説明

高圧放電ランプ

高圧放電ランプはセラミック製放電容器を有し、該放電容器は外部容器内に収容されており、2つの電極が電極システムによって前記放電容器の孔形状の開口部から導出されている。前記電極システムは複数部分からなり、タングステン製の電極の他に導入線を含み、該導入線は少なくとも3つの部分、すなわち前記開口部の中に完全に収容されたMoからなる、巻線(5b)を含む第1部分(5)と、同じく前記開口部の中に完全に収容されたニオブからなる第2部分(6)と、コアピン(8a)および外部の巻線(8b)からなる第3部分(8)から形成されており、ガラスはんだが前記ニオブピンを完全に被覆しており、前記ガラスはんだは前記第1部分および前記第3部分も部分的に被覆している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、請求項1の上位概念に記載されている高圧放電ランプに関する。
【0002】
背景技術
DE202006016189Uから以下のような高圧放電ランプ、すなわちセラミック製放電容器が直接空気中で動作される高圧放電ランプ、ないしはセラミック製放電容器がガス密に密閉されていない外部容器の中に収容されている高圧放電ランプが公知である。
【0003】
発明の開示
本発明の課題は、セラミック製放電容器を備える高圧放電ランプを、空気中で、とりわけ開放されているかまたはガス密に封止されていない外部容器内で動作し、かつこの際の寿命を改善することである。
【0004】
この課題は請求項1の特徴部分に記載されている構成によって解決される。
【0005】
特に有利な実施形態は従属請求項に示されている。
【0006】
本発明によれば、とりわけ高圧放電ランプのセラミック製バーナーを、空気が充填された外管、またはリフレクタのような必ずしもガス密に封止する必要のない他の外部容器において動作させることが可能となる。
【0007】
放電容器の電極システムは、通常はタングステンからなる電極、および、3つの部分からなる導入線、すなわち巻線を備えたモリブデンピンと、深く挿入されたニオブピンと、付加的に耐腐食性の末端部分、つまり巻線を備えたモリブデンピンとからなる導入線から構成されている。
【0008】
この3つの部分からなる導入線は、セラミック製放電容器を空気中において特に確実に動作させるために使用される。ニオブピンは空気中における腐食から保護しなければならない。したがってこのニオブピンは、封止区間を長くするために毛管の中により深く挿入される。というのは、通常のガラスはんだは非常に多孔性かつ気泡性であるので、封止区間があまりに短く選択されている場合には動作するうちに空気がニオブピンまで拡散することが判明しているからである。
【0009】
バーナーを封止するために使用されるガラスはんだは、この際同時に、導入線のうち耐腐食性でない中間部分、例えばニオブピンまたはEP587238に類似の材料を保護するためにも使用される。ガラスはんだがこのピンの周囲を完全に被覆するというだけでは充分ではなく、匹敵する寿命を保証するためには外縁部まで充分な封止区間が必要である。
【0010】
長寿命を保証するための別の特徴は、耐腐食性の末端部分がモリブデンピンであってはならないことである。なぜならモリブデンピンは応力を充分に低下させることができないので、ガラスはんだにおいてひび割れが生じる可能性があり、このひび割れが寿命を制限してしまうからである。その代わりに末端部分として、コアピンを備える巻線を使用する必要がある。有利にはこの巻線の寸法は、前方の巻線と同様に設定することができる。この末端部分ないし末端部分のコアピンは、バーナーを、電流供給部、または放電容器の外のランプフレームとコンタクトするために使用することができる。しかしこれらの間に接続部分を接続することもできる。
【0011】
より詳細には本発明は、セラミック製放電容器を備える高圧放電ランプに関し、この高圧放電ランプにおいては、電極は、導入線システムによって毛管を介して前記放電容器から導出されている。前記導入線システムは少なくとも3つの部分からなり、すなわち前方の導入線部分および中間の導入線部分から構成されており、前記前方の導入線部分は、耐腐食性であり、かつ毛管内に完全に収容されており、前記中間の導入線部分は、非耐腐食性であり、かつ同様に毛管内に完全に収容されており、ここに後方の耐腐食性の末端部分が後続しており、該末端部分は、コアピンと該コアピンの上に被せられた巻線とからなり、ここでガラスはんだが、前記第3の導入線部分の一部から耐腐食性の末端部分まで被覆しており、この際前記中間の導入線部分を完全に被覆しており、該中間の導入線部分は、毛管の中に少なくとも0.1mmの深さまで挿入されている。
【0012】
有利には、前記前方の導入線部分は、前記中間の導入線部分に向いた少なくとも1つの区域を有し、該区域は、Moコアピンと該Moコアピンの上に被せられたMo製の巻線とから形成されている。なぜならこのようにすると、放電容積に至るまでの密閉性が最も良好に保証されるからである。
【0013】
有利には、前記後方の導入線部分は、前記中間の導入線部分に向いた少なくとも1つの区域を有し、該区域は、Moコアピンと該Moコアピンの上に被せられたMo製の巻線とから形成されている。
【0014】
とりわけ放電容器は外部容器内に収容されている。有利には、前記外部容器は外管またはリフレクタ部分である。
【0015】
有利には、前記中間の導入線部分はニオブから製造されている。この中間の導入線部分は、主として溶融領域における軸方向ないし半径方向の力を緩和するために使用され、有利には0.5〜3mmの長さを有する。ギャップ幅は、中間の導入線部分の領域において約25〜45μmにあるべきである。
【0016】
有利には、前方の導入線部分は完全にモリブデンから製造されている。これは例えばコアピンと巻線の一貫したシステムの形態で、あるいは前方でこれに取り付けられたMoピンの形態で達成される。ギャップ幅はこの巻線において充分に大きくすべきであり、例えば40〜80μmであるべきである。
【0017】
セラミック製放電容器は、有利にはAl、例えばPCAまたはサファイアまたはAlNからも形成されている。セラミック製放電容器は一方の側または両側で封止されている。
【0018】
ガラスはんだとして、例えばAl、SiOおよびDyの混合物のような通常のガラスはんだを使用することができる。詳細な説明は例えばEP−A587238を参照されたい。
【0019】
電極システムの固定は公知の形態で行われ、本発明にとってはできるだけ省スペースであるべきだという程度の重要性しかない。この際、圧潰(Quetschung)またはきさげ仕上げ(Schabung)としての解決方法を使用すると有利であるが、突合わせ溶接(Stoppschweissung)や、導入線に対して横方向に溶接されるワイヤ等もまた基本的に可能である。
【0020】
この新しい封止原理は10W〜400Wのワット数において使用することができる。なぜならセラミック製放電容器の毛管における電圧供給のために、少なくとも0.3mmの毛管内径からニオブワイヤが必須だからである。しかしながらニオブは空気から充分に保護する必要がある。空気からの遮断を保証するために、導入線の第3部分への溶接点を毛管の中へ少なくとも0.1mm深く挿入することが重要である。有利には、ニオブピンの端部点の深さは0.3〜2mmである。
【0021】
図面の簡単な説明
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、両側で封止されているセラミック製放電容器を示す図である。
【図2】図2は、セラミック製放電容器の端部における導入線領域の詳細図である。
【図3】図3は、一方の側で封止されているセラミック製放電容器を示す図である。
【図4】図4は、一方の側で封止されているセラミック製放電容器を示す図である。
【図5】図5は、外管を備えるランプを示す図である。
【図6】図6は、セラミック製放電容器の端部領域における導入線の別の実施例を示す図である。
【0023】
発明の有利な実施形態
図1は70W用の放電容器1の概略図を示す。この放電容器はAlから製造されており、空気中において直接動作させることができる。このために必要なソケットは図示されていない。放電容器1は、胴の膨らんだ形状またはシリンダ形状の放電容積2と、長く引き延ばされた2つの端部を有しており、これらの端部は毛管3として形成されている。毛管3の中にはそれぞれ1つの電極システムが密封されている(図2参照)。電極システムは、タングステン製の電極4と、導入線14と、外部リード線7とから構成されている。
【0024】
図2は導入線14の構成を示す。導入線14は、ここでは3つの部分から、すなわち前方の導入線部分5、つまりモリブデンコアピン5aと巻線5bからなるシステム、および、中間の導入線部分、ここではニオブピン6、および、耐腐食性の末端部分8、ここではモリブデンコアピン8aとMo巻線8bとからなるシステム、から構成されている。これら3つの部分5,6,8はそれぞれ互いに接続されており、とりわけ例えば互いに突合せ溶接されている。前記末端部分は、少なくともガラスはんだ付近において、そして有利には、オーバーラップを保証するためにガラスはんだによって被覆されている領域を含め、Mo巻線の少なくとも50%の長さにわたって、有利には耐熱性のペーストによって被覆されており、したがってMo巻線は付加的に空気から隔離されている。ペーストとして、セラミック−金属の粉末混合物、例えばKager GmbH社のクオーツコートが適当である。
【0025】
ニオブピン6は毛管3の中に完全に挿入されるように取り付けられている。この際ニオブピンは、有利には毛管の中へと少なくとも0.1mm深くまで着座するべきである。挿入深さETの典型的な値は、0.6mmである。この挿入深さを2mmより長くとる必要はない。導入線部分の典型的な外径は、0.7mmである。ニオブピンの長さは典型的には2mmである。導入線の第3部分、すなわち末端部分8は、典型的な外径が0.4mmであるMoコアピン8aであり、該コアピンの上には、該コアピン8aの全長にわたって、ワイヤ直径0.14mmのMoワイヤからなる巻線8bが設けられている。コアピン8aはニオブピン6と溶接されている。
【0026】
別の実施形態(図6参照)においては、導入線の第3部分の巻線18bが、導入線の第3部分のコアピン18aの一部分だけにわたって伸長することも可能である。とりわけ巻線18bは、図示したように、ガラスはんだによって被覆されている長さだけである。
【0027】
毛管の端部においては、外部の巻線の一部分、有利には少なくとも0.6mm、特に有利には少なくとも1.5mm、典型的には2〜3mmが被覆される量のガラスはんだが設けられている。さらにニオブピン6はガラスはんだ10によって周囲を完全に被覆されており、かつその上、前方の巻線5bは、放電容積内の攻撃性充填物に対して密封するために充分な長さにわたって、少なくとも0.6mmの部分区間にわたって、典型的には約1〜2mmの値で、ガラスはんだ10によって被覆されている。
【0028】
詳細には、70Wランプの場合には前方の導入線部分の長さは約9mmである。毛管の内径は800μmであり、第1導入線部分の外径は680μmである。第1導入線部分は、直径0.4mmのMoコアピンと直径0.14mmのワイヤからなるMo巻線とから形成されている。第1導入線部分として、場合によっては複数部分から形成される別のシステムを使用することもでき、例えばMoピン18を前方部分として使用することができる。ここで重要なのは、ニオブピン6付近の封止領域においてコアピンおよびMo巻線からなる充分な長さのシステムを使用するということだけである。
【0029】
付加的な被覆を備えていない100Wランプの場合、寿命は空気中において少なくとも7000時間である。
【0030】
端部ピンおよびMo巻線8a、8bがサーメットピンに置き換わる場合、付加的な被覆は基本的に必要ない。
【0031】
図3は、一方の側で封止されたセラミック製放電容器12の別の実施例を示す。ここでも図2と同様の複数部分からなる導入線14が使用される。これらの導入線は2つの毛管3に配置されており、これらの毛管は互いに平行に放電容器の端部から突出している。導入線は3つの部分5および6から構成されている。電極システムは、電極4とリード線7によって完全なものとなる。
【0032】
図4は、管球容器22とねじソケット12とを備えるメタルハライドランプ20を示す。ここではPCAからなる放電容器1は外管21内に収容されている。外管21には空気が充填されている。導入線14は図2と同様であるが、ここでは概略的にしか図示しない。このようなランプのための典型的な充填物は、EP587238に記載されている。
【0033】
図5は、ねじソケット12を備えるリフレクタランプ25を示す。ここではセラミック製放電容器1は、メタルハライド充填物と、ここでは概略的にしか図示されていない図2と同様の導入線とを含み、管球容器としてのリフレクタ26の中に収容されている。ランプは空気中で動作される。したがってリフレクタをガス密に封止する必要はないので、リフレクタの出口開口27におけるカバーディスクを省略することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック製放電容器を備える高圧放電ランプであって、
電極がそれぞれ導入線システムによって毛管を介して前記放電容器から導出されている
形式の高圧放電ランプにおいて、
前記導入線システムは少なくとも3つの部分からなり、
すなわち第1の放電に関して前方の導入線部分および第2の中間の導入線部分から構成されており、
前記第1の前方の導入線部分は耐腐食性であり、かつ毛管内に完全に収容されており、
前記第2の中間の導入線部分は非耐腐食性であり、かつ同様に毛管内に完全に収容されており、
ここに耐腐食性の第3の後方の導入線部分が後続しており、
該第3の後方の導入線部分は、コアピンと該コアピンの上に被せられた巻線とからなるか、またはサーメットピンからなり、
ガラスはんだが前記第1の導入線部分の一部分から前記第3の導入線部分の一部分まで被覆し、したがって前記ガラスはんだは前記第2の中間の導入線部分を完全に被覆し、
前記第2の中間の導入線部分は前記毛管の中に少なくとも0.1mmの深さまで埋没されて挿入されている、
ことを特徴とする高圧放電ランプ。
【請求項2】
前記前方の導入線部分は、前記中間の導入線部分に向いた少なくとも1つの区域を有し、
該区域は、Moコアピンと該Moコアピンの上に被せられたMo製の巻線とから形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項3】
前記後方の導入線部分は、前記中間の導入線部分に向いた少なくとも1つの区域を有し、
該区域は、Moコアピンと該Moコアピンの上に被せられたMo製の巻線とから形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項4】
前記放電容器は外部容器内に収容されており、有利には前記外部容器は外管またはリフレクタ部分である、
ことを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項5】
前記中間の導入線部分は、ニオブまたはニオブに類似した材料から形成されており、有利には0.5〜3mmの長さを有する、
ことを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項6】
前記後方の導入線部分は、該後方の導入線部分の長さの一部にわたって、とりわけ前記ガラスはんだによって被覆されている部分領域において、ペーストによって被覆されている、
ことを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
【請求項7】
前記前方の導入線部分は完全にモリブデンから製造されている、
ことを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−528443(P2010−528443A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509811(P2010−509811)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056522
【国際公開番号】WO2008/145665
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(504458493)オスラム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (168)
【氏名又は名称原語表記】Osram Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Hellabrunner Strasse 1, D−81543 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】