説明

高圧/低酸素チャンバシステム

【課題】高圧チャンバが主として非剛性材料で作られているポータブル高圧チャンバシステムを提供することにある。
【解決手段】使用者を収容できるサイズをもつ管状本体(21)を有する高圧/低酸素治療用ポータブルチャンバ(12)。管状本体(21)は非剛性材料で作られている。管状本体(21)の両端部には、管状本体を閉じるための端フレーム(23、24)が固定される。一方の端フレーム(24)は、管状本体(21)の内部へのアクセスおよびアクセスの遮断を行うべく端フレーム(24)の残部(24A)から変位可能なドア(24B)を備えている。管状本体(21)を両端フレーム(23、24)間でぴんと張られた状態に維持すべく、長手方向ビーム部材(22、25)の両端部が両端フレーム(23、24)に連結されている。これにより、ポータブルチャンバ(12)は、圧力発生器(14)に流体連通していて該圧力発生器(14)からの空気供給を受入れ、高圧治療を行うために管状本体(21)の内部の圧力を増大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、高圧チャンバシステムおよび低酸素チャンバシステムに関し、より詳しくは、ポータブルにすべく、高圧チャンバが主として非剛性材料で作られている高圧チャンバシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
高圧チャンバシステムは良く知られておりかつ医療およびスポーツ業界で使用されている。本質的に、高圧チャンバを使用する人は、比較的高い圧力が加えられる高圧治療を受ける。高圧治療にも種々あるが、筋肉回復の向上、酸素吸入の増大等が知られている。低酸素チャンバ内では、これを使用する人は、高地を模擬化すべく低酸素含有状態を受ける。低酸素治療にも種々あるが、赤血球細胞の生成を刺激することが知られている。
標準の高圧チャンバは、圧力差に耐えることができる剛性材料で作られている。したがって、高圧治療は一般的に利用できるものではなく、しばしば、エリートレベルのアスリートおよび選択された患者に限定されている。
【0003】
したがって、より利用し易いポータブル高圧チャンバシステムが作られている。しかしながら、提案されているポータブルシステムは、一般に頑丈でなく、従って耐久性がない。また、高圧チャンバは、しばしば、高圧治療に制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の目的は、新規な高圧チャンバシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、第一実施形態によれば、少なくとも1人の使用者を収容できるサイズをもつ管状本体を有し、該管状本体は非剛性材料で作られており、管状本体を閉じるべく管状本体の両端部に固定される端フレームを有し、少なくとも一方の前記端フレームは、管状本体の内部へのアクセスおよびアクセスの遮断を行うべく端フレームの残部から変位可能なドアを備え、管状本体を両端フレーム間でぴんと張られた状態に維持すべく、両端部が両端フレームに連結された少なくとも1つの長手方向ビーム部材を更に有し、圧力発生器に流体連通していて圧力発生器からの空気供給を受入れ、高圧治療を行うために管状本体の内部の圧力を増大する構成の高圧治療用ポータブルチャンバが提供される。
【0006】
更に第一実施形態によれば、ポータブルチャンバは2つの長手方向ビーム部材を有し、各長手方向ビーム部材は、管状本体がぴんと張られた状態になる伸長位置まで伸長可能である。
【0007】
また第一実施形態によれば、ポータブルチャンバは、少なくとも1つの長手方向ビーム部材を伸長位置にロックするロッキング機構を更に有している。
更に第一実施形態によれば、少なくとも1つの長手方向ビーム部材が、搬送時に端フレームから分離できる。
更に第一実施形態によれば、管状本体は截頭円錐状の幾何学的形状を有し、大きい方の端フレームにはドアが設けられている。
【0008】
また第一実施形態によれば、搬送時に、一方の端フレームが他方の端フレーム内に入れ子式に収められる。
また第一実施形態によれば、管状本体は円筒状の幾何学的形状を有し、各端フレームにドアが設けられている。
【0009】
更に第一実施形態によれば、管状本体を地上に支持するための支持フレームを更に有している。
更に第一実施形態によれば、支持フレームは、搬送用ケースを形成すべく連結される1対のシェルを有している。
また第一実施形態によれば、支持フレームは、高圧治療のためにチャンバに空気の供給を行う圧力発生器を収容している。
【0010】
また第一実施形態によれば、少なくとも1つの端フレームは、管状本体の開端部の周囲をサンドイッチするリング状本体を有し、該リング状本体により前記ドアが周方向に支持される。
更に第一実施形態によれば、ドアは、窓を形成する透明パネルを有している。
更に第一実施形態によれば、管状本体内で両端フレーム間に延びている手すりを更に有している。
【0011】
第二実施形態によれば、圧力発生器と、使用者を収容できるサイズをもつポータブルチャンバとを有し、該チャンバは圧力発生器に流体連通していて圧力発生器からの空気供給を受入れ、高圧治療を行うためにチャンバ内の圧力を増大し、選択された窒素/酸素比で空気を出力する低酸素発生器を更に有し、該低酸素発生器はチャンバに流体連通していて、低酸素治療を行うためにチャンバ内の酸素含有量を調節する構成の高圧チャンバシステムが提供される。
【0012】
また第二実施形態によれば、搬送時に、折畳まれた状態のポータブルチャンバを収容するケースを更に有し、該ケースは、圧力発生器と、低酸素発生器と、高圧/低酸素治療時のチャンバ内の状態を制御する制御システムとを収容している。
また第二実施形態によれば、酸素リッチ空気を出力する酸素供給源を更に有し、該酸素供給源は、チャンバに流体連通していて、チャンバ内に酸素を供給する。
更に第二実施形態によれば、高圧チャンバシステムはチャンバ内のマスクを更に有し、該マスクは酸素供給源に流体連通していて、チャンバの使用者に酸素を直接供給する。
【0013】
更に第二実施形態によれば、チャンバは、1対の端フレームの間に非剛性の管状本体を有し、高圧/低酸素治療時にチャンバ内の状態を制御する圧力発生器、低酸素発生器および制御システムの全部が、チャンバの内部に流体連通するように端フレームに連結されている。
【0014】
第三実施形態によれば、使用者を収容できるサイズをもつポータブルチャンバを有し、該チャンバは圧力発生器に流体連通していて圧力発生器からの空気供給を受入れ、高圧治療を行うためにチャンバ内の圧力を増大し、ポータブルチャンバは、折畳み可能な構造によりぴんと張られた状態に維持される非剛性管状本体からなり、前記管状本体を地上に支持するための支持フレームを更に有し、該支持フレームは、搬送のために折畳み状態にあるポータブルチャンバを収容するケースを形成すべく連結される1対のシェルを備えている構成の高圧チャンバシステムが提供される。
【0015】
また第三実施形態によれば、支持フレームは、圧力発生器と、高圧/低酸素治療時のチャンバ内の状態を制御する制御システムとを収容している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の好ましい第一実施形態による高圧/低酸素チャンバシステムを示す斜視図である。
【図2】図1の高圧/低酸素チャンバシステムを示す側面図である。
【図3】図1の高圧/低酸素チャンバシステムを示す正面図である。
【図4】図1の高圧/低酸素チャンバシステムのドア組立体を示す断面図である。
【図5】図4のドア組立体の2部品分解図である。
【図6】図4のドア組立体の多部品分解図である。
【図7】本発明の好ましい第二実施形態による高圧/低酸素チャンバシステムを示す斜視図である。
【図8】本発明の高圧/低酸素チャンバシステムの空気圧システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで添付図面、特に図1−図6を参照すると、好ましい実施形態による高圧/低酸素チャンバシステムの全体が参照番号10で示されている。図8に示すように、高圧/低酸素チャンバシステム10は、高圧/低酸素チャンバ12、並びに該チャンバ12の外部の大気状態に対するチャンバ12内の空気の状態を調整するための種々の空気/酸素供給源を有している。種々の供給源として、圧力発生器14と、低酸素発生器15と、酸素供給源16とを有している。
【0018】
チャンバ12は、高圧/低酸素治療を受けようとする使用者を収容する。
圧力発生器14はチャンバ12に流体連通しており、使用者の所望の治療に従って、チャンバ12に加圧空気を供給する。
低酸素発生器15はチャンバ12に流体連通しており、低酸素治療のための、大気の酸素/窒素比より小さい選択された酸素/窒素比をチャンバ12に供給する。
酸素供給源16は、チャンバ12に流体連通、より好ましくは、例えば低酸素治療中の使用者に酸素リッチ空気を供給すべく、チャンバ12の使用者が使用するマスクに流体連通している。
【0019】
図1の実施形態では、チャンバ12は、大きい方の端部すなわち使用者の上半身および頭を収容する近位側の端部を備えたほぼ截頭円錐状の形状を有している。小さい方の端部すなわち遠位側の端部は使用者の下半身(すなわち、脚および足)を収容する。チャンバ12の内部は円形断面を有するのが好ましい。
チャンバ12は、非剛性管状本体21を一体に保持するスケルトンとして機能する構造20を有している。図1−図6の実施形態では、構造20は、本体21の両側に配置された1対の長手方向ビーム(梁)部材22を有している。長手方向ビーム部材22は、これらの両端部が、端フレーム23および構造20のドア組立体24(すなわち、ドアを備えた他の端フレーム)に連結されている。端フレーム23およびドア組立体24は本体21にシール態様をなして固定されており、これにより、長手方向ビーム部材22は、高圧/低酸素治療のためにチャンバ12を使用する前に、本体21をぴんと張った状態に維持する。
【0020】
任意であるが、長手方向ビーム部材22は、端フレーム23およびドア組立体24に着脱可能に取付けることができる。また、長手方向ビーム部材22は、該ビーム部材22の1対のセグメントの間のピボット22Aの回りで、2つに折畳むことができる。長手方向ビーム部材22は、本体21をぴんと張った状態に確実に維持するため、解放可能なロッキング機構により、図1および図2に示す伸長位置にスナップ嵌合されかつロックされるのが好ましい。図1の実施形態では、非剛性本体21の底部は、支持フレーム25上に直接横たえられる。
【0021】
非剛性管状本体21は、その全体が、気密クロス(布)材料で作られる。示唆する1つのクロス材料として、ポリウレタンの弾性材料を、これを補強するアラミドフィラメントで包囲した材料がある。考えられる他の材料として、他のポリマーファブリックがある。チャンバ12が高圧目的で使用されることを考えると、材料は、破裂することなく正の相対圧力に耐え得るように設計される。本体21は、正の相対圧力で、その形状を構造的に維持する。
【0022】
管状本体は、両端部が開放した本質的に非剛性の中空本体であり、したがって、両端フレームは管状本体を閉じるのに使用されることを指摘しておく。管状本体21は、図1の截頭円錐状または図7の円筒状に限定されるものではなく、他の断面形状および幾何学的形状を使用することもできる。
同時に図1−図6を参照すると、円錐状本体21の大きい方の端部には、ドア組立体24が設けられている。ドア組立体24は、使用者がチャンバ12に出入りするドアを形成する。実用的な理由から、図7の実施形態に示すように、ドアをチャンバ12の両端部に設けることも考えられる。また、1対のドアを設けると、チャンバ12を折畳んだときに、チャンバ12の取扱いが容易になる。
【0023】
図5に示すように、ドア組立体24は、フレーム24Aおよびドア24Bを有している。フレーム24Aは、ドア24Bと非剛性本体21との間のインターフェース(境界面)である。ドア24Bは、フレーム24Aに対して操作可能に取付けられ、チャンバ12の内部にアクセスすべく、ドア組立体24の残部から手で変位させることができる。
フレーム24Aは、非剛性本体21に流体密封連結される。フレーム24Aと非剛性本体21との間の相互連結は、チャンバ12が受ける圧力を考慮に入れなくてはならない。図4および図6により同時に示した一形態では、フレーム24Aはリング状本体、すなわち、非剛性本体21のフランジ21Aの両側に配置されるリテーナリング26Aおよびコネクタリング26Bを有している。したがって、フランジ21Aはリテーナリング26Aとコネクタリング26Bとの間にサンドイッチされる。一実施形態では、リテーナリング26Aとコネクタリング26Bとの間の相互連結は解放可能であると同時に、リテーナリング26Aとコネクタリング26Bとの組合せに対する非剛性本体21の流体密封を確保する。例えば、リテーナリング26Aをコネクタリング26Bに相互関連させるのに、ボルト、リベット等のファスナが使用される。
【0024】
コネクタリング26Bには、ドアフレーム27が連結される。ドアフレーム27は、ドア24Bが、チャンバ12へのアクセスを遮断するか、フレーム24Aからピボットされまたは取外されてチャンバ12の内部へのアクセスが行えるように、ドア24Bを支持すべく設けられている。したがって、ドアフレーム27は、ドア24Bが受入れられる中央開口を備えたケーシング本体を有している。非剛性本体21に連結されたものとしてフレーム24Aの構造的一体性を確保すべく、ドアフレーム27をコネクタリング26Bに永久的に固定することも考えられる。
【0025】
ドア24Bは、チャンバ12の内部からのまたは内部への視認性が得られる窓を形成する透明パネルを有している。ドア24Bは、窓フレーム28と、窓支持体29Aと、窓パネル29Bとを有している。窓フレーム28は、例えばピボット係合によりドアケーシング27に対して作動可能に取付けられ、開位置と閉位置との間で変位できる。任意であるが、チャンバ12内での治療中にドア24Bをフレーム24Aに解放可能にロックすべく、ドアフレーム27と窓フレーム28との間にロッキング機構(図示せず)を設けることができる。窓フレーム28に対して窓パネル29Bを固定するため、窓支持体29Aが設けられており、該窓支持体29Aは、窓パネル29Bを窓フレーム28に対して連結された状態に保持する。
【0026】
ドア組立体の種々のコンポーネンツは、高圧治療に関連する圧力を維持できる剛性材料で作られる。例えば、ドア組立体24の種々の部品を、圧縮成形されたガラス/ポリプロピレン複合材で作ることが考えられる。窓パネル29Bは、例えばアクリル材料のような透明材料で作られる。高圧/低酸素チャンバシステム10はポータブルであるので、優れた剛性/重量比をもつ材料を使用することも考えられる。
【0027】
ドア24Bの周囲を楕円形にすることにより、フレーム24Aの開口を通ってチャンバ12内に入ることが容易になって便利である。ドア24Bは、該ドア24Bの短軸がフレーム24Aの開口の長軸と整合するように配向して、ドア24Bをフレーム24A内に導入する。
端フレーム23は非剛性本体21に連結される方法においてドア組立体24と同様な構造であるが、ドアは不要であるので、フレーム27は閉端ケーシング(図示せず)に置換される。
【0028】
図7に示すように、チャンバ12に円筒状本体21′を設けることを考えることもできる。このような場合、本体21′の両端部に1対のドア組立体24が設けられる。
図6に示すように、チャンバ12内には、一般に、治療のためにチャンバ12内に横たわる使用者を支持するためのマットレスAが設けられる。また、使用者がチャンバ12内で座った姿勢をとることができるように、マットレスにヒンジ構造を設けることも考えられる。マットレス(例えば、チャンバ12内の酸素レベルに影響を与えない合成発泡材料または同様な材料で作られる)は、チャンバ12の底内に受入れられるように成形される。
【0029】
チャンバ12内での移動を容易にするため、端フレーム23からドア組立体24まで延びている手すりを設けることも考えられる。手すりは、搬送を容易にするため、例えばテレスコピック構造にすることができる。
【0030】
図8に示すように、圧力入口30がチャンバ12に連結される。圧力入口30は、空気圧パイピング(例えば空気呼吸グレードのもの)を介して圧力発生器14および低酸素発生器15に連結することにより、圧力発生器14からの圧力供給または低酸素発生器15からの低酸素出力を受ける。圧力入口30は、圧力発生器14および低酸素発生器15からチャンバ12内への空気の流量を制御すべく調節される弁30A、30Bを有している。圧力入口30への圧力発生器14および低酸素発生器15の連結を容易にするため、圧力入口30には、クイックカップリング構造を設けるのが好ましい。
【0031】
圧力入口30とは反対側の位置で、チャンバ12には空気含有量コントローラ31が連結されている。空気含有量コントローラ31は、制御弁31Aを有している。空気含有量コントローラ17は、システム10の高圧/低酸素作動に関連するパラメータ、例えば二酸化炭素レベル、酸素レベル、温度および相対湿度等のレベルを決定するセンサを有している。
【0032】
弁32Aを備えた排出口32はチャンバ12の一部であり、チャンバ12内での空気の循環を可能にし、かつチャンバ12から幾分かの圧力を放出すべく作動できる。排出口32が設けられているため、チャンバ12の近位端から遠位端への空気の流れが誘起される。これにより、チャンバ12から二酸化炭素を排出させることができる。更に、チャンバ12内に設けられた安全ボタンを操作することにより、アラームを発生させることができる。
【0033】
チャンバ12の外面には、圧力コントローラ33およびこれに関連する制御弁33Aも配置されている。所望圧力にすべく排出口32の弁32Aを付勢する圧力コントローラ33からの読取りに関連して、圧力の調節が行われる。治療が終了してチャンバ12からの圧力の放出を望む場合には、排出弁32Aを付勢して圧力を徐々に解放する。
任意であるが、コンピュータ制御システムを設け、空気含有量コントローラ31および圧力コントローラ33からのデータを受入れかつこれらのセンサから得たデータに関連して種々の弁に指令して、圧力発生器14の適当な作動を確保することができる。コンピュータ制御システムはチャンバシステム10と使用者との間のインターフェースとして機能し、チャンバシステム10の次の使用者のための特定高圧/低酸素治療がプログラムされるようにする。或いは、全ての弁が機械的に作動されかつ制御されるように構成できる。
【0034】
また、チャンバシステム10の使用者の状態をモニタするため、他のセンサを設けることができる。コンピュータ制御システムにデータを供給するこのようなセンサを使用すれば、例えば無酸素状態の患者のような異常な読取りが得られた場合に、コンピュータ制御システムの信号から空気含有量コントローラ31および種々の弁を付勢することができる。
【0035】
チャンバ12の外面には、減圧弁34(図8参照)が配置されている。減圧弁34はチャンバ12の内部に流体連通しており、チャンバ12内の圧力を閾値より低く維持するように構成されている。種々のパラメータの安全閾値に到達した場合には、減圧弁34が自動的に作動する。
【0036】
図8に示すように、チャンバ12の外面には(任意であるが圧力入口30に隣接して)、マノメータ36が配置されている。マノメータ36はチャンバ12の内部に流体連通しており、チャンバ12の外部に居る観察者にチャンバ内の圧力を表示できるようにする。
圧力発生器14は、一般に、大気を所望圧力に加圧するコンプレッサである。コンプレッサは、一般に、電気的に駆動され、適当な圧力モニタリング手段(例えばマノメータ)により所望圧力に維持される。圧力発生器14は、約30 psig(単なる一例)のチャンバ12内での高圧治療が可能なサイズを有している。
【0037】
コンプレッサの出力は圧力供給源としてチャンバ12に供給されることを考えると、コンプレッサは、一般に、オイルフリーコンプレッサである。したがって、コンプレッサは医用コンプレッサまたは呼吸可能な空気を出力する他のコンプレッサが好ましい。一般に、空気により運ばれる粒子、オイルおよび水分を空気から除去するため、圧力発生器14および低酸素発生器15の出口に濾過装置30Cが設けられる。
低酸素発生器15は、一般に、使用者の治療に要求される酸素/窒素の濃度を調節する酸素/窒素発生器(例えば、窒素から酸素を分離するガス透過性膜を備えている)である。したがって、チャンバ12の内部に流体連通することにより、低酸素発生器15は、チャンバ12内の酸素/窒素の濃度を調節する。低酸素発生器15は、一般に、圧力発生器14の出力を使用して、空気を、チャンバ12および加湿器に供給するのに適した圧力にする。したがって、圧力発生器14および低酸素発生器15は、弁30A、30Bを介して直列に配置されている。
【0038】
したがって、高地で見られる窒素濃度に匹敵する窒素濃度および例えば約1psigの圧力で空気が供給されるチャンバ12内で低酸素治療を行うことを考えることができる。低酸素治療では、チャンバ12内の静圧は、一般に、大気圧より僅かに高い。
チャンバ12内にはマスク(図示せず)を設けることができる。このマスクは、酸素供給源16に連結され、弁35を介しての制御により制御された空気混合物をチャンバ12内の使用者に直接供給するためのものである。
【0039】
チャンバ12の外部に居るオペレータが見て読取ることができるようにするため、空気含有量コントローラ31に連結されかつチャンバ12に流体連通する酸素メータが設けられている。酸素メータは、酸素含有量データを得て、限度をオペレータに信号で伝送する。より詳しくは、空気の酸素含有量が多すぎると、酸素メータは音信号および光信号を発し、チャンバ12の使用者に警告する。高圧/低酸素チャンバシステム10に給電する主電源による給電に加え、酸素メータおよび二酸化炭素メータ(該二酸化炭素メータも空気含有量コントローラ31に連結されている)は、これら自体の電源を有し、空気中の酸素および二酸化炭素の危険レベルをオペレータに信号で伝送する。チャンバシステム10には、治療データを得るためのモニタ等のインターフェースが設けられる。
【0040】
チャンバ12と相互作用する種々のコンポーネンツは、端フレーム23またはドア組立体24に直接連結されるのが好ましい。これは、端フレーム23またはドア組立体24が剛性材料で作られており、フィッティングおよび他の形式のコネクタに連結するのに適していることによる。
【0041】
本発明の高圧/低酸素チャンバシステム10は、搬送に良く適している。構造20の種々の部品は、一般に、高い強度対重量比をもつ剛性材料で作られる。チャンバ12を分解できるように、長手方向ビーム部材22は、端フレーム23およびドア組立体24から着脱可能であるのが好ましい。したがって、高圧/低酸素チャンバシステム10はポータブルである。これは、図1−図6の截頭円錐状の実施形態の場合には、チャンバの小さい方の端部を大きい方の端部内に入れ子式に収め、本体21が端フレーム23とドア組立体24との間で折畳まれた状態にまとめられることによる。
【0042】
本体21をぴんと張られた状態に維持するのに、1本の長手方向ビーム部材22のみでよいことを指摘しておく。例えば、端フレーム23およびドア組立体24に連結される長手方向ビーム部材として支持フレーム25を使用し、本体21をぴんと張られた状態に維持することも考えられる。
【0043】
図2に示す他の実施形態では、支持フレーム25が1対のシェル25A、25Bで形成される。これらのシェル25A、25Bは相互連結されて、搬送中にチャンバ12が収容されるケースまたはラゲッジを形成する。図2の実施形態では、両シェル25A、25Bは互いにピボット連結されている。
また、他の実施形態では、チャンバシステム10の設置および使用が容易に行えるようにするため、全ての圧力コントローラが支持フレーム25と一体化されている。したがって、チャンバ12がぴんと張られた状態に設置された後、パイピングがチャンバ12の種々の入口/出口に連結され、チャンバシステム10を作動させる準備が整えられる。
【符号の説明】
【0044】
10 高圧/低酸素チャンバシステム
12 高圧/低酸素チャンバ
14 圧力発生器
15 低酸素発生器
16 酸素供給源
22 ビーム部材
23 端フレーム
24 ドア組立体
25 支持フレーム
31 空気含有量コントローラ
36 マノメータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1人の使用者を収容できるサイズをもつ管状本体を有し、該管状本体は非剛性材料で作られており、
管状本体を閉じるべく管状本体の両端部に固定される端フレームを有し、少なくとも一方の前記端フレームは、管状本体の内部へのアクセスおよびアクセスの遮断を行うべく端フレームの残部から変位可能なドアを備え、
管状本体を両端フレーム間でぴんと張られた状態に維持すべく、両端部が両端フレームに連結された少なくとも1つの長手方向ビーム部材を更に有し、
圧力発生器に流体連通していて圧力発生器からの空気供給を受入れ、高圧治療を行うために管状本体の内部の圧力を増大することを特徴とする高圧治療用ポータブルチャンバ。
【請求項2】
2つの長手方向ビーム部材を有し、各長手方向ビーム部材は、管状本体がぴんと張られた状態になる伸長位置まで伸長可能であることを特徴とする請求項1記載のポータブルチャンバ。
【請求項3】
少なくとも1つの長手方向ビーム部材を伸長位置にロックするロッキング機構を更に有することを特徴とする請求項2記載のポータブルチャンバ。
【請求項4】
少なくとも1つの長手方向ビーム部材が、搬送時に端フレームから分離できることを特徴とする請求項1記載のポータブルチャンバ。
【請求項5】
前記管状本体は截頭円錐状の幾何学的形状を有し、大きい方の端フレームにはドアが設けられていることを特徴とする請求項1記載のポータブルチャンバ。
【請求項6】
搬送時に、一方の端フレームが他方の端フレーム内に入れ子式に収められることを特徴とする請求項5記載のポータブルチャンバ。
【請求項7】
前記管状本体は円筒状の幾何学的形状を有し、各端フレームにドアが設けられていることを特徴とする請求項1記載のポータブルチャンバ。
【請求項8】
前記管状本体を地上に支持するための支持フレームを更に有することを特徴とする請求項1記載のポータブルチャンバ。
【請求項9】
前記支持フレームは、搬送用ケースを形成すべく連結される1対のシェルを有していることを特徴とする請求項8記載のポータブルチャンバ。
【請求項10】
前記支持フレームは、高圧治療のためにチャンバに空気の供給を行う圧力発生器を収容していることを特徴とする請求項8記載のポータブルチャンバ。
【請求項11】
少なくとも1つの端フレームは、管状本体の開端部の周囲をサンドイッチするリング状本体を有し、該リング状本体により前記ドアが周方向に支持されることを特徴とする請求項1記載のポータブルチャンバ。
【請求項12】
前記ドアは、窓を形成する透明パネルを有していることを特徴とする請求項11記載のポータブルチャンバ。
【請求項13】
前記管状本体内で両端フレーム間に延びている手すりを更に有していることを特徴とする請求項1記載のポータブルチャンバ。
【請求項14】
圧力発生器と、
使用者を収容できるサイズをもつポータブルチャンバとを有し、該チャンバは圧力発生器に流体連通していて圧力発生器からの空気供給を受入れ、高圧治療を行うためにチャンバ内の圧力を増大し、
選択された窒素/酸素比で空気を出力する低酸素発生器を更に有し、該低酸素発生器はチャンバに流体連通していて、低酸素治療を行うためにチャンバ内の酸素含有量を調節することを特徴とする高圧チャンバシステム。
【請求項15】
搬送時に、折畳まれた状態のポータブルチャンバを収容するケースを更に有し、該ケースは、圧力発生器と、低酸素発生器と、高圧/低酸素治療時のチャンバ内の状態を制御する制御システムとを収容していることを特徴とする請求項14記載の高圧チャンバシステム。
【請求項16】
酸素リッチ空気を出力する酸素供給源を更に有し、該酸素供給源は、チャンバに流体連通していて、チャンバ内に酸素を供給することを特徴とする請求項14記載の高圧チャンバシステム。
【請求項17】
チャンバ内のマスクを更に有し、該マスクは酸素供給源に流体連通していて、チャンバの使用者に酸素を直接供給することを特徴とする請求項16記載の高圧チャンバシステム。
【請求項18】
前記チャンバは、1対の端フレームの間に非剛性の管状本体を有し、高圧/低酸素治療時にチャンバ内の状態を制御する圧力発生器、低酸素発生器および制御システムの全部が、チャンバの内部に流体連通するように端フレームに連結されていることを特徴とする請求項14記載の高圧チャンバシステム。
【請求項19】
使用者を収容できるサイズをもつポータブルチャンバを有し、該チャンバは圧力発生器に流体連通していて圧力発生器からの空気供給を受入れ、高圧治療を行うためにチャンバ内の圧力を増大し、ポータブルチャンバは、折畳み可能な構造によりぴんと張られた状態に維持される非剛性管状本体からなり、
前記管状本体を地上に支持するための支持フレームを更に有し、該支持フレームは、搬送のために折畳み状態にあるポータブルチャンバを収容するケースを形成すべく連結される1対のシェルを備えていることを特徴とする高圧チャンバシステム。
【請求項20】
前記支持フレームは、圧力発生器と、高圧/低酸素治療時のチャンバ内の状態を制御する制御システムとを収容していることを特徴とする請求項19記載の高圧チャンバシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−545411(P2009−545411A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523116(P2009−523116)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【国際出願番号】PCT/CA2007/001365
【国際公開番号】WO2008/014617
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(509035255)グループ メディカル ゴーモン インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】