説明

高硬度、耐摩耗性部品およびその製造方法

【課題】金属被処理物の表面にチタンを拡散浸透させてチタンカーバイドからなる拡散浸透層が形成されると同時に、前記拡散浸透層が熱処理などによってワレを生じないものである高硬度、耐摩耗性部品を得ることである。
【解決手段】金属被処理物の表面にチタンカーバイドの拡散浸透層を有し、該チタンカーバイドの拡散浸透層内における酸素濃度が8重量%以下であることを特徴とする高硬度、耐摩耗性部品であり、好ましくは、前記拡散浸透層の厚さが1〜50μmの範囲において、該層内の構成元素が少なくとも、チタン濃度40〜90重量%、炭素濃度5〜15重量%、鉄濃度1〜55重量%、酸素濃度0.01〜8重量%よりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高硬度、耐摩耗性部品およびその製造方法に係わり、特に高硬度、耐摩耗性が要求される摺動部品、軸受け部品、金型などのガラス成型部品、カムなどの産業用機械部品、チェーン用ピンなどに有効な表面処理であって、金属被処理物の表面にチタンを拡散浸透させてチタンカーバイドからなる拡散浸透層が形成された高硬度、耐摩耗性部品およびその製造方法並びに該表面処理に用いる拡散浸透処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
金属の表面処理には、所謂メッキ法、化学気相蒸着法(CVD)などが公知である。メッキ法は表面に別の金属を析出させるものであるため金属母材とメッキ層との間の結合が比較的弱く、従って処理層が剥離することがある。またCVDは、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基板表面あるいは気相での化学反応により膜を堆積する方法で、処理容器の容量に制限がある上に、金属原子の直進性などの為に、複雑な形状の金属被処理物に対しては、均一な厚みに被覆することは困難であるという問題がある。
【0003】
一方、カロライジングやクロマイジングなどの金属浸透法は、金属被処理物に対してアルミニウムやクロムなどの金属を含む粉末を混合して非酸化性雰囲気中で加熱し、金属被処理物(一般的には鉄素材)の原子間にアルミニウムやクロムなどの原子を浸透させ、表面を合金層(例えば鉄とアルミニウムとの合金)にすることとなる。この場合浸透する金属は被処理物と直接接触することによって被処理物表面に移行するものと、浸透促進剤として少量加えられるハロゲン化物によって気相でハロゲン化金属が生成され、それが被処理物表面に析出定着した後浸透するものとがあると言われる。いずれにしても、素材の金属と拡散浸透したアルミニウムとが合金として一体化しているので、前記メッキ法のように剥離することはなく、またCVDのように特殊な処理装置の必要性もない。しかも基本的には母材金属材料の物理的特性を特に変化させることなく表面層を均一に処理できるという特徴を有する。
【0004】
ところで、腐食及び摩耗しやすい環境下でも好適に使用するための表面処理として前記のような金属浸透法を用い、チタンを拡散するチタナイジングがある。例えば、サイレントチェーンやローラチェーンなどの動力伝達用チェーンにおいては、チェーンの運転中にリンクがピン(一般的には炭素鋼、合金鋼製)の回りを回転摺動することによって、ピンが摩耗するので、耐摩耗性向上のために表面にチタンを浸透させてチタンカーバイド層を形成したものがある。これにより、使用環境に耐えうる摩耗性と、硬度を持った材料が提供されるわけである。チタンは比重が小さく軽量で、機械的強度、耐腐食性に優れているので、こうした表面処理としては好適な素材といえるのである。
【0005】
このようなチタンカーバイド層を形成する技術に関しては、鉄材を母材とする水中サンドポンプにチタンを拡散、浸透処理させてチタンカーバイト被膜を形成するもの(特許文献1)がある。この技術は、チタン粉末を主剤とし、アルミナ粉末、塩化アンモニウム粉末などの処理剤内に、被処理物を埋めて、水素ガス等の還元性ガス雰囲気下で加熱処理することによりチタンカーバイド層を形成するというものであり、所謂通常のカロライジングのアルミニウムをチタンに置き換えたものである。しかし、前記チタンカーバイド層が非常に高硬質であるという特性を有する反面、金属被処理物の持つ本来の物理的特性との差が大きいものとなる結果、チタンカーバイド層を形成した後の、被処理物を熱処理すると被膜にワレが発生することがあり、このため実際の実用化に際して課題を残すものであった。
【0006】
また、炭素を少なくとも0.7重量%含む鉄素材からなる部品の表面にチタンを拡散滲透処理させるもの(特許文献2)がある。この方法は、前記の課題を解決すべく、チタンカーバイド被覆層の厚さを適当な範囲に設定し、鉄素材との境界に至るまでのチタンの濃度勾配及び硬度勾配を持つ勾配部層を持たせたものである。すなわち、最表面の最高硬度部をある厚さに維持した後、なだらかな硬度勾配やチタンの濃度勾配を持たせ、マトリックス中にチタンカーバイドが分散し、次第に低濃度となって素材との境界に急峻な硬度差を持たせないことを趣旨とするものである。確かに、表面層と母材との間に勾配層が存在することによって緩衝剤としての効果を発揮することができると思われるものの、勾配層を形成するために、一度拡散滲透処理した後、再度真空焼入・焼戻しを行う必要があるなど、工程面での煩雑さがあり、完璧なものとは言い難いのであった。
【特許文献1】特開平4−293765号公報
【特許文献2】特開平6−101015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果なされたものであり、その目的とするところは、金属被処理物の表面にチタンを拡散浸透させてチタンカーバイドからなる拡散浸透層が形成されると同時に、前記拡散浸透層が熱処理などによってワレを生じないものである高硬度、耐摩耗性部品を得ることである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、前記拡散浸透層を形成するために好適な拡散浸透処理剤を得ることである。
【0009】
さらに、本発明の目的は、前記チタンカーバイドの拡散浸透層を形成するために、多くの試薬、時間、労力などを必要とせず、大量生産に適し、低コストでかつ高品質、高硬度、耐摩耗性部品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、金属被処理物の表面にチタンカーバイドの拡散浸透層を有し、該チタンカーバイドの拡散浸透層内における酸素濃度が8重量%以下であることによって、前記拡散浸透層が熱処理などによってもワレを生ずることなく高硬度、耐摩耗性部品が得られることを見出し、本発明に至った。
【0011】
また、本発明の高硬度、耐摩耗性部品の前記拡散浸透層は、その厚さが1〜50μmの範囲において、該層内の構成元素が少なくとも、チタン濃度40〜90重量%、炭素濃度5〜15重量%、鉄濃度1〜55重量%、酸素濃度0.01〜8重量%よりなることを特徴とする。
【0012】
さらに、前記金属被処理物の表面にチタンカーバイドの拡散浸透層を形成する処理剤としては、該処理剤の成分であるチタン供給源と焼結防止剤のいずれもが酸化化合物ではないことを特徴とするチタンカーバイド拡散浸透処理剤であり、前記チタン供給源の含有量と焼結防止剤の含有量の重量%比が10:90〜50:50であることが望ましい。
【0013】
そして、本発明では、前記チタンカーバイド拡散浸透処理剤を用いて、非酸化雰囲気下で700〜1100℃に加熱処理することにより表面にチタンカーバイドの拡散浸透層を形成する工程、加熱後3℃/min以下の速度で徐冷する工程を有することを特徴とする高硬度、耐摩耗性部品の製造方法をその要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の高硬度、耐摩耗性部品は、その表面にチタンカーバイドの拡散浸透層を有し、該チタンカーバイドの拡散浸透層内における酸素濃度を8重量%以下に抑えることによって、熱処理によっても該拡散浸透層にワレなどが生じることがないので、被覆層自体の耐久性に優れた部品を得ることができる。
【0015】
また、前記拡散浸透層を形成するための処理剤を選択することによって、多くの時間、工程などを必要とせず、低コストでかつ高品質の高硬度、耐摩耗性部品を製造する方法が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明について具体的に詳述する。
本発明の高硬度、耐摩耗性部品は、金属被処理物の表面にチタンカーバイドの拡散浸透層を有し、該チタンカーバイドの拡散浸透層内における酸素濃度が8重量%以下であることを特徴とする。従来、チタンカーバイドの形成としては一般に、チタン・鉄合金粉末と焼結防止剤としてアルミナ粉、浸透促進剤としての塩化アンモニウムを配合した処理剤に金属被処理物(炭素を含有する鉄素材が用いられるのが一般的)を埋設して、アルゴンガスなどの非酸化性雰囲気下で加熱処理により行われる。
【0017】
これをさらに、加熱等により過酷な使用環境を想定した耐久性試験を行うと、チタンカーバイド層の一部にワレが発生している箇所が発見されることがある。ワレの発生していない箇所と、発生している箇所とを、X線マイクロアナライザーにより元素分析を行うと、前記層内酸素濃度に違いがあることが判明した。チタンカーバイド層の平均的な酸素濃度は10重量%程度存在するのに対して、ワレの発生していない箇所では酸素濃度が、相対的に低いことが判明したのである。すなわち、チタンカーバイド層の酸素濃度は低い方が好ましく、具体的には8重量%以下、より好ましくは5重量%以下、最も好ましくは1重量%以下である。この酸素濃度が8重量%より多くなるとワレの発生する可能性が高くなり、加熱環境下での使用については、期待される耐摩耗性を充分に発揮できなくなるおそれがあるからである。
【0018】
そして、前記酸素濃度を低くしたチタンカーバイド層は、部品の用途によって形成すべき厚さが異なる為、一概には決定されないが、1〜50μmの範囲が適当であり、好ましくは2〜30μmの範囲である。前記厚さが1μmよりも薄くても、耐腐食性という点だけから考えれば特別に問題はないが、硬度や摩耗性を要求する部品に使用される場合にあっては、チタンカーバイド層を形成した効果が発揮され難いからである。また、前記厚さが50μmを超えても耐摩耗性に優れる点では変わりがないけれども、そのような厚さに浸透させるために要する処理時間が長くなって、生産性に問題が生じるおそれがあり好ましくないからである。
【0019】
本発明の高硬度、耐摩耗性部品に形成されるチタンカーバイド層の構成元素は、より具体的にはチタン濃度40〜90重量%、炭素濃度5〜15重量%、鉄濃度1〜55重量%、酸素濃度0.01〜8重量%よりなることが好ましい。これらの構成元素のうちチタンと炭素は、本発明の目的とするチタンカーバイドの構成そのものであり、鉄は一般的な金属被処理物の母材に用いられるものであり、また、酸素は、環境から持ち込まれる避けがたい元素である。これらの構成元素の他にクロム、アルミニウム、マンガンなどを本発明部品の高硬度、耐摩耗性を損なわない限りにおいて含んでいても構わない。
【0020】
上記低酸素濃度のチタンカーバイド層を金属被処理物表面に形成するための、拡散浸透処理剤としては、チタン供給源と焼結防止剤のいずれもが酸化化合物ではないことが好適である。特に本発明においては層内酸素濃度の低減を趣旨とするため、浸透処理時の環境もアルゴンや窒素、水素などの非酸化性雰囲気下で行うことは勿論であるが、処理剤についても特定の処理剤を使用することに特徴がある。より具体的には、前記チタン供給源としてチタン・鉄合金の他、チタン・アルミニウム合金、チタンとアルミニウムを含む複合窒化物、炭化チタン、窒化チタン、炭窒化チタンなどが使用可能である。これらの成分のうち、チタン・鉄合金の粉末が、入手の容易さや浸透処理の簡易さの点で好ましい。また、その他の成分として、チタン供給源ではないが、シリコン粉末やアルミニウム粉末、クロム粉末やアルミニウム・シリコン合金粉末などを添加することもできる。これらによる効果としては所謂クロマイジングによる耐高温酸化性や、カロライジングによる耐高温硫化性、耐浸炭性などの付加的効果を得ることができるからである。
【0021】
また、前記焼結防止剤としては、炭化シリコン、窒化シリコン、アルミニウム窒化物などが挙げられる。これらのうち、前記チタン・鉄合金との組み合わせにおいて炭化シリコンを使用することが好ましい。金属被処理物に炭素が含有されていなくても、表面にチタンカーバイド層が形成することができるため、目的部品の母材を自由に選択できるという利点がある。ところで、特に前記チタン供給源とこの焼結防止剤には酸化物を含有しないことが重要である。この処理剤中に酸化物が存在すると、層内酸素濃度を低下することが困難になり、結果としてチタンカーバイド層にワレが発生し易く成るからである。従って、従来の一般的な焼結防止剤であるアルミナを使用することは、本発明では特に望ましいことではないのである。
【0022】
次に、前記チタン供給源と焼結防止剤の使用割合であるが、本発明では、チタン供給源:焼結防止剤の重量%比が、10:90〜50:50が好ましい。特にチタンカーバイド層を厚く形成するためには、焼結防止剤に比べてチタン供給源の方が少量である方が好ましい。この理由は未だ明確ではないが、チタン供給源が多いと金属被処理物表面に早期にチタンが浸入し、これが高硬度の被膜を形成するために、後続のチタンの浸透が既に形成されたチタンカーバイド層に阻まれて、却って層の厚みの上昇に支障をきたすのではないかと考えられる。なお、この比率は用いるチタン供給源、焼結防止剤の組み合わせにより変化するので、最適比率が一概に決定することはできない。
【0023】
本発明では、さらに塩化アンモニウム等のハロゲン化物を促進剤として添加することができる。反応経路としては、まず金属チタンが塩化アンモニウムと反応して、塩化チタンを生成し、これが気体となって金属被処理物表面に到達し、そこで例えば水素ガスなどの還元雰囲気下で金属チタンに、或いは、塩化チタンと母材金属である鉄との反応によって、塩化鉄が除去されるとともにチタンが母材中に浸透するなどが考えられる。
【0024】
上述の拡散浸透処理剤に、金属被処理物を埋設するいわゆる粉末パック法によって母材表面にチタンカーバイド層を形成する。その製造方法としては、アルゴンや窒素、水素などの非酸化性雰囲気下で、700〜1100℃に加熱処理することにより行われる。加熱温度が前記未満であると、チタンの拡散浸透が進行し難く、また前記温度より高いと、金属被処理物にもよるが熱的歪みの発生が生じるおそれがあるからである。
【0025】
上記加熱時間は1時間から数十時間、好ましくは5〜18時間程度であり、これは所望の膜厚のチタンカーバイド層を形成するために適宜設定すれば良い。なお、特に初期の加熱によってチタンが拡散浸透するために、所望の処理温度までを段階的に上げることによりチタンの拡散浸透を制御することも可能である。
【0026】
そして、加熱処理終了後に室温まで冷却するに際し、3℃/min以下の速度で徐冷する工程を加えることが望ましい。この徐冷工程により、チタンカーバイド層の耐久性が向上される効果がある。
【0027】
かくして得られる本発明の高硬度、耐摩耗性部品は、長期的にこれらの特性を維持し、母材を保護するとともに、過酷な使用環境にあってもワレなどを生じることなく、安定した製品を提供できる。
【実施例】
【0028】
以下の実施例によって本発明の効果をより具体的に説明する。なお、金属被処理部品としては、チェーン用ピン(1.0〜1.2%炭素含有)を用い、実施例中の各物性値は、以下の方法により測定した値である。
[組成比(重量%)]
チェーン用ピンの表面から深さ方向に向かって、(株)島津製のX線マイクロアナライザーを用いて組成を分析した。
【0029】
[ワレ評価]
処理後のチェーン用ピンを、860℃に加熱して焼入・焼戻したときに表面に目視によりワレが観察されるものをワレ有りとした。
【0030】
[硬度]
処理後のチェーン用ピンを、(株)マツザワ製のデジタル微小硬度計を用いて表面の硬度を測定した。
【0031】
[実施例1]
チェーン用ピン(1.0−1.2%炭素含有)を、チタン供給源(例えば、チタン・鉄合金)、粉末焼結防止剤(例えば、炭化シリコン)および促進剤(例えば、塩化アンモニウム等のハロゲン化物)組成からなる浸透剤を用い、アルゴンガスを流しながら950℃で10時間の拡散浸透処理を行った。これを室温まで放冷したのち各種物性を測定した。その結果を表1に示す。また、このサンプルを用いて、X線マイクロアナライザーにより測定した分析結果を図1に示す。
【0032】
[比較例1]
チタン・鉄合金粉末70重量部と、焼結防止剤としてアルミナ30重量部を用いた他は実施例1と同様に拡散浸透処理し、各種物性を測定した。その結果を表1に示す。また、このサンプルを用いて、X線マイクロアナライザーにより測定した分析結果を図2に示す。
【0033】
[実施例2〜6]
チタン・鉄合金と、炭化シリコンの配合比を変化させた他は、実施例と同様に拡散浸透処理し、各種物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
前記表1に示すように、本発明により得られたチェーン用ピンはいずれもワレの発生がない均一な層が得られた。一方、比較例によるチェーン用ピンは、全てにワレが認められた。このことから、本発明により耐久性に優れた部品が供給できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上説明したように、本発明の高硬度、耐摩耗性部品は、そのチタンカーバイド層に含有する酸素濃度が低い結果、表面のワレが発生せず、耐久性に優れた部品を提供することが可能である。
【0037】
また、本発明によれば、拡散浸透処理剤に酸化物を使用しないことによって前記高硬度、耐摩耗性部品が得られるので、特別な試薬、複雑な工程を必要とせず、新たに設備を導入する必要がないため、低コストで品質のよい製品が供給できる。また、製造方法として、徐冷を行うことにより、チタンカーバイド層が厚い場合であっても、ワレを発生することがなく、高硬度、耐摩耗性を要求する分野へ与える貢献度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は本発明の実施例1により得られた部品のX線マイクロアナライザーによる組成分布の分析結果を示す。
【図2】図2は比較例1により得られた部品のX線マイクロアナライザーによる組成分布の分析結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属被処理物の表面にチタンカーバイドの拡散浸透層を有し、該チタンカーバイドの拡散浸透層内における酸素濃度が8重量%以下であることを特徴とする高硬度、耐摩耗性部品。
【請求項2】
前記拡散浸透層の厚さが1〜50μmの範囲において、該層内の構成元素が少なくとも、チタン濃度40〜90重量%、炭素濃度5〜15重量%、鉄濃度1〜55重量%、酸素濃度0.01〜8重量%よりなることを特徴とする請求項1記載の高硬度、耐摩耗性部品。
【請求項3】
金属被処理物の表面にチタンカーバイドの拡散浸透層を形成する処理剤であって、該処理剤の成分であるチタン供給源と焼結防止剤のいずれもが酸化化合物ではないことを特徴とするチタンカーバイド拡散浸透処理剤。
【請求項4】
前記チタン供給源の含有量と焼結防止剤の含有量の重量%比が10:90〜50:50である請求項3に記載のチタンカーバイド拡散浸透処理剤。
【請求項5】
請求項3または4に記載のチタンカーバイド拡散浸透処理剤を用いて、非酸化雰囲気下で700〜1100℃に加熱処理することにより表面にチタンカーバイドの拡散浸透層を形成する工程、加熱後3℃/min以下の速度で徐冷する工程を有することを特徴とする高硬度、耐摩耗性部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−35761(P2009−35761A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199229(P2007−199229)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(591104169)日本カロライズ工業株式会社 (7)