説明

高周波ユニット

【課題】枠体と配線パターンとの間の半田の剥がれの無い高周波ユニットを提供すること。
【解決手段】本発明の高周波ユニットにおいて、枠体の前面板から折り曲げられた支持部材の舌片に絶縁基板11が半田14付けされるため、使用環境下の元で金属材の枠体1と絶縁材の絶縁基板11との間に膨張や収縮の差異が生じても、自由端を有する舌片3bが絶縁基板11の膨張や収縮に追従して移動するようになって、舌片3bと絶縁基板11との間の半田14の剥がれが無く、十分な接地が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン受像機に使用されるRFスイッチ等に適用して好適な高周波ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8は従来の高周波ユニットの斜視図、図9は図8のC−C線における断面図であり、次に、従来の高周波ユニットの構成を図8,図9に基づいて説明すると、
金属板からなる箱形の枠体51は、前面板51aと、この前面板51aの上下位置から後方に折り曲げられた上、下面板51b、51cと、この上、下面板51b、51cと間に設けられた後面板51dと、枠体51の一方の側面を塞ぐ側面板51eと、枠体51の他方の側面に設けられた開放部51fと、下方の延びる複数の取付脚51gと、前面板51aに設けられ、孔51hを備えた取付部51jとを有する。
【0003】
同軸型の第1,第2,第3のコネクタ52,53,54は、それぞれ外部導体55と、絶縁体56を介して外部導体55内に取り付けられた中心導体57とを有し、その内の第1,第2のコネクタ52,53は、取付部51jを挟んだ状態で前面板51aに取り付けられると共に、第3のコネクタ54は、側面板51eに取り付けられている。
【0004】
絶縁基板58には、ここでは図示しないが、配線パターンと、絶縁基板58に搭載された電子部品とが設けられ、図9に示すように、この絶縁基板58は、開放部51f側から枠体51内に、枠体51との間にクリアランスKを持って収納される。
【0005】
そして、絶縁基板58は、枠体51の前面板51aや後面板51dと接地用の配線パターンとの間で半田59付けして取り付けられると共に、中心導体57が信号用の配線パターンに半田によって接続されている。
【0006】
また、金属板からなるカバー60が開放部51fを覆うように枠体51に取り付けられて、枠体51内がシールドされると、従来の高周波ユニットが形成される。
【0007】
このような構成を有する従来の高周波ユニットは、図8に示すように、第1,第2のコネクタ52,53が電気機器のシャーシ61に設けられた2個の挿入孔61aに挿通され、取付部51jがシャーシ61の裏面に合わされた状態で、ネジ62がシャーシ61の孔61bを通して孔51hにネジ込まれて、シャーシ61に取り付けられると共に、取付脚51gが図示しない電気機器のマザー基板に取り付けられ、また、シャーシ61に取り付けられた同軸型の第4のコネクタ63には、同軸ケーブル64と第5のコネクタ65を介して第3のコネクタ54が接続されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−123913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の高周波ユニットにあっては、絶縁基板58が枠体51の前面板51aや後面板51dと接地用の配線パターンとの間で半田59付けして取り付けられるため、使用環境下の元で温度変化が生じると、金属材の枠体51と絶縁材の絶縁基板58は、それぞれ膨張係数が異なり、このため、枠体51と絶縁基板58との間の膨張や収縮の差異によって、枠体51と配線パターンとの間の半田59が剥がれ、配線パターンの接地が不十分になるという問題がある。
【0009】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、枠体と配線パターンとの間の半田の剥がれの無い高周波ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の高周波ユニットは、電子部品が搭載された絶縁基板を内部に収納した箱形の枠体と、この枠体の前面板に間隔を置いて取り付けられた2個のコネクタとを備え、前面板には、2個のコネクタ間の位置で、枠体内に突出する支持部材が設けられ、この支持部材は、前面板の端面から直角に折り曲げられ、絶縁基板に対して平行な状態で延びる平板部と、この平板部の両側端部から枠体内方向に折り曲げられて形成された一対の舌片とを有し、この一対の舌片が絶縁基板に設けられた切り欠き部内に位置すると共に、舌片のそれぞれが絶縁基板に設けられた接地パターンに半田付けされたことを特徴としている。
【0011】
このように構成した本発明は、枠体の前面板から折り曲げられた支持部材の舌片に絶縁基板が半田付けされるため、使用環境下の元で金属材の枠体と絶縁材の絶縁基板との間に膨張や収縮の差異が生じても、自由端を有する舌片が絶縁基板の膨張や収縮に追従して移動するようになって、舌片と絶縁基板との間の半田の剥がれが無く、十分な接地が得られると共に、この支持部材が2個のコネクタ間の枠体内に位置するため、2個のコネクタのそれぞれが入力用に使用された場合、枠体内におけるコネクタ間の接地が確実になって、コネクタ間のアイソレーションの良好なものが得られる。
【0012】
また、本発明の高周波ユニットは、上記発明において、舌片のそれぞれが絶縁基板の切り欠き部の内面に弾接したことを特徴としている。
【0013】
このように構成した本発明は、舌片が絶縁基板に弾接することによって、舌片と絶縁基板との間の隙間を無くすることができて、舌片と絶縁基板との間の半田付着を良好にすることができる。
【0014】
また、本発明の高周波ユニットは、上記発明において、枠体内には、2個のコネクタ間の位置で、枠体内を区画するシールド板が設けられると共に、このシールド板が接地パターンに半田付けされたことを特徴としている。
【0015】
このように構成した本発明は、枠体内を区画するシールド板の存在によって、コネクタ間、及び区画された区画室間のアイソレーションの良好なものが得られる。
【0016】
また、本発明の高周波ユニットは、上記発明において、前面板には、2個のコネクタ間の位置で、孔を有する取付部が設けられると共に、取付部と支持部材とは、2個のコネクタ間を結ぶ直線に対して直交する直線上に配置されたことを特徴としている。
【0017】
このように構成した本発明は、取付部と支持部材とがコネクタ間を結ぶ線に対して直交する位置に配置されているため、前面板の幅の狭い短手方向に取付部と支持部材とが形成できて、小型化が図れる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の高周波ユニットは、枠体の前面板から折り曲げられた支持部材の舌片に絶縁基板が半田付けされるため、使用環境下の元で金属材の枠体と絶縁材の絶縁基板との間に膨張や収縮の差異が生じても、自由端を有する舌片が絶縁基板の膨張や収縮に追従して移動するようになって、舌片と絶縁基板との間の半田の剥がれが無く、十分な接地が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の高周波ユニットの正面図、図2はカバーを取り去った状態における本発明の高周波ユニットの平面図、図3は図2のA−A線における断面図、図4は図2のB−B線における断面図、図5は本発明の高周波ユニットに係り、支持部材の箇所を示す拡大斜視図、図6は本発明の高周波ユニットに係り、支持部材の形成方法を示す展開図、図7は本発明の高周波ユニットに係り、支持部材の形成方法を示す斜視図である。
【0020】
次に、本発明の高周波ユニットの構成を図1〜図7に基づいて説明すると、金属板からなる箱形の枠体1は、長方形状の前面板1aと、この前面板1aの両側端部から後方に折り曲げられた一対の側面板1bと、この一対の側面板1b間の後部を塞ぐ後面板1cと、上下に設けられた開放部1dと、側面板1bから下方の延びる複数の取付脚1eとを有する。
【0021】
また、枠体1の前面板1aには、突き出し加工によって前方に突出して形成された台形状の取付部2が設けられ、この取付部2の中央部には、孔2aが設けられている。
【0022】
更に、枠体1は、前面板1aの上端面(端面)に繋がった支持部材3を有し、この支持部材3は、特に図5に示すように、前面板1aの端面から直角に開放部1d側に向かって折り曲げられ、後述する絶縁基板11に対して平行な状態で延びる平板部3aと、この平板部3aの両側端部から枠体1内方向に折り曲げられて形成された対向する一対の舌片3bとを有する。
【0023】
この支持部材3の形成方法を図6,図7に基づいて説明すると、先ず、図6に示すように、前面板1aの上端面に繋がり、平板部3aと舌片3bとでT字状のなした部材を用意し、次に、図6の点線の位置(平板部3aの両側端部)で折り曲げして、図7に示すように、互いに対向する一対の舌片3bを形成した後、平板部3aを前面板1aの端面から直角に折り曲げると、図5に示すような支持部材3が形成される。
【0024】
また、このような支持部材3と取付部2とは、後述する2個のコネクタ5,6間を結ぶ直線に対して直交する直線上に配置された状態となっており、これによって、前面板1aの幅の狭い短手方向に取付部と支持部材とが形成できて、小型化が図れる。
【0025】
更に又、枠体1には、前面板1aと後面板1cに繋がって形成され、枠体1内を2つ区画室に区画するシールド板4が設けられ、このシールド板4は、支持部材3から後方に延びる位置に配置されている。
【0026】
同軸型の第1,第2,第3のコネクタ5,6、7は、それぞれ外部導体8と、絶縁体9を介して外部導体8内に取り付けられた中心導体10とを有し、その内の第1,第2のコネクタ5,6は、取付部2を挟んだ状態で前面板1aに取り付けられると共に、第3のコネクタ7は、後面板1cに取り付けられている。
【0027】
この実施形態では、ネジ付きの第1のコネクタ5が第1の入力用に、また、ネジ付きの第2のコネクタ6が第2の入力用に、更に、ネジなしの第3のコネクタ7が出力用として使用されるようになっている。
【0028】
そして、第1,第2のコネクタ5,6の中心導体10間には、支持部材3とシールド板4とが配置されて、第1,第2のコネクタ5,6間のアイソレーションの向上を図っている。
【0029】
絶縁基板11は、長方形状をなし、短辺側の前側面に設けられた切り欠き部11aと、長辺側の両側面から突出する複数の突部11bとを有し、この絶縁基板11には、信号パターン12a、及び接地パターン12bを有する配線パターン12と、絶縁基板11に搭載された電子部品13とが設けられると共に、この電子部品13は、高さの低いチップ型の部品が絶縁基板11の一面(上面)に配置され、高さの高いコイル等の部品が絶縁基板11の他面(下面)に配置されている。
【0030】
そして、この絶縁基板11は、上部の開放部1d側から枠体1内に、枠体1(前、側、後面板1a、1b、1c)との間にクリアランスKを持って収納される。
【0031】
この時、絶縁基板11の切り欠き部11a内には、支持部材3の平板部3a側が先に挿入された後、舌片3bが切り欠き部11aの内面に弾接すると共に、絶縁基板11の中央部に位置では、シールド板4の突片4aが貫通し、また、絶縁基板11の突部11bの位置では、枠体1に設けられた突片1fが貫通するようになっている。
【0032】
そして、それぞれの舌片3bが切り欠き部11aの近傍に設けられた接地パターン12bに半田14によって接続、取付されると共に、ここでは図示しないが、突片1f、4aがその近傍に設けられた接地パターン12bに半田14によって接続、取付され、また、第1,第2,第3のコネクタ5,6,7の中心導体10は、ここでは図示しないが信号パターン12aに半田付けされるようになっている。
【0033】
また、絶縁基板11が枠体1内に取り付けられた際、支持部材3の平板部3aが絶縁基板11に対して平行な状態になると共に、舌片3bが絶縁基板11に対して略垂直な状態にとなっている。
【0034】
なお、支持部材3の形状を、平板部3aを頂面とした台形状にすると、切り欠き部11a内への平板部3aの挿入が容易で、且つ、切り欠き部11aの内面への舌片3bの弾接を容易にできる。
【0035】
また、金属板からなるカバー15が上下のそれぞれに位置する開放部1dを覆った状態で枠体1に取り付けられて、枠体1内がシールドされると、本発明の高周波ユニットが形成される。
【0036】
このような構成を有する本発明の高周波ユニットは、ここでは図示しないが図8に示す従来と同様に、第1,第2のコネクタ5,6が電気機器のシャーシに設けられた2個の挿入孔に挿通され、取付部2がシャーシの裏面に合わされた状態で、ネジがシャーシの孔を通して孔2aにネジ込まれて、シャーシに取り付けられると共に、取付脚1eが電気機器のマザー基板に取り付けられるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の高周波ユニットの正面図である。
【図2】カバーを取り去った状態における本発明の高周波ユニットの平面図である
【図3】図2のA−A線における断面図である。
【図4】図2のB−B線における断面図である。
【図5】本発明の高周波ユニットに係り、支持部材の箇所を示す拡大斜視図である。
【図6】本発明の高周波ユニットに係り、支持部材の形成方法を示す展開図である。
【図7】本発明の高周波ユニットに係り、支持部材の形成方法を示す斜視図である。
【図8】従来の高周波ユニットの斜視図である。
【図9】図8のC−C線における断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 枠体
1a 前面板
1b 側面板
1c 後面板
1d 開放部
1e 取付脚
1f 突片
2 取付部
2a 孔
3 支持部材
3a 平板部
3b 舌片
4 シールド板
4a 突片
5 第1のコネクタ
6 第2のコネクタ
7 第3のコネクタ
8 外部導体
9 絶縁体
10 中心導体
11 絶縁基板
11a 切り欠き部
11b 突部
12 配線パターン
12a 信号パターン
12b 接地パターン
13 電子部品
14 半田
15 カバー
K クリアランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が搭載された絶縁基板を内部に収納した箱形の枠体と、この枠体の前面板に間隔を置いて取り付けられた2個のコネクタとを備え、前記前面板には、前記2個のコネクタ間の位置で、前記枠体内に突出する支持部材が設けられ、この支持部材は、前記前面板の端面から直角に折り曲げられ、前記絶縁基板に対して平行な状態で延びる平板部と、この平板部の両側端部から前記枠体内方向に折り曲げられて形成された一対の舌片とを有し、この一対の舌片が前記絶縁基板に設けられた切り欠き部内に位置すると共に、前記舌片のそれぞれが前記絶縁基板に設けられた接地パターンに半田付けされたことを特徴とする高周波ユニット。
【請求項2】
前記舌片のそれぞれが前記絶縁基板の前記切り欠き部の内面に弾接したことを特徴とする請求項1記載の高周波ユニット。
【請求項3】
前記枠体内には、前記2個のコネクタ間の位置で、前記枠体内を区画するシールド板が設けられると共に、このシールド板が前記接地パターンに半田付けされたことを特徴とする請求項1、又は2記載の高周波ユニット。
【請求項4】
前記前面板には、前記2個のコネクタ間の位置態で、孔を有する取付部が設けられると共に、前記取付部と前記支持部材とは、前記2個のコネクタ間を結ぶ直線に対して直交する直線上に配置されたことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の高周波ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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