高粘性物質の個分け取出装置
【課題】
ドラム缶などのタンク内に合成樹脂製袋などの軟質袋に充填されたマヨネーズや蜂蜜などの高粘性物質についてポンプを利用してペール缶などに個分け取出しできる高粘性物質の個分け取出装置を提供する。
【解決手段】
高粘性物質の吸引操作中に軟質袋が貫通口を閉塞することを抑止する邪魔板が、摺動板の底面と接触しない位置に、かつ底面と略平行に配設してあることを特徴とする高粘性物質の個分け取出装置。
ドラム缶などのタンク内に合成樹脂製袋などの軟質袋に充填されたマヨネーズや蜂蜜などの高粘性物質についてポンプを利用してペール缶などに個分け取出しできる高粘性物質の個分け取出装置を提供する。
【解決手段】
高粘性物質の吸引操作中に軟質袋が貫通口を閉塞することを抑止する邪魔板が、摺動板の底面と接触しない位置に、かつ底面と略平行に配設してあることを特徴とする高粘性物質の個分け取出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ドラム缶などのタンク内に合成樹脂（軟質ポリエチレン、ナイロンなど）の軟質袋に充填されたマヨネーズや蜂蜜などの高粘性物質についてポンプを利用してペール缶などの小容器に個分け取出しできる高粘性物質の個分け取出装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、高粘性物質の保管や貯蔵はドラム缶などのタンクなどに直接収容したり、衛生面を配慮して合成樹脂袋などの軟質袋に充填されたものをドラム缶などに収容した形態を採用されることが多い。そして、これらの収容された高粘性物質を個分け取り出しをするに際しては、例えば、柄（ひしゃく）等の用具でいったんくみ出したり、ポンプでくみ上げ処理してから用いることが行われている。
ひしゃく等でのくみ出しは手作業であるため作業効率が悪く、また、重労働になるので加工場などでは殆ど採用されなくなってきている。
また、前記ポンプでのくみ上げ処理の技法としてはドラム缶に直接収容した高粘性物質をシリンダにより空気圧で加圧し、かつポンプで吸い込むことにより高粘性物質を移送する連続的な定量供給装置が特許文献１（特開平９−９９９８３号公報）に提案されている。
【０００３】
【特許文献１】特開平９−９９９８３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、前記特許文献１に記載の装置は、ドラム缶などのタンクに直接収容した高粘性物質を取出す際には有効に利用できるものの、軟質袋に充填された状態でタンク内に収容された高粘性物質を連続して取出すことには利用できず、不適であった。
その理由として前記特許文献１記載の装置は、高粘性物質を吸引しながらシリンダヘッドが降下するが、前記高粘性物質を取り出し処理中に吸込み口に軟質袋が吸い込まれてポンプチューブ内に詰まる問題がある。このことは、装置の稼動を中断せざるを得なくなることにより高粘性物質の取出しができなくなるだけでなく、ポンプやシリンダに過大な負荷がかかりポンプなどが故障してしまうことになるからである。
またシリンダヘッドとタンク内周壁は隙間がないため、高粘性物質を吸引するとタンク内は概ね真空状態となっていることから、タンクの内底面まで下降したシリンダヘッドをタンクの内底面から上方まで上昇させることは、シリンダに過大な負荷がかかり、これに伴ってシリンダの故障の原因に繋がることとなる。
これらシリンダの過大負荷は高粘性物質を正確に個分け取出しするには極めて悪影響を与えるものであり、作業効率を極端に悪くするものであった。
【０００５】
本発明は上述の問題点を勘案しなされたもので、軟質袋に充填された状態をタンク内に収容した高粘性物質を取出しする際に当該袋の一部がポンプに吸込まれてシリンダやポンプなどに過大な負荷をかけることがない装置であって、またタンクの内底面まで下降したシリンダヘッドをタンクの内底面から上方まで上昇させる際にシリンダなどに過大な過負荷をかけることがない高粘性物質の個分け取出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
すなわち、本発明高粘性物質の個分け取出装置（以下、単に「装置」ともいう）は、軟質袋に充填された高粘性物質を収納したタンクの内周壁に沿って上下に摺動自在である摺動板を、前記タンクの真上上方に配設したピストンロッドにより支持してあり、該摺動板は前記タンクの上部近傍まで降下した際にピストンロッドと摺動板の支持杆との連結部が切離可能となるようこの連結部を貫通する抜き差しピンで係止してあり、前記摺動板には、底面側から上面側へ貫通する前記高粘性物質の吸上げ用貫通口を形成してあり、該貫通口の上面側には前記貫通口と連通する前記高粘性物質の吸上げ管を連設してあり、該吸上げ管の経路上には該吸上げ杆と連通する高粘性物質の吸上げ用ポンプが配設してあり、前記摺動板の上面には、該摺動板の傾動を抑止しつつ摺動板と共に昇降自在とされたスライド杆の下端側を一体に着接してあり、前記高粘性物質の吸引操作中に前記軟質袋が前記貫通口を閉塞することを抑止する邪魔板が、前記摺動板の底面と接触しない位置に、かつ底面と略平行に配設してあることを特徴とするものである。
【０００７】
また、本発明高粘性物質の個分け取出装置は、軟質袋に充填された高粘性物質を収納したタンクの内周壁に沿って上下に摺動自在としてある摺動板の上面を、該摺動板の傾動を抑止すると共に昇降自在とされた縦長のスライド杆の下端側に着接してあり、該スライド杆の上端側を前記タンクの上方に配設されたピストンロッドに吊持してあり、前記摺動板は前記タンクの上部近傍で前記ピストンロッドとスライド杆の上端との吊持連結部が切離可能となるようこの連結部を貫通する抜き差しピンで係止してあり、前記摺動板には、底面側から上面側へ貫通する前記高粘性物質の吸上げ用貫通口を形成してあり、該貫通口の上面側には前記貫通口と連通する前記高粘性物質の吸上げ管を連設してあり、該吸上げ管の経路上には該吸上げ杆と連通する高粘性物質の吸上げ用ポンプが配設してあり、前記高粘性物質の吸引操作中に前記軟質袋が前記貫通口を閉塞することを抑止する邪魔板が、前記摺動板の底面と接触しない位置に、かつ底面と略平行に配設してあることを特徴とするものである。
【０００８】
このような構成にすることによって、高粘性物質の残量が少なくなっても貫通口内へ袋の一部が吸い込まれて前記貫通口やポンプなどが詰まることもなくなり、最後まで装置の稼動を中断することなく高粘性物質を取出すことができる。
また、本発明に係る前記邪魔板が枠材で囲繞した枠体内を適宜面積に区切られた略板状に形成しておくことによって、取出操作中に前記貫通口を閉塞することを抑止するのみならず、区切られた略板状の隙間から高粘性物質を残すことなく一層吸引することができる。
さらに、本発明に係る前記摺動板の所定箇所にその上面から底面へ貫通する高圧エアー吹き込み用貫通孔を形成しておくことにより、タンクの内底面まで下降した摺動板をタンク内上方までスムーズに上昇させることができる。
【発明の効果】
【０００９】
以上説明したように、本発明高粘性物質の個分け取出装置は、最後まで装置の稼動を中断することなく高粘性物質を取出すことができるので、ポンプやシリンダなどに過大な負荷がかかることがなくなり、装置の故障もほとんどなく作業効率が非常に良いものとなる。
また、上記邪魔板の枠体内を適宜面積に区切られた略板状に形成しておくことによって、前記貫通口が軟質袋の一部により閉塞されることを抑止するのみならず、区切られた略板状の隙間から高粘性物質をより一層吸引することができるので、ポンプなどにほとんど負荷がかかることがないことから装置の故障もなく作業効率が非常に良いものとなる。
さらに、高圧エアー吹き込み用貫通孔を形成しておくことによって、タンクの内底面まで下降した摺動板をタンク内上方までスムーズに上昇させることができるため作業効率が非常に良いものとなるだけでなく、そもそも上昇用のシリンダを別途に設置する必要がなくなるから高粘性物質の個分け取出装置全体をコンパクトに形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して説明する。
【実施例】
【００１１】
〔実施例１〕
図１は、本発明高粘性物質の個分け取出装置に軟質袋に充填された高粘性物質を収納したドラム缶をセットした状態の一実施例を示す正面図である。図２は、本発明高粘性物質の個分け取出装置に配設されたピストンロッドの一実施例を示す正面図であり、図３は、本発明高粘性物質の個分け取出装置に配設されたピストンロッドの他の実施例を示す正面図である。図４は、本発明高粘性物質の個分け取出装置の摺動板に配設された支持杆とスライド杆の一実施例を示す正面図であり、図５は、本発明高粘性物質の個分け取出装置の摺動板に着接された支持杆兼用スライド杆の他の実施例を示す正面図である。図６は、本発明高粘性物質の個分け取出装置の摺動板に配設された支持杆とスライド杆の一実施例を示す側面図である。図７は、本発明高粘性物質の個分け取出装置の摺動板に着接された支持杆兼用スライド杆の他の実施例を示す側面図である。図８は、本発明高粘性物質の個分け取出装置に配設された摺動板の構成を示す平面図であり、 図９は、摺動板の構成を示す側面図である。
【００１２】
図１において、本実施例の高粘性物質の個分け取出装置１は、軟質袋４に充填された高粘性物質３を収納したドラム缶２の内周壁に沿って上下に摺動自在である摺動板７と、高粘性物質３の吸上げ用ポンプ５と、該摺動板７の傾動を抑止しつつ摺動板７と共に昇降自在とされたスライド杆２３と、前記高粘性物質３の吸引操作中に前記軟質袋４が前記貫通口２４を閉塞することを抑止する邪魔板３１とを備えた構造としてある。
【００１３】
先ず前記摺動板７について説明すると、軟質袋４に充填された高粘性物質３を収納したドラム缶２の内周壁に沿って摺動板７は上下に摺動自在に形成してある。この摺動板の大きさについて特に制限は無いが、 本実施例１においては、タンクがドラム缶２であることからドラム缶２の内周壁に沿って上下に摺動自在となるような大きさの外形に摺動板７が形成されている。尚、本実施例における摺動板７の外周側面は弾性部材１０として軟質ゴムが被覆してあり、これにより摺動板７の下降時に袋４内の高粘性物質３を袋内壁から余すところなくかき取りできるようになっている。
【００１４】
また本実施例１において、前記摺動板７は前記ドラム缶２の真上上方に配設したピストンロッド２１により支持されている。またその摺動板７は前記ドラム缶２の上部近傍まで降下した際には、ピストンロッド２１と摺動板７の支持杆２２との連結部が切離される。この連結部は前記ピストンロッド２１と支持杆２２を貫通する手動操作可能な抜き差しピン（図示なし）で係止してある。
【００１５】
さらに本実施例１において、前記摺動板７には前記高粘性物質の吸上げ用貫通口２４は、この摺動板７にその底面側から上面側へ前記高粘性物質が吸上げられる貫通口を形成してある。本実施例においては前記摺動板７の前記貫通口２４は図８、図９に示すように摺動板７の中心部と外周部のほぼ中程に穿設してある。この貫通口２４の大きさとしては高粘性物質３が吸上げることができれば特に制限はないが、本実施例の貫通口２４は内径を７０ｍｍとしてある。
【００１６】
また当該貫通口２４の上面側にはその貫通口と連通する前記高粘性物質の吸上げ管２５を連設してあり、その吸上げ管２５の経路上には当該吸上げ管２５と連通する高粘性物質３の吸上げ用ポンプ５が配設してある。尚、本実施例のポンプは、ダイドーメタル工業(株)製のポンプを使用している。
【００１７】
次に摺動板の上面に着接されたスライド杆について説明すると、本実施例１において、前記スライド杆２３はその下端側を前記摺動板７の上面に一体に着接してあり、また前記スライド杆２３はその上端側を基枠４１に固定された固定部材２６に挿通してある。これによりこのスライド杆２３は、摺動板７と共にスライド杆２３が昇降自在とされていることから、ドラム缶２内で前記摺動板７が昇降する際に当該摺動板７の傾動を抑止することができ、かつ摺動板７のスムーズな昇降動作を可能とする。この際、スライド杆は複数本とし、摺動板７の上面に複数着接してあると、一層摺動板の傾動を抑止することができるので好ましい。
【００１８】
さらに、前記摺動板７に配設された本実施例における邪魔板について説明すると、前記摺動板７の底面と接触しない位置に、かつその底面と略平行に配設してある。これにより前記高粘性物質の吸引操作中に前記軟質袋４が前記貫通口２４を閉塞することを抑止することができる。ここで本実施例１においては前記邪魔板３１は直径３００ｍｍの円枠材３２としてある。また当該円枠材３２は、その円枠材の中心位置から円枠材に向かって放射状に円枠材３２を区切っている。かかる円枠体３２を前記摺動板７の底面から３０ｍｍの下方位置に、かつ前記底面と略平行に配設してある。
【００１９】
また、前記摺動板７にはその上面から底面へ貫通する高圧エアー吹き込み用貫通孔３５を形成してあるが、当該貫通孔３５の位置や大きさについて、特に制限は無い。尚、本実施例１において、上記貫通口２４と外周部の中ほどの位置に直径１５ｍｍの高圧エアー吹き込み用貫通孔３５を前記摺動板７の上面から底面へ前記摺動板７は貫通している。尚、本実施例１の貫通孔３５の数は１つであるが、複数設けるとより、タンクの内底面まで下降した摺動板７をタンク内上方まで一層スムーズに上昇させることができるので好ましい。
【００２０】
次に、本実施例の作用について説明する。
先ず、ドラム運搬台車１２に載置されたドラム缶２に収納された軟質袋４の上部を開口してドラム缶２上部枠から折り返し、前記ピストンロッド２１により支持された摺動板７の真下下方に前記台車１２によりドラム缶２を動かしセットする。
次に前記摺動板７を前記ドラム缶２の上部近傍までピストンにて降下させ、当該ドラム缶２の上部近傍まで降下した際、ピストンロッド２１と摺動板７の支持杆２２との連結を切離するために連結部を貫通する抜き差しピンを抜く。すると前記摺動板７とピストンロッド２１は切離され前記摺動板７はドラム缶２の内周壁に沿って自重で沈降し始め、高粘性物質３の表面と摺動板７の裏面は接近する。
【００２１】
次いで図示しない電気制御手段の始動ボタンを押すことによりモータＭを介して上記ポンプ５が適正な速度で駆動する。これにより軟質袋４内の高粘性物質３は前記摺動板７の高粘性物質３吸上げ用貫通口２４から吸引される。吸引された高粘性物質は吸上げ用ポンプ５を介して吸上げ管２５を通り、その後、高粘性物質３は吸上げ管２５の排出口から外方へ取出される。
尚、当該高粘性物質３の吸い上げが始まると、高粘性物質３の液面の降下とともに摺動板７が下方へ同様に降下する。また、前記摺動板７の上面にはスライド杆２３の下端側を一体に着接してあることから前記摺動板７の傾動が抑止される。これにより摺動板７の裏面と高粘性物質３の表面は常に略面一となり、均一取出しを妨げる原因となる空間（空気溜り）が生ずることがない。
【００２２】
その後、適正量の高粘性物質３の取出し後、ポンプ５は停止される。このようにポンプ５の駆動と停止を繰り返し、ドラム缶２内の高粘性物質３は個分け取出しされる。従って常時ほぼ一定量の取出しが可能となる。
【００２３】
また、摺動板７の底面には円枠体３２の中心位置から放射状に円枠体３２を区切られた邪魔板３１が配設してあるので前記摺動板７の底面とドラム缶の内底とは直接接触せず、かつ邪魔板３１は底面と略平行に前記摺動板７に配設してあることから、高粘性物質３の残量が少なくなっても貫通口２４内へ軟質袋４の一部が吸い込まれて前記貫通口２４やポンプ５などが詰まることもなくなり、最後まで装置の稼動を中断することなく高粘性物質３を取出すことができる。
【００２４】
尚、邪魔板３１は、円枠体３２の中心位置から放射状に円枠体３２を区切ると、前記貫通口２４を閉塞することを抑止するのみならず、区切られた略板状３１から高粘性物質３をより一層吸引することができるので良い。このような邪魔板３を摺動板７底面に配設することにより、ポンプ５などにほとんど負荷がかかることがないことから装置の故障もほとんどなく、より一層作業効率が非常に良いものとなる。
【００２５】
さらに、ドラム缶２内の高粘性物質３が無くなったことに伴い前記摺動板７がドラム缶２内で降下しなくなると、ポンプ５は停止される。次に、前記摺動板７の高圧エアー吹き込み用貫通孔３５から高圧エアーをドラム缶内２に吹き込ませる。すると、ドラム缶２の内底面まで下降した摺動板７がドラム缶２内上方までスムーズに上昇させることができる。このような構成にすることによりシリンダを設置する必要がないことから作業効率が非常に良いものとなるだけでなく、高粘性物質３の個分け取出装置全体をコンパクトに形成することができる。
【００２６】
〔実施例２〕
実施例２の本発明高粘性物質の個分け取出装置を構成する前記摺動板７（図５）は、実施例１と同様に前記ドラム缶２の真上上方に配設した複数のピストンロッド２３により支持されている。その摺動板７は前記ドラム缶２の上部近傍まで降下した際に複数のピストンロッド２１と複数のスライド杆２３の上端との連結部が切離可能となるようこの連結部を貫通する抜き差しピンで係止してある。
また、本実施例２において、摺動板７に形成された吸上げ用貫通口２４は、本実施例と同様に前記高粘性物質３が吸上げられるように形成しており、前記摺動板７の前記貫通口８の位置は摺動板７の中心部に穿設してある。この貫通口２４の大きさとしては高粘性物質３が吸上げることができれば特に制限はないが、本実施例の貫通口８は７０ｍｍとしてある。このように中心部に前記貫通口が形成してあると、ドラム缶内に充填された高粘性物質を効率よく吸引することができるので好ましい。
尚、実施例２の前記摺動板、ピストンロッド、ポンプ、邪魔板などは実施例１と略同一であることから説明は省略する。
このような構成にすることによって、高粘性物質の残量が少なくなっても貫通口内へ袋の一部が吸い込まれて前記貫通口やポンプなどが詰まることもなくなり、最後まで装置の稼動を中断することなく高粘性物質を取出すことができる。また、前記摺動板が一つの支持杆により支持されるよりも、複数のスライド杆により支持される方が、ピストンロッドなどへの負荷が少なくなるのでよい。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】本発明高粘性物質の個分け取出装置に軟質袋に充填された高粘性物質を収納したドラム缶をセットした状態の一実施例を示す正面図。
【図２】本発明高粘性物質の個分け取出装置に配設されたピストンロッドの一実施例を示す正面図。
【図３】本発明高粘性物質の個分け取出装置に配設されたピストンロッドの他の実施例を示す正面図。
【図４】本発明高粘性物質の個分け取出装置の摺動板に配設された支持杆とスライド杆の一実施例を示す正面図。
【図５】本発明高粘性物質の個分け取出装置の摺動板に着接された支持杆兼用スライド杆の他の実施例を示す正面図。
【図６】本発明高粘性物質の個分け取出装置の摺動板に配設された支持杆とスライド杆の一実施例を示す側面図。
【図７】本発明高粘性物質の個分け取出装置の摺動板に着接された支持杆兼用スライド杆の他の実施例を示す側面図。
【図８】本発明高粘性物質の個分け取出装置に配設された摺動板の構成を示す平面図。
【図９】摺動板の構成を示す側面図。
【符号の説明】
【００２８】
１． 高粘性物質の個分け取出装置
２． ドラム缶（タンク）
３．
高粘性物質
４． 軟質袋
５． 吸上げ用ポンプ
７． 摺動板
１２．ドラム運搬台車
１６．基台
２１．ピストンロッド
２２．支持杆
２３．スライド杆
２４．吸上げ用貫通口
２５．吸上げ管
２６．固定部材
３１．邪魔板
３２．枠材
３５．高圧エアー吹き込み用貫通孔
４０．軟質ゴム
４１．基枠
Ｍ． モータ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ドラム缶などのタンク内に合成樹脂（軟質ポリエチレン、ナイロンなど）の軟質袋に充填されたマヨネーズや蜂蜜などの高粘性物質についてポンプを利用してペール缶などの小容器に個分け取出しできる高粘性物質の個分け取出装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、高粘性物質の保管や貯蔵はドラム缶などのタンクなどに直接収容したり、衛生面を配慮して合成樹脂袋などの軟質袋に充填されたものをドラム缶などに収容した形態を採用されることが多い。そして、これらの収容された高粘性物質を個分け取り出しをするに際しては、例えば、柄（ひしゃく）等の用具でいったんくみ出したり、ポンプでくみ上げ処理してから用いることが行われている。
ひしゃく等でのくみ出しは手作業であるため作業効率が悪く、また、重労働になるので加工場などでは殆ど採用されなくなってきている。
また、前記ポンプでのくみ上げ処理の技法としてはドラム缶に直接収容した高粘性物質をシリンダにより空気圧で加圧し、かつポンプで吸い込むことにより高粘性物質を移送する連続的な定量供給装置が特許文献１（特開平９−９９９８３号公報）に提案されている。
【０００３】
【特許文献１】特開平９−９９９８３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、前記特許文献１に記載の装置は、ドラム缶などのタンクに直接収容した高粘性物質を取出す際には有効に利用できるものの、軟質袋に充填された状態でタンク内に収容された高粘性物質を連続して取出すことには利用できず、不適であった。
その理由として前記特許文献１記載の装置は、高粘性物質を吸引しながらシリンダヘッドが降下するが、前記高粘性物質を取り出し処理中に吸込み口に軟質袋が吸い込まれてポンプチューブ内に詰まる問題がある。このことは、装置の稼動を中断せざるを得なくなることにより高粘性物質の取出しができなくなるだけでなく、ポンプやシリンダに過大な負荷がかかりポンプなどが故障してしまうことになるからである。
またシリンダヘッドとタンク内周壁は隙間がないため、高粘性物質を吸引するとタンク内は概ね真空状態となっていることから、タンクの内底面まで下降したシリンダヘッドをタンクの内底面から上方まで上昇させることは、シリンダに過大な負荷がかかり、これに伴ってシリンダの故障の原因に繋がることとなる。
これらシリンダの過大負荷は高粘性物質を正確に個分け取出しするには極めて悪影響を与えるものであり、作業効率を極端に悪くするものであった。
【０００５】
本発明は上述の問題点を勘案しなされたもので、軟質袋に充填された状態をタンク内に収容した高粘性物質を取出しする際に当該袋の一部がポンプに吸込まれてシリンダやポンプなどに過大な負荷をかけることがない装置であって、またタンクの内底面まで下降したシリンダヘッドをタンクの内底面から上方まで上昇させる際にシリンダなどに過大な過負荷をかけることがない高粘性物質の個分け取出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
すなわち、本発明高粘性物質の個分け取出装置（以下、単に「装置」ともいう）は、軟質袋に充填された高粘性物質を収納したタンクの内周壁に沿って上下に摺動自在である摺動板を、前記タンクの真上上方に配設したピストンロッドにより支持してあり、該摺動板は前記タンクの上部近傍まで降下した際にピストンロッドと摺動板の支持杆との連結部が切離可能となるようこの連結部を貫通する抜き差しピンで係止してあり、前記摺動板には、底面側から上面側へ貫通する前記高粘性物質の吸上げ用貫通口を形成してあり、該貫通口の上面側には前記貫通口と連通する前記高粘性物質の吸上げ管を連設してあり、該吸上げ管の経路上には該吸上げ杆と連通する高粘性物質の吸上げ用ポンプが配設してあり、前記摺動板の上面には、該摺動板の傾動を抑止しつつ摺動板と共に昇降自在とされたスライド杆の下端側を一体に着接してあり、前記高粘性物質の吸引操作中に前記軟質袋が前記貫通口を閉塞することを抑止する邪魔板が、前記摺動板の底面と接触しない位置に、かつ底面と略平行に配設してあることを特徴とするものである。
【０００７】
また、本発明高粘性物質の個分け取出装置は、軟質袋に充填された高粘性物質を収納したタンクの内周壁に沿って上下に摺動自在としてある摺動板の上面を、該摺動板の傾動を抑止すると共に昇降自在とされた縦長のスライド杆の下端側に着接してあり、該スライド杆の上端側を前記タンクの上方に配設されたピストンロッドに吊持してあり、前記摺動板は前記タンクの上部近傍で前記ピストンロッドとスライド杆の上端との吊持連結部が切離可能となるようこの連結部を貫通する抜き差しピンで係止してあり、前記摺動板には、底面側から上面側へ貫通する前記高粘性物質の吸上げ用貫通口を形成してあり、該貫通口の上面側には前記貫通口と連通する前記高粘性物質の吸上げ管を連設してあり、該吸上げ管の経路上には該吸上げ杆と連通する高粘性物質の吸上げ用ポンプが配設してあり、前記高粘性物質の吸引操作中に前記軟質袋が前記貫通口を閉塞することを抑止する邪魔板が、前記摺動板の底面と接触しない位置に、かつ底面と略平行に配設してあることを特徴とするものである。
【０００８】
このような構成にすることによって、高粘性物質の残量が少なくなっても貫通口内へ袋の一部が吸い込まれて前記貫通口やポンプなどが詰まることもなくなり、最後まで装置の稼動を中断することなく高粘性物質を取出すことができる。
また、本発明に係る前記邪魔板が枠材で囲繞した枠体内を適宜面積に区切られた略板状に形成しておくことによって、取出操作中に前記貫通口を閉塞することを抑止するのみならず、区切られた略板状の隙間から高粘性物質を残すことなく一層吸引することができる。
さらに、本発明に係る前記摺動板の所定箇所にその上面から底面へ貫通する高圧エアー吹き込み用貫通孔を形成しておくことにより、タンクの内底面まで下降した摺動板をタンク内上方までスムーズに上昇させることができる。
【発明の効果】
【０００９】
以上説明したように、本発明高粘性物質の個分け取出装置は、最後まで装置の稼動を中断することなく高粘性物質を取出すことができるので、ポンプやシリンダなどに過大な負荷がかかることがなくなり、装置の故障もほとんどなく作業効率が非常に良いものとなる。
また、上記邪魔板の枠体内を適宜面積に区切られた略板状に形成しておくことによって、前記貫通口が軟質袋の一部により閉塞されることを抑止するのみならず、区切られた略板状の隙間から高粘性物質をより一層吸引することができるので、ポンプなどにほとんど負荷がかかることがないことから装置の故障もなく作業効率が非常に良いものとなる。
さらに、高圧エアー吹き込み用貫通孔を形成しておくことによって、タンクの内底面まで下降した摺動板をタンク内上方までスムーズに上昇させることができるため作業効率が非常に良いものとなるだけでなく、そもそも上昇用のシリンダを別途に設置する必要がなくなるから高粘性物質の個分け取出装置全体をコンパクトに形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して説明する。
【実施例】
【００１１】
〔実施例１〕
図１は、本発明高粘性物質の個分け取出装置に軟質袋に充填された高粘性物質を収納したドラム缶をセットした状態の一実施例を示す正面図である。図２は、本発明高粘性物質の個分け取出装置に配設されたピストンロッドの一実施例を示す正面図であり、図３は、本発明高粘性物質の個分け取出装置に配設されたピストンロッドの他の実施例を示す正面図である。図４は、本発明高粘性物質の個分け取出装置の摺動板に配設された支持杆とスライド杆の一実施例を示す正面図であり、図５は、本発明高粘性物質の個分け取出装置の摺動板に着接された支持杆兼用スライド杆の他の実施例を示す正面図である。図６は、本発明高粘性物質の個分け取出装置の摺動板に配設された支持杆とスライド杆の一実施例を示す側面図である。図７は、本発明高粘性物質の個分け取出装置の摺動板に着接された支持杆兼用スライド杆の他の実施例を示す側面図である。図８は、本発明高粘性物質の個分け取出装置に配設された摺動板の構成を示す平面図であり、 図９は、摺動板の構成を示す側面図である。
【００１２】
図１において、本実施例の高粘性物質の個分け取出装置１は、軟質袋４に充填された高粘性物質３を収納したドラム缶２の内周壁に沿って上下に摺動自在である摺動板７と、高粘性物質３の吸上げ用ポンプ５と、該摺動板７の傾動を抑止しつつ摺動板７と共に昇降自在とされたスライド杆２３と、前記高粘性物質３の吸引操作中に前記軟質袋４が前記貫通口２４を閉塞することを抑止する邪魔板３１とを備えた構造としてある。
【００１３】
先ず前記摺動板７について説明すると、軟質袋４に充填された高粘性物質３を収納したドラム缶２の内周壁に沿って摺動板７は上下に摺動自在に形成してある。この摺動板の大きさについて特に制限は無いが、 本実施例１においては、タンクがドラム缶２であることからドラム缶２の内周壁に沿って上下に摺動自在となるような大きさの外形に摺動板７が形成されている。尚、本実施例における摺動板７の外周側面は弾性部材１０として軟質ゴムが被覆してあり、これにより摺動板７の下降時に袋４内の高粘性物質３を袋内壁から余すところなくかき取りできるようになっている。
【００１４】
また本実施例１において、前記摺動板７は前記ドラム缶２の真上上方に配設したピストンロッド２１により支持されている。またその摺動板７は前記ドラム缶２の上部近傍まで降下した際には、ピストンロッド２１と摺動板７の支持杆２２との連結部が切離される。この連結部は前記ピストンロッド２１と支持杆２２を貫通する手動操作可能な抜き差しピン（図示なし）で係止してある。
【００１５】
さらに本実施例１において、前記摺動板７には前記高粘性物質の吸上げ用貫通口２４は、この摺動板７にその底面側から上面側へ前記高粘性物質が吸上げられる貫通口を形成してある。本実施例においては前記摺動板７の前記貫通口２４は図８、図９に示すように摺動板７の中心部と外周部のほぼ中程に穿設してある。この貫通口２４の大きさとしては高粘性物質３が吸上げることができれば特に制限はないが、本実施例の貫通口２４は内径を７０ｍｍとしてある。
【００１６】
また当該貫通口２４の上面側にはその貫通口と連通する前記高粘性物質の吸上げ管２５を連設してあり、その吸上げ管２５の経路上には当該吸上げ管２５と連通する高粘性物質３の吸上げ用ポンプ５が配設してある。尚、本実施例のポンプは、ダイドーメタル工業(株)製のポンプを使用している。
【００１７】
次に摺動板の上面に着接されたスライド杆について説明すると、本実施例１において、前記スライド杆２３はその下端側を前記摺動板７の上面に一体に着接してあり、また前記スライド杆２３はその上端側を基枠４１に固定された固定部材２６に挿通してある。これによりこのスライド杆２３は、摺動板７と共にスライド杆２３が昇降自在とされていることから、ドラム缶２内で前記摺動板７が昇降する際に当該摺動板７の傾動を抑止することができ、かつ摺動板７のスムーズな昇降動作を可能とする。この際、スライド杆は複数本とし、摺動板７の上面に複数着接してあると、一層摺動板の傾動を抑止することができるので好ましい。
【００１８】
さらに、前記摺動板７に配設された本実施例における邪魔板について説明すると、前記摺動板７の底面と接触しない位置に、かつその底面と略平行に配設してある。これにより前記高粘性物質の吸引操作中に前記軟質袋４が前記貫通口２４を閉塞することを抑止することができる。ここで本実施例１においては前記邪魔板３１は直径３００ｍｍの円枠材３２としてある。また当該円枠材３２は、その円枠材の中心位置から円枠材に向かって放射状に円枠材３２を区切っている。かかる円枠体３２を前記摺動板７の底面から３０ｍｍの下方位置に、かつ前記底面と略平行に配設してある。
【００１９】
また、前記摺動板７にはその上面から底面へ貫通する高圧エアー吹き込み用貫通孔３５を形成してあるが、当該貫通孔３５の位置や大きさについて、特に制限は無い。尚、本実施例１において、上記貫通口２４と外周部の中ほどの位置に直径１５ｍｍの高圧エアー吹き込み用貫通孔３５を前記摺動板７の上面から底面へ前記摺動板７は貫通している。尚、本実施例１の貫通孔３５の数は１つであるが、複数設けるとより、タンクの内底面まで下降した摺動板７をタンク内上方まで一層スムーズに上昇させることができるので好ましい。
【００２０】
次に、本実施例の作用について説明する。
先ず、ドラム運搬台車１２に載置されたドラム缶２に収納された軟質袋４の上部を開口してドラム缶２上部枠から折り返し、前記ピストンロッド２１により支持された摺動板７の真下下方に前記台車１２によりドラム缶２を動かしセットする。
次に前記摺動板７を前記ドラム缶２の上部近傍までピストンにて降下させ、当該ドラム缶２の上部近傍まで降下した際、ピストンロッド２１と摺動板７の支持杆２２との連結を切離するために連結部を貫通する抜き差しピンを抜く。すると前記摺動板７とピストンロッド２１は切離され前記摺動板７はドラム缶２の内周壁に沿って自重で沈降し始め、高粘性物質３の表面と摺動板７の裏面は接近する。
【００２１】
次いで図示しない電気制御手段の始動ボタンを押すことによりモータＭを介して上記ポンプ５が適正な速度で駆動する。これにより軟質袋４内の高粘性物質３は前記摺動板７の高粘性物質３吸上げ用貫通口２４から吸引される。吸引された高粘性物質は吸上げ用ポンプ５を介して吸上げ管２５を通り、その後、高粘性物質３は吸上げ管２５の排出口から外方へ取出される。
尚、当該高粘性物質３の吸い上げが始まると、高粘性物質３の液面の降下とともに摺動板７が下方へ同様に降下する。また、前記摺動板７の上面にはスライド杆２３の下端側を一体に着接してあることから前記摺動板７の傾動が抑止される。これにより摺動板７の裏面と高粘性物質３の表面は常に略面一となり、均一取出しを妨げる原因となる空間（空気溜り）が生ずることがない。
【００２２】
その後、適正量の高粘性物質３の取出し後、ポンプ５は停止される。このようにポンプ５の駆動と停止を繰り返し、ドラム缶２内の高粘性物質３は個分け取出しされる。従って常時ほぼ一定量の取出しが可能となる。
【００２３】
また、摺動板７の底面には円枠体３２の中心位置から放射状に円枠体３２を区切られた邪魔板３１が配設してあるので前記摺動板７の底面とドラム缶の内底とは直接接触せず、かつ邪魔板３１は底面と略平行に前記摺動板７に配設してあることから、高粘性物質３の残量が少なくなっても貫通口２４内へ軟質袋４の一部が吸い込まれて前記貫通口２４やポンプ５などが詰まることもなくなり、最後まで装置の稼動を中断することなく高粘性物質３を取出すことができる。
【００２４】
尚、邪魔板３１は、円枠体３２の中心位置から放射状に円枠体３２を区切ると、前記貫通口２４を閉塞することを抑止するのみならず、区切られた略板状３１から高粘性物質３をより一層吸引することができるので良い。このような邪魔板３を摺動板７底面に配設することにより、ポンプ５などにほとんど負荷がかかることがないことから装置の故障もほとんどなく、より一層作業効率が非常に良いものとなる。
【００２５】
さらに、ドラム缶２内の高粘性物質３が無くなったことに伴い前記摺動板７がドラム缶２内で降下しなくなると、ポンプ５は停止される。次に、前記摺動板７の高圧エアー吹き込み用貫通孔３５から高圧エアーをドラム缶内２に吹き込ませる。すると、ドラム缶２の内底面まで下降した摺動板７がドラム缶２内上方までスムーズに上昇させることができる。このような構成にすることによりシリンダを設置する必要がないことから作業効率が非常に良いものとなるだけでなく、高粘性物質３の個分け取出装置全体をコンパクトに形成することができる。
【００２６】
〔実施例２〕
実施例２の本発明高粘性物質の個分け取出装置を構成する前記摺動板７（図５）は、実施例１と同様に前記ドラム缶２の真上上方に配設した複数のピストンロッド２３により支持されている。その摺動板７は前記ドラム缶２の上部近傍まで降下した際に複数のピストンロッド２１と複数のスライド杆２３の上端との連結部が切離可能となるようこの連結部を貫通する抜き差しピンで係止してある。
また、本実施例２において、摺動板７に形成された吸上げ用貫通口２４は、本実施例と同様に前記高粘性物質３が吸上げられるように形成しており、前記摺動板７の前記貫通口８の位置は摺動板７の中心部に穿設してある。この貫通口２４の大きさとしては高粘性物質３が吸上げることができれば特に制限はないが、本実施例の貫通口８は７０ｍｍとしてある。このように中心部に前記貫通口が形成してあると、ドラム缶内に充填された高粘性物質を効率よく吸引することができるので好ましい。
尚、実施例２の前記摺動板、ピストンロッド、ポンプ、邪魔板などは実施例１と略同一であることから説明は省略する。
このような構成にすることによって、高粘性物質の残量が少なくなっても貫通口内へ袋の一部が吸い込まれて前記貫通口やポンプなどが詰まることもなくなり、最後まで装置の稼動を中断することなく高粘性物質を取出すことができる。また、前記摺動板が一つの支持杆により支持されるよりも、複数のスライド杆により支持される方が、ピストンロッドなどへの負荷が少なくなるのでよい。
【図面の簡単な説明】
【００２７】
【図１】本発明高粘性物質の個分け取出装置に軟質袋に充填された高粘性物質を収納したドラム缶をセットした状態の一実施例を示す正面図。
【図２】本発明高粘性物質の個分け取出装置に配設されたピストンロッドの一実施例を示す正面図。
【図３】本発明高粘性物質の個分け取出装置に配設されたピストンロッドの他の実施例を示す正面図。
【図４】本発明高粘性物質の個分け取出装置の摺動板に配設された支持杆とスライド杆の一実施例を示す正面図。
【図５】本発明高粘性物質の個分け取出装置の摺動板に着接された支持杆兼用スライド杆の他の実施例を示す正面図。
【図６】本発明高粘性物質の個分け取出装置の摺動板に配設された支持杆とスライド杆の一実施例を示す側面図。
【図７】本発明高粘性物質の個分け取出装置の摺動板に着接された支持杆兼用スライド杆の他の実施例を示す側面図。
【図８】本発明高粘性物質の個分け取出装置に配設された摺動板の構成を示す平面図。
【図９】摺動板の構成を示す側面図。
【符号の説明】
【００２８】
１． 高粘性物質の個分け取出装置
２． ドラム缶（タンク）
３．
高粘性物質
４． 軟質袋
５． 吸上げ用ポンプ
７． 摺動板
１２．ドラム運搬台車
１６．基台
２１．ピストンロッド
２２．支持杆
２３．スライド杆
２４．吸上げ用貫通口
２５．吸上げ管
２６．固定部材
３１．邪魔板
３２．枠材
３５．高圧エアー吹き込み用貫通孔
４０．軟質ゴム
４１．基枠
Ｍ． モータ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
軟質袋に充填された高粘性物質を収納したタンクの内周壁に沿って上下に摺動自在である摺動板を、前記タンクの真上上方に配設したピストンロッドにより支持してあり、
該摺動板は前記タンクの上部近傍まで降下した際にピストンロッドと摺動板の支持杆との連結部が切離可能となるようこの連結部を貫通する抜き差しピンで係止してあり、
前記摺動板には、底面側から上面側へ貫通する前記高粘性物質の吸上げ用貫通口を形成してあり、
該貫通口の上面側には前記貫通口と連通する前記高粘性物質の吸上げ管を連設してあり、
該吸上げ管の経路上には該吸上げ管と連通する高粘性物質の吸上げ用ポンプが配設してあり、
前記摺動板の上面には、該摺動板の傾動を抑止しつつ摺動板と共に昇降自在とされたスライド杆の下端側を一体に着接してあり、
前記高粘性物質の吸引操作中に前記軟質袋が前記貫通口を閉塞することを抑止する邪魔板が、前記摺動板の底面と接触しない位置に、かつ底面と略平行に配設してあることを特徴とする高粘性物質の個分け取出装置。
【請求項２】
軟質袋に充填された高粘性物質を収納したタンクの内周壁に沿って上下に摺動自在としてある摺動板の上面を、該摺動板の傾動を抑止すると共に昇降自在とされた縦長のスライド杆の下端側に着接してあり、該スライド杆の上端側を前記タンクの上方に配設されたピストンロッドに吊持してあり、
前記摺動板は前記タンクの上部近傍で前記ピストンロッドとスライド杆の上端との吊持連結部が切離可能となるようこの連結部を貫通する抜き差しピンで係止してあり、
前記摺動板には、底面側から上面側へ貫通する前記高粘性物質の吸上げ用貫通口を形成してあり、
該貫通口の上面側には前記貫通口と連通する前記高粘性物質の吸上げ管を連設してあり、
該吸上げ管の経路上には該吸上げ杆と連通する高粘性物質の吸上げ用ポンプが配設してあり、
前記高粘性物質の吸引操作中に前記軟質袋が前記貫通口を閉塞することを抑止する邪魔板が、前記摺動板の底面と接触しない位置に、かつ底面と略平行に配設してあることを特徴とする高粘性物質の個分け取出装置。
【請求項３】
前記邪魔板は、枠材で囲繞した枠体内を適宜面積に区切り略板状に形成してある請求項１又は２記載の高粘性物質の個分け取出装置。
【請求項４】
前記摺動板の所定箇所にその上面から底面へ貫通する高圧エアー吹き込み用貫通孔を形成してある請求項１乃至３記載の高粘性物質の個分け取出装置。
【請求項１】
軟質袋に充填された高粘性物質を収納したタンクの内周壁に沿って上下に摺動自在である摺動板を、前記タンクの真上上方に配設したピストンロッドにより支持してあり、
該摺動板は前記タンクの上部近傍まで降下した際にピストンロッドと摺動板の支持杆との連結部が切離可能となるようこの連結部を貫通する抜き差しピンで係止してあり、
前記摺動板には、底面側から上面側へ貫通する前記高粘性物質の吸上げ用貫通口を形成してあり、
該貫通口の上面側には前記貫通口と連通する前記高粘性物質の吸上げ管を連設してあり、
該吸上げ管の経路上には該吸上げ管と連通する高粘性物質の吸上げ用ポンプが配設してあり、
前記摺動板の上面には、該摺動板の傾動を抑止しつつ摺動板と共に昇降自在とされたスライド杆の下端側を一体に着接してあり、
前記高粘性物質の吸引操作中に前記軟質袋が前記貫通口を閉塞することを抑止する邪魔板が、前記摺動板の底面と接触しない位置に、かつ底面と略平行に配設してあることを特徴とする高粘性物質の個分け取出装置。
【請求項２】
軟質袋に充填された高粘性物質を収納したタンクの内周壁に沿って上下に摺動自在としてある摺動板の上面を、該摺動板の傾動を抑止すると共に昇降自在とされた縦長のスライド杆の下端側に着接してあり、該スライド杆の上端側を前記タンクの上方に配設されたピストンロッドに吊持してあり、
前記摺動板は前記タンクの上部近傍で前記ピストンロッドとスライド杆の上端との吊持連結部が切離可能となるようこの連結部を貫通する抜き差しピンで係止してあり、
前記摺動板には、底面側から上面側へ貫通する前記高粘性物質の吸上げ用貫通口を形成してあり、
該貫通口の上面側には前記貫通口と連通する前記高粘性物質の吸上げ管を連設してあり、
該吸上げ管の経路上には該吸上げ杆と連通する高粘性物質の吸上げ用ポンプが配設してあり、
前記高粘性物質の吸引操作中に前記軟質袋が前記貫通口を閉塞することを抑止する邪魔板が、前記摺動板の底面と接触しない位置に、かつ底面と略平行に配設してあることを特徴とする高粘性物質の個分け取出装置。
【請求項３】
前記邪魔板は、枠材で囲繞した枠体内を適宜面積に区切り略板状に形成してある請求項１又は２記載の高粘性物質の個分け取出装置。
【請求項４】
前記摺動板の所定箇所にその上面から底面へ貫通する高圧エアー吹き込み用貫通孔を形成してある請求項１乃至３記載の高粘性物質の個分け取出装置。
【図４】
【図５】
【図７】
【図８】
【図１】
【図２】
【図３】
【図６】
【図９】
【図５】
【図７】
【図８】
【図１】
【図２】
【図３】
【図６】
【図９】
【公開番号】特開２００８−１２７０３２（Ｐ２００８−１２７０３２Ａ）
【公開日】平成２０年６月５日（２００８．６．５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−３１２３１９（Ｐ２００６−３１２３１９）
【出願日】平成１８年１１月２０日（２００６．１１．２０）
【出願人】（０００００１４２１）キユーピー株式会社 (657)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年６月５日（２００８．６．５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年１１月２０日（２００６．１１．２０）
【出願人】（０００００１４２１）キユーピー株式会社 (657)
【Ｆターム（参考）】
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