説明

高温ガス炉蒸気発電システム

【課題】蒸気発生器における二次冷却材の原子炉への浸入を防止すること。
【解決手段】ヘリウムガスを一次冷却材とし、黒鉛ブロックにより中性子を減速させた原子核反応によって発生した熱で一次冷却材を加熱する原子炉2と、水を二次冷却材とし、原子炉2を経た一次冷却材により二次冷却材を加熱して蒸気とする蒸気発生器3と、蒸気発生器3からの蒸気によって稼動する蒸気タービン4と、蒸気タービン4の稼動に伴って発電する発電機5とを有する高温ガス炉蒸気発電システム1において、原子炉2における一次冷却材の圧力に対し、蒸気発生器3における二次冷却材の圧力を低く設定する圧力調整手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温ガス炉を用いた蒸気発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に記載のヘリウム冷却高温ガス炉は、ヘリウムガスを冷却材とするガス冷却炉であって、原子炉を含む一次ヘリウム回路と、中間熱交換器およびヘリウムタービンを含む二次ヘリウム回路とを分離し、一次ヘリウム回路の熱を二次ヘリウム回路においてヘリウムタービンを稼動させて発電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−338892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1では、二次冷却系の冷却材としてヘリウムガスを用いているが、二次冷却系の冷却材に水を用い、一次ヘリウム回路の熱を利用して蒸気発生器によって蒸気を発生させ、当該蒸気によって蒸気タービンを稼動させて発電を行う高温ガス炉蒸気発電システムがある。
【0005】
このような高温ガス炉蒸気発電システムにおいては、一般に、蒸気発生器における蒸気圧力が、原子炉におけるヘリウムガス圧力よりも高く設定されている。このため、蒸気発生器の伝熱管が破損した場合、伝熱管内に供給された高圧の水や蒸気が原子炉に浸入するおそれがある。高温ガス炉蒸気発電システムでは、水浸入抑制設備を設置し、水や蒸気が原子炉に浸入する事態を回避しているが、水浸入抑制設備が不作動となった場合、炉心を構成する黒鉛と水とが反応(C+HO→CO+H)し、黒鉛の腐食や可燃性ガスによる水素爆発に至るおそれがある。
【0006】
本発明は上述した課題を解決するものであり、蒸気発生器における二次冷却材の原子炉への浸入を防止することのできる高温ガス炉蒸気発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明の高温ガス炉蒸気発電システムは、ヘリウムガスを一次冷却材とし、黒鉛ブロックにより中性子を減速させた原子核反応によって発生した熱で前記一次冷却材を加熱する原子炉と、水を二次冷却材とし、前記原子炉を経た前記一次冷却材により前記二次冷却材を加熱して蒸気とする蒸気発生器と、前記蒸気発生器からの蒸気によって稼動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンの稼動に伴って発電する発電機とを有する高温ガス炉蒸気発電システムにおいて、前記原子炉における前記一次冷却材の圧力に対し、前記蒸気発生器における前記二次冷却材の圧力を低く設定する圧力調整手段を備えることを特徴とする。
【0008】
この高温ガス炉蒸気発電システムによれば、圧力調整手段により原子炉における一次冷却材の圧力に対し、蒸気発生器における二次冷却材の圧力を低く設定することで、蒸気発生器の伝熱管が破損した場合に、伝熱管内に供給された高圧の水や蒸気が原子炉に浸入する事態を防ぐことができる。
【0009】
また、本発明の高温ガス炉蒸気発電システムでは、前記圧力調整手段は、前記一次冷却材を回収または供給する一次冷却材貯蔵部を有し、当該一次冷却材貯蔵部において前記一次冷却材を供給することを特徴とする。
【0010】
この高温ガス炉蒸気発電システムによれば、原子炉における一次冷却材の圧力に対し、蒸気発生器における二次冷却材の圧力を低く設定することができる。
【0011】
また、本発明の高温ガス炉蒸気発電システムでは、前記圧力調整手段は、前記二次冷却材を前記蒸気発生器に送り出す二次冷却材送出部を有し、当該二次冷却材送出部において前記二次冷却材の送出量を減らすことを特徴とする。
【0012】
この高温ガス炉蒸気発電システムによれば、原子炉における一次冷却材の圧力に対し、蒸気発生器における二次冷却材の圧力を低く設定することができる。
【0013】
また、本発明の高温ガス炉蒸気発電システムでは、前記圧力調整手段は、前記蒸気タービンに送る前記二次冷却材の流量を可変する二次冷却材流量可変部を有し、当該二次冷却材流量可変部において前記蒸気タービンに送る前記二次冷却材の流量を増すことを特徴とする。
【0014】
この高温ガス炉蒸気発電システムによれば、原子炉における一次冷却材の圧力に対し、蒸気発生器における二次冷却材の圧力を低く設定することができる。
【0015】
また、本発明の高温ガス炉蒸気発電システムでは、前記圧力調整手段は、前記蒸気タービンへの前記二次冷却材を迂回させるバイパス回路に設けられて前記二次冷却材の流量を可変する二次冷却材バイパス流量可変部を有し、当該二次冷却材バイパス流量可変部において前記バイパス回路に送る前記二次冷却材の流量を増すことを特徴とする。
【0016】
この高温ガス炉蒸気発電システムによれば、原子炉における一次冷却材の圧力に対し、蒸気発生器における二次冷却材の圧力を低く設定することができる。
【0017】
また、本発明の高温ガス炉蒸気発電システムは、前記一次冷却材の圧力と前記二次冷却材の圧力との圧力差に基づき、当該圧力差が所定範囲となるように、前記圧力調整手段を制御する圧力制御手段を備えることを特徴とする。
【0018】
この高温ガス炉蒸気発電システムによれば、一次冷却材の圧力と二次冷却材の圧力との圧力差に基づくことで、圧力調整手段により原子炉における一次冷却材の圧力に対して蒸気発生器における二次冷却材の圧力を低く設定制御することができる。
【0019】
また、本発明の高温ガス炉蒸気発電システムは、前記圧力調整手段による圧力の設定に伴い、前記蒸気発生器における前記二次冷却材の出口温度を高める温度調整手段を備えることを特徴とする。
【0020】
この高温ガス炉蒸気発電システムによれば、蒸気発生器の出口での二次冷却材の温度を上げることで、加熱時の蒸気平均温度が上がるため、高温ガス炉蒸気発電システムの熱効率を改善することができる。すなわち、圧力調整手段によって原子炉における一次冷却材の圧力に対して蒸気発生器における二次冷却材の圧力を低く設定した場合、これにより悪化し得る高温ガス炉蒸気発電システムの熱効率を改善することができる。
【0021】
また、本発明の高温ガス炉蒸気発電システムでは、前記温度調整手段は、前記二次冷却材を前記蒸気発生器に送り出す二次冷却材送出部を有し、当該二次冷却材送出部において前記二次冷却材の送出量を減らすことを特徴とする。
【0022】
この高温ガス炉蒸気発電システムによれば、圧力調整手段による圧力の設定に伴い、蒸気発生器における二次冷却材の出口温度を高めることができる。
【0023】
また、本発明の高温ガス炉蒸気発電システムでは、前記温度調整手段は、前記原子炉における前記一次冷却材の温度を可変する一次冷却材温度可変部を有し、当該一次冷却材温度可変部において前記一次冷却材の温度を高めることを特徴する。
【0024】
この高温ガス炉蒸気発電システムによれば、圧力調整手段による圧力の設定に伴い、蒸気発生器における二次冷却材の出口温度を高めることができる。
【0025】
また、本発明の高温ガス炉蒸気発電システムは、前記二次冷却材の出口温度に基づき、当該出口温度が前記二次冷却材の設定された圧力に伴う所定温度となるように前記温度調整手段を制御する温度制御手段を備えることを特徴とする。
【0026】
この高温ガス炉蒸気発電システムによれば、二次冷却材の出口温度に基づいて、温度調整手段により圧力調整手段による圧力の設定に応じて蒸気発生器における二次冷却材の出口温度を高める制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、蒸気発生器における二次冷却材の原子炉への浸入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る高温ガス炉蒸気発電システムの概略図である。
【図2】図2は、図1に示す高温ガス炉蒸気発電システムの制御を示すフローチャートである。
【図3】図3は、図1に示す高温ガス炉蒸気発電システムの制御を示すフローチャートである。
【図4】図4は、図1に示す高温ガス炉蒸気発電システムの制御を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図1に示す高温ガス炉蒸気発電システムの制御を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施の形態に係る他の高温ガス炉蒸気発電システムの概略図である。
【図7】図7は、図6に示す高温ガス炉蒸気発電システムの制御を示すフローチャートである。
【図8】図8は、図6に示す高温ガス炉蒸気発電システムの制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0030】
図1は、本実施の形態に係る高温ガス炉蒸気発電システムの概略図である。図1に示すように高温ガス炉蒸気発電システム1は、原子炉2、蒸気発生器3、蒸気タービン4、および発電機5を主に備えている。
【0031】
原子炉2は、ヘリウムガスを一次冷却材として用い、黒鉛ブロックにより中性子を減速させた原子核反応によって発生した熱で一次冷却材を加熱する。蒸気発生器3は、水を二次冷却材として用い、原子炉2を経た一次冷却材により二次冷却材を加熱して蒸気とする。原子炉2と蒸気発生器3とは、一次冷却系回路2aによって通じている。一次冷却系回路2aは、一次冷却材を送り出して原子炉2と蒸気発生器3とに循環させる循環ファン(一次冷却材送出部)2bが設けられている。すなわち、一次冷却系回路2aは、循環ファン2bにより一次冷却材を送り出して原子炉2と蒸気発生器3とを循環させる。なお、一次冷却系回路2aは、当該一次冷却系回路2aを介して一次冷却材を回収または供給する一次冷却材貯蔵部2cが設けられている。また、蒸気発生器3は、その内部に伝熱管3aが設けられている。伝熱管3aは、ヘリカルコイル型であり、その内部に二次冷却材が流通される。すなわち、蒸気発生器3は、原子炉2で加熱された一次冷却材により、伝熱管3aに流通された二次冷却材に熱を供給し、蒸気(過熱蒸気)を発生させる。
【0032】
蒸気タービン4は、蒸気発生器3から供給される蒸気によって稼動する。発電機5は、蒸気タービン4の稼動に伴って発電する。蒸気タービン4は、本実施の形態では高圧タービン4aと低圧タービン4bとを有し、蒸気発生器3からの蒸気によって高圧タービン4aが稼動し、この高圧タービン4aから抽気された蒸気によって低圧タービン4bが稼動する。そして、低圧タービン4bの稼動に用いられた蒸気は、復水器6によって冷却して凝縮され水に戻される。戻された水は、復水器6の後段に設けられた復水ポンプ7によって加熱器8に送り出される。加熱器8は、低圧タービン4bから抽気された蒸気により水を加熱する。なお、水の加熱に用いられた蒸気は、水との熱交換によって凝縮されて水となり加熱器8の上流側の水に供給される。加熱器8で加熱された水は、給水タンク9に貯留される。給水タンク9に貯留された水は、給水ポンプ(二次冷却材送出部)10によって送り出され、加熱器11を経て蒸気発生器3に供給される。加熱器11は、高圧タービン4aから抽気された蒸気により水を加熱する。なお、水の加熱に用いられた蒸気は、水との熱交換によって凝縮されて水となり給水タンク9に供給される。また、高圧タービン4aにおけるドレン(凝縮水)も給水タンク9に供給される。このように、蒸気発生器3から供給される蒸気は、蒸気タービン4を稼動した後、凝縮されて水に戻され、蒸気発生器3に供給される二次冷却系回路12を循環する。この二次冷却系回路12は、蒸気発生器3と蒸気タービン4との間に、蒸気タービン4の回転数を一定とするために蒸気タービン4への蒸気の流量を可変するガバナ弁(二次冷却材流量可変部)13が設けられている。また、二次冷却系回路12は、蒸気タービン4への蒸気を迂回させるバイパス回路14が設けられている。そして、バイパス回路14は、蒸気の流量を可変するバイパス弁(二次冷却材バイパス流量可変部)15が設けられている。
【0033】
このような高温ガス炉蒸気発電システム1において、蒸気発生器3における二次冷却材の圧力が、原子炉2における一次冷却材の圧力よりも高く設定されていると、蒸気発生器3の伝熱管3aが破損した場合、伝熱管3a内に供給された高圧の水や蒸気が原子炉2に浸入するおそれがある。このような場合、炉心を構成する黒鉛と水とが反応(C+HO→CO+H)し、黒鉛の腐食や可燃性ガスによる水素爆発に至るおそれがある。
【0034】
そこで、本実施の形態の高温ガス炉蒸気発電システム1は、蒸気発生器3における二次冷却材の原子炉2への浸入を防止している。具体的に、本実施の形態の高温ガス炉蒸気発電システム1は、原子炉2における一次冷却材の圧力に対し、蒸気発生器3における二次冷却材の圧力を低く設定する圧力調整手段を備える。
【0035】
本実施の形態の高温ガス炉蒸気発電システム1によれば、圧力調整手段により原子炉2における一次冷却材の圧力に対し、蒸気発生器3における二次冷却材の圧力を低く設定することで、蒸気発生器3の伝熱管3aが破損した場合に、伝熱管3a内に供給された高圧の水や蒸気が原子炉2に浸入する事態を防ぐことが可能になる。
【0036】
具体的に、圧力調整手段は、一次冷却材貯蔵部2c、給水ポンプ(二次冷却材送出部)10、ガバナ弁(二次冷却材流量可変部)13、バイパス弁(二次冷却材バイパス流量可変部)15の少なくとも一つを有している。そして、圧力調整手段は、一次冷却材貯蔵部2cにおいて一次冷却材を供給することで、一次冷却材の圧力を高め、原子炉2における一次冷却材の圧力に対し、蒸気発生器3における二次冷却材の圧力を低く設定する。また、圧力調整手段は、給水ポンプ(二次冷却材送出部)10において二次冷却材の送出量を減らすことで、蒸気発生器3に送る二次冷却材の圧力を下げ、原子炉2における一次冷却材の圧力に対し、蒸気発生器3における二次冷却材の圧力を低く設定する。また、圧力調整手段は、ガバナ弁(二次冷却材流量可変部)13において蒸気タービン4に送る二次冷却材の流量を増すことで、蒸気発生器3の出口側の一次冷却材の圧力を下げ、原子炉2における一次冷却材の圧力に対し、蒸気発生器3における二次冷却材の圧力を低く設定する。また、圧力調整手段は、バイパス弁(二次冷却材バイパス流量可変部)15においてバイパス回路14に送る二次冷却材の流量を増すことで、蒸気発生器3の出口側の一次冷却材の圧力を下げ、原子炉2における一次冷却材の圧力に対し、蒸気発生器3における二次冷却材の圧力を低く設定する。
【0037】
本実施の形態の高温ガス炉蒸気発電システム1は、図1に示すように、一次冷却材貯蔵部2c、給水ポンプ(二次冷却材送出部)10、ガバナ弁(二次冷却材流量可変部)13、バイパス弁(二次冷却材バイパス流量可変部)15を制御する圧力制御手段16を備える。
【0038】
圧力制御手段16は、圧力差演算部17を有するとともに、一次冷却材回収供給設定部18、二次冷却材送出量設定部19、二次冷却材流量設定部20、二次冷却材バイパス流量設定部21の少なくとも一つを有している。
【0039】
圧力差演算部17は、一次冷却材の圧力を検出する一次冷却材圧力検出部22と、蒸気発生器3の伝熱管3aに流通する二次冷却材の圧力を検出する二次冷却材圧力検出部23とから、それぞれの圧力を入力し、各圧力の差を演算する。原子炉2における一次冷却材の圧力に対し、蒸気発生器3における二次冷却材の圧力を低く設定するため、一次冷却材圧力検出部22は、循環ファン2bの入口側において比較的低い一次冷却材の圧力を検出する。また、原子炉2における一次冷却材の圧力に対し、蒸気発生器3における二次冷却材の圧力を低く設定するため、二次冷却材圧力検出部23は、蒸気発生器3の出口側において比較的高い二次冷却材の圧力を検出する。一次冷却材圧力検出部22は、原子炉2の入口側で一次冷却材の圧力を検出する。また、二次冷却材圧力検出部23は、蒸気発生器3の出口側で二次冷却材の圧力を検出する。
【0040】
一次冷却材回収供給設定部18は、一次冷却材貯蔵部2cにおいて、一次冷却材の回収または供給をしたり、オリフィスなどの流量制限機構(例えば、圧力によるON−OFF弁制御)により一次冷却材の回収圧力または供給圧力を設定したり、あるいは流量調整弁により一次冷却材の回収量または供給量を設定したりするものである。
【0041】
二次冷却材送出量設定部19は、給水ポンプ(二次冷却材送出部)10において二次冷却材の送出量の増減、および増減量を設定するものである。すなわち、二次冷却材の送出量を増す場合、給水ポンプ10を高回転としてその回転数により増量を設定し、二次冷却材の送出量を減らす場合は、給水ポンプ10を低回転としてその回転数により減量を設定する。
【0042】
二次冷却材流量設定部20は、ガバナ弁(二次冷却材流量可変部)13において二次冷却材の流量の増減、および増減量を設定するものである。すなわち、二次冷却材の流量を増す場合、ガバナ弁13を開放側にしてその開度により増量を設定し、二次冷却材の流量を減らす場合は、ガバナ弁13を閉塞側にしてその開度により減量を設定する。
【0043】
二次冷却材バイパス流量設定部21は、バイパス弁(二次冷却材バイパス流量可変部)15において二次冷却材の流量の増減、および増減量を設定するものである。すなわち、二次冷却材の流量を増す場合、バイパス弁15を開放側にしてその開度により増量を設定し、二次冷却材の流量を減らす場合は、バイパス弁15を閉塞側にしてその開度により減量を設定する。
【0044】
圧力制御手段16は、マイコンなどで構成され、RAMやROMなどの記憶部(図示せず)に、圧力差演算部17による圧力差の演算に基づき、この圧力差が所定範囲となるように、一次冷却材回収供給設定部18、二次冷却材送出量設定部19、二次冷却材流量設定部20、二次冷却材バイパス流量設定部21での各設定を行うためのプログラムやデータが格納されている。ここで、圧力差の所定範囲とは、原子炉2における一次冷却材の圧力よりも、蒸気発生器3における二次冷却材の圧力が低くければよく、様々なプラントで異なるが、例えば、循環ファン2bにおける入口側の一次冷却材の圧力5.94[MPa]に対し、蒸気発生器3における出口側の二次冷却材の圧力を5.8[MPa]とする。また、圧力差の上限も様々なプラントごとに設定される。
【0045】
圧力制御手段16による圧力調整手段の制御について説明する。図2〜図5は、図1に示す高温ガス炉蒸気発電システムの制御を示すフローチャートである。
【0046】
圧力調整手段としての一次冷却材貯蔵部2cの制御は、図2に示すように、圧力差演算部17による演算から得られた一次冷却材の圧力と二次冷却材の圧力との圧力差に基づき、当該圧力差が、一次冷却材圧力≦二次冷却材圧力の場合(ステップS1:Yes)、一次冷却材回収供給設定部18により一次冷却材を供給する指令を一次冷却材貯蔵部2cに出し、一次冷却材の圧力を上げるように、一次冷却材を供給する(ステップS2)。これを、ステップS1において一次冷却材圧力>二次冷却材圧力となるまで行う(ステップS1:No)。ステップS1において一次冷却材圧力>二次冷却材圧力の場合(ステップS1:No)、圧力差が所定範囲であれば(ステップS3:Yes)、本制御を終了する。また、ステップS3において圧力差が所定範囲でなく、すなわちプラントごとに設定される圧力差の上限を超えて一次冷却材圧力が高過ぎる場合(ステップS3:No)、一次冷却材回収供給設定部18により一次冷却材を回収する指令を一次冷却材貯蔵部2cに出し、一次冷却材の圧力を下げるように、一次冷却材を回収する(ステップS4)。これを、ステップS1において一次冷却材圧力>二次冷却材圧力であり(ステップS1:No)、ステップS3において圧力差が所定範囲(ステップS3:Yes)となるまで行う。なお、本制御は、常時または定期的に行われる。
【0047】
圧力調整手段としての給水ポンプ(二次冷却材送出部)10の制御は、図3に示すように、圧力差演算部17による演算から得られた一次冷却材の圧力と二次冷却材の圧力との圧力差に基づき、当該圧力差が、一次冷却材圧力≦二次冷却材圧力の場合(ステップS11:Yes)、二次冷却材送出量設定部19により蒸気発生器3への二次冷却材の送出量を減らす指令を給水ポンプ10に出し、二次冷却材の圧力を下げるように、二次冷却材の送出量を減らす(ステップS12)。これを、ステップS11において一次冷却材圧力>二次冷却材圧力となるまで行う(ステップS11:No)。ステップS11において一次冷却材圧力>二次冷却材圧力の場合(ステップS11:No)、圧力差が所定範囲であれば(ステップS13:Yes)、本制御を終了する。また、ステップS13において圧力差が所定範囲でなく、すなわちプラントごとに設定される圧力差の上限を超えて二次冷却材圧力が低過ぎる場合(ステップS13:No)、二次冷却材送出量設定部19により蒸気発生器3への二次冷却材の送出量を増す指令を給水ポンプ10に出し、二次冷却材の圧力を上げるように、二次冷却材の送出量を増す(ステップS14)。これを、ステップS11において一次冷却材圧力>二次冷却材圧力であり(ステップS11:No)、ステップS13において圧力差が所定範囲(ステップS13:Yes)となるまで行う。なお、本制御は、常時または定期的に行われる。
【0048】
圧力調整手段としてのガバナ弁(二次冷却材流量可変部)13の制御は、図4に示すように、圧力差演算部17による演算から得られた一次冷却材の圧力と二次冷却材の圧力との圧力差に基づき、当該圧力差が、一次冷却材圧力≦二次冷却材圧力の場合(ステップS21:Yes)、二次冷却材流量設定部20により蒸気タービン4への二次冷却材の流量を増す指令をガバナ弁13に出し、二次冷却材の圧力を下げるように、二次冷却材の流量を増す(ステップS22)。これを、ステップS21において一次冷却材圧力>二次冷却材圧力となるまで行う(ステップS21:No)。ステップS21において一次冷却材圧力>二次冷却材圧力の場合(ステップS21:No)、圧力差が所定範囲であれば(ステップS23:Yes)、本制御を終了する。また、ステップS23において圧力差が所定範囲でなく、すなわちプラントごとに設定される圧力差の上限を超えて二次冷却材圧力が低過ぎる場合(ステップS23:No)、二次冷却材流量設定部20により蒸気タービン4への二次冷却材の流量を減らす指令をガバナ弁13に出し、二次冷却材の圧力を上げるように、二次冷却材の流量を減らす(ステップS24)。これを、ステップS21において一次冷却材圧力>二次冷却材圧力であり(ステップS21:No)、ステップS23において圧力差が所定範囲(ステップS23:Yes)となるまで行う。なお、本制御は、常時または定期的に行われる。
【0049】
圧力調整手段としてのバイパス弁(二次冷却材バイパス流量可変部)15の制御は、図5に示すように、圧力差演算部17による演算から得られた一次冷却材の圧力と二次冷却材の圧力との圧力差に基づき、当該圧力差が、一次冷却材圧力≦二次冷却材圧力の場合(ステップS31:Yes)、二次冷却材バイパス流量設定部21によりバイパス回路14への二次冷却材の流量を増す指令をバイパス弁15に出し、二次冷却材の圧力を下げるように、二次冷却材の流量を増す(ステップS32)。これを、ステップS31において一次冷却材圧力>二次冷却材圧力となるまで行う(ステップS31:No)。ステップS31において一次冷却材圧力>二次冷却材圧力の場合(ステップS31:No)、圧力差が所定範囲であれば(ステップS33:Yes)、本制御を終了する。また、ステップS33において圧力差が所定範囲でなく、すなわちプラントごとに設定される圧力差の上限を超えて二次冷却材圧力が低過ぎる場合(ステップS33:No)、二次冷却材バイパス流量設定部21によりバイパス回路14への二次冷却材の流量を減らす指令をバイパス弁15に出し、二次冷却材の圧力を上げるように、二次冷却材の流量を減らす(ステップS34)。これを、ステップS31において一次冷却材圧力>二次冷却材圧力であり(ステップS31:No)、ステップS33において圧力差が所定範囲(ステップS33:Yes)となるまで行う。なお、本制御は、常時または定期的に行われる。
【0050】
なお、上述した圧力調整手段としての一次冷却材貯蔵部2c、給水ポンプ(二次冷却材送出部)10、ガバナ弁(二次冷却材流量可変部)13、バイパス弁(二次冷却材バイパス流量可変部)15の制御は、個々に行ってもよく、または併用して行ってもよく、高温ガス炉蒸気発電システム1に応じて適宜選択される。
【0051】
このように、本実施の形態の高温ガス炉蒸気発電システム1は、圧力調整手段として、一次冷却材貯蔵部2c、給水ポンプ(二次冷却材送出部)10、ガバナ弁(二次冷却材流量可変部)13、バイパス弁(二次冷却材バイパス流量可変部)15の少なくとも一つを有し、これら圧力調整手段により原子炉2における一次冷却材の圧力に対し、蒸気発生器3における二次冷却材の圧力を低く設定することができる。そして、高温ガス炉蒸気発電システム1に応じて圧力調整手段を適宜選択することが可能である。
【0052】
また、本実施の形態の高温ガス炉蒸気発電システム1は、一次冷却材の圧力と二次冷却材の圧力との圧力差に基づき、当該圧力差が所定範囲となるように、圧力調整手段を制御する圧力制御手段16を備えることで、一次冷却材の圧力と二次冷却材の圧力との圧力差に基づいて、圧力調整手段により原子炉2における一次冷却材の圧力に対して蒸気発生器3における二次冷却材の圧力を低く設定制御することが可能になる。
【0053】
ところで、上述したように、原子炉2における一次冷却材の圧力に対し、蒸気発生器3における二次冷却材の圧力を低く設定することにより、伝熱管3a内に供給された高圧の水や蒸気が原子炉2に浸入する事態を防ぐことができる。しかし、蒸気発生器3の出口での二次冷却材の圧力が下がると、二次冷却材の沸騰温度が下がり、二次冷却材の加熱時の蒸気平均温度が下がるため、高温ガス炉蒸気発電システム1の熱効率が悪化する傾向となる。さらに、圧力調整手段による上記圧力の設定に伴い、原子炉2の一次冷却材の圧力が一義的に設定されるため、この一次冷却材の圧力よりも二次冷却材の圧力を下げなければならない観点から、高温ガス炉蒸気発電システム1の熱効率を改善する対策として、蒸気発生器3の出口での二次冷却材の圧力を上げることには限界が生じる。
【0054】
そこで、本実施の形態の高温ガス炉蒸気発電システム1では、圧力調整手段による上記圧力の設定に伴い、蒸気発生器3における二次冷却材の出口温度を高める温度調整手段を備える。
【0055】
この高温ガス炉蒸気発電システム1によれば、蒸気発生器3の出口での二次冷却材の温度を上げることで、加熱時の蒸気平均温度が上がるため、高温ガス炉蒸気発電システム1の熱効率を改善することが可能になる。すなわち、原子炉2における一次冷却材の圧力に対して蒸気発生器3における二次冷却材の圧力を低く設定する場合、これにより悪化し得る高温ガス炉蒸気発電システム1の熱効率を改善することが可能になる。
【0056】
図6は、本実施の形態に係る他の高温ガス炉蒸気発電システムであって、温度調整手段を備える高温ガス炉蒸気発電システムの概略図である。なお、図6において、図1に示す構成と同等部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0057】
図6に示すように、温度調整手段は、給水ポンプ(二次冷却材送出部)10、一次冷却材温度可変部としての循環ファン(一次冷却材送出部)2b、一次冷却材温度可変部としての原子炉2の少なくとも一つを有している。そして、温度調整手段は、給水ポンプ(二次冷却材送出部)10において二次冷却材の送出量を減らすことで、発生する蒸気量を減らし、蒸気発生器3における二次冷却材の出口温度に対して当該出口温度を上げる。また、温度調整手段は、循環ファン(一次冷却材送出部)2bにおいて一次冷却材の送出量を減らすことで、原子炉2で加熱される一次冷却材を減らし、原子炉2における一次冷却材の出口温度に対して当該出口温度を高め、この一次冷却材により加熱される二次冷却材の出口温度を上げる。
【0058】
本実施の形態の高温ガス炉蒸気発電システム1は、図6に示すように、給水ポンプ(二次冷却材送出部)10、循環ファン(一次冷却材送出部)2b、原子炉2を制御する温度制御手段25を備える。
【0059】
温度制御手段25は、温度取得部26を有するとともに、二次冷却材送出量設定部27、一次冷却材送出量設定部28の少なくとも一つを有している。
【0060】
温度取得部26は、蒸気発生器3の二次冷却材の出口温度を検出する二次冷却材温度検出部30から、二次冷却材の出口温度を入力する。また、原子炉2の出口側において比較的高い一次冷却材の温度を検出するため、一次冷却材温度検出部31が設けられている。温度取得部26は、この一次冷却材温度検出部31から、一次冷却材の出口温度を入力する。
【0061】
二次冷却材送出量設定部27は、給水ポンプ(二次冷却材送出部)10において二次冷却材の送出量の増減、および増減量を設定するものである。すなわち、二次冷却材の送出量を増す場合、給水ポンプ10を高回転としてその回転数により増量を設定し、二次冷却材の送出量を減らす場合は、給水ポンプ10を低回転としてその回転数により減量を設定する。
【0062】
一次冷却材送出量設定部28は、循環ファン(一次冷却材送出部)2bにおいて一次冷却材の送出量の増減、および増減量を設定するものである。すなわち、一次冷却材の送出量を増す場合、循環ファン2bを高回転としてその回転数により増量を設定し、一次冷却材の送出量を減らす場合は、循環ファン2bを低回転としてその回転数により減量を設定する。
【0063】
温度制御手段25は、マイコンなどで構成され、RAMやROMなどの記憶部(図示せず)に、温度取得部26による二次冷却材の出口温度に基づき、この温度が所定温度となるように、二次冷却材送出量設定部27、一次冷却材送出量設定部28での各設定を行うためのプログラムやデータが格納されている。ここで、所定温度とは、圧力調整手段による圧力の設定以前の二次冷却材の出口温度と同等の温度(様々なプラントで異なるが、例えば、550[℃])を基準とし、その範囲も様々なプラントごとに設定される。
【0064】
温度制御手段25による温度調整手段の制御について説明する。図7〜図8は、図6に示す高温ガス炉蒸気発電システムの制御を示すフローチャートである。
【0065】
温度調整手段としての給水ポンプ(二次冷却材送出部)10の制御は、図7に示すように、温度取得部26により得られた二次冷却材の出口温度に基づき、出口温度<所定温度の場合(ステップS41:Yes)、二次冷却材送出量設定部27により蒸気発生器3への二次冷却材の送出量を減らす指令を給水ポンプ10に出し、二次冷却材の出口温度を上げるように、二次冷却材の送出量を減らす(ステップS42)。これを、ステップS41において出口温度≧所定温度となるまで行う(ステップS41:No)。ステップS41において出口温度≧所定温度であって(ステップS41:No)、出口温度=所定温度であれば(ステップS43:No)、本制御を終了する。また、ステップS41において出口温度≧所定温度であって(ステップS41:No)、出口温度>所定温度である場合(ステップS43:Yes)、すなわちプラントごとに設定される所定温度を超えて二次冷却材の出口温度が高過ぎる場合、二次冷却材送出量設定部27により蒸気発生器3への二次冷却材の送出量を増す指令を給水ポンプ10に出し、二次冷却材の出口温度を下げるように、二次冷却材の送出量を増す(ステップS44)。これを、ステップS41において出口温度≧所定温度であり(ステップS41:No)、ステップS43において出口温度=所定温度(ステップS43:No)となるまで行う。なお、本制御は、常時または定期的に行われる。
【0066】
温度調整手段の一次冷却材温度可変部としての循環ファン(一次冷却材送出部)2bの制御は、図8に示すように、温度取得部26により得られた二次冷却材の出口温度に基づき、出口温度<所定温度の場合(ステップS51:Yes)、一次冷却材送出量設定部28により原子炉2への一次冷却材の送出量を減らす指令を循環ファン2bに出し、一次冷却材の出口温度を上げるように、一次冷却材の送出量を減らす(ステップS52)。これを、ステップS51において出口温度≧所定温度となるまで行う(ステップS51:No)。ステップS51において出口温度≧所定温度であって(ステップS51:No)、出口温度=所定温度であれば(ステップS53:No)、本制御を終了する。また、ステップS51において出口温度≧所定温度であって(ステップS51:No)、出口温度>所定温度である場合(ステップS53:Yes)、すなわちプラントごとに設定される所定温度を超えて二次冷却材の出口温度が高過ぎる場合、一次冷却材送出量設定部28により原子炉2への一次冷却材の送出量を増す指令を循環ファン2bに出し、一次冷却材の出口温度を上げるように、一次冷却材の送出量を増す(ステップS54)。これを、ステップS51において出口温度≧所定温度であり(ステップS51:No)、ステップS53において出口温度=所定温度(ステップS53:No)となるまで行う。なお、本制御は、常時または定期的に行われる。
【0067】
なお、上述した温度調整手段としての給水ポンプ(二次冷却材送出部)10、循環ファン(一次冷却材送出部)2b、原子炉2の制御は、個々に行ってもよく、または併用して行ってもよく、高温ガス炉蒸気発電システム1に応じて適宜選択される。
【0068】
このように、本実施の形態の高温ガス炉蒸気発電システム1は、温度調整手段として、給水ポンプ(二次冷却材送出部)10、一次冷却材温度可変部としての循環ファン(一次冷却材送出部)2b、一次冷却材温度可変部としての原子炉2の少なくとも一つを有し、これら温度調整手段により、圧力調整手段による圧力の設定に伴い、蒸気発生器3における二次冷却材の出口温度を高めることができる。そして、高温ガス炉蒸気発電システム1に応じて温度調整手段を適宜選択することが可能である。
【0069】
また、本実施の形態の高温ガス炉蒸気発電システム1は、二次冷却材の出口温度に基づき、当該出口温度が二次冷却材の設定された圧力に伴う所定温度となるように温度調整手段を制御する温度制御手段を備えることで、二次冷却材の出口温度に基づいて、温度調整手段により圧力調整手段による圧力の設定に応じて蒸気発生器3における二次冷却材の出口温度を高める制御を行うことが可能になる。
【0070】
ところで、高温ガス炉蒸気発電システム1においては、安定した発電出力が得られるまで、圧力差を一次冷却材圧力<二次冷却材圧力とする。そして、圧力調整手段による圧力の設定は、高温ガス炉蒸気発電システム1における発電出力が安定した後に行われる。そそのため、温度調整手段による温度の調整は、圧力調整手段による圧力の設定以前と同等までの温度に、蒸気発生器3の出口での二次冷却材の温度を上げるものである。
【0071】
なお、原子炉2における一次冷却材の圧力に対し、蒸気発生器3における二次冷却材の圧力を低く設定すると、蒸気発生器3の伝熱管3aが破損した場合、一次冷却系回路2aの一次冷却材が蒸気発生器3の伝熱管3a内に入り、二次冷却系回路12に至ることが想定される。このような事態を回避するため、図1および図6に示すように、二次冷却系回路12の蒸気発生器3の上流側および下流側に開閉弁33を設け、例えば、蒸気発生器3の二次冷却材の圧力の低下を検出して蒸気発生器3の伝熱管3aが破損したことを判断した場合に、開閉弁33を閉塞すればよい。
【符号の説明】
【0072】
1 高温ガス炉蒸気発電システム
2 原子炉(一次冷却材温度可変部)
2a 一次冷却系回路
2b 循環ファン(一次冷却材送出部,一次冷却材温度可変部)
2c 一次冷却材貯蔵部
3 蒸気発生器
3a 伝熱管
4 蒸気タービン
5 発電機
10 給水ポンプ(二次冷却材送出部)
12 二次冷却系回路
13 ガバナ弁(二次冷却材流量可変部)
14 バイパス回路
15 バイパス弁(二次冷却材バイパス流量可変部)
16 圧力制御手段
17 圧力差演算部
18 一次冷却材回収供給設定部
19 二次冷却材送出量設定部
20 二次冷却材流量設定部
21 二次冷却材バイパス流量設定部
22 一次冷却材圧力検出部
23 二次冷却材圧力検出部
25 温度制御手段
26 温度取得部
27 二次冷却材送出量設定部
28 一次冷却材送出量設定部
30 二次冷却材温度検出部
31 一次冷却材温度検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘリウムガスを一次冷却材とし、黒鉛ブロックにより中性子を減速させた原子核反応によって発生した熱で前記一次冷却材を加熱する原子炉と、水を二次冷却材とし、前記原子炉を経た前記一次冷却材により前記二次冷却材を加熱して蒸気とする蒸気発生器と、前記蒸気発生器からの蒸気によって稼動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンの稼動に伴って発電する発電機とを有する高温ガス炉蒸気発電システムにおいて、
前記原子炉における前記一次冷却材の圧力に対し、前記蒸気発生器における前記二次冷却材の圧力を低く設定する圧力調整手段を備えることを特徴とする高温ガス炉蒸気発電システム。
【請求項2】
前記圧力調整手段は、前記一次冷却材を回収または供給する一次冷却材貯蔵部を有し、当該一次冷却材貯蔵部において前記一次冷却材を供給することを特徴とする請求項1に記載の高温ガス炉蒸気発電システム。
【請求項3】
前記圧力調整手段は、前記二次冷却材を前記蒸気発生器に送り出す二次冷却材送出部を有し、当該二次冷却材送出部において前記二次冷却材の送出量を減らすことを特徴とする請求項1または2に記載の高温ガス炉蒸気発電システム。
【請求項4】
前記圧力調整手段は、前記蒸気タービンに送る前記二次冷却材の流量を可変する二次冷却材流量可変部を有し、当該二次冷却材流量可変部において前記蒸気タービンに送る前記二次冷却材の流量を増すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の高温ガス炉蒸気発電システム。
【請求項5】
前記圧力調整手段は、前記蒸気タービンへの前記二次冷却材を迂回させるバイパス回路に設けられて前記二次冷却材の流量を可変する二次冷却材バイパス流量可変部を有し、当該二次冷却材バイパス流量可変部において前記バイパス回路に送る前記二次冷却材の流量を増すことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の高温ガス炉蒸気発電システム。
【請求項6】
前記一次冷却材の圧力と前記二次冷却材の圧力との圧力差に基づき、当該圧力差が所定範囲となるように、前記圧力調整手段を制御する圧力制御手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の高温ガス炉蒸気発電システム。
【請求項7】
前記圧力調整手段による圧力の設定に伴い、前記蒸気発生器における前記二次冷却材の出口温度を高める温度調整手段を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の高温ガス炉蒸気発電システム。
【請求項8】
前記温度調整手段は、前記二次冷却材を前記蒸気発生器に送り出す二次冷却材送出部を有し、当該二次冷却材送出部において前記二次冷却材の送出量を減らすことを特徴とする請求項7に記載の高温ガス炉蒸気発電システム。
【請求項9】
前記温度調整手段は、前記原子炉における前記一次冷却材の温度を可変する一次冷却材温度可変部を有し、当該一次冷却材温度可変部において前記一次冷却材の温度を高めることを特徴する請求項7または8に記載の高温ガス炉蒸気発電システム。
【請求項10】
前記二次冷却材の出口温度に基づき、当該出口温度が前記二次冷却材の設定された圧力に伴う所定温度となるように前記温度調整手段を制御する温度制御手段を備えることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一つに記載の高温ガス炉蒸気発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−88207(P2013−88207A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227459(P2011−227459)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)