するものであれば特に制限はない。nは自然数である)。
【0038】
これらの反応が進行しやすいことから、Mはゼロ価のニッケルであることが好ましい。Eは酸素であることが好ましい。Xはリンであることが好ましい。
【0039】
f1、Rは各々独立して炭素数1〜20のフッ素化炭化水素基が好ましい。具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチル基で置換されたフェニル基等が挙げられる。特に、Rf1はトリフルオロメチル基が好ましく、Rf2はペンタフルオロフェニル基が好ましい。
【0040】
また、R6,R7,R8は各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基が、特に置換芳香族基が好ましい。置換芳香族基として最も好ましいのはフェニル基である。
【0041】
(4)あるいは(5)は、以下の化合物によりその場で調製される配位子を用いてその場の反応で調製するのが好ましい。
【0042】
【化8】

【0043】
【化9】

【0044】
(反応式中、Mはニッケル、パラジウムまたは白金である。Eは酸素または硫黄である。Xはリン、砒素またはアンチモンである。R6,R7,R8は各々独立して、水素または炭素数1〜20の炭化水素基である。Yはハロゲン原子である。mは1〜3の整数である。MLnはゼロ価のニッケル、パラジウムまたは白金化合物である。LはMに対して配位し、Mの価数をゼロ価に保持するものであれば特に制限はない。nは自然数である。)
これらの反応が進行しやすいことから、Mはゼロ価のニッケルであることが好ましい。Eは酸素であることが好ましい。Xはリンであることが好ましい。
【0045】
ゼロ価のニッケル化合物としては、例えば、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、ビス(シクロオクタテトラエン)ニッケル、ビス(1、3、7-オクタトリエン)ニッケル、ビス(シクロドデカトリエン)ニッケル、ビス(アリル)ニッケル、ビス(メタリル)ニッケル、トリエチレンニッケル、ビス(ブタジエン)ニッケル、ビス(イソプレン)ニッケルが好ましく、ビス(シクロオクタジエン)ニッケルが特に好ましい。
【0046】
これらビス(シクロオクタジエン)ニッケルは公知の方法に従って合成することもできるし、固体を取り出すことなく溶液のまま用いてもよい(例えば、実験化学講座第4版、371頁に準じて2価のニッケル化合物とシクロオクタジエン等とトリアルキルアルミニウムとから合成できる)。
【0047】
また、Yは塩素またはフッ素、特にフッ素であることが好ましい。
【0048】
また、R1,R2,R3は各々独立して、炭素数1〜20の炭化水素基が、特に置換芳香族基が好ましい。置換芳香族基として最も好ましいのはフェニル基である。
【0049】
反応の促進のために、ホスフィン、ホスフィン酸化物、ケトン、エステル、エーテル、アルコール、ニトリル、アミン、ピリジン、オレフィン等を共存させるのが好ましい。特にオレフィンを共存させるのが好ましい。
【0050】
反応温度は0〜100℃、室温〜70℃が好ましい。反応時間に特に制限はないが、1時間以内、特に20分以内が好ましい。反応は不活性雰囲気下で行うのが好ましく、アルゴン、窒素等が挙げられる。場合により微量の酸素、水分が存在していてもよい。反応は、通常溶媒を使用して実施するのが好ましく、溶媒としては脂肪族または芳香族溶媒が好ましく、これらはハロゲン化されていてもよい。例としては、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、エチルシクロヘキサン、ブチルクロリド、塩化メチレン、クロロホルムが挙げられる。一般に溶媒中のMの濃度は、1〜20000μmol/L、さらには10〜10000μmol/Lの範囲が好ましい。
【0051】
反応において、MLn/配位子のモル比は、反応収率を高めるため少なくともMLnを等量以上使用するのがよく、4/1〜1/1が好ましく、3/1〜2/1がより好ましい。
【0052】
本発明のオレフィン系重合用触媒(3)、(4)、(5)の具体例としては、ニッケルが入手性の点から優れており、特に下記一般式で示される化合物を好適に例示することができるが、これに限定されるものではない。
【0053】
【化10】

【0054】
【化11】

【0055】
【化12】

【0056】
(式中、Phはフェニル基、R’は炭素数1〜6の炭化水素基、nは1〜3の整数を示す)。
【0057】
本発明に用いられる、オレフィン系モノマーは、配位重合可能な炭素−炭素二重結合を有するオレフィン化合物である。オレフィン系モノマーの好ましい例としては炭素数2〜20のオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロヘキサン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン等が挙げられる。この中でも炭素数10以下のα−オレフィンが重合活性の高さから好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。これらのオレフィン系モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上使用してもよい。
【0058】
また、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジメタノオクタヒドロナフタリン、ジシクロペンタジエン等のジエンを少量併用してもよい。ジエンの使用量はオレフィン系モノマー100重量部に対して好ましくは0〜20重量部である。
【0059】
オレフィン系モノマーの使用量としては、制限はないが、分子量の大きい重合体を収率良く得られるという点から、オレフィン系モノマー/触媒活性種がモル比で10〜109、さらには100〜107、とくには1000〜105とするのが好ましい。
【0060】
本発明に用いられるマクロモノマーは、ビニルエステル系マクロモノマーである。
【0061】
本発明で用いられる、マクロモノマーは、オレフィン系モノマーとグラフト共重合しうる炭素−炭素二重結合を1分子内に少なくとも1個以上持つことが好ましい。この炭素−炭素二重結合は配位重合しやすいものがよいが、特にアリル末端(α−オレフィン構造)、環状オレフィン末端、スチリル末端、(メタ)アクリル末端のものが好ましく、特に、(メタ)アクリル末端、アリル末端、環状オレフィン末端のものが、配位重合しやすく、すなわち、オレフィンとグラフト共重合しやすいという点で好ましい。
【0062】
一般的なマクロモノマーの主鎖構造、層構造、官能基の導入位置には様々な種類のものが知られている。主鎖構造は直鎖状、環状、分岐状、架橋粒子、非架橋粒子、単層構造粒子、多層構造粒子、多相構造粒子など様々な構造のものが知られている。官能基の導入位置は主鎖中、側鎖中、直鎖状分子の片末端または両末端、単層構造または多層構造粒子の内部または粒子表面など様々な種類のものが知られている。
【0063】
本発明で用いられるマクロモノマーは、架橋剤(1分子あたり2個以上の炭素−炭素二重結合を有する多官能性モノマー)の使用量が特定の範囲である架橋粒子であることが好ましい。本発明で用いられるマクロモノマーは、単一の層だけをもつ均一な粒子であっても良く、複数の層からなる多層構造粒子であっても良い。ゴム状重合体のコア層の周囲に硬質重合体のシェル層を持つコアシェル2層構造であってもよく、マトリクス樹脂相の中に他の樹脂相が分散したサラミ状の多相構造であっても良い。
【0064】
本発明に用いられるマクロモノマーの好ましい1例であるビニルエステル系マクロモノマーは、(A−1)分子内に重合性不飽和基としてラジカル重合性不飽和基のみを1個持つビニルエステル系モノマー(以下、化合物(A−1)という)および(A−2)分子内にラジカル重合性不飽和基と配位重合可能な炭素−炭素二重結合とを有する単量体(以下、化合物(A−2)という)を共重合させてなるビニルエステル系マクロモノマーであることが好ましく、必要に応じて(A−3)該化合物(A−1)および該化合物(A−2)と共重合可能な(A−1)以外のラジカル重合性不飽和基を有する単量体(以下、化合物(A−3)という)を含有していても良い。
【0065】
各成分の使用量には特に制限は無く任意の量で用いて良いが、好ましい使用量は、化合物(A−1)は好ましくは40〜99.99重量%、さらに好ましくは70〜99.9重量%である。 少なすぎると得られるポリオレフィン系グラフト共重合体をポリオレフィンに添加した場合、高周波ウェルダー性の改良効果が低下しうる。化合物(A−2)は好ましくは0.01〜25重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。
少なすぎるとオレフィン系モノマーとのグラフトが不充分になり、多すぎると化合物(A−2)は一般的に高価であるため、経済的に不利である。化合物(A−3)は好ましくは0〜40重量%、さらに好ましくは0〜20重量%である。多すぎると得られるポリオレフィン系グラフト重合体をポリオレフィンに添加した場合の高周波ウェルダー性の改良効果が低下しうる。ただし、これら化合物(A−1)、化合物(A−2)および化合物(A−3)の合計は100重量%である。
【0066】
前記化合物(A−1)は、ビニルエステル系マクロモノマーの主骨格を形成するための成分である。化合物(A−1)の具体例としては、ビニルアルコールと炭素数1〜6好ましくは炭素数1〜4の脂肪酸のエステルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら化合物(A−1)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、入手性および経済性の点から、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が好ましく、酢酸ビニルがさらに好ましい。
【0067】
前記化合物(A−2)は、それ自身が有するラジカル重合性不飽和基により前記化合物(A−1)場合により化合物(A−3)と共重合して共重合体をつくり、その結果、該共重合体の側鎖または末端に配位重合可能な炭素−炭素二重結合を導入させ、該共重合体とオレフィン系モノマーとのグラフト共重合を可能にするための成分である。この炭素−炭素二重結合がラジカル重合性と配位重合性を併せ持つ基である場合は、ビニルエステル系マクロモノマーに架橋結合を導入し、ゴム弾性を発現させたり耐溶剤性を付与するための成分としても機能しうる。
【0068】
従って、前記化合物(A−2)が持つラジカル重合性不飽和基と配位重合可能な炭素−炭素二重結合は、異なる基であっても同一の基であってもよい。同一の基である場合は、化合物(A−2)は分子内に該ラジカル重合性不飽和基(かつ配位重合可能な炭素−炭素二重結合でもある)を2つ以上含むことになるが、ビニルエステル系マクロモノマー合成時にそれらのラジカル重合性不飽和基(かつ配位重合可能な炭素−炭素二重結合でもある)のうち一部のみがラジカル重合反応した時点で反応を止め、得られるビニルエステル系マクロモノマー中に未反応のラジカル重合性不飽和基(かつ配位重合可能な炭素−炭素二重結合でもある)が残るように反応を制御しうる。
【0069】
化合物(A−2)の代表例としては、たとえばメタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルメタクリレート、ジシクロペンテニルエーテルメタクリレート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルアクリレート、ジシクロペンテニルエーテルアクリレートなどがあげられる。これら化合物(A−2)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、グラフト効率が良好であるという点から、メタクリル酸アリルおよびエチレングリコールジシクロペンテニルエーテルメタクリレートが好ましい。
【0070】
前記化合物(A−3)により、ビニルエステル系マクロモノマーの弾性率、Tg、屈折率など各種物性を調整することができる。化合物(A−3)としては、化合物(A−1)および化合物(A−2)と共重合可能なモノマーであれば特に制限無く使用でき、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0071】
このような化合物(A−3)の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルエチルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただし、スチレン系化合物、1,3−ブタジエンなどに代表される共役ジエン、メタクリロニトリル、アクリロニトリルなどに代表されるニトリル化合物、ビニルエチルエーテルなどに代表されるビニルエーテル化合物は、残存モノマーが大量に存在すると配位重合を阻害することがあるので、これらを用いる場合は残存量に注意する必要がある。
【0072】
本発明に用いられるビニルエステル系マクロモノマーは、通常の乳化重合法またはミクロ懸濁重合法によりラジカル共重合させて得られるラテックスから得ることができる。
【0073】
乳化重合またはミクロ懸濁重合に際し、原料の全量を一度に仕込んでもよく、また一部を仕込んだ後に残りを連続的または間欠的に追加してもよい。例えば化合物(A−1)を反応させた後に化合物(A−2)を加えて反応させることにより、配位重合しうる炭素−炭素二重結合がマクロモノマー粒子の表層部に偏在した構造を設計することができる。また、あらかじめ化合物(A−1)、化合物(A―2)、化合物(A−3)のうちのいずれかまたはそれらの混合物を乳化剤と水で乳化してから追加する方法や、化合物(A−1)、化合物(A―2)、化合物(A−3)のうちのいずれかまたはそれらの混合物とは別に乳化剤または乳化剤の水溶液などを連続または分割して追加する方法等が採用できる。
【0074】
乳化重合またはミクロ懸濁重合に用いる水の量についてはとくに制限は無く、化合物(A−1)、化合物(A―2)および化合物(A−3)を乳化させるために必要な量であれば良く、通常化合物(A−1)、化合物(A−2)および化合物(A−3)の合計量に対して1〜20倍の重量を用いれば良い。使用する水の量が少なすぎると、疎水性である化合物(A−1)、化合物(A―2)および化合物(A−3)の割合が多すぎてエマルジョンがW/OからO/Wへ転相せず、水が連続層となりにくい。使用する水の量が多すぎると安定性に乏しくなる上、釜効率が低くなる。
【0075】
乳化重合時の溶媒としては水が用いられるが、親水性溶媒を適量利用しても良い。
【0076】
乳化重合またはミクロ懸濁重合に用いる乳化剤は公知のものを使うことができ、アニオン性、カチオン性、ノニオン性のいずれの乳化剤も特に限定なく使うことができる。乳化能が良好であるという点から、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルキル硫酸のアルカリ金属塩、アルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩などのアニオン性乳化剤が好ましく、さらに好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが好ましい。また、アルキル鎖またはアルケニル鎖の炭素数が8〜18、好ましくは10〜18であり、エチレンオキサイド平均付加モル数が20〜70、好ましくは30〜60のポリオキシエチレンアルキルエーテルもしくはポリオキシエチレンアルケニルエーテルも好ましく挙げられる。
【0077】
該乳化剤の使用量には特に限定がなく、目的とするビニルエステル系マクロモノマーの平均粒子径などに応じて適宜調整すればよいが、好ましくは化合物(A−1)、化合物(A−2)および化合物(A−3)の合計100重量部に対し10重量部以下である。多すぎると、得られるポリオレフィン系グラフト共重合体を熱可塑性樹脂と配合した組成物に着色が生じることがある。
【0078】
ビニルエステル系マクロモノマーの平均粒子径は、乳化剤の使用量の増減などの公知の技術を用いて制御することが可能である。共重合後に得られるポリオレフィン系グラフト共重合体をポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂と配合した時に良好な分散状態を示すという点から、ビニルエステル系マクロモノマーの体積平均粒子径は好ましくは20〜5000nm、さらに好ましくは50〜2000nm、さらに好ましくは100〜1000nmの範囲内であることが望ましい。
【0079】
ミクロ懸濁重合に用いる分散剤は、公知のものを使うことができる。具体例としてはリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、澱粉末シリカ等の水難溶性無機化合物;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンポリエチレンオキサイド、化工澱粉、水溶性セルロース誘導体(アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース)等のノニオン系高分子化合物;ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、メタクリル酸エステルとメタクリル酸およびその塩との共重合体等のアニオン系高分子化合物などがあげられる高周波ウェルダー性の点から特にポリビニルアルコールが好ましい。ビニルエステルユニット/ビニルアルコールユニットの重量比は5以下が高周波ウェルダー性の点から好ましく、3以下がさらに好ましい。
【0080】
本願発明において、マクロモノマーの重合時には分散剤あるいは乳化剤あるいはその一部としてポリビニルアルコールを用いることが好ましい。本願発明のビニルエステル系マクロモノマーに含まれるビニルアルコールユニットは、マクロモノマーの重合時に分散剤あるいは乳化剤としてポリビニルアルコールを用いてビニルエステル系マクロモノマーに含む様にすることが可能である。
【0081】
乳化重合やミクロ懸濁重合の際には、系中の酸、アルカリの影響により、加水分解を生じる事があり、ビニルエステルユニットはビニルアルコールユニットとなる。ビニルエステル系マクロモノマー中に含まれていても良い。乳化重合の際に発生した酢酸等の酸は、重合系のpHを徐々に酸性とする為、緩衝剤として炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、オルソリン酸ナトリウム、第1リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を利用すると、pH変動による重合挙動への悪影響を回避させることができる。得られたビニルエステル系マクロモノマーは、鹸化してもよい。ビニルエステルユニット/ビニルアルコールユニットの重量比は5以下が高周波ウェルダー性の点から好ましく、3以下がさらに好ましい。
【0082】
乳化重合に用いる重合開始剤は特に限定なく公知のものを使うことができる。例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどのアルキルハイドロパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化ジアシル;ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイトなどの過酸化ジアルキル;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物、などが挙げられる。これらのうち、過硫酸塩およびアルキルハイドロパーオキサイドが特に好ましい。
【0083】
ミクロ懸濁重合に用いる重合開始剤は特に限定なく公知のものを使うことができる。例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリルなどのアゾ化合物および、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物があげられる。
【0084】
また、これら開始剤は、熱分解的な方法の他に、重合開始剤並びに賦活剤(金属塩または金属錯体)、キレート剤、還元剤とからなるレドックス触媒として用いることもできる。重合開始剤は熱分解的な方法でもレドックス系触媒を用いる方法でも良い。熱分解的な方法は、還元剤や賦活剤などの添加物を加える必要がないので、金属イオン含量の少ない重合体を得るのに適している。レドックス系触媒を用いる方法は、低い反応温度でも高い反応率が得られ反応の制御が容易となる利点がある。
【0085】
レドックス触媒を構成する還元剤としては例えばグルコース、デキストロース、スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸などが好ましく使用できる。安価で活性が高いという点から、このうちスルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒドが特に好ましい。
【0086】
レドックス触媒を構成するキレート剤としてはエチレンジアミン四酢酸塩などのポリアミノカルボン酸塩、クエン酸などのオキシカルボン酸類、縮合リン酸塩など水溶性キレート化合物を形成するもの、およびジメチルグリオキシム、オキシン、ジチゾンなど油溶性キレート化合物を形成するものが挙げられる。これらの中でエチレンジアミン四酢酸塩などのポリアミノカルボン酸塩およびクエン酸などのオキシカルボン酸類が好ましい。
【0087】
レドックス触媒を構成する賦活剤としては例えば鉄、銅、マンガン、銀、白金、バナジウム、ニッケル、クロム、パラジウム、コバルトなどの金属塩または金属キレートを挙げる事ができ、好ましい例としては例えば硫酸第一鉄、硫酸銅、ヘキサシアノ鉄(III)カリウムなどが挙げられる。賦活剤とキレート剤は、別々の成分として用いても良く、予め反応させて金属錯体として用いても良い。
【0088】
開始剤、賦活剤、キレート剤、還元剤の組み合わせに特に限定は無く、それぞれ任意に選べば良い。賦活剤/還元剤/キレート剤の組み合わせの好ましい例としては例えば硫酸第一鉄/グルコース/ピロリン酸ナトリウム、硫酸第一鉄/デキストロース/ピロリン酸ナトリウム、硫酸第一鉄/スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド/エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、硫酸第一鉄/スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド/クエン酸、硫酸銅/スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド/クエン酸などの組み合わせがあり、とくに好ましい組み合わせとしては硫酸第一鉄/スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド/エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、硫酸第一鉄/スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒド/クエン酸などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0089】
開始剤の好ましい使用量は化合物(A−1)100重量部に対して0.005〜20重量部、さらに好ましくは0.01〜10重量部、特に好ましくは0.01〜5重量部である。少なすぎると重合速度が遅すぎて生産効率が低くなり、多すぎると重合熱の発生が多くなり反応の制御が困難になることがある。
【0090】
乳化重合には必要に応じて連鎖移動剤を用いても良い。該連鎖移動剤は特に限定なく公知のものを使うことができる。具体例としてはt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタンなどが挙げられる。
【0091】
乳化重合時の反応温度に特に制限はないが、0〜120℃、好ましくは30〜95℃であるのが好ましい。
【0092】
本発明に用いられるマクロモノマーであるビニルエステル系マクロモノマーは、上述のように単一のビニルエステル系マクロモノマーのみからなるものであっても良いし、1種あるいは2種以上のマクロモノマーからなる複合粒子でもよく、さらにはラテックスブレンドであってもよい。
【0093】
本発明に用いられる乳化重合またはミクロ懸濁重合により製造されたマクロモノマーは、そのままオレフィン系モノマーとの反応に用いても良いし、必要に応じて希釈、濃縮、熱処理、熟成処理などの操作を加えた後用いても良いし、乳化剤、凍結防止剤、安定剤、pH調整剤などの添加物を加えて成分を調整した後用いても良い。該マクロモノマーは、固形分含量が1〜50重量%のラテックスとして用いることが好ましく、さらに好ましくは固形分含量が5〜30重量%のラテックスとして用いることが好ましい。固形分含量が多すぎるとラテックス粒子の凝集が起って反応が不均一になりやすく、固形分含量が少なすぎると反応液全体の量が増えるので釜効率が悪くなる。
【0094】
本発明のグラフト共重合体の重合は、乳化・ミクロ懸濁あるいはそれに近い系で行う。例えば、ビニルエステル系マクロモノマーのラテックスに配位重合触媒およびオレフィン系モノマーを均一に分散させて反応させることが出来る。用いるオレフィン系モノマーが反応温度において気体である場合は、低温で凝縮あるいは凝固させて液体もしくは固体として仕込んだ後に系を反応温度まで加熱しても良いし、圧力をかけて液体または気体として仕込んでも良い。ビニルエステル系マクロモノマー、オレフィン系モノマーおよび配位重合触媒は、反応容器内に一括して全量を仕込んでも一部を仕込んだ後に残りを連続的にまたは間欠的に追加しても良い。また、水および乳化剤と混合して乳化液とした状態のいずれで仕込んでも良い。
【0095】
マクロモノマーとオレフィン系モノマーの使用割合は任意に設定しうるが、用いるマクロモノマー100重量部に対してオレフィン系モノマーを好ましくは0.5〜100重量部、さらに好ましくは1〜33重量部用いることが好ましい。オレフィン系モノマーが特に沸点100℃以下の揮発性液体もしくは気体である場合は、オレフィン系モノマーを大過剰に用い、上記の好ましい量が重合した時点で反応を停止して加熱あるいは圧力開放により未反応モノマーを除去することも可能である。
【0096】
重合の際、オレフィン系モノマーおよび配位重合触媒の溶解度を高め反応を促進するために有機溶媒を少量添加してもよい。その溶媒としては特に制限はないが、脂肪族または芳香族溶媒が好ましく、これらはハロゲン化されていてもよい。例としては、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ブチルクロリド、塩化メチレン、クロロホルムが挙げられる。また、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、エタノール、メタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル等の極性溶媒であってもよい。水溶性が比較的低く、かつ使用するマクロモノマーに含浸しやすく、かつ触媒が溶解しやすい溶媒であることが特に好ましく、このような特に好ましい例としては塩化メチレン、クロロホルムおよびブチルクロリド、クロロベンゼン、トルエンが挙げられる。
【0097】
これらの溶媒は単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いても良い。溶媒の合計使用量は、反応液全体の体積に対して好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは10容量%以下である。あるいは、使用するマクロモノマーの100重量部に対して好ましくは150重量部以下、さらに好ましくは50重量部以下である。使用量が多すぎるとラテックス粒子の凝集が起こったり、新たな粒子が発生して反応が不均一になりやすい。
【0098】
本発明のグラフト共重合体の製造は、−30〜200℃、好ましくは0〜100℃で行われる。重合時間は特に制限はないが、通常10分〜100時間、反応圧力は特に制限はないが、常圧〜10MPaである。温度および圧力は、反応開始から終了まで常時一定に保っても良いし、反応途中で連続的もしくは段階的に変化させても良い。用いるオレフィン系モノマーがエチレン、プロピレンなどの気体である場合は、重合反応によるモノマー消費に伴って徐々に圧力が低下しうるが、そのまま圧力を変化させて反応を行っても良く、モノマーを供給したり加熱するなどにより常時一定の圧力を保って反応を行っても良い。
【0099】
本発明により得られるポリオレフィン系グラフト共重合体は通常ラテックスとして得られる。ラテックスの粒径は使用した原料マクロモノマーの粒径および反応させたオレフィン系モノマーの量に応じた物が得られる。ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂への分散性が特に優れるという点から、体積平均粒子径で好ましくは20nm〜5000nm、さらに好ましくは50〜2000nmのものが得られる条件を選ぶのが好ましく、とくに好ましくは、100〜1000nmである。
【0100】
得られたポリオレフィン系グラフト共重合体は、鹸化してもよい。
【0101】
なお、前記のごとく得られるポリオレフィン系グラフト共重合体あるいはそれを含むラテックスは、たとえば該ラテックスを噴霧乾燥したり、あるいは塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、ギ酸カルシウムなどの電解質により凝集させたり、このような析出のプロセスを経たのち洗浄・脱水(脱溶媒)・乾燥などの処理を経て、ポリオレフィン系グラフト共重合体からなる粉末、樹脂塊あるいはゴム塊として回収することができる。本発明のグラフト共重合体の乾燥物を押出機またはバンバリーミキサーなどを用いてペレット状に加工したり、析出から脱水(脱溶媒)を経て得られた含水(含溶媒)状態の樹脂を圧搾脱水機を経由させることによりペレット状に加工し回収することもできる。
【0102】
本発明のグラフト共重合体は、ポリオレフィン樹脂と配合して高周波ウエルダー性に優れる成形体となす事ができる。
【0103】
ポリオレフィン樹脂としては、一般に用いられているポリオレフィン樹脂が用いられる。具体的には例えばポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンオクテンゴム、ポリメチルペンテン、エチレン環状オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレングリシジルメタクリレート共重合体、エチレンメチルメタクリレート共重合体などのポリオレフィン樹脂をあげることができる。 これらポリオレフィン樹脂は2種以上を併用してもよい。これらのうちポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂がグラフト共重合体の分散性が良好であるという点で好ましい。
【0104】
ポリオレフィン樹脂とグラフト共重合体との配合割合は、成形品の物性がバランスよくえられるように適宜決定すればよいが、充分な物性を得るためにはグラフト共重合体の量がポリオレフィン100部に対して0.1部以上、好ましくは5部以上であり、またポリオレフィン樹脂の特性を維持するためには、グラフト共重合体粒子の量がポリオレフィン樹脂100部に対して500部以下、好ましくは100部以下が好ましい。
【0105】
本発明のポリオレフィン系グラフト共重合体は、ポリオレフィン成分を含むためポリエチレン、ポリプロピレンなど低極性の樹脂に対しても良好な分散性を示し、かつビニルエステル成分を含むため高周波ウェルダー性を付与することができる。
【0106】
高周波ウェルダー性とは、高周波ウェルダーによる溶着のしやすさのことをいう。その溶着は、プラスチックに高周波電界を与えると発熱する高周波誘電加熱現象によるものであり、誘電率(ε)と誘電正接(tanδ)の積がその発生熱量の尺度となる。
【0107】
高周波ウェルダーを用い、40℃以下の温度を有する金型により溶着することが好ましく、35℃以下がさらに好ましい。
【0108】
さらに、本発明のグラフト共重合体からなる成形体を得る際の樹脂組成物には、プラスチック、ゴム工業において知られている通常の添加剤、たとえば可塑剤、安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、ガラス繊維、充填剤、高分子加工助剤などの配合剤を含有することができる。
【0109】
本発明のグラフト共重合体からなる成形体を得る際の樹脂組成物を得る方法としては、通常の熱可塑性樹脂の配合に用いられる方法を用いることができ、たとえば、ポリオレフィン樹脂と本発明のグラフト共重合体および所望により添加剤成分とを、加熱混練機、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ニーダー、高剪断型ミキサー等を用いて溶融混練することで製造することができる。また各成分の混練順序は特に限定されず、使用する装置、作業性あるいは得られるポリオレフィン樹脂成形体の物性に応じて決定することができる。
【0110】
また、そのポリオレフィン樹脂が乳化重合法で製造されるばあいには、該ポリオレフィン樹脂とグラフト共重合体とを、いずれもラテックス(エマルジョン)の状態でブレンドしたのち、共析出(共凝集)することで得ることも可能である。
【0111】
かくして得られるグラフト共重合体組成物の成形法としては、通常のポリオレフィン樹脂の成形に用いられる、たとえば射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法などの成形法があげられる。
【0112】
本願の成形体は、高周波ウエルダー加工できるものであれば特に限定はないが、フィルム状あるいはシート状のものが好ましい。
【実施例】
【0113】
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
【0114】
高周波ウェルダー性:10mm×100mmの金型を装着した発振周波数40.46MHz、高周波最大出力5kWの高周波ウェルダー(山本ビニター(株)製「YTO−5A」、フットペダルタイプ)にて2枚重ねにしたシートに高周波を与え、シートの溶着試験を行った。高周波ウェルダーの条件は、陽極電流0.22A、溶着時間0.5秒、定盤温度30℃で、同調位置については機械に自動的に調整させた。この条件下で、ビニルエステル系のラテックスを添加したポリプロピレン及び、アクリル系のラテックスを添加したポリプロピレンで高周波ウェルダー性を調べた。溶着したシートは手で引っ張って、目視で溶着を確認した。
【0115】
(実施例1)ビニルエステル系マクロモノマーラテックスのエチレン共重合体を添加したポリプロピレンの高周波ウェルダー性
ジムロート冷却管、撹拌装置、温度計を備えたセパラブルフラスコに純水1.8L、ゴーセノールGM14(日本合成化学社製、ケン化度86.5〜89.0%)100g、酢酸ビニル(和光純薬社製)240g、アリルメタクリレート(三菱レイヨン社製)5gを仕込み、窒素フローによって窒素雰囲気下とした。撹拌をしつつ、超音波(SHARP社製 UT−204、超音波洗浄機)をかけて反応溶液を乳化させた。その後、水浴で反応系を60℃に加熱し、5重量%過硫酸カリウム(和光純薬社製)水溶液10mLを加えて反応を開始させた。その後60℃を保ちつつ3時間程度反応させたところ、固形分量14%、体積平均粒子径150.5nm(マイクロトラック粒度分布測定装置(日機装製社製)により測定)のラテックスを得た。
【0116】
アルゴン雰囲気下の1Lの耐圧オートクレーブ(TAIATSU TECHNO社製、TAS−1型オートクレーブ、材質SUS 316、最高使用圧力4MPa、最高使用温度100℃)に、脱気操作を行った上記のポリマーラテックス750mLを注入した。
【0117】
【化13】

【0118】
の構造を持つパラジウム錯体(以下[N^N]PdMeClともいう)をJ.Am.Chem.Soc.1995,117,6414等の文献に記載されている公知の方法によって合成した。[N^N]PdMeClの80mmol/Lジエチルエーテル溶液8mLとLiB(C654の80mmol/Lジエチルエーテル溶液8mLを混合し、LiClを沈殿させて[N^N]PdMe・B(C654錯体の40mmol/Lジエチルエーテル溶液16mLを調製した。(以下このパラジウム錯体溶液をBrookhart触媒という。)次に、このBrookhart触媒のジエチルエーテル溶液を濃縮、乾燥した後、塩化メチレン(和光純薬社製)16mLを加え40mmol/Lのストック溶液とした。
【0119】
なお、これらの触媒調製は、アルゴン雰囲気下、通常のシュレンク操作で行った。Brookhart触媒の塩化メチレン溶液(4mmol/L)15mLを1−ヘキセン(和光純薬社製)1.5mL、ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬社製)150mg、純水15mLとともに超音波ホモジナイザー(SMT company社製、超音波分散機 UH‐600)によって乳化した。なお、乳化の際の超音波の作用時間は10秒間程度である。
【0120】
乳化したBrookhart触媒溶液は、先にラテックス溶液を仕込んでおいた1Lオートクレーブ内にシリンジで導入した。その後、エチレンガス(住友精化(株)社製)を導入し、オートクレーブ内を3MPaの状態に保ち、室温で5時間反応させた。ここで使用したエチレンガスは、脱水カラム(日化精工社製、ドライカラム HDF 300−A3)と脱酸素カラム(日化精工社製、GASCLEAN GC−HDF 300−M)を通して精製を行った。
【0121】
反応後、未反応のエチレンガスを除去し、共重合ラテックスを得た。なお、この反応での単位触媒あたりのエチレンモノマー取り込み数を示すTurn Over Number (以下、TONと略す)は、TON=744[mol Ethylene/mol cat.]で、得られた共重合体のラテックスの粒子径は、164.5nmであった。ここで得られた共重合ラテックス溶液50mLに飽和硫酸ナトリウム(和光純薬社製)水溶液30mLを加えて樹脂固形分を析出させ、濾紙で濾過した。
【0122】
得られた樹脂は、室温で減圧乾燥した。この樹脂4gをポリプロピレン20g(プライムポリマー社製、ランダムポリプロピレン、F232DC)とともにプラストミル((株)東洋精機製、LABOPLASTOMILL、容量30cc)で溶融混練(200℃、100rpm、10分)した後、圧縮成形機(神藤金属工業所、型式NSF−50、最大使用圧21MPa、型締力50t、シリンダー径176mm、ストローク200mm)においてプレス(200℃、無圧、10分→200℃、5MPa、10分→室温、5MPa、10分)し、厚さ0.2mmのシート状成形体を得た。このシートを二枚重ねて、高周波ウェルダーにかけたところ、定盤温度30℃、同調位置58で溶着した。
【0123】
(比較例1)アクリル系マクロモノマーラテックスとエチレンの共重合体を添加したポリプロピレンの高周波ウェルダー性
冷却管、攪拌装置、温度計を備えたセパラブルフラスコにフラスコに純水1.6L、n−ブチルアクリレート(日本触媒製)1176g、アリルメタクリレート(三菱レイヨン社製)23.3gを仕込み、ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬製)4.8g、を仕込み、窒素置換した。撹拌して乳化させ、70℃に加熱した後、10重量%過硫酸アンモニウム(和光純薬社製)水溶液20mLを加えて5時間反応させた。固形分含量18.5%、粒径約158.9nmのアクリル系マクロモノマーのラテックスを得た。
【0124】
続いて、このラテックスを(実施例1)と同様の方法でエチレンと共重合した。1Lの耐圧オートクレーブに、脱気操作を行ったアクリル系マクロモノマーラテックス750mLを注入した。触媒調製は、アルゴン雰囲気下、通常のシュレンク操作で行った。Brookhart触媒の塩化メチレン(和光純薬社製)溶液(4mmol/L)15mLをドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬社製)150mg、純水15mLとともに超音波ホモジナイザー(SMT company社製、超音波分散機 UH‐600)によって乳化した。乳化した触媒溶液は、シリンジでオートクレーブ内に導入した。その後、エチレンガスを導入し、オートクレーブ内を3MPaの状態に保ち、室温で12時間反応させた。反応後、未反応のエチレンガスを除去し、共重合ラテックスを得た。なお、この反応での単位触媒あたりのエチレンモノマー取り込み数は、TON=1516[mol Ethylene/mol cat.]であった。
【0125】
得られたラテックス50mLに10%塩化カルシウム水溶液5mLを加えて樹脂固形分を析出させ、濾紙で濾過した。得られた樹脂を純水約50mLずつで3回洗浄した後、室温で減圧乾燥した。この樹脂4gをポリプロピレン20gとともにプラストミル((株)東洋精機製、LABOPLASTOMILL、容量30cc)で溶融混練(200℃、100rpm、10分)した後、圧縮成形機(神藤金属工業所、型式NSF−50、最大使用圧21MPa、型締力50t、シリンダー径176mm、ストローク200mm)においてプレス(200℃、無圧、10分→200℃、5MPa、10分→室温、5MPa、10分)し、厚さ0.2mmのシート状成形体を得た。このシートを二枚重ねて、高周波ウェルダーにかけたところ、定盤温度30℃では溶着しなかったが、定盤温度60℃では、同調位置62〜65で溶着した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配位重合触媒の存在下、オレフィン系モノマーと、乳化重合またはミクロ懸濁重合により製造されたビニルエステル系マクロモノマーとをグラフト共重合させることを特徴とするポリオレフィン系グラフト共重合体と、ポリオレフィン樹脂からなる高周波ウェルダー性に優れた成形体。
【請求項2】
ビニルエステル系マクロモノマーがビニルアルコールユニットを含むことを特徴とする、請求項1に記載の高周波ウェルダー性に優れた成形体。
【請求項3】
高周波ウェルダーを用い、40℃以下の温度を有する金型により溶着することを特徴とする、請求項1、2のいずれかに記載の高周波ウェルダー性に優れた成形体。
【請求項4】
成形体がシートである請求項1〜3いずれかに記載の成形体。

【公開番号】特開2007−126616(P2007−126616A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−322910(P2005−322910)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】