説明

高強度の電磁放射線発生装置及び発生方法

電磁放射線を発生させる装置は、エンベロープの内面に沿って液体の流れを発生するように構成された流れ発生器と、エンベロープ内部で電気アークを発生させて電磁放射線を生成するように構成された第1及び第2の電極と、液体の流れの一部分を収容するように構成された、前記電極の1つを越えて外方向に延在する排気チャンバとを備える。別の態様では、流れ発生器は電気的に絶縁される。別の態様では、前記電極は放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成するように構成され、また本装置は液体から粒子汚染を除去するように構成された除去装置を備える。この粒子汚染はフラッシュ中に放出され、連続動作中に電極によって放出されるものとは異なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射線に関し、より具体的には、電磁放射線を発生する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アーク・ランプは多様な目的のために電磁放射線を発生するのに使用されてきた。一般に、アーク・ランプは連続放射線を発生する連続又はDCアーク・ランプのほか放射線フラッシュを発生するフラッシュランプを備えている。
【0003】
連続又はDCアーク・ランプは、太陽光シミュレーションから半導体ウエハの高速熱処理までの用途に使用されてきた。典型的な従来のDCアーク・ランプは、キセノン又はアルゴンなどの不活性ガスが充填された石英エンベロープ内に設けられた2本の電極、すなわちカソード及びアノードを備える。この電極間に連続したプラズマ・アークを維持するために電源が用いられる。プラズマ・アーク内では、プラズマは高電流によって粒子の衝突を介して高温まで加熱され、電極間を流れる電流に相当する強度で電磁放射線を照射する。
【0004】
フラッシュランプはいくつかの点で連続アーク・ランプに類似するが、その他の点で異なっている。定電流を用いて連続的な放射線出力を発生するのではなく、コンデンサ・バンク又は他のパルス電源は電極を通して突然放電されて、高エネルギの放電パルスをプラズマ・アークの形態で電極間に発生する。連続アーク・ランプの場合のように、プラズマは放電パルスの大きな電流によって加熱され、持続時間が放電パルスの持続時間に相当する急激なフラッシュの形態で光エネルギを放出する。例えば、いくつかのフラッシュは持続時間が約1ミリ秒であり得るが、他の持続時間を得ることもできる。典型的には静的な圧力及び温度条件下で動作する連続アーク・ランプとは異なり、フラッシュランプの特徴は典型的には、フラッシュ中の大きくて急激な圧力及び温度の変化である。
【0005】
従来、高出力フラッシュランプの主要な用途の1つはレーザー・ポンピングであった。さらに最近の例としては、約5メガワットの出力で約1ミリ秒のパルス幅でウエハの表面を照射することによって導体ウエハをアニーリングするために、高出力フラッシュランプが使用されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のフラッシュランプの冷却は一般に、エンベロープの内面ではなく外面のみを冷却することからなる。周囲空気を用いる単純な対流冷却は低出力用途には十分であるが、高出力用途は多くの場合、強制空気又は他のガスによるか、又はさらに高出力用途には水又は別の液体によって、エンベロープの外側を冷却する必要がある。
【0007】
このような従来の高出力フラッシュランプは、多数の困難及び不利を受け易い。そのようなランプの寿命を制限し易い1つの要因は、典型的には厚さ約1mmで、稀に厚さ2.5mmを超える石英エンベロープの機械的強度である。この点で、石英エンベロープの厚さを上げればその機械的強度は増大するが、この付加的な石英材料のために、冷却されたエンベロープの外面とプラズマ・アークによって加熱されるエンベロープの内面との間の絶縁性が高くなる。したがって、厚い管を用いれば、外側の冷却液がエンベロープの内面から熱を除去することがさらに難しくなる。その結果、厚いエンベロープの内面はより高温にまで加熱され、その結果、エンベロープ内の温度勾配は大きくなって熱応力による亀裂を生じさせ易くなり、最終的にはエンベロープが壊れることになる。このため、エンベロープの厚さ、つまりその機械的強度は従来のフラッシュランプにおいては制限される。また、これはフラッシュ中にアーク温度及び直径の急激な増大から生じる、エンベロープ内のガス圧の著しく速い変化から生まれる機械的応力に耐えるエンベロープの能力を制限する。
【0008】
従来ランプの別の問題は、主に、エンベロープの加熱された内面からの石英材料の蒸発により石英エンベロープの摩耗を伴うこととである。このような摩耗はアーク・ガスを酸素で汚染し易くなる。市販されているアーク・ランプの大半は再循環ではなく密封されたシステムであるので、アーク・ガス中のそのような汚染物質の蓄積は、ランプの放射線出力を経時的に低下させ易くする。フラッシュランプの放射線出力のそのような変動は、再現性が強く望まれる半導体アニーリングなどの多くの用途にとっては好ましくないであろう。また、これら汚染物質の蓄積によって、ランプの始動が難しくなり易い。
【0009】
従来のフラッシュランプのさらに別の不利は、典型的にはタングステン又はタングステン合金から作製された電極からの材料のスパッタリングから生じる。この点で、電子及び得られたアークの急激な放出はカソードから相当量の材料をスパッタリングするか、又は吹き飛ばすことになる。程度は小さいが、急激な電子の衝撃及びアークの加熱はアノード先端部を部分的に融解させる恐れがあり、アノード材料を放出されることにもなる。その結果、スパッタリングによる蒸着物がエンベロープの内面上に蓄積し易くなってランプの放射線出力が低減するだけでなく、その照射パタンも経時的に益々不均一になる。また、そのようなエンベロープの内面上の蒸着物はフラッシュによって加熱され易くなるので、エンベロープ内では局所的な熱応力が増大することになって、最終的にはエンベロープの亀裂又は破壊を引き起こすことになる。このような材料の損失も電極寿命を短くする。
【0010】
従来のフラッシュランプのさらなる不利は、アーク自体の放射線照射再現性が比較的悪いことである。いくつかの従来のランプはフラッシュ間で、アイドル電流又はシマー電流と呼ばれる低電流の連続DC放電を電極間に維持する。従来のランプにおけるシマー電流の目的は主に、電子を放出し始めるのに十分にカソードを加熱するためのものであり、これはスパッタリングを低減させるのでランプ寿命は延びるが、シマー電流は少なくともガスの前イオン化をある程度提供する可能性がある。シマー電流は典型的には1アンペア未満であり、一般には、従来のフラッシュランプにおいては著しくは増大され得ず、電極及びスパッタリングの過熱を生じさせない。このため、発明者らはシマー電流からピーク・フラッシュ電流への移行中に生じるアーク電流の大きな変動は従来のフラッシュランプでは比較的一貫性がなく起こり易く、その結果、フラッシュの再現性が悪くなることを見出した。
【0011】
したがって、改善されたフラッシュランプ及び方法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記必要性に対処するために、本発明者らは、例えば、同一の譲受人の米国特許第6621199号、第4937490号及び第4700102号、並びにさらに以前の米国特許第4027185号に開示されたような、エンベロープの内面が渦巻き状の液体の流れによって冷却される連続又はDCアーク・ランプの改変例を試験した。これら特許の完全な開示を本明細書に援用する。本発明者らの1人はフラッシュランプとして機能するようにパルス電源と併せた水壁式連続アーク・ランプの使用の改変例を以前に記載しているが、そのような水壁式アーク・ランプは典型的にはフラッシュランプ用途には好ましくないものであると考えられてきた。この点で、フラッシュ中のアーク温度及び直径の非常に大きな増大はエンベロープ内の液体及びガスの流れに劇的な影響を及ぼし得る可能性がある。内部の冷却液が沸騰して蒸気を発生させ、これによってさらにその圧力が上昇してエンベロープの破壊をもたらす可能性がある場合、エンベロープ内の圧力の大きく且つ急激な上昇はさらに増大され得る。
【0013】
この同じ急激な圧力の上昇は、渦巻き状の液体の壁をエンベロープの内面に押圧させ、これにより液体をランプの中心から反対へ軸方向に外側に、電極に向かってそれを越えて押しやる恐れがある。これによって電極上への液体の急激な跳ね返りが生じて、アークを消してしまう可能性があり、電極寿命も損なわれる可能性がある。
【0014】
また、この圧力上昇が液体をカソード押し戻す程度まで、この方向の逆圧はポンプ圧に抗い、また、渦巻き液流発生器構成要素の機械的接続部を弱める可能性がある。
【0015】
また、本発明者らは水壁式アーク・ランプをフラッシュランプとし操作することは、同じタイプのランプを連続又はDCモードで操作することから生じる粒子汚染よりも異なった粒子汚染を発生し易くなることを見出した。特に、本発明者らは0.5〜2μmもの小ささのタングステン粒子はフラッシュ・モードにおいては電極によって放出され易いが、連続又はDCモードで同じランプを動作させることから生じる粒子汚染は典型的には5μm以下の粒子から成ることを見出した。既存の水壁式アーク・ランプ濾過システムは典型的には、フラッシュ・モード動作から発生するそのより小さな粒子汚染を除去するには不十分である。本発明者らは冷却液中にそのような小さな粒子汚染が蓄積することは、ランプの出力及びスペクトルを経時的に変え易くするので、ランプによって発生されるフラッシュの再現性を不所望に損なうことを認識した。
【0016】
本発明者らは、何らかの超高出力用途にとっては、複数のフラッシュランプを相互に近接して用いて、そのようなランプを一斉に又は同時に一緒にフラッシュさせることが好ましいであろうことをさらに認識した。しかし、典型的な既存の水壁式アーク・ランプはエンベロープの半径方向の距離から外側に設けられた、絶縁されていない金属製流れ発生器構成要素を有する。それらの導電性に加え、この金属製流れ発生器構成要素は典型的には、カソードへの電気的接続として用いられて、コンデンサ・バンク又は他のパルス電源のマイナス端子にカソードを効果的に接続する。したがって、フラッシュ中、流れ発生器構成要素はカソードと同じ負電位である。したがって、1つのランプの流れ発生器から周囲空気を介して、接地された反射器又は隣接するランプの他の導電性構成要素へとアークが生じるのを阻止するために、例えばその接地された反射器などの各ランプの導電性要素は、各々隣接するランプの流れ発生器から十分に離れて維持されなければならない。これは隣接するランプ間に好ましくない大きな最小空間を課し易くする。
【0017】
本発明の一態様によれば、電磁放射線を発生する装置が提供される。本装置はエンベロープの内面に沿って液体の流れを生成するように構成された流れ発生器と、電磁放射線を発生させるためにエンベロープ内で電気アークを発生させるように構成された第1及び第2の電極とを備える。本装置は、液体の流れの一部分を収容するように構成された、電極の1つを越えて外方向に延在する排気チャンバをさらに備える。
【0018】
このような排気チャンバは、フラッシュランプ及び連続アーク・ランプ両方の用途に有利であることが認められている。この点で、排気チャンバが存在することによって、アークと、液体の流れが崩壊し始める場所との間の距離を長くし易くなる。したがって、排気チャンバは液体の流れの崩壊から起こる乱流がアークに及ぼす影響を抑え易くなり、これによってアークの安定性が向上する。したがって、排気チャンバは連続用途及びフラッシュランプ用途の両方のために、アーク・ランプの放射線出力の安定性及び再現性を向上させ易い。
【0019】
液体の流れがエンベロープの内面に沿っていることも有利である。例えば、この液体の流れはエンベロープの内面と外面との間の温度勾配を著しく低減させ、これによりエンベロープへの熱応力が低減され、このことは連続用途及びフラッシュランプ用途の両方にとって有利である。これはまた従来のフラッシュランプのエンベロープよりも厚いエンベロープの使用を可能にするので、より大きな機械的強度を有するエンベロープを用いてフラッシュ中の急激な圧力上昇に容易に耐えることを可能にする。また、エンベロープの厚みを厚くすることによって、より大きな径の管を使用することが可能になるので、エンベロープの応力耐性を超えることなく、より大きく且つより強力なアークが可能になる。液体の流れがエンベロープの内面に沿っているので、フラッシュ中又は連続動作中にエンベロープの内面の摩耗も阻止又は防止する。さらに、スパッタリングされる材料はいずれも従来のフラッシュランプの場合のように内面上に蓄積するのではなく、液体の流れによってエンベロープ外へ一掃され易いので、この液体の流れは電極スパッタリングによって生じる問題も抑える。したがって、このような装置によって発生される放射線フラッシュ又は連続放射線出力は、従来のフラッシュランプ又は連続アーク・ランプ各々によって発生される放射線に比べて、より再現性及び一貫性があるものになり易い。
【0020】
排気チャンバは排気チャンバ内の液体の流れの崩壊から生じる乱流からその電極の1つを絶縁するように、電極の1つを十分にはるかに越えて軸方向に外側に延在し得る。
【0021】
流れ発生器は液体の流れから半径方向に内側にガスの流れを発生するように構成され得る。この場合、排気チャンバは液体の流れ及びガスの流れの混合から生じる乱流からその電極の1つを絶縁するように電極の1つを十分にはるかに越えて軸方向に外側に延在し得る。
【0022】
電極は放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成するように構成され得る。この場合、排気チャンバは放電パルスから生じる圧力パルスによって外方向にやられる液体の体積を収容するように、十分な体積を有することが好ましい。このような排気チャンバは、装置の有効内部体積を増大させ、これによってフラッシュ及び、生じ得る関連する沸騰及び蒸気の発生から起こる内部のピーク圧力を低減させ易くするので、フラッシュランプ用途には特に有利である。したがって、エンベロープ及び他の構成要素に加えられる機械的応力は低減される。また、このような排気チャンバは、フラッシュの圧力の上昇によって軸方向に外側に追いやられる水を電極を越えて流れ続けさせ、これにより、そのような水が電極に跳ね返る傾向を抑える。液体が電極に跳ね返る可能性を抑えることによって、排気チャンバは電極寿命を延ばし易くなると共に、アークが急冷又は消される可能性を抑え易くなる。
【0023】
第2の電極はアノードを含み得、排気チャンバはアノードを越えて軸方向に外側に延在し得る。
【0024】
流れ発生器は電気的に絶縁され得る。例えば、本装置は流れ発生器を囲繞する電気的絶縁部を含み得、流れ発生器は導体を含み得る。流れ発生器の電気的絶縁部によって、流れ発生器と外部導体との間にアークが発生するのを恐れることなく、本装置のより安全な操作が可能となると共に、マルチランプ・システムにおいて隣接するランプの間隔をより接近させることが可能となる。導体を流れ発生器として利用できることは有利である。これは導体が流れ発生器に金属の機械的強度から利益を受けさせて、フラッシュ中の液体の流れの圧力及び逆圧に耐えることを可能にするほか、流れ発生器を電源にカソードを接続するための電気的接続部として働かせることも可能にするからである。
【0025】
第1の電極はカソードを含み得、電気的絶縁部はカソード及び該カソードへの電気的接続部を囲繞し得る。このような実施例は、単一のランプ・システムの安全性を強化し易くすると共に、マルチランプ・システムにおける隣接するランプ間の最小間隔を縮小し易くする。
【0026】
本装置は電気的接続部をさらに含み得、次に流れ発生器を含み得る。したがって、流れ発生器自体が有利には、カソードとコンデンサ・バンク又は他のパルス電源の負極端子との間の電気的接続部の一部として機能し得る。
【0027】
流れ発生器を囲繞する電気的絶縁部はエンベロープを含み得る。流れ発生器を囲繞する電気的絶縁部は、絶縁性ハウジングをさらに含み得る。このような実施例では、絶縁性ハウジングはエンベロープの少なくとも一部分を囲繞し得る。
【0028】
有利には、エンベロープ及び絶縁性ハウジング内に流れ発生器を含むことによって、流れ発生器を装置の軸線に近接させて配設することが可能となり、これはまた、流れ発生器構成要素をエンベロープ外に有するこれまでの水壁式アーク・ランプよりも機械的接続部をより強力にネジ山を切り且つボルト締めすることが可能となる。また、これは流れ発生器が、流れ発生器の方向と反対に軸方向に外側に向かって液体の一部を追いやり易いフラッシュの機械的応力に耐えるのを容易にする。
【0029】
電気的絶縁部は絶縁性ハウジングとエンベロープの一部との間の空隙に圧縮されたガスをさらに含み得る。
【0030】
このエンベロープは透明な円筒管を含み得る。この円筒管は少なくとも4mmの厚さを有し得る。この点で、エンベロープの内面上の液体の流れはエンベロープ内の温度勾配を低減させるので、従来のフラッシュランプに使用されるものよりも厚い管が可能となり、これによって、フラッシュ中の圧力の大きくて急激な上昇に耐えるためのさらに大きな機械的強度がエンベロープに与えられる。
【0031】
この円筒管は精密内径円筒管を含むことができ、これはエンベロープに係合するシールの効果を向上させ易くすると共に、エンベロープの内面に沿った液体の流れの性能も改善し易くする。
【0032】
絶縁性ハウジングは少なくとも1つのプラスチック又はセラミックを含み得る。
【0033】
第1及び第2の電極はカソード及びアノードを含み得、該カソードは該アノードよりも短い長さを有し得る。この点で、短いカソードはより大きな機械的強度を有し易くなり、このことは連続アーク・ランプ用途にとってはカソードの振動を阻止するのに有利であると共に、フラッシュ中の急激な圧力変動及び応力に耐えるのに有利である。
【0034】
第1の電極は突出長を有するカソードを含み得、それに沿ってカソードはエンベロープ内の装置の次の最も内側の構成要素を越えて、装置の中心に向かってエンベロープ内で軸方向に内側に突出する。この突出長はカソードの直径の2倍未満であり得る。したがって、このカソードは典型的な従来のカソードよりも、その厚さに対して短くなり得るので、その機械的強度は改善すると共に、連続動作中の振動又はフラッシュ中の急激な圧力変動及び応力に抵抗するためのさらに大きな能力がカソードに与えられる。
【0035】
しかし、逆に、この電気アークは流れ発生器と第2の電極との間で発生するのを阻止するのに十分な長さであることが好ましい。このような長さは、流れ発生器が導体であり且つカソードとパルス電源との間の電気的接続部の一部を形成する実施例には好ましい。これはそのような実施例では流れ発生器はカソードと同じ電位であることによる。したがって、そのような実施例では、アノードとカソードとの間ではなく、アノードと流れ発生器との間にアークが確立されるのを阻止するのに十分な長さにカソードが確実になるようにすることが好ましい。
【0036】
本発明の別の態様によれば、一般的なターゲットを照射するように構成された、上記のような複数の装置を備えたシステムが提供される。例えば、複数の装置は半導体ウエハを照射するように構成され得る。
【0037】
複数の装置は相互に平行に構成され得る。この場合、複数の装置の各々1つは、複数の装置の各々1つのカソードが複数の装置の隣接する1つのアノードに隣接するように、複数の装置のその隣接する1つとは反対方向に整列されることが好ましい。したがって、連続動作であるか又はフラッシュ動作であるかに関わらず、特に偶数個の装置がそのように整列されている場合、プラズマ・アークによって発生する強磁界は互いに打ち消され易くなる。
【0038】
本システムは、複数の装置の各々の流れ発生器に液体を供給するように構成された単一の循環装置をさらに含み得る。このような実施例では、装置各々に対して独立した循環装置の必要性をなくすことによってより効果的なシステムが提供される。
【0039】
本装置は、エンベロープの外部にあって第1の電極の近傍から第2の電極の近傍へと延在する導電性反射器をさらに含み得る。
【0040】
本装置は電極と電気的に導通する複数の電源回路をさらに含み得る。この場合、本装置は複数の電源回路の少なくとも1つから、複数の電源回路の他の少なくとも1つを絶縁するように構成された絶縁体を備えることが好ましい。
【0041】
電極の各々はそこを通る冷却液の流れを受け取る冷却液通路を含み得る。また、電極の少なくとも1つは少なくとも1cmの厚さを有するタングステン先端部を含み得る。
【0042】
有利には、このような電極は特にフラッシュ用途のほか、連続動作にとっても、従来の電極よりも寿命が長くなり易い。この点で、フラッシュ自体中、特に持続時間が約1ミリ秒以下の高速フラッシュ中、電極表面の加熱は冷却液が冷却液通路を介して電極から熱を除去することができるよりも速く生じ易いが、液体冷却は電極の溶解し易さ、スパッタリングし易さ、又は材料の放出し易さを低減させ易い。このフラッシュ中、従来の電極と比べて電極先端部の厚さががより厚くなっていることによって、電極先端部にはより大きな熱容量が与えられ、これはフラッシュの加熱作用を緩和し易くなり、これによって先端部が溶解、スパッタリング、或いは材料を失い易い速度が低減される。電極が依然として抑えられた速度で材料を失い得る程度まで、厚い先端部は失うことのできる電極用の材料をさらに提供するので、電極の寿命はさらに延びることになる。エンベロープの内面に沿った液体の流れは、そのような融解されたか又は失われた材料をエンベロープの内面に蓄積させるのではなく、システムからそのような材料を除去するので、寿命が延びると共に、装置の放射線出力のスペクトル及び出力一貫性及び再現性は保たれる。
【0043】
電極は放電パルスを発生して放射線フラッシュを生成するように構成され得、本装置は第1の電極と第2の電極との間にアイドル電流を発生するように構成されたアイドル電流回路をさらに含み得る。アイドル電流回路は放電パルスに先行する時間間隔だけアイドル電流を発生するように構成され得る。この時間間隔は液体の流れがエンベロープを移動するのに必要な流体通過時間よりも長い。例えば、液体の流れがエンベロープを約30ミリ秒で横断する実施例では、アイドル電流回路はアイドル電流を少なくとも約30ミリ秒間発生するように構成され得る。
【0044】
アイドル電流回路はアイドル電流として少なくとも約1×10Aの電流を発生するように構成され得る。この点で、電極内の冷却液通路は、従来の電極がそのような高いアイドル電流を受け易い場合に生じ易い重大な溶解又はスパッタリングを生じることなく、従来のフラッシュランプよりもさらに高いアイドル又はシマー電流を可能にする。本発明者らは高いアイドル電流はより一貫性のある確立された開始条件をフラッシュに提供することを見出した。さらに具体的には、高いアイドル電流は、放電パルスを受け取る準備をして、熱くて広くイオン化された通路を電極間に定めるように働く。この高いアイドル電流が、(フラッシュ中のピーク・インピーダンス自体は大部分は変わらないままであり得るが)フラッシュ直前の電極間の最初の抵抗を低減させるように働くことは効果的である。本発明者らは、有利なことには、装置によって発生されるフラッシュのさらなる一貫性及び再現性が得られ、またこれが電極材料の損を低減させ易くするので、電極寿命が延びることを見出した。
【0045】
アイドル電流回路は、アイドル電流として少なくとも約4×10Aの電流を少なくとも約1×10ミリ秒間発生するように構成され得る。
【0046】
本発明の別の態様によれば、電磁放射線を発生する装置が提供される。この装置はエンベロープの内面に沿って液体の流れを発生する手段を備え、エンベロープ内に電気アークを発生して電磁放射線を発生する手段をさらに備える。この装置は液体の流れの一部を収容する手段もさらに備え、該収容手段は前記発生手段を越えて外方向に延在する。
【0047】
本発明の別の態様によれば、電磁放射線を発生する方法が提供される。この方法はエンベロープの内面に沿って液体の流れを発生すること及びエンベロープ内で第1の電極と第2の電極との間で電気アークを発生して電磁放射線を生成することを含む。この方法は電極の1つを越えて外方向に延在する排気チャンバにおいて液体の流れの一部分を収容することをさらに含む。
【0048】
収容には排気チャンバ内の液体の流れの崩壊から生じる乱流から電極の1つを絶縁することを含み得る。
【0049】
本方法は液体の流れから半径方向に内側にガスの流れを発生すること、及び液体及びガスの流れの崩壊から起こる乱流から電極の1つを絶縁することをさらに含み得る。
【0050】
電気アークの発生方法は放電パルスを発生して放射線フラッシュ生成することを含み得、収容には放電パルスから生じる圧力パルスによって外方向に押しやられる液体の体積を収容することを含み得る。
【0051】
液体の流れを発生することは、電気的に絶縁された流れ発生器を用いて液体の流れを発生することを含み得る。
【0052】
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載の複数の装置を制御して例えば半導体ウエハなどの一般的なターゲットを照射することを含む方法が提供される。
【0053】
制御には複数の装置の各々1つに、複数の装置の各々隣接する1つの電気アークの方向とは反対の方向に電気アークを発生させることを含み得る。
【0054】
本方法は複数の電源回路の少なくとも1つを、複数の電源回路の他の少なくとも1つから絶縁することをさらに含み得る。
【0055】
本方法は第1及び第2の電極を冷却することを含み得る。冷却には第1及び第2の電極のそれぞれの冷却液流路に冷却液を循環させることをさらに含み得る。
【0056】
電気アークの発生には放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成することを含み得、本方法は第1の電極と第2の電極との間にアイドル電流を発生することをさらに含み得る。アイドル電流の発生は放電パルスに先行してある時間間隔だけアイドル電流を発生することをさらに含み得る。この時間間隔は液体の流れがエンベロープを移動するのに必要な流体通過時間よりも長い。この方法はアイドル電流として少なくとも約1×10Aを発生させることを含み得る。さらに具体的には、この方法はアイドル電流として、少なくとも約4×10Aを少なくとも約1×10ミリ秒間発生させることを含み得る。
【0057】
本発明の別の態様によれば、電磁放射線を発生する装置が提供される。この装置はエンベロープの内面に沿って液体の流れを発生させるように構成された、電気的に絶縁された流れ発生器を備える。本装置はエンベロープ内で電気アークを発生して電磁放射線を生成するように構成された第1及び第2の電極をさらに備える。
【0058】
有利には、上記のように、この液体の流れはエンベロープ内の熱応力を低減させ、より厚いエンベロープを使用できるようにし、エンベロープの摩耗を阻止又は防止し、且つ、電極スパッタリングによって生じる問題を抑える。したがって、このような装置の放射線出力は、フラッシュランプ用途又は連続放射線用途のいずれであっても、従来のランプの場合よりも、経時的により一貫性があり且つ再現性のあるものになり易い。同時に、流れ発生器が電気的に絶縁されているという事実によって、流れ発生器と外部導体との間にアークが発生することを恐れることなく、装置のより安全な操作が可能になると共に、マルチランプ・システムにおいて隣接するランプの間隔をより近接させることが可能になる。
【0059】
本装置は流れ発生器を囲繞する電気的絶縁部を含むことが好ましい。したがって、必要があれば、流れ発生器は導体を含んでよく、この場合、流れ発生器は電気的絶縁部によって依然として電気的に絶縁されている。有利には、上記のように、導体を流れ発生器として利用できることによって、流れ発生器は、金属の機械的強度から利益を受けてフラッシュ中に液体の流圧及び逆圧に耐えることが可能となると共に、電源にカソードを接続する電気的接続部として働くことも可能となる。
【0060】
好適な実施例では、第1の電極はカソードを含み、電気的絶縁部は該カソード及び該カソードへの電気的接続部を囲繞する。このような実施例は単一のランプ・システムの安全性を強化し易くし、マルチランプ・システムにおける隣接するランプ間の最小間隔を縮小する。
【0061】
本装置は電気的接続部をさらに含み得、該装置はまた流れ発生器を含み得る。したがって、流れ発生器自体は有利にはカソードと、コンデンサ・バンク又は他のパルス電源の負極端子との間で電気的接続部の一部として働き得る。
【0062】
流れ発生器を囲繞するこの電気的絶縁はエンベロープを含み得る。
【0063】
流れ発生器を囲繞する電気的絶縁部は絶縁性ハウジングをさらに含み得る。このような実施例では、絶縁性ハウジングはエンベロープの少なくとも一部を囲繞し得る。
【0064】
有利には、上記のように、エンベロープ及び絶縁性ハウジング内に流れ発生器を含むことによって、流れ発生器を装置の軸線に近接して配設することが可能となり、これはまたより強力な機械的接続部を可能にするので、流れ発生器がフラッシュの機械的応力に耐え易くする。
【0065】
この電気的絶縁部は絶縁性ハウジングとエンベロープの一部との間の空隙にガスをさらに含み得る。このガスは、例えば窒素などの絶縁ガスを含み得る。このような実施例では、本装置はガスを空隙に密閉するために、絶縁性ハウジングの内面及びエンベロープの前記一部の外面と協働する1対の離間されたシールをさらに含み得る。このガスは気圧以上に圧縮されるのが好ましい。
【0066】
本エンベロープは透明な円筒管を含み得る。
【0067】
この円筒管は少なくとも4mmの厚さを有し得る。さらに具体的には、この円筒管は少なくとも5mmの厚さを有し得る。上記のように、この液体の流れはエンベロープ内の温度勾配を低減させ、したがって、従来のフラッシュランプに使用されるものよりも相応してさらに大きな機械的強度を有するより厚い管が可能となり、これによってフラッシュ中の大きくて急激な圧力上昇に耐えるさらに高い能力がエンベロープに与えられる。
【0068】
この円筒管は精密内径円筒管を含み得る。この場合、精密内径円筒管は少なくとも5×10−2mmもの小さい寸法公差を有しうる。記載のように、このような精密内径を使用すればエンベロープと係合しているシールの効果は向上し、エンベロープの内面沿った液体の流れの性能も向上する。
【0069】
この円筒管は石英を含み得る。例えば、この円筒管は合成石英などの純粋石英を含み得る。或いは、この円筒管は、例えば、セリウム・ドープ石英を含んでよい。純粋石英又はセリウム・ドープ石英のいずれかを使用することが好ましい。これは、これらの材料がソラリゼーションの影響がない傾向にあるからである(石英中のイオン不純物によって紫外線吸収から生じる石英の変色;純粋石英はそのような不純物を含まず、セリウム酸化物ドーパントは有害な紫外線を吸収し、そのエネルギが石英中の他の不純物によって吸収され得る前に、そのエネルギを視蛍光として再放出する)。このような実施例は、例えば半導体アニーリング用途などの、経時的に一定で再現性のあるフラッシュ・スペクトルが望ましい用途には特に有利である。
【0070】
或いは、この円筒管はサファイアを含み得る。或いは、他の適した透明な材料に代えてもよい。
【0071】
本装置の絶縁性ハウジングはプラスチック及びセラミックの少なくとも1つを含み得る。例えば、この絶縁性ハウジングはULTEM(商標)プラスチックを含み得る。
【0072】
第1及び第2の電極はカソード及びアノードを含み得、該カソードは該アノードよりも短い長さを有し得る。この点で、短いカソードはフラッシュ中の急激な圧力変動及び応力に耐えるためにさらに大きな機械的強度を有し易い。
【0073】
第1の電極は突出長を有するカソードを含み得、それに沿ってカソードはエンベロープ内の装置の次の最も内側の構成要素を越えて、装置の中心に向かってエンベロープ内で軸方向に内側に突出する。
【0074】
この突出長はカソードの直径の2倍未満であり得る。したがって、このカソードは典型的な従来のカソードよりも、その厚さに対して短くなり得るので、その機械的強度は改善される。
【0075】
しかし、逆に、この電気アークは流れ発生器と第2の電極との間で発生するのを阻止するのに十分な長さであることが好ましい。このような長さは、流れ発生器が導体であり且つカソードとパルス電源との間の電気的接続部の一部を形成する実施例には好ましい。これはそのような実施例では流れ発生器はカソードと同じ電位であることによる。したがって、そのような実施例では、アノードとカソードとの間ではなく、アノードと流れ発生器との間にアークが確立されるのを阻止するのに十分な長さにカソードが確実になるようにすることが好ましい。
【0076】
突出長は少なくとも3.5cmであり得る。
【0077】
流れ発生器は、次の最も内側の構成要素を含み得る。流れ発生器を越えるカソードの突出長は、5cm未満であり得る。
【0078】
本発明の別の態様によれば、一般的なターゲットを照射するように構成された、本明細書に記載のような複数の装置を備えたシステムが提供される。一般的なターゲットは半導体ウエハを含み得る。
【0079】
複数の装置は互いに平衡に構成され得る。この場合、複数の装置の各々1つは複数の装置の隣接する1つと反対方向に整列されることが好ましい。したがって、複数の装置の各々1つのカソードは複数の装置の隣接する1つのアノードに隣接し得る。上記のように、プラズマ・アークによって発生する強磁界は、特に偶数個の装置がそのように整列されている場合には有利である。
【0080】
複数の装置の各々1つの第1の電極と第2の電極との間の軸線は、複数の装置の隣接する1つの第1の電極と第2の電極との間の軸線から1×10−1m未満離間され得る。電気的に絶縁されているという事実によって容易に得られるこのような近接した間隔は、単一のマルチランプ・システムにおいてさらに多くのランプを隣り合わせて位置決めすることを可能にする。
【0081】
本システムは複数の装置の各々の流れ発生器に液体を供給するように構成された単一の循環装置をさらに含み得る。この場合、単一の循環装置は複数の装置の各々の排出口から液体及びガスを受け取るように構成され得る。単一の循環装置はガスから液体を分離するように構成された分離器を含み得、また、液体から粒子汚染を除去するフィルタを含み得る。
【0082】
単一の循環装置は約1×10−5シマー/cm未満の導電率を有する水を液体として流れ発生器に供給するように構成され得る。この点で、そのような低い導電率を有する水は良好な絶縁体として働き易く、したがって、エンベロープ内で発生される強磁界において使用するのに有利である。
【0083】
本装置はエンベロープの外部にあって、第1の電極近傍から第2の電極近傍まで延在する導電性反射器をさらに含み得る。この場合、導電性反射器は接地されてよい。
【0084】
この装置は、液体の流れの一部分を収容するように構成された、電極の1つを越えて外方向に延在する排気チャンバを含み得る。上記のように、排気チャンバは、乱流がアークに及ぼす影響を低減することによって、連続用途及びフラッシュ用途の両方のための本装置の放射線出力の安定性及び再現性を改善し易いことは有利である。
【0085】
例えば、排気チャンバは電極の1つを越えて十分離れて軸方向に外側に延在して、排気チャンバ内の液体の流れの崩壊から生じる乱流から電極を絶縁し得る。
【0086】
流れ発生器は液体の流れから半径方向に内側にガスの流れを発生するように構成され得る。このような実施例では、排気チャンバは電極の1つをはるかに越えて十分に延びて、液体及びガスの流れの混ざり合いから生じる乱流から電極を絶縁し得る。
【0087】
電極はその間に放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成するように構成され得る。このような実施例では、排気チャンバは放電パルスから生じる圧力パルスによって外方向にやられる液体の体積を収容するように、十分な体積を有することが好ましい。有利には、上記のように、このような排気チャンバは、フラッシュから生じるピーク内圧を低減させ易くし、これによってエンベロープ及び他の構成要素に加えられる機械的応力は低減され、またフラッシュの圧力の上昇によって軸方向に外側に追いやられる水を電極を越えて流れ続けさせることによって、そのような水が電極に跳ね返る傾向を抑える。またこれは電極寿命を延ばし易くすると共に、アークが急冷又は消される可能性を抑える。
【0088】
本装置は電極と電気的に連通する複数の電源回路をさらに含み得る。例えば、複数の電源回路は第1の電極と第2の電極との間に放電パルスを発生して放射線フラッシュを生成するように構成されたパルス供給回路を含み得る。この複数の電源回路は第1の電極と第2の電極との間にアイドル電流を発生するように構成されたアイドル電流回路をさらに含み得る。複数の電源回路は、第1の電極と第2の電極との間に開始電流を発生するように構成された開始回路も含み得る。この複数の電源回路は、第1の電極と第2の電極との間に維持電流を発生するように構成された維持回路をさらに含み得る。
【0089】
このような実施例では、本装置は複数の電源回路の少なくとも1つから複数の電源回路の他の少なくとも1つを絶縁するように構成された絶縁体を含むことが好ましい。この絶縁体はメカニカル・スイッチを含み得る。別の場合には、又はそれに加えて、絶縁体はダイオードを含んでよい。
【0090】
電極の各々はそこを通る冷却液の流れを受け取る冷却液通路を含み得る。
【0091】
また、電極の少なくとも1つは少なくとも1cmの厚さを有するタングステン先端部を含み得る。
【0092】
本明細書中で先に考察した理由で、このような電極は従来の電極よりも長い寿命を有し易いことは有利である。
【0093】
この電極は放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成するように構成され得る。このような実施例では、本装置は第1の電極と第2の電極との間にアイドル電流を発生するように構成されたアイドル電流回路をさらに備え得る。このアイドル電流回路は放電パルスに先行してアイドル電流をある時間間隔だけ発生するように構成され得る。この時間間隔は液体の流れがエンベロープを移動するのに必要な流体通過時間よりも長い。例えば、液体の流れがエンベロープを3×10ミリ秒で横断する実施例では、アイドル電流回路はアイドル電流を少なくとも3×10ミリ秒間発生するように構成される。
【0094】
このアイドル電流回路はアイドル電流として、少なくとも約1×10Aの電流を発生するように構成され得る。この点で、上記のように、電極内の冷却液通路は従来の電極がそのような高いアイドル電流を受け易い場合に生じ易い重大な溶解又はスパッタリングを生じることなく、従来のフラッシュランプよりもいっそう高いアイドル又はシマー電流を可能にする。本明細書中で先に考察した理由のために、このような高いアイドル電流によって、結果として、装置によって発生されるフラッシュの一貫性及び再現性はより大きくなると共に、電極材料の損失を低減させ易くなるので電極寿命が延びることは有利である。
【0095】
このアイドル電流回路はアイドル電流として、少なくとも約4×10Aの電流を少なくとも約1×10ミリ秒間発生するように構成され得る。
【0096】
或いは、特定の用途のために、他の適したアイドル電流及び持続時間に代えてよい。
【0097】
本発明の別の態様によれば、電磁放射線を発生する装置が提供される。この装置はエンベロープの内面に沿って液体の流れを発生する電気的に絶縁された手段を備える。この装置はエンベロープ内で電気アークを発生して電磁放射線を生成する手段をさらに備える。
【0098】
本発明の別の態様によれば、電磁放射線を発生する方法が提供される。この方法は電気的に絶縁された流れ発生器を用いて、エンベロープの内面に沿って液体の流れを発生することを含む。この方法は第1の電極と第2の電極との間に電気アークを発生させて電磁放射線を生成することをさらに含む。
【0099】
本発明の別の態様によれば、本明細書中に記載のような複数の装置を制御して一般的なターゲットを照射することを含む方法が提供される。一般的なターゲットには例えば半導体ウエハを含み得る。
【0100】
制御には複数の装置の各々1つに、複数の装置の各々隣接する1つの電気アークの方向とは反対の方向に電気アークを発生させることを含み得る。上記のように、このような構成によって、隣接するアークによって生じる強磁界を互いに打ち消させることが可能となる。
【0101】
本方法は電極の1つを越えて外方向に延在する排気チャンバ内で液体の流れの一部分を収容することを含み得る。これには排気チャンバ内の液体の流れの崩壊から生じる乱流から電極の1つを絶縁することを含み得る。
【0102】
この方法は液体の流れから半径方向に内側にガスの流れを発生させることを含み得、収容には液体及びガスの流れの崩壊から生じる乱流から電極の1つを絶縁することを含み得る。
【0103】
電気アークの発生には放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成することを含み得、収容には放電パルスから生じる圧力パルスによって外方向に押しやられる液体の体積を収容することを含み得る。有利には、上記のように、これは、エンベロープに対する機械的応力を低減させ且つ液体の電極への跳ね返りの可能性を抑えることによって、エンベロープ及び電極の寿命を延ばし易くする。
【0104】
本方法は複数の電源回路の少なくとも1つを複数の他の電源回路から絶縁することをさらに含み得る。
【0105】
本方法は第1及び第2の電極を冷却することをさらに含み得る。冷却には第1及び第2の電極の個々の冷却液通路に冷却液を循環させることを含み得る。
【0106】
電気アークの発生には放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成することを含み得、本方法は第1の電極と第2の電極との間にアイドル電流を発生することをさらに含み得る。この方法は放電パルスに先行して、ある時間間隔だけアイドル電流を発生することをさらに含み得る。この時間間隔は液体の流れがエンベロープを移動するのに必要な流体通過時間よりも長い。例えばこれには、少なくとも3×10ミリ秒間アイドル電流を発生させることを含み得る。発生にはアイドル電流として、少なくとも約1×10Aの電流を発生させることを含み得る。例えば、これはアイドル電流として、少なくとも約4×10Aを少なくとも約1×10ミリ秒間発生させることを含み得る。上記のように、このような大きなアイドル電流は、従来のフラッシュランプと比べて、フラッシュの一貫性及び再現性を増強し易い。
【0107】
本発明の別の態様によれば、電磁放射線を発生する装置が提供される。この装置はエンベロープの内面に沿って液体の流れを発生させるように構成された流れ発生器を含む。本装置はエンベロープ内で放電パルスを発生して放射線フラッシュを生成するように構成された第1及び第2の電極をさらに備える。該パルスは、電極に、その連続動作中に電極によって放出されるものとは異なる粒子汚染を放出させる。本装置は液体から粒子汚染を除去するように構成された除去装置も備える。
【0108】
したがって、有利には、そのような粒子汚染を除去するように構成されていない従来の連続DC水壁式アーク・ランプとは対照的に、このような装置はそのような粒子汚染が液体の流れ内に蓄積しないようにすることができ、これによって装置の出力及びスペクトルの一貫性は保持される。
【0109】
除去装置は液体から粒子汚染を濾過するように構成されたフィルタを含み得る。例えば、このフィルタは2μmもの小さい粒子を濾過するように構成され得る。さらに具体的には、このフィルタは1μmもの小さい粒子を濾過するように構成され得る。またさらに具体的には、このフィルタは0.5μmもの小さい粒子を濾過するように構成され得る。
【0110】
或いは、又はそれに加えて、本除去装置は流体循環システムの廃棄弁を含み得る。この廃棄弁は液体がエンベロープを移動するのに必要な少なくとも流体通過時間の間、液体の流れを廃棄するように動作可能である。例えば、液体の流れが典型的には装置を横断するのに30ミリ秒必要とする場合、フラッシュ時にエンベロープに存在する汚染の可能性のある液体を廃棄するために、廃棄弁はフラッシュと同時的又は同時発生的に開放され得、少なくとも流体通過時間の間(この実施例では30ミリ秒)開放されたままになり得る。
【0111】
本発明の別の態様によれば、放射線フラッシュを発生する装置が提供される。本装置はエンベロープの内面に沿って液体の流れを発生させる手段を含む。本装置はエンベロープ内で放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成する手段をさらに含む。該パルスは、発生させる手段に、その連続動作中に発生させる手段によって放出されるものとは異なる粒子汚染を放出させる。本装置は液体から粒子汚染を除去するように構成された除去装置も備える。
【0112】
本発明の別の態様によれば、放射線フラッシュを発生する方法が提供される。本方法はエンベロープの内面に沿って液体の流れを発生させることを含む。本方法はエンベロープ内で第1の電極と第2の電極との間に放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成することをさらに含む。該パルスは、電極に、その連続動作中に電極によって放出されるものとは異なる粒子汚染を放出させる。本方法は液体から粒子汚染を除去することも含む。
【0113】
除去には液体からの粒子汚染を濾過することも含み得る。濾過には2μmもの小さい粒子を濾過することを含み得る。例えば、濾過には1μmもの小さい粒子を濾過することを含み得る。さらに具体的には、濾過には0.5μmもの小さい粒子を濾過することを含み得る。
【0114】
或いは、又はそれに加えて、除去には液体の流れがエンベロープを移動するのに必要な少なくとも流体通過時間の間、液体の流れを廃棄することを含み得る。
【0115】
本明細書においては本発明の好適な実施例の観点で数多くのフィーチャを組み合わせて示し、説明してきたが、多数のそのようなフィーチャは必要に応じて互いに独立して使用されてよいことを理解されたい。
【0116】
本発明の他の態様及びフィーチャは、添付図面と共に以下の本発明の具体的な実施例の説明を検討すれば、当業者には明らかとなろう。
【実施例】
【0117】
図1を参照すると、本発明の第1の実施例の電磁放射線を発生させる装置が全体的に100で示されている。本実施例では、装置100はエンベロープ104の内面102に沿って液体の流れを発生するように構成された流れ発生器(図1には図示せず)を備える。この装置100は、本実施例ではカソード106及びアノード108をそれぞれ含んだ第1及び第2の電極を備える。該カソード及びアノードはエンベロープ104内で電気アークを発生させて電磁放射線を生成するように構成されている。本実施例では、装置100は、液体の流れの一部分を収容するように構成された電極の1つを越えて外方向に延在する、全体的に110で示した排気チャンバをさらに備える。
【0118】
さらに具体的には、本実施例では、排気チャンバ110はアノード108を越えて軸方向に外側に延在する。本実施例では、排気チャンバ110はアノード108をはるかに十分に越えて軸方向に外側に延在して、排気チャンバ110内の液体の流れの崩壊から生じる乱流からアノード108を絶縁する。
【0119】
本実施例では、電極、すなわちさらに具体的にはカソード106及びアノード108は、放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成するように構成されている。また本実施例では、排気チャンバ110は、放電パルスから生じる圧力パルスによって外側に押しやられる液体の体積を収容するのに十分な体積を有する。上記のように、排気チャンバ110は、エンベロープに及ぶ機械的応力を低減させること及び電極への液体の跳ね返りの可能性を抑えることによって、エンベロープ104及び電極の寿命を延ばし易いことは有利である。
【0120】
本実施例では、装置100は全体的に112で示したカソード側と全体的に114で示したアノード側とを含む。本実施例では導電性反射器116を含む反射器が、カソード側及びアノード側を共に接続する。本実施例では、この導電性反射器116は電気的に接地されている。
【0121】
本実施例では、カソード側112は、本実施例では導電性反射器116にボルト締めされた絶縁性ハウジング118を備える。アノード側114は反射器116と排気チャンバ110との間で接続された第1及び第2のアノード収容部材120及び122を備える。
【0122】
図2を参照すると、装置100が全体的に130で示した電源システムと電気的に連通し、且つ全体的に140で示した流体循環システムと流体的に連通しているのが示されている。
【0123】
本実施例では、装置100は図2に150で示した流れ発生器を備える。本実施例では、該流れ発生器は電気的に絶縁されている。
【0124】
本実施例では、流れ発生器150は装置100のカソード側112内に含まれる。本実施例の流れ発生器150は流れ発生器150を電源システム130に接続する電気的接続部152を含む。流れ発生器150は流体循環システム140から液体及びガスをそれぞれ受け取る、液体入口154及びガス入口156をさらに含む。流れ発生器150はカソード冷却液を流体循環システムに返送する液体出口158をさらに含む。
【0125】
本実施例では、流体循環システム140は、上記の米国特許に記載のものの類似する分離及び精製システム142を備える。一般に、分離及び精製システム142は、本明細書中及び上記米国特許に記載のように、装置100の排気チャンバ110から液体及びガスを受け取り、ガスから液体を分離し、液体及びガスの両方を冷却し、液体及びガスを濾過及び精製し、液体及びガスを流れ発生器150まで再循環させて液体及びガスの渦巻き状の流れの形態で装置100を再循環させる。また、本実施例では、分離及び精製システムはカソード106から液体出口158を介して且つアノード108から排気チャンバ110を介して、冷却液を受け取る。受け取られた冷却液は同様に冷却及び精製され、次いで、流れ発生器150及び第2のアノード収容部材122へと戻されて、カソード及びアノードの内部冷却通路(図2には図示せず)を再循環させられる。
【0126】
本実施例では、エンベロープ104内の第1の電極と第2の電極との間で発生されて放射線フラッシュを生成する放電パルスは、その連続動作中の電極によって放出されるものとは異なる粒子汚染を電極に放出させる。さらに具体的には、本発明者らは、カソード及びアノードによって放出される粒子汚染が典型的には5μm以下の粒子を含まない連続DC動作とは対照的に、そのような放電パルスはカソード106及びアノード108に0.5〜2.0μmほどの小さな粒子を含んだ粒子汚染を放出させることを見出した。
【0127】
したがって、本実施例では、装置100はそのような異なった粒子汚染を排気チャンバ110から受け取った液体から除去するように構成された少なくとも1つの除去装置を備える。さらに具体的には、本実施例では、装置100の流体循環システム140はそのような2つの除去装置、すなわち、分離及び精製システム142内のフィルタ144、及び廃棄弁160を備える。
【0128】
廃棄弁160は入口162を含み、この入口を介して該廃棄弁は装置100の排気チャンバ110から液体及びガスを受け取る。この廃棄弁は再循環出口164をさらに含み、この出口を介して該廃棄弁は受け取った液体及びガスを分離及び精製システム142へと送る。廃棄弁160は廃棄物出口166も含み、この出口を介して該廃棄弁は必要に応じて受け取った液体及びガスを廃棄する。初期設定では、再循環出口164は開いており、廃棄物出口166は閉じている。しかし、本実施例では、この廃棄弁は液体の流れがエンベロープ104を移動するのに必要な少なくとも流体通過時間の間だけ、排気チャンバ110から受け取った液体の流れを廃棄するように動作可能である。さらに具体的には、本実施例では、エンベロープ104を横断する渦巻き状の液体の流れの通過時間は、約30ミリ秒である。したがって、各放電パルスの後に、廃棄弁160は少なくとも30ミリ秒間だけ、再循環出口164を閉鎖し且つ廃棄物出口166を開放するように制御可能である。さらに具体的には、本実施例では、放電パルス時にエンベロープ104内に存在する液体の全部が廃棄されるのに十分な時間を可能にするために、この廃棄弁は各放電パルスの後に少なくとも100ミリ秒間だけ、再循環出口164を閉鎖状態に且つ廃棄物出口166を開放状態に維持するように制御可能である。
【0129】
本実施例では、廃棄弁160の起動は主コントローラ170によって制御され、該コントローラは装置100の電源システム130、分離及び精製システム142及び種々のセンサ(図示せず)とも連通している。本実施例では、主コントローラ170は、本実施例ではマイクロプロセッサを有するプロセッサ回路172を含んだ制御コンピュータを備える。このプロセッサ回路172は、本実施例ではハード・ディスク・ドライブを含むコンピュータ読み取り可能な媒体174に格納された実行可能なコードによって構成されて、本実施例の種々の要素を制御して本明細書中に記載の機能を実行する。或いは、他の適したシステム・コントローラ、他のコンピュータ読み取り可能な媒体、或いは通信メディア又は搬送波において具現化される信号を生成して本明細書中に記載の機能を実行するようにコントローラに命令する他の方法に代えてよい。
【0130】
本実施例では、フィルタ144は液体から粒子汚染を濾過するように構成される。したがって、本実施例では、フィルタは2μmもの小さい粒子を液体から濾過するように構成される。さらに具体的には、本実施例では、少なくとも1μmもの小さい粒子を液体から濾過するように構成される。またさらに具体的には、本実施例では、フィルタは少なくとも0.5μmもの小さい粒子を液体から濾過するように構成される。
【0131】
本実施例では、流体循環システム140の分離及び精製システム142は、エンベロープ104の内面102に沿った渦巻き状の液体の流れに必要な液体のほかカソード106用の冷却液を提供するために、流れ発生器150の液体入口154に液体を運ぶ主液体出口180を含む。この分離及び精製システム142は、流れ発生器150のガス入口156にガスを運ぶガス出口182及び第2のアノード収容部材122を介してアノード108にアノード冷却液を運ぶ第2の液体出口184をさらに含む。本システム142は、流れ発生器150の液体出口158を介してカソード106から冷却液を受け取る冷却液入口186及び廃棄弁160を介して排気チャンバ110から液体及びガスを受け取る主入口188をさらに含む。本システム142は、各フラッシュの後に廃棄弁160によって廃棄された量に取って代わる液体及びガスの補充供給を受け取るための、液体補充入口190及びガス補充入口192も含む。
【0132】
本実施例では、液体補充入口190は、渦巻き状の液体の流れ及び電極冷却液の両方として働く精製水の供給と連通している。さらに具体的には、本実施例では、この精製水は約10μS/cm未満の導電率を有する。またさらに具体的には、本実施例では、精製水の導電率は約5〜約10μS/cmである。このような低導電率の水は良好な絶縁体として働き、したがって、水がエンベロープ104内の強電界に曝される本実施例で使用されるのに有利である。或いは、必要に応じて、特定の用途のために他の適した液体に代えてよい。
【0133】
本実施例では、ガス補充入口192は、本実施例ではアルゴンである不活性ガスの供給と連通する。本実施例では、キセノン又はクリプトンなどの他の不活性ガスと比べて、アルゴンは比較的低コストであるので好ましい。しかし別の場合には、必要に応じて、他の適したガス又はガス混合物に代えてよい。
【0134】
本実施例では、電源システム130はカソード106と連通する負極端子とアノード108と連通する正極端子134とを備える。さらに具体的には、本実施例では、負極端子132は流れ発生器150の電気的接続部152に接続されており、本実施例では、該負極端子は導体を含み、カソード106と電気的に連通する。同様に、本実施例では、正極端子134が第2のアノード収容部材122に接続されており、該正極端子も導体を含み、アノード108と電気的に連通している。この実施例では、正極端子134は電気的に接地され、任意の所定の電圧は接地された正極端子134に対して負極端子132の電位を下げることによって発生される。したがって、本実施例では、第2のアノード収容部材122及び反射器116など装置100の外部に露出した導電性構成要素は同じ(接地)電位に維持される。
【0135】
カソード側
図1〜3を参照すると、装置100のカソード側112が図3にさらに詳細に示されている。本実施例では、カソード側112は、本実施例では電気的に絶縁された流れ発生器150を備え、エンベロープ104の内面102に沿って液体の流れを発生するように構成されている。
【0136】
本実施例では、電気的に絶縁された流れ発生器150は導体を備える。さらに具体的には、本実施例では、流れ発生器150は真鍮から構成される。この点で、真鍮はフラッシュから生じる機械的応力に耐えるのに適した機械的強度を有し、カソード106と電源システム130との間で導電性経路として働く。この負極端子132は流れ発生器150に、その電気的接続部152において接続されている(図3に示した断面図の平面内にはないので、図2に示した電気的接続部152及び液体出口158は図3には示していない)。したがって、本実施例では、以下にさらに詳細に記載するような液体及びガスの渦巻き状の流れを発生させることに加え、流れ発生器150及びその電気的接続部152はカソード106への電気的接続部として働く。或いは、真鍮の代わりに、流れ発生器150は1つ又は複数の他の適した導体を含んでよい。
【0137】
或いは、さらに別の場合には、本実施例の場合のように絶縁性材料によって囲繞されるのではなく、流れ発生器150は電気絶縁性材料から構成されるか又は電気絶縁性材料を含んでいるという点によって電気的に絶縁され得る。この場合、必要に応じて、カソードへの電気的接続部が付加的な配線を通して設けられてよい。
【0138】
流れ発生器150が導体である本実施例では、カソード側112は流れ発生器150を囲繞する電気的絶縁部を含む。さらに具体的には、本実施例では、流れ発生器150を囲繞する電気的絶縁部はエンベロープ104を含み、絶縁性ハウジング118をさらに含む。図3に示したように、本実施例では、絶縁性ハウジング118はエンベロープ104の少なくとも一部を囲繞するか、又はさらに具体的には、エンベロープ104の端部部分300を囲繞する。
【0139】
本実施例では、絶縁性ハウジング118は、プラスチック及びセラミックの少なくとも1つを含む。さらに具体的には、本実施例では、絶縁性ハウジング118はULTEM(商標)プラスチックから構成される。或いは、例えば他の適したプラスチック又はセラミックなどの、他の適した絶縁性材料に代えてよい。
【0140】
本実施例では、エンベロープ104は透明な円筒管を含む。本実施例では、円筒管は少なくとも4mmの厚さを有する。さらに具体的には、本実施例では、円筒管は少なくとも5mmの厚さを有する。またさらに具体的には、本実施例では、円筒管は5mmの厚さを有し、45mmの内径及び55mmの外径を有する。先に記載したように、従来のフラッシュランプの管におけるプラズマで加熱された内面と冷却された外面との間には温度勾配があるために、3mmより厚い管は一般にフラッシュランプ用途には不適切であるとみなされていることが理解されよう。エンベロープ104の内面102に沿った渦巻き状の液体の流れはそのような温度勾配を低減させ、これによって、より厚い管をエンベロープ104として用いることが可能となる。したがって、本実施例のエンベロープ104は厚みがあるので、従来のフラッシュランプ管よりも高い機械的強度を有し、したがって、フラッシュによって生じる圧力の急激な変動に伴う機械的応力によりよく耐えることができる。
【0141】
本実施例では、エンベロープ104は精密内径円筒管を含む。さらに具体的には、本実施例では、この精密内径円筒管は少なくとも0.05mmほど小さい寸法公差を有する。この点で、このような精密内径はより信頼できるシールを提供して、フラッシュ中のエンベロープ内の高圧力に耐え易い。また、エンベロープの内面の滑らかさが増強されていることによって、エンベロープの内面に沿って流れる渦巻き状の液体の流れの性能は向上し易く、電極腐食を低減させ易くもなる。
【0142】
実施例では、エンベロープ104、すなわち具体的には精密内径円筒管は石英管を含む。さらに具体的には、本実施例では、先に記載したソラリゼーション/変色の問題を回避するために、石英管はセリウム酸化物でドープされたセリウム・ドープ石英管を含む。したがって、本実施例では、そのようなソラリゼーション/変色を回避することによって、装置100によって生成されるフラッシュの出力スペクトルの一貫性及び再現性が改善される。或いは、エンベロープ104は例えば合成石英などの純粋石英を含み得る。これもソラリゼーション/変色の不利を回避し易い。しかし、別の場合には、エンベロープ104は、スペクトルの一貫性及び再現性が特定の用途にとって重要でない場合、例えば一般的な透明な融解石英などのソラリゼーションを被る材料を含み得る。さらに一般的には、必要があれば、特定の用途に必要な機械的及び熱的強固性に応じて、例えばサファイアなどの他の透明な材料に代えてよい。
【0143】
本実施例では、電気的絶縁部、つまりさらに具体的にはエンベロープ104及び絶縁性ハウジング118は、カソード106及び該カソードへの電気的接続部を囲繞する。上記のように、本実施例では、カソード106への電気的接続部は流れ発生器150及び電気的接続部152(図3の断面図の平面には示さず)を含む。カソード106はこの電気的接続部を通って図2に示した電源システム130の負極端子132に電気的に連通している。
【0144】
この実施例では、流れ発生器150を囲繞する電気的絶縁部は、絶縁性ハウジング118とエンベロープ104の端部部分300との間の空隙にガスをさらに含む。さらに具体的には、本実施例では、装置100は、絶縁性ハウジング118の内面306及びエンベロープ104の端部部分300の外面308と協働して空隙にガスを密封する、1対の離間されたシール302及び304を含む。本実施例では、このガスは圧縮されている。さらに具体的には、本実施例では、ガスは圧縮窒素である。表面306及び表面308とシール302及び304との間の空隙を圧縮窒素で加圧するために、絶縁性ハウジング118は入口弁310及び出口弁312を備える。本実施例では、シール302と304との間の窒素圧は、エンベロープ104内の典型的な圧力よりも高く維持される。さらに具体的には、本実施例では、エンベロープ内の圧力は典型的には約2気圧であり、シール間の窒素ガス圧はこの圧力の約3倍、すなわち約6気圧に維持される。シール302と304との間の空隙にある加圧された絶縁は、空隙をきれいに且つ乾燥した状態に保ち、アークのための理想的な開始条件のセットを提供し易くすることが見出された。
【0145】
本実施例では、シール302及び304はO−リングを含むが、別の場合には、他の適したシールに代えてよい。
【0146】
図2、3、4及び5を参照すると、エンベロープ104の内面102上に液体の流れを発生させることに加え、本実施例では、流れ発生器150は、液体の流れから半径方向に内側にガスの流れを発生するようにも構成されている。したがって、本実施例では、排気チャンバ110はアノード108をはるかに越えて十分に延在して、排気チャンバ110内の液体の流れとガスの流れとの混ざり合いから生じる乱流からアノード108を絶縁する。
【0147】
図3、4及び5を参照すると、液体及びガスの流れを発生させるために、本実施例では、流れ発生器150は、ガス渦巻き流発生器322及び液体渦巻き流発生器324に螺合接続された流れ発生器コア320を含む。本実施例では、ガス渦巻き流発生器及び液体渦巻き流発生器は、渦巻き状の液体及びガスの流れとは反対方向に螺子絞めされているので、液体及びガスの流れからの反動的圧力は、ねじ締めされた接続部を緩めるのではなく締めつけ易い回転方向である。或いは、ガス渦巻き流発生器及び液体渦巻き流発生器をコアに接続する他の適した方法に代えてよい。
【0148】
本実施例では、固定リング321が、流れ発生器コア320が絶縁性ハウジング118で緩むのを阻止する。本実施例ではO−リングを含んだシール326が、流れ発生器コア320とエンベロープ104の内面102との間を密封する。
【0149】
また、本実施例では、ワッシャ329がエンベロープ104の外端部と絶縁性ハウジング118との間に挿置されている。本実施例では、ワッシャ329はTeflonを含むが、別の場合には、他の適した材料に代えてよい。
【0150】
さらなるシール330が流れ発生器コア320と液体渦巻き流発生器324との間を密封する。
【0151】
図2〜5を参照すると、本実施例では、エンベロープの104の内面102上に渦巻き状の液体の流れを発生させるために、流体循環システム140からの加圧された液体が、液体入口154を介して流れ発生器150で受け取られる。この加圧された液体は流れ発生器コア320内に定められた液体取込み通路340を移動する。液体の一部は、流れ発生器コア320の本体を通って流れ発生器コア320と液体渦巻き流発生器324との間に定められたマニホールド空間346へと延びている、342及び344で示したような複数の穴を通される。このマニホールド空間346から、液体は液体渦巻き流発生器324の本体を通って延びる348及び350で示したような複数の穴を通される(穴350は図3〜5の断面図の平面にはないが、その一部は図4のマニホールド空間346を通して見ることができる)。液体渦巻き流発生器324の本体を通っている、穴348及び350並びに他の同様の穴の各々は、液体が穴を通されるときに、エンベロープに対して半径方向及び軸方向の成分だけでなく、エンベロープの内面102の周縁部に対して接線方向の速度成分を持った速度を液体が得るように、角度がつけられている。したがって、加圧された液体が穴348、350及び他の類似する穴を出るとき、その液体は渦巻き状の液体の壁を形成し、アノード108に向かって軸方向にエンベロープを横断するときにエンベロープ104の内面102の周りを循環する。
【0152】
本実施例では、電極の各々は、そこを通る冷却液の流れを受け取る冷却液通路を含む。さらに具体的には、本実施例では、上記のような渦巻き状の液体の流れを形成するために穴342及び344を通って液体取込み通路340を出て行く入ってくる液体の部分に加え、液体取込み通路340を流れる液体の残りの部分はカソード冷却液通路360へと送られ、カソード106を冷却するための冷却液として働く。
【0153】
本実施例では、カソード106は本実施例では真鍮である中空のカソード・パイプ362を含む。カソード・パイプ362の開放された外端部は、カソード・パイプと流れ発生器コアとの間がシール363で密封された状態で、流れ発生器コア320を貫通して定められた開口部内に螺合されている。本実施例では真鍮でもあるカソード・インサート364はカソード・パイプ362の内端部と螺接されている。カソード106はカソード・パイプ362を囲繞するカソード・ボディ376をさらに含む。本実施例では真鍮であるカソード・ボディ376は、カソード・ボディと流れ発生器コアとの間がシール377で密封された状態で、流れ発生器コア320を貫通して定められた開口部のより幅広い部分内に螺合されている。本実施例では、カソード106は、カソード・ボディ376へ螺接され且つカソード・インサート364を囲繞するカソード・ヘッド370をさらに含む。カソード先端部372はカソード・ヘッド370へ取りつけられている。本実施例では、カソード・ヘッド370及びカソード先端部372は共に導体である。さらに具体的には、本実施例では、カソード・ヘッド370は銅を含み、カソード先端部372はタングステンを含む。したがって、図2〜4を参照すると、電気経路は電源システム130の負極端子132から電気的接続部152及び流れ発生器コア320を通り、カソード・ボディ376及びカソード・ヘッド370を通ってカソード先端部372まで形成されているので、電子を負極端子132からカソード先端部372まで流してカソード106とアノード108との間にアークを確立することが可能であることを理解されたい。
【0154】
必要に応じて、これら種々の螺合接続に代えて、他の適したタイプの接続部に代えてよい。例えば、必要に応じて、カソード・ヘッド370をカソード・ボディ376にはんだ付けするか又は溶接することができる。
【0155】
本実施例では、カソード冷却液通路360が中空のカソード・パイプ362内に定められている。冷却液は冷却液通路360を通って中空のカソード・インサート364内へと流れ続ける。この冷却液はカソード・インサート364を貫通して定められた穴366を通って、カソード・インサート364とカソード先端部372が設置されたカソード・ヘッド370との間に定められた空隙368へと移動する。したがって、冷却液が空隙368を移動するとき、冷却液はカソード・ヘッド370から、故にカソード先端部372から間接的に熱を除去する。アノード108の同様のヘッドに関連して以下でさらに詳細に考察するように、本実施例では、カソード・ヘッド370の内面(図示せず)は、冷却液の流れを所望の方向に方向付ける複数の平行な溝(図示せず)を有する。この冷却液は溝によって空隙368を通り、次いでカソード・パイプ362とカソード・ボディ376との間に定められた空隙374まで導かれる。この空隙374から、冷却液は流れ発生器コア320内に定められた冷却液出口通路(図3〜5の断面図の平面には示さず)に入る。この出口通路は図2に示した液体出口158へと通じており、冷却液はこの出口通路を介して流体循環システム140の分離及び精製システム142の冷却液入口186まで戻される。
【0156】
本実施例では、タングステン・カソード先端部372は少なくとも1cmの厚さを有する。したがって、本明細書において先に考察したように、上記のようなカソード106の液体冷却と比較的厚いタングステン・カソード先端部372との組合せが、カソード106に従来の電極よりも長い寿命を提供し易いことは有利である。
【0157】
本実施例では、ガス渦巻き流発生器322は、液体渦巻き流発生器324が上記のような渦巻き状の液体の流れを発生させるのと同様の様式で、ガスの渦巻き状の流れを発生させる。本実施例では、加圧ガスは分離及び精製システム142のガス出口182から、流れ発生器150のガス入口156において受け取られる。加圧ガスは流れ発生器コア320内に定められたガス取込み通路380を移動し、最終的にはガス渦巻き流発生器322のボディを貫通して延びる382で示したような複数の穴を介してガス取込み通路を出て行く(この穴382は図3〜5の断面図の平面にはないが、図4に見ることができる)。加圧ガスは穴382及び同様の穴を通って出て行き、液体渦巻き流発生器324の内面384に衝突する。液体渦巻き流発生器324の穴348及び350と同様、出て行くガスがエンベロープに対して軸方向及び半径方向の速度成分を有するだけでなく、液体渦巻き流発生器324の内面384の周縁に対して接線方向の速度成分も有するように、ガス渦巻き流発生器322の穴382及び他の同様の穴は角度が付いている。したがって、ガスが穴382及び他の類似する穴を通って押し出されるとき、ガスは渦巻き状のガス流を形成し、ガスがエンベロープ104を軸方向に横断するときに周縁方向の周りを回る。本実施例では、ガス渦巻き流発生器322の穴382及び同様の穴の角度は、液体及びガスの渦巻きがそれらがエンベロープを横断するのと同じ方向に回転するように、液体渦巻き流発生器324の穴348及び350並びに同様の穴と同じ方向に角度付けられている。
【0158】
図3及び4に戻ると、本実施例では、カソード106は突出長を有し、これに沿ってエンベロープ内の装置の次の最も内側の構成要素を越えて、装置100の中心に向かってエンベロープ104内で軸方向に内側に突出する。本実施例では、この次の最も内側の構成要素は流れ発生器150、又はさらに具体的には該流れ発生器の液体渦巻き流発生器324である。
【0159】
この本実施例では、カソードの突出長はカソード106の直径の2倍未満である。したがって、カソード106は従来のカソードのその直径に比べて短く、このことがフラッシュに関連する大きくて急激な圧力変動に耐えるためのさらに大きな剛性及び機械的強度をカソードに与えている。絶対的には、本実施例では、流れ発生器を越えるカソードの突出長は5cm未満である。
【0160】
しかし同時に、本実施例では、カソードとアノードの間ではなく、カソード106の突出長は流れ発生器150とアノード108との間に放電パルスが生じるのを阻止するのに十分な長さである。さらに具体的には、この実施例では、突出長は少なくとも3.5cmである。
【0161】
本実施例では、カソード106のカソード先端部372は少なくとも1cmの厚さを有する。したがって、本明細書において先に考察したように、以下に記載のようなカソード106の液体冷却と比較的厚いタングステン・カソード先端部372との組合せが、カソード106に従来の電極よりも長い寿命を提供し易いことは有利である。
【0162】
アノード側
図2及び7〜10を参照すると、装置100のアノード側114は図7にさらに詳細に示されている。全体的に、本実施例では、アノード側114はアノード108、反射器116、第1及び第2のアノード収容部材120及び122、並びに排気チャンバ110を備える。
【0163】
本実施例では、排気チャンバ110は内面700を有し、本実施例では半径方向に内側にテーパー状であると同時にアノード108を越えて軸方向に外側に延びる、円錐台形状を有する。しかし、別の場合には、この内面は円筒形であり得るか、又は、内側ではなく外側にテーパー状になり得る。アークが確立されたときに、(ガス及び水の混合物ではなく)ガスをエンベロープ104内へと引き戻させることができるので、渦巻き状の液体が排気チャンバ110内の渦巻き状のガスの流れから分離され続けるように、排気チャンバ110の内面700は、液体の流れをエンベロープ104を出た後に内面700に沿って渦巻き状であり続けさせるように構成されるのが好ましい。
【0164】
本実施例では、排気チャンバ110は、本実施例ではステンレス鋼製取付部品である取付部品702に接続されている。本実施例ではO−リングを含んだシール703が排気チャンバ110の内面700と取付部品702との間を密封する。取付部品702はホースに接続されており、排気チャンバ110を出る液体及びガスの渦巻き状の流れはそのホースを通って流体循環システム140に戻される。
【0165】
図7及び8を参照すると、実施例では、アノード108はカソード106に多少類似しているが、本実施例では、カソード106はアノード108よりも長さが短い。さらに具体的には、本実施例では、アノード108はアノード・パイプ704を含み、この外端部は第2のアノード収容部材122を貫通して定められた開口部に螺合されている。シール706はアノード・パイプ704の外端部と第2のアノード収容部材122との間を密封する。アノード108はアノード・ボディ708をさらに含み、アノード・ボディ708と第2のアノード・ハウジング122との間がシール710で密封された状態で、第2のアノード・ハウジング122を貫通して定められた開口部のより幅広い部分内に螺合されている。アノード・パイプ704はアノード・インサート712へ螺接され、アノード・ボディ708はアノード先端部716が設置されたアノード・ヘッド714に螺接されている。アノード・ボディ708及びアノード・ヘッド714は、アノード・パイプ704及びアノード・インサート712を囲繞する。また、カソードの場合のように、必要に応じて、上記の螺接に代わって、はんだ付け又は溶接のような他の適したタイプの接続に代えられてよい。
【0166】
本実施例では、アノード・パイプ704、アノード・ボディ708及びアノード・インサート712は真鍮から作製され、アノード・ヘッド714は銅から作製され、アノード先端部716はタングステンから作製される。別の場合には、必要に応じて他の適した材料に代えられてよい。本実施例では、タングステン・アノード先端部716は少なくとも1cmの厚さを有する。したがって、本明細書中で先に考察したように、以下に記載のようなアノード108の液冷と比較的厚いタングステン・アノード先端部716とを組み合わせることによってアノード108に従来の電極よりもさらに長い寿命を与え易いことは有利である。
【0167】
図2、7、8及び11〜13を参照すると、アノード108に冷却液の流れを供給するために、本実施例では、装置100のアノード側114は第2のアノード・ハウジング122に設置された図7に示した、液体入口720を備える。液体入口720は図2に示した分離及び精製システム142の液体出口184から加圧冷却液を受け取る。この冷却液は液体入口720を介して、第2のアノード・ハウジング122内に定められた冷却液導管722まで運ばれる。冷却液導管722はアノード・パイプ704の外面とアノード・ボディ708の内面との間に定められた空隙732に液体を運ぶ。
【0168】
図3の下半分に示した空隙732の第1の部分を移動する加圧冷却液の第1の部分は、アノード・インサート712とアノード・ヘッド714との間に定められた空隙728に入る。液体が空隙728を移動するとき、液体はアノード・ヘッド714から、故にアノード先端部716から熱を移動する。図13に示したように、本実施例では、アノード・ヘッド714内面730は冷却液を所望の方向に方向付ける複数の平行な溝を含む。図7に示したように、これらの溝は冷却液の第1の部分を空隙728から、アノード・インサート712を貫通して定められた穴726近傍の、図3の上半分に示した空隙732の第2の部分に導く。加圧冷却液の第2の部分は冷却液導管722から空隙732の第2の部分に沿って穴726の近傍まで直接移動する。次いで、加圧冷却液の両部分は、穴726を通って、アノード・パイプ704の内側に定められた冷却液通路724に入る。この冷却液はこの液体が排気チャンバ110に入るまで、冷却液通路724を通って外方向に移動し続ける。
【0169】
図2及び7〜10を参照すると、上記のような冷却液通路を設けることに加えて、本実施例では、第2のアノード収容部材122もアノード108と電源システム130との間に電気的接続を提供する。本実施例では、第2のアノード収容部材122は導体を含む。さらに具体的には、本実施例では、第2のアノード収容部材122は真鍮から作製される。この第2のアノード収容部材122は図9及び10に示した電気的接続部900を介して、電源システム130の(本実施例では接地されている)正極端子134に接続されている。本実施例では、電気的接続部900は4個の圧縮型のラグ・コネクタを含むが、別の場合には、他の適したタイプの電気的接続部に代えられてもよい。したがって、第2のアノード収容部材122は電気的接続を完成して、電子がアノード先端部716から、アノード・ヘッド714及びアノード・ボディ708を介して、第2のアノード収容部材122及びその電気的接続部900に入ると共にこれらを通って、電源システム130の正極端子134まで流れるようにする。
【0170】
図2、9及び10を参照すると、本実施例では、第2のアノード収容部材122は圧力トランスデューサ904をその中に受け取る圧力トランスデューサ・ポート902を含む。この圧力トランスデューサは図2に示したコントローラ170と連通している。該トランスデューサはエンベロープ104内の圧力を表す信号を該コントローラに送信する。
【0171】
図7及び9を参照すると、本実施例では、エンベロープ104は反射器116及び第1のアノード収容部材120それぞれの開口部を通って受け取られ、第2のアノード収容部材122内にぴったりと受け取られる。本実施例ではO−リングを含むシール740が、エンベロープ104の外面と第2のアノード収容部材122との間を密封する。本実施例ではTeflon製ワッシャを含むワッシャ742はエンベロープ104の外端部と第2のアノード収容部材122との間に挿置されている。
【0172】
図7及び8を参照すると、第2のアノード収容部材122のさらなる図が図8に示されている。アノード・ボディ708が接続されている、第2のアノード収容部材122の中央部分802は、第2のアノード収容部材122を貫通して定められた開口部804の中央に設けられている。リップ806が中央部分802を第2のアノード収容部材122の残りの部分に連結し、開口部804内で中央部分802、故にアノード108を支持する。冷却液導管722はリップ806を介して、中央部分802を通って定められた開口部まで延びる。
【0173】
動作中、図2及び3に示した流れ発生器150によって発生される液体及びガスの渦巻き状の流れは、開口部804を通って、リップ806によって一部のみが遮断された排気チャンバ110内に移動する。この点で、リップ806の大きさは、各フラッシュ中に生じる大きな機械的応力に対してアノード108を支持するのに適した機械的強度を提供するように、十分な大きさであることが好ましいが、別の場合には、エンベロープ104の内面102上の渦巻き状の液体の流れとの干渉をできるだけ最小化するようになるのが好ましい。
【0174】
本実施例では、第1のアノード収容部材120はプラスチック、すなわちより具体的には、ULTEM(商標)プラスチックを含む。或いは、例えばセラミックなどの他の適した材料に代えられてよい。第2のアノード収容部材122が接続された電源の正極端子が接地されている本実施例では、絶縁体はグラウンド・ループをなくすために第1のアノード収容部材120にとっては好ましいが、必要という訳ではない。したがって、別の場合には、第1のアノード収容部材は必要に応じて導体を含んでよい。
【0175】
反射器
図2及び14を参照すると、導電性反射器116が図14にさらに詳細に示されている。本実施例では、該反射器は導体、すなわちさらに具体的にはアルミニウムを含む。或いは、他の適した材料及び構成に代えられてよい。記載のように、本実施例では、反射器116は接地されている。本実施例では、反射器はエンベロープ104の外部にカソード106の近傍からアノード108の近傍まで延在する。
【0176】
電源
図2及び15を参照すると、電源システム130が図15にさらに詳細に示されている。本実施例では、電源システム130は、電極、すなわちさらに具体的にはカソード106及びアノード108と電気的に連通する複数の電源回路を備えている。
【0177】
またさらに具体的には、本実施例では、複数の電源回路は第1の電極と第2の電極との間に放電パルスを発生するように構成されたパルス供給回路1500と、第1の電極と第2の電極との間にアイドル電流を発生するように構成されたアイドル電流回路1502と、第1の電極と第2の電極との間に開始電流を発生するように構成された開始回路1504と、第1の電極と第2の電極との間に維持電流を発生するように構成された維持回路1506とを備える。
【0178】
本実施例では、電源システム130は、複数の電源回路の少なくとも1つを複数の電源回路の少なくとも1つの他の電源回路から絶縁するように構成された、少なくとも1つの絶縁体を備える。さらに具体的には、本実施例では、第1の絶縁体は、開時にはアイドル電流回路1502及び維持回路1506の負極端子を開始回路1504の負極端子から絶縁するように働くメカニカル・スイッチ1510を備える。また、本実施例では、第2の絶縁体がアイドル電流回路1502及び維持回路1506をパルス供給回路1500から絶縁するように構成された絶縁ダイオード1512を備える。本実施例では、メカニカル・スイッチ1510はROSS型のGD60−P60−800−2C−40メカニカル・スイッチを備え、図2に示したコントローラ170からの制御信号に応答して電気的に起動可能である。本実施例では、絶縁ダイオード1512は、6kVRRMダイオードを備える。別の場合には、他の適した絶縁体に代えられてよい。
【0179】
本実施例では、アイドル電流回路1502、開始回路1504、及び維持回路1506は各々AC出力、すなわちさらに具体的には480V、60Hzの三相出力を受け取る。同様に、パルス供給回路1500もDC電源1514を備え、同様の480V/60Hzの出力を受け取って、以下に記載するようなパルス供給回路のコンデンサを充電するためにそれをDC電圧に変換する。本実施例では、このDC電源1514は最大4kVまで所望のDC充電電圧を発生するように調整可能である。図15に示すように、本実施例では、図2に示した流体循環システム140の主ポンプ(図示せず)などの他の装置に給電するために、480V/60HzのAC出力も使用される。同様に、本実施例では、480V/60Hzの出力も複数の変圧器にも供給され、この変圧器は110VのAC出力を図2に示したコントローラ170のほか流体循環システム140の浄化装置(図示せず)にも供給する。必要があれば、220Vの電力を入ってくる480Vの電力から引き出すこともできる。
【0180】
本実施例では、アイドル電流回路1502は入ってくる480VのAC電力を整流し、600Aまでの制御可能なDC電流を生成する。本実施例では、アイドル電流回路1502の正極端子は電気的に接地されているため、DC電圧は接地に対して負極端子の電位を低下させることによって発生される。
【0181】
本実施例では、アイドル電流回路1502は、図2に示したコントローラ170と連通している。メカニカル・スイッチ1510が閉のとき、アイドル電流回路1502は所望のアイドル電流を指定するコントローラ170から受け取られたデジタル命令を受信し、これに応答して該アイドル電流回路は指定されたアイドル電流を装置100のカソード106とアノード108との間に流す。本実施例では、アイドル電流回路1502は、米国マサチューセッツ州ケンブリッジのSatCon Technology Corporationの一部門である、カナダ国オンタリオ州バーリントンのSatCon Power System社から市販されているSatCon型HCSR−480−1000DC電源回路を備える。別の場合には、他の任意の適したタイプのアイドル電流回路に代えられてよい。
【0182】
本実施例では、カソード106とアノード108との間にアークを最初に確立するためだけに、開始回路1504が用いられる。これを達成するためには、本実施例では、開始回路1504は480V/60HzのAC電力を受け取り、これを整流し、用いて複数の内部コンデンサ(図示せず)を充電する。その上昇する内部電圧が例えば30kVなどの所定の閾値に達すると、開始回路1504は電流(例えば、10A)のパルスを送り届けて、カソード106とアノード108との間にアークを確立する。
【0183】
本実施例では、維持回路1506は始動時及びその直後に使用されて、カソード106とアノード108との間にアークを持続させる。本実施例では、維持回路は480V/60HzのAC電力を受け取り、これを整流して15Aの定電流のDC出力を発生する。維持回路1506の正極端子は電源システム130の正極端子134と連通しており、故に、アノード108と連通している。維持回路1506の負極端子は、開始回路1504を介して間接的か、又はメカニカル・スイッチ1510を閉じることによって直接的かのいずれかによって、カソード106と電気的に連通させた状態で接地され得る。後者の直接接続は維持回路1506の負極端子から、磁気コア誘電子1508、絶縁ダイオード1512、スイッチ1510及び電源の負極端子132を順に介して、カソード106へと電子を流すことを可能にする。本実施例では、磁気コア誘電子1508は50ミリヘンリーのインダクタンスを有するが、別の場合には他の適したインダクタンスに代えられてもよい。
【0184】
本実施例では、パルス供給回路1500を用いて、カソード106とアノード108との間に、所望の放射線フラッシュを発生する放電パルスを発生する。これを達成するためには、パルス供給回路1500は480V/60HzのAC電力を受け取り、該電力はDC電圧を発生するためのDC電源1514によって整流され、複数のコンデンサを充電するために用いられる。さらに具体的には、本実施例では、コンデンサは並列接続された第1及び第2のコンデンサ1520及び1522を含む。本実施例では、第1及び第2のコンデンサの各々は7900μFのキャパシタンスを有するが、別の場合には、他の適したコンデンサに代えられてもよい。本実施例では、パルス供給回路1500は、すべて図15に示したように構成された、ダイオード1524及び1526、抵抗器1528、1530、1532及び1534、並びにダンプ・リレー1536をさらに備える。本実施例では、抵抗器1528、1530、1532及び1534は60Ω、5Ω、20kΩ、及び20kΩの抵抗をそれぞれ有する。
【0185】
本実施例では、必要に応じて、コンデンサを放電し、放電パルスを発生させるために、パルス供給回路1500は放電スイッチを備える。さらに具体的には、本実施例では、放電スイッチは図2に示したコントローラ170と連通しているシリコン制御整流器(SCR)1540を備える。理解されるであろうが、SCR1540は、SCR1540が導通し始め且つそこを流れる電流がSCRの固有の保持電流を超える間、導通し続けるのに応じて、ゲート電圧がコントローラ170によってSCR1540に印加されるまでは、導通しない。したがって、SCR1540は、パルス供給回路のコンデンサが放電させられるのに応じ、ゲート電圧がコントローラ170によってSCR1540に印加されるまでは、パルス供給回路1500のコンデンサを放電させない。この本実施例では誘電子1542を通して、本実施例では4.6マイクロヘンリーのインダクタンスを有する。別の場合には、他の適したタイプの放電スイッチに代えられてよい。
【0186】
動作
図2及び15を参照すると、本実施例では、コントローラ170、又はさらに具体的にはそのプロセッサ回路172は、以下にさらに詳細に記載するように、コンピュータ読み取り可能な媒体174に格納された実行可能な命令コードを含むルーチンによって設定されて、流体循環システム140及び電源供給システム130の関連する構成要素と通信を行って装置100を用いて放射線フラッシュを発生させる。
【0187】
図3〜5に関連して上にさらに詳細に記載したように、プロセッサ回路172はまず流体循環システム140に信号を送って装置に液体及びガスを循環させて、液体及びガスの渦巻き状の流れを発生させるように命令される。本実施例では、渦巻き状の液体の流れは約17〜20気圧の圧力で液体渦巻き流発生器324まで運ばれる。そのような高い圧力は得られるフラッシュ中にエンベロープが曝露される可能性を抑え易いことは有利である。
【0188】
次いで、プロセッサ回路172は電源システム130の種々の構成要素と通信を行って、そのような構成要素にカソード106とアノード108との間にアークを開始させること、そのアークを維持させること、アイドル電流を用いてフラッシュに先行すること、次に放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成することという順序を実行するように命令される。
【0189】
さらに具体的には、最初の始動時に、メカニカル・スイッチ1510は開位置にある。プロセッサ回路172は始動信号を開始回路1504、維持回路1506及びパルス供給回路1500に送信してこれら装置の各々をオンさせるように命令される。このようにして、開始回路1504及びパルス供給回路1500内のコンデンサは充電を開始する。維持回路1506はカソード106とアノード108との間にアークを確立するのに十分な電圧を発生しないので、アークが確立されるまでは必要とされない。アイドル電流供給1502はまだ電流を発生しておらず、プロセッサ回路172からの適した制御信号の受信を待っている。
【0190】
開始回路1504内の内部コンデンサが、本実施例では最大30kVであるアーク破壊(確立)のための閾値電圧に達するや、コンデンサは最大10Aの電流を運んでカソード106とアノード108との間にアークを確立する。アークが確立されるとすぐに、維持回路1506は開始回路1504を介して間接的に15Aの維持電流を送ってアークを維持することができる。装置100の電流センサ(図示せず)はプロセッサ回路172に信号を送って、安定したアークが確立されたことを表示させる。そのような信号が受信されると、プロセッサ回路172は開始回路1504に信号を送ってそれ自体をオフにするように命令され、メカニカル・スイッチ1510の電気式アクチュエータに制御信号を送ってメカニカル・スイッチを閉じさせ、これによって維持回路1506が開始回路1504をバイパスできるようにさらに命令される。換言すれば、スイッチ1510を閉じることによって、磁気コア誘電子1508、絶縁ダイオード1512及びスイッチ1510を介して、維持回路1506の負極端子をカソード106と連通させる。したがって、スイッチ1510が閉じられると、維持回路1506は15Aの維持電流をカソード106とアノード108との間に流し続ける。
【0191】
フラッシュが望まれる場合、コントローラ170のプロセッサ回路172はまずアイドル電流回路1502に信号を送って適したアイドル電流を供給するように命令され、この後、このコントローラはパルス供給回路1500に信号を送って放電パルスを発生させる。
【0192】
さらに具体的には、本実施例では、アイドル電流回路1502はアイドル電流を放電パルスに先行する時間間隔だけ発生するように構成される。この時間間隔は液体の流れがエンベロープ104を移動するのに必要な流体通過時間よりも長い。したがって、流体通過時間が約30ミリ秒である実施例では、アイドル電流回路はアイドル電流を少なくとも30ms間発生するように構成される。
【0193】
本明細書中で先に考察したように、本実施例では、アイドル電流回路1502はアイドル電流が典型的には1A以下である従来のフラッシュランプよりもずっと高いアイドル電流を発生するように構成される。本明細書中で先に考察したように、そのような高いアイドル電流は、得られる放射線フラッシュの一貫性及び再現性を著しく改善するので有利である。さらに具体的には、本実施例では、アイドル電流回路は少なくとも約100Aのアイドル電流を発生するように構成される。
【0194】
またさらに具体的には、本実施例では、アイドル電流回路は少なくとも約400Aのアイドル電流を少なくとも約100msの持続時間だけ有効に発生するように構成される。これを達成するために、本実施例では、プロセッサ回路172はアイドル電流回路1502に385Aの所望の電流出力を指定するデジタル信号を送信するように支持される。このデジタル信号に応答して、アイドル電流回路1502は指定の電流385Aを印加し始める。この電流が維持回路1506によって供給される15Aに加えられると、所望の400Aの電流がカソード106とアノード108に得られる。
【0195】
約100ms後、プロセッサ回路172はゲート電圧をSCR1540に印加するように命令され、これによってパルス供給回路1500のコンデンサに誘電子1542及び閉じられたメカニカル・スイッチ1510を介して放電させることによりカソード106とアノード108との間に所望の放電パルスを発生させ、したがって所望の放射線フラッシュを生成させる。本実施例では、フラッシュ中に装置100から出力される放射線エネルギは約50kJである。
【0196】
パルス供給回路1500が上記様式で放電すると、絶縁ダイオード1512はパルス供給回路からのその放電から、維持回路1506及びアイドル電流回路1502を保護する。高電圧装置である開始回路1504は、この時点では開始回路1504はオフであると共にメカニカル・スイッチ1510によって保護されてもいるので、この放電からの保護を必要としない。
【0197】
ゲート電圧がSCR1540に印加されてフラッシュを発生させるのとほぼ同時に、プロセッサ回路は制御信号を廃棄弁160に送信して廃棄弁に再循環出口164を閉じさせ且つ廃棄出口166を開放させて、フラッシュ時にエンベロープ104内の液体及びガスを廃棄させ始めるようにさらに命令される。プロセッサ回路172は分離及び精製システム142に信号を送って、液体補充入口190及びガス補充入口192を介して補充用の液体及びガスを受け取らせ始めて、廃棄出口166を介して排出された液体及びガスを交換するようにさらに命令される。このすぐ後に(本実施例では、エンベロープ104を横断する典型的な流体通過時間よりも著しく長い約100ms)、プロセッサ回路172は廃棄弁に信号を送って再循環出口164を再開放させ且つ廃棄出口166を閉じさせるように命令され、同じく、分離及び精製システム142に信号を送って液体及びガス補充用入口190及び192を閉じるように命令される。したがって、フラッシュ時にエンベロープ104内に存在した微細な粒状物質で汚染の可能性のある液体の実質的に全部は廃棄されると同時に、システムからの液体及びガスの残りを再循環のために保持する。
【0198】
本実施例では、装置100の連続又はDC動作は多少類似した様式で起こるが、パルス供給回路1500は必要とされない。開始回路1504及び維持回路1506は協働して上記のようにアークを確立及び維持する。次いで、アイドル電流回路1502は装置100の連続動作のために主DC電源回路として使用され得る。上記のように、コントローラ170は所望の電流出力を指定するデジタル信号をアイドル電流回路1502に送信する。アイドル電流回路1502と維持回路1504との組み合わされた電流出力はカソード106とアノード108との間に供給されて所望の連続電流を発生させ、したがって、所望の連続放射線出力を生成させる。
【0199】
代替例
本明細書に記載の装置100は、フラッシュランプ又は連続アーク・ランプのいずれかとして2種類の動作が可能であるが、別の場合には、本発明の実施例は必要に応じてこれらの用途の1つのために、カスタマイズ又は特殊化されてよい。
【0200】
上記実施例はエンベロープ104の内面102上を流れる単一の水壁に関連するが、別の場合には、本発明は、例えば、本明細書に記載のフラッシュランプとして使用されるように二重液体壁式アーク・ランプを適合させるために、上記の同一の譲受人の米国特許第6621199号に開示されたものなどの二重液体壁式アーク・ランプにおいて具現化されてよい。
【0201】
図2及び16を参照すると、装置100に類似する複数の装置を備えたシステムが、図16において全体的に1600で示されている。さらに具体的には、本実施例では、システム1600は、図2に示した装置100に各々類似する第1、第2、第3及び第4の装置1602、1604、1606及び1608を備える。装置1602、1604、1606及び1608は一般的なターゲットに入射する複数の個々の放射線フラッシュを発生するように構成されている。
【0202】
本実施例では、装置1602、1604、1606及び1608は相互に平行に構成されている。さらに具体的には、本実施例では、装置1602、1604、1606及び1608の各々1つは、複数の装置の隣接する1つとは反対の方向に整列される。したがって、本実施例では、複数の装置の各々1つのカソードは、複数の装置の隣接する1つのアノードに隣接している。したがって、装置1602、1604、1606及び1608を用いて同時的なフラッシュを発生させる場合、4個のランプの放電パルスから生じる大きな磁界は互いに大きく打ち消す傾向があることは有利である。
【0203】
本実施例では、流れ発生器、カソード及び該カソードへの電気的接続部を囲繞する電気的絶縁部があるために、隣接する装置の間隔を近接させることが可能である。したがって、本実施例では、複数の装置1602、1604、1606及び1608の各々1つの第1の電極と第2の電極との間の軸線は、複数の装置の隣接する1つの第1の電極と第2の電極との間の軸線から10cm未満離間されている。
【0204】
本実施例では、システム1600は、複数の装置の各々の流れ発生器に液体を供給するように構成された単一の循環装置1620を備える。この循環装置1620は図2に示した流体循環システム140に概ね類似しており、図2に示した廃棄弁160に類似する廃棄弁1622を組み込んでいる。本実施例では、単一の循環装置1620は複数の装置各々の排出口から液体及びガスを受け取るように構成されており、ガスから液体を分離するように構成された分離器1624を備える。同じく、本実施例では、単一の循環装置1620は、本実施例では図2のフィルタ144に類似する、液体から粒子汚染を除去するフィルタ1626を備える。同様に、本実施例では、単一の循環装置1620は、図16には示していない付加的な入口及び出口を備え、図2に関して記載したものに類似する廃棄出口、ガス補充用入口、及び液体補充用入口を含む。先の実施例の場合のように、液体補充用入口を介して循環装置1620によって受け取られた液体は、高絶縁性低導電性の精製水を含む。したがって、本実施例では、単一の循環装置1620は、約10μS/cm未満の導電率を有する水を装置の各々の流れ発生器に供給するように構成されている。
【0205】
必要に応じて、装置1602、1604、1606及び1608は半導体ウエハに入射する複数の個々の放射線フラッシュを発生するように構成されてよい。したがって、例えば、システム1600は、半導体ウエハのデバイス側を所望のアニール温度まで急速に加熱するために、同一の譲受人の米国特許第6594446号又は同一の譲受人の米国特許出願後公開第2002/0102098A1号に開示されたフラッシュランプに代えられてよい。このランプによって発生されたフラッシュは必要に応じて同時的であり得る。
【0206】
或いは、図2を再度参照すると、システム1600に代えるよりも、単一の装置100は必要に応じて、上記同一の譲受人の米国特許第6594446号又は米国特許公開第2002/0102098A1号に開示されたフラッシュランプに代えられてよい。
【0207】
同様に、必要に応じて、装置100に類似する複数の装置は図16に示したように配置されてよいが、連続放射線出力を供給するための連続DC電流で操作されてよい。このような装置の組合せ、又は別の場合には単一の装置100は、必要に応じて、上記同一の譲受人の米国特許第6594446号又は米国特許公開第2002/0102098A1号における予備加熱装置として使用される連続アーク・ランプに代えられてよい。
【0208】
さらに一般的には、本発明の具体的な実施例を記載してきたが、添付の特許請求の範囲に従って解釈されるように、そのような実施例は本発明の単なる例示であって、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0209】
【図1】本発明の第1の実施例の電磁放射線を発生する装置を示す正面図である。
【図2】電源システム、流体循環システム及び制御コンピュータのブロック図と共に図1装置を示す図である。
【図3】図1に示した装置のカソード部分を示す部分断面図である。
【図4】図3に示したカソード部分を示す詳細断面図である。
【図5】図3に示したカソード部分を示す分解断面図である。
【図6】図3に示したカソード部分を示す分解斜視図である。
【図7】図1に示した装置のアノード部分を示す部分断面図である。
【図8】図1に示した装置のエンベロープの内部から見た、図7に示したアノード部分の第2のアノード収容部材を示す立面図である。
【図9】図7に示したアノード部分を示す分解断面図である。
【図10】図7に示したアノード部分を示す分解斜視図である。
【図11】図7に示したアノード部分のアノードのアノード・インサートを示す側面立面図である。
【図12】図7に示したアノード部分のアノードのアノード先端部を示す側面立面図である。
【図13】図12に示したアノード先端部の内面を示す底部立面図である。
【図14】図1に示した装置の導電性反射器を示す斜視図である。
【図15】図2に示した電源を示す回路図である。
【図16】図1に示したものと同様の複数の装置及び単一の流体循環装置を備えた、放射線フラッシュを発生するシステムを示す正面立面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射線を発生する装置であって、
a)エンベロープの内面に沿って液体の流れを発生するように構成された流れ発生器と、
b)前記エンベロープ内で電気アークを発生させて電磁放射線を生成するように構成された第1及び第2の電極と、
c)前記液体の流れの一部分を収容するように構成された、前記電極の1つを越えて外方向に延在する排気チャンバとを備えた装置。
【請求項2】
前記排気チャンバは前記電極の前記1つを十分にはるかに越えて軸方向に外側に延在して、前記排気チャンバ内の前記液体の流れの崩壊から生じる乱流から、前記電極の前記1つを絶縁する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流れ発生器は前記液体の流れから半径方向に内側にガスの流れを発生するように構成され、前記排気チャンバは前記電極の前記1つを十分にはるかに越えて延在して、液体及びガスの前記流れの混ざり合いから生じる乱流から前記電極の前記1つを絶縁する請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記電極は放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成するように構成され、
前記排気チャンバは、前記放電パルスから生じる圧力パルスによって外方向に押しやられる前記液体の体積を収容するのに十分容積を有する請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の電極はアノードを備え、前記排気チャンバは前記アノードを越えて軸方向に外側に延在する請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記流れ発生器は電気的に絶縁された請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記流れ発生器を囲繞する電気的絶縁部をさらに備える請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記流れ発生器は導体を備える請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の電極はカソードを備え、前記電気的絶縁部は前記カソード及び該カソードへの電気的接続部を囲繞する請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記電気的接続部をさらに備え、前記電気的接続部は前記流れ発生器を備える請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記流れ発生器を囲繞する前記電気的絶縁部は前記エンベロープを備える請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記流れ発生器を囲繞する前記電気的絶縁部は絶縁性ハウジングをさらに備える請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記絶縁性ハウジングは前記エンベロープの少なくとも一部分を囲繞する請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記電気的絶縁部は前記エンベロープの前記絶縁性ハウジングと前記一部との間の空隙に圧縮ガスをさらに含む請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記エンベロープは透明な円筒管を備える請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記円筒管は少なくとも4mmの厚さを有する請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記円筒管は精密内径円筒管を備える請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記絶縁性ハウジングはプラスチック及びセラミックの少なくとも1つを含む請求項12に記載の装置。
【請求項19】
前記第1及び第2の電極はカソード及びアノードを備え、前記カソードは前記アノードよりも短い長さを有する請求項6に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の電極は、突出長を有してこれに沿ってエンベロープ内の装置の次の最も内側の構成要素を越えて、前記装置の中心に向かってエンベロープ内で軸方向に内側に突出するカソードを備え、前記突出長は前記カソードの直径の2倍未満である請求項6に記載の装置。
【請求項21】
前記突出長は前記流れ発生器と前記第2の電極との間で発生する前記電気アークを阻止するのに十分長い請求項20に記載の装置。
【請求項22】
一般的なターゲットを照射するように構成された、請求項6に記載の複数の装置を備えるシステム。
【請求項23】
前記複数の装置は半導体ウエハを照射するように構成された請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記複数の装置は互いに平行であるように構成された請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記複数の装置は、前記複数の装置の前記各々1つのカソードが前記複数の装置の前記隣接する1つのアノードに隣接するように、前記複数の装置に隣接する1つとは反対方向に整列された請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記複数の装置の各々の前記流れ発生器に液体を供給するように構成された単一の循環装置をさらに備える請求項22に記載のシステム。
【請求項27】
前記エンベロープ外側にあり、前記第1の電極の近傍から前記第2の電極の近傍まで延在する導電性反射器をさらに備える請求項6に記載の装置。
【請求項28】
前記電極と電気的に連通する複数の電源回路をさらに備える請求項6に記載の装置。
【請求項29】
前記複数の電源回路の少なくとも1つから、前記複数の電源回路の他の少なくとも1つを絶縁するように構成された絶縁体をさらに備える請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記電極の各々は、そこを流れる冷却液の流れを受け取る冷却液通路を備える請求項6に記載の装置。
【請求項31】
前記電極の少なくとも1つは、少なくとも1cmの厚さを有するタングステン・チップを含む請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記電極は放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成するように構成され、前記第1の電極と前記第2の電極との間にアイドル電流を発生するように構成されたアイドル電流回路をさらに備える請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記アイドル電流回路は前記放電パルスに先立って前記アイドル電流をある時間間隔発生するように構成され、前記時間間隔は前記液体の流れが前記エンベロープを移動するのに必要な流体通過時間よりも長い請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記アイドル電流回路は、前記アイドル電流として少なくとも約1×10Aの電流を発生するように構成された請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記アイドル電流回路は、前記アイドル電流として少なくとも約4×10Aの電流を少なくとも1×10ms間発生するように構成された請求項32に記載の装置。
【請求項36】
電磁放射線を発生する装置であって、
a)エンベロープの内面に沿って液体の流れを発生させる手段と、
b)前記エンベロープ内で電気アークを発生させて前記電磁放射線を生成する手段と、
c)前記液体の流れの一部分を収容する手段であり、前記収容手段は前記発生手段を越えて外方向に延在する装置。
【請求項37】
前記収容手段は、前記収容手段内の前記液体の流れの崩壊から生じる乱流から、前記電極の前記1つを絶縁する手段を備える請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記液体の流れから半径方向に内側に、ガスの流れを発生する手段をさらに備え、
前記収容手段は、液体及びガスの前記流れの崩壊から生じる乱流から、前記電極の前記1つを絶縁する手段を備える請求項36に記載の装置。
【請求項39】
前記電気アーク発生手段は放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成する手段を備え、前記放電パルスから生じる圧力パルスによって外方向に押しやられる前記液体の体積を収容することを含む請求項36に記載の装置。
【請求項40】
電磁放射線を発生させる方法であって、
a)エンベロープの内面に沿って液体の流れを発生させる工程と、
b)前記エンベロープ内で第1の電極と第2の電極との間に電気アークを発生させて、前記電磁放射線を生成する工程と、
c)前記電極を越えて外方向に延在する排気チャンバ内で、前期液体の流れの一部分を収容する工程とを含む方法。
【請求項41】
収容工程には、前記電極の前記1つを前記排気チャンバ内の前記液体の流れの崩壊から生じる乱流から絶縁する工程を含む請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記液体の流れから半径方向に内側にガスの流れを発生させる工程をさらに含み、
収容工程には、前記電極の前記1つを、液体及びガスの前記流れの崩壊から生じる乱流から絶縁する工程を含む請求項40に記載の方法。
【請求項43】
電気アークを発生させる工程は放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成する工程を含み、収容工程には前記放電パルスから生じる圧力パルスによって外側に押しやられる前記液体の体積を収容する工程を含む請求項40に記載の方法。
【請求項44】
液体の流れを発生させる工程は、電気的に絶縁された流れ発生器を用いて前記液体の流れを発生させる工程を含む請求項40に記載の方法。
【請求項45】
請求項44に記載の複数の装置を制御して、一般的なターゲットを照射する工程を含む方法。
【請求項46】
制御工程には前記複数の装置を制御して半導体ウエハを照射する工程を含む請求項45に記載の方法。
【請求項47】
制御工程には、前記複数の装置の各々1つに、前記複数の装置の各々隣接する1つの電気アークの方向とは反対の方向に、前記電気アークを発生させる工程を含む請求項45に記載の方法。
【請求項48】
複数の電源回路の少なくとも1つを、前記複数の電源回路の他の少なくとも1つから絶縁する工程をさらに含む請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記第1及び第2の電極を冷却する工程をさらに含む請求項44に記載の方法。
【請求項50】
冷却工程には、前記第1及び第2の電極の個々の冷却液通路に冷却液を循環させる工程を含む請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記電気アークを発生させる工程は、放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成する工程を含み、前記第1の電極と前記第2の電極との間にアイドル電流を発生させる工程をさらに含む請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記アイドル電流を発生させる工程は、前記放電パルスに先立ってある時間間隔だけ前記アイドル電流を発生する工程を含み、前記時間間隔は前記液体の流れが前記エンベロープを移動するのに必要な流体通過時間よりも長い請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記アイドル電流を発生させる工程は、前記アイドル電流として、少なくとも約1×10Aの電流を発生させる工程を含む請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記アイドル電流を発生させる工程は、前記アイドル電流として少なくとも約4×10Aの電流を、1×10ms間発生する工程を含む請求項51に記載の方法。
【請求項55】
電磁放射線を発生させる装置であって、
a)エンベロープの内面に沿って液体の流れを発生するように構成された、電気的に絶縁された流れ発生器と
b)前記エンベロープ内で電気アークを発生させて前記電磁放射線を生成するように構成された第1及び第2の電極とを備えた装置。
【請求項56】
前記流れ発生器を囲繞する電気的絶縁部をさらに備える請求項55に記載の装置。
【請求項57】
前記流れ発生器は導体を備える請求項56に記載の装置。
【請求項58】
前記第1の電極はカソードを備え、前記電気的絶縁部は前記カソード及び該カソードへの電気的接続部を囲繞する請求項56に記載の装置。
【請求項59】
前記電気的接続をさらに備え、前記電気的接続部は前記流れ発生器を備える請求項58に記載の装置。
【請求項60】
前記流れ発生器を囲繞する前記電気的絶縁部は、前記エンベロープを備える請求項56に記載の装置。
【請求項61】
前記流れ発生器を囲繞する前記電気的絶縁部、絶縁性ハウジングをさらに備える請求項60に記載の装置。
【請求項62】
前記絶縁性ハウジングは前記エンベロープの少なくとも一部を囲繞する請求項61に記載の装置。
【請求項63】
前記電気的絶縁部は、前記エンベロープの前記絶縁性ハウジングと前記一部との間の空隙にさらにガスを含む請求項62に記載の装置。
【請求項64】
前記絶縁性ハウジングの内面及び前記エンベロープの前記一部の外面と協働して前記空隙に前記ガスを密封する1対の離間されたシールをさらに備える請求項63に記載の装置。
【請求項65】
前記ガスは圧縮される請求項64に記載の装置。
【請求項66】
前記エンベロープは透明な円筒管を備える請求項60に記載の装置。
【請求項67】
前記円筒管は少なくとも4mmの厚さを有する請求項66に記載の装置。
【請求項68】
前記円筒管は少なくとも5mmの厚さを有する請求項67に記載の装置。
【請求項69】
前記円筒管は精密内径円筒管を備える請求項66に記載の装置。
【請求項70】
前記精密内径円筒管は少なくとも5×10mm以下の寸法公差を有する請求項69に記載の装置。
【請求項71】
前記円筒管は石英を含む請求項66に記載の装置。
【請求項72】
前記円筒管は純粋石英を含む請求項71に記載の装置。
【請求項73】
前記円筒管はセリウム・ドープ石英を含む請求項71に記載の装置。
【請求項74】
前記円筒管はサファイアを含む請求項66に記載の装置。
【請求項75】
前記絶縁性ハウジングはプラスチック及びセラミックの少なくとも1つを含む請求項61に記載の装置。
【請求項76】
前記第1及び第2の電極はカソード及びアノードを含み、前記カソードは前記アノードよりも短い長さを有する請求項55に記載の装置。
【請求項77】
前記第1の電極は、突出長を有してこれに沿って前記エンベロープ内の装置の次の最も内側の構成要素を越えて、前記装置の中心に向かって軸方向に内側に突出するカソードを備える請求項55に記載の装置。
【請求項78】
前記突出長は前記カソードの直径の2倍未満である請求項77に記載の装置。
【請求項79】
前記突出長は、前記流れ発生器と前記第2の電極との間に前記電気アークが発生するのを阻止するのに十分に長い請求項78に記載の装置。
【請求項80】
前記突出長は少なくとも3.5cmである請求項79に記載の装置。
【請求項81】
前記流れ発生器は次の最も内側の構成要素を備え、前記流れ発生器を越える前記カソードの突出長は5cm未満である請求項77に記載の装置。
【請求項82】
前記流れ発生器を囲繞する電気的絶縁部をさらに備え、前記絶縁部は前記カソード及び該カソードへの電気的接続部を囲繞する請求項77に記載の装置。
【請求項83】
一般的なターゲットを照射するように構成された、請求項55に記載の複数の装置を備えたシステム。
【請求項84】
前記複数の装置は半導体ウエハを照射するように構成された請求項83に記載のシステム。
【請求項85】
前記複数の装置は互いに平行であるように構成された請求項83に記載のシステム。
【請求項86】
前記複数の装置の各々1つは、前記複数の装置に隣接する1つとは反対方向に整列された請求項85に記載のシステム。
【請求項87】
前記複数の装置の前記各々の1つのカソードは、前記複数の装置の前記隣接する1つのアノードに隣接する請求項86に記載のシステム。
【請求項88】
前記複数の装置の各々1つの第1の電極と第2の電極との間の軸線は、前記複数の装置の隣接する1つの第1の電極と第2の電極との間の軸線から1×10−1m未満離間されている請求項85に記載のシステム。
【請求項89】
前記複数の装置の各々の前記流れ発生器に液体を供給するように構成された単一の循環装置をさらに備える請求項83に記載のシステム。
【請求項90】
前記単一の循環装置は前記複数の装置の各々の排出口から液体を受け取るように構成された請求項89に記載のシステム。
【請求項91】
前記単一の循環装置は前記複数の装置の前記各々の前記排出口からガスを受け取るように構成され、前記単一の循環装置は前記ガスから前記液体を分離するように構成された分離器を備える請求項90に記載のシステム。
【請求項92】
前記単一の循環装置は前記液体から粒子汚染を除去するフィルタを備えた請求項90に記載のシステム。
【請求項93】
前記単一の循環装置は、前記液体として約1×10−5S/cm未満の導電率を有する水を前記流れ発生器に供給するように構成された請求項89に記載のシステム。
【請求項94】
前記エンベロープの外部にあって、前記第1の電極の近傍から前記第2の電極の近傍に延在する導電性反射器をさらに備える請求項55に記載の装置。
【請求項95】
前記導電性反射器は接地されている請求項94に記載の装置。
【請求項96】
前記液体の流れの一部分を収容するように構成され、前記電極の1つを越えて外方向に延在する排気チャンバをさらに備える請求項55に記載の装置。
【請求項97】
前記排気チャンバは、前記電極の前記1つをはるかに越えて十分に軸方向に外側に延在して、前記排気チャンバ内の前記液体の流れの崩壊から生じる乱流から、前記電極の前記1つを絶縁する請求項96に記載の装置。
【請求項98】
前記流れ発生器は、前記液体の流れから半径方向に内側にガスの流れを発生するように構成され、前記排気チャンバは前記電極の前記1つを十分にはるかに越えて延在して、前記液体及びガスの前記流れの混ざり合いから生じる乱流から前記電極の前記1つを絶縁する請求項96に記載の装置。
【請求項99】
前記電極はその間に放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成するように構成され、前記排気チャンバは前記放電パルスから生じる圧力パルスによって外方向に押しやられる前記液体の体積を収容するのに十分な容積を有する請求項96に記載の装置。
【請求項100】
前記電極と電気的に連通する複数の電源回路をさらに備える請求項55に記載の装置。
【請求項101】
前記複数の電源回路は、前記第1の電極と第2の電極との間に放電パルスを発生して、放射線フラッシュを生成するように構成されたパルス供給回路を備える請求項100に記載の装置。
【請求項102】
前記複数の電源回路は第1の電極と第2の電極との間にアイドル電流を発生するように構成されたアイドル電流回路をさらに備える請求項101に記載の装置。
【請求項103】
前記複数の電源回路は、第1の電極と第2の電極との間に開始電流を発生するように構成された開始回路をさらに備える請求項102に記載の装置。
【請求項104】
前記複数の電源回路は、第1の電極と第2の電極との間に維持電流を発生するように構成された維持回路をさらに備える請求項103に記載の装置。
【請求項105】
前記複数の電源回路の少なくとも1つを、前記複数の電源回路の他の少なくとも1つから、絶縁するように構成された絶縁体をさらに備える請求項100に記載の装置。
【請求項106】
前記絶縁体はメカニカル・スイッチを備える請求項105に記載の装置。
【請求項107】
前記絶縁体はダイオードを備える請求項105に記載の装置。
【請求項108】
前記電極の各々は、そこを通る冷却液の流れを受け取る冷却液通路を備える請求項55に記載の装置。
【請求項109】
前記電極の少なくとも1つは少なくとも1cmの厚さを有するタングステン・チップを備える請求項108に記載の装置。
【請求項110】
前記電極は放電パルスを発生して放射線フラッシュを生成するように構成され、且つ前記第1の電極と第2の電極との間にアイドル電流を発生するように構成されたアイドル電流回路をさらに備える請求項108に記載の装置。
【請求項111】
前記アイドル電流回路は前記放電パルスに先立って前記アイドル電流をある時間間隔発生させるように構成され、前記時間間隔は、前記液体の流れが前記エンベロープを移動するのに必要な流体通過時間より長い請求項110に記載の装置。
【請求項112】
前記アイドル電流回路は、前記アイドル電流を少なくとも3×10ms間発生するように構成された請求項111に記載の装置。
【請求項113】
前記アイドル電流回路は、前記アイドル電流として、少なくとも約1×10Aの電流を発生するように構成された請求項110に記載の装置。
【請求項114】
前記アイドル電流回路は、前記アイドル電流として、少なくとも約4×10Aの電流を、少なくとも約1×10ms間発生するように構成された請求項110に記載の装置。
【請求項115】
電磁放射線を発生させる装置であって、
a)エンベロープの内面に沿って液体の流れを発生させる電気的に絶縁された手段と、
b)エンベロープ内に電気アークを発生させて電磁放射線を生成する手段とを備えた装置。
【請求項116】
電磁放射線を発生させる方法であって、
a)電気的に絶縁された流れ発生器を用いて、エンベロープの内面に沿って液体の流れを発生させる工程と、
b)第1の電極と第2の電極との間に電気アークを発生させて、前記放射線フラッシュを生成する工程とを含む方法。
【請求項117】
請求項55に記載の複数の装置を制御して一般的なターゲットを照射することを含む方法。
【請求項118】
制御には複数の装置を制御して半導体ウエハを照射する工程を含む請求項117に記載の方法。
【請求項119】
制御には前記複数の装置の各々1つに、前記複数の装置の各々隣接する1つの方向の電気アークとは反対方向に、前記電気アークを発生させる工程を含む請求項117に記載の方法。
【請求項120】
前記電極の1つを越えて外方向に延在する排気チャンバ内で前記液体の流れの一部分を収容する工程をさらに含む請求項116に記載の方法。
【請求項121】
収容には、前記排気チャンバ内の前記液体の流れの崩壊から生じる乱流から、前記電極の前記1つを絶縁する工程を含む請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記液体の流れから半径方向に内側にガスの流れを発生させる工程をさらに含み、収容には前記前記液体及びガスの流れの崩壊から生じる乱流から前記電極の前記1つを絶縁することを含む請求項120に記載の方法。
【請求項123】
電気アークの発生には、放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成する工程を含み、収容には、前記放電パルスから生じる圧力パルスによって外方向に追いやられる前記液体の体積を収容する工程を含む請求項120に記載の方法。
【請求項124】
複数の電源回路の少なくとも1つを、前記複数の電源回路の他の少なくとも1つから絶縁する工程をさらに含む請求項116に記載の方法。
【請求項125】
前記第1及び第2の電極を冷却する工程をさらに含む請求項116に記載の方法。
【請求項126】
冷却には、前記第1及び第2の電極の個々の冷却液通路を通して冷却液を循環させる工程をさらに含む請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記電気アークの発生は、放電パルスを発生させて放射線フラッシュを生成する工程を含み、且つ第1の電極と第2の電極との間にアイドル電流を発生させることをさらに含む請求項125に記載の方法。
【請求項128】
前記アイドル電流の発生は、前記放電パルスに先立って前記アイドル電流をある時間間隔発生させる工程を含み、前記時間間隔は前記液体の流れが前記エンベロープを移動するのに必要な流体通過時間よりも長い請求項127に記載の方法。
【請求項129】
発生には前記アイドル電流を少なくとも3×10ms間発生させる工程を含む請求項128に記載の方法。
【請求項130】
発生には前記アイドル電流として、少なくとも約1×10Aの電流を発生させることを含む請求項127に記載の方法。
【請求項131】
発生には前記アイドル電流として、少なくとも約約4×10Aの電流を少なくとも約1×10ms間発生させる工程を含む請求項127に記載の方法。
【請求項132】
放射線フラッシュを発生させる装置であって、
a)エンベロープの内面に沿って液体の流れを発生するように構成された流れ発生器と、
b)前記エンベロープ内で放電パルスを発生させて前記放射線フラッシュを生成するように構成された第1及び第2の電極であり、前記パルスは前記電極にその連続動作中の前記電極によって放出されるものとは異なる粒子汚染を放出させる、第1及び第2の電極と、
c)前記液体から前記粒子汚染を除去するように構成された除去装置とを備える装置。
【請求項133】
前記除去装置は、前記液体から前記粒子汚染を濾過するように構成されたフィルタを備える請求項132に記載の装置。
【請求項134】
前記フィルタは2μm以下の粒子を濾過するように構成された請求項133に記載の装置。
【請求項135】
前記フィルタは1μm以下の粒子を濾過するように構成された請求項134に記載の装置。
【請求項136】
前記フィルタは0.5μm以下の粒子を濾過するように構成された請求項135に記載の装置。
【請求項137】
前記除去装置は、流体循環システムの廃棄弁を備え、前記廃棄弁は前記液体の流れが前記エンベロープを移動するのに必要な少なくとも流体通過時間だけ、前記液体の流れを廃棄するように動作可能である請求項132に記載の装置。
【請求項138】
放射線フラッシュを発生させる装置であって、
a)エンベロープの内面に沿って液体の流れを発生させる手段と、
b)前記エンベロープ内で放電パルスを発生させて、前記放射線フラッシュを生成する手段であり、前記パルスは前記手段にその連続動作中に生成するための前記手段によって放出されるものとは異なる粒子汚染を放出させる手段と、
c)前記液体から前記粒子汚染を除去する手段とを備えた装置。
【請求項139】
放射線フラッシュを発生させる方法であって、
a)エンベロープの内面に沿って液体の流れを発生する工程と、
b)エンベロープ内で第1の電極と第2の電極との間に放電パルスを発生させて、前記放射線フラッシュを生成する工程であり、前記パルスは前記電極にその連続動作中の前記電極によって放出されるものとは異なる粒子汚染を放出させる工程と
c)前記液体から前記粒子汚染を除去する工程とを含む方法。
【請求項140】
除去工程は、前記液体から前記粒子汚染を濾過する工程を含む請求項139に記載の方法。
【請求項141】
濾過工程は、2μm以下の粒子を濾過する工程を含む請求項140に記載の方法。
【請求項142】
濾過工程は、1μm以下の粒子を濾過する工程を含む請求項141に記載の方法。
【請求項143】
濾過工程は、0.5μm以下の粒子を濾過する工程を含む請求項142に記載の方法。
【請求項144】
除去工程は、前記液体の流れが前記エンベロープを移動するのに必要な少なくとも流体通過時間だけ、前記液体の流れを廃棄する工程を含む請求項139に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2007−522624(P2007−522624A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552429(P2006−552429)
【出願日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000202
【国際公開番号】WO2005/078762
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(503200800)マトソン テクノロジー カナダ インコーポレイテッド (10)