説明

高性能熱絶縁材料

少なくとも次の要素の混合物から得ることができる熱絶縁材料:
水性発泡体;
シリカエアロゲル粒子;及び
有機バインダー及び無機バインダーから選択される少なくとも1種のバインダー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高性能熱絶縁材料及びその製造方法に関し、さらに建設分野において、建築物の壁(外壁又は内壁)を絶縁するための、又は建設材料のクラックを充填するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、新たな建設及びリノベーションの分野において、建築作業の仕様に合うように、熱絶縁の点で特に高性能な新規な材料を開発することが必要である。そのような必要性に合う新規材料の開発は、近年、前例のない規模となっている。しかし、建築物(住居等)の建設に望ましい特性、特に荷重の軽減、力学的強度、又は例えば遮音の点で望ましい特性を、維持又はさらに向上させることが、そのような比較的高い絶縁性の建設材料にとって必要な場合がある。
【0003】
さらに、様々な熱絶縁製品が近年知られている。その通常用いられる熱絶縁製品では、天然繊維又は合成繊維に基づく繊維状絶縁材、例えばガラスウール又はロックウールに基づく繊維状絶縁材;延伸ポリマー又は発泡性ポリマーで作製された種類の多孔質絶縁材、例えば延伸又は押出ポリスチレン又はポリウレタンで作製された種類の多孔質絶縁材;及びエアロゲルマット、すなわち力学的に強固な絡まった繊維で形成されているが所定の形状をインプリントすることが困難なブランケットの形態である層状のエアロゲルが、主に言及される。
【0004】
シリカエアロゲルは、中でも最も高性能な絶縁製品である。しかし、それらは、その平凡な力学的特性のために、強化材と組み合わせて用いる必要がある。この明細書でさらに述べられるように、通常の絶縁製品(ポリスチレン等)との組合せによるその使用法が、それらを売れる製品にするのを不可能にしているので、その用途は現在までそれほど拡がってはいない。シリカエアロゲルは、熱伝導率を12mW/m.Kまで低下させることができ、これは特定の条件で乾燥させたシリカゲルから製造される。それらは、絶縁グレージングにおける用途での、あらゆる取扱いから守られる必要がある半透明な細粒の形態であるか、微細粒子の形態であるかのいずれかであり、そのままでは通常の絶縁製品、例えば建築物の壁を絶縁するための(熱、音等に関する)絶縁パネルを構成するために用いることができない。
【0005】
ポリスチレンの熱性能を向上する観点で、ポリスチレンとエアロゲルとの混合物を含む複合材料を作製することが既に提案されている。
【0006】
2〜5mmの粒子の形態である27〜47体積%の超臨界シリカエアロゲル、及び53〜73体積%のスチレンポリマー発泡体を含む複合発泡体の例が、特許文献1で見つかる。この製品は、10℃で20〜27mW/m.Kの熱伝導率であるとしている。
【0007】
しかし、エアロゲルが脆い性質を有し、ポリマービーズとの混合操作中に受ける摩擦に耐えられないため、これらの複合材は、商業製品の製造で求められるような大規模での製造をすることができない。さらに、このような製品の力学強度の質は、不十分なものにとどまり、かつエアロゲルの割合を高めると共に顕著に劣化する。
【0008】
また、特許文献2及び特許文献3から、エアロゲル粒子を有するポリマーバインダーの直接的組込みが知られている。特許文献2は、より詳しくは、シリカエアロゲル複合材料、例えば中空の(ガラス又は熱可塑性)微粒子のないシンタクチックフォームと組み合わされたエアロゲルから製造される複合材料に関する。これらのシンタクチックフォームは、特に混合体中で水性ポリマー(「水系ポリマー」)を用いることにより得られる。この技術により得られる熱性能は限定的であり、特許文献2の手順により得られるサンプルは、60mW/m.Kより低い熱伝導率を得ることができない。
【0009】
また、特許文献3も、特に発泡体の形態で水性ポリマーバインダー(「水性バインダー」)を用いることにより得られるシンタクチックフォームに関する。この場合には、発泡体は、中空の(ガラス又は熱可塑性)微粒子を用いることにより生成したシンタクチックフォームである。上記の微粒子を含むこのようなシンタクチックフォームは、特に高価である。さらに、ここでも、用いる微粒子の熱性能が、エアロゲルにより与えられる高い熱性能より低い場合には、この技術により得られる熱性能は限定的となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第EP489 319号
【特許文献2】米国特許出願公開第US2008/0287561号
【特許文献3】国際公開WO03/097227号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、荷重の軽減のために低密度で、かつ良好な力学的強度を保持しながら、優れた熱性能を示す新たなタイプの絶縁材料を提示することを目的とする。また、本発明は、硬化中に容易に拡げることができ、かつ特にモールディングによって望ましい全ての形状を与えることを可能とする、革新的な材料を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これに関して、従来技術の欠点を克服するために、本発明の1つの主題は、少なくとも次の要素の混合体から得ることができる熱絶縁材料である:水性発泡体、シリカエアロゲル粒子、有機バインダー及び/又は無機バインダー。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、水性発泡体から調製されるシリカエアロゲルを含む熱絶縁材料が、軽量の材料として用いることと適合可能である密度を有しながら、そのままでエアロゲルの熱性能に近い熱性能を達成できることを予想外にも示した。このような熱絶縁材料は、特に圧縮強度及び変形性(deformability)の点で、良好な力学的性能も示す。それゆえ、本発明の絶縁材料は、充填材料としての使用と、表面での使用、特に上塗り(facing)としての使用との両方に適合可能である。
【0014】
本発明の文脈内で用いられるシリカエアロゲルは、市販のエアロゲルの細粒、例えばCabot(Nanogel(商標)TLD302等)により販売されているエアロゲルの細粒から調製される。それらを、粉砕し、そしてスクリーニングした後で用いることができ、あるいは変化を与えずに直接的に用いることができる。エアロゲルは、例えば、有機前駆体又は無機前駆体から、溶媒の存在下での加水分解、そして触媒を用いたゲル化、そしてこのゲルを形成する液体の(例えば、高温かつ/又は圧力下での)気化又は抽出によって、作製されたゲルから通常は得られる。気化又は抽出は、この液体をガス(特に空気)と置換するために行われる。このエアロゲルを、特に発泡体、細粒、必要により分割されたブロックの形態で製造することができる。
【0015】
水性発泡体及びシリカエアロゲルに加えて、熱絶縁材料の調製のために意図された混合体は、有機バインダー及び/又は無機バインダーを含む。これは、例えば粒子同士の結合及び/又は最終製品でのこの材料の他の構造への粒子の結合を可能とするために用いられる。明細書の以下の記載では、単独で用いられる用語「バインダー」は、無機バインダー、有機バインダー、これら二つの類の少なくとも1つに属するバインダーの系に言及するであろう。
【0016】
好ましくは、上述の熱絶縁材料を、少なくとも次の要素から調製することができ、ここで量は、混合物(この絶縁材料の調製に用いられる全体の混合物)の合計重量に対する重量%として表している:25〜75%の水性発泡体、5〜35%のシリカエアロゲル粒子及び5〜35%のバインダー。
【0017】
有利には水性発泡体の量は、35〜65%、好ましくは45〜55%の範囲であり、実際は50%ちょうどである。
【0018】
同様に、シリカエアロゲル粒子の量は、有利には17〜25%、好ましくは21〜23%の範囲であり、実際は22%ちょうどである。
【0019】
同様に、バインダーの量は、有利には17〜25%、好ましくは21〜23%の範囲であり、実際は22%ちょうどである。
【0020】
また、上述の範囲の値から選択されるこれらの成分の全ての組合せも可能である。
【0021】
本発明の意味内において、用語「水性発泡体」は、水性相中での、特に石けん状の外観の液体中での、気泡の無秩序な充填により得られるあらゆるタイプの発泡体を定義している。そのような石けん状の外観の液体は、水及び少なくとも1種の界面活性剤を含有する。
【0022】
本発明の絶縁材料を得るために用いられる水性発泡体は、好ましくは以下を含有する混合体から調製される:
−次の一般式(I)を有する化合物の1種から選択される、少なくとも1種のカチオン性界面活性剤塩:
【化1】

(式中、Rは、8〜24の炭素原子を有する脂肪族鎖であり;Rは、1〜16の炭素原子を有するアルキル、1〜16の炭素原子を有するヒドロキシアルキル、ベンジル基、随意に少なくとも1つのフッ素原子で置換されている、式(I)の窒素と共に複素環を与える基から選択される基であり;R及びRは、1〜6の炭素原子を有するアルキル基、1〜6の炭素原子を有するヒドロキシアルキル、水素原子、ベンジル基、随意に少なくとも1つのフッ素原子で置換されている、式(I)の窒素と共に複素環を与える基からなる群より選択され;かつXは、カウンターアニオンである。);
−次の一般式(II)を有する化合物の1種から選択される、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤塩:
【化2】

(式中、Rは、10〜24の炭素原子を有する脂肪族鎖であり;Xは、カルボキシラート基、スルファート基及びホスファート基から選択される負電荷を有する基であり;かつYは、アンモニウム、ナトリウム及びカリウムの基から選択されるカウンターカチオンである。)。
【0023】
好ましくは、カチオン性界面活性剤塩の重量含量の、アニオン性界面活性剤塩の重量含量に対する比は、0.05:1〜15:1、好ましくは0.2:1〜5:1、さらに0.4:1〜2.5:1で様々である。
【0024】
有利には、カチオン性界面活性剤塩は、10〜22の炭素原子を含むアルキル基を有するアルキルトリメチルアンモニウム塩から選択され、好ましくは次の化合物の少なくとも1種から選択される:ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(又はクロリド)、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド(又はクロリド)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(又はクロリド)、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド(又はクロリド)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(又はクロリド)、セチルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、セチルトリエチルアンモニウムブロミド及び(タロー)トリメチルアンモニウムクロリド。
【0025】
好ましくは、アニオン性界面活性剤塩は、(タロー)トリメチルアンモニウムクロリドである。
【0026】
有利には、上記のアニオン性界面活性剤塩は、次の化合物の少なくとも1種から選択される:ステアリン酸アンモニウム、ステアリン酸カリウム及びステアリン酸ナトリウム。
【0027】
代替的に又は付加的に、12〜24の炭素原子を有する有機酸のアルカリ金属塩で構成されたアニオン性界面活性剤を用いることもでき、有利には(随意に置換された)ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩を用いることができる。
【0028】
一般式(II)のX基は、カルボキシラート基、スルファート基及びホスファート基となってもよい。これは、12〜24の炭素原子を有するカルボン酸塩でもよく、例えばミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、又はベヘン酸の共役塩基から選択されてもよい。特に、トリグリセリドの加水分解(鹸化)による石鹸から導かれた選択されたアニオンであってもよい。他のカルボキシラートであってもよく、例えばタロー脂肪酸の処理から生成されるカルボキシラートであってもよく、特に、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩及びオレイン酸塩が挙げられる。また、他の脂肪酸の共役塩基を用いることもでき、例えばタロー、ココナツオイル又は他のパームオイル等の天然成分由来の脂肪酸を含む石鹸ジェル/シャワージェルであってもよい。
【0029】
好ましくは、カチオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤を、2つの異なる水性相に含ませ、そして発泡体を形成する前に指定した量で混合する。
【0030】
このような水性発泡体の調製は、国際公開第96/25475に記載されている。
【0031】
また、水性発泡体を、Allied Foamにより販売されている2成分キットから調製してもよい(品番:425A及び510B)。このようなキットは、アニオン性界面活性剤を含む第一の水性混合体及びカチオン性界面活性剤及びラテックスを含む第二の水性混合体から構成される。
【0032】
本発明者らは、カチオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤を含むこれらの水性発泡体が、シリカエアロゲル粒子の組込みの間に特に安定となっている利点を有することを示した。これにより、本発明の絶縁材料を調製するための混合体に導入するシリカエアロゲルの量を制御することが非常に容易になる。この態様は、幅広い範囲の様々な製品への利用を可能とするので、特に有利である。実際に、シリカエアロゲルは非常に高価なので、熱特性及び力学的強度を大きく低下させずに、コストの点で比較的利用しやすい製品を作製するために、その量を制御できることは好ましい。発泡体/エアロゲル比を高めることは、空気がさらに多く含まれ、それによりこれが材料の固有の柔軟性と組み合わされる場合には、圧縮性がさらに高い系を調製することも可能とする。これは、特定の用途、例えばフロア絶縁(特に音)用途の後で、又は多孔質のタイプの充填用構造物の用途で求められている。また、安定な発泡体は、比較的低いシリカエアロゲル含量であっても、低密度材料となる材料を得ることを可能とする。
【0033】
他の水性発泡体を、本発明に関して用いることができ、例えばGillette Foam Regular発泡体に関して用いることができる。
【0034】
水/グリセロール混合体、1種以上の界面活性剤(例えば上記の界面活性剤)及び1種以上の双性イオン物質を含む水性発泡体も用いることができる。双性イオン物質の中では、アミノ酸若しくはその誘導体、又はアミノ酸から合成した他の分子に言及することができる。さらに、ベタイン、例えばリンベタイン及び/又はアンモニウムベタインに言及することができる。
【0035】
好ましくは、このような水性発泡体は、25〜55%(発泡体の合計重量に対する重量%として表す)のグリセロールの混合体を含有する。
【0036】
また、好ましくは、これらの水性発泡体は、5%未満、有利には2%未満、実際には1%未満のアニオン性界面活性剤を含有する。
【0037】
また、好ましくは、これらの水性発泡体は、5%未満、有利には2%未満、実際には1%未満の双性イオン物質、好ましくはアンモニウムベタインから選択される双性イオン物質を含有する。
【0038】
これらの様々な成分の組合せの全てが、特に上述のように含有量を変えることによって可能である。
【0039】
さらに好ましくは、このような水性発泡体は、35〜45%のグリセロール、理想的には40%のグリセロールを含有し、0.5%未満のドデシルポリオキシエチレン−3−スルファート、0.5%未満のコカミドプロピルベタイン、及び0.05%未満のミリスチン酸を含有している。
【0040】
本発明に関して上述した発泡体の全ての組合せは、熱絶縁材料を調製することを意図した混合体において組み合わせることもできる。
【0041】
好ましくは、本発明の熱絶縁材料を得るのに用いられる組成物中で使用されるバインダーは、有機バインダーであり、好ましくはラテックスである。
【0042】
さらに好ましくは、本発明の熱絶縁材料は、少なくとも1種の有機バインダー及び少なくとも1種の無機バインダーを含む混合体から得られる。有利には、有機バインダーの重量は、(有機及び無機)バインダーの合計重量に対して25%未満の含量を表し、好ましくは、この含量は、15%未満であり、さらに好ましくは10%未満であり、実際には8%ちょうどである。
【0043】
特に非常に好ましくは、バインダーは、単に無機材料から構成でき、これは絶縁材料の耐火性を保証する。
【0044】
本発明に関して用語「ラテックス」は、特に建設材料で通常用いられるラテックスポリマーを示している。このような粉体の組成物に組み込むことができるポリマーの中では、例えば、エラストマーラテックス、熱可塑性ラテックス、及び熱硬化性ラテックスに言及することができる。
【0045】
好ましくは、本発明に関して、用語「ラテックス」は、1種以上の天然又は合成の、通常は熱可塑性であるポリマー物質のエマルション又は水系分散体を意味すると理解される。このポリマーは、自己乳化性であってもよく、又は反対の場合では、このエマルション又は分散体を、適切な界面活性剤によって安定化させる。本発明に関して有用なラテックスは、有利には50℃未満のガラス転移温度Tを有する。Tは、−50℃〜25℃となるべきであり、好ましくは−20℃〜10℃であり、有利には−10℃〜0℃、さらには実質的に−5℃である。このようなTの範囲は、得られる製品が柔軟でありかつ変形可能であるならば、建築物の建設の分野において支持体に適用される絶縁材料に望ましい剛性を与えることができる。
【0046】
ポリマーフィルムの形成を確実にするために、周囲温度より最大でもわずかに低いTを有するポリマーを用いることが好ましい。これは、硬化した材料にポリマーの適切な特性を与える。あまり低くないTを有するポリマーも好ましく、これによりポリマーが柔らかくなりすぎず、これは柔軟すぎない材料を与えるであろう。
【0047】
有利には、ラテックスは、ビニル型、アクリル型及び/又はカルボン酸から誘導された型のポリマー、コポリマー又はターポリマー(又は多元ポリマー)を含む。非常に特定的には、ビニル型のラテックス、特に側鎖にエステル官能基を有するビニル系のラテックス、又は塩化ビニルとオレフィンとのコポリマーに基づくラテックスが、シラン化されているかどうかにかかわらず、好ましい。これは特に、酢酸ビニルに基づくラテックス、特にポリ酢酸ビニルのホモポリマーに基づくラテックス、又は酢酸ビニルと特に(メタ)アクリル酸並びに/又はエステル、マレイン酸エステル、オレフィン、及び/若しくは塩化ビニルとのコポリマーに基づくラテックス、塩化ビニル/エチレンコポリマーに基づくラテックスとしてもよい。他の利点のあるラテックスは、アクリル系及び/又はメタクリル系のポリマーを含むラテックスから選択されてもよく、特にアクリロニトリル/アクリル酸エステルコポリマー、又はスチレン/シラン化アクリル酸若しくはエステルコポリマー(すなわち、少なくとも1つのシラン基又はシラノール基を有するエチレン系不飽和基を有するモノマーと共重合されたコポリマー)から選択されてもよい。
【0048】
ラテックスは、有利にはエマルション又は分散体中でのラジカル重合により得られるスチレン/アクリル系のコポリマー、又は(様々なアクリル系モノマーから導かれた)全てアクリル系のコポリマーとすることができる。これらのラテックスは、アクリル酸及び/又はアクリロニトリルによって安定化される。このようなポリマーは、Acronal(商標)の名称の範囲で参照されてBASFによって販売されており、特にAcronal(商標)S400である。代替的に又は組み合わせて、このAcronal(商標)の範囲からのあらゆるラテックスを(単独又は複数で)用いることもできる。
【0049】
Hexion(商標)により販売されている粉体、及びAxilat(商標)UPの範囲の粉体、例えばAxilat(商標)UP 620Eを有利に用いることができる。Axilat(商標)UP620Eは、Axilat(商標)UP600B及びAxilat(商標)UP820Aと同様に、酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、及びマレイン酸エステルのターポリマーである。
【0050】
本発明による材料の熱伝導率は、一般に27mW/m.K以下である。
【0051】
好ましくは、本発明による材料の熱伝導率は、25mW/m.K以下であり、有利には23mW/m.K以下であり、特に好ましくは20mW/m.K以下であり、さらには19mW/m.K以下である。
【0052】
上述の本発明により得られる熱絶縁材料の密度は、一般に250kg/m未満である。
【0053】
上述の本発明により得られる熱絶縁材料の密度は、通常は150kg/m未満である(比較すると、エアロゲルブロックの密度は、150kg/mのオーダーである)。好ましくは、本発明による熱絶縁材料の密度は、130kg/m以下であり、より好ましくは120kg/m以下であり、有利には100kg/m以下であり、又は85kg/m以下であり、そして70kg/m以下であり、さらには55kg/m以下である。
【0054】
これらの範囲の熱伝導率及び密度の値の全ての組合せも可能である。
【0055】
本発明の他の1つの主題は、以下の工程を含む、上述の熱絶縁材料の製造方法である:
a)水性発泡体を調製する工程;
b)少なくとも1種のバインダーを添加する工程;
c)攪拌又は混合しながらエアロゲルパウダーを添加する工程;
d)その混合体を乾燥させる工程;及び
e)随意に、乾燥工程中に成形を行う工程。
【0056】
あるいは、バインダーを水性発泡体の調製中に工程a)で直接添加することもできる。この態様は、粉体形態のラテックスを用いる場合には、用いるバインダーとは独立である。水性発泡体の調製の後でバインダーを添加することができ、すなわち工程b)でバインダーを添加することができるが、液中での(好ましくは水性液中の)分散体/懸濁体の形態のラテックスを用いる場合には、これは好ましくは工程a)で添加されるであろう。
【0057】
成形及び乾燥工程は、適切な形状及び断面のキャビティ内で、上記調製物をキャスト又はモールディング操作することを含むことができる。用語「モールディング」は、広い意味で解釈されるべきであり、あらゆる種類の構成を範囲とし、例えば開放モールドでのキャスト、ダイによる押出し及び押出し物の切断を含む。適切であれば、表面層を生成するために、成形を、調製物とポリマー系の有機相及び/又は石膏との共押出しによって行うことができる。
【0058】
上述の発明の意味内での熱絶縁材料を、例えば石膏ボードに適用される少なくとも1つの層の形態で用いることができる。さらに、そのような特定の弾性及び変形性の絶縁材料を、ウェブ(例えば、不織布等)に含浸させること、又はウェブ上に拡げてもよい。
【0059】
好ましくは、水性発泡体を、以下のように調製する:
a)カチオン性界面活性剤発泡体を含む混合体を攪拌して作製する;
b)そして、アニオン性界面活性剤を含む水性溶液を添加する。
【0060】
本発明者らは、この方法で調製した水性発泡体が、他の成分(エアロゲル、フィラー、助剤等)の組込みの後でも、この製造プロセスを通じて安定であることを示した。
【0061】
本発明及びその利点は、単に例証のみを与え、いずれの場合にも制限するものと考慮されない以下の実施例を読むことで、より深く理解されるであろう。
【実施例】
【0062】
−熱伝導率の測定に関して、各例で用いられている手順は、以下の通りである:
熱伝導率をフラッシュ法の原理に従って実行した(BALAGEAS,D.−Mesure de la diffusivite thermique par la methode flash [フラッシュ法による熱拡散率の測定]、R2955、Technique de l’Ingenieur、Traite Mesures et Controle−1986)。ここでは、この文献に記載された手順に従って、平坦な抵抗加熱器によって熱励起させる(“Une nouvelle methode de mesure des proprietes thermophysiques de super−isolants” [超絶縁体の熱力学特性の新規測定方法]、Yves Jannot及びAlain Degiovanni、建築産業及び公共事業用の赤外線サーモグラフィについての会議、Mesurexpo(Villepinte)、2 October 2008)。
【0063】
特性化温度は、34〜37℃で様々であり、そして測定を大気圧で実行する。
【0064】
この測定の精度は、5%と推定される。
【0065】
熱伝導率を、ASTM C518及びISO8301標準により確立された手順に従って、NETZSCH(商標)HFM 436シリーズのフラックスメーターでも測定した。測定したサンプルは、15×15×5cmの寸法を有する。
【0066】
密度の測定を、体積に対するサンプルの質量の比によって決定する。この測定の精度は、3%と推定される。
【0067】
例1:
1.1 水性発泡体の調製
Allied Foamより提供される以下のキットを用いる(パーセントは、組成物の合計重量に対して計算した重量含量である)。
商品番号425Aの成分1:
−長鎖アルキルの分類に属するカチオン性界面活性剤の混合物:50〜60%
−非イオン性のフェノキシ界面活性剤の混合物:10〜20%
−エタノール:5〜8%
−水:12〜35%
商品番号510Bの成分2
−アクリル系ポリマーの混合物:25〜35%
−脂肪酸の分類に属するアニオン性界面活性剤の混合物:15〜30%
−水:35〜60%
【0068】
この発泡体を、Allied Foamより販売されている発泡生成器によって生成する。成分1を、1Lの水に対して136gに希釈する。成分2を、この目的のために与えられる容器に直接導入する。
【0069】
あるいは、以下のように調製した水性発泡体を用いることができるであろう。
2つの水溶液(1及び2)を、以下のように調製する(パーセントは、希釈後の溶液の合計重量に対して計算した重量含量である):
溶液1(蒸留水を用いて最大200gとする)を、BASFにより販売されている3.2重量%のArquad(商標)T50(水中懸濁液に49%のプロピレングリコール、51%の(タロー)トリメチルアンモニウムクロリド(プロピレングリコールの懸濁液に64%のC18アルキル、31%のC16アルキル、4%のC14アルキル及び1%のC12アルキル))、及びDow Chemicalにより販売されている0.65重量%のTriton(商標)X−405(70%のオクチルフェノールエトキシレート)を添加することによって調製する。
溶液2(蒸留水を用いて最大40gとする)を、5%のステアリン酸カリウムを添加することによって調製する。
【0070】
溶液1を、高速ミキサー(Kenwood Major 1800ワットのキッチンミキサー)に導入する。溶液2を添加し、そして第一の混合操作により得られる発泡体と混合する。
【0071】
1.2 水性発泡体の最終製品への転換
250gの新たに得られた水性発泡体を秤量し、これに水溶液中の100gのスチレン/アクリル系エステルコポリマー(ラテックス)(Acronal(商標)S400、BASF、このラテックス含量は57%である)を添加する。
【0072】
このラテックス補強発泡体が得られたら、250μm以下の粒子サイズにスクリーニングしたシリカエアロゲル(Nanogel(商標)TLD302)を、次の3つの投与量でこの発泡体に添加する:70g、90g及び100gであり、これはそれぞれ表1のサンプル2、3及び4に対応する。
【0073】
Cabotにより製造されるシリカエアロゲルを、本発明の実施のために用いる:これらはミリメートルサイズの細粒の形態であり、この試験用の所望の粒子サイズを得るために粉砕してスクリーニングする必要があった。上記のエアロゲルを粉砕し、そしてスクリーニングを、メッシュ幅が250μmのスクリーンを用いて行った。スクリーニング後に回収した粉体は、250μm以下の粒子サイズを有する。
【0074】
このエアロゲル粉体を、混合中に発泡体に導入し;この操作を約5分間続ける。
【0075】
上記補強発泡体とエアロゲル粉体との混合の後で、導入したエアロゲルの量に依存して、だんだんと圧縮されたペーストが得られるが、これは、様々な形状を与えるように比較的容易に拡がりかつ扱える。
【0076】
乾燥させると(例えば、周囲温度で48時間又は50℃のオーブンで24時間)、このペーストは、約50%の重量損失を受けており、硬化し、そして一定の柔軟性を有する固体の形態となる。この柔軟性は、この混合体に存在するエアロゲルの量にも依存する。
【0077】
密度及び熱伝導率の測定を、エアロゲル粉体及び硬化させて作製した3つのサンプル(表1のサンプル2、3及び4)について行った。測定した値を、表1に要約する。スクリーニングした単独のエアロゲル粉体に関して測定した値も、比較のために示している。
【0078】
【表1】

【0079】
3つのサンプル2、3及び4に関して、エアロゲルは、最終製品に全体の体積の約50%の含量で存在する。
【0080】
表1のサンプル2に関して、硬化してない状態では比較的柔軟であり、硬化しても比較的堅くないペーストが得られるが、サンプル4に関しては、硬化していない状態で比較的圧縮性であり、硬化すると比較的堅いペーストが得られる。
【0081】
例2:
例1の手順と同一の手順であるが、シリカエアロゲル(Nanogel(商標)TLD302)をスクリーニングしていない。それゆえ、エアロゲルは、スクリーニング処理されていないが、ミリメートルサイズの細粒の形態で混合体に組み込まれている。エアロゲルのこのサイズの変更は、ラテックス補強発泡体に比較的多くの量のエアロゲルを導入することを可能とする:140g。これは、この発泡体が、沈降(settling)又は崩壊(collapse)の現象を受けないからである。ここで、この現象は、サンプル製造において250μm以下の粒子サイズを有するエアロゲルの導入の間に観測される。
【0082】
成形し、50℃で48時間乾燥させたら、サンプル5として参照されるこのサンプルを、熱伝導測定にかける。この製品が特に柔軟性がありかつ空気を多く含む場合、所定の対応する密度に対して熱伝導率を得るために、このサンプルを、測定装置のプレート間で押圧する必要があった。
【0083】
この結果を表2に示す。
【表2】

【0084】
例3:
3.1 水性発泡体の調製
2つの水溶液(1及び2)を、以下のように調製する(パーセントは、希釈後の溶液の合計重量に対して計算した重量含有率である):
−溶液1を、BASFにより販売されている3.2重量%のArquad(商標)T50(水中懸濁液に49%のプロピレングリコール、51%の(タロー)トリメチルアンモニウムクロリド(プロピレングリコールの懸濁液に64%のC18アルキル、31%のC16アルキル、4%のC14アルキル及び1%のC12アルキル))、及びDow Chemicalにより販売されている0.65重量%のTriton(商標)X−405(70%のオクチルフェノールエトキシレート)を添加することによって調製する。この全混合体を、200gの水溶液を得るように、蒸留水の溶液に添加する。
−溶液2を、40gの水溶液を得るように蒸留水の溶液に5%のステアリン酸カリウムを添加することによって調製する。
【0085】
溶液1を、高速ミキサー(Kenwood Major 1800ワットのキッチンミキサー)に導入し、そして最高速度で2分間攪拌することによって発泡を行う。溶液2をこの第一の発泡体に添加する。この混合物を、安定な水性発泡体を得るように、最高速度で2分間攪拌する。
【0086】
3.2 水性発泡体の最終製品への転換
サンプル1及び2の調製
3.1に記載した手順に従って新たに調製した230gの安定な水性発泡体を秤量し、これに、石膏粉体から作った石膏配合体、ビニル系ターポリマー(Axilat(商標)UP620E、Hexion、このラテックス含量は90〜95%である)及び随意にケイ酸ナトリウム(NaO/SiO.3HO)から形成した、固形分/水分の重量比が10:9である無機バインダーを添加した。ミキサー中で攪拌を続けて、発泡体がだんだんペースト性となったら、これを混練操作にする。
【0087】
そして5分間、混練操作中に、この発泡混合体にCabotにより販売されているシリカエアロゲルを組み込む(Nanogel(商標)TLD302)。これは、250μm以下の粒子サイズにスクリーニングされている。混練操作中に、長時間にわたると、導入したエアロゲルの量に応じて、だんだんと圧縮されたペーストが得られる。しかし、これは、様々な形状を与えるように比較的容易に拡がりかつ扱える。
【0088】
乾燥させると(例えば、周囲温度で48時間又は50℃のオーブンで24時間)、このペーストは、約50%の重量損失を受けており、硬化し、そして一定の柔軟性を有する固体の形態となる。この柔軟性は、この混合体に存在するエアロゲルの量にも依存する。
【0089】
用いた反応物の量及び実験結果を、表3に示す。
【0090】
例4:
4.1 水性発泡体の調製
2つの水溶液(1及び2)を、以下のように調製する(パーセントは、希釈後の溶液の合計重量に対して計算した重量含量である):
−溶液1を、BASFにより販売されている3.2重量%のArquad(商標)T50(水中懸濁液に49%のプロピレングリコール、51%の(タロー)トリメチルアンモニウムクロリド(プロピレングリコールの懸濁液に64%のC18アルキル、31%のC16アルキル、4%のC14アルキル及び1%のC12アルキル))、及びDow Chemicalにより販売されている0.65重量%のTriton(商標)X−405(70%のオクチルフェノールエトキシレート)を添加することによって調製する。この全混合体を、200gの水溶液を得るように、蒸留水の溶液に添加する。
−溶液2を、5%のステアリン酸カリウムを含有する40gの水溶液(蒸留水)を調製し、これに、スパチュラを用いて作業員が攪拌しながら、水溶液中のスチレン/アクリルエステル系のコポリマー(ラテックス)(Acronal(商標)S400、BASF、このラテックス含量は57%である)である25〜38重量%の有機バインダーを、添加することによって作製する。
【0091】
溶液1を、高速ミキサー(Kenwood Major 1800ワットのキッチンミキサー)に導入し、そして最高速度で2分間攪拌することによって発泡を行う。溶液2をこの第一の発泡体に添加する。この混合物を、安定な水性発泡体を得るように、最高速度で2分間攪拌する。
【0092】
4.2 水性発泡体の最終製品への転換
サンプル3及び4の調製
4.1に記載した手順に従って新たに調製した230gの安定な水性発泡体に、石膏粉体、及び随意にケイ酸ナトリウム(NaO/SiO.3HO)から作った、固形分/水分の重量比が1:1である無機バインダーを添加した。ミキサーで低速で攪拌を続けて、発泡体がだんだんペースト性となったら、これを混練操作にする。
【0093】
そして5分間、混練操作中に、この発泡混合体にCabotにより販売されているシリカエアロゲルを組み込む(Nanogel(商標)TLD302)。これは、250μm以下の粒径にスクリーニングされている。混練操作中に、長時間にわたると、導入したエアロゲルの量に応じて、だんだんと圧縮されたペーストが得られる。しかし、これは、様々な形状を与えるように比較的容易に拡がりかつ扱える。
【0094】
乾燥させると(例えば、周囲温度で48時間又は50℃のオーブンで24時間)、このペーストは、約50%の重量損失を受けており、硬化し、そして一定の柔軟性を有する固体の形態となる。この柔軟性は、この混合体に存在するエアロゲルの量にも依存する。
【0095】
用いた反応物の量及び実験結果を、表3に示す。
【0096】
例5:
5.1 水性発泡体の調製
2つの水溶液(1及び2)を、以下のように調製する(パーセントは、希釈後の溶液の合計重量に対して計算した重量含量である):
−溶液1を、BASFにより販売されている3.2重量%のArquad(商標)T50(水中懸濁液に49%のプロピレングリコール、51%の(タロー)トリメチルアンモニウムクロリド(プロピレングリコールの懸濁液に64%のC18アルキル、31%のC16アルキル、4%のC14アルキル及び1%のC12アルキル))、及びDow Chemicalにより販売されている0.65重量%のTriton(商標)X−405(70%のオクチルフェノールエトキシレート)を添加することによって調製する。この全混合体を、200gの水溶液を得るように、蒸留水の溶液に添加する。
−溶液2を、40gの水溶液を得るように蒸留水の溶液に5%のステアリン酸カリウムを添加することによって調製する。
【0097】
溶液1を、高速ミキサー(Kenwood Major 1800ワットのキッチンミキサー)に導入し、そして最高速度で2分間攪拌することによって発泡を行う。溶液2をこの第一の発泡体に添加する。この混合物を、安定な水性発泡体を得るように、最高速度で2分間攪拌する。
【0098】
5.2 水性発泡体の最終製品への転換
サンプル5の調製
5.1に記載した手順に従って新たに調製した230gの安定な水性発泡体に、石膏粉体、及び随意にケイ酸ナトリウム(NaO/SiO.3HO)から作った、固形分/水分の重量比が1:1である無機バインダーを添加した。ミキサーで攪拌を続けて、発泡体がだんだんとペースト性となったら、これを混練操作にする。
【0099】
そして5分間、混練操作中に、この発泡混合体にCabotにより販売されているシリカエアロゲルを組み込む(Nanogel(商標)TLD302)。これは、250μm以下の粒径にスクリーニングされている。混練操作中に、長時間にわたると、導入したエアロゲルの量に応じて、だんだんと圧縮されたペーストが得られる。しかし、これは、様々な形状を与えるように比較的容易に拡がりかつ扱える。
【0100】
乾燥させると(例えば、周囲温度で48時間又は50℃のオーブンで24時間)、このペーストは、約50%の重量損失を受けており、硬化し、そして一定の柔軟性を有する固体の形態となる。この柔軟性は、この混合体に存在するエアロゲルの量にも依存する。
【0101】
用いた反応物の量及び実験結果を、表3に示す。
【0102】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも次の要素の混合物から得ることができる熱絶縁材料:
−水性発泡体;
−シリカエアロゲル粒子;及び
−有機バインダー及び無機バインダーから選択される少なくとも1種のバインダー。
【請求項2】
前記混合物の合計重量に対して、前記水性発泡体が25〜75%、前記シリカエアロゲル粒子が5〜35%、前記バインダーが5〜35%の範囲の量である、少なくとも前記要素から調製できることを特徴とする、請求項1に記載の熱絶縁材料。
【請求項3】
35〜65%の水性発泡体、17〜25%のシリカエアロゲル粒子、及び17〜25%の前記バインダーから少なくとも調製できることを特徴とする、請求項2に記載の熱絶縁材料。
【請求項4】
前記水性発泡体が、以下を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱絶縁材料:
−次の一般式(I)の化合物から選択される、少なくとも1種のカチオン性界面活性剤塩:
【化1】

(式中、Rは、8〜24の炭素原子を有する脂肪族鎖であり;Rは、1〜16の炭素原子を有するアルキル、1〜16の炭素原子を有するヒドロキシアルキル、ベンジル基、少なくとも1つのフッ素原子で随意に置換されている式(I)の窒素原子と共に複素環を与える基から選択される基であり;R及びRは、1〜6の炭素原子を有するアルキル、1〜6の炭素原子を有するヒドロキシアルキル、水素原子、ベンジル基、少なくとも1つのフッ素原子で随意に置換されている式(I)の窒素原子と共に複素環を与える基からなる群より選択され;かつXは、カウンターアニオンである);
−次の一般式(II)の化合物から選択される、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤塩:
【化2】

(式中、Rは、10〜24の炭素原子を有する脂肪族鎖であり;Xは、カルボキシラート基、スルファート基及びホスファート基から選択される負電荷を有する基であり;かつ、Yは、アンモニウム、ナトリウム及びカリウムの基から選択されるカウンターカチオンである);
ここで、前記カチオン性界面活性剤塩の重量含量の前記アニオン性界面活性剤塩の重量含量に対する比は、0.05:1〜15:1、好ましくは0.2:1〜5:1、さらには0.4:1〜2.5:1である。
【請求項5】
前記カチオン性界面活性剤塩が、次の要素の少なくとも1つから選択されることを特徴とする、請求項4に記載の熱絶縁材料:ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、セチルトリエチルアンモニウムブロミド及び(タロー)トリメチルアンモニウムクロリド。
【請求項6】
前記カチオン性界面活性剤塩が、(タロー)トリメチルアンモニウムクロリドであることを特徴とする、請求項4又は5に記載の熱絶縁材料。
【請求項7】
前記アニオン性界面活性剤塩が、次の化合物の少なくとも1種から選択されることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一項に記載の熱絶縁材料:ステアリン酸アンモニウム、ステアリン酸カリウム及びステアリン酸ナトリウム。
【請求項8】
前記水性発泡体が、水とグリセロールとの混合物、少なくとも1種の界面活性剤及び少なくとも1種の双性イオン物質を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱絶縁材料。
【請求項9】
前記水性発泡体が、35〜45%の、好ましくは40%のグリセロール、0.5%未満のドデシルポリオキシエチレン−3−スルファート、0.5%未満のコカミドプロピルベタイン、及び0.05%未満のミリスチン酸を含むことを特徴とする、請求項8に記載の熱絶縁材料。
【請求項10】
前記バインダーが、ラテックスであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱絶縁材料。
【請求項11】
前記ラテックスが、50℃未満のガラス転移温度Tgを有することを特徴とする、請求項10に記載の熱絶縁材料。
【請求項12】
23mW/m.K以下の、好ましくは20mW/m.K以下の熱伝導率を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の熱絶縁材料。
【請求項13】
19mW/m.K以下の熱伝導率を有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の熱絶縁材料。
【請求項14】
150kg/m以下の、好ましくは130kg/m以下の密度を有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の熱絶縁材料。
【請求項15】
100kg/m以下の密度を有することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の熱絶縁材料。
【請求項16】
以下の工程を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の熱絶縁材料の製造方法:
a)水系発泡体を調製する工程;
b)少なくとも1種のバインダーを添加する工程;
c)攪拌又は混合しながらシリカエアロゲル粒子を添加する工程;及び
d)この混合物を乾燥させる工程。
【請求項17】
前記d)工程の後に、前記乾燥操作の間に、成形を行うことを特徴とする、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記水性発泡体を、以下のように調製する、請求項16又は17に記載の製造方法:
a)前記カチオン性界面活性剤発泡体を含む混合物を、攪拌して作製すること;
b)そして前記アニオン性界面活性剤を含む水溶液を添加すること。

【公表番号】特表2013−518961(P2013−518961A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551667(P2012−551667)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際出願番号】PCT/FR2011/050222
【国際公開番号】WO2011/095745
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(502425053)
【Fターム(参考)】