説明

高速液体クロマトグラフィーに用いられるマイクロ流量及びナノ流量移動相のグラジエントを生成する装置

高速液体クロマトグラフィーに用いられるマイクロ流量及びナノ流量移動相のグラジエントを生成する装置であって、異なる比率の組成の少なくとも2つの移動相のマイクロ流量及びナノ流量の生成機(2,4,6,8,40,42,10)と、多くのキャピラリのループ(24i)に対する、入口ポート、出口ポート及び(n−2)/2対のポートを備えるn−位置グラジエント分配装置(16)を備え、前記ループのそれぞれは、一方の端部で前記入口ポートと選択的に接続可能であり、もう一方の端部で前記出口ポートと選択的に接続可能であり、前記装置はさらに、前記n−位置グラジエント分配装置(16)の出口に接続される入口、排出器(30)に接続される1つの出口、及びマイクロ流量及びナノ流量計(32)に接続されるもう一方の出口を有する流量偏向器(28)を備え、分析回路(26,36)はそれぞれ接続され、前記装置はさらに、様々な移動相の混合組成を生成する前記マイクロ流量及びナノ流量の生成機(2,4,6,8,40,42,10)を制御する手段、前記グラジエント分配装置(16)の実行時間及び滞留時間に基づいて動作するグラジエントを生成する手段、前記マイクロ流量及びナノ流量計(32)から受信したデータを基に、前記マイクロ流量及びナノ流量の生成機の処理能力を制御する手段、そして前記流量偏向器(28)の位置を制御する手段が設けられた制御システム(38)を備えることを特徴とする装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速液体クロマトグラフィーに用いられるマイクロ流量及びナノ流量移動相のグラジエントを生成する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近数十年の間に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムの進歩的な小型化を目にする。特に、移動相流量に関して利用される。流量が減少することで、特に、高価な有害溶媒の消費を制限することが可能である。注入量の減少により、少量のサンプルで実行可能となる。さらに、高感度濃度センサーが用いられると、カラムにおけるより少ない希釈溶媒及びノイズに対する信号の比率がより高くなることで、感度が増大する。
【0003】
最後に、上記技術と新しい液体クロマトグラフ質量分析(LC−MS)と組み合わせることで、1μL/分未満の流量で作動可能であり、より高い感度を獲得し、生じうる混入の危険性を制限する。
【0004】
しかしながら、非常に低流量の作動で、信頼性のある移動相のグラジエントを生成可能な器具を欠く構成となっている場合、問題が生じる。その上、遅延が生じ、溶媒が均一混合されない。1μL/分未満の流量でグラジエントを生成するには、適切なポンプシステムが必要であり、注意深く均一に移動相を混合するだけでなく、最小の遅延と再現可能な方法によりカラムに移動相を移す必要がある。しかしながら、これらの状況下で、市販で入手可能な器具は、限界状態での作動を余儀なくされる。従って、動作の信頼性についてはしばしば疑義がある。さらに、本発明におけるセットと比較すると、実効性のあるグラジエントプロファイルが、不十分な型を示す。
【0005】
マイクロ流量及びナノ流量移動相のグラジエントを生成するもっとも一般的な方法の1つは、HPLCポンプと注入器の間に挿入される分配器を用いる分配技術である。この解決方法は、カラムに実際移されるグラジエントが不十分な制御となり、不十分な再現精度の制御となるため、限定された解決方法にしかならない。ナノスケールのグラジエントを実現する最初の試みの1つは、キャピラリ内に特定のグラジエントを保存すること、そして、シリンジポンプでカラムへとそのグラジエントを移すことである。このシステムの欠点は、実用性がかけていること、生成されるグラジエントの選択が制限されていること、及びグラジエントの制御が不十分であることである。
【0006】
もう1つ別の従来のシステムは、エキポネンシャル希釈法(Exponential dilution method)として知られており、このシステムは、凹型のエキポネンシャルプロファイル(Concave exponential profile)のグラジエントを生成させるとともに、移動相の流量を混合チャンバ内における薄い溶離液から、濃い溶離液へと急速に合流させる。
【0007】
このシステムの欠点は、生成されるグラジエントの種類数が限定されていることである。
【0008】
この欠点を克服するために、混合チャンバを、薄い溶離液で満たし、プログラムされた方法で、濃い溶離液をダイナミックミキサ(dynamic mixer)に流入させることが提案されている。これにより、経時的にグラジエントの変動を制御することが可能である。
【0009】
本システムの欠点は、達成可能なグラジエントのプロファイルの多用途性が不十分な点である。
【0010】
もう1つ別のシステムは、第一に薄い溶離液と、第二に濃い溶離液の2つの連続的な混合チャンバを導入し、そして、1つのポンプを用いてカラムへとこれらを同時に移すことで、ナノ流量の急激なグラジエントを生成する。
【0011】
この従来の解決方法の欠点は、制限されたグラジエント、プロファイル選択、それに加え、一貫してグラジエントの遅延が生じる点である。
【0012】
米国特許第7135111号は、ナノ流量のグラジエント溶離装置について記載している。該装置は、異なる溶媒を混合し移動させる第1ポンプ、移動溶液を移動させる第2ポンプ、注入器、カラム及び検知システムを備える。2つのループを用いることで、異なる混合溶媒が一時的に保存されるようになる。これらは、第1のマイクロ流量ポンプで移動され、第2のポンプでナノ流量カラムへと輸送される。内部システムの接続の変更を行い、流方向を変更することにより、混合溶媒が保存可能となる。
【0013】
公知の解決方法における問題点は、ナノリットル/分で作動する際、一定流量で移動相を輸送することが困難な点である。
【0014】
米国特許第7141161号は、溶離液を継続的にクロマトグラフへと輸送可能なグラジエントポンプ(gradient pump)の配置を示している。該ポンプは、2もしくはそれ以上の溶離液の組成が変更される間、特定の時間間隔、かつナノリットル/分の一定流量で、溶離液を継続的にクロマトグラフへ輸送可能である。グラジエントポンプの配置として、10ポート多位置バルブ、アイソクラティックポンプ(isocratic pump)及び第2ループに接続される第1ループを有し、これらを経て、溶離液は輸送される。
【0015】
この解決方法の欠点は、ポンプ及びバルブシステムが相当複雑であり、器具の使用が特に自動化が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第7135111号
【特許文献2】米国特許第7141161号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、請求項1記載の高速液体クロマトグラフィーに用いられるマイクロ流量及びナノ流量移動相のグラジエントを生成する新しい配置を提供することで、前述した欠点を取り除くことにある。
【0018】
2つの本発明の好適な実施例は、添付の図面を参照しつつ、以下にさらに明記する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の装置の第1実施例を示す概略図である、該装置は、分配装置に接続される2つの従来のHPLCポンプを有する。
【0020】
【図2】所定濃度で4つの混合物質のクロマトグラフ分離を、5回繰り返していることを示す。
【0021】
【図3】無段で整えられたグラジエントのプロファイルを示す。
【0022】
【図4】特定のクロマトグラフ条件下での、HO中の、0%から100%までのCHCNのグラジエントの3つの異なるプロファイルを示す。
【0023】
【図5】図4の3つのプロファイルの予測される理論的なパターンを示す。
【0024】
【図6】マイクロ流量及びナノ流量の2つのHPLCシリンジポンプを備える本発明の装置の第2の実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1で提示する、本発明の装置の第1実施例は、マイクロ及びナノグラジエントを生成することを目的とする。
【0026】
溶媒A及びBの2つの容器(2)及び(4)を備える。これらは、2つの従来のHPLC往復ポンプ(6)(8)を介して、ミキサ(10)に接続され、該ミキサ(10)は、0.5μm孔を有する焼結フィルタ(12)に接続される。このフィルタは、多位置バルブ(16)の入口に、(18)により全体が示される分配回路を介して接続される。
【0027】
この分配回路は、バルブ(14)と2つの同一のPEEKsilキャピラリ(25もしくは50μm I.D.)を備え、該キャピラリは、小さなデッドボリュームである回路を介してバルブに接続されるとともに、排出器(22)に接続される。分配回路(18)は、HPLCポンプ(6)(8)、2つのキャピラリ(20)(20’)により提供されるインピーダンス、及びクロマトグラフィーカラム(26)により、生成される高流量から所望の流量を得ることを可能とする。これらは本発明により提供される
【0028】
多位置バルブ(16)は、従来の型であり、例えば、テキサス州のヒューストンにあるValco Instruments Co. Inc.,のEMTCST6UW型である。多位置バルブ(16)は、14のポートが提供され、そのうちの2つは、入口と出口である。一方、他の12のポートは、6つのループ(24i)の接続部を示す。該6つのループ(24i)は、内径250μmのPEEKチューブで形成し、移動相を保存する。
【0029】
第1の(24)から(24)までの5つのループは、50μLと同量の容積であり、第6ループは150μLの容積である。第6ループは、最終のグラジエントの組成を備え、より多い容積であれば、クロマトグラフ分析の遂行及びカラム(26)の洗浄に有益である。
【0030】
多位置バルブ(16)の出口ポートは、2位置バルブ(28)の入口に接続される。該2位置バルブ(28)は、排出器(30)に接続される1つの出口を有し、もう一方の出口は、マイクロ流量及びナノ流量計(32)に接続される。該流量計(32)は、クロマトグラフィカラム(26)に対する注入器(34)に接続される。該カラムには、検出器(36)に連結する。
【0031】
各装置部品の動作、特に2位置バルブ(14)と(28)及び多位置バルブ(16)は特に、制御システム(38)に連動し、装置の組織立てられた自動動作を提供する。
【0032】
動作において、第1の定期的な動作は、多位置バルブ(16)に連結する6つのループ(24i)に充填を行うことからなる。この充填を達成するために、2つの2位置バルブ(14)及び(28)がバルブ(14)と調整され、分配装置(16)及びを回避する。バルブ(28)は、多位置バルブ(16)と排出器(30)を接続する。
【0033】
この構成において、ポンプ(6)及び(8)は、0.8から1.0mL/分程度の高流量を提供し、手順を高速にする。制御システムは、ポンプ(6)及び(8)の制御プログラムを起動する。該ポンプ(6)(8)の制御プログラムは、多位置バルブ(16)の実行時間のプログラムに関連付けられ、これにより、6つのループ(24i)内に溶離力を増加する異なる移動相の組成を分配する。
【0034】
例えば、容器(2)に含まれる溶媒Aの100%のグラジエントから、容器(4)に含まれる溶媒Bの100%のグラジエントまで生成するために、第1ループ(24)が選択され、同時に、ポンプ(6)が溶媒A100%のみを、0.8-1.0mL/分でポンピングするようプログラムされている。理論上、ループを充填する時間は、ほんの数秒である。しかしながら、実際のところ、調節するのに数分待つのが好ましい。従って、数分後、ループ(24)には完全に対応する移動相の組成が充填される。そして、制御システムは、多位置バルブ(16)を作動させ、第2ループ(24)をバルブ(14)に接続する。同時に、ポンプ(6)と(8)の動作は変更され、ポンプ(6)が溶媒Aの80%をポンピングし、ポンプ(8)が溶媒Bの20%をポンピングする。
【0035】
さらに数分後、第3ループ(24)が選択され、ポンプは溶媒Aの60%をポンピングし、溶媒Bの40%をポンピングするように、さらに変更される。
【0036】
ポンプ(8)が単独で溶媒Bの100%を送出するようプログラムされた状態で、第6ループ(24)が選択されるまで、この工程は繰り返される。
【0037】
ループ(24i)の充填が完成すると、溶媒A100%が通過する状態で、第1ループ(24)が選択される。そして、流量が減少し、2つの2位置バルブ(14)と(28)が切替えられ、分配回路に挿入され、多位置バルブ(16)を分析回路に接続する。システムは、ナノ流量計(32)からのデータを処理し、ポンプ(6)の流量を制御する。これにより、カラム(26)に所望の流量を得ることができる。
【0038】
この構成において、分配回路(16)から生じたマイクロ流量もしくはナノ流量の溶媒Aは、より薄い溶離液(一般的に水)で、第1ループ(24)を継続的に再び充填し、カラム(26)を調節する。
【0039】
以下に示すサンプルの導入及びクロマトグラフ分析の開始で、多位置バルブ(16)が作動し、より大きい溶離力を有する組成で装填されたすぐ隣のループ(24)の内容物をカラム(26)へと移す。この工程は、あらゆるループで繰り返し行われる。生成されるグラジエントの型は、実行時間と滞留時間を変更させることで、獲得される。溶媒Aは、一定の移動相の流量を送出することが可能である。該溶媒Aは、変化させずに、分析が終了するまで、各ループの内容物を押し出すために用いられる。
【0040】
本発明の装置を実装するのに際し、従来のクロマトグラフに対して変更を行う必要はない。この点は特に重要である。従来の市販のHPLクロマトグラフであればどれであっても、マイクロ流量及びナノ流量で効果的に作用する。
【0041】
低流量であること、ループ(24)が小径であること、及びキャピラリを接続させることにより、乱流の現象もしくは混合が生じることはない。一度、連続的に完全に満たされると、6つのループ(24)により、流量に応じて、異なる分析に十分な溶離力を提供することが可能である。
【0042】
制御システムは、グラジエントの種類及び使用される流量に応じて、各分析間の各ループ(24)により使用される溶媒の量をメモリ内に保存する。これは、ループ(24)が対応する移動相の組成が無くなる前、そして、正確なグラジエントを生成することが不可能である前に、新しい充填手順が自動的に開始されることを意味する。
【0043】
本発明の装置の特性及び性能を評価するために、モニュロン、ジフェノキスロン、リニュロン及びアジンホスエチルの4つの組成を各々5mg/Lの濃度で混合させる分析を5回行うことで、1日における繰返精度が検証された。
【0044】
16分のHO中、0%から100%までのCHCNの直線グラジエントを用いて、C18の粒子相3.5μmで充填されたAgilent Zorbax 150mm×75μmのカラムにより、分離が得られた。50nLの容量を注入し、λ=230nmのUVで検出した。
【0045】
図2は、5つの分析における長保持時間の繰返精度を示す。相対標準偏差は、0.19%未満である。
【0046】
表1は、1日における繰返精度のより詳細な評価のために、図2のクロマトグラムに対する保持時間を示す。
【0047】
【表1】

【0048】
また、1日における繰返精度を評価するために、5日の連続的作業日における日毎の10のクロマトグラフ分離が実行された。分析された組成は、メトミル、モニュロン、ジフェノキスロン、リニュロンであり、それぞれ197mg/Lの濃度である。用いられたグラジエントは、100%のHOから100%のCHCNまでの16分におけるグラジエントである。360nL/分の流量のAgilent Zorbax C18 3.5μm, 150mm×75μmのカラムで、60nLの容量を注入し、λ=230nmのUVで検出した。
【0049】
以下に示す表2は、各作業日の各組成の平均保持時間及び毎日の平均に対する標準偏差を示す。1日における優れた繰返精度が各組成において観察された。
【0050】
【表2】

【0051】
移動相の組成における時定数変化を得るために、一般的に、無段のグラジエントを用いることが好ましい。この観点から、移動相の急変、段階が付された特有の型は、急激な極性変化に相当し、溶解性及び再現精度の両方の観点から、クロマトグラフ分離を突然に妨げる。
【0052】
ナノ流量、連続的なループにおける異なる移動相は、太一バルブ(16)及び接続部の空間内で交互に混合する。これにより、溶媒の組成の急速な変化を避ける。
【0053】
図3は、無段で整えられたグラジエントのプロファイルを示す。
【0054】
図4は、異なるバルブ動作プログラムで、400nL/分の流量で獲得される12分における3つのグラジエントのプロファイルを示す。
【0055】
ループ(24)は、以下の溶媒の組成で満たされる。ループ(24)は、100%のHOと0%のCHCN、ループ(24)は、80%のHOと20%のCHCN、ループ(24)は、60%のHOと40%のCHCN、ループ(24)は、40%のHOと60%のCHCN、ループ(24)は、20%のHOと80%のCHCN、
ループ(24)は、0%のH0と100%のCHCNである。
【0056】
動作プログラムは、下記の通りである。ループ(24)は、0.30分、ループ(24)は、1分、ループ(24)は、1.30分、ループ(24)は、9分であり、凹型のグラジエントを意味する曲線aを示す。ループ(24)は、3分、ループ(24)は、3分、ループ(24)は、3分、ループ(24)は、3分であり、直線グラジエントを意味する曲線bを示す。ループ(24)は、9.00分、ループ(24)は、1.30分、ループ(24)は、1分、ループ(24)は、0.30分であり、凸型のグラジエントを意味する曲線cを示す。
【0057】
予期される理論上の型は、図5に示される。吸収に関連する線は、選択された実行時間により示されるが、非常によく差別化されている。非常に少ない作動流量を考慮すると、この点は特に重要である。
【0058】
様々な状況下において、推定のグラジエントと実際のグラジエントの型との間は、多いに一致するため、実行時間の表、及びより直感的なグラフによる手法の両方で設定されるようなグラジエントの形成が可能である。この点で、制御システムは、実行時間に応じて、コンピュータスクリーン上にグラジエントのプロファイルを表示することが可能である。設定時間における各変化は、表示されたプロファイルにおいて、対応する変化として即座に反映される。
【0059】
同様に、コンピュータポインタ(computer pointer)でドラッグされたグラフにより得られた、各グラジエントプロファイルが変更されると、表にされた実行時間における対応する変更を測定する。その結果、表にされた時間パラメータもしくはグラフのプロファイルを定めることで、各グラジエントの形は容易にプログラムされる。
【0060】
直線グラジエントが必要な場合、「直線グラジエント」のコマンドが用いられる。これは、グラジエントの期間を選択することで、自動的に実行時間を計算し、グラジエントプロファイルを表示する。
【0061】
図6の実施例に示すように、本発明の装置は、往復ポンプ(6)及び(8)を、マイクロ流量及びナノ流量のシリンジポンプ(40)及び(42)に取り替えている点で、図1に示すものとは異なる。これにより、分配回路(18)を用いることなく、ナノ流量を得ることが可能である。
【0062】
その他の点に関しては、同一の参照番号の付された同一の部品を有し、装置は類似する。
【0063】
前述の記載から、マイクロ流量及びナノ流量が自動で生成され、分析要求に応じて、グラジエントの型を高度に柔軟な選択が可能であり、常に高い正確性と再現性を有することから、本発明の装置は特に有益であることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速液体クロマトグラフィーに用いられるマイクロ流量及びナノ流量移動相のグラジエントを生成する装置であって、
異なる比率の組成の少なくとも2つの移動相のマイクロ流量及びナノ流量の生成機(2,4,6,8,40,42,10)と、
多くのキャピラリのループ(24i)に対する、入口ポート、出口ポート及び(n−2)/2対のポートを備えるn−位置グラジエント分配装置(16)を備え、前記ループのそれぞれは、一方の端部で前記入口ポートと選択的に接続可能であり、もう一方の端部で前記出口ポートと選択的に接続可能であり、
前記装置はさらに、
前記n−位置グラジエント分配装置(16)の出口に接続される入口、排出器(30)に接続される1つの出口、及びマイクロ流量及びナノ流量計(32)に接続されるもう一方の出口を有する流量偏向器(28)を備え、分析回路(26,36)はそれぞれ接続され、
前記装置はさらに、
様々な移動相の混合組成を生成する前記マイクロ流量及びナノ流量の生成機(2,4,6,8,40,42,10)を制御する手段、前記グラジエント分配装置(16)の実行時間及び滞留時間に基づいて動作するグラジエントを生成する手段、前記マイクロ流量及びナノ流量計(32)から受信したデータを基に、前記マイクロ流量及びナノ流量の生成機の処理能力を制御する手段、そして前記流量偏向器(28)の位置を制御する手段が設けられた制御システム(38)を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記マイクロ流量及びナノ流量の生成機は、異なる溶媒を有する少なくとも2つの容器(2,4)、各容器に連結された往復ポンプ(6,8)、該ポンプにより生成された流量のミキサ(10)、そして分配回路(18)を備えることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記分配回路(18)は、制御ユニット(38)により制御されるバルブ(14)を備え、該制御ユニットは、前記分配回路(18)との接続位置と、前記分配回路(18)との回避位置を切り替えることを特徴とする、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記分配回路は、前記バルブ(14)及び排出器(22)を接続する少なくとも1つのキャピラリ(20,20’)を備えることを特徴とする、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記マイクロ流量及びナノ流量生成機は、様々な溶媒を備える少なくとも2つの容器(2,4)、各容器に連結されたシリンジポンプ(40,42)そして、前記シリンジポンプにより生成されたマイクロ流量及びナノ流量のミキサを備えることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項6】
フィルタ(12)が、前記ミキサ(10)と前記グラジエント分配装置(16)との間に介在することを特徴とする、請求項2又は5記載の装置。
【請求項7】
前記フィルタ(12)は0.5μm孔を有する焼結鋼からなることを特徴とする、請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記グラジエント分配装置(16)のn−1ループ(24−24)は同容積を有し、第nループ(24)は、より大きい容積を有することを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記グラジエント分配装置(16)のn−1ループ(24−24)は50μLの容積を有し、第nループ(24)は、150μLの容積を有することを特徴とする、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記グラジエント分配装置(16)は、n位置バルブから構成されることを特徴とする請求項1記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−501143(P2011−501143A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529315(P2010−529315)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061862
【国際公開番号】WO2009/049967
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(504315934)