説明

高活性光触媒

【課題】 紫外光のもとで極めて高い光触媒活性を有するとともに、白色蛍光灯の光の下でも高い触媒活性を有する光触媒を安価に提供すること。
【解決手段】 {二酸化チタンまたは酸化亜鉛}と白色を除く有色の金属酸化物半導体とを接合部を除き各成分の構造を維持したまま一体化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紫外光のもとで従来の光触媒よりも高活性な光触媒作用を有し、かつ安価な高活性光触媒に関する。また、本発明の光触媒は紫外光に乏しい白色蛍光灯のもとで高活性な光触媒作用を示す。
【背景技術】
【0002】
二酸化チタンや酸化亜鉛などの金属酸化物半導体は光触媒作用を有しており、例えば、有機物の分解などに太陽エネルギーを利用できる理想的な環境浄化素材として知られている。その内でも二酸化チタンは空気浄化、水質浄化、抗菌などの分野においてその光触媒作用を実用化するため活発な技術開発がなされ、建築外装用タイルの汚染防止などの分野において徐々に実用化されている。しかし、太陽光のもとで使用する場合には太陽光の中の少ない紫外線成分にしか反応しないため、より反応効率の良い高活性な光触媒材料が求められていた。また活性の高い二酸化チタンは微粒子状に製造する必要があるため高価であり、より高活性に出来れば使用量を低減することが出来るのでコストダウンになるばかりでなくコストの制約で活用できなかった分野にも活用可能になる。
【0003】
二酸化チタンに代表される光触媒の反応効率を増大するために、従来から白金などの貴金属を二酸化チタン表面に担持させると有効なことがわかっている。
また、二酸化チタンの結晶形態を柱状とする提案(特許文献1)がなされている。
しかし、二酸化チタンに白金等の貴金属を担持する場合には、白金等の貴金属が高価であるために製造コストが高価になる欠点を有する。また二酸化チタンの柱状結晶を生成させて利用するためには特別な製造工程が必要になるため、これも製造コストが高価になる欠点を有する。
【0004】
【特許文献1】 特開2002−253964号公報(第1〜10頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、紫外光の下で従来の光触媒用微粒子二酸化チタンよりも活性が高く、特殊な製造工程を必要とせず、かつ安価な高活性光触媒を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
金属の酸化物や硫化物は半導体としての性質を有し触媒として用いられている(化学大辞典7、263ページ 半導体触媒の項目)。
本発明者は、本発明を構成する化合物として、それらの金属化合物半導体のなかで安全性に優れた金属酸化物半導体に限定した。
【0007】
次に本発明者は、二酸化チタンに代表される金属酸化物光触媒の高活性な性質を活用し、可視光にも反応する白色を除く有色の金属酸化物半導体との複合体とすることで、従来に無い高活性な光触媒材料ができないかとの着想のもとに研究を進めた結果、二酸化チタンと白色を除く有色の金属酸化物半導体の一体化物が紫外光のもとで高活性な光触媒作用を示すことを見出した。また、二酸化チタンと同様な金属酸化物半導体である酸化亜鉛と白色を除く有色の金属酸化物半導体とを一体化することによっても高活性な光触媒作用を示すことを見出し、さらに白色を除く有色の金属酸化物半導体として酸化第二鉄を用いた場合に、白色蛍光灯の光で高活性な触媒作用を示すことを見出して本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下の内容をその要旨とするものである。
(1)二酸化チタンまたは酸化亜鉛と、
白色を除く有色の金属酸化物半導体とを一体化したことを特徴とする高活性光触媒
(2)白色を除く有色の金属酸化物半導体が、酸化第二鉄、酸化コバルトである請求項1 に記載の高活性光触媒
(3)白色を除く有色の金属酸化物半導体を1〜50重量%含む請求項1および2に記載 の高活性光触媒
(4)二酸化チタンがアナターゼ型である請求項1に記載の高活性光触媒
【0009】
本発明の光触媒が紫外光のもとで顕著な活性を示す理由はいまだ定かではないが、有色金属酸化物半導体(以後、白色を除く有色の金属酸化物半導体を略称する)の持つ光触媒作用と二酸化チタンまたは酸化亜鉛の持つ光触媒作用が複合して高エネルギーで高効率な触媒作用が発現したと思われる。
なお、別の理由として{二酸化チタンまたは酸化亜鉛}と有色金属酸化物半導体とを接合することによって紫外光の下で二酸化チタン、有色金属酸化物半導体あるいは両者の界面に生じた励起電子と正孔が再結合して消滅するのを防止する効果が発現し高活性を示している可能性を排除するものではない。
【0010】
本発明の光触媒が白色蛍光灯のもとで高活性を示す理由も定かではないが、有色金属酸化物半導体は、本質的に白色蛍光灯の光線の下で光半導体となる性質を有しているので、本発明の一体化物とすることによって、本来の触媒作用が発現されたものと思われる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の{二酸化チタンまたは酸化亜鉛}と白色を除く有色の金属酸化物との一体化物は、紫外光のもとで従来の光触媒であるアナターゼ型微粒子二酸化チタンよりも優れた光触媒作用を示した。
【0012】
加えて本発明の高活性光触媒は、従来の微粒子二酸化チタンを単独で使用する場合よりも触媒活性が高いため従来と同量を使用する場合には触媒効果が格段に大きくなり、従来と同等の光触媒効果を発現させる場合には使用量が少量ですみコストダウンになる。さらに、酸化亜鉛と安価な有色金属酸化物半導体の組み合わせを用いれば高価な微粒子二酸化チタンのみからなる従来の光触媒と較べて極めて安価である。
【0013】
従って、本発明の光触媒を用いれば、紫外線を含む太陽光線や紫外線ランプの光のもとで光触媒の特徴である抗菌、臭気の分解除去、有機物汚れの分解除去および野菜や果物の鮮度保持等が可能である。
【0014】
さらに、有色の金属酸化物半導体として酸化第二鉄を用いた場合には、可視光の下でも十分な活性の光触媒作用を有することが確認できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の高活性触媒である{二酸化チタンまたは酸化亜鉛}と有色の金属酸化物半導体の一体化物は、2種類の金属酸化物半導体を一体化したものである。具体的には、二酸化チタンと有色金属酸化物半導体の一体化物および酸化亜鉛と有色金属酸化物半導体の一体化物である。もちろん二酸化チタンと酸化亜鉛と有色金属酸化物半導体の一体化物であっても良い。
【0016】
有色金属酸化物半導体としては、先に記載の「化学大辞典7 263頁 半導体触媒の項目」に記載されているように、酸化鉄(酸化第二鉄、黄色酸化鉄など)、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化クロム等が挙げられるが、触媒作用と安全性に優れる点から特に酸化第二鉄と酸化コバルトが好ましい。
【0017】
本発明において一体化とは、多種類の金属酸化物半導体が接合部以外には一体化前の各成分の構造を変えずに接合していることを言う。
【0018】
一体化した際の形態は、粒子同士の接合体であっても良いし、一方が薄膜状で他方が粒子状で両者が接合していても良いし、両方が薄膜状で接合していても良い。あるいは、各成分が分散して一体化した薄膜を形成していても良い。
【0019】
一体化の手段としては、焼成や機械的な接合、超音波照射による接合等があり、機械的接合としては、乳鉢中ですりつぶしても良いし、各種のボールミルで摩砕・接合しても良く、その他の接合手段としてはスパッタリング等の手法を用いて基材表面に{二酸化チタンまたは酸化亜鉛}成分と有色金属酸化物半導体成分を接合した状態で配置しても良い。
【0020】
ここで、一体化の手段としては、多種類の金属酸化物半導体を接合部以外には一体化前の各成分の構造を変えずに接合できる手段であれば上記の例に限定されない。
【0021】
本発明に用いる原料(二酸化チタン、酸化亜鉛、有色金属酸化物半導体)としては、粒径の小さなものほど表面積が大きいので好ましいが粒状であれば市販の材料でも良い。
【0022】
本発明の、{二酸化チタンまたは酸化亜鉛}と有色金属酸化物半導体の比率は、重量比で99/1〜50/50であり、好ましくは、97/3〜50/50である。
【0023】
本発明において用いる二酸化チタンは、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型を用いる事が出来るがアナターゼ型が特に好ましい。粒径は小さいほど単位重量当たりの表面積が大きくなるので好ましく、100nm以下が好ましく特に10nm以下が好ましい。
酸化亜鉛および有色金属酸化物半導体は、市販の材料を用いる事ができ、これらも粒径が小さいほど好ましい。
【0024】
次に、本発明の高活性触媒の製造方法について説明する。
二酸化チタンと有色金属酸化物半導体の一体化物の場合には、二酸化チタンと有色金属酸化物半導体の所定量を乳鉢に取ってすりつぶすか、ボールミル等で混合物を機械的に粉砕・圧着すれば良い。または、酸化チタンと有色金属酸化物半導体の所定量を混合し750℃未満の温度で2〜10時間程度焼成し粒子が凝集していたら粉砕すれば良い。アナターゼ型二酸化チタンを用いる場合には、800℃以上に加熱すると二酸化チタンがアナターゼ型からルチル型へ変化するので700℃未満で、また微粒子二酸化チタンを用いる場合には二酸化チタンが凝集して粒子径が大になるのを防止するために650℃未満で焼成することが望ましい。
【0025】
酸化亜鉛と有色金属酸化物半導体の場合には酸化亜鉛と有色金属酸化物半導体の所定量を乳鉢に取ってすりつぶすか、ボールミル等で混合物粒子を機械的に粉砕・圧着するか、500℃未満の温度で焼成すれば良い。
【0026】
本発明の一体化物は含浸法で調整した場合には触媒活性が低いものであった。つまり、二酸化チタン粒子に水溶性の鉄化合物を含浸し焼成しても活性が得られないか非常に低いものであった。また試薬のチタン酸鉄〔FeTiO〕を用いてメチレンブルーの脱色を評価したが変色せず触媒活性が認められなかった。
【0027】
このことから本発明の一体化物は、{二酸化チタンまたは酸化亜鉛}と有色金属酸化物半導体を用いて常温で圧接するか、700℃未満の温度で加熱接合するか、あるいは蒸着法やスパッタリング法を用いて複数成分を積層するなどの方法で調整できるが、各成分が接合部を除いて原料の構造を有したまま一体化したものが好ましいことが明らかになった。
【0028】
本発明の一体化物の利用方法としては、一体化した粉体の形態のままで使用しても良いし、一体化した粉体を塗料や樹脂に混合する、プラスチックシートやフィルムに担持する、タイル等の無機物の表面に担持する、繊維状のものに付着させる、薄膜状の一体化物を金属、ガラスを含むセラミック等の基材表面に接合するなど、さまざまな形態で使用することができるものである。
【0029】
以上のような本発明の高活性光触媒は、紫外線を含む光線のもとで対象となる有機物や菌を分解、除去する。例えば太陽光のもとで建築物外壁の汚れ防止、車の排気ガスの浄化等に従来の光触媒よりも格段に優れた能力を発揮する。
【0030】
さらに有色金属酸化物半導体が酸化第二鉄の場合には白色蛍光灯の光に反応して優れた触媒活性を発現する。そこで、室内や車内等の紫外線の乏しい環境においてもアルデヒドなどの有機物の分解、たばこ臭や悪臭の除去、抗菌性付与、エチレンの分解による野菜・果実の鮮度保持等の効果を発揮するものである。
【0031】
本発明の高活性光触媒の触媒活性の評価法としては、メチレンブルー色素の脱色に要する時間の測定を用いた。本方法は、従来から光触媒効果を評価する際に標準的に用いられており、本発明の触媒を縣濁した水溶液は弱酸性を示すので還元作用による無色化ではなく、酸化分解による脱色を判定できるので触媒活性の定量的評価に適すると判断した。
【0032】
次に、実施例を述べるに先立ち、紫外光または白色蛍光灯の照射によってメチレンブルー色素を分解する時間で触媒能を評価する上記の方法について説明する。
ここで触媒能とは、光触媒としての能力を言い、光触媒活性を含めた光触媒としての作用の大きさを言う。
(i)装置の構成
評価に用いる装置に付いては特別の制限は設けないが、通常は以下に記す4種の装置からなる。
▲1▼ガラス製シャーレ(内径58mm):メチレンブルー水溶液と評価用粉体を入れ、上部に石英板を載せる。
▲2▼光源
(イ)白色蛍光灯の光の場合
蛍光灯卓上スタンド:スワン電器株式会社(100V、24W)
ランプ:National FPL27EX−D ツイン1
(ロ)紫外光の場合
東芝ライテック社製ブラックライト蛍光ランプ FL20S−BLB−A(20 W)
▲3▼照度計:Shinwa製 簡易型照度計
【0033】
(ii)操作手順
▲1▼メチレンブルー水溶液の調整:関東化学株式会社製メチレンブルー希釈液(細菌染色用)をさらに純水で1/100倍に希釈(1.3×10−4モル%液)
▲2▼ガラス製シャーレに評価用粉体0.1gを入れメチレンブルー水溶液の6.0gを加える。
(酸化第二鉄の色素吸着性が大のためメチレンブルー水溶液が4g以下では青色色素が吸着されて無色になってしまうので飽和吸着後も十分な青色が残る6.0gとした。)
▲3▼光源が白色蛍光灯の場合は蛍光灯を照射しシャーレの底面が照度計にて3000ルクスになるようにランプの高さを調節し連続照射する。
▲4▼光源が紫外光の場合はガラス製シャーレをブラックライト直下10cmの位置に置き連続照射する。
▲5▼シャーレを数時間毎に手で攪拌(夜間は静置)しながら、メチレンブルー水溶液の色を観察する。
▲6▼メチレンブルー水溶液の色が無色透明になり、評価用粉体表面の青みが消えたら経過した照射時間を記録する。
【0034】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。また、実施例中の「%」および「部」は特に別途注記しない限り重量基準である。
【実施例1】
【0035】
1.1本発明の触媒の調整
テイカ株式会社製アナターゼ型の結晶構造を有する白色の二酸化チタンAMT−100(粒径6nm 比表面積260m/g)の2.1gと市販の酸化第二鉄0.9gを乳鉢に入れ擦りながら混合し、混合物をアルミナルツボに移し、マッフル炉で500℃3時間焼成し冷却後軽く粉砕した。
【0036】
1.2メチレンブルーの分解・脱色による触媒能の評価
上記の二酸化チタン(AMT−100)と酸化第二鉄の重量比70/30の一体化物の0.1gをシャーレに取り、メチレンブルー水溶液6gを加えたものをブラックライトの直下10cmに置きブラックライトを連続照射した。
メチレンブルー水溶液のPHは約6.5であり、メチレンブルー水溶液は表1に示すように7時間後に無色透明になった。
【実施例2】
【0037】
2.1 本発明の触媒の調整
テイカ株式会社製アナターゼ型の結晶構造を有する白色の二酸化チタンAMT−100の2.7gと市販の酸化第二鉄0.3gを乳鉢に入れ擦りながら混合する。混合物をアルミナルツボに入れマッフル炉で500℃3時間焼成し冷却後軽く粉砕した。
2.2 メチレンブルー水溶液のPHと脱色による触媒能の評価
上記の二酸化チタン(AMT−100)と酸化第二鉄の重量比90/10の一体化物の0.1gをシャーレに取り、メチレンブルー水溶液6gを加えたものをブラックライトの直下10cmに置きブラックライトを連続照射した。
メチレンブルー水溶液のPHは約6.5であり、メチレンブルー水溶液は表1に示すように7時間後に無色透明になった。
【実施例3】
【0038】
3.1 本発明の触媒の調整
テイカ株式会社製アナターゼ型の結晶構造を有する白色の二酸化チタンAMT−100の3.0gと市販の酸化第二鉄0.16gを乳鉢に入れ擦りながら混合する。混合物をアルミナルツボに入れマッフル炉で500℃3時間焼成し冷却後軽く粉砕した。
3.2 メチレンブルー水溶液のPHと脱色による触媒能の評価
上記の二酸化チタン(AMT−100)と酸化第二鉄の重量比95/5の一体化物の0.1gをシャーレに取り、メチレンブルー水溶液6gを加えたものをブラックライトの直下10cmに置きブラックライトを連続照射した。
メチレンブルー水溶液のPHは約6.5であり、メチレンブルー水溶液は表1に示すように8時間後に無色透明になった。
【実施例4】
【0039】
4.1 本発明の触媒の調整
テイカ株式会社製アナターゼ型の結晶構造を有する白色の二酸化チタンAMT−100の3.0gと市販の酸化第二鉄0.1gを乳鉢に入れ擦りながら混合する。混合物をアルミナルツボに入れマッフル炉で500℃3時間焼成し冷却後軽く粉砕した。
4.2 メチレンブルー水溶液のPHと脱色による触媒能の評価
上記の二酸化チタン(AMT−100)と酸化第二鉄の重量比97/3の一体化物の0.1gをシャーレに取り、メチレンブルー水溶液6gを加えたものをブラックライトの直下10cmに置きブラックライトを連続照射した。
メチレンブルー水溶液のPHは約6.5であり、メチレンブルー水溶液は表1に示すように8時間後に無色透明になった。
【実施例5】
【0040】
5.1 本発明の触媒の調整
市販の酸化亜鉛(クサカベ製ジンクホワイト)0.3gと市販品の酸化第二鉄0.3gを乳鉢に入れ擦りながら混合した。
5.2 メチレンブルー水溶液のPHと脱色による触媒能の評価
上記の酸化亜鉛と酸化第二鉄の重量比50/50の一体化物の0.1gをシャーレに取り、メチレンブルー水溶液6gを加えたものをブラックライトの直下10cmに置きブラックライトを連続照射した。
メチレンブルー水溶液のPHは約6.5であり、メチレンブルー水溶液は表1に示すように9時間後に無色透明になった。
【0041】
【表1】

【実施例6】
【0042】
6.1本発明の触媒の調整
テイカ株式会社製アナターゼ型の結晶構造を有する白色の二酸化チタンAMT−100の3.0gと市販の陶芸用酸化コバルト(株式会社陶和製)3.0gを乳鉢に入れ擦りながら混合した。
【0043】
6.2メチレンブルーの分解・脱色による触媒能の評価
上記の二酸化チタン(AMT−100)と酸化コバルトの重量比50/50の一体化物の0.1gをシャーレに取り、メチレンブルー水溶液6gを加えたものをブラックライトの直下10cmに置きブラックライトを連続照射した。
メチレンブルー水溶液のPHは約6.5であり、メチレンブルー水溶液は表2に示すように8時間後に無色透明になった。
【実施例7】
【0044】
7.1本発明の触媒の調整
テイカ株式会社製アナターゼ型の結晶構造を有する白色の二酸化チタンAMT−1002.1gと市販の酸化コバルト0.9gを乳鉢に入れ擦りながら混合した。
【0045】
7.2メチレンブルーの分解・脱色による触媒能の評価
上記の二酸化チタン(AMT−100)と酸化コバルト70/30の一体化物の0.1gをシャーレに取り、メチレンブルー水溶液6gを加えたものをブラックライトの直下10cmに置きブラックライトを連続照射した。
メチレンブルー水溶液のPHは約6.5であり、メチレンブルー水溶液は表2に示すように9時間後に無色透明になった。
【実施例8】
【0046】
8.1 本発明の触媒の調整
テイカ株式会社製アナターゼ型の結晶構造を有する白色の二酸化チタンAMT−100の2.7gと市販の酸化コバルト0.3gを乳鉢に入れ擦りながら混合した。
8.2 メチレンブルー水溶液のPHと脱色による触媒能の評価
上記の二酸化チタン(AMT−100)と酸化コバルトの重量比90/10の一体化物の0.1gをシャーレに取り、メチレンブルー水溶液6gを加えたものをブラックライトの直下10cmに置きブラックライトを連続照射した。
メチレンブルー水溶液のPHは約6.5であり、メチレンブルー水溶液は表2に示すように9時間後に無色透明になった。
【実施例9】
【0047】
9.1 本発明の触媒の調整
テイカ株式会社製アナターゼ型の結晶構造を有する白色の二酸化チタンAMT−100の3.0gと市販の酸化コバルト0.16gを乳鉢に入れ擦りながら混合した。
9.2 メチレンブルー水溶液のPHと脱色による触媒能の評価
上記の二酸化チタン(AMT−100)と酸化コバルトの重量比95/5の一体化物の0.1gをシャーレに取り、メチレンブルー水溶液6gを加えたものをブラックライトの直下10cmに置きブラックライトを連続照射した。
メチレンブルー水溶液のPHは約6.5であり、メチレンブルー水溶液は表2に示すように9時間後に無色透明になった。
【実施例10】
【0048】
10.1 本発明の触媒の調整
テイカ株式会社製アナターゼ型の結晶構造を有する白色の二酸化チタンAMT−100の3.0gと市販の酸化コバルト0.1gを乳鉢に入れ擦りながら混合した。
10.2 メチレンブルー水溶液のPHと脱色による触媒能の評価
上記の二酸化チタン(AMT−100)と酸化コバルトの重量比97/3の一体化物の0.1gをシャーレに取り、メチレンブルー水溶液6gを加えたものをブラックライトの直下10cmに置きブラックライトを連続照射した。
メチレンブルー水溶液のPHは約6.5であり、メチレンブルー水溶液は表2に示すように11時間後に無色透明になった。
【比較例1】
【0049】
比1.1 微粒子二酸化チタンの触媒能の評価
テイカ株式会社製アナターゼ型の結晶構造を有する白色の二酸化チタンAMT−100の0.1gを内径58mmのシャーレに取り、メチレンブルー水溶液6gを加えたものをブラックライトの直下10cmに置きブラックライトを連続照射した。
メチレンブルー水溶液は表2に示すように20時間後に無色透明になった。
【0050】
【表2】

【0051】
〔実施例1〜10と比較例1の比較〕
ブラックライトのもとで、本発明の一体化物は短時間でメチレンブルー液を脱色したのに対し、二酸化チタン単独の場合(比較例1)は脱色に、より長時間を要することが示された。
【実施例11】
【0052】
11.1 本発明の触媒の調整
テイカ株式会社製アナターゼ型の結晶構造を有する白色の二酸化チタンAMT−100の3.0gと市販の酸化第二鉄3.0gを乳鉢に入れ擦りながら混合する。混合物をアルミナルツボに入れマッフル炉で600℃3時間焼成し冷却後軽く粉砕した。
11.2 メチレンブルー水溶液のPHと脱色による触媒能の評価
上記の二酸化チタン(AMT−100)と酸化第二鉄の質量比50/50の一体化物の0.1gをシャーレに取り、メチレンブルー水溶液6gを加えたものに白色蛍光灯を連続照射した。メチレンブルー水溶液のPHは約6.5であり、メチレンブルー水溶液は表3に示すように36時間後に無色透明になった。
【実施例12】
【0053】
12.1 本発明の触媒の調整
テイカ株式会社製アナターゼ型の結晶構造を有する白色の二酸化チタンAMT−100の2.7gと市販の酸化第二鉄0.3gを乳鉢に入れ擦りながら混合する。混合物をアルミナルツボに入れマッフル炉で500℃3時間焼成し冷却後軽く粉砕した。
12.2 メチレンブルー水溶液のPHと脱色による触媒能の評価
上記の二酸化チタン(AMT−100)と酸化第二鉄の質量比90/10の一体化物の0.1gをシャーレに取り、メチレンブルー水溶液6gを加えたものに白色蛍光灯を連続照射した。メチレンブルー水溶液のPHは約6.5であり、メチレンブルー水溶液は表3に示すように24時間後に無色透明になった。
【実施例13】
【0054】
13.1 本発明の触媒の調整
テイカ株式会社製アナターゼ型の結晶構造を有する白色の二酸化チタンAMT−100の3.0gと市販品の酸化第二鉄0.1gを乳鉢に入れ擦りながら混合した。
13.2 メチレンブルー水溶液のPHと脱色による触媒能の評価
上記の二酸化チタン(AMT−100)と酸化第二鉄の質量比95/5の一体化物の01gをシャーレに取り、メチレンブルー水溶液6gを加えたものに白色蛍光灯を連続照射した。メチレンブルー水溶液のPHは約6.5であり、メチレンブルー水溶液は表3に示すように26時間後に無色透明になった。
【実施例14】
【0055】
14.1 本発明の触媒の調整
市販の酸化亜鉛(クサカベ製ジンクホワイト)1.0gと市販品の酸化第二鉄1.0gを乳鉢に入れ擦りながら混合した。
14.2 メチレンブルー水溶液のPHと脱色による触媒能の評価
上記の酸化亜鉛と酸化第二鉄の質量比50/50の一体化物の0.1gをシャーレに取り、メチレンブルー水溶液6gを加えたものに白色蛍光灯を連続照射した。メチレンブルー水溶液のPHは約6.5であり、メチレンブルー水溶液は表3に示すように51時間後に無色透明になった。
【0056】
【表3】

【比較例2】
【0057】
前記の二酸化チタン(AMT−100)の0.1gをシャーレに取り、メチレンブルー水溶液6gを加えたものに白色蛍光灯を連続照射した。メチレンブルー水溶液は表4に示すように30日(720時間)後でも青色のままであった。
【比較例3】
【0058】
前記の酸化第二鉄の0.1gをシャーレに取り、メチレンブルー水溶液6gを加えたものに白色蛍光灯を3000ルクスの照度で連続照射した。メチレンブルー水溶液は表4に示すようにphは約7であり、240時間後に無色透明になった。
【0059】
【表4】

【0060】
〔実施例11〜15と比較例2、3の比較〕
白色蛍光灯のもとで、本発明の一体化物は短時間でメチレンブルー液を脱色したのに対し、二酸化チタン単独の場合(比較例2)および酸化第二鉄単独の場合(比較例3)は脱色を示さないか、または、脱色に長時間を要することが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化チタンまたは酸化亜鉛と、
白色を除く有色の金属酸化物半導体とを一体化したことを特徴とする高活性光触媒
【請求項2】
白色を除く有色の金属酸化物半導体が、酸化第二鉄、酸化コバルトである請求項1に記載の高活性光触媒
【請求項3】
白色を除く有色の金属酸化物半導体を1〜50重量%含む請求項1および2に記載の高活性光触媒
【請求項4】
二酸化チタンがアナターゼ型である請求項1に記載の高活性光触媒

【公開番号】特開2009−6323(P2009−6323A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2008−189161(P2008−189161)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(505393614)
【Fターム(参考)】