説明

高弾性ポリウレタン常温軟質フォームまたは常温軟質フォーム活性剤溶液を製造するための水性常温軟質フォーム安定剤配合物

本発明は、高弾性ポリウレタン常温軟質フォームの製造に使用するための、または高弾性ポリウレタン常温フォーム用の常温軟質フォーム活性剤溶液の製造に使用するための、水性常温軟質フォーム安定剤配合物であって、水性常温軟質フォーム安定剤配合物が、下記成分:a)少なくとも300〜10,000g/モルの分子量を有する、少なくとも1種の水不溶性ポリシロキサン化合物0.1〜80重量%と、b)水2重量%と、c)界面活性剤0.1重量%と、d)増粘剤、不凍剤、有機溶媒および/または殺菌剤を含む群から選択される添加剤0〜10重量%と、e)1種または複数種の水溶性シロキサン0重量%とを含み、前記成分の全重量パーセントが水性常温軟質フォーム安定剤配合物に対して最大100重量%となるように、前記成分の重量パーセントが選択されることを特徴とする水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物を提供することを目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高弾性常温硬化軟質ポリウレタンフォームの製造に使用するための、または高弾性常温硬化ポリウレタンフォーム用の常温硬化軟質フォーム活性剤溶液の製造に使用するための、水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物およびその使用に関する。本発明は、さらに水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物に基づく常温硬化軟質フォーム活性剤溶液を提供し、かつこの水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物および/または常温硬化軟質フォーム活性剤溶液を使用して得られる高弾性常温硬化ポリウレタンフォームも提供する。
【背景技術】
【0002】
常温硬化軟質ポリウレタンフォームは、「常温硬化フォーム」または「高弾性フォーム(HRフォーム)」とも呼ばれている。
【0003】
高弾性常温硬化ポリウレタンフォームは、マットレス、張り椅子または自動車シートを製造するために広く使用されている。このフォームは、イソシアナートとポリオールを反応させることにより製造される。常温硬化軟質ポリウレタンフォームの製造では、フォーム安定剤は膨張するフォームを安定化させる役割を演ずる。フォーム安定剤によって、規則的な気泡構造が確実に形成され、表皮下領域で欠陥が生じないようになる。(表面下の空隙)
【0004】
常温硬化軟質ポリウレタンフォームを製造するには、ポリエーテル、架橋剤およびポリイソシアネート、ならびに触媒、安定剤、発泡剤などの通常の助剤を使用するのが普通である。これらすべてのプロセスにおいて、この系は、ポリウレタンフォームの早期架橋によって、高い固有の安定性を有している。このため、多くの場合、沈降に対してフォームを安定化させる添加剤としてポリシロキサン−ポリエーテル共重合体の使用を省くことが可能または必要である。何故ならば、「熱硬化フォーム」の製造に不可欠なこれらのフォーム安定剤は、「常温硬化フォーム」の場合には許容しえない収縮傾向をもたらすからである。
【0005】
高弾性軟質ポリウレタンフォームを製造する多くのプロセスが、文献に包括的に記述されている。例えば、参照により本明細書に全体が組み込まれる独国特許出願公開第2533074号は、軟質ポリウレタンフォームの工業生産について記述した多くの文献参照を引用している。
【0006】
さらに、軟質ポリウレタンフォームの製造は、参照により本明細書に全体が組み込まれる、Becker/Braun、Kunststoff−Handbuch、第7巻(editor:G.Oertel)、Polyurethane、Carl Hanser Verlag、Munich;Vienna;第2版、1983年に記載されている。
【0007】
シロキサンなどの安定剤は、計量性(meterability)または反応マトリックスへの混合性を改善するために、通常純物質としては使用されず、適切な配合物の一成分として使用される。シロキサンを溶解するためには、様々な有機物質を、「溶媒」として、このような配合物に使用する。独国特許出願公開第2356443号は、アラルキル変性されたシロキサン油を含む配合物を製造するための、多くの有機溶媒を記載している。
【0008】
しかし、有機溶媒には、問題のある毒物学的分類、配合物の過度に高い燃焼性、および/または得られたフォームからの有機溶媒残留物の望ましくない放出など一連の欠点がある。さらに、有機溶媒は、常温硬化軟質ポリウレタンフォームの特性、例えば細孔構造、弾性などに対して悪影響を有する恐れがある。
【0009】
水の使用は、有機溶媒と比べて水が事実上無制限の量で利用可能であり、無毒であり、可燃性ではないという利点を有する。さらに、水は、技術的な厄介な問題なしに容易に精製し処理することができる。さらに有利な点としては、水の貯蔵がどんな重要な安全規則の規制も受けないことである。全体として、溶媒として水を使用すると、常温硬化軟質フォーム安定剤配合物を製造する厄介な問題、したがってコストを、非水系と比較して著しく低下させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、水不溶性のポリシロキサン化合物を含む常温硬化軟質フォーム安定剤配合物を提供すること、ならびに上記欠点の少なくとも1つを回避する常温硬化軟質フォーム活性剤溶液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、高弾性常温硬化軟質ポリウレタンフォームの製造に使用するための、または高弾性常温硬化ポリウレタンフォーム用の常温硬化軟質フォーム活性剤溶液の製造に使用するための、水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物であって、前記水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物が、以下の成分:
a)300g/モル以上10,000g/モル以下の分子量を有する、少なくとも1種の水不溶性ポリシロキサン化合物、0.1重量%以上80重量%以下と、
b)水、2重量%以上と、
c)界面活性剤、0.1重量%以上と、
d)増粘剤、不凍剤、有機溶媒および殺菌剤からなる群から選択される添加剤、0重量%以上〜10重量%と、
e)1種または複数種の水溶性シロキサン、0重量%以上と
を含み、
前記成分の重量割合の和が前記水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物に対して100重量%以下になるように、前記成分の重量割合が選択される、水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤配合物(cold-cure flexible form stabilizer formulation)は、少なくとも1種の水不溶性ポリシロキサン化合物を、0.2重量%以上70重量%以下、好ましくは0.5重量%以上60重量%以下、より好ましくは1重量%以上50重量%以下、さらに好ましくは2重量%以上40重量%以下、特に好ましくは3重量%以上30重量%以下、含むことができる。
【0013】
本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤配合物は、水を、5重量%以上99重量%以下、好ましくは10重量%以上97重量%以下、より好ましくは15重量%以上95重量%以下、さらに好ましくは20重量%以上92重量%以下、特に好ましくは40重量%以上90重量%以下、含むことができる。
【0014】
本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤配合物は、界面活性剤を、0.1重量%以上99重量%以下、好ましくは0.2重量%以上90重量%以下、より好ましくは0.3重量%以上40重量%以下、さらに好ましくは0.8重量%以上15重量%以下、特に好ましくは1重量%以上10重量%以下、含むことができる。界面活性剤は、特に、水溶性とすることができる。
【0015】
本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤配合物は、増粘剤、不凍剤、有機溶媒および殺菌剤からなる群から選択される添加剤を、0.5重量%以上9重量%以下、好ましくは1重量%以上8重量%以下、より好ましくは2重量%以上7重量%以下、さらに好ましくは3重量%以上6重量%以下、特に好ましくは4重量%以上5重量%以下、含むことができる。
【0016】
本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤配合物は、1種または複数種の水溶性シロキサンを、0.2重量%以上70重量%以下、好ましくは0.5重量%以上60重量%以下、より好ましくは1重量%以上50重量%以下、さらに好ましくは2重量%以上40重量%以下、特に好ましくは3重量%以上30重量%以下、含むことができる。この1種または複数種の水溶性シロキサンは、水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物中に、水不溶性ポリシロキサン化合物に対して2倍までの重量割合で存在することが好ましい。
【0017】
上記成分の重量割合は、特に明記しない限り、成分の重量割合の和が水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物に対して100重量%以下であるように選択される。
【0018】
特に明記しない限り、それぞれの成分は個々に存在しても、混合物として存在してもよい。ポリシロキサン化合物は、混合物として存在することが好ましい。
【0019】
本発明に従って使用することができる(水不溶性ポリシロキサン化合物、界面活性剤、添加剤、水溶性シロキサン、および必要に応じてその他の添加剤を包含する)化合物は、それぞれのケースで互いに異なり、かつ相互に排他的である。したがって、例えば界面活性剤は、水不溶性ポリシロキサン化合物または水溶性シロキサンを包含せず、その逆もまた同様である。さらに、例えば添加剤は、界面活性剤、水不溶性ポリシロキサン化合物または水溶性シロキサンを包含せず、その逆もまた同様である。
【0020】
常温硬化軟質フォーム安定剤配合物中の水不溶性および水溶性シロキサンの重量は、本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤配合物の全重量に対して、(合計で)0.2重量%以上70重量%以下、好ましくは0.5重量%以上60重量%以下、より好ましくは1重量%以上50重量%以下、さらに好ましくは2重量%以上40重量%以下、特に好ましくは3重量%以上30重量%以下とすることができる。
【0021】
配合物の水含有量が60〜98重量%の範囲にある場合、配合物中の水溶性シロキサンの質量割合対水不溶性シロキサンの質量割合の比は0〜5の範囲とすることができる。ほとんどの場合、この比は、≦4、≦2、または≦1であってもよい。
【0022】
本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤溶液は、≧1の水溶性シロキサンを含むことができるが、水溶性シロキサンを含まなくてもよい。本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤溶液が水溶性シロキサンを含んでいる場合、水溶性シロキサンは、水不溶性ポリシロキサン化合物の重量割合の最大2倍で水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物中に存在することが好ましい。
【0023】
さらに、本発明によれば、本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤溶液中の、使用する界面活性剤の質量割合対水不溶性シロキサンの質量割合の比(Q)が、0<Q≦1、特にQ≦0.5、より好ましくはQ≦0.2、さらにQ≦0.15の範囲にあることが好ましい。
【0024】
本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤溶液の水含有量が、60重量%以上98重量%以下の範囲にあること、および/または、配合物中の使用する界面活性剤の質量割合と水不溶性シロキサンの質量割合の比が、0<Q≦1、特にQ≦0.5、より好ましくはQ≦0.2、さらにQ≦0.15の範囲にあることが特に好ましい。
【0025】
過度に高い界面活性剤含量率は、発泡プロセスには不利になる恐れがあることが分かった。例えば、フォーム構造が破壊する恐れがある。さらに、フォーム中の界面活性剤は、望ましくない放出または他の副次的効果をもたらす恐れがある。
【0026】
本発明は、水およびシロキサンの割合が非常に高い常温硬化軟質フォーム安定剤溶液を提供することをもう一つの目的とする。何故ならば、これらの2つの成分が発泡に必要であるからである。したがって、本発明によれば、界面活性剤などの発泡に必要でない物質の割合は可能な限り少なくする。
【0027】
本発明によるさらに好ましい常温硬化軟質フォーム安定剤溶液は、下記成分:
a)≦10,000g/モルの分子量および一般式I:
【0028】
【化1】

(式中、
R基は、同一または異なっており、それぞれ、炭素原子1〜50個を有する、直鎖状、分枝状、不飽和、または飽和炭化水素基であり、
基は、同一または異なっており、それぞれ、R、OH、あるいは、炭素原子1〜100個を有し、N、S、O、P、F、Cl、Brおよび/またはIからなる群から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝状、不飽和、または飽和炭化水素基であり、
nは≧0〜50であり、
mは≧0〜50であり、
kは≧0〜10である)
を有する少なくとも1種の水不溶性ポリシロキサン化合物0.1〜80重量%と、
b)水2〜99重量%と、
c)界面活性剤0.1〜90重量%と、
d)増粘剤、不凍剤、有機溶媒および殺菌剤からなる群から選択される添加剤≧0〜10重量%と、
e)1種または複数種の水溶性シロキサン≧0〜80重量%と
を含み、
ただし、n+m≧2かつn+m≦70であり、前記成分の重量割合の和が前記水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物の合計重量に対して100重量%以下になるように、前記成分の重量割合が選択される。
【0029】
少なくとも1種の、一般式Iの水不溶性ポリシロキサン化合物
(式中、
R基は、同一または異なっており、それぞれ、アルキルまたはアリール基、好ましくはメチル、エチルまたはプロピル、より好ましくはメチルであり、
nは、1〜50、好ましくは3〜40、特に好ましくは5〜25であり、
mは、≧1〜20、好ましくは2〜15、特に好ましくは3〜10であり、
kは、≧1〜10、好ましくは2〜8、特に好ましくは3〜6である。)
を含む水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物がさらに好ましい。
【0030】
さらに、少なくとも1種の、一般式Iの水不溶性ポリシロキサン化合物
[式中、少なくとも1個のRは式II:
【0031】
【化2】

(式中、
基は、同一または異なっており、それぞれ、H、メチル、エチル、プロピルまたはフェニルであり、
基は、同一または異なっており、それぞれ、H、またはアルキル、アシル、アセチル、アリール基、好ましくは炭素原子1〜30個を有する一価または二価の炭化水素基、より好ましくは炭素原子1〜30個およびN、S、O、P、F、Cl、Brおよび/またはIからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する一価(g=1)または二価(g=2)の炭化水素基であり、g=2の場合、一般式(I)の2つの化合物は式(II)の基で連結されており、
Xは、炭素原子1〜30個を有し、さらにNまたはOなどのヘテロ原子を含むことができる、飽和、不飽和、分枝状、環状、二官能性(bifunctional)の炭化水素であり、
aは、0以上30以下、好ましくは1〜25、より好ましくは2〜20であり、
gは1または2であり、
pは0または1であり、
rは0または1であり、
sは0または1である。)
の側鎖である。]
を含む水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物が好ましい。
【0032】
本発明のさらに好ましい実施形態では、本発明に従って使用することができる水不溶性ポリシロキサン化合物は式III:
【0033】
【化3】

(式中、
R基は、同一または異なっており、それぞれメチルまたはエチルであり、
基は、同一または異なっており、それぞれ、R、OH、あるいは、ヒドロキシ、アミノ、クロロまたはシアノ基を含むアルキル基、好ましくはヒドロキシアルキル、アミノアルキル、クロロプロピルまたはシアノプロピルであり、
nは、≧2〜30、好ましくは3〜25、特に好ましくは4〜25であり、
mは≧0〜≦5である。)
を有する。
【0034】
本発明に従って使用することができる水不溶性ポリシロキサン化合物は、その分布が本質的に統計学の法則で決まる混合物の形で存在することは当業者には明らかであろう。上記の式I、IIおよびIIIの様々な構造単位は、ランダムに配置されてもブロックごとに配置されてもよい。したがって、a、g、n、m、k、p、rおよび/またはsの値は平均値に相当する。
【0035】
本発明に従って使用することができる水不溶性ポリシロキサン化合物は、常温硬化軟質ポリウレタンフォームを製造するのに好適である。
【0036】
軟質ポリウレタンフォームの製造では、原料の反応性に応じて、熱硬化軟質ポリウレタンフォーム(以下、熱硬化フォームと呼ぶ)と常温硬化軟質ポリウレタンフォーム(以下、常温硬化フォームと呼ぶ)とを区別する。これらの用語は型の中での発泡に由来する。したがって、型の中で熱硬化フォームを製造する際は、原料の反応性が低いので、架橋を完了させるためには型の中のフォームを高温、例えば≧90℃に加熱することが必要であり、したがって、これらのフォームは熱硬化フォームと呼ばれる。
【0037】
一方、高反応性のポリエーテルポリオールが開発され、さらに必要に応じて架橋剤を追加使用することにより、硬化が速くなったので、ほとんど熱を加えなくても型の中でフォームを作ることが可能になった。したがって、こうしたフォームは常温硬化フォームと呼ばれる。
【0038】
型の中での発泡とは別に、スラブストックプロセスによって発泡を行うことも可能である。常温硬化フォームおよび熱硬化フォームという用語は、ここでも同様に確立されている。
【0039】
原料が異なることにより、常温硬化フォームは、これを熱硬化フォームと区別している極めて典型的な物性を有する。
【0040】
常温硬化フォームは以下の特性を有している:
(a)ラテックス状の感触、
(b)通常の熱硬化フォームより高い弾性(これが、このフォームが「高弾性フォーム」(HRフォーム)とも呼ばれる理由である)、
(c)熱硬化フォームとは異なる圧縮強度特性(より高いたるみ係数(sag factor))、したがって椅子張り材料(家具フォーム)として使用された場合のより良好な座り心地、
(d)疲れ方が少ない優れた長期使用特性(これは、特に自動車部門で重要である)、
(e)その溶融挙動による、通常の熱硬化フォームより優れた難燃性、
(f)型の中で発泡させた場合の、より有利なエネルギーバランスおよびより短いサイクルタイム。
【0041】
常温硬化フォームのさらに重要な特徴は「ボールリバウンド(ball rebound)」である。ボールリバウンドを測定する方法は、例えばISO 8307に記載されている。ここでは、一定の質量を有するスチールボールを、試験片上に特定の高さから落下させた後、リバウンド高さを落下高さのパーセントで評価する。常温硬化軟質フォームの典型的な値は55%を超える範囲にある。それに比べて、熱硬化フォームまたはポリウレタンエステルフォーム(以下、エステルフォームとも呼ぶ)は、最大30〜48%のボールリバウンド値を有するに過ぎない。
【0042】
常温硬化軟質ポリウレタンフォームを製造するには、ポリオール、多官能性イソシアナート、アミン活性剤、スズ、亜鉛または他の適切な金属含有触媒、安定剤、発泡剤(通常、COを形成する水)の混合物に、必要に応じ物理的発泡剤を添加し、さらに必要に応じ難燃剤、カラーペースト、フィラー、架橋剤または他の通常の加工助剤などのその他の添加剤を添加して反応させる。
【0043】
常温硬化軟質フォームの製造が熱硬化フォームと決定的に違うことは、第1に高反応性のポリオールを使用することであり、さらに任意選択で低分子量の架橋剤を使用することである。架橋剤の機能を比較的高官能性のイソシアナートが引き受けることもできる。したがって、イソシアネート基と水酸基との反応は、フォームの膨張段階(−NCOとH0からのCOの形成)においてさえも行われる。こうした速いポリウレタン反応により粘度が増加して、発泡プロセス中、フォームは比較的高い固有の安定性を示す。
【0044】
したがって、常温硬化軟質ポリウレタンフォームは高弾性フォームであり、このフォームでは表層ゾーン(フォームの表面下の領域)の安定化が大きな役割を果たす。固有の安定性が高いために、発泡プロセス終端での気泡が十分に開放されていないことが多く、これを開放するために機械的な圧力を加えなければならない。ここで、気泡を開放するために必要な力が、連続気泡(open cell)の割合の尺度として役立つ。連続気泡の割合が高く、気泡を開放するために必要な力が小さいことが望ましい。型の中で発泡させる場合、常温硬化軟質ポリウレタンフォームは、熱硬化軟質ポリウレタンフォームとは異なり、例えば≦90℃の温度で製造される。
【0045】
軟質フォームは、常温硬化軟質ポリウレタンフォームと熱硬化軟質ポリウレタンフォームに分類されるだけでなく、ポリウレタンエステルフォームに分類される。
【0046】
ポリウレタンエステルフォームは、非常に規則的な気泡構造を有するフォームである。不規則な構造(スポンジ構造として知られている)は、フォームを計画的に破壊することによって得ることができる。ポリウレタンエステルフォームは、ジイソシアナートを、水酸基を含むポリエステル、例えばジカルボン酸とポリヒドロキシアルコールとの反応によって形成されたポリエステル、と反応させることによって得ることができる。フォームを計画的に破壊するのに好適な物質は、例えば分子量が≧40,000のポリジメチルシロキサン化合物である。フォームの破壊に使用することができる、こうしたポリシロキサン化合物の粘度は、少なくとも4000mPas以上であることが多い。
【0047】
本発明に従って使用することができる水不溶性ポリシロキサン化合物は、熱硬化ポリウレタンフォームの製造にも、ポリウレタンエステルフォームの製造にも適していない。熱硬化ポリウレタンフォームにおいてもエステルフォームにおいても、本発明に従って使用することができる水不溶性ポリシロキサン化合物は、フォームを著しく破壊するどころかフォームを完全に崩壊させてしまうであろう。
【0048】
本発明の目的のための「水不溶性ポリシロキサン化合物」という用語は、250mlのガラス製ビーカー内の2回蒸留した23℃の水100mlにこの化合物を入れ、テフロン(登録商標)加工の撹拌棒(長さ3cm)を用いて撹拌速度200rpmで1時間かき混ぜて、最大5gの量を均質に混合することができ、この混合物は少なくとも100日間放置しても相分離することのない、ポリシロキサン化合物を指す。
【0049】
本発明の目的のための「水溶性ポリシロキサン化合物」という用語は、250mlのガラス製ビーカー内の2回蒸留した23℃の水100mlにこの化合物を入れ、テフロン(登録商標)加工の撹拌棒(長さ3cm)を用いて撹拌速度200rpmで1時間かき混ぜて、>5gの量を均質に混合することができ、この混合物は少なくとも100日間放置しても相分離することのない、ポリシロキサン化合物を指す。
【0050】
本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤配合物は、10重量%までの有機溶媒を含むことができる。有機溶媒は、不凍液、好ましくは短鎖アルコールおよび/またはグリコール、好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールからなる群から選択することができる。
【0051】
いかなる有機溶媒も含まない常温硬化軟質フォーム安定剤配合物が特に好ましい。
【0052】
常温硬化軟質フォーム安定剤配合物および/または本発明に従って安定剤として水不溶性ポリシロキサンを含む常温硬化軟質フォーム活性剤溶液は、気泡サイズおよび気泡サイズ分布を制御しさらに表面下のゾーンを調節するのに有利な特性を有する。
【0053】
常温硬化軟質ポリウレタンスラブストックフォームを製造するための発泡においては、フォームの安定化および気泡サイズ分布の調節を別にすれば、実際の課題は、気泡を適切な時点で適切な程度まで開放することの必要性である。気泡の開放が早すぎたり遅すぎたりすると、フォームは崩壊または収縮してしまう恐れがある。フォームの連続気泡の割合が十分でないと、機械的な圧力による気泡の開放が問題となる恐れがある。
【0054】
膨張する反応混合物は型の容積のすべてを充填するために比較的長い流路に沿って移動しなければならないので、常温硬化軟質ポリウレタンフォーム成形物の製造には別の必要条件もある。ここでは、型の壁または導入されたインサートで気泡群全体の破壊が起りやすく、その結果フォームの表皮下に空隙が形成されることになる。別の重要なゾーンはベント領域にある。過剰な発泡ガスがあまりにも高速で気泡群を通って流れると、部分的に崩壊したゾーンが形成されるようになる。
【0055】
本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤配合物および/または常温硬化軟質フォーム活性剤溶液は、有利には、以下の利点を有する:
−フォームの十分な安定化、
−剪断力の影響に対する安定化、
−表面下のゾーンおよび表皮の安定化、
−気泡サイズおよび気泡サイズ分布の制御、ならびに独立気泡の割合の上昇の回避。
【0056】
本発明によれば、分子量が300〜4000g/モル、好ましくは350〜3500g/モル、より好ましくは400〜3000g/モルの水不溶性ポリシロキサンが好ましい。
【0057】
さらに、ポリエーテル単位のモル質量があまり高くない場合に、規則的な孔隙構造の形成、優れた表面ゾーン安定性、および常温硬化軟質ポリウレタンフォームの気泡を開放するのに必要な力の減少が可能になることが分かった。
【0058】
さらに、ポリエーテル単位のモル質量が増加するにつれて水に対するポリシロキサン化合物の溶解度が上昇し、上記の製品特性を悪化させる恐れがある。したがって、本発明に従って使用される水不溶性ポリシロキサン化合物のポリエーテル単位は、44〜1000g/モル、好ましくは58〜750g/モル、より好ましくは88〜500g/モルのモル質量を有することが好ましい。
【0059】
さらに、本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤配合物は、必要に応じ、水溶性シロキサンを含むこともできる。水溶性シロキサンは、必ずしもそうする必要はないが、常温硬化軟質フォームの発泡において所望の効果を得るために、本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤配合物中に存在することができる。
【0060】
本発明に従って使用することが好ましい水不溶性ポリシロキサン化合物は、ポリシロキサン1分子当たり、最大70個のSi原子、好ましくは最大50個のSi原子、特に好ましくは5〜25個のSi原子を有しており、分子中に5〜25個のSi原子を有するポリジメチルシロキサンが最も好ましい。
【0061】
本発明の目的に好適なポリジメチルシロキサン低い粘度を有する。>200mPasの粘度を有するポリジメチルシロキサンは、非常に規則的な気泡構造の形成に対して悪影響があることが分かった。特に、粘度が>500mPasであると、望ましくない不規則なスポンジ状の気泡構造が得られるか、またはフォームが崩壊することもある。したがって、本発明によれば、一般式(III)のポリジメチルシロキサンであって、すべてのR、R基=メチル基であり、m=0であり、0mPas以上100mPas以下、好ましくは0.5mPas以上80mPas以下、より好ましくは1mPas以上70mPas以下、特に好ましくは1.5mPas以上50mPas以下の粘度を有するポリジメチルシロキサンが好ましい。
【0062】
特に明記しない限り、本発明の説明では、粘度は、DIN 53015に従って20℃で落球式粘度計を使用してヘプラー法によって測定した。
【0063】
この方法は、球体が、重力下で、内径15.94mmを有し、10°傾斜し、被測定液体で充填した円筒形チューブの環状マークで規定された距離を移動するのに必要な時間を測定することに基づくものである。ここで、測定すべき粘度範囲に応じて、所定の密度および所定の直径を有する球体を使用する。
【0064】
本発明の好ましい実施形態は、
a)0.1重量%以上80重量%以下、好ましくは0.2重量%以上60重量%以下、より好ましくは0.3〜50重量%以下の水不溶性ポリシロキサンであって、0.5〜40重量%以下の量が特に好ましい水不溶性ポリシロキサンと、
b)5重量%以上99重量%以下、好ましくは10重量%以上95重量%以下、より好ましくは30重量%以上90重量%以下の水と、
c)0.1重量%以上99重量%以下、好ましくは0.2重量%以上90重量%以下、より好ましくは0.3重量%以上40重量%以下の界面活性剤と、
d)0重量%以上〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の添加剤と、
e)0重量%以上80重量%以下、好ましくは0重量%以上60重量%以下、より好ましくは0〜50重量%以下の1種または複数種の水溶性シロキサンと
を含み、
前記成分の重量割合の和が前記水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物の合計重量に対して100重量%以下になるように、前記成分の重量割合が選択される、水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物を含む。
【0065】
本発明のさらに好ましい実施形態は、
a)0.5重量%以上35重量%以下、好ましくは1重量%以上30重量%以下、より好ましくは3〜25重量%以下の水不溶性ポリシロキサンと、
b)5重量%以上99重量%以下、好ましくは20重量%以上95重量%以下、より好ましくは40重量%以上90重量%以下の水と、
c)0.2重量%以上20重量%以下、好ましくは0.3重量%以上15重量%以下、より好ましくは0.5〜10重量%以下の界面活性剤と、
d)0重量%以上〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の添加剤と、
e)0重量%以上30重量%以下、好ましくは0重量%以上25重量%以下、より好ましくは0〜20重量%以下の1種または複数種の水溶性シロキサンと
を含み、
前記成分の重量割合の和が前記水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物の合計重量に対して100重量%以下になるように、前記成分の重量割合が選択される、水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物を含む。
【0066】
本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤配合物は、以下「乳化剤」とも呼ばれる界面活性剤を含む。
【0067】
水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物中で使用される界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選択することができる。界面活性剤は、水溶性非イオン界面活性剤(ニオサーファクタント(niosurfactant))であることが特に好ましい。
【0068】
本発明による常温硬化軟質フォーム安定剤配合物の場合には、乳化剤として、イオン性界面活性剤、特に陰イオン界面活性剤を含む常温硬化軟質フォーム安定剤配合物で、配合物のクリーミングが観察されることが分かった。本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤配合物のクリーミングは、乳化剤として、ニオサーファクタントのみまたは少なくとも主成分として、常温硬化軟質フォーム安定剤配合物に加えることにより防止できることが分かった。特に、本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤配合物のクリーミングは、ニオサーファクタント≧90重量%および/または陰イオン界面活性剤≦10重量%を含む界面活性剤混合物の添加によって防ぐことができる。
【0069】
したがって、本発明によれば、少なくとも90重量%のニオサーファクタントおよび10重量%以下のイオン性界面活性剤、例えば陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤および/またはベタインを乳化剤として含む、常温硬化軟質フォーム安定剤配合物の使用が特に好ましい。
【0070】
本発明によれば、界面活性剤として、ポリアルキルポリオキシアルキルポリアクリレート、ポリビニルピロリドンまたはポリ酢酸ビニルなどの高分子乳化剤を使用することも可能である。
【0071】
使用することができる界面活性剤の概要は、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、(完全改訂版)、A9巻、297頁以降およびA25巻、747頁以降;Stache、Tensid−Taschenbuch、第2改訂増補版、1981年に記載されており、これらは本発明の開示の一部として参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
常温硬化軟質フォーム安定剤配合物用乳化剤として使用することができる好適な陰イオン界面活性剤は、例えば、アルキル硫酸塩、脂肪族アルコール硫酸塩、第2級アルキル硫酸塩、パラフィンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルポリグリコールエーテル硫酸塩、脂肪族アルコールエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェノールエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、モノエステル、ジエステル、リン酸トリエステル、アルキルエーテルリン酸塩、リン酸のエトキシル化脂肪族アルコールエステル、ホスホン酸エステル、スルホコハク酸ジエステル、スルホコハク酸モノエステル、エトキシル化スルホコハク酸モノエステル、スルホスクシンイミド、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルポリグリコールカルボン酸塩、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸メチルタウリド、脂肪酸サルコシド、アリールスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、ポリアクリレート、および/またはα−スルホ脂肪酸エステルからなる群から選択される。
【0073】
乳化剤として常温硬化軟質フォーム安定剤配合物に使用することができる好適な陽イオン界面活性剤は、例えば、脂肪族、脂環式、または芳香族の第1級、第2級、および第3級アンモニウム塩またはアルカノールアンモニウム塩、第4級アンモニウム化合物、ピリジニウム塩、オキサゾリウム塩、チアゾリウム塩、アミンオキシドの塩、スルホニウム塩、キノリニウム塩、イソキノリニウム塩、トロピリウム塩を包含する。第4級アンモニウム界面活性剤は、モノ−C〜C16−、好ましくは−C〜C10−N−アルキルアンモニウムまたは−アルケニルアンモニウム界面活性剤が好ましい。ただし、N原子の残りの位置は、メチル、ヒドロキシエチルまたはヒドロキシプロピル基あるいは(エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドに基づく)ポリエーテル基で置換されている。陽イオン界面活性剤は、エステルクアット、好ましくはジ(牛脂脂肪酸アミドエチル)メチルポリエトキシアンモニウムメトサルフェート、ジアミドアミンクアット、アルキルオキシアルキルクアット、好ましくはココペンタエトキシアンモニウムメトサルフェート、および/またはトリアルキルクアット、好ましくはセチルトリメチルアンモニウムクロリドからなる群から選択されることが特に好ましい。
【0074】
使用することができる好適な両性界面活性剤は、アミンオキシド、アミノカルボキシル酸、イミダゾリンカルボキシラートおよびベタインを包含する。
【0075】
好適なアミンオキシドは、式R(ORNO(Rを有する化合物をすべて包含し、式中、Rは、炭素原子8〜26個を有する、アルキル、ヒドロキシアルキル、アシルアミドプロピル、およびアルキルフェニル基ならびにこれらの混合物の中から選択され;Rは、炭素原子2〜3個を有するアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基あるいはこれらの混合物であり;xは、0〜5、好ましくは0〜3であり、Rはそれぞれ、炭素原子1〜3個を有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基あるいはエチレンオキシド単位1〜3個を有するポリエチレンオキシド基である。C10〜C18アルキルジメチルアミンオキシドおよびC10〜C18アシルアミドアルキルジメチルアミンオキシドが好ましい。
【0076】
さらに好適な両性界面活性剤は、主として第2級および第3級アミンの誘導体、ヘテロ環式第2級および第3級アミンの誘導体、あるいは第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、または第3級スルホニウム化合物の誘導体ということができる。ベタインおよびスルタインの界面活性剤は、特に好ましい両性界面活性剤である。
【0077】
好適なベタインは、式R(R’)COO−の化合物であり、式中、RはC〜C18ヒドロカルビル基であり、R’はそれぞれ一般にC〜Cアルキルであり、RはC〜Cヒドロカルビル基である。好ましいベタインは、C1218ジメチルアンモニオヘキサノエートおよびC1018アシルアミドプロパン(またはエタン)ジメチル(またはジエチル)ベタインである。複合ベタイン界面活性剤も同様に本発明に好適である。
【0078】
両性界面活性剤は、アンホアセテート、アンホジアセテート、グリシナート、アンホプロピオネート、スルタイン、アミンオキシドおよびベタインからなる群から選択されることが特に好ましい。
【0079】
好適なニオサーファクタントは、事実上すべてアルコキシル化非イオン界面活性剤である。エトキシル化およびプロポキシル化非イオン界面活性剤が好ましい。
【0080】
好ましいアルコキシル化界面活性剤は、アルキルフェノールの非イオン性縮合物、非イオン性エトキシル化アルコール、非イオン性エトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコール、プロピレングリコールとの非イオン性エトキシレート/プロポキシレート縮合物、およびプロピレンオキシド/エチレンジアミン付加生成物との非イオン性エトキシレート縮合生成物から選択することができる。
【0081】
1〜25モルのアルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドを有する脂肪族アルコールの縮合生成物も、同様に、本発明に従って使用することができる。この脂肪族アルコールのアルキル鎖は、直鎖状または分枝状であってもよく、第1級でも第2級でもよく、一般に炭素原子1〜35個を有する。炭素原子6〜22個を有するアルキル基を有し、アルコール1モル当たり2〜200モルのエチレンオキシドを有するアルコールの縮合生成物が特に好ましい。
【0082】
好適なポリヒドロキシ脂肪酸アミドは、構造式RCONRZを有するものであり、式中、Rは、H、C〜Cヒドロカルビル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、エトキシ、プロポキシまたはこれらの混合物、好ましくはC〜Cアルキル、より好ましくはCアルキルまたはCアルキル、最も好ましくはCアルキル(すなわちメチル)であり、Rは、C〜C31ヒドロカルビル、好ましくは直鎖C〜C19アルキルまたはアルケニル、より好ましくは直鎖C〜C17アルキルまたはアルケニル、特に好ましくは直鎖C11〜C17アルキルまたはアルケニル、あるいはこれらの混合物であり、Zは、直鎖状ヒドロカルビル鎖を有するポリヒドロキシヒドロカルビル(ただし、少なくとも3個の水酸基がこの鎖に直接結合している)あるいはそのアルコキシル化(好ましくはエトキシル化またはプロポキシル化)誘導体である。Zは、好ましくは還元的アミノ化によって還元糖から誘導される。Zは、より好ましくはグリシジルである。
【0083】
好適な脂肪酸アミド界面活性剤は、式:RCON(Rを有するものを包含し、式中、Rは、炭素原子7〜21個、好ましくは9〜17個を有するアルキル基であり、Rはそれぞれ、水素、C〜Cアルキル、C〜Cヒドロキシアルキルおよび−(CO)Hからなる群から選択され、xは1〜3の範囲である。
【0084】
この点において使用するための好適なアルキル多糖類は、米国特許第4565647号に開示されており、炭素原子6〜30個を含む疎水基および1.3〜10個の糖単位を含む親水性多糖基(例えばポリグリコシド基)を有する。
【0085】
好ましいアルキルポリグリコシドは、式:RO(C2nO)(グリコシル)を有し、式中、Rは、アルキル、アルキルフェニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルフェニルおよびこれらの混合物からなる群から選択され、ここで、アルキル基は炭素原子10〜18個を有し;nは2または3であり;tは0〜10であり、xは1.3〜8である。グリコシル基は、好ましくはグルコースから誘導される。
【0086】
非イオン界面活性剤は、アルコールエトキシレート、脂肪族アルコールポリグリコールエーテル、脂肪酸エトキシレート、脂肪酸ポリグリコールエステル、グリセリドモノアルコキシレート、アルカノールアミド、脂肪酸アルキロールアミド、エトキシル化アルカノールアミド、脂肪酸アルキロールアミドエトキシレート、イミダゾリン、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体、アルキルフェノールエトキシレート、アルキルグルコシド、エトキシル化ソルビタンエステル、および/またはアミンアルコキシレートからなる群から選択されることが好ましい。
【0087】
特に好ましい非イオン界面活性剤の例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、スチレンオキシド(独国特許出願公開第19940797号および独国特許出願公開第10029648号に記載されるような)またはブチレンオキシドと、酸性水素を有する化合物、例えば、脂肪族アルコール、アルキルフェノール、オキソ合成からのアルコールとの付加生成物が挙げられる。界面活性剤のHLBは、O/W乳濁液の形成が促進される範囲にあるように選択されるべきである。例としては、2〜200モルのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと、炭素原子1〜35個を有する直鎖状または分枝状脂肪族アルコール、炭素原子6〜30個を有する脂肪酸、およびアルキル基に炭素原子4〜35個を有するアルキルフェノールとの付加生成物;1〜200モルのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドとグリセリンとの付加生成物のC〜C30脂肪酸モノエステルおよびジエステル;炭素原子6〜22個を有する飽和および不飽和脂肪酸のグリセリンモノエステルおよびジエステルならびにソルビタンモノエステル、ジエステルおよびトリエステル、ならびにこれらのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加生成物、ならびに対応するポリグリセリンに基づく化合物;アルキル基に炭素原子8〜22個を有するアルキルモノグリコシドおよびオリゴグリコシド、およびこれらのエトキシル化またはプロポキシル化類似体;2〜200モルのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドとヒマシ油および/または凝固したヒマシ油との付加生成物;ポリオール、特に、ポリグリセリンポリリシノレート(polyglycerol polyricinoleate)、ポリグリセリン12−ヒドロキシステアレートまたはポリグリセリンダイマレート(polyglycerol dimerate)などのポリングリセリンエステルが挙げられる。
【0088】
複数のこれらの物質類からなる化合物の混合物;直鎖状、分枝状、不飽和、または飽和C〜C22脂肪酸、リシノール酸または12−ヒドロキシステアリン酸と、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリトリトール、糖アルコール(例えばソルビトール)、アルキルグルコシド(例えばメチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えばセルロース)とに基づく部分エステル;羊毛ろうアルコールまたは適切な誘導体、ペンタエリスリトールと、脂肪酸と、クエン酸と、脂肪族アルコールとの混合エステル、および/または炭素原子6〜22個を有する脂肪酸と、メチルグルコースと、ポリオール(好ましくは、グリセリンまたはポリグリセリンおよびポリアルキレングリコール)との混合エステルも同様に好適である。
【0089】
さらに、ココナッツアミンエトキシレート、ステアリルアミンエトキシレートまたはベヘニルアミンエトキシレートなどのアミンアルコキシレートを使用することも可能であった。配合物の非イオン成分として、エステル油、酸アミド、および鉱油、例えば、イソノナン酸イソトリデシル、ジヘプタン酸PEG−4、ネオペンタン酸イソステリアル、オクタン酸セチル、パルミチン酸セチル、リシノール酸セチル、ミリスチン酸セチル、酢酸セチル、パルミチン酸オクチル、PPG−3ミリスチルエーテル、ステアリン酸エチルヘキシル、イソドデカノール、オレイン酸ジエタノールアミド、ココナッツ脂肪酸ジエタノールアミド、1−ヒドロキシエチル−2−ヘプタデケニルイミダゾリン、パラフィン油、灯油の使用も同様に可能である。
【0090】
特に、水溶性シロキサン含有乳化剤、例えば水溶性ポリエーテルシロキサン、モル質量400〜1000g/モルを有する水溶性ポリシロキサン−ポリアルキルポリエーテル共重合体(商品名Tegopren(登録商標)5878、Tegopren(登録商標)5840、Tegopren(登録商標)5847としてGoldschmidt GmbHから市販)の使用が好ましい。これらの上記水溶性シロキサンは、常温硬化フォームの場合の発泡には影響しないか事実上影響しない。
【0091】
さらに、本発明の目的に使用することができる特に好ましい界面活性剤または乳化剤は、参照により本明細書に全体が組み込まれる独国特許出願公開第19940797号および独国特許出願公開第10029648号に記載のスチレンオキシドに基づく乳化剤である。
【0092】
本発明に従って使用することができる不凍液は、NaCl、CaCl、酢酸カリウムまたはぎ酸カリウムなどの塩類あるいは短鎖アルコールまたはグリコール(例えば、イソプロパノール、ブチルジグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、またはプロピレングリコール)、さらに尿素、グリセリンである。
【0093】
増粘剤としては、先行技術からの公知の化合物、例えば、ポリアクリレート系化合物、好ましくはカルボマー、カーボポルまたはセルロースエーテル、好ましくはShinetsuから入手可能なTylose(登録商標)銘柄、Goldschmidt GmbHから入手可能なViscoplus(登録商標)銘柄などのポリウレタン系化合物を使用することができる。
【0094】
殺菌剤としては、BIT 10、Nipacide BCP、Acticide MBS、Nipacide BK、Nipacide CI、Nipacide FCの商品名で知られている、クロロフェン、ベンズイソチアゾリン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス−(ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、クロロメチルイソチアゾリン、メチルイソチアゾリン、または1,6−ジヒドロキシ−2,5−ジオキソヘキサンなどの商品を使用することができる。
【0095】
常温硬化軟質フォーム安定剤配合物の粘度は、20℃でヘプラー法によって測定して、20mPas〜10,000mPasの範囲にある。
【0096】
本発明による水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物は、乳濁液と呼ぶこともできる。
【0097】
配合物が乳濁液状である場合、存在する油滴の粒度分布では、90容積%を超える油滴が、2μm未満、または1μm未満、または0.5μm未満である。粒度分布は、レーザー光散乱の原理によって作動するBeckman Coulter「LS 230」型粒径測定装置を使用して測定した。
【0098】
常温硬化軟質フォーム安定剤配合物を製造するために、例えばペーストプロセス、高圧ホモジナイザーによる均質化、撹拌プロセスなど、当分野の技術者に公知の乳濁液製造方法を使用することができる。これらは、参照により本明細書に全体が組み込まれる独国特許出願公開第3024870号にも記載されている。
【0099】
水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物は非常に優れた安定性を有している。したがって、本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤配合物は、例えば、少なくとも10日間、好ましくは少なくとも50日間、より好ましくは少なくとも100日間にわたって、室温で安定して貯蔵することができ、相分離せず、および/または、水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物には肉眼で見える不均質性は観察されない。
【0100】
本発明の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物の特に有利な点は、これを活性剤溶液に組み込むことにより、安定して貯蔵できる均質な活性剤溶液を得ることができることである。対照的に、均質な活性剤溶液は、水不溶性シロキサンに基づいた既知の安定剤、例えばGoldschmidtから入手可能なTegostab(登録商標)B 4113 LFを使用して製造することができない。
【0101】
多くの場合、発泡前に、ポリオールおよびイソシアナート以外のすべての構成要素を混合して活性剤溶液を形成する。このとき、この溶液は、フォームの配合物に応じて、とりわけ、安定剤(シロキサン)、アミン、金属触媒などの触媒、および水などの発泡剤を含み、さらに難燃剤、着色剤、殺菌剤などのその他の添加剤も含む。
【0102】
アミン活性剤または触媒としては、主として架橋作用を有する、すなわちイソシアネートとポリオールとの反応を触媒するトリエチレンジアミン(TEDA)、または、主として発泡作用を有する、すなわちイソシアナートと水との反応を触媒するビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(BDE)などの第3級アミンを使用することが好ましい。多くの配合物が、これら2つの化合物の組み合わせによる触媒作用に基づく。しかし、他のアミンを本発明の目的に使用することもできる。使用するアミン活性剤または触媒の量は、ポリオール100.0部当たり0.05〜0.5部であることが好ましい。
【0103】
意外にも、本発明の常温硬化軟質フォーム安定剤配合物を、以下の組成物と混合することにより、追加費用なしで容易に均質な活性剤溶液を製造することができることが分かった。この組成物は、
−触媒、好ましくはアミン、金属触媒、
−発泡剤、好ましくはアセトン、塩化メチレン、
−追加の水、
−必要に応じ、難燃剤、紫外線安定剤、染料、殺菌剤、顔料、気泡開放剤、架橋剤、他のフォーム安定化物質、および通常の添加剤
を含む。
【0104】
本発明の均質な常温硬化軟質フォーム活性剤溶液は優れた貯蔵安定性を有している。本発明による均質な常温硬化軟質フォーム活性剤溶液は、少なくとも10日間、好ましくは50日間、特に好ましくは100日間室温で貯蔵でき、安定している。すなわち、相分離が生じない、および/または常温硬化軟質フォーム活性剤溶液の肉眼で見える不均質性は観察されない。
【0105】
特定の理論に束縛されるものではないが、この常温硬化軟質フォーム活性剤溶液の優れた安定性は界面活性剤が含有されている結果として達成されることが想定される。特にニオサーファクタントを、好ましくは界面活性剤の全重量に対して少なくとも90重量%使用すると、常温硬化軟質フォーム活性剤溶液の表面でクリーミングが発生せずに、均質な常温硬化軟質フォーム活性剤溶液が形成されるようになる。
【0106】
高弾性常温硬化軟質ポリウレタンフォームの製造に使用するのに好適な、本発明による好ましい均質な常温硬化軟質フォーム活性剤溶液は、本発明による水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物と、
−触媒、好ましくはアミン、金属触媒、
−発泡剤、好ましくはアセトン、塩化メチレン、
−追加の水、
からなる群から選択される添加剤と、
必要に応じ、難燃剤、紫外線安定剤、染料、殺菌剤、顔料、気泡開放剤、架橋剤、他のフォーム安定化物質、および通常の加工助剤からなる群から選択される添加剤と
を含む。
【0107】
本発明の好ましい実施形態は、高弾性常温硬化軟質ポリウレタンフォームの製造に使用する均質な常温硬化軟質フォーム活性剤溶液であって、
− 2重量%以上≦25重量%以下、好ましくは3重量%以上20重量%以下、より好ましくは5〜15重量%以下の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物と、
− 1重量%以上〜20重量%以下、好ましくは2重量%以上15重量%以下、より好ましくは5重量%以上10重量%以下の触媒と、
− 1重量%以上90重量%以下、好ましくは10重量%以上80重量%以下、より好ましくは30重量%以上70重量%以下の発泡剤と、
− 1重量%以上90重量%以下、好ましくは10重量%以上80重量%以下、より好ましくは30重量%以上70重量%以下の追加の水と、
− 0重量%以上70重量%以下、好ましくは2重量%以上60重量%以下、より好ましくは5重量%以上50重量%以下の添加剤と
を含み、
前記成分の重量割合の和が前記水性常温硬化軟質フォーム活性剤溶液に対して100重量%になるように前記成分の重量割合が選択される、均質な常温硬化軟質フォーム活性剤溶液を提供する。
【0108】
均質な常温硬化軟質フォーム活性剤溶液は、均質な常温硬化軟質フォーム活性剤溶液の全重量に対して、好ましくは0.01重量%以上10重量%以下、より好ましくは0.05重量%以上5重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以上1重量%以下の、本発明に従って使用することができるポリシロキサンを含む。
【0109】
触媒としては、先行技術で公知の活性剤溶液用触媒を使用することができる。使用することができる好適な触媒は、スズおよび亜鉛の化合物などの通常の金属触媒である。好適な触媒はさらにアミンを含んでいる。
【0110】
ポリウレタン反応は、一般にスズ活性剤の添加によって触媒作用を受ける。ジブチルスズジラウレート(DBTDL)、スズ(II)オクトエート、リシノール酸スズ、または適切な亜鉛化合物が使用される。使用量は、通常ポリオール100.0部当たり0.01〜0.5部であるが、これから外れてもよい。
【0111】
発泡剤の場合、化学的発泡剤と物理的発泡剤とが区別される。化学発泡剤は水を含み、水とイソシアネート基が反応するとCOが形成する。フォームの密度は水の添加量によって制御することができ、ポリオール100.0部当たり水1.5〜5.0部の使用が好ましい。さらに、代替としておよび/または追加して、二酸化炭素、アセトン、n−ペンタン、イソペンタンまたはシクロペンタン、シクロヘキサンなどの炭化水素、塩化メチレン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン、ペンタフルオロブタン、ヘキサフルオロブタン、および/またはジクロロモノフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素などの物理的発泡剤を使用することもできる。物理的発泡剤の量は、好ましくは1〜15重量部、特に1〜10重量部の範囲にあり、水の量は、好ましくは0.5〜10重量部、特に1〜5重量部の範囲にある。物理的発泡剤の中では二酸化炭素が好ましく、これを化学発泡剤としての水と組み合わせて使用することが好ましい。
【0112】
本発明によれば、常温硬化軟質フォーム活性剤溶液は、本発明に従って使用する水不溶性ポリシロキサン化合物とは別に、フォームを安定化させる水不溶性および/または水溶性シロキサンをさらに含まないことが好ましい場合がある。常温硬化軟質フォーム活性剤溶液は、本発明に従って使用する水不溶性ポリシロキサン化合物とは別に、Si原子を含む分子をさらに含まないことが特に好ましい場合がある。
【0113】
常温硬化軟質フォーム活性剤溶液は、さらに先行技術で公知の活性剤溶液用の通常の添加剤をすべて含むことができる。これらの添加剤は、難燃剤、紫外線安定剤、染料、殺菌剤、顔料、気泡開放剤、架橋剤などからなる群から選択することができる。
【0114】
本発明の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物および/または常温硬化軟質フォーム活性剤溶液は、高弾性常温硬化軟質ポリウレタンフォームの製造に使用される。本発明の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物および/または常温硬化軟質フォーム活性剤溶液は、常温硬化ポリウレタンスラブストックフォームの製造にも、常温硬化ポリウレタンフォーム成形品の製造にも好適である。
【0115】
本発明の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物および/または常温硬化軟質フォーム活性剤溶液は、ポリウレタンエステルフォームおよび熱硬化軟質ポリウレタンフォームなどの他のポリウレタンフォームの製造には不適当である。
【0116】
常温硬化軟質ポリウレタンフォームを製造するために、ポリオール、多官能性イソシアナート、アミン活性剤、スズ、亜鉛または他の金属含有触媒、安定剤、発泡剤(好ましくはCOを形成する水)の混合物に、必要に応じ物理的発泡剤を添加し、さらに必要に応じ難燃剤、紫外線吸収剤、カラーペースト、殺菌剤、フィラー、架橋剤またはその他の通常の加工助剤を添加して反応させる。
【0117】
使用するポリオールは高反応性ポリオールである。このポリオールは、好ましくは、通常約4800〜6500g/モルの高分子量を有するだけでなく、少なくとも70〜95%の第1級水酸基を有する三官能性ポリオールであり、その結果、このポリオールのOH価は36〜26mgKOH/gの範囲にある。これらのポリオールは、最大90%までのプロピレンオキシドから構成されているが、実質的に専らエチレンオキシドの付加反応に由来する第1級OH末端基を含む。第1級OH基は、熱硬化軟質ポリウレタンフォームの製造に使用されるポリオールの第2級OH基よりイソシアネート基に対して反応性が極めて高い。これらのポリオールは、3000〜4500g/モルの範囲の分子量において通常56〜42mgKOH/gのOH価を有している。
【0118】
常温硬化ポリウレタンフォームは、特に好ましくは、通常約4800〜6500g/モルの平均分子量を有し、少なくとも70%の第1級水酸基を有する高反応性ポリオールと、常温硬化軟質フォーム安定剤配合物に加えて、アミン活性剤などの触媒および発泡剤との混合物の反応によって得られる。この混合物は、さらにフィラーおよび/または多官能性イソシアネートを含んでもよい。
【0119】
本発明に従って使用することができる水不溶性ポリシロキサン化合物は、ポリオール100部当たり水不溶性ポリシロキサン化合物0.005〜5.0部、好ましくは0.01〜2部の量を使用することができる。
【0120】
高反応性ポリオールは、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトールまたはトリメチロールプロパンなどの比較的官能性の高い化合物へのプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドの重付加によって得られる。
【0121】
その他の種類の高反応性ポリオールは充填ポリオール(高分子ポリオール)である。これは、固形分40%以上の分散した固体有機フィラーを含んでいる。とりわけ、以下のポリオールが使用されている。
【0122】
SANポリオール:スチレン−アクリロニトリル(SAN)に基づく共重合体を分散した形で含む高反応性ポリオールである。
【0123】
PHDポリオール:同様に分散した形でポリ尿素を含む高反応性ポリオールである。
【0124】
PIPAポリオール:分散した形でポリウレタンを含む高反応性ポリオールである。これは、例えば、通常のポリオール中でのイソシアネートとアルカノールアミンのin−situ反応によって形成される。
【0125】
固形分は用途に応じてポリオールに対して5〜40重量%の範囲にあることが好ましく、固形分は気泡の開放を改善する役割を担っている。その結果、ポリオールは、特にTDIでは、制御された方法で発泡させることができ、フォームの収縮が生じない。したがって、固形物は重要な加工助剤として働く。その他の機能としては、固形分によって硬度が制御されることである。何故ならば、固形分が高くなるとフォームの硬度が高くなるからである。
【0126】
固形物含有ポリオールを含む配合物は、固有の安定性が著しく低いので、架橋反応による化学的安定化に加えて物理的安定化を必要とする傾向がある。
【0127】
ポリオールの固形分に応じて、ポリオールは単独でまたは上述の未充填ポリオールと混合して使用される。
【0128】
イソシアネートとしては、少なくとも2個のイソシアネート基を含む有機イソシアナート化合物を使用することができる。一般に、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、好ましくは芳香族の多官能性イソシアネートを使用することができる。イソシアネート消費成分の合計に対して60〜140モル%の量のイソシアネートを使用することが特に好ましい。
【0129】
TDI(トルエン2,4−および2,6−ジイソシアナート異性体混合物)およびMDI(ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナート)の両方が使用される。「粗MDI」または「高分子MDI」は、3個以上の環を有する生成物と共に、4,4’異性体ならびに2,4’および2,2’異性体を含む。「純MDI」という用語は、主に2,4’および4,4’異性体混合物ならびにこれらのプレポリマーを含む2環の生成物を指すために使用される。その他の好適なイソシアネートは、参照により本明細書に全体が組み込まれる欧州特許第1095968号明細書に記載されている。
【0130】
スラブストックフォームとフォーム成形品とは、異なるイソシアネートを使用して作られることが多い。したがって、常温硬化スラブストックフォーム系では、多官能性イソシアネートとして、一般に純TDI(様々な2,4および2,6異性体の混合物)を固形物含有ポリオールと組み合わせて使用する。さらに、変性TDIタイプも、高反応性未充填ポリオールと組み合わせて使用することができる。
【0131】
アミン活性剤または触媒としては、当分野の技術者に公知のすべての物質を使用することができる。主として架橋作用を有する、すなわちイソシアネートとポリオールとの反応を触媒するトリエチレンジアミン(TEDA)、または、主として発泡作用を有する、すなわちイソシアナートと水との反応を触媒するビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(BDE)などの第3級アミンを使用することが好ましい。多くの配合物が、これら2つの化合物の組み合わせによる触媒作用に基づく。しかし、他のアミンでもよい(その他の好適なアミンは、欧州特許第1095968号明細書に記載されている)。使用量は、通常、ポリオール100.0部当たり0.05〜0.5部の範囲にある。当分野の技術者に公知の金属含有触媒はすべて、同様に使用することができる。これらは、例えば、以下の金属の有機金属化合物または金属塩である:スズ、亜鉛、タングステン、鉄、ビスマス、チタン。好ましい実施形態では、カルボン酸亜鉛およびカルボン酸スズからなる群からの触媒を使用する。
【0132】
本発明の目的では、架橋剤は、イソシアネートと反応する低分子量多官能性化合物である。好適な架橋剤は、グリセリン、トリエタノールアミン(TEOA)、ジエタノールアミン(DEOA)およびトリメチロールプロパンなどの水酸基またはアミン末端物質である。使用濃度は、配合物に応じて、通常ポリオール100.0部当たり0.5〜2.0部の範囲にあるが、これから外れてもよい。粗MDIを型中での発泡に使用する場合、このものは架橋機能も同様に引き受ける。したがって、粗MDIの量を増大させるにつれて、低分子量架橋剤の含量量をそれに対応して減らすことができる。
【0133】
本発明の配合物は、スラブストックフォーム製造および型中での発泡の両方で使用することができる。当分野の技術者に公知のPUフォーム製造方法はすべて使用することができる。したがって、例えば、発泡プロセスは水平方向にも垂直方向にも進行することができる。本発明の水性安定剤配合物は、CO技術にも同様に利用することができる。低圧機械でも高圧機械でも使用することができる。これらの機械を使用する場合、本発明の配合物は、混合室へ直接計量しながら供給してもよく、あるいは混合室の上流で成分のうちの1つに混合し、その後これを混合室へ入れてもよい。混合は、原料タンク中で行うこともできる。
【0134】
本発明は、さらに、水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物および/または常温硬化軟質フォーム活性剤溶液を使用して製造された高弾性常温硬化軟質ポリウレタンフォームを含む製品を提供する。
【0135】
本発明の主題を以下の実施例によって例証する。
【0136】
[実施例]
本発明による水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物の製造
【実施例1】
【0137】
水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物:
独国特許出願公開第2533074号の実施例4に混合物1として記載されているポリジメチルシロキサン70gを、エチレンオキシド160モルを含むヒマシ油エトキシレート5g、エチレンオキシド12モルを含むイソトリデシルアルコールエトキシレート5g、および水120gと共に、独国特許出願公開第3024870号の実施例3に記載の方法で加工して乳濁液を形成した。
【実施例2】
【0138】
水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物:
実施例1に記載のポリジメチルシロキサン70gを、Synperonic(登録商標)PE L 92(エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック重合体)2g、Synperonic(登録商標)PE F 108(エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック重合体)8g(これらはいずれもUniqemaから入手可能)、および水120gと共に、実施例1と同様の方法で加工して安定した乳濁液を形成した。
【実施例3】
【0139】
水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物:
実施例1に記載のポリジメチルシロキサン70gを、PE 4322−RM(Goldschmidt GmbHから入手可能)6g、独国特許出願公開第19940797号にA5の名称で記載のポリアルキレンオキシド4g、およびTego(登録商標)Carbomer 141(Goldschmidtから入手可能)0.24gを含む水120gと共に、実施例1と同様の方法で加工して安定した乳濁液を形成し、次いでActicide(登録商標)MBS(Thorから入手可能)0.4gを加えた。
【実施例4】
【0140】
水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物:
実施例1に記載のポリジメチルシロキサン200gを、エチレンオキシド160モルを含むヒマシ油エトキシレート10g、エチレンオキシド12モルを含むイソトリデシルアルコールエトキシレート10g、およびTego(登録商標)Carbomer 141(Goldschmidtから入手可能)0.36gを含む水180gと共に、実施例1と同様の方法で加工して安定した乳濁液を形成し、次いでActicide(登録商標)MBS(Thorから入手可能)0.8gを加えた。
【実施例5】
【0141】
水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物:
実施例1に記載のポリジメチルシロキサン200gを、エチレンオキシド160モルを含むヒマシ油エトキシレート10g、エチレンオキシド12モルを含むイソトリデシルアルコールエトキシレート10g、ジプロピレングリコール40g、およびTego(登録商標)Carbomer 141(Goldschmidtから入手可能)0.28gを含む水140gと共に、実施例1と同様の方法で加工して安定した乳濁液を形成し、次いでActicide(登録商標)MBS(Thorから入手可能)0.8gを加えた。
【実施例6】
【0142】
水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物:
Tego(登録商標)Carbomer 141(Goldschmidtから入手可能)0.98gを含む水490gを、実施例3からの乳濁液10gに、撹拌しながら徐々に加えて安定した乳濁液を得た。
【実施例7】
【0143】
水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物:
Tego(登録商標)Carbomer 141(Goldschmidtから入手可能)0.88gを含む水10gおよびジプロピレングリコール50gを、実施例4からの乳濁液10gに、撹拌しながら徐々に加えて安定した乳濁液を得た。
【実施例8】
【0144】
水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物:
独国特許第3626297号の実施例にポリシロキサンIIIとして記載されているクロロプロピルシロキサン70gを、エチレンオキシド160モルを含むヒマシ油エトキシレート5g、エチレンオキシド12モルを含むイソトリデシルアルコールエトキシレート5g、および水120gと共に、実施例1に記載の通りに加工して乳濁液を形成し、次いでActicide(登録商標)MBS(Thorから入手可能)0.4gを加えた。
【実施例9】
【0145】
常温硬化軟質フォーム活性剤溶液の製造:
実施例2からの水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物30gを、水382gと、ジエタノールアミン150g、TEGOAMIN(登録商標)33(トリエチレンジアミンの33%ジプロピレングリコール溶液)50gおよびTEGOAMIN(登録商標)BDE(ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70%ジプロピレングリコール溶液)7g(これらはいずれもGoldschmidtから入手可能)からなるアミン混合物と共に撹拌した。濁った乳濁液が得られた。これを10日間分液漏斗内に貯蔵した。不均質性または相分離は観察されなかった。
【0146】
[比較例1]
実施例1に記載のポリジメチルシロキサン30gを、フタル酸ジオクチル270gと混合して均質な溶液を得た。この配合物30gを、水382gおよび実施例9に記載のアミン混合物と共に撹拌した。これにより2つの相が形成された。均質な活性剤溶液を製造することはできなかった。
【0147】
常温硬化軟質ポリウレタンフォームの製造:
配合物A:OH価35mgKOH/gおよびモル質量5000g/モルを有するポリオール100部、水2.25部、ジエタノールアミン0.5部、TEGOAMIN(登録商標)33 0.4部、TEGOAMIN(登録商標)BDE 0.1部、架橋剤としてGoldschmidtからのKOSMOS 29 0.15部およびOrtegol 204 3部、およびイソシアネート(T80=トリレン2,4−と2,6−ジイソシアナート異性体が比80:20の混合物)40部。
配合物B:OH価35mgKOH/gおよびモル質量5000g/モルを有するポリオール60部、固形分20%でOH価29mgKOH/gおよびモル質量6000g/モルを有するPHDポリオール40部、水4部、ジエタノールアミン1.5部、TEGOAMIN(登録商標)33 0.5部、TEGOAMIN(登録商標)BDE 0.07部、およびイソシアネート(T80)48部。
【0148】
配合物Aを使用したスラブストックフォームの製造:
フォームは、カップ中でイソシアネート以外の成分をすべて混合し、次にイソシアネートを加え、これを高撹拌速度で速やかにかき混ぜることにより公知の方法で製造した。次いで、この反応混合物を、紙で内張りした底部面積が28×28cmの容器に入れた。増加高さおよび沈降を測定した。フォームのブローオフを0〜3の段階で評価した。0は不十分または識別できないブローオフを示し、3は非常に強いブローオフを示す。1〜2の値を求めた。沈降とは、増加高さが最大に到達してから1分後の、cmで表した増加高さの減少をいう。
【0149】
「ブローオフ」という用語は、フォームの連続気泡からの発泡ガスの漏れを指す。
【実施例10】
【0150】
実施例1からの水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物を安定剤として使用した。含まれる水の量すなわち60重量%は、フォーム配合物に入れて計算した。この水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物は、ポリオール100部当たり実施例1の水不溶性ポリシロキサン0.1部に相当する量を使用した。
【0151】
得られたフォームは優れた安定性を有していた。増加高さ22cmにおいて沈降は0.5cmであった。ブローオフ挙動は1〜2と評価された。気泡数は12気泡/cmであった。
【実施例11】
【0152】
実施例2からの常温硬化軟質フォーム安定剤配合物を安定剤として使用した。含まれる水の量はフォーム配合物に入れて計算した。ポリオール100部当たりシロキサン0.1部を配合した。フォームは優れた安定性を有していた。増加高さ22.8cmにおいて沈降は0.4cmであった。ブローオフ挙動は1〜2と評価された。気泡数は12気泡/cmであった。
【実施例12】
【0153】
実施例3からの常温硬化軟質フォーム安定剤配合物を安定剤として使用した。含まれる水の量はフォーム配合物に入れて計算した。ポリオール100部当たりシロキサン0.1部を配合した。得られたフォームは優れた安定性を有していた。増加高さ22.6cmにおいて沈降は0.5cmであった。ブローオフ挙動は1〜2と評価された。気泡数は12気泡/cmであった。
【0154】
フォーム成形品の実施例、配合物B:
フォームは、カップ中でイソシアネート以外の成分をすべて混合し、次にイソシアネートを加え、これを高撹拌速度で速やかにかき混ぜることにより公知の方法で製造した。次いで、この反応混合物を、温度60℃に加熱した立方形の型へ入れ、組成物を6分間硬化させた。次に、気泡を開放する力を測定した。ここで、フォームをその高さの50%まで10回圧縮した。次いで11回目の測定時に、気泡が完全に開放されるように、かつ引き続きこれらの開放されたフォームの硬度を測定することができるように、圧力を(手動で)加えた。次いでフォームを切断/開放して、表皮および表面ゾーンを評価し、かつ気泡数を測定した。
【実施例13】
【0155】
ここでは実施例9からの活性剤溶液を使用した。1週間貯蔵の後、分液漏斗の上部から必要量の活性剤溶液を取り出した。
【0156】
配合物Bに従って、ポリオール混合物100部およびイソシアネート48部当たり活性剤溶液6.12部を使用してフォームを製造した。気泡を開放するための力は以下のとおりであった:1回目の測定:1279N、10回目の測定:165N、11回目の測定:129N。表皮および表面ゾーンには欠陥は見られなかった。気泡数は9気泡/cmであった。
【実施例14】
【0157】
ここでは実施例9からの活性剤溶液を使用した。1週間貯蔵の後、分液漏斗の下部から必要量の活性剤溶液を取り出した。
【0158】
配合物Bに従って、ポリオール混合物100部およびイソシアネート48部当たり活性剤溶液6.12部を使用してフォームを製造した。
気泡を開放するための力は以下のとおりであった:1回目の測定:1333N、10回目の測定:160N、11回目の測定:131N。表皮および表面ゾーンには欠陥は見られなかった。気泡数は9気泡/cmであった。
【0159】
これらの2つの実施例から、本発明による配合物に基づく活性剤溶液が、少なくとも10日間23℃で安定であったことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高弾性常温硬化軟質ポリウレタンフォームの製造に使用するための、または高弾性常温硬化ポリウレタンフォーム用の常温硬化軟質フォーム活性剤溶液の製造に使用するための、水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物であって、
前記水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物が、下記成分:
a)300g/モル以上10,000g/モル以下の分子量を有する、少なくとも1種の水不溶性ポリシロキサン化合物、0.1重量%以上80重量%以下と、
b)水、2重量%以上と、
c)界面活性剤、0.1重量%以上と、
d)増粘剤、不凍剤、有機溶媒および殺菌剤からなる群から選択される添加剤0重量%以上〜10重量%と、
e)1種または複数種の水溶性シロキサン、0重量%以上と
を含み、
前記成分の重量割合の和が前記水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物に対して100重量%以下になるように、前記成分の重量割合が選択されることを特徴とする、水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物。
【請求項2】
前記水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物が、下記成分:
a)10,000g/モル以下の分子量および一般式I:
【化1】

(式中、
R基は、同一または異なっており、それぞれ、炭素原子1〜50個を有する、直鎖状、分枝状、不飽和、または飽和炭化水素基であり、
基は、同一または異なっており、それぞれ、R、OH、あるいは、炭素原子1〜100個を有し、N、S、O、P、F、Cl、Brおよび/またはIからなる群から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝状、不飽和、または飽和炭化水素基であり、
nは0以上〜50であり、
mは0以上〜50であり、
kは0以上〜10である)
を有する少なくとも1種の水不溶性ポリシロキサン化合物0.1〜80重量%と、
b)水2〜99重量%と、
c)界面活性剤0.1〜90重量%と、
d)増粘剤、不凍剤、有機溶媒および殺菌剤からなる群から選択される添加剤0重量%以上〜10重量%と、
e)1種または複数種の水溶性シロキサン0重量%以上〜80重量%と
を含み、
ただし、n+m≧2かつn+m≦70であり、前記成分の重量割合の和が前記水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物の合計重量に対して100重量%以下になるように、前記成分の重量割合が選択されることを特徴とする、請求項1に記載の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物。
【請求項3】
Rが、同一または異なっており、それぞれ、アルキルまたはアリール基、好ましくはメチル、エチルまたはプロピル、より好ましくはメチルであり、
nが、1〜50、好ましくは3〜40、特に好ましくは5〜25であり、
mが、1以上〜20、好ましくは2〜15、特に好ましくは3〜10であり、
kが、1以上〜10、好ましくは2〜8、特に好ましくは3〜6である、
請求項1または2に記載の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物。
【請求項4】
少なくとも1個のRが式IIの側鎖:
【化2】

[式中、
基は、同一または異なっており、それぞれ、H、メチル、エチル、プロピルまたはフェニルであり、
基は、同一または異なっており、それぞれ、H、またはアルキル、アシル、アセチル、アリール基、好ましくは炭素原子1〜30個を有する一価または二価の炭化水素基、より好ましくは炭素原子1〜30個およびN、S、O、P、F、Cl、Brおよび/またはIからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する一価(g=1)または二価(g=2)の炭化水素基であり、
Xは、炭素原子1〜30個を有し、NまたはOなどのヘテロ原子も含むことができる、飽和、不飽和、分枝状、環状、二官能性の炭化水素であり、
aは、0以上30以下、好ましくは1〜25、より好ましくは2〜20であり、
gは1または2であり、
pは0または1であり、
rは0または1であり、
sは0または1である]
である、請求項1〜3のいずれかに記載の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物。
【請求項5】
前記水不溶性ポリシロキサン化合物が式III:
【化3】

[式中、
R基は、同一または異なっており、それぞれ、メチルまたはエチルであり、
基は、同一または異なっており、それぞれ、R、OH、あるいは、ヒドロキシ、アミノ、クロロまたはシアノ基を含むアルキル基、好ましくはヒドロキシアルキル、アミノアルキル、クロロプロピルまたはシアノプロピルであり、
nは、2以上〜30、好ましくは3〜25、特に好ましくは4〜25であり、
mは0以上5以下である]
を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物。
【請求項6】
前記常温硬化軟質フォーム安定剤溶液中の、使用する前記界面活性剤の質量割合対前記水不溶性シロキサンの質量割合の比(Q)が、0<Q≦1、特にQ≦0.5、より好ましくはQ≦0.2、さらにQ≦0.15の範囲にある、請求項1〜5のいずれかに記載の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物。
【請求項7】
前記水不溶性ポリシロキサンが、300〜4000g/モル、好ましくは350〜3500g/モル、特に好ましくは400〜3000g/モルの分子量を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物。
【請求項8】
前記水不溶性ポリシロキサン化合物が、分子中に、最大70個のSi原子、好ましくは最大50個のSi原子、特に好ましくは5〜25個のSi原子を有しており、分子中に5〜25個のSi原子を有するポリジメチルシロキサンが最も好ましい、請求項1〜7のいずれかに記載の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物。
【請求項9】
前記ポリエーテル単位が、44〜1000g/モル、好ましくは58〜750g/モル、より好ましくは88〜500g/モルのモル質量を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物。
【請求項10】
前記常温硬化軟質フォーム安定剤配合物が、
a)0.1重量%以上80重量%以下、好ましくは0.2重量%以上60重量%以下、より好ましくは0.3〜50重量%以下の水不溶性ポリシロキサンであって、0.5〜40重量%以下の量が特に好ましい水不溶性ポリシロキサンと、
b)5重量%以上99重量%以下、好ましくは10重量%以上95重量%以下、より好ましくは30重量%以上90重量%以下の水と、
c)0.1重量%以上99重量%以下、好ましくは0.2重量%以上90重量%以下、より好ましくは0.3重量%以上40重量%以下の界面活性剤と、
d)0重量%以上〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の添加剤と、
e)0重量%以上80重量%以下、好ましくは0重量%以上60重量%以下、より好ましくは0〜50重量%以下の1種または複数種の水溶性シロキサンと
を含み、
前記成分の重量割合の和が前記水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物の合計重量に対して100重量%以下になるように、前記成分の重量割合が選択される、請求項1〜9のいずれかに記載の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物。
【請求項11】
前記常温硬化軟質フォーム安定剤配合物が、
a)0.5重量%以上35重量%以下、好ましくは1重量%以上30重量%以下、より好ましくは3〜25重量%以下の水不溶性ポリシロキサンと、
b)5重量%以上99重量%以下、好ましくは20重量%以上95重量%以下、より好ましくは40重量%以上90重量%以下の水と、
c)0.2重量%以上20重量%以下、好ましくは0.3重量%以上15重量%以下、より好ましくは0.5〜10重量%以下の界面活性剤と、
d)0重量%以上〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の添加剤と、
e)0重量%以上30重量%以下、好ましくは0重量%以上25重量%以下、より好ましくは0〜20重量%以下の1種または複数種の水溶性シロキサンと
を含み、
前記成分の重量割合の和が前記水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物の合計重量に対して100重量%以下になるように、前記成分の重量割合が選択される、請求項1〜10のいずれかに記載の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物。
【請求項12】
すべての基がメチル基であり、m=0である前記水不溶性ポリジメチルシロキサンが、0mPas以上100mPas以下、好ましくは0.5mPas以上80mPas以下、より好ましくは1mPas以上70mPas以下、特に好ましくは1.5mPas以上50mPas以下の粘度を有する、請求項1〜11のいずれかに記載の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物。
【請求項13】
前記水溶性界面活性剤が、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選択され、前記界面活性剤の≧90重量%が水溶性ニオサーファクタントであることが特に好ましい、請求項1〜12のいずれかに記載の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物。
【請求項14】
前記水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物が、少なくとも10日間、好ましくは少なくとも50日間、より好ましくは少なくとも100日間にわたって、室温で安定して貯蔵することができ、相分離せず、および/または、前記水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物には肉眼で見える不均質性が観察されない、請求項1〜13のいずれかに記載の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物。
【請求項15】
均質な常温硬化軟質フォーム活性剤溶液を製造するための、請求項1〜14のいずれかに記載の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物の使用。
【請求項16】
高弾性常温硬化軟質ポリウレタンフォームの製造に使用するための均質な常温硬化軟質フォーム活性剤溶液であって、請求項1〜14のいずれかに記載の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物と、
− 触媒、好ましくはアミン、金属触媒、
− 発泡剤、好ましくはアセトン、塩化メチレン、
− 追加の水、
からなる群から選択される添加剤と、
必要に応じ、難燃剤、紫外線安定剤、染料、殺菌剤、顔料、気泡開放剤、架橋剤、他のフォーム安定化物質、および通常の助剤を包含する添加剤と
を含む常温硬化軟質フォーム活性剤溶液。
【請求項17】
− 2重量%以上25重量%以下、好ましくは3重量%以上20重量%以下、より好ましくは5〜15重量%以下の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物と、
− 1重量%以上20重量%以下、好ましくは2重量%以上15重量%以下、より好ましくは5重量%以上10重量%以下の触媒と、
− 1重量%以上90重量%以下、好ましくは10重量%以上80重量%以下、より好ましくは30重量%以上70重量%以下の発泡剤と、
− 1重量%以上90重量%以下、好ましくは10重量%以上80重量%以下、より好ましくは30重量%以上70重量%以下の追加の水と、
− 0〜70重量%以下、好ましくは2重量%以上60重量%以下、より好ましくは5重量%以上50重量%以下の添加剤と
を含み、
前記成分の重量割合の和が前記水性常温硬化軟質フォーム活性剤溶液に対して100重量%になるように、前記成分の重量割合が選択される、高弾性常温硬化軟質ポリウレタンフォームの製造に使用する、請求項16に記載の均質な常温硬化軟質フォーム活性剤溶液。
【請求項18】
前記均質な常温硬化軟質フォーム活性剤溶液の全重量に対して、0.01重量%以上10重量%以下、好ましくは0.05重量%以上5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以上1重量%以下の水不溶性ポリシロキサンを含む、請求項16または17に記載の均質な常温硬化軟質フォーム活性剤溶液。
【請求項19】
前記均質な常温硬化軟質フォーム活性剤溶液が、少なくとも10日間、好ましくは少なくとも50日間、より好ましくは少なくとも100日間にわたって、室温で安定して貯蔵することができ、相分離せず、および/または、前記常温硬化軟質フォーム活性剤溶液には肉眼で見える不均質性が観察されない、請求項16〜18のいずれかに記載の均質な常温硬化軟質フォーム活性剤溶液。
【請求項20】
常温硬化軟質ポリウレタンフォームを製造するための、請求項1〜14のいずれかに記載の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物および/または請求項16〜19のいずれかに記載の常温硬化軟質フォーム活性剤溶液の使用。
【請求項21】
請求項1〜14のいずれかに記載の水性常温硬化軟質フォーム安定剤配合物および/または請求項16〜19のいずれかに記載の均質な常温硬化軟質フォーム活性剤溶液を使用する、ポリオールとイソシアネートとの反応から得ることができる、常温硬化軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項22】
請求項21に記載の高弾性常温硬化軟質ポリウレタンフォームを含む製品。

【公表番号】特表2010−513578(P2010−513578A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540682(P2009−540682)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061603
【国際公開番号】WO2008/071497
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】