説明

高周波加熱装置

【課題】プロペラファンの近傍に位置するインバータートランス基盤をプロペラファンの角度と周辺の構成によって冷却効率を高め確実な温度保護と耐久性の優れた加熱装置を提供すること。
【解決手段】本発明の高周波加熱装置は、非加熱物を収納して加熱する加熱庫4と、機械室内を冷却する為のプロペラファン3と、プロペラファン3を回転駆動させるファンモーター2とその上に保持された高圧電圧を発生させるインバータートランス基盤6と、インバータートランス基盤6を収納保持するプリントベース板7と、高周波を発振させる高周波発振器5が配置されファンモーター2を取り付ける機械室の壁面1が傾斜し、ファンモーター2のプロペラファン3が、インバータートランス基盤6に向けられた角度で保持する冷却構成となるので、インバータートランス基盤6の冷却風の流れがスムーズとなり、冷却効率が良くなる結果となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波加熱装置の機械室内を冷却するファンモーターの取り付け及び冷却構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の高周波加熱装置の冷却構成としては、機械室の後ろ面にファンモーターが固定され、それによってプロペラファンが垂直に配置され、プロペラファンの後ろ面に設けられた吸気孔からの吸入によって、機械室を冷却する構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4は、冷却構成の機械室側面図で、機械室の壁面のウライタ3に設けられたファンモーター1の駆動により、プロペラファン2が回転し、機械室内に冷却風が送風される。プロペラファン2の下には、エアーガイド9が固定され、プロペラファン2で送り出した風が、再び吸引しないようガードされている。
【0004】
更に、プロペラファン2の近接位置に、高周波発振器4が固定されている。プロペラファン2の上には、高電圧を発生させるインバーター基盤5が、プリントベース板6によって、保持固定されている。インバーター基盤5には、部品を熱伝導によって強制冷却するための放熱フィン8が、プロペラファン2の風向きに対し、縦方向に配置されている。ウライタ3のファンモーター1の取り付け面には、外気を吸入するための開口が、設けられている。
【0005】
それによって、ファンモーター1の駆動によってプロペラファン2が回転し、ウライタ3の取り付け面の開口より、外気7が機械室内に吸入され、冷却する構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−244586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では、プロペラファン2の上にインバータートランス基盤5の放熱フィン8が直行に近い状態で位置している。また、放熱フィン8は、断面がくし状のアルミで形成され、放熱させる形状が一般的である。従って、プロペラファン2の回転位置の上に、放熱フィン8が直交状態で位置する状態では、放熱フィン8の中を風が通過しにくく効率的な冷却が困難であった。更に、吸気と排気か近接するため、排気した風を吸引しやすく、その結果、吸気の温度が上昇し、機械室内の温度的不具合が発生しやすいという課題があった。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、プロペラファンの近傍に位置するインバータートランス基盤をプロペラファンの角度と周辺の構成によって冷却効率を高め確実な温度保護と耐久性の優れた加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の高周波加熱装置は、非加熱物を収納して加熱する加熱庫と、機械室内を冷却する為のプロペラファンと、プロペラファンを回転駆動させるファンモーターとその上に保持された高圧電圧を発生させるインバータートランス
基盤と、前期インバータートランス基盤を収納保持するプリントベース板と、高周波を発振させる高周波発振器が配置され、前記ファンモーターを取り付ける機械室の壁面が傾斜し、ファンモーターのプロペラファンがインバータートランス基盤に向けられた角度で保持する冷却構成とした。
【0010】
これによって、インバータートランス基盤側のプロペラファンの回転円弧の外周位置が、ファンモーターを取り付けた機械室の壁面に接近することになり、その結果、インバータートランス基盤の後方より、冷却風を吹き付けることになる。それによって、放熱フィンの側面より、冷却風を噴きつけることになり、その結果、放熱フィンの中を風が流れることにより、冷却効率を高めることが出来る。更に、機械室の底面のプロペラファン下部に吸気孔を設けることで、より低温の外気を吸引し、機械室を冷却することになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の高周波加熱装置は、機械室の壁面に設けられたファンモーターの取り付け面に、傾斜を設けファンモーター及びプロペラファンの角度が、上に位置するインバータートランス基盤に向けられた構成からなり、インバータートランス基盤への冷却風の流れがスムーズとなり、結果冷却効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における高周波加熱装置の側面図
【図2】本発明の実施の形態2における高周波加熱装置の後方斜視図
【図3】本発明の実施の形態3における高周波加熱装置の側面斜視図
【図4】従来の高周波加熱装置の側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、非加熱物を収納して加熱する加熱庫と、機械室内を冷却する為のプロペラファンと、プロペラファンを回転駆動させるファンモーターとその上に保持された高圧電圧を発生させるインバータートランス基盤と、前期インバータートランス基盤を収納保持するプリントベース板と、高周波を発振させる高周波発振器が配置され、前記ファンモーターを取り付ける機械室の壁面のファンモーター取り付け面を傾斜し、ファンモーターが傾斜に従って保持された冷却構成を特徴とした。
【0014】
第2の発明は、特に、第1の発明のファンモーターを取り付ける機械室の壁面の傾斜した面とつながる上の斜面が、プロペラファンの回転円弧に添った形状からなる冷却構成を特徴とし機体外から吸引した冷却風を効率よく押し出す構成とした。
【0015】
第3の発明は、第2の発明のプロペラファンの回転円弧に添った形状からなる斜面に吸気孔の無い冷却構成を特徴とし、水などがファンモーターにかかるのを防止する安全構成とした。
【0016】
第4の発明は、第1の発明の機械室のプロペラファン下部に吸気孔を設けた冷却構成を特徴とし温度の低い空気を吸引し機械室を冷却する構成とした。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における高周波加熱装置の側面図を示すものである。
【0019】
図1において、機械室の壁面1のファンモーター2の取り付け面に角度のある傾斜面を設けたものであり、ファンモーター2及びプロペラファン3の角度をインバータートランス基盤6側に傾けた冷却構成としている。
【0020】
以上のように構成された高周波加熱装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0021】
まず、非加熱物を収納して加熱する加熱庫4と、機械室内を冷却する為のプロペラファン3と、プロペラファン3を回転駆動させるファンモーター2が、機械室の壁面1に保持固定されている。プロペラファン3に対面する近接位置には、高周波発振器5が固定され、冷却部の開口がプロペラファン3に向けられた方向で、保持固定されている。
【0022】
更に、プロペラファン3の上には、高電圧を発生させるインバータートランス基盤6と、それを収納保持するプリントベースイタ7が、加熱庫4と機械室の壁面1にて装着されている。プロペラファン3の下はエアーガイド8で仕切られ、プロペラファン3によって押し出された風を、再び吸引しない構成とした。
【0023】
更に、機械室の壁面1のファンモーター2の取り付け面は、傾斜面9からなる形状としている。それによって、傾斜面9に従ってファンモーター2が取り付けられ、軸支されたプロペラファン3も、インバータートランス基盤6側に傾けた角度で保持される。傾斜面9には、プロペラファン3が回転した際の外気を吸引する開孔が、設けられている。傾斜面9へのファンモーター2の固定に従って、プロペラファン3の上部が、機械室の壁面1に接近する状態で固定保持され、インバータートランス基盤6の後方に、プロペラファン3が位置することになる。
【0024】
ファンモーター2の駆動によって、プロペラファン3が回転し、ファンモーター2が保持された傾斜面9に設けられた開孔より、外気を吸引される。吸引された冷却風は、プロペラファン3によって押し出されるが、プロペラファン3に対面する高周波発振器5に吹き当たることにより、インバータートランス基盤6側に風が向けられ、冷却される結果となる。
【0025】
更に、インバーター基盤6の方へプロペラファン3の角度を向けているので、インバータートランス基盤6全体が、効果的に冷却される結果となる。
【0026】
以上のように、本実施の形態においては、ファンモーター2の保持面である、機械室の壁面1に傾斜面9を設け、ファンモーター2及びプロペラファン3が、インバータートランス基盤6に向けられる構成とすることにより、プロペラファン3から押し出された冷却風が、インバータートランス基盤6の後方より、冷却風を噴きつけることになり、冷却風が、スムーズにインバータートランス基盤6を通過し、冷却効率を高めることになる。
【0027】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第3の実施の形態の機械室の斜視図である。
【0028】
機械室の壁面1の傾斜面9の上面13を、プロペラファン14の円弧と同等の形状からなる。したがって、プロペラファン14の回転により、傾斜面12の開孔15から吸引した外気を、ショートすることなくスムーズに送る結果となる。更に、上面13には吸気孔の無い構成にしたので、外部から水等を溢した際、充電部であるファンモーターに、水等がかかる不安全を回避できる。以下、実施の形態1の記載方法と同様とする。
【0029】
(実施の形態3)
図3は機械室のプロペラファン下部に吸気孔20を設けた冷却構成を特徴とし、プロペ
ラファン21の回転によって、機械室の後方22と機械室の底面23とから冷却するための外気を吸引することになる。その結果、温度の低い外気を吸引し、機械室を冷却することができる。更に、機械室の後面の吸気孔が、障害物によって閉じられた場合においても、底面23からの吸気があるので、故障を回避することが可能である。以下、実施の形態1と同様とする。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明にかかる高周波加熱装置は、機械室の壁面に設けられたファンモーターの取り付け面に傾斜を設け、ファンモーター及びプロペラファンの角度が、上に位置するインバーター基盤に向けられた構成からなり、結果、冷却効率を高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0031】
2 ファンモーター
3 プロペラファン
5 高周波発振器
6 インバーター基盤
8 エアーガイド
9 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非加熱物を収納して加熱する加熱庫と、機械室内を冷却する為のプロペラファンと、プロペラファンを回転駆動させるファンモーターとその上に保持された高圧電圧を発生させるインバータートランス基盤と、前記インバータートランス基盤を収納保持するプリントベース板と、高周波を発振させる高周波発振器が配置され、前記ファンモーターを取り付ける機械室の壁面が傾斜しファンモーターが傾斜に従って保持され、前記ファンモーターに軸支された前記プロペラファンの角度が前記インバータートランス基盤側に傾けられた冷却構成を特徴とした高周波加熱装置。
【請求項2】
ファンモーターを取り付ける機械室の壁面の傾斜した面とつながる上の斜面が、プロペラファンの回転円弧に添った形状からなる冷却構成を特徴とした、請求項1に記載の高周波加熱装置。
【請求項3】
プロペラファンの回転円弧に添った形状の面に吸入孔の無い、請求項1に記載の高周波加熱装置。
【請求項4】
プロペラファンの下部の底板面に吸入孔を設けた請求項1に記載の高周波加熱装置。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−159614(P2011−159614A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22956(P2010−22956)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】