説明

高周波誘導加熱によるアンカー除去装置及びその除去方法

【課題】 低コスト、且つ短時間に、しかも確実に施工できるPC鋼撚線の除去方法及びその装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 絶縁被覆され、所定形状中空領域をコイル芯部として、数ターン渦巻状に一層又は複層に巻かれて平面状に成形され、且つ、湾曲自在である平面状コイル10´を用意し、アンボンドPC鋼撚線1の各線条を切断すべき所定位置で高周波磁界で誘導加熱するための前記平面状コイル10´を前記所定位置で外側から線条をすべて挟み込むように湾曲させた高周波誘導コイル10と、高周波電源装置12から電力供給線11を介して、高周波電流を印加するためのコイル端子10cと、を備え、前記高周波誘導コイル10が動作したとき、磁束密度が最も高い部分である前記コイル芯部の所定形状中空領域は、前記切断すべき所定位置の各線を内包、隣接するように配設することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設工事施工におけるアンカーのPC(prestressed concrete)鋼撚線の除去装置及びその除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土留めなどの建設工事施工において、施工後に、アンボンドPC(prestressed concrete)鋼撚線などの引張り鋼材を土中に残留させることのない除去式アンカーが広く知られている。
【0003】
特許文献1には、複数のアンボンドPC鋼撚線を結束して構成する芯抜き除去方式が開示されている。この発明では、従来複数のアンボンドPC鋼撚線を引き抜き、定着されたPC鋼撚線の縁切りスペースを確保していた際の問題を解決するため、アンボンド加工した大径鋼材を可撓性のスペーサ筒体内に配置したアンカーの定着部を、複数のアンボンド加工を除去したPC鋼撚線で覆い定着部を形成することにより、施工後に中心の大径鋼材を引き抜き、定着されたPC鋼撚線をその引き抜かれた空隙により縁切りさせて、地上からの引き抜き除去を容易にするものである。
【0004】
この方式では、大径の除去空間を確保できるため、比較的小さな引張力で、定着面の縁切りができるメリットがあるが、大径のアンボンドPC鋼材を用いるため、資材費用が嵩む問題があった。
【0005】
また、特許文献2には、アンカー孔内に、アンボンドPC鋼撚線を耐荷体でUターンさせて挿入すると共に、グラウト材(セメントミルクなどの固結材)を充填して、耐荷体とアンボンドPC鋼撚線を地盤中に固定し、アンボンドPC鋼撚線の両端を孔外より所定の荷重のもとで緊張・定着させ、その緊張・定着力によって山留め壁や擁壁を支持する除去式アンカーが従来技術として記載されている。このアンボンドPC鋼撚線のUターン方式では、施工後に地上の定着具を取り外し、アンボンドPC鋼撚線の一方の端部をジャッキやレッカー等で引くことにより、Uターン部を介してアンボンドされているPC鋼撚線を引き抜き除去するものである。
【0006】
この方法では、シース管内に潤滑油を充填して入るものの、PC鋼撚線のUターン部分での摩擦係数が高く、ある程度大きな力を用いなければ抜き取ることができない問題があった。又、中にはUターン部で捩れなどの変形で、ゆるみが無くなり、引き抜けなくなる問題があった。
【0007】
これらの問題を解決するものとして、特許文献3は耐荷体との係留方式に係らず、確実に、且つ短時間でPC鋼撚線を除去できる方法と装置の発明で、予めPC鋼撚線の埋設先端側に、シースを除去したPC鋼撚線と対向する液密にシールされた陰電極を設け、建設工事施工後に、該陰電極に電解質溶液を循環させ、直流電源からPC鋼撚線に陽極を、陰電極に陰極を接続して電圧を印加し、PC鋼撚線をアノード溶解して切断し、引き抜き可能としている。
【0008】
しかし、この方法では、従来の技術に較べて設置の制約もなく確実に除去できる利点があったが、電解質溶液の水槽、送液ポンプ、送液管の配管が必要で、設備規模が比較的大掛かりとなり、コストがかかる問題があった。
【0009】
また、特許文献4には、引張り部材である線条を切断位置において管状にその線条を囲む中空状コイルを備えて、その中空状の高周波誘導コイルに高周波電流を印加して、引張り部材内部、すなわち線条内部を渦電流により加熱させ、切断する装置であった。
【0010】
しかしながら、その線条の切断位置に予め高周波誘導コイルの円筒を挿入しておく必要があった。この作業は耐荷体に各線条の一端を連結して、次に中空状の高周波誘導コイルをその内部に全線条を通すように挿入しなければならない。すなわち各線条の他端はオープンである必要がある。このためその作業は制限されることになる。耐荷体が複数個所あるときは特にコイルの取替え、移動は制限されることとなる。
【0011】
【特許文献1】特開平9−41371号公報(第2、3頁、第1、2図)
【特許文献2】特願2002−97638号公報(第2頁、第4、6図)
【特許文献3】特願2005−180001号公報(第2頁、第1図)
【特許文献4】特許第3163207号公報(第2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたもので、高周波誘導コイルの取付を短時間に且つ確実に施工できるPC鋼撚線の除去装置及びその除去方法を提供することを課題とする。
【0013】
特に、一旦設置後、その切断位置を修正、移動する場合も、また、各線条の他端が閉じられていてもも容易に高周波誘導コイルの取替え、移動が可能な構造を提供する。
【0014】
また、耐荷体が複数個所あっても容易に取替え、移動などが可能であるPC鋼撚線の除去装置並びに除去方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するため、本発明の高周波誘導加熱によるアンカー除去装置は、合成樹脂シースで被覆されたアンボンドPC鋼撚線の埋設先端側にそのPC鋼撚線終端を圧着クリップで固定し、それに連結された耐荷体を備え、その耐荷体を地盤の孔内に埋設し孔内に固結材を注入してアンカー定着部を形成し、PC鋼撚線の基端を地上側で緊張するアースアンカーとして用いた建設工事施工におけるPC鋼撚線の除去装置であって、
前記PC鋼撚線は単条又は複数条からなり、前記耐荷体は前記各線条に前記固結材注入による固定連結を確実に形成するため、前記各線条を挿入する線条溝又は孔と、
絶縁被覆され、所定形状中空領域をコイル芯部として、数ターン渦巻状に一層または複層に巻かれて平面状に成形され、且つ、その平面は湾曲自在である平面状コイルを用意し、
前記線条溝又は孔に挿入セットされた各線条を切断すべき所定位置においてで張力を印加しながら高周波磁界で誘導加熱するための前記平面状コイルを前記所定位置で外側から線条を総て挟み込むように湾曲させた高周波誘導コイルと、
地上側に設置された高周波電源装置からツイスト構成の電力供給線を介して、前記高周波誘導コイルに高周波電流を印加するための高周波電流入力端子と、を備え、
前記高周波誘導コイルが動作したとき、磁束密度が最も高い部分である前記コイル芯部の所定形状中空領域は、前記切断すべき所定位置の各線条を内包、隣接するように 配設することを特徴とする。
【0016】
また、前記高周波誘導コイルのインダクタンスLsと前記高周波電源装置に内蔵された調整用コンデンサーの直列容量Csとから定まる共振周波数f(1/2π(Ls・Cs)1/2)の高周波共振電流をその誘導コイルに流して、前記平面状コイルに挟み込まれた各線条の周方向に誘導される渦電流の2次誘導電流を最大にして線条方向に流れる熱量が少ない短時間内で、その線条の破断時間を最小にすることを特徴とする。

【0017】
また、本発明の高周波誘導加熱によるアンカー除去方法は、合成樹脂シースで被覆されたアンボンドPC鋼撚線の埋設先端側にそのPC鋼撚線終端を圧着クリップで固定し、それに連結された複数箇所に設置された耐荷体を備え、それらの耐荷体を地盤の孔内に埋設し孔内に固結材を注入してアンカー定着部を形成し、PC鋼撚線の基端を地上側で緊張するアースアンカーとして用いた建設工事施工におけるPC鋼撚線の除去方法であって、
前記PC鋼撚線の各線条を前記耐荷体に確実に連結するため、各耐荷体の線条溝又は孔に所定の各線条を挿入する段階と、
前記線条を加熱切断するため、予め絶縁被覆された銅線を所定形状中空領域をコイル芯部として数ターン渦巻状に一層または複層に巻いて平面状コイルに成型形する段階と、
その平面状コイルを湾曲させ、各耐荷体付近の線条をの切断すべき所定位置を挟み込み高周波誘導コイルとしてセットする段階と、
地上側に設置された高周波電源装置から電力供給線を介して、各耐荷体近傍の前記高周波誘導コイルに高周波電流を印加する段階と、から少なくとも構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
各線条の切断加過熱位置に高周波誘導コイルをセットする際に、そのコイルが中空状或いは円筒状の場合は、耐荷体にその一端が 固定されている各線条は他端から中空状或いは円筒状コイルを挿入することとなるので、必ず各線条の他端はオープンでなければならないので、そのコイルのセットはその分組み立てが制限される。
【0019】
本発明の平面状コイルは、前記他端がクローズされていても任意にそのコイルの取替、挿入作業が容易に可能となる。
【0020】
特に、耐荷体を直列に複数個所設置したい場合には、平面状湾曲自在の高周波誘導コイルは作業効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の高周波誘導加熱によるアンカー除去装置及びその除去方法について図面に基いての実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
図1は高周波誘導加熱によるアンボンドPC鋼撚線の除去装置の構成を示す図である。図において、1は単条または複数条からなるアンボンドPC鋼撚線を示す。2は、耐荷体を示し、アンボンドPC鋼撚線1の一端を固定する。
【0023】
3は、山止め壁を示し、4はその山止め壁3をPC鋼撚線1の他端に張力を加えて定着させる定着金具である。尚、5は土中のアンカー孔を示し、6はアンカー孔5に流し込まれた固結された固結材を示す。
【0024】
10は、図4に示す湾曲自在の平面状コイル10´を湾曲させた高周波誘導コイルである。後述するように、高周波誘導コイル10は、総ての線条からなるアンボンドPC鋼撚線1を挟み込むように高周波誘導コイル10で囲んでいる。
【0025】
11は、その高周波誘導コイル10高周波電力を送るリード線(電力供給線)、12は高周波電源装置、13はAC電源(商用電源)である。
【0026】
図2は、複数のアンボンドPC鋼撚線1を総てまとめて取囲み、挟み込むように設置した高周波誘導コイル10の外観を示す図である。
【0027】
ここで、2aは耐荷体2のクサビを示す。
【0028】
図3は高周波誘導コイル10の設置断面図を示し、(a)は図2のA−A断面、(b)は一本のアンボンドPC鋼撚線1を取り囲むように設置した高周波誘導コイル、(c)は3本のアンボンドPC鋼撚線1を取り囲むように設置した高周波誘導コイルを示す。
【0029】
図3(a)においては、4本のアンボンドPC鋼撚線1を取り囲むように平面状コイル10´を円形状に湾曲させた場合である。
【0030】
図示するように、アンボンドPC鋼撚線1は、PC鋼撚線1aが合成樹脂シース1bで被覆されていることを示している。
【0031】
図3(a)、(b)いずれも、必ずしも円形状に湾曲させる必要はなく、アンボンドPC鋼撚線1が平面状コイル10´の湾曲した内側に入るようにされていればよい。
【0032】
図3(c)は、3本のアンボンドPC鋼撚線1を取り囲むように平面状コイル10´を三角形状に湾曲させた場合を示す。
【0033】
図4は、湾曲自在の平面状コイル10´の一例を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図を示す。
【0034】
この平面状コイル10´は、以下のように成形する。すなわち、絶縁被覆された銅線をそのコイル芯部10´a(この形状は長方形状)を中心として渦巻状に一層だけ巻いて成形したものである。尚この説明では、一層巻きの平面状コイル10´を示したが、切断対象のPC鋼撚線の太さ、本数に対応して複数層に巻いたコイルを用いることができる。
【0035】
図において、10aはコイル銅線、10bはその絶縁被覆、10cはコイル端子、11はリード線を示す。
【0036】
尚、図4(a)において、絶縁被覆されたコイル銅線10aは間隔をあけて巻かれているように図示したが、実際には、絶縁被覆されているので間隔を開けずに密に巻きつける。
【0037】
また、中心のコイル芯部10´aは磁束密度が最も大となる領域なので、巻数が同一ならばなるべく長方形中空領域を大きくしたほうがよい。
【0038】
さらに、この長方形中空領域、すなわちコイル芯部10´aは、この平面状コイル10´を湾曲させた時、その長方形の長辺がアンボンドPC鋼撚線1を取り囲むようにすれば、数条のアンボンドPC鋼撚線1総てを同時に加熱するので、効果的である。
【0039】
尚、平面状コイル10´のインダクタンスLsと、電源装置12にある調整用コンデンサCsとにより、共振周波数で動作するように高周波誘導コイル10を共振させて短時間で加熱することができる。
【0040】
図5は、平面状コイル10´を湾曲させて、アンボンドPC鋼撚線1の各線条を挟み込むようにした高周波誘導コイル10の外観図を示す。
【0041】
この実施例では、平面状コイル10´を円形状あるいは円筒状に湾曲させた場合であるが、各線条を総て取り囲めば任意の形状にで湾曲させてもよい。
【0042】
例えば、図3(c)に示したように三角形状の湾曲でもよい。
【0043】
図6は、耐荷体2が複数2段の場合の高周波誘導コイルの設置実施例である。アンカー定着部を確実にさせる実施の形態である。
【0044】
21は第1の耐荷体、22は第2の耐荷体を示す。アンボンドPC鋼撚線1は6本の線条からなり、その中で3本の線条が第2の耐荷体22に固着され、残りの3本の線条は第2の耐荷体22には固定されずに通過して第1の耐荷体21に固着される。
【0045】
21aは第1の支圧板、22aは第2の支圧板、21bは第1の補助支圧板、22bは第2の補助支圧板である。第2の耐荷体22では、第2の支圧板22aで3本の線条が固着されており、他の3本の線条は孔を通過している。第1の耐荷体21では第1の支圧板21aで、その通過してきた線条3本を固着している。
【0046】
尚、21c、22cは中心摩擦棒であり、流し込まれた固結材剤により耐荷体2が地盤に固定されることを補助する。
【0047】
23は第1の高周波誘導コイル、24は第2の高周波誘導コイルを示し、11はそれぞれのリード線(電力供給線)を示す。
【0048】
25、26は、第1の支圧板21a、第2の支圧板22aの背後にある圧着グリップを示し、27、28はそれぞれ第1、第2の先端キャップである。
【0049】
このように、耐荷体2が複数の場合は、本発明の平面状コイル10´を湾曲させた形態の高周波誘導コイル23、24を用いることにより、挿入が容易となり、除去装置の設置作業をが非常に効率的に実施することができる。
【0050】
図7は、コイル保護管を備えた要部の詳細を示す図である。アンカー建て込みに際し削孔用ケーシングを引抜く際に加熱コイルの損傷を防ぐために、第1、第2耐荷体21、22の外周を覆うようにコイル防護管29を被せたものである。コイル保護管29は、アンカー固定のために流しこまれる固結材6(グラウト)がコイル配設部分にも流れ込み、固定されるように円筒側面に複数の開口窓29aが穿設されたものを用いる。
【0051】
図8は、コイル保護管の実施の形態を示し、(a)は分割型、(b)は可撓材型である。(a)に示す分割型はSS材等で半円筒形状に分割されて形成され、耐荷体の外周を覆う形態である。(b)に示す可撓材型はポリ材など可撓材料で形成して円筒形状の一部に開口部29bを設け、耐荷体の外周を覆う際に開口部29bを拡げて被せる形態である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】高周波誘導加熱によるアンボンドPC鋼撚線の除去装置の構成を示す図である。
【図2】アンボンドPC鋼撚線1を挟み込むように設置した高周波誘導コイルの外観を示す図である。
【図3】高周波誘導コイル10の設置断面を示し、(a)は図2のA−A断面、(b)は一本のアンボンドPC鋼撚線1を取り囲むように設置した高周波誘導コイル、(c)は3本のアンボンドPC鋼撚線1を取り囲むように設置した高周波誘導コイルを示す。
【図4】湾曲自在の平面状コイル10´の一例を示す図で、(a)は平前面図、(b)は側面図を示す。
【図5】平面状コイルを湾曲させて、アンボンドPC鋼撚線1の各線条を挟み込むようにした高周波誘導コイル10の外観図を示し、(a)は正面図、(b)は側面図であるす。
【図6】耐荷体2が複数2段の場合の高周波誘導コイル10の設置実施例である。
【図7】コイル保護管29を備えた要部の詳細を示す図である。
【図8】コイル保護管29の実施の形態を示し、(a)は分割型、(b)は可撓材型である。
【符号の説明】
【0053】
1 アンボンドPC鋼撚線
1a PC鋼撚線
1b 合成樹脂シース
2 耐荷体
2a クサビ
3 山止め壁
4 定着金具
5 アンカー孔
6 固結材剤(グラウト)
10 高周波誘導コイル、誘導コイル、コイル
10´ 平面状コイル
10´a コイル芯部
10a 銅線
10b 絶縁被覆
10c コイル端子
10a コイル銅線
10b 絶縁被覆
10c コイル端子
11 リード線(電力供給線)
12 高周波電源装置
13 AC電源(商用電源)
21 第1の耐荷体
21a 第1の支圧板
21b 第1の補助支圧板
21c 中心摩擦棒
22 第2の耐荷体
22a 第2の支圧板
22b 第2の補助支圧板
22c 中心摩擦棒
23 第1の加熱高周波誘導コイル
24 第2の高周波誘導加熱コイル
25 第1の圧着グリップ
26 第2の圧着グリップ
27 第1の先端キャップ
28 第2の先端キャップ
29a 開口窓
29 コイル防護管
29a 開口窓 29b 開口部
31 第1の耐荷体用のPC鋼撚線
32 第2の耐荷体用のPC鋼撚線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂シースで被覆されたアンボンドPC鋼撚線の埋設先端側にそのPC鋼撚線終端を圧着クリップで固定し、それに連結された耐荷体を備え、その耐荷体を地盤の孔内に埋設し孔内に固結材を注入してアンカー定着部を形成し、PC鋼撚線の基端を地上側で緊張するアースアンカーとして用いた建設工事施工におけるPC鋼撚線の除去装置であって、
前記PC鋼撚線は単条又は複数条からなり、前記耐荷体は前記各線条に前記固結材注入による固定連結を確実に形成するため、前記各線条を挿入する線条溝又は孔と、
絶縁被覆され、所定形状中空領域をコイル芯部として、数ターン渦巻状に一層または複層に巻かれて平面状に成形され、且つ、その平面は湾曲自在である平面状コイルを用意し、
前記線条溝又は孔に挿入セットされた各線条を切断すべき所定位置においてで張力を印加しながら高周波磁界で誘導加熱するための前記平面状コイルを前記所定位置で外側から線条を総て挟み込むように湾曲させた高周波誘導コイルと、
地上側に設置された高周波電源装置からツイスト構成の電力供給線を介して、前記高周波誘導コイルに高周波電流を印加するための高周波電流入力端子と、を備え、
前記高周波誘導コイルが動作したとき、磁束密度が最も高い部分である前記コイル芯部の所定形状中空領域は、前記切断すべき所定位置の各線条を内包、隣接するように 配設することを特徴とする高周波誘導加熱によるアンカー除去装置。
【請求項2】
前記高周波誘導コイルのインダクタンスLsと前記高周波電源装置に内蔵された調整用コンデンサーの直列容量Csとから定まる共振周波数f(1/2π(Ls・Cs)1/2)の高周波共振電流をその誘導コイルに流して、前記平面状コイルに挟み込まれた各線条の周方向に誘導される渦電流の2次誘導電流を最大にして線条方向に流れる熱量が少ない短時間内で、その線条の破断時間を最小にすることを特徴とする請求項1記載の高周波誘導加熱によるアンカー除去装置。
【請求項3】
合成樹脂シースで被覆されたアンボンドPC鋼撚線の埋設先端側にそのPC鋼撚線終端を圧着クリップで固定し、それに連結された複数箇所に設置された耐荷体を備え、それらの耐荷体を地盤の孔内に埋設し孔内に固結材を注入してアンカー定着部を形成し、PC鋼撚線の基端を地上側で緊張するアースアンカーとして用いた建設工事施工におけるPC鋼撚線の除去方法であって、
前記PC鋼撚線の各線条を前記耐荷体に確実に連結するため、各耐荷体の線条溝又は孔に所定の各線条を挿入する段階と、
前記線条を加熱切断するため、予め絶縁被覆された銅線を所定形状中空領域をコイル芯部として数ターン渦巻状に一層または複層に巻いて平面状コイルに成型形する段階と、
その平面状コイルを湾曲させ、各耐荷体付近の線条をの切断すべき所定位置を挟み込み高周波誘導コイルとしてセットする段階と、
地上側に設置された高周波電源装置から電力供給線を介して、各耐荷体近傍の前記高周波誘導コイルに高周波電流を印加する段階と、から少なくとも構成されることを特徴とする高周波誘導加熱によるアンカー除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−231831(P2008−231831A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74809(P2007−74809)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000235543)飛島建設株式会社 (132)
【Fターム(参考)】