説明

高所作業自動車

【課題】道幅の狭い道路で、車両移動することなく広い範囲にわたる作業ができる高所作業車を得る。
【解決手段】昇降マスト装置3A,3Bと、アウトリガー装置4とを備え、昇降マスト装置3A,3Bは、垂直伸縮マストの最下部分3Aにおける荷台に取り付ける旋回可能基台手段5、および垂直伸縮マストの最上側部分3Bにおける高所作業用の作業台6を有するものとした、軽または中型自動車の高所作業車1において、作業台6を平行四辺リンク機構7により垂直伸縮マストの最上側部分3Bに対して、最低位レベルと最高位レベルとの間で平行移動可能に連結し、また昇降マスト装置3の旋回可能基台手段5を、荷台2の左右いずれか一方の半部で車両の前後方向に延在するレール手段に沿って移動させ、かつレール手段に沿う任意の位置に固定する基台駆動手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台におけるテレスコピック式の昇降マスト装置と、荷台四隅におけるアウトリガー装置とを備え、前記昇降マスト装置は、垂直伸縮マストの最下部分における荷台に取り付ける旋回可能基台手段、および垂直伸縮マストの最上側部分における高所作業用の作業台を有するものとした高所作業車、とくに、電柱における電気・通信ケーブルの布設または保守をする際に使用する軽または中型自動車の高所作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような高所作業車としては、旋回装置部の旋回中心が車両中心から左右どちらかにオフセットし、旋回装置部に垂直昇降マストを取り付け、この垂直昇降マストに起伏可能なアームを取り付け、この起伏可能なアームの先端に作業台を取り付け、格納状態で垂直昇降マスト、アームおよび作業台が車両の左右方向に順次位置し、車幅寸法内に納め、作業時に旋回装置部を車両の左右方向にスライド可能にするものがある。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−192281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来の高所作業車では、通常通り、作業車を電柱に横付けする縦列駐車をする場合、電柱右側の作業から電柱左側の作業に移行しようとする、またはその逆の移行を行う際には、昇降装置および作業台を収納状態に戻し、アウトリガー装置のセットを解除し、作業車を前進または後退させ、この前進または後退させた位置で再度アウトリガー装置をセットし、さらに昇降装置および作業台を展開する必要がある。
【0005】
特許文献1に記載の高所作業車で、左右スライド機能を活用し、このような車両移動せずに、電柱右側の作業から電柱左側の作業に移行しようとする場合、予め作業車前面を電柱に対して正対させて作業車を駐車し、アウトリガー装置をセットしておくことが必要となる。
【0006】
しかし、電柱に対して作業車前面を正対させて駐車することは、車両を道路に対して横向きに駐車することになり、したがって、道路の道幅全体を車両が塞ぐことになり、道幅の大きい道路でない限り、通行の邪魔になる。
住宅密集地等における道幅の狭い道路での作業は、通常通り電柱に対して横付けする縦列駐車をせざるを得ず、頻繁な車両移動を必要とする。
【0007】
したがって、本発明の課題は、住宅密集地等における道幅の狭い道路で、高所作業車を電柱に横付けする縦列駐車をしても、頻繁な車両移動することなく、電柱左側の作業から電柱右側の作業への移行またはその逆の作業移行を行うことができる高所作業車を得るにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を達成するため、本発明高所作業車は、前記作業台を平行四辺リンク機構により前記垂直伸縮マストの最上側部分に対して、最低位レベルと最高位レベルとの間で平行移動可能に連結し、また前記昇降装置の旋回可能基台手段を、前記荷台の左右いずれか一方の半部で車両の前後方向に延在するレール手段に沿って移動させ、かつレール手段に沿う任意の位置に固定する基台駆動手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、昇降装置の旋回可能基台手段を、荷台の左右いずれか一方の半部で車両の前後方向に延在するレール手段に沿って移動させ、かつレール手段に沿う任意の位置に固定する基台駆動手段を設けたため、住宅密集地等における道幅の狭い道路で、高所作業車を電柱に横付けする縦列駐車をしても、頻繁な車両移動することなく、電柱左側の作業から電柱右側の作業への移行またはその逆の作業移行を行うことができる。
【0010】
本発明の好適な実施形態においては、昇降装置の旋回可能基台手段の前後移動とともに前後移動する補助アウトリガー装置を設ける。この構成によれば、昇降装置の旋回可能基台手段が前後にシフトした場合でも、作業車を安定して保持することができる。
【0011】
また本発明の他の好適な実施形態においては、レール手段を設ける前記荷台半部とは反対側の荷台半部に、付帯工具および設備類を収納する収納ボックスを設ける。これにより、作業に必要なケーブル、パイロン、長尺バー等を収納および運搬することができる。
【0012】
以下に、図面につき本発明の好適な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による高所作業車の好適な実施形態の高所作業を開始する前の状態における左側面図である。
【図2】図1に示す高所作業車の右側面図である。
【図3】図1に示す高所作業車の後面図である。
【図4】図1に示す高所作業車の平面図である。
【図5】本発明による高所作業車の好適な実施形態の高所作業状態を示し、実線で昇降マスト装置が最前方位置にある状態、点線で180゜旋回した状態、二点鎖線で昇降マスト装置が最後方位置にシフトした状態を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜図4に示すように、本発明高所作業車1は軽または中型自動車とし、荷台2におけるテレスコピック式の昇降マスト装置3と、荷台2の四隅におけるアウトリガー装置4とを備える。
【0015】
昇降マスト装置3は、垂直伸縮マストの最下部分3Aにおける荷台2に取り付ける旋回可能基台手段5、および垂直伸縮マストの最上側部分3Bにおける高所作業用の作業台6を有する。この作業台6は、平行四辺リンク機構7により垂直伸縮マストの最上側部分3Bに対して、最低位レベルと最高位レベルとの間で平行移動可能に連結する。
【0016】
本発明高所作業車においては、昇降マスト装置の旋回可能基台手段5を、荷台の左右いずれか一方の半部、好適には、図示のように左側半部で、車両の前後方向に延在するレール手段(図示せず)に沿って移動させ、かつレール手段に沿う任意の位置に固定する基台駆動手段(図示せず)を設ける。
レール手段を設ける前記荷台半部とは反対側の荷台半部に、付帯工具および設備類を収納する収納ボックス8を設ける。
【0017】
このレール手段および基台駆動手段としては、任意の形態とすることができ、図示しないが、レール手段は、例えば、平面図で見てほぼ正方形の直方体である基台ハウジングの、車両前後方向に平行な、互いに対向する両側側面から少なくとも頂面にかけてコの字状またはL字状に包囲するレール手段とすることができ、駆動手段は、シリンダ・ピストン装置またはラック&ピニオン装置等とすることができる。
【0018】
図示しない好適な実施形態においては、昇降マスト装置3の旋回可能基台手段5の前後移動とともに前後移動する補助アウトリガー装置(図示せず)を設ける。
この実施形態においては、旋回可能基台手段5は、平面図で見てほぼ正方形の直方体である基台ハウジングの底面を、この底面の幅よりも僅かに大きい幅を有し、荷台2よりも車両前後方向の長さが僅かに小さい車両前後方向の長さを有する支持面に固定し、この支持面を荷台に設けた任意のレール手段(図示せず)に沿って車両前後方向に所定範囲にわたり、例えば、850mmのストローク範囲にわたって摺動可能にし、この支持面に補助アウトリガー装置(図示せず)を設ける。
この実施形態によれば、摺動した後、この補助アウトリガー装置の地面に対する着床または離床を行う。
【0019】
分かり易くするため収納ボックス8を省略して示した図5から明らかなように、本発明高所作業車1によれば、車両前後方向に、広い範囲にわたり高所作業を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明高所作業車は、大形の高所作業車が入り込めない狭い道路における電柱等での高所作業を、車両前後方向に広範囲にわたり行うのに利用できる。
【符号の説明】
【0021】
1 高所作業車
2 荷台
3 昇降マスト装置
3A 垂直伸縮マストの最下部分
3B 垂直伸縮マストの最上側部分
4 アウトリガー装置
5 旋回可能基台手段
6 作業台
7 平行四辺リンク機構
8 収納ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽または中型自動車の荷台におけるテレスコピック式の昇降マスト装置と、荷台四隅におけるアウトリガー装置とを備え、前記昇降マスト装置は、垂直伸縮マストの最下部分における荷台に取り付ける旋回可能基台手段、および垂直伸縮マストの最上側部分における高所作業用の作業台を有するものとした高所作業車において、前記作業台を平行四辺リンク機構により前記垂直伸縮マストの最上側部分に対して、最低位レベルと最高位レベルとの間で平行移動可能に連結し、また前記昇降マスト装置の旋回可能基台手段を、前記荷台の左右いずれか一方の半部で車両の前後方向に延在するレール手段に沿って移動させ、かつレール手段に沿う任意の位置に固定する基台駆動手段を設けたことを特徴とする高所作業車。
【請求項2】
請求項1記載の高所作業車において、前記昇降マスト装置の旋回可能基台手段の前後移動とともに前後移動する補助アウトリガー装置を設けた高所作業車。
【請求項3】
請求項1または2記載の高所作業車において、前記レール手段を設ける前記荷台半部とは反対側の荷台半部に、付帯工具および設備類を収納する収納ボックスを設けた高所作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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