説明

高所作業台

【課題】狭所であっても良好な作業スペースが確保でき、また、組立てや解体が容易に行える高所作業台を提供する。
【解決手段】作業位置に立設した取付対象物に取付ける高所作業台11であって、該高所作業台11は、四角形状の作業床20と、該作業床20の四隅に立設させた支持パイプ22と、該支持パイプ22の一対に対して着脱自在に差し込む一対の手摺枠23と、作業床20の四辺に側壁として配設されるプレート26と、作業床20の縁部から垂設され取付対象物に対してクランプ29で取付ける支柱21とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパイプスペースやダクトスペース等のような狭い場所での高所作業に好適な高所作業台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パイプスペースやダクトスペース等のような狭い場所において、高所作業を行う場合は、長尺脚立を作業場所に持ち込み、支柱を開脚して長尺脚立を設置し、その上部に上って作業を行っている。
【0003】
あるいは、作業現場で単管パイプ、クランプ及び足場板等を用いて単管足場を組み立ててから、足場板の上部に上って高所作業を行っている。
【0004】
なお、特開2009−24374号公報には、脚立に関する発明が開示されており(特許文献1参照)、特開2003−56173号公報には、単管足場に関する発明が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−24374号公報
【特許文献2】特開2003−56173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来例の長尺脚立においては、(a)長尺脚立を作業場所に持ち込む時に、周囲の壁などに傷を付けるおそれがあり、(b)作業場所の広さによっては支柱が完全に開脚できないことがあり、作業が不安定で危険となり、(c)作業員の昇降スペースが確保し難い場合があり、(d)長尺脚立を設置した位置と作業したい位置とがやむなく離れる場合がある、という種々の問題点を有している。
【0007】
また、従来例の単管足場は、(e)単管パイプ、クランプ、足場板、番線など、使用する部材が多くて、組立てや解体に手間が掛かり、(f)組立てや解体時に周囲を傷付けるおそれがある、という種々の問題点を有している。
【0008】
従って、従来例における長尺脚立及び単管足場においては、作業時の安全性を備え、狭所であっても良好な作業スペースを確保でき、また、組立てや解体が容易に行えるようにすることに解決しなければならない課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来例の課題を解決するための本発明の要旨は、作業位置に立設した取付対象物に取付ける高所作業台であって、該高所作業台は、四角形状の作業床と、該作業床の四隅に立設させた支持パイプと、該支持パイプの一対に対して着脱自在に差し込む一対の手摺枠と、前記作業床の四辺に側壁として配設されるプレートと、前記作業床の縁部から垂設され前記取付対象物に対してクランプで取付ける支柱とを少なくとも備えることである。
【0010】
また、前記一対の手摺枠同士の間には、転落防止用のチェーンが架け渡されること、;
前記支柱には、補強用の筋交い部材が設けられていること、;
前記作業床における前記支柱と反対側の一辺に沿って所要間隔を開けて、昇降タラップを引っ掛けるためのパイプ部材が配設されること、;
を含むものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る高所作業台によれば、作業位置に立設した取付対象物にクランプで取付けるので、使用部材が少なく、組立てや解体が容易で短時間に行える。
また、組立てや解体が容易であることから、従来例の場合と比較して、組立時や解体時に周囲を傷付けるおそれが少ない。
そして、設置に必要な床面積が少なくて済み、その結果、所望の作業位置に高所作業台を設置できる。更には、狭所であっても作業スペースが充分に確保できて、安定した状態で高所作業が行える。
更に、一対の手摺枠は、作業床の四隅に立設した一対の支持パイプに対して差込式なので、手摺枠の差込位置を変えることができる。従って、作業現場に応じて、手摺枠同士の間の開口部(昇降口)の位置を適宜に変更できる。
更にまた、高所作業台は取付対象物にクランプで取付けるので、クランプを緩めれば高所作業台の高さ調整が容易に行えるという種々の優れた効果を奏する。
【0012】
一対の手摺枠同士の間には、転落防止用のチェーンが架け渡されることによって、作業中の転落を防止できるという優れた効果を奏する。
【0013】
支柱には、補強用の筋交い部材が設けられていることによって、支柱の支持強度が向上する。従って、作業台本体が安定するという優れた効果を奏する。
【0014】
作業床における前記支柱と反対側の一辺に沿って所要間隔を開けて、昇降タラップを引っ掛けるためのパイプ部材が配設されることによって、昇降に便利であるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る高所作業台11を単管パイプ(取付対象物)12に取り付けた状態の側面図である。
【図2】本発明に係る高所作業台11の側面図である。
【図3】本発明に係る高所作業台11の正面図である。
【図4】本発明に係る高所作業台11の平面図である。
【図5】高所作業台11の他の使用例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、図1において、符号11は高所作業台を示し、この高所作業台11は、作業位置に立設させた単管パイプ(取付対象物)12にクランプ29で取り付けられており、単管パイプ12の上下両端部12a、12bにはジャッキ13が設置されている。
【0017】
単管パイプ12は、単管足場や仮設の手摺等に通常用いられる亜鉛メッキ鉄管であり、その長さは、作業位置の床面15と天井面16との間隔よりも短めであって、上下両端部12a、12bにジャッキ13を設置するスペースを有する長さである。
【0018】
ジャッキ13は、図1に示すように、ハンドル17a付きのジャッキナット17bを回転させて高さ調整を行うジャッキベースである。あるいは、油圧式や梃子式等のジャッキであっても構わない。このジャッキ13は、単管パイプ12を床面15側又は天井面16側に突出して直立状態に立設させる役目を有する。
【0019】
なお、ジャッキ13は、図1において単管パイプ12の上下両端部12a、12bに設置されているが、下端部12bだけの設置であっても構わない。この場合は、下端部12bだけのジャッキ操作で、単管パイプ12を天井面16側に突出して立設させることができる。
【0020】
図1中の符号18、18は、ジャッキ13の台板19と床面15及び天井面16との間に介在させる、滑り止め用のゴムパッドを示す。
【0021】
高所作業台11は、四角形状の作業床20と、作業床20の四隅に立設させた支持パイプ22と、一対の支持パイプ22に対して着脱自在に差し込む一対の手摺枠23と、作業床20の縁部から垂設される支柱21とを備える。
【0022】
作業床20は、図4に示すように、エキスパンドメタル24が配設されていると共に、角パイプ25が格子状に設けられている。また、作業床20の四隅には、上述のように、支持パイプ22が立設されている。更に、作業床20の四辺には、図2から図4に示すように、所要幅のプレート26が側壁として配設されている。
【0023】
作業床20における支柱21と反対側の一辺に沿った位置には、図2及び図4に示すように、所要間隔を開けてパイプ部材27が配設されており、このパイプ部材27の両端部27aがそれぞれ支持プレート28を介して支持パイプ22に連結している。このパイプ部材27は、図示しない昇降用タラップの先端部を引っ掛ける部位である。
【0024】
手摺枠23は、パイプ材で形成され、図2に示すように、両側2本の垂直部23aと、上下2本の水平部23bとから成る。手摺枠23(垂直部23a)の下端部は、作業床20の四隅に立設させた一対の支持パイプ22に対して着脱自在に差し込まれる。従って、手摺枠23の差込位置を変えることができるので、作業現場に応じて、手摺枠23同士の間の開口部(昇降口)31の位置を適宜に変更できる。
【0025】
一対の手摺枠23同士の間、即ち、開口部(昇降口)31には、図3に示すように、転落防止用のチェーン32が架け渡されており、当該チェーン32の両端部が係止部33に係止している。
【0026】
支柱21は、図1から図3に示すように、作業床20の縁部から垂直に設けられている。また、支柱21の下方から斜め上方に掛けて補強用の筋交い部材30が設けられている。この筋交い部材30の存在によって、支柱21の支持強度が向上する。
【0027】
この支柱21は、単管パイプ12に対してクランプ29を用いて強固に取り付けられる。クランプ29を緩めれば、高所作業台11の高さ調整が容易に行える。
【0028】
以上のように構成される高所作業台11は、作業位置に立設させた単管パイプ(取付対象物)12にクランプ29で取り付けるので、使用部材が少なく、組立てや解体が容易に短時間で行える。また、設置に必要な床面積が少なくて済み、その結果、所望の作業位置に高所作業台11を設置できる。更には、狭所であっても、作業スペースが充分に確保できて、安定した状態で安全に高所作業が行える。
【0029】
次に、高所作業台11の他の使用例を図5に示す。他の使用例において、前述の単管パイプ12に取り付けた使用例と同一部分には同一符号を付してその詳細は省略する。
【0030】
高所作業台11は、H形鋼柱(取付対象物)34のフランジ35に専用のクランプ36で取り付けられている。また、高所作業台11に近接した位置には、壁37が存在しており、パイプ部材27側からは作業員が昇降できない状態である。
【0031】
そこで、手摺枠23の支持パイプ22への差込位置をパイプ部材27側とH形鋼柱34側とに変えることによって、開口部(昇降口)31の位置をスペースの有る方向に変更したものである。
【符号の説明】
【0032】
11 高所作業台
12 単管パイプ(取付対象物)
12a上端部
12b下端部
13 ジャッキ(ジャッキベース)
15 床面
16 天井面
17a ハンドル
17b ジャッキナット
18 ゴムパッド
19 台板
20 作業床
21 支柱
22 支持パイプ
23 手摺枠
23a 垂直部
23b 水平部
24 エキスパンドメタル
25 角パイプ
26 プレート
27 パイプ部材
27a 端部
28 支持プレート
29 クランプ
30 筋交い部材
31 開口部(昇降口)
32 チェーン
33 係止部
34 H形鋼柱(取付対象物)
35 フランジ
36 クランプ
37 壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業位置に立設した取付対象物に取付ける高所作業台であって、
該高所作業台は、四角形状の作業床と、該作業床の四隅に立設させた支持パイプと、該支持パイプの一対に対して着脱自在に差し込む一対の手摺枠と、前記作業床の四辺に側壁として配設されるプレートと、前記作業床の縁部から垂設され前記取付対象物に対してクランプで取付ける支柱とを少なくとも備えること
を特徴とする高所作業台。
【請求項2】
一対の手摺枠同士の間には、転落防止用のチェーンが架け渡されること
を特徴とする請求項1に記載の高所作業台。
【請求項3】
支柱には、補強用の筋交い部材が設けられていること
を特徴とする請求項1に記載の高所作業台。
【請求項4】
作業床における前記支柱と反対側の一辺に沿って所要間隔を開けて、昇降タラップを引っ掛けるためのパイプ部材が配設されること
を特徴とする請求項1に記載の高所作業台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−154113(P2012−154113A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15087(P2011−15087)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000166432)戸田建設株式会社 (328)
【出願人】(391062377)綜建産業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】