説明

高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体

【課題】 部品点数が少なく組立コストを少なくする一体構造で、高周波誘導加熱コイルを防護して格納可能なスペースを備え、高周波誘導加熱効率が高く且つ電力供給線の切断事故を防止できる構成の高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体を提供する
【解決手段】 略円柱状の支圧体部11とその後方に延びる角柱状の摩擦棒部12とその後端部に外周が支圧体部11と同形の板状支圧体部13が鋳造で一体に形成された耐荷体本体10と、支圧体部11の先端に蓋ボルト15で連結される圧着グリップ蓋14と、支圧体部に格納された高周波誘導加熱コイル30とから構成し、支圧体部11には、一方の円周面から、中心軸の反対面の円周面に貫通する軸方向を長手とする長方形状のコイル格納角穴11bが形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波誘導加熱により引張り鋼材を切断して除去するアンカーに用いる耐荷体に関する。
【背景技術】
【0002】
施工後に土中から撤去する除去アンカーにおいて、耐荷体に圧着グリップで固定されたアンボンドPC鋼撚り線を、耐荷体の近傍位置で高周波誘導加熱により切断し、地上から容易に引き抜き可能として撤去する除去装置が特許文献1に開示されている。
【0003】
この除去装置に提案されている耐荷体は、支圧板と補助支圧板を間隔を開けて固定ボルトで連結組立て、その中を貫通するアンボンドPC鋼撚り線を囲曉するように高周波加熱コイルを配置し、更にその周囲をコイル防護管でカバーしていた。
【0004】
これらの従来の耐荷体方式では限られた空間内でボルトを使用して耐荷体本体を組み立てるため、強度確保が困難であった。又、摩擦棒が高周波誘導加熱コイルの中に配置されていることにより切断エネルギーのロスが生じていた。
【0005】
さらに摩擦棒が耐荷体の中心に配置されていることによりリード線の配置位置が制限されアンカー定着緊張時、一部グラウドが破壊・損傷され多段式耐荷体の移動事故が発生した場合、高周波誘導加熱コイルを直列につなぐリード線が固結グラウド中で切断される虞があった。
【0006】
また、高周波誘導加熱コイルの保護のため、鋼製コイル防護管の設置が必要となるなど、耐荷体の構成部品点数が多いことから、製作、組立のコストアップとなる問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開2008−88772号公報(第2、3頁、第7、9図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたもので、部品点数が少なく組立コストを少なくする一体構造で、高周波誘導加熱コイルを防護して格納可能なスペースを備え、高周波誘導加熱効率が高く且つ電力供給線の切断事故を防止できる構成の高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体は、高周波誘導加熱式除去アンカーに用いる耐荷体であって、
略円柱状の支圧体部とその後方に延びる角柱状の摩擦棒部とその後端部に外周径が支圧体部と同形の板状支圧体部が鋳造で一体に形成された耐荷体本体と、支圧体部の先端にボルトで連結される圧着グリップ蓋と、支圧体部に格納された高周波誘導加熱コイルと、から構成され、
前記円柱状の支圧体部には、一方の円周面から、中心軸の反対面の円周面に貫通する軸方向を長手とする長方形状のコイル格納角穴が形成され、該支圧体部の前後には、中心に穿設された配線孔と、中心軸から外周寄りにはアンボンドPC鋼撚り線の貫通孔が複数穿設され、それぞれコイル格納角穴内に開口するように設けられ、さらに支圧体部の円周面の軸方向にはアンカー先端部の他の耐荷体へ向かうアンボンドPC鋼撚り線を支持する複数のガイド溝が設けられ、
前記摩擦棒部及び板状支圧体部には、中心軸に並行に支圧体部まで貫通する配線孔が設けられ、
前記板状支圧体部の円周面の軸方向にはアンボンドPC鋼撚り線を支持する複数のガイド溝が設けられ、
また、前記圧着グリップ蓋は、複数の前記ボルトの貫通孔と、中心に穿設された配線孔と、中心軸から外周寄りには圧着グリップで保持されたアンボンドPC鋼撚り線を挿入する先端支持溝と、円周面の軸方向にはアンカー先端部の他の耐荷体へ向かうアンボンドPC鋼撚り線を支持する複数のガイド溝が設けられ、
前記コイル格納角穴内に高周波誘導加熱コイルが格納され、そのリード線が耐荷体本体との中心に設けられた配線孔を通じて延出されていることを特徴とする。
【0010】
また、前記耐荷体本体の支圧体部及び板状支圧体部のそれぞれの外周面には、軸方向に伸びるスリットを設け、アンカー定着部へのグラウド充填をスムーズにさせ、さらに支圧体部及び摩擦棒部のそれぞれの外周面には円周方向に延びるスリット又は鍔を設け、アンカー孔に注入されたグラウドとの摩擦抵抗を増加させることを特徴とする。
【0011】
また、アンカー体に複数nの耐荷体を配設する多段式アンカーの場合、前記高周波誘導加熱コイルを直列接続とし、第2または第n耐荷体の高周波誘導加熱コイルに接続された一方のリード線はコイル格納角穴内で軸方向にU字折として前方に延出させ、他方のリード線はZ字折に折り曲げて収納して前方に延出させ、耐荷体本体の配線孔挿入部のリード線には収納チューブを被せると共に収納チューブの端部を密閉シールし、アンカー定着緊張の際にアンカー体のグラウドが破損し複数nの耐荷体の間隔が軸方向に移動した場合、折り畳まれたリード線を伸長可能としていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体によれば、鋳造一体構造とされていることから、強度が確保されると共に、構成部品点数が少なく、コイル挿入、組み立てが容易となり低コストとなる。また、高周波誘導加熱コイルがコイル格納角穴内に格納されることからコイルの損傷が防護される。
【0013】
また、高周波誘導加熱コイル内を貫通するのは被加熱対象のPC鋼撚り線のみとなるため、加熱切断エネルギーのロス(従来の摩擦棒によるロス)がなく、短時間でPC鋼撚り線を切断することができる。
【0014】
コイル格納角穴にゆとり空間を有するため、高周波誘導加熱コイルのリード線を折畳み状態で収納可能となり、多段式アンカーに於ける定着緊張時の耐荷体移動が発生してもリード線切断事故を防止することができる。
【0015】
耐荷体本体が、支圧体部に加え板状支圧体部を有することからアンカー支圧抵抗力が高くなると共に、外周面に円周方向に延びるスリットが設けられていることによりグラウドとの摩擦抵抗を大きくさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体の平面図である。
【0017】
高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体100は、略円柱状の支圧体部11とその後方に延びる角柱状の摩擦棒部12とその後端部に外周径が支圧体部11と同形の板状支圧体部13が鋳造で一体に形成された耐荷体本体10と、支圧体部11の先端に蓋ボルト15で連結される圧着グリップ蓋14と、支圧体部に格納された高周波誘導加熱コイル30と、から構成される。
【0018】
前記円柱状の支圧体部11には、一方の円周面から、中心軸の反対面の円周面に貫通する軸方向を長手とする長方形状のコイル格納角穴11bが形成され、該支圧体部11の前後には、中心に穿設された配線孔11eと、中心軸から外周寄りにアンボンドPC鋼撚り線(図示せず)の貫通孔11aが複数穿設され、それぞれコイル格納角穴11b内に開口するように設けられている。
【0019】
さらに支圧体部11の円周面の軸方向にはアンカー先端部の他の耐荷体へ向かうアンボンドPC鋼撚り線を支持する複数のガイド溝11cが設けられている。この実施の形態では、円周面の左右に180度間隔で2本のガイド溝11cが設けられている。
【0020】
前記摩擦棒部12及び板状支圧体部13には、中心軸に並行に支圧体部まで貫通する配線孔12a、13aが設けられている。この実施の形態では摩擦棒部12は角棒状としているが丸棒としても良い。
【0021】
前記板状支圧体部13の円周面の軸方向にはアンボンドPC鋼撚り線を支持する複数のガイド溝13cが設けられる。この実施の形態では、円周面に90度間隔で4本のガイド溝13cが設けられ、中心には配線孔13aが穿孔されている。
【0022】
前記圧着グリップ蓋14は、蓋ボルト15を通すボルト孔14dと、中心に穿設された配線孔14cと、中心軸から外周寄りには圧着グリップで保持されたアンボンドPC鋼撚り線を挿入する先端支持溝14aが形成されている。
【0023】
また、圧着グリップ蓋14の円周面の軸方向には、アンカー先端部の他の耐荷体へ向かうアンボンドPC鋼撚り線を支持する複数のガイド溝14bが設けられている。この実施の形態では、180度間隔で2本のガイド溝14bが設けられている。なお、多段式アンカーの先頭にある第1耐荷体とする場合は、このガイド溝14bは使用されない。
【0024】
支圧体部11に形成されたコイル格納角穴11b内には、高周波誘導加熱コイル30が格納され、そのリード線(電力供給線)32は耐荷体本体10の中心に設けられた配線孔11e、12a、13aを挿通して延出される。
【0025】
次に耐荷体本体10の断面形状を図2を参照して説明する。図2は図1に示す高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体100の断面で、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図、(c)はC−C断面図、(d)はD−D断面図、(e)はE−E断面図である。
【0026】
図2(a)は支圧体部11の先頭部分で、圧着グリップ蓋14を固定する蓋ボルト15の取付けのためのネジ孔11dが外周近傍に4箇所穿孔され、中心にはリード線32が通される配線孔11eが穿孔されている。中心軸から上下に離れた場所にPC鋼撚り線(図示せず)の貫通孔11a、11aが穿孔されている。(PC鋼撚り線が貫通している状態は図4参照)
また、外周部の左右にはガイド溝11cが形成されている。
【0027】
図2(b)は、支圧体部11に形成されたコイル格納角穴11bにより支圧体部11が両脇柱形態となっている部分であり、コイル格納角穴11bに高周波誘導加熱コイル30が格納されている。高周波誘導加熱コイル30のリード線32は、中央で折りたたまれて格納されている。
【0028】
両脇柱形態の外周にはそれぞれガイド溝11cが形成されている。格納された高周波誘導加熱コイル30の断面は小判形に形成され、内部上下に2本のPC鋼撚り線が貫通する空間を有している。(PC鋼撚り線が貫通している状態は図4参照)
【0029】
図2(c)は、支圧体部11の後端部分で、中心には配線孔11eが穿孔され、リード線32が通されている。中心軸から上下に離れた場所にPC鋼撚り線(図示せず)の貫通孔11a、11aが穿孔されている。(PC鋼撚り線が貫通している状態は図4参照)
また、外周部の左右にはガイド溝11cが形成されている。
【0030】
図2(d)は摩擦棒部12の部分で、中心に配線孔12aが穿孔され、リード線32が通されている。
【0031】
図2(e)は耐荷体本体10の最後端に形成された板状支圧体部13の部分で、中心には配線孔13aが穿孔され、外周には90度間隔でPC鋼撚り線のガイド溝13cが4箇所形成されている。図においてガイド溝13cのうち上下の2個は図2(c)の貫通孔11aに挿通され高周波誘導加熱コイル30に導かれるように深く形成されている。
【0032】
次に、耐荷体本体10の外周に設けたスリットについて説明する。図3は耐荷体本体の表面形状を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【0033】
図3(a)、(b)に示すように、前記耐荷体本体10の支圧体部11及び板状支圧体部13のそれぞれの外周面には、軸方向に伸びるスリット11g及びスリット13gを設け、注入されたグラウドがアンカー孔底まで流れ込む際の流動抵抗を軽減させ、アンカー孔へのグラウド充填に隙間発生を防止する。
【0034】
さらに支圧体部11及び摩擦棒部12のそれぞれの外周面には円周方向に延びるスリット11f、鍔12fを設け、アンカー孔に注入されたグラウドが固化した際の摩擦抵抗を増加させる。
【0035】
図4は、本発明の高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体を用いた実施例を示し、(a)は正面断面図、(b)〜(e)は(a)の各部断面矢視図である。
【0036】
図4では、多段式アンカーの第2段目の耐荷体を示し、PC鋼撚り線20を高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体100に圧着グリップ16で固定して装着させた状態を示す。
【0037】
図4(a)に示すように、PC鋼撚り線20は、板状支圧体部13のガイド溝13cを通し、支圧体部11の後端の貫通孔11aを挿通させ、コイル格納角穴11bで、高周波誘導加熱コイル30内を貫通し、支圧体部11の先端の貫通孔11aを挿通させ圧着グリップ16で支圧体部11から抜けないように固定され、圧着グリップ蓋14が圧着グリップ16の先端に被せられ、蓋ボルト15で支圧体部11に固定される。
【0038】
PC鋼撚り線20は、耐荷体側の端部に圧着グリップ16が装着されたアンボンドタイプのものを用いる。
【0039】
図4において、多段式アンカーの耐荷体に格納される高周波誘導加熱コイル30は直列接続として電力を供給しているが、並列接続としてもよい。高周波誘導加熱コイルに接続された一方のリード線32は、コイル格納角穴11b内で軸方向にU字折32bとして前方に延出させ、他方のリード線はZ字折32aに折り曲げて収納して前方に延出させ、アンカー定着緊張の際にアンカー体のグラウドが破損し前後の耐荷体の間隔が軸方向に移動した場合、折り畳まれたリード線を伸長可能として切断事故を防止している。
【0040】
なお、この実施の形態では、高周波誘導加熱コイル30の外周面のコイル格納角穴11bを保護アルミカバー31で被覆している。
【0041】
図4(b)は(a)の左側面図で圧着グリップ蓋14を矢視した状態を示す。この図に示すように、ガイド溝14bには先端の耐荷体に向かうPC鋼撚り線20が通されている。
【0042】
図4(c)は(a)のA−A矢視断面図で、PC鋼撚り線20が圧着グリップ16でグリップされて支圧体部11から抜けないように固定されている。配線孔11eにはリード線32が通されている。
【0043】
図4(d)は(a)のB−B断面矢視図で、高周波誘導加熱コイル30の内部に上下2本のPC鋼撚り線20が貫通している。また、高周波誘導加熱コイル30の中心空隙には、2本のリード線32のコイルに接続された一方はU字折に、他方の先頭の耐荷体に向かうリード線はZ字折りに格納されている。
【0044】
図4(e)は(a)のC−C断面矢視図で、角材状の摩擦棒部12の中心の配線孔12aにリード線32が通され、板状支圧体部13の外周に設けられた4箇所のガイド溝13cにはPC鋼撚り線20が通されている、
【0045】
図5は、本発明の高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体に装着される高周波誘導加熱コイル及びそのリード線の装着状態の詳細を示す模式図である。
【0046】
第1段耐荷体は直列に接続された高周波誘導加熱コイル30が終端であるため、リード線はコイルの両端に接続されている。リード線32そのものはリード線収納チューブ34で被覆し、配線孔11eの入り口部分及びチューブからの出口部分をパテなどのシール材35でシールして、グラウドが内部に流れ込んで固化されるのを防止する。
【0047】
第2段耐荷体では、第1段耐荷体に伸びるリード線32もリード線収納チューブ34で被覆し、チューブの前後をパテなどのシール材35でシールする。
【0048】
図6は、高周波誘導加熱式除去アンカーの施工状態を示す模式図である。図6を参照して本発明の高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体を用いた除去アンカーの施工手順を説明する。
【0049】
先ず、アンカーを設置する施工面から地中に任意の角度のアンカー孔1を削孔する。次に本発明の第1段目及び第2段目の高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体100にPC鋼撚り線20を貫通させそれぞれの耐荷体に圧着グリップ16で装着し、それぞれの高周波誘導加熱コイル30のリード線32を直列接続し、所定のアンカー長N1のアンカーを組み立てる。
【0050】
アンカー長N1が長い場合、PC鋼撚り線20の要所にスペーサ36を挟み込み撚れを防止する。
【0051】
削孔したアンカー孔1に組み立てられたアンカーを建て込み、地表からアンカー孔1にグラウトを注入しアンカー孔1内を固化させる。このとき、高周波誘導加熱コイル30のリード線32の終端は地上まで延ばされた状態にされている。
【0052】
次に、地表に台座40を設け、PC鋼撚り線20を緊張し、アンカープレート41を介してアンカーヘッド42で定着し、掘削工事を進める。
【0053】
掘削及びそれに伴う建設工事終了後、高周波発生装置50を設置し、除去するアンカーの地上に延ばされたリード線32を高周波発生装置50に接続し、高周波誘導加熱コイルに高周波電流を印加し、PC鋼撚り線20を加熱切断する。
【0054】
切断されたPC鋼撚り線20は、地上から容易に引抜くことで地中から除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体の平面図である。
【図2】図1に示すの高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体の断面図で、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図、(c)はC−C断面図、(d)はD−D断面図、(e)はE−E断面図である。
【図3】耐荷体本体の表面形状を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図4】本発明の高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体を用いた実施例を示し、(a)は正面断面図、(b)〜(e)は(a)の各部断面矢視図である。
【図5】本発明の高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体に装着される高周波誘導加熱コイル及びそのリード線の装着状態の詳細を示す模式図である。
【図6】高周波誘導加熱式除去アンカーの施工状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0056】
1 アンカー孔
10 耐荷体本体
11 支圧体部
11a 貫通孔
11b コイル格納角穴
11c ガイド溝
11d ネジ孔
11e 配線孔
11f スリット
11g スリット
12 摩擦棒部
12a 配線孔
12f 鍔
13 板状支圧体部
13a 配線孔
13c ガイド溝
13g スリット
14 圧着グリップ蓋
14a 先端支持溝
14b ガイド溝
14c 配線孔
14d ボルト孔
15 蓋ボルト
16 圧着グリップ
20 PC鋼撚り線
30 高周波誘導加熱コイル
31 保護アルミカバー
32 リード線(電力供給線)
32a Z字折
32b U字折
34 リード線収納チューブ
35 シール材
36 スペーサ
40 台座
41 アンカープレート
42 アンカーヘッド
50 高周波発生装置
N1 アンカー長
N2 アンカー体長
N3 先端長
N4 余掘
N5 自由長
N6 余長
100 高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波誘導加熱式除去アンカーに用いる耐荷体であって、
略円柱状の支圧体部とその後方に延びる角柱状の摩擦棒部とその後端部に外周径が支圧体部と同形の板状支圧体部が鋳造で一体に形成された耐荷体本体と、支圧体部の先端にボルトで連結される圧着グリップ蓋と、支圧体部に格納された高周波誘導加熱コイルと、から構成され、
前記円柱状の支圧体部には、一方の円周面から、中心軸の反対面の円周面に貫通する軸方向を長手とする長方形状のコイル格納角穴が形成され、該支圧体部の前後には、中心に穿設された配線孔と、中心軸から外周寄りにアンボンドPC鋼撚り線の貫通孔が複数穿設され、それぞれコイル格納角穴内に開口するように設けられ、さらに支圧体部の円周面の軸方向にはアンカー先端部の他の耐荷体へ向かうアンボンドPC鋼撚り線を支持する複数のガイド溝が設けられ、
前記摩擦棒部及び板状支圧体部には、中心軸に並行に支圧体部まで貫通する配線孔が設けられ、
前記板状支圧体部の円周面の軸方向にはアンボンドPC鋼撚り線を支持する複数のガイド溝が設けられ、
また、前記圧着グリップ蓋は、複数の前記ボルトの貫通孔と、中心に穿設された配線孔と、中心軸から外周寄りには圧着グリップで保持されたアンボンドPC鋼撚り線を挿入する先端支持溝と、円周面の軸方向にはアンカー先端部の他の耐荷体へ向かうアンボンドPC鋼撚り線を支持する複数のガイド溝が設けられ、
前記コイル格納角穴内に高周波誘導加熱コイルが格納され、そのリード線が耐荷体本体との中心に設けられた配線孔を通じて延出されていることを特徴とする高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体。
【請求項2】
前記耐荷体本体の支圧体部及び板状支圧体部のそれぞれの外周面には、軸方向に伸びるスリットを設け、アンカー定着部へのグラウド充填をスムーズにさせ、さらに支圧体部及び摩擦棒部のそれぞれの外周面には円周方向に延びるスリット又は鍔を設け、アンカー孔に注入されたグラウドとの摩擦抵抗を増加させることを特徴とする請求項1記載の高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体。
【請求項3】
アンカー体に複数nの耐荷体を配設する多段式アンカーの場合、前記高周波誘導加熱コイルを直列接続とし、第2または第n耐荷体の高周波誘導加熱コイルに接続された一方のリード線はコイル格納角穴内で軸方向にU字折として前方に延出させ、他方のリード線はZ字折に折り曲げて収納して前方に延出させ、耐荷体本体の配線孔挿入部のリード線には収納チューブを被せると共に収納チューブの端部を密閉シールし、アンカー定着緊張の際にアンカー体のグラウドが破損し複数nの耐荷体の間隔が軸方向に移動した場合、折り畳まれたリード線を伸長可能としていることを特徴とする請求項1記載の高周波誘導加熱式除去アンカー用耐荷体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−95919(P2010−95919A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268080(P2008−268080)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(000235543)飛島建設株式会社 (132)
【出願人】(000230788)日本基礎技術株式会社 (15)
【Fターム(参考)】