説明

高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金およびその製造方法

【課題】結晶性の金属材料でありながら、非晶質金属材料に近い高強度を示すFe−Ni−Co−Ti系合金を提供する。
【解決手段】全体を100原子%としたときに、15原子%以上25原子%以下のニッケル(Ni)と、25原子%以上44原子%以下のコバルト(Co)と、1原子%以上12原子%以下のチタン(Ti)を含み、残部が鉄(Fe)と不可避不純物とからなり、Feの含有量をX原子%、Niの含有量をY原子%、Coの含有量をZ原子%としたときに0.68≦X/(Y+Z)≦0.75である合金を冷間強加工することで、層状組織をもつFe−Ni−Co−Ti系合金が得られる。この合金は、引張り強さが2500MPa以上かつヤング率に対する引張り強さの比が0.016以上の高強度材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Fe−Ni−Co−Ti系合金に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属材料には、原子が規則的に配列された結晶構造をもつ結晶性の金属と、原子の長距離の配列が不規則である非晶質(アモルファス)金属と、がある。結晶性の金属の強度は、転位の挙動に支配されることが知られている。一方、不規則構造をもつアモルファス金属では、塑性変形の機構が結晶性の金属とは大きく異なり、現在汎用されている結晶性の金属を凌ぐ高強度を示す。図1は、種々の金属材料に関し、ヤング率に対する引張り強さを示すグラフである。図1において、□は結晶性の金属材料、◇は非晶質の金属材料を示す。金属材料では、引張り強さ(UTS)とヤング率(E)との比(UTS/E)が大きい程、高強度であるといえる。結晶性の金属材料ではUTS/Eの値が0.011であるのに対し、高い強度をもつ非晶質の金属材料では0.02である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】V. V. Kokorin, et al., Scr. Metall., Vol.28 (1993) pp.35-40
【非特許文献2】E. Cesari, et al., Scr. Metall., Vol.40 (1999) pp.341-345
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アモルファス金属は、上述のごとく高強度を示すが、結晶性の金属材料に比べて延性が低く脆くて加工性に劣るという問題がある。そのため、結晶性の金属材料の高強度化が求められている。
【0005】
ところで、Fe−Ni−Co−Ti系合金は、たとえば形状記憶合金として知られており、非特許文献1および非特許文献2などに開示されている。しかし、これらの形状記憶合金は結晶性であるため、引張り強さとヤング率との比(UTS/E)の値も、0.011程度であると推測される。つまり、Fe−Ni−Co−Ti系合金の強度は、通常の結晶性の金属材料と大差はない。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、結晶性の金属材料でありながら、非晶質金属材料に近い高強度を示すFe−Ni−Co−Ti系合金を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、この課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、特定の組成をもつFe−Ni−Co−Ti系合金に対して高い歪を付与することで、従来の結晶性の金属材料にはない領域の引張り強さおよびヤング率を発現させることに成功した。そして、この成果を発展させることで、本発明者等は以降に述べる発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金は、全体を100原子%としたときに、15原子%以上25原子%以下のニッケル(Ni)と、25原子%以上44原子%以下のコバルト(Co)と、1原子%以上12原子%以下のチタン(Ti)を含み、残部が鉄(Fe)と不可避不純物とからなり、Feの含有量をX原子%、Niの含有量をY原子%、Coの含有量をZ原子%としたときに0.68≦X/(Y+Z)≦0.75であって、層状組織を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金の製造方法は、全体を100原子%としたときに、15原子%以上25原子%以下のニッケル(Ni)と、25原子%以上44原子%以下のコバルト(Co)と、1原子%以上12原子%以下のチタン(Ti)を含み、残部が鉄(Fe)と不可避不純物とからなり、Feの含有量をX原子%、Niの含有量をY原子%、Coの含有量をZ原子%としたときに0.68≦X/(Y+Z)≦0.75である合金を冷間強加工することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
特定の割合でNiを含有するFe基合金は、面心立方晶系(FCC)構造相と体心立方晶系(BCC)構造相との境界の安定性をもつことが知られている。なかでも、FCC構造相を安定化させた上記の組成のFe−Ni−Co−Ti系合金を冷間強加工することにより、高い引張り強さを示すとともにヤング率に対する引張り強さの比が従来の結晶性の金属材料よりも高い、従来にない高強度のFe−Ni−Co−Ti系合金が得られる。そして、このFe−Ni−Co−Ti系合金がもつ層状組織は、冷間強加工の結果として表れた加工組織である。また、本発明の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金は、冷間強加工後も結晶性であるため、非晶質材料よりも加工性に優れる。
【0011】
ここで、「冷間強加工」とは、通常の塑性加工では与えることのできない非常に大きな歪を付与する加工であって、たとえば、相当歪にて5以上の加工である。冷間強加工による加工歪は、原子レベルのミクロな構造変化を合金の組織内にもたらす。この構造変化に伴う歪の蓄積が、強度向上に寄与すると予測される。
【0012】
また、本発明は、全体を100原子%としたときに、15原子%以上25原子%以下のニッケル(Ni)と、25原子%以上44原子%以下のコバルト(Co)と、1原子%以上12原子%以下のチタン(Ti)を含み、残部が鉄(Fe)と不可避不純物とからなり、Feの含有量をX原子%、Niの含有量をY原子%、Coの含有量をZ原子%としたときに0.68≦X/(Y+Z)≦0.75である合金に冷間強加工を施してなることを特徴とする高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金と捉えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一般的な金属材料および本発明の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金のヤング率に対する引張り強さを示すグラフである。
【図2】本発明の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金および比較合金について、それらの平均価電子濃度(e/a)に対するマルテンサイト変態の開始温度(As)を示すグラフである。
【図3】本発明の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金および比較合金について、それらの組成に対する引張り強さを示すグラフである。
【図4】冷間強加工したFe−19.1原子%Ni−34.0原子%Co−8.1原子%Tiの金属組織を示す図面代用写真である。
【図5】冷間強加工されていないFe−19.1原子%Ni−34.0原子%Co−8.1原子%Tiの金属組織を示す図面代用写真である。
【図6】Fe−19.1原子%Ni−34.0原子%Co−8.1原子%Tiについて、冷間強加工前後の結晶構造を示すX線回折図形を示す。
【図7】冷間強加工であるHPT(HighPressureTorsion)法に用いる装置を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金およびその製造方法を実施するための最良の形態を説明する。なお、本明細書に記載された数値範囲の下限値および上限値の他、実施例中に列挙した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。
【0015】
[組成]
本発明の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金は、全体を100原子%としたときに、15原子%以上25原子%以下のニッケル(Ni)と、25原子%以上44原子%以下のコバルト(Co)と、1原子%以上12原子%以下のチタン(Ti)を含み、残部が鉄(Fe)と不可避不純物とからなり、Feの含有量をX原子%、Niの含有量をY原子%、Coの含有量をZ原子%としたときに0.68≦X/(Y+Z)≦0.75である。
【0016】
Fe基合金へのNi添加は、マルテンサイト変態の開始温度(As点)を低下させFCC構造をもつ相を安定化させることが知られている。冷間強加工による高強度化に適した相安定性のためには、As点は、250℃以下、−100℃以上+150℃以下さらには−100℃以上+50℃以下であるのが好ましい。Ni含有量が15原子%以上25原子%以下の範囲であれば、As点が望ましい範囲内となり、冷間強加工による高強度化に適した相安定性が得られる。さらに好ましいNi含有量の下限は17原子%以上さらには17.5原子%以上、上限は23原子%以下さらには20原子%以下である。
【0017】
また、NiおよびCoの含有量が、Fe量との関係で、0.68≦X/(Y+Z)≦0.75の範囲であれば、高強度、具体的には、引張り強さで2500MPa以上さらには2600MPa以上を示すとともに、引張り強さとヤング率の比(UTS/E)が0.016以上さらには0.017以上となる。
【0018】
Coは、Fe基合金をNiとともに添加することによりAs点を低下させる元素である。Co含有量が25原子%以上44原子%以下であれば、この効果が良好に得られる。なお、上記のFe、NiおよびCoの含有割合の関係式より、残部が全てFeであると仮定すれば、Coの含有量は25.3原子%以上43.9原子%以下である。さらに好ましいCo含有量の下限は30原子%以上さらには33原子%以上、上限は40原子%以下さらには36原子%以下である。
【0019】
合金中に固溶して存在するTiは、冷間強加工における加工硬化の挙動に影響する。Ti含有量が1原子%未満ではその影響がなく、冷間強加工を施しても強度の大幅な向上が望めない。また、Ti含有量が12原子%を超えると、熱間加工性が低下する。Tiの含有量は、下限を3原子%以上、5原子%以上さらには7原子%以上、上限を11原子%以下、とするのがより好ましい。
【0020】
なお、FCC構造相の相安定性は、平均価電子濃度に依存する。平均価電子濃度(e/a)とは、合金元素の価電子数を組成で平均した値である。平均価電子濃度がe/a≦8.6さらにはe/a≦8.55であれば、As点が低下し、冷間強加工による高強度化に適した相安定性が得られる。
【0021】
[組織および構造]
本発明の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金は、層状組織をもつ。この層状組織は、後に詳説する冷間強加工により生成された微細な結晶粒の集合体からなる。この結晶粒の平均粒径は、1μm以下さらには200nm以下であるのが好ましい。なお、結晶粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)等により合金の断面を観察し、写真から20個程度の結晶粒の最大径(粒子を2本の平行線で挟んだとき平行線の間隔の最大値)を測定し、それらの算術平均値とする。
【0022】
また、本発明の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金は、結晶構造が体心立方晶系(BCC)である。加工前のFCC構造相は、冷間強加工によりBCC構造相へと変態する。なお、本発明の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金がBCC構造をもつことは、X線回折(XRD)や電子線回折などにより測定することが可能である。
【0023】
[製造方法]
本発明の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金は、たとえば、上記の組成の鋳物を冷間強加工することで得られる。鋳造は、従来からの一般的な方法に従って行えばよいが、凝固の際の冷却速度は10℃/秒以上さらには20℃/秒以上であるとよい。なお、必ずしも鋳物である必要はなく、上記の組成をもつ焼結合金を冷間強加工しても、同様の高強度の合金が得られる。
【0024】
また、冷間強加工に先立ち、熱間加工および/または溶体化処理を行ってもよい。溶体化処理は、1050℃以上1200℃以下さらには1100℃以上1150℃以下で、10〜120分加熱した後、100℃/秒以上の冷却速度にて急冷するとよい。
【0025】
冷間強加工は、通常の塑性加工よりも高い歪を導入することができる冷間加工である。冷間強加工では、相当歪にて5以上さらには10以上の歪を被加工材に付与するのが好ましい。この程度の歪を導入することができる加工方法としては、HPT(HighPressureTorsion)法、ECAP(EqualChannelAngularPressing)などが挙げられる。なお、鍛造、圧延のような通常の手法では、5以上の歪を導入することはできない。
【0026】
冷間強加工は、歪速度が10−3/秒以上10/秒以下で歪を付与する加工であるのが望ましい。また、冷間強加工は室温近傍で行えばよく、加工時の発熱による被加工材の温度は、200℃以下さらには150℃以下であるのが望ましい。加工の雰囲気についても特に限定はなく、空気中であっても窒素ガス雰囲気中であってもよい。
【0027】
[用途]
本発明の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金は、加工性が高いため幅広い分野で利用が可能である。また、高い引張り強さを示すとともにヤング率に対する引張り強さの比が従来の結晶性の金属材料よりも大きいため、金属製品の性能向上を図れる。具体的な用途としては、高強度ボルト、ばね、自動車・航空機に用いられる高強度部品などが挙げられる。
【0028】
以上、本発明の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金およびその製造方法の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
【実施例】
【0029】
以下に、本発明の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金およびその製造方法の実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
【0030】
[Fe−Ni−Co−Ti系合金の製造]
鉄、ニッケル、コバルトおよびチタンを秤量して溶解した後、金型鋳造(冷却速度:50℃/秒)により直径φ60mm×長さ150mmの鋳物を得た。この鋳物を直径φ15mm×長さ200mmに熱間鍛造してから、1100℃1時間(水冷)の条件で溶体化処理を施した。溶体化処理後、直径φ10mm×厚さ0.8mmに切り出した。
【0031】
図7に示す装置80を用い、切り出した素材に対してHPT法による冷間強加工を行った。装置80は、支持台81と押し棒82とを備える。支持台81は、円柱形状のキャビティ81cを有する。また、押し棒82は、円柱形状であって、キャビティ81cとほぼ同じ径をもつ。はじめに、素材Iをキャビティ81cに収容した。次に、押し棒82をキャビティ81cに挿入した。この状態で、押し棒82を矢印P方向(軸Xに平行)に加圧して素材Iを押圧しながら軸Xを中心に矢印R方向に回転させて、素材Iに剪断歪を導入した。加圧および回転の条件を調整し、相当歪200(円周部)、歪速度3.3×10−1/秒(円周部)、での条件で、直径φ10mm×厚さ0.8mmのディスク状の試料1〜11を作製した。この加工は、室温にて行ったが、素材Iの表面温度は100℃を超えなかった。
【0032】
また、試料3と同じ合金組成の試料12を作製した。ただし試料12には、溶体化処理後の素材に対して冷間強加工を行わなかった。
【0033】
[試料の測定]
試料1〜12について、マルテンサイト変態開始温度(As点)を測定した。As点は、動的粘弾性測定装置(DMA)を用い、内部摩擦およびヤング率の温度依存性を測定し、その変化の挙動から決定した。測定は、−100℃から開始し、5℃/分の速度で昇温させて300℃まで行った。各試料の引張り強さおよびヤング率は、JIS Z 2241に準拠した手順により求めた。結果を表1および図1〜図3に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
試料1〜試料7は、いずれも、引張り強さが2500MPa以上で、かつ、ヤング率(E)に対する引張り強さ(UTS)の比(UTS/E)が0.016以上であった。なお、これらの値は、通常の結晶性の金属材料では実現困難な値である。
【0036】
平均価電子濃度(e/a)の値が8.7程度である試料11は、As点が266℃で非常に高く、冷間加工を行っても強度が向上し難かったと推測される。試料1〜7では、e/aの値を8.6以下さらには8.55以下とすることで、冷間加工による高強度化の効果が顕著にあらわれたと考えられる。しかし、e/aが8.6程度あるいはそれ以下であっても、X/(Y+Z)の値が0.68未満である試料8および試料9は、X/(Y+Z)の値が0.68以上0.75以下である試料1〜7に比べて、UTS値およびUTS/E値が小さかった。また試料10および11は、X/(Y+Z)の値が0.75を超えており、UTS値もUTS/E値も低かった。冷間強加工が施されていない試料12は、UTS値もUTS/E値も、従来の結晶性の金属材料と同程度の小さい値であった。
【0037】
なお、試料7は、本発明の組成の範囲内にあるため、UTS/E値が0.016で高強度である。試料7においてNi含有量をさらに増加(たとえば18原子%以上)させることで、冷間強加工による高強度化に適した相安定性が得られ、さらなる高強度化(UTS/E値が0.017以上)が可能であると考えられる。
【0038】
[組織および結晶構造]
試料1と試料12は、冷間強加工の有無が異なるが、同じ組成(Fe−19.1原子%Ni−34.0原子%Co−8.1原子%Ti)の合金である。試料3および試料12について、SEM観察およびXRD測定を行った。結果を図4〜図6に示す。
【0039】
本発明に相当する試料3は、図4に示すように層状組織が見られた。また、層状組織には、粒径が10〜100nmの結晶粒が見られたため、平均粒径は1μm以下であった。なお、この層状組織は、1〜7の各試料で観察された。一方、冷間強加工が施されていない試料12は、図5のごとく200μm程度の結晶粒が観察され、層状組織は見られなかった。
【0040】
次に、図6に示すXRDパターンから、試料12はFCC構造をもつγ相からなることがわかった。試料12を冷間強加工した試料1は、BCC構造をもつα相からなることがわかった。つまり、特定の組成を有するFe−Ni−Co−Ti系合金は、大きな歪を付与されることで層状組織を生成するとともに、結晶構造がBCCであることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体を100原子%としたときに、15原子%以上25原子%以下のニッケル(Ni)と、25原子%以上44原子%以下のコバルト(Co)と、1原子%以上12原子%以下のチタン(Ti)を含み、残部が鉄(Fe)と不可避不純物とからなり、
Feの含有量をX原子%、Niの含有量をY原子%、Coの含有量をZ原子%としたときに0.68≦X/(Y+Z)≦0.75であって、層状組織を有することを特徴とする高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金。
【請求項2】
前記層状組織は、平均粒径が1μm以下の結晶粒からなる請求項1記載の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金。
【請求項3】
結晶構造が体心立方晶系(BCC)である請求項1または2記載の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金。
【請求項4】
引張り強さ(UTS)が2500MPa以上かつ引張り強さ(UTS)とヤング率(E)の比(UTS/E)が0.016以上である請求項1〜3のいずれかに記載の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金。
【請求項5】
全体を100原子%としたときに、15原子%以上25原子%以下のニッケル(Ni)と、25原子%以上44原子%以下のコバルト(Co)と、1原子%以上12原子%以下のチタン(Ti)を含み、残部が鉄(Fe)と不可避不純物とからなり、Feの含有量をX原子%、Niの含有量をY原子%、Coの含有量をZ原子%としたときに0.68≦X/(Y+Z)≦0.75である合金を冷間強加工することを特徴とする高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金の製造方法。
【請求項6】
前記冷間強加工は、相当歪にて5以上の歪を付与する加工である請求項5記載の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金の製造方法。
【請求項7】
前記冷間強加工は、歪速度が10−3/秒以上10/秒以下で歪を付与する加工である請求項5または6記載の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金の製造方法。
【請求項8】
前記冷間強加工は、HPT(HighPressureTorsion)法である請求項6または7記載の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金の製造方法。
【請求項9】
全体を100原子%としたときに、15原子%以上25原子%以下のニッケル(Ni)と、25原子%以上44原子%以下のコバルト(Co)と、1原子%以上12原子%以下のチタン(Ti)を含み、残部が鉄(Fe)と不可避不純物とからなり、Feの含有量をX原子%、Niの含有量をY原子%、Coの含有量をZ原子%としたときに0.68≦X/(Y+Z)≦0.75である合金に、冷間強加工を施してなることを特徴とする高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金。
【請求項10】
引張り強さ(UTS)が2500MPa以上かつ引張り強さ(UTS)とヤング率(E)の比(UTS/E)が0.016以上である請求項9のいずれかに記載の高強度Fe−Ni−Co−Ti系合金。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate